JP2597320Y2 - 生花類の立詰めケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、切り花や鉢物等の生花
類の立詰めケースに関するものである。

【０００２】

【従来技術と問題点】従来より切り花等の生花類を生産
地から出荷するに際しては、輸送箱として主として図５
に示したような細長いＡ式の段ボール箱が使用されてい
る。このような細長いＡ式の段ボール箱を使用するとき
は商品たる生花を出荷するとき、天面開口部より商品を
横に寝かせて詰め込むことになり（横詰め方式）、従っ
て保管輸送中に上からの重みで下側の商品は荷痛みする
ことがあり、また市場でセリにかけるときは、内容物た
る商品を寝かせた状態でセリにかけざるをえない。また
箱を開封して商品の状態を点検するときあるいはこれを
取り出すときは箱の天面開口部から引っ張り出さざるを
得ないことになる。

【０００３】そのため、箱に商品生花を詰め込むとき、
これを点検するとき、あるいはこれを取り出すとき等に
商品生花を損傷させやすかった。またセリにかけるとき
は商品が横詰めされているので内容物全体が見とおせず
不便である。更にまた鉢植えされた商品は、横に寝かせ
て詰め込むことは困難である。また従来のＡ式の段ボー
ル箱は遠距離輸送に強度上の不安がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案はこのような包
装形態を改善するものである。すなわち本考案は従来の
主流であった生花類の横詰め包装方式を立詰め包装方式
とすることにより、詰め込み易く、また箱の６面のうち
４面（天面、前面、両側面）を開披できるようにして市
場でセリにかけるときは内容物たる商品が見やすくする
とともに、商品を点検するときあるいはこれを取り出す
とき等には、従来よくみられた生花の損傷を防止できる
新規な立て詰めケースを提供できるようにしたものであ
る。

【０００５】また本考案立て詰めケースは、内部にコ字
形に組み立てられる上下２段の茎固定部を備えた仕切を
設け、かつ蓋をかぶせ蓋にすることにより箱の剛性を向
上させて、流通時に加わる衝撃に強く、遠距離輸送にお
ける内容物の保護が十分に行えるケースを提案するもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案は、下記構造のケース本体内に、下記構造の仕
切を装置して成る生花類の立詰めケースである。

【０００７】すなわち、ケース本体は、天面が全面開口
できるように構成されている角筒状の箱において、対向
する左右側面パネル１，３の上縁から箱下部に達するよ
うに、左右の縦スリット１５，１５を設け、かつ前記左
右の縦スリット１５，１５の下端を結ぶ位置にヒンジ用
折線１６を設けることにより前面パネル２の上部と、左
右側面パネル１，３の前方上部とにまたがる開閉板１７
を区画形成すると共に、後面パネル４の上縁に一体に設
けられた箱の開口部を塞ぐことのできる天板１０と、該
天板に接続され、前記前面パネル２と左右側面パネル
１，３上にかぶせることのできる前フラップ１２と、側
フラップ１１とを設けて成る。

【０００８】箱の内部に装置する仕切は、ケース本体の
天面とほぼ同形同大に形成された茎固定板５１と、該茎
固定板の左右に接続された対の高さ調節板５２，５２
と、茎固定板５１とほぼ同形同大に形成されているとと
もに前記茎固定板５１の上方に平行配置されるように連
結板３１を介して一体に連接してなる茎固定板４１とか
ら成り、前記両茎固定板（４１）（５１）には茎挿入孔
（４３）（５３）を設け、かつ前記左右の高さ調節板を
茎固定板に対して直角方向に折曲げた上で、前記両茎固
定板を高さ調節板（５２）（５２）により、前記ケース
本体内の中間高さ位置に固定する。

【０００９】また、前記前面パネル２に形成した開閉板
の上部に、平行な２本の縦切込みにより差し込みロック
片２０を形成し、一方、天板１０と前フラップ１２との
境目近傍に前記ロック片が挿入される差込み溝２１を形
成することができる。こうして箱の天板をロックするこ
とができる。

【００１０】

【実施例】本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本考案たる立詰めケースの組立斜視図であ
り、図２はケース本体である角筒状有底箱の展開図、図
３は箱の内部に挿入して使用する仕切の展開図である。
ケース本体と仕切はいずれも段ボールシート等の厚紙を
使用して形成するのが好適である。

【００１１】図２において、符号Ｓは段ボールシートを
打ち抜いて得られる本考案のケース本体のブランクであ
り、折線を介して左右の側面パネル１、３と前面パネル
２及び後面パネル４を交互に連接している。符号５は前
記各パネルを角筒状に連係させるための糊代であり、図
示実施例では側面パネル１に連接されている。符号６乃
至９で示すものは、前記各パネルの下端に連接した底板
である。なおこの実施例で示される底板の形態は公知の
オートロックボトムであるが他の形態の底板であっても
差し支えない。

【００１２】また図中符号１０で示すものは、後面パネ
ル４の上縁に連接された箱の天面を閉塞する天板であ
り、天板の両側にほぼ台形状の側フラップ１１を具備し
ている。また該天板の前縁には前フラップ１２と、その
補強フラッブ１３を具備している。１４は折込み片であ
り、側フラップ１１の先端に連接されている。

【００１３】左右側面パネル１、３にはその上縁から該
パネルの下部に至る左右のスリット１５がそれぞれ形成
されている。また前面パネル２には前記両スリット１５
の下端を結ぶようにヒンジ用折線１６が刻設されてい
る。これらスリット１５と折線１６とで区画された開閉
板１７が前面パネル２の上部と、左右パネル１、３の前
方上部に形成されている。

【００１４】なお、前面パネル２に形成した開閉板１７
の上部には平行な２本の縦切込み線１８とその根元の刻
設された折線１９により形成された差込みロック片２０
を形成し、一方前記ロック片に対応した差込み溝２１が
天板１０と前フラップ１２の境目近傍に形成されてい
る。

【００１５】本考案の立詰めケースをブランク状態より
組み立てるときは、前後左右の各対のパネル１乃至４を
糊代５を介して角筒状に連係してから、常法に従い、底
板６乃至９を互いに係合させて底面を閉塞する。一方、
箱の上蓋を組み立てるときは側フラップ１１及び前フラ
ップ１２を天板１０に対して直角に折曲げたのち、前フ
ラップ１２の内側に接するように折込み片１４を折り曲
げ、しかる後、その折込み片１４を内側にして補強フラ
ップ１３を前フラップの裏側に折曲げて固定する。

【００１６】次ぎに図３と図４に基づいて仕切の組立手
順を説明する。図において、符号３０は上部仕切、３２
は下部仕切、３１は前記両仕切の連結板である。各仕切
３０または３２は、前記箱の天面とほぼ同形同大の茎固
定板４１、５１を有している。該茎固定板４１、５１は
その左右に対の高さ調節板４２、５２を折線を介して連
接している。前記茎固定板４１、５１にはそれぞれ茎挿
入孔４３、５３を相対応するように設ける。ちなみに茎
挿入孔の周縁には放射状に切り込みを入れることも可能
である。符号４４は高さ調節板４２に突設した係合突
起、５４は前記高さ調節板５２の根元に形成される前記
係合突起４４が挿入できる係合孔である。

【００１７】上記仕切は、高さ調節板４２、５２を折線
を介して茎固定板４１、５１に対して下方に向けて直角
に折曲げて使用するものであり、図示の実施例では、上
部仕切３０と、下部仕切３２とを図４のごとく上下２段
になるようにほぼコ字形に折り曲げて、係合突起４４を
係合孔５４に挿入し組み付け固定する。このようにした
前記茎固定板を高さ調節板により、前記ケース本体内の
中間高さ位置に固定すると、図１に示すような生花類の
立詰めケースが完成する。

【００１８】本考案のケースを使用して、例えば切り花
を生産地から出荷輸送するときは、上下２段になるよう
に組付けた上部仕切と下部仕切とからなる両仕切の茎固
定板４１、５１に形成された茎挿入孔４３、５３に切り
花の束を上から差し込んで箱の中間高さ位置において茎
部を固定する。またこのとき、茎下部周囲を保水シート
あるいは鮮度保持剤を含ませた不織布等で覆うようにし
て輸送中の水切れを防止するのがよい。なお、花類を遠
距離輸送する場合には、箱の天面を上蓋で閉塞して、開
閉板１７の上部の差込みロック片２０を、差込み溝２１
に挿入しロックして天面が落ち込まないようにする。ま
た、鉢植えされた商品を輸送するときは、組立仕切の下
方に鉢を載置して動かないように固定をする。

【００１９】

【考案の効果】以上のように本考案は従来の主流であっ
た生花類の横詰め包装方式を立詰め包装方式とするもの
であるから、詰め込み易く、横に寝かせて詰め込む場合
より保管輸送中の荷痛みを少なくできる。また箱内に、
コ字形に組み立てた上下２段にわたる茎固定部を備えた
仕切を設け、かつ蓋をかぶせ蓋にすることにより箱の剛
性を向上させて、流通時に加わる衝撃に強く、遠距離輸
送における内容物の保護が十分に行える。

【００２０】市場でセリにかけるときは、図１に示した
ように開閉板１７のロックを解いて、箱の６面のうち４
面（天面、前面及び両側面）を広く開披することができ
る。このようにして市場でセリにかけるときは内容物た
る商品が見やすくなる。また、商品を点検するときある
いはこれを取り出すとき等にも開披面が大きくなり、従
来にみられた生花の損傷の無い状態で使用できるという
効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案立詰めケースの組立斜視図。

【図２】図２はケース本体である角筒状有底箱の展開
図。

【図３】図３は箱の内部に挿入して使用する組立仕切の
展開図。

【図４】組立仕切の組立途中を示す斜視図。

【図５】従来の生花輸送ケースを示す斜視図。

【符号の説明】

１、３ 左右側面パネル ２、４ 前後パネル ６〜９ 底板 １０ 天板 １１ 側フラップ １２ 前フラップ １５ スリット １６ 折線 １７ 開閉板 ２０ 差込みロック片 ２１ 差込み溝 ３０ 上部仕切 ３１ 連結片 ３２ 下部仕切 ４１、５１ 茎固定板 ４２、５２ 高さ調節板 ４３、５３ 茎挿入孔 ４４ 係合突起 ５４ 係合孔

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記構造のケース本体Ａ内に、下記構造
   の仕切Ｂを装置して成る生花類の立詰めケース。 Ａ： 天面が全面開口できるように構成されている角筒
   状の箱において、対向する左右側面パネル（１）（３）
   の上縁から箱下部に達するように、左右の縦スリット
   （１５）（１５）を設け、かつ前記左右の縦スリット
   （１５）（１５）の下端を結ぶ位置にヒンジ用折線（１
   ６）を設けることにより前面パネル（２）の上部と、左
   右側面パネル（１）（３）の前方上部とにまたがる開閉
   板（１７）を区画形成すると共に、後面パネル（４）の
   上縁に一体に設けられた箱の開口部を塞ぐことのできる
   天板（１０）と、該天板に接続され、前記前面パネル
   （２）と左右側面パネル（１）（３）の上にかぶせるこ
   とのできる前フラップ（１２）と、側フラップ（１１）
   とを設けてなるケース本体。 Ｂ： 前記ケース本体の天面とほぼ同形同大に形成され
   た茎固定板（５１）と、該茎固定板の左右に接続された
   対の高さ調節板（５２）（５２）と、茎固定板（５１）
   とほぼ同形同大に形成されているとともに前記茎固定板
   （５１）の上方に平行配置されるように連結板（３１）
   を介して一体に連接してなる茎固定板（４１）とから成
   り、前記両茎固定板（４１）（５１）には茎挿入孔（４
   ３）（５３）を設け、かつ前記左右の高さ調節板を茎固
   定板に対して直角方向に折曲げた上で、前記両茎固定板
   を高さ調節板（５２）（５２）により、前記ケース本体
   内の中間高さ位置に固定してなる仕切 。
2. 【請求項２】 前記前面パネル（２）に形成した開閉板
   の上部に、平行な２本の縦切込みにより差し込みロック
   片（２０）を形成し、一方、天板（１０）と前フラップ
   （１２）との境目近傍に前記ロック片が挿入される差込
   み溝（２１）を形成してなる請求項１記載の生花類の立
   詰めケース。