JP2591257B2 - 回転鏡 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は光の偏向器を利用したプリンタ，スキャナや
ファクシミリに代表される事務機器及び精密測定器にお
いて、光の偏向に使用される回転鏡に関するものであ
る。

従来の技術 近年レーザに代表される位相の揃った光の性質を応用
した事務機器や精密測定器が、頻繁に使用されるように
なってきた。しかしまだそれらは一般には、高価，大型
かつ重量が大であることが多く、安価，小型かつ軽量な
ものが望まれていた。そして特にそれらの機器の心臓部
ともいえる光偏向器、装置を安価，小型かつ軽量にする
ための鍵であった。

従来の事務機器の一例の構成について第７図に示す。
まず、１は光源であり、光源１から放射された光は、コ
リメートレング2,変調器３とシリンダレンズ４を透過し
て回転多面鏡５に到達する。回転多面鏡５により、やが
て光は反射してｆθレンズ６とシリンダレンズ７を透過
して感光体ドラム８に照射される。なお回転多面鏡５の
回転位置と走査開始位置の同期はフォットセンサ10を使
用する。

ここで光偏向器は回転鏡からなっており、この回転鏡
は、金属素材から切削をすることにより、回転鏡として
の基本的な形状にし、さらに回転鏡の反射面を精密研磨
して作られていた。

また、近年は回転多面鏡においては、金属素材からの
切削工程及び、反射面の精密研磨工程が必要であり、一
つ一つの反射面につき、すべて同じ作業工程が必要であ
り、各反射面をできる限り同一精度で仕上げる必要があ
るため、回転鏡を高分子材料などで成形した部材を用
い、かつ前記面に反射面を形成したものもある（特開昭
61−254920号公報等）。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、このような回転多面鏡においては、回
転鏡の回転軸と入射光の軸が機器の振動等で若干傾いた
場合、回転鏡の側面に光が照射され、不要反射をおこし
ていた。

本発明はこれらの問題点を解消あるいは改善した回転
鏡を提供するものである。

課題を解決するための手段 本発明の回転鏡は、回転軸に対し角度θ（０度＜θ＜
90度）だけ傾斜した面に反射面を備え、光軸と直交する
断面の形状が光源側から遠ざかる方向に細くなる構成と
したものである。

作 用 本発明の回転鏡は、かかる構成により、振動等による
光軸と回転軸とのずれにより発生する光の不要反射を防
止することができる。

実施例 以下、本発明の実施例の回転鏡について図面を参照し
て説明する。

第１図および第２図において、11は回転鏡であり、回
転鏡11はABS樹脂，ポリカーボネイトなどに代表される
高分子材料や焼結材料を金型を用いて成形される。９は
反射面であり、反射面９は例えばアルミニウムに代表さ
れる光を反射する物質を蒸着もしくは貼り付けるなどし
て形成する。12は入射光であり、反射面９は角度θ（０
度＜θ＜90度）だけ傾斜しているので、入射光12はこの
傾斜に応じた方向へ反射する。なお回転鏡11は回転軸20
を中心に回転しており、反射光15は回転とともに方向が
変化する。

更に、本発明は回転鏡11の光源に近いところの直径を
φＣとし、光源に遠いところの直径をφＤとした場合、
φｃよりφＤのほうを小さくしている。なお、φＣを入
射光12が作る光束全体の直径より小さくし、第１図に示
す如く、入射光12の光束の全領域内に回転鏡11の反射面
９が入るようにすることもできる。

このような構成をとることで、回転鏡11の回転軸と入
射光の軸が少しぐらい傾いても、回転鏡11の側面に光が
照射されないので、全く回転鏡側面の光の不要反射を心
配しなくてもよい。

また回転鏡の表面には、保護のためのシリコン蒸着や
錆止めなどの処理加工を施してもよい。

また回転半径も小さいので、高回転でも遠心力は小さ
く、回転鏡の変形は小さく抑えることができる。これに
よって反射面の歪みは小さくて済み、光は正確に反射す
る。

また反射面が平面のままだと、第４図に示すように、
反射面９の回転軸20からの入射光12が入射光12aもしく
は入射光12bのように反射位置がズレてしまうと、反射
光15cもしくは反射光15dのように経路が違い、感光体８
の異なる位置に結像してしまうので入射光12の位置は精
度が要求されることになる。これに対し、第３図に示す
ように、反射面9bを曲面にした場合、反射面9bの回転軸
20bからの入射光12が入射光12aもしくは入射光12bのよ
うに反射位置がズレてしまい、反射光15,反射光15aもし
くは反射光15bのように経路が違っても、感光体８の同
じ位置に結像する。これにより入射光12の位置精度の余
裕度が向上する。更にこの場合、回転鏡自身が光を収束
する作用もあるので、回転鏡と同時に使う集光レンズな
どのレンズの系の設計及び加工が、容易もしくは不要に
なる。

さらに第５図の（ａ），（ｂ），（ｃ）にそれぞれ示
すように、本願発明の一実施例として回転鏡の一部P,Q
を削除した形状に成形してもよい。これらの適当な処置
により、回転鏡の回転軸に対する回転モーメントが均一
になる。よって回転鏡のブレがなくなるので、高速回転
を容易に実現できるとともに、画質の向上ができる。従
来のこの種の装置においては、回転による回転鏡のブレ
を低減するための第８図のように、回転鏡11kに別部品
のおもり18を後付けしていたのに対し、取付や調整の工
程が不要となり、製造が容易となる特徴がある。

また第６図（ａ）のように、円柱の光源側端部におい
て、切り込みを円柱の光源側端部から光源の反対方向へ
回転軸に平行に備えてもよい。またこのとき、この割れ
目に部材19を挿入してもよい。

さらに第６図（ｂ）のように、部材19の代りにプリズ
ム19aを挿入してもよい。これらにより、回転時の空気
の抵抗が減るので、風損や風きり音が減り、回転鏡用の
駆動力が小さくてすみ、また高速回転が可能になる。

また第６図（ｃ）のように、プリズム19bを用い全体
の概形が円柱でもよい。これで回転の円周方向の形状変
化が少なくなり、回転時の空気の抵抗が減るので、回転
鏡用の駆動力が小さくてすみ、また高速回転が可能にな
る。更にプリズム19bと回転鏡本体11gbを同じ直径，材
質にし、プリズム19bと回転鏡本体11gbの間に反射面を
備えれば、回転バランスが容易にとれる。また入射光12
と同軸かつ反対方向から光を入射させると反射面が２面
になるので、１面利用に比べて回転時間を有効に使用で
きる。

また第１図に示すように回転鏡11の反射面９の円周
に、反射防止用の被覆17例えばアルマイトや部材を付け
たり表面の仕上げ例えば艶消しを施してもよい。これに
より、入射光が反射面９にあたることにより発生する反
射光の散乱が防止される。

発明の効果 以上の説明から明らかなように本発明による回転鏡
は、回転鏡11jの光源に近いところの直径をφＣとし、
光源に遠いところの直径をφＤとした場合、φＣよりφ
Ｄのほうを小さくすることで回転鏡11jの回転軸と入射
光の軸が少しぐらい傾いても、回転鏡11jの側面に光が
照射されないので、全く回転鏡側面の光の不要反射を心
配しなくてよい。

さらに本件は回転多面鏡と比べて、回転半径が小さく
て済むので小型にできる。更に高分子材料を使えば、金
属と比べて格段に軽量になる特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による回転鏡の斜視図、第２
図は側面図、第３図，第４図は本発明の他の実施例の側
面図、第５図及び第６図は他の実施例の構成図、第７図
は従来の装置の構成図、第８図はその要部の一例を示す
斜視図である。 ９……反射面、11……回転鏡、12……入射光、20……回
転軸。

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸に対し角度θ（０度＜θ＜90度）だ
   け傾斜した面に反射鏡を備え、光軸と直交する断面の形
   状が光源側から遠ざかる方向に細くなることを特徴とす
   る回転鏡。
2. 【請求項２】反射面の表面が曲面であることを特徴とす
   る請求項１記載の回転鏡。
3. 【請求項３】回転軸に対して直角方向の断面の外形形状
   が、回転軸に対して対象でないことを特徴とする請求項
   １記載の回転鏡。
4. 【請求項４】入射光の光束の全領域内に回転鏡の反射面
   が入ることを特徴とする請求項１記載の回転鏡。
5. 【請求項５】回転鏡の反射面の周辺や側面に、不要光の
   反射防止手段を設けることを特徴とする請求項１記載の
   回転鏡。
6. 【請求項６】回転鏡の反射面に保護膜例えば二酸化珪素
   蒸着や側面に腐食防止の加工を施したことを特徴とする
   請求項１記載の回転鏡。
7. 【請求項７】回転軸上に重心を有することを特徴とする
   請求項１記載の回転鏡。