JP2596665B2 - トラック等の荷台構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、荷物を積載して走行す
るトラック等の荷台構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、荷物を積載して走行するトラック
の荷台構造は、荷台の床面上に、荷物を搬送する厚幅状
の搬送ベルトとプーリを設置しており、荷物を積込む場
合は、同搬送ベルト上に荷物を載せて荷台後方側より前
方側に向けて移動させていた。また、逆に荷物を荷台よ
りおろす場合は、搬送ベルトを荷台前方側より荷台後方
側に向けて移動させる構造のものが存在する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例
のものは、荷台の床面上に、厚幅状の搬送ベルトを設置
するものであるから、荷台上に荷物を載せる場合は、同
荷物を搬送ベルトの位置まで高く持ち上げて積込み作業
を行う必要があった。また、荷台より荷物をおろす場合
も、床面位置よりも高い搬送ベルトの位置より荷物をお
ろす必要があった。

【０００４】したがって、この場合に、荷物の積込みと
積みおろし作業時の労力が多くかかるために、作業能率
が低下するものであった。

【０００５】また、荷台の上部をアルミ製の箱形荷台と
した場合は、搬送ベルトが厚幅となった分だけ荷台容積
が少なくなるものであった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、メーンシャシ
上に補助フレームを配設するとともに、同フレーム上に
横根太を配設し、さらに、同横根太上に床面を取付けて
荷台を構成したトラック等の荷台構造において、上記床
面の前後位置に、メーンシャシから床面までの高さの範
囲内に凹部を形成し、同凹部内に、床面と略同一高さで
回動する回動プーリとテンションプーリとを各々収納配
設し、両回動プーリ間に、テンションプーリを介して表
面摩擦係数の小さな搬送ベルトを巻掛け、同搬送ベルト
の上側移動面と下側移動面とを重ねた状態で摺接させる
とともに、前記下側移動面を床面に近接した状態で張設
し、床面に沿って前後方向に回動移動させながら、上側
移動面により荷物を搬送可能としたことを特徴とするト
ラック等の荷台構造に係るものである。

【０００７】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づき具体的に説明
すると、１は荷物Ａを積載して走行するトラックで、後
部に広幅状の荷台２を設けている。

【０００８】同荷台２は、メーンシャシ13上にスペーサ
12を介して補助フレーム11を機体縦方向に配設するとと
もに、同フレーム11上に機体横方向に多数配設した横根
太10を支持させ、さらに、同横根太10上に床面３を取付
けて構成している。

【０００９】そして、同荷台２の床面３の前後両側位置
3-1,3-2 には、前記メーンシャシ13から床面３までの高
さの範囲内で機体横方向にくぼみ状の凹部４，５を形成
している。

【００１０】また、同凹部４，５位置には、外径が床面
３と略同一高さで回動する広幅状の回動プーリ６，７と
テンションプーリ6-1,7-1 を機体横方向に各々配設し、
同回動プーリ６，７とテンションプーリ6-1,7-1 には床
面に沿って荷台２の前後方向に回動移動する広幅無端状
の搬送ベルト８を巻掛けている。

【００１１】そして、同広幅無端状の搬送ベルト８はテ
ンションプーリ6-1,7-1 により上側移動面8-1 と下側移
動面8-2 が床面に沿って張設されており、したがって、
回動プーリ6,7 と搬送ベルト８の回動により、同搬送ベ
ルト８上に荷物Ａを載せるとこれを搬送することが可能
である。

【００１２】また、９は回動プーリ６，７を駆動する駆
動手段であって、油圧モータ又は電動モータを回動プー
リ６，７の一側に連設して構成している。

【００１３】また、テンションプーリ6-1,7-1 は、図３
に示す如く、回動プーリ６，７よりも小径に形成されな
がら、同回動プーリ６，７に接近して設置されている。

【００１４】そして、回動プーリ６，７巻掛けられた無
端ベルト８は、上側移動面8-1 及び下側移動面8-2 が床
面３に接近した状態で張設されているものである。

【００１５】また、搬送ベルト８は、強度が強いビニー
ル製、又は芯地が布で表面にビニールをコーティングし
たものであって、表面の摩擦係数が小であることとも
に、スリップ性が大のものとしている。

【００１６】なお、メーンシャシ13は、スプリング14を
介して後車輪15を装着しており、同メーンシャシ13上に
スペーサ12、補助フレーム11を介して配設した横根太10
は、床面３を支持すべく、機体横方向に間隔をあけて配
設されている。16は前車輪、17は運転者用キャビン、18
は荷台２の上部を覆うアルミ製の箱型荷台である。

【００１７】また、上記回動プーリ６，７とテンション
プーリ6-1,7-1 により構成された搬送ベルトの駆動装置
は前側部分と後側部分をユニット化して組立を容易化し
てもよい。

【００１８】本発明の実施例は上記のように構成されて
おり、トラック１に荷物Ａを積込む場合は、搬送ベルト
８の上側移動面8-1 を、機体前方側へ回動移動するよう
に回動プーリ6,7 を駆動する。したがって、作業者は荷
台２の後部に荷物Ａを置くと、搬送ベルト８により荷台
２の前方側に移送できるものである。また、荷台２より
荷物Ａをおろす場合は、上記とは逆に搬送ベルト８を機
体後方側へ回動移動せしめて、荷台２上の荷物Ａを容易
におろすことができるものである。

【００１９】そして、上記構成において、(1) 搬送ベル
ト８の上側移動面8-1 の下側面と下側移動面8-2 の上側
面とは、互いに逆方向に移動しており、両面間の摩擦は
動摩擦係数により支配される。(2) テンションプーリ6-
1,7-1 により搬送ベルト８が回動プーリ6,7 に張設され
ているため、回動プーリ6,7 の回動とともに搬送ベルト
８が回動する。すなわち、搬送ベルト８は、回動プーリ
6,7 及びテンションプーリ6-1,7-1 に対して相対的に静
止した状態にあり、搬送ベルト８と回動プーリ6,7 及び
テンションプーリ6-1,7-1 との間の摩擦は、静止摩擦係
数により支配される。(3) テンションプーリ6-1,7-1 に
より搬送ベルト８が回動プーリ6,7 に張設されていると
ともに、荷物Ａの鉛直下向きの荷重を搬送ベルト８の上
側移動面8-1 及び下側移動面8-2 とで受けているため、
搬送ベルト８は、荷物Ａの荷重によってそれ程下向きに
たわむことはなく、例え搬送ベルト８が下向きにたわん
で床面３と接触しても、搬送ベルト８は、床面３に対し
て相対的に移動しており、搬送ベルト８の下側移動面8-
2 の下側面と床面３との間の摩擦は、動摩擦係数により
支配される。(4) 荷物Ａは、搬送ベルト８の上側移動面
8-1 の上側面の移動とともに移動するため、荷物Ａは、
搬送ベルト８の上側移動面8-1 の上側面に対し相対的に
静止した状態にあり、荷物Ａと搬送ベルト８との間の摩
擦は、静止摩擦係数により支配される。ここで、一般に
（例えば、「機械工学用語辞典((株)技報堂発行、第７
版) 」p312に記載されているように）、静止摩擦係数は
動摩擦係数に比べはるかに大きいため、動摩擦係数によ
り支配される摩擦力に比べ、静止摩擦係数により支配さ
れる摩擦力の方がはるかに大きくなる。したがって、表
面摩擦係数の小さな搬送ベルト８を用いれば、搬送ベル
ト８と回動プーリ6,7 との間の摩擦により、回動プーリ
6,7 からの駆動力を搬送ベルト８に伝達でき、しかも、
搬送ベルト８の上側移動面8-1 と下側移動面8-2 との摺
接によって生じる抵抗力や、搬送ベルト８の下側移動面
8-2 の下側面と床面３との接触によって生じる抵抗力の
影響をそれ程受けることはなく、荷物Ａの移送を行うこ
とができる。

【００２０】以上の如く、上記実施例によれば、荷物Ａ
を積載して走行するトラックの荷台構造を、荷台２の床
面３に沿って荷物搬送用の搬送ベルト８を張設し、同搬
送ベルト８は、床面上に接した状態にして低く構成して
いるから、搬送ベルト８上に荷物Ａを載せる場合は、同
荷物Ａを略荷台２の高さまで持ち上げるだけ搬送ベルト
８上に載せることができ、したがって、荷物の積込み作
業が容易にできるものである。

【００２１】また、荷台２の床面３には、前後位置3-1,
3-2 に凹部４，５を形成して、同凹部４，５位置には床
面３と略同一高さで回動する回動プーリ６，７とテンシ
ョンプーリ6-1,7-1 を各々配設し、同回動プーリ６，７
とテンションプーリ6-1,7-1には、床面３に沿って前後
方向に回動移動する搬送ベルト８を巻掛けているもので
あるから、搬送ベルト８を巻掛け状に張設する回動プー
リ６，７やテンションプーリ6-1,7-1 が床面３よりも高
く構成されず、したがって、搬送ベルト８上に荷物を置
く場合でも略荷台２の高さまで持ち上げるだけで荷物の
積込みが行えるから、積込み作業を能率的に行うことが
できるものである。

【００２２】また、荷台２の積載容積を大きく減少させ
ることがないので、積荷作業の能率を著しく向上させる
とともに、輸送効率の低下が殆どない。

【００２３】さらには、搬送ベルト８の上側搬送面8-1
と下側搬送面8-2 が共に床面３上にあることからメンテ
ナンスも容易となる。

【００２４】また、荷台２の前後位置3-1,3-2 に搬送ベ
ルト８の駆動手段を設けているので後車輪15が上側には
ね上っても搬送ベルト８に接触するようなことがないも
のである。

【００２５】また、荷台上で搬送ベルトを支持する構成
が簡単であると共にシャーシの強度を充分にとるこがで
きて、安価に製作ができるものである。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、荷物を積載して走行す
るトラクタの荷台構造を、荷台の床面に沿って荷物搬送
用の搬送ベルトを張設し、同搬送ベルトは、床面上に接
した状態にして低く構成しているから、搬送ベルト上に
荷物を載せる場合は、同荷物を略荷台の高さまで持ち上
げるだけで搬送ベルト上に載せることができ、したがっ
て、荷物の積込み作業が容易にできるものである。

【００２７】また、荷台の床面には、前後位置に凹部を
形成して、同凹部位置には床面と略同一高さで回動する
回動プーリとテンションプーリを各々配設し、同回動プ
ーリとテンションプーリには、床面に沿って前後方向に
回動移動する搬送ベルトを巻掛けているものであるか
ら、搬送ベルトを巻掛け状に張設する回動プーリやテン
ションプーリが床面よりも高く構成されず、したがっ
て、搬送ベルト上に荷物を置く場合でも略荷台の高さま
で持ち上げるだけで荷物の積込みが行えるから、積込み
作業を能率的に行うことができるものである。

【００２８】また、荷台の積載容積を大きく減少させる
ことがないので、積荷作業の能率を著しく向上させると
ともに、輸送効率の低下が殆どない。

【００２９】さらには、搬送ベルトの上側搬送面と下側
搬送面が共に床面上にあることからメンテナンスも容易
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具備するトラックの斜視図。

【図２】本発明の要部を示す概略側面図。

【図３】同拡大側面図。

【符号の説明】

(2) 荷台 (3) 床面 (3-1) 前位置 (3-2) 後位置 (4) 凹部 (5) 凹部 (6) 回動プーリ (6-1) テンションプーリ (7) 回動プーリ (7-1) テンションプーリ (8) 搬送ベルト

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メーンシャシ(13)上に補助フレーム(11)
   を配設するとともに、同フレーム(11)上に横根太(10)を
   配設し、さらに、同横根太(10)上に床面(3)を取付けて
   荷台(2) を構成したトラック等の荷台構造において、 上記床面(3) の前後位置(3-1),(3-2) に、メーンシャシ
   (13)から床面(3) までの高さの範囲内に凹部(4),(5) を
   形成し、同凹部(4),(5) 内に、床面(3) と略同一高さで
   回動する回動プーリ(6),(7) とテンションプーリ(6-1),
   (7-1) とを各々収納配設し、 両回動プーリ(6),(7) 間に、テンションプーリ(6-1),(7
   -1) を介して表面摩擦係数の小さな搬送ベルト(8) を巻
   掛け、 同搬送ベルト(8) の上側移動面(8-1) と下側移動面(8-
   2) とを重ねた状態で摺接させるとともに、前記下側移
   動面(8-2) を床面(3) に近接した状態で張設し、床面
   (3) に沿って前後方向に回動移動させながら、上側移動
   面(8-2) により荷物を搬送可能とした ことを特徴とする
   トラック等の荷台構造。