JP2598390B2 - エアクリーナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は車両用エンジンなどの吸入空気浄化用のエ
アクリーナに関する。

（従来の技術） エアクリーナには、ケースにインレットとアウトレッ
トを開口し、ケース内に収めたフィルタをアウトレット
に被せ、インレットから吸入したエアを外側からフィル
タに透過させてアウトレットから導出するようにしたも
のがある。この場合、インレットとアウトレットの配置
は、ケースレイアウト上の他部品との関係などから、さ
まざまな位置を選定され、ケース上部にインレット、ケ
ース下底部にアウトレットおよびフィルタを配した例も
少なくない。例えば自動２輪車エンジン用のエアクリー
ナで、エンジン上部にエアクリーナをレイアウトしたも
のでは、上記のような構成をとるものが多い。

このように、ケース上部にインレット、ケース下底部
にフィルタが位置するエアクリーナでは、インレットか
ら雨水などが侵入すると、直接的にフィルタにかかるの
を免がれない。フィルタが濡れると機能が大巾に低下す
るばかりでなく、エンジン用の場合には、キャブレタや
クランク室内に侵水し、走行不良もしくは走行不能な上
を招くという問題がある。

従来においても、フィルタの水漏れを防ぐために、イ
ンレットへの侵水を防ぐ防水装置をケース外部に備える
ものがあるが、自動２輪車のようにカバーのないもの
や、湿地を走行する機会の多い不整地走行用車両などで
は侵水を避けがたく、充分に防水できるように図ると、
エア吸入の抵抗になるという別の問題が生じる。またケ
ース内において、侵入した水をフィルタにかからないよ
うにガイド通路を設けて排水するようにしたものがある
が、同様に吸入効率を阻害するという問題が残る。

（発明が解決しようとする問題点） 上記の問題点に鑑み、この発明は、吸入エアの流入抵
抗にならず、またフィルタの透過面積を充分に使って効
率よくエアを濾過できるようにして、インレットから侵
入した水からフィルタを護ることができるとともに、ベ
ルト冷却用エアに含まれる水分や異物を有効的に除去
し、エンジンの吸入空気通路から独立したベルト冷却用
エア通路を構成したエアクリーナの提供を目的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） この発明のエアクリーナは、車体にユニットスイング
式エンジンの前端部を支持し、このエンジンより上方に
エアクリーナケースを設け、上記エアクリーナケースの
下部にフィルタを収納させるとともにケース下底部にド
レン孔を開設したエアクリーナにおいて、前記エアクリ
ーナケース上部に吸入空気用インレットおよびベルト冷
却用エア取入口をそれぞれ開口し、上記インレットおよ
びエア取入口からエアクリーナケース内へ導入されてフ
ィルタの外側方へ垂下する筒状の通路を隔板で分離独立
してそれぞれ形成し、前記インレットに通じる筒状通路
の下半部を、フィルタ側通路内壁を少なくともインレッ
ト開口幅だけ残してエアクリーナケース内に開口させる
一方、前記ベルト冷却用エアの筒状通路は、エアクリー
ナケースのケース下底面に向って垂下し、このケース下
底面で形成される通路を経て、周方向位置を異にしてエ
アクリーナケースの傾斜するケース下底面の高所に開口
するベルト冷却用エア出口に通じ、このベルト冷却用エ
ア出口を吸入ホースを介してエンジンのスイングケース
内に連通させたものである。

（作用） 以上の構成になるこの発明のエアクリーナでは、イン
レットから吸入された空気が、通路を通って下方へ導か
れ、通路下半部ではフィルタ側通路内壁を残してエアク
リーナケース内に開口する開口を通って側方へ拡散し、
フィルタの外周へ廻遊し、フィルタ全周から透過して、
アウトレットから導出される。従って抵抗少なく、吸入
の効率が高い。一方インレットから侵入した水は、通路
上部で下方へ導かれ、そのまま落下または内壁に沿って
流下し、フィルタの外側を通って下底部に落ちるので、
フィルタを濡らさない。

また、エアクリーナケースの上部に開口するベルト冷
却用エア取入口からケース内に導入される筒状の通路を
吸入空気用の筒状通路から独立して垂下させる構成にす
る一方、ベルト冷却用エアの筒状通路は、エアクリーナ
ケースのケース下底面に向って垂下し、このケース下底
面で形成される通路を経て、周方向位置を異にしてエア
クリーナケースの傾斜するケース下底面の高所に開口す
るベルト冷却用エア出口に連通させたから、ベルト冷却
用エアは筒状通路からエア出口に案内される途中で水分
や異物が有効的に除去されるので、ベルト室への浸水を
防ぎ、水分通が除去されたベルト冷却用エアがスイング
ケース内にスムーズに案内される。その際、ベルト冷却
用エア通路はエアクリーナケース内で吸入空気用通路か
らほぼ独立して構成されているので、吸気脈動の影響も
少なく、スムーズに案内される。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図に就いて説明する。

エアクリーナケース１は、上半ケース1aと下半ケース
1bを合わせて合成される。上半ケース1aには上部にイン
レット２があき、下半ケース1b下底部にアウトレット３
が開口する。アウトレット３の開口上端縁からフィルタ
取付ブラケット４が一体的に立設され、その上にホルダ
５を重ねて容器状のフィルタ６が伏設される。７はフィ
ルタ６の止着用ねじを示す。インレット２から吸入され
たエアが、フィルタ６の周りから内空部へ透過し、浄化
されてアウトレット３から導出される構成をとるもので
ある。

このエアクリーナケース１は、第７図に示すように、
不整地走行用車両の車体前上部に跨架した燃料タンク８
の下に配置され、車体中央下部に搭載したエンジン９に
エアを供給する。エンジン９は、クランクケース10から
後方へ連設されたスイングケース11後端に後輪12を軸支
し、前端部をピボット軸13により車体に枢支され、緩衝
ユニット14によって懸架されたユニットスイング式にな
っている。スイングケース11内にはベルト式伝導装置が
収容される。前記アウトレット３は、可撓性ジョイント
15を介してキャブレタ16に接続される。なおエンジン９
は強制空冷式になり、図示しない送風ファンによりシリ
ンダ周りのカウリング17内に冷却空気を供給する。18は
その吸入ホース、19は排風管を示す。またスイングケー
ス11にはベルト冷却用エアの吸入ホース20が導入され
る。

次に、前記ケース１の上半ケース1aの上面21には、そ
の前縁（車両に装着したときの車両進行方向）に筒状通
路22が突設され、その後側上部に前記インレット２が開
口する。筒状の通路22は上半ケース1a内に延長され、そ
の上半ケース1a内に侵入した通路下半部22aでは一側壁
を欠除し、後部の内壁23がインレット２と同等の巾で垂
下し、その下端はフィルタ６の外側方に位置するように
設定される。アウトレット３周りのリング状の下底面24
は一方へ傾斜し、その最下部にドレン孔25が開口する。
ドレン孔25にはドレン管26が接続されて、他へ導かれ
る。

なお、上半ケース1a上面21上には、両側に側板27が対
設され、その後端をつなぐ後板27aに、シリンダ冷却空
気吸入口28が開設されて前記吸入ホース18の前端が接続
される。またインレット２および通路22,22aに隣接して
隔板31で分離さたベルト冷却用エア取入口30および通路
32が設けられる。通路32は下半ケース1b内で隔板33によ
って扇形に区画された通路34を通って下底面24に開口す
るベルト冷却用エア出口35に通じる。ベルト冷却用エア
出口35には前記吸入ホース20の上端が接続される。さら
にインレット２およびベルト冷却用エア取入口30の前上
縁から上方へ薄い舌片29が延設されている。

上記の構成により、インレット２から導入されたエア
は、通路22を下降し、通路22aでは通路側壁の切除部を
抜けて側方へ流出してフィルタ６の上面および外周面へ
廻遊し、そこからフィルタ６の全面を使って均等に内空
部へ透過し、浄化される。浄化されたエアはアウトレッ
ト３からジョイント15を介してキャブレタ16に送られ
る。このためフィルタ６の単位面積当りのエア透過量が
少なく、流通抵抗を最小限にしてエンジンの吸入効率の
高くする。

一方、インレット２から水が侵入することがあると、
通路22を通って下方へ方向付けされ、そのまま通路22a
を抜け、内壁23にガイドされてフィルタ６の外側方を通
って下底面24へ落下する。落下した水はドレン孔25に集
められて直ちに排水される。こうしてインレット２から
水が侵入することがあっても、フィルタ６を濡らすこと
がなく、従ってフィルタ６の水による目詰まりに起因し
た吸入効率の低下や、キャブレタ16、クランクケース10
への侵水によって起るエンジントラブルを防ぐ。

また、ベルと冷却用エア取入口30から侵入した水も同
様に筒状通路22から独立した通路32をエアクリーナケー
ス１のケース下底面24に向って降下して第６図に示すよ
うに下半ケース1bにケース下底面24により形成される扇
形通路34に案内されるが、侵入水は扇形通路34を通って
傾斜するケース下底面24の高所に開口するベルト冷却用
エアー出口35に案内される途中でエアから分離される。
分離された水は、隔板33と下半ケース1bの内周壁間に形
成される間隙δを通って傾斜するリング状ケース下底面
24に沿って流下し、その最下部に開口するドレン孔25に
集められて排水される。

一方、ベルト冷却用エア取入口30からエアクリーナケ
ース１のケース下底面24に向って垂下する筒状の通路32
は、エアクリーナケース１の傾斜するケース下底面高所
に開口するベルト冷却用エア出口35とは周方向位置を異
にし、隔板33およびケース下底面24により下半ケース1b
内に形成される扇形通路34を介して連通しているので、
扇形通路34を通る間にエアから水分が分離除去され、水
分が除去されたエアが吸入ホース20を介してスイングケ
ース11内のベルト室に案内され、ベルト室への浸水を確
実に防止することができる。その際、筒状の通路32や扇
形通路34は隔板33等によりほぼ独立して構成される。ベ
ルト冷却用エア通路は、隔板33と下半ケース1b内周壁に
形成される間隙δを通じてエアクリーナケース１内でイ
ンレット２からアウトレット３に至る吸入空気用通路に
局所的に通じているが、この間隙δの面積は微小である
ので、ベルト冷却用エア通路はエアクリーナケース１内
で隔板33等によりほぼ独立して構成されており、吸気脈
動による悪影響は小さく、殆ど受けない。

さらに、この実施例に示したエアクリーナケース１で
は、進行方向の背面にインレット２、ベルト冷却用エア
取入口30が開口し、さらにその前上縁の舌片29が燃料タ
ンク８底面に弾接し、また側壁27があるので走行時の雨
水や跳ね上げた泥水などの侵入を前衛的に防ぎ、またエ
ンジン冷却空気中に木の波や紙片などが吸入されるのを
防ぐと共に、各種ホース類の配管に役立つなど多機能を
有している。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、この発明に係るエアクリーナ
は、ケース上部にインレットが開口し、ケース下底部に
フィルタを装着したものにおいて、吸入効率を損うこと
なく、インレットから侵入した水がフィルタを濡らして
機能低下を招く不都合を防ぐことができ、エアクリーナ
を露出して配置し、また泥地など不整地走行を目的とし
た車両のエンジン用エアクリーナなどに利用して効用が
高い。

また、エアクリーナケースの上部に開口するベルト冷
却用エア取入口からケース内に導入される筒状の通路を
吸入空気用の筒状通路から独立して垂下させる構成にす
る一方、ベルト冷却用エアの筒状通路はエアクリーナケ
ースのケース下底面に向って垂下し、このケース下底面
で形成される通路を経て、周方向位置を異にしてエアク
リーナケースの傾斜するケース下底面の高所に開口する
ベルト冷却用エア出口に連通させたから、ベルト冷却用
エアは筒状通路からエア出口に案内される途中で水分や
異物が有効的に除去されるので、ベルト室への浸水を防
ぎ、水分等が除去されたベルト冷却用エアがスイングケ
ース内にスムーズに案内される。その際、ベルト冷却用
エア通路はエアクリーナケース内で吸入空気用通路から
ほぼ独立して構成されているので、吸気脈動の影響も少
なく、スムーズに案内される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示すエアクリーナの第３図
Ａ−Ａ矢視縦断側面図、第２図は同一切欠いた正面図、
第３図は同平面図、第４図は同第１図Ｂ−Ｂ矢視の横断
平面図、第５図は同第１図Ｃ−Ｃ矢視横断平面図、第６
図は同第１図Ｄ−Ｄ矢視の下半ケースの平面図、第７図
は同車両への配置を例示した不整地走行用車両の側面図
である。 １……エアクリーナケース、２……インレット、３……
アウトレット、６……フィルタ、22,22a……通路、23…
…通路内壁、24……ケース下底面、25……ドレン孔。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体にユニットスイング式エンジンの前端
   部を支持し、このエンジンより上方にエアクリーナケー
   スを設け、上記エアクリーナケースの下部にフィルタを
   収納させるとともにケース下底部にドレン孔を開設した
   エアクリーナにおいて、前記エアクリーナケース上部に
   吸入空気用インレットおよびベルト冷却用エア取入口を
   それぞれ開口し、上記インレットおよびエア取入口から
   エアクリーナケース内へ導入されてフィルタの外側方へ
   垂下する筒状の通路を隔板で分離独立してそれぞれ形成
   し、前記インレットに通じる筒状通路の下半部を、フィ
   ルタ側通路内壁を少なくともインレット開口幅だけ残し
   てエアクリーナケース内に開口させる一方、前記ベルト
   冷却用エアの筒状通路は、エアクリーナケースのケース
   下底面に向って垂下し、このケース下底面で形成される
   通路を経て、周方向位置を異にしてエアクリーナケース
   の傾斜するケース下底面の高所に開口するベルト冷却用
   エア出口に通じ、このベルト冷却用エア出口を吸入ホー
   スを介してエンジンのスイングケース内に連通させたこ
   とを特徴とするエアクリーナ。