JP2595427Y2 - 銅せん維フィルタによる殺菌・塩素除去装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は銅せん維フィルタによる
殺菌・塩素除去装置に係り、特に水道水中の残留塩素の
除去に有効で経時安定性にすぐれた銅せん維フィルタに
よる殺菌・塩素除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】大都市等に供給される水道水は大腸菌そ
の他の雑菌の繁殖防止及び殺菌のために浄水場において
予め塩素が加えられる。この塩素は取水口および浄水場
付近における水の状態によってはかなりの高濃度で用い
られているので末端での家庭等の水道蛇口での残留塩素
濃度はかなり高く、茶その他の飲料の風味を損ねると共
に保健衛生上の問題も指摘されている。

【０００３】このため家庭用の水道蛇口には従来から種
々の浄水器や濾過装置が取付けられており、その媒体と
して活性炭、セラミック、イオン交換樹脂および中空糸
膜等種々のフィルタが提案されている。

【０００４】

【考案が解決すべき課題】これらの材質のフィルタ媒体
は水道中の残留塩素や鉄さび、有機物を主として吸着に
よって濾過するが、吸着容量等の点で形状が大型化して
取扱いに不便であったり、流路抵抗のため通水量が低下
したりする不具合があり、またフィルタ中の残留水によ
って停水時に雑菌が繁殖し易い欠点がある。

【０００５】塩素の除去および殺菌が同時に可能な濾過
器として金属、とくに銅せん維を用いることが提案され
ており（たとえば特開昭48-100959 号および実公平2-27
916号) 、水中でイオン化しやすい銅によって塩素を捕
捉しかつ殺菌の繁殖を抑止することが試みられている。

【０００６】しかし、このような従来技術の銅せん維フ
ィルタを備えた浄水器を水道の蛇口に取付ける場合、特
にフィルタを家庭で交換することがそれらの構造上必ず
しも容易ではない。このため銅せん維をマット状の袋に
充填して用いることも考えられるが、この場合フィルタ
の材質および通水路の構造上、浄水器の通水路の周壁と
フィルタ袋材の周縁との間に間隙が生じやすく、フィル
タを通さずに直接放出される量が意外に多いため全体と
しての塩素除去率が必ずしも良好ではない。しかし、極
めて細い銅せん維の集合体であるフィルタを交換容易な
形態で通水路の周壁に密着させることは困難である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記従来技術の課題は水
道蛇口に嵌合固定される外筒体と、前記外筒体の内部に
同心的に取りはずし可能に螺合され内部に通水路を有す
る内筒体と、前記内筒体の下流部分の通水路に設けら
れ、銅せん維フィルタが交換可能に充填されるフィルタ
収容部と、前記内筒体の上流部分の通水路に設けられ、
筒体の内周壁から径方向の中心に向けて下流側に突出
し、突出先端部に集流口を有するろう斗状の斜面を備
え、蛇口からの水流をフィルタ収容部の径方向の中心に
向けて誘導集中させるようになされた集流部材と、前記
フィルタ収容部の下流側に設けられた放流部とからなる
ことを特徴とする銅セン維フィルタによる殺菌・塩素除
去装置によって解決される。

【０００８】

【作用】本考案の殺菌・塩素除去装置は、内筒体の通水
路の下流側のフィルタ収容部に銅せん維フィルタを充填
し、外筒体の上端部を水道の蛇口に嵌合固定して使用す
る。

【０００９】蛇口から内筒体に供給された水道水の水流
は通水路の上流側の内壁から中心軸方向に突出形成され
た集流部材のろう斗の斜面に沿って誘導され、通水路の
中央部に集められた流れとしてその下流側の銅せん維フ
ィルタに流れ、こゝでせん維の表面と接触しながら放出
口より流出する。この銅せん維フィルタは少なくとも一
年以上継続して使用することができるが、交換の際には
外筒体に対して内筒体を着脱するだけてよい。

【００１０】本考案においては水道水との接触によって
フィルタの銅せん維の表面で銅がイオン化し水中の残留
塩素と迅速に反応して塩化銅およびオキシ塩化銅等の塩
素化合物となり、残留塩素が消失するので塩素ガスによ
る異臭が除去される。こゝで銅せん維の表面には経時的
にオキシ塩化銅や塩基性炭酸銅等のいわゆる緑青の成分
が形成されるが、これらの緑青は微量でありしかも緑青
自体についても従来考えられているように人体に有毒な
成分であるとする根拠はない。その上、本発明の装置の
通常の使用状態で銅せん維から前記イオン化によって溶
出するＣｕの濃度は実験の結果０．１ｐｐｍ以下であ
り、これは通常の水道水中のＣｕについての安全基準の
許容値をはるかに下まわっている。

【００１１】尚、銅せん維フィルタは従来の活性炭フィ
ルタや中空糸状膜に比較して著しく通水抵抗が少なく蛇
口に取つけても充分な取水流速（流量）が得られる。さ
らに停水時間が長くてもフィルタ中の滞留水がそれほど
多くないため雑菌の繁殖が少なく、特に銅せん維は水と
接触している状態では常にイオン化しているので、微生
物にとっては繁殖し難い環境を生成し、たとえ滞留水中
の塩素が除去されていても雑菌が発生しる余地はほとん
どない。

【００１２】

【実施例】以下本考案を図面に示す実施例によって詳細
に説明する。

【００１３】図１は本考案の一実施例としての銅せん維
フィルタを用いた殺菌・塩素除去装置の斜視図、図２は
その横断面図である。

【００１４】本考案の実施例の装置１は水道の蛇口に嵌
合される外筒体２と、この外筒体２に対して同心的に螺
合され内部に通水路を有する内筒体３と、この内筒体３
の通水路の下流側に形成された銅せん維フィルタ収容部
Ａと下流端部に取付けられた放流部４とからなる。

【００１５】外筒体２は図１に示すように水道の蛇口Ｐ
（鎖線で示す）に嵌合するゴムシール部５等の嵌合固定
部材を有し、この部分と内筒体３の上端部とで蛇口Ｐに
固定される。内筒体３は通水路をその内部に備えてお
り、この通水路の内周壁にはろう斗状の集流部材６が同
心的に形成されている。

【００１６】すなわち集流部材６は図示のように通水路
の内周壁に接する部分から中央に形成した集流口７の中
心に向けて下流側に漸次傾斜するろう斗状の斜面を備え
ており、蛇口Ｐから供給される水流を斜面に沿ってろう
斗状の斜面の先端の集流口７に誘導するようになされて
いる（尚図示の例では集流口７にスクリーンを設けてあ
るが、このスクリーンは場合によっては省略してもよ
い）。

【００１７】集流部材６の下流の通水路には銅イオンせ
ん維からなるフィルタを充填するフィルタ収容部Ａが形
成されており、ろう斗状の斜面に沿って誘導された水流
をフィルタ収容部Ａに充填されたフィルタの径方向の中
心部に集中させられうようになされている。フィルタを
構成する銅せん維としてはは水道水との接触面積を増大
させるためにその直径が極力小さなものが望ましく、た
とえば直径が約３０μΦのカプロン（登録商標名）等の
超極細銅せん維を用いることが望ましい。

【００１８】銅せん維の使用量および充填密度は塩素除
去率および通水抵抗を考慮して目的に応じて定められる
が、総重量で約２．５ｇのカプロンせん維（３０μφ）
を０．５ｇ／ｃｍ³ の密度で用いた場合実用上充分であ
ることが判明している。したがって、この場合に装置要
部としてのフィルタ収容部Ａの体積は５ｃｍ³ （直径約
２ｃｍｘ高さ１．５ｃｍ）で済み、全体としての大きさ
が極めて小型となるため、水道栓およびシャワーノズル
の先端等に直接取付けて使用することができる。

【００１９】尚銅せん維を前記密度および層厚で充填し
た場合その通水抵抗は従来の活性炭フィルタ等と比較し
て著しく低く同程度の塩素除去効果を得る際の放出流量
は２０〜３０％も増大する。前記内筒体３のフィルタ収
容部Ａの下方には放流部４が取付けられており、その下
面には約１００メッシュ程度の大きさの多数の細孔９を
備えた多孔板８が設けられている。

【００２０】本実施例の装置においては、蛇口Ｐから内
筒体３に入った水流は集流部材６の斜面に沿って誘導さ
れその中央部の集流口７に集められた後、フィルタ収容
部Ａに充填された銅せん維フィルタを通過し放流部４の
多孔板８から放出される。

【００２１】この場合水流はほとんどフィルタの中央部
を通して流れ、銅せん維表面と水流が有効に接触して水
中の残留塩素と銅イオンとの反応により前述したように
効果的な塩素除去が行われる。流量が大きくてその一部
が周辺部に拡散する場合でも、その拡散は必ず一旦フィ
ルタを通してなされる上、銅せん維は装置製作時に予め
充分に内筒体３に充填されるので周壁との間に間隙が生
じて水流が直接放出されることはほとんどない。

【００２２】本実施例の装置に用いる銅せん維フィルタ
は表面の経時変化が少ないため一年以上連続して使用す
ることができるが、その交換の際には蛇口Ｐに固定され
た外筒体２から内筒体３を取りはずし、そのフィルタ収
容部Ａに新たな銅せん維を充填した後再び外筒体２に組
付ければよい。この場合、予め銅せん維を充填した内筒
体３を交換ユニットとして用意しておけば保守作業は単
に内筒体３の交換のみで済むため極めて簡略化される。

【００２３】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、水道水中
の残留塩素を極めて効果的に除去することができかつ滞
水時の雑菌の発生を抑止することができる。また本考案
の装置は従来の浄水器に比較して取水流量が大きく、ま
た極めて小型でかつ保守作業が簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る装置の縦断面図である。

【図２】図１のIIーII断面図である。

【符号の説明】

１…装置本体 ２…外筒体 ３…内筒体 ４…放流部 ５…シール部 ６…集流部材 ７…集流口 ８…多孔板 ９…細孔 Ａ…フィルタ収容部 Ｐ…水道蛇口

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５３１ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５３１Ｆ ５４０ ５４０Ｅ ５５０ ５５０Ａ (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C02F 1/58 B01D 35/04 C02F 1/28 C02F 1/50

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水道蛇口に嵌合固定される外筒体２と、 前記外筒体２の内部に同心的に取りはずし可能に螺合さ
   れ内部に通水路を有する内筒体３と、 前記内筒体３の下流部分の通水路に設けられ、銅せん維
   フィルタが交換可能に充填されるフィルタ収容部Ａと、 前記内筒体３の上流部分の通水路に設けられ、筒体の内
   周壁から径方向の中心に向けて下流側に突出し、突出先
   端部に集流口７を有するろう斗状の斜面を備え、蛇口か
   らの水流をフィルタ収容部Ａの径方向の中心に向けて誘
   導集中させるようになされた集流部材６と、 前記フィルタ収容部Ａの下流側に設けられた放流部４と
   からなることを特徴とする銅セン維フィルタによる殺菌
   ・塩素除去装置。