JP2588998Y2 - 金属ガスケット - Google Patents

金属ガスケット

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JP2588998Y2
JP2588998Y2 JP1991003129U JP312991U JP2588998Y2 JP 2588998 Y2 JP2588998 Y2 JP 2588998Y2 JP 1991003129 U JP1991003129 U JP 1991003129U JP 312991 U JP312991 U JP 312991U JP 2588998 Y2 JP2588998 Y2 JP 2588998Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】この考案は、シリンダヘッド
とシリンダブロックとの対向面間に配置され、両者の対
向面間をシールする内燃機関における金属ガスケットに
関する。
【0002】
【従来の技術】最近の内燃機関は、高出力化と共に軽量
化が求められ、その一環としてシリンダヘッド及びシリ
ンダブロックについては、それらのシリンダ間の間隔即
ちシリンダボア間の肉厚がますます薄くなりつつある。
最近では、このシリンダ間の間隔はシリンダブロック上
で6mm程度の間隔に減少してきている。より一層の軽
量化を図るため、シリンダヘッドは勿論のことシリンダ
ブロックも従来の比重の大きい鋳鉄材料に代えて比重の
小さいアルミニウム材料で製作する傾向にある。アルミ
ニウム材料は軽量である反面、剛性が低いという性質を
有する。このように低い剛性と、上記のようなシリンダ
ボア間の小さい間隔とに原因して、最近の内燃機関のシ
リンダヘッドやシリンダブロックの剛性は、内燃機関の
運転に伴って低下傾向を示す。
【0003】従来、上記のような傾向に対して、シリン
ダヘッドとシリンダブロックとの間に配置され且つシリ
ンダヘッドをシリンダブロックに対して締付けたときに
シリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面間をシー
ルする金属ガスケットとしては、シリンダボア孔の周縁
にビードが形成されたビード基板を有する金属ガスケッ
トが提案されている。上記対向面間の間隔がある程度大
きいと、ビード基板のシリンダボア孔間の間隔も大きく
なり、ビード基板に形成するビードは各シリンダボア孔
について独立して形成することができる。
【0004】しかしながら、シリンダボア孔間の間隔が
狭くなると、スペース上、各シリンダボア孔に対して独
立したビードを確保することが困難となり、シリンダボ
ア孔間では隣接するビードは互いに重なって1つの複合
ビード部とならざるを得ない。また、金属ガスケットの
シール性能が最も良好になることが期待される部位はか
かるシリンダボア孔間である。このような寸法が狭く且
つ狭いために剛性が低くなっている部分に、ビードの応
力を高くしてシール圧力を確保するという相反する要求
に答える必要がある。ところが、ビードに生じる応力を
高くすると、ビードにはヘタリや亀裂等が発生して金属
ガスケットとしての寿命を短縮する不具合が発生し易く
なる。
【0005】かかる複合ビード部をどのように処理する
かについて、例えば、特開昭63−210465号公報
に開示された金属ガスケットがある。該公報に開示され
た金属ガスケットについては、図7に示されるように、
ビード基板20のビード22はシリンダボア孔21,2
1が接近する領域において会合部23となっている。会
合部23のビード幅は一律にビード22のビード幅と略
同等に形成されている。会合部の両端部でビード幅を広
くし、会合部の中央部分で会合部以外のビード幅と同じ
ビード幅となるようにした金属ガスケットは、会合部の
ばね定数の低下、即ち会合部のシール圧の低下を招いて
いたが、上記公報に開示された金属ガスケットではかか
る低下を防止できるとしている。
【0006】また、複合ビード部の別の処理について、
実公平1−8678号公報に開示された金属ガスケット
がある。該公報に開示された金属ガスケットは、図8に
示されているように、ビード基板30に形成したビード
32はシリンダボア孔31,31が接近する領域で会合
部33を締結用ボルト孔34の部位に近接させて、締結
用ボルト孔34とビード32との距離を略同一としたも
のである。締結時の面圧力を利用して会合部33のビー
ド形状を偏平化し、会合部33におけるシール性を向上
させることを期待している。
【0007】更に、ビードを形成したビード基板と該ビ
ード基板に積層した副板とを含む少なくとも二枚の金属
板から成り、シリンダボア孔の周縁において副板がビー
ド基板を挟むように折り返されてグロメット部を形成し
た金属ガスケットが提案されている。このような金属ガ
スケットについては、例えば、特開昭62−15537
6号公報や米国特許第3817540号明細書及び図面
に開示されたものがある。
【0008】また、金属ガスケットとしては、図9に示
すように、ビード基板40と副板41とから成るものが
開示されている。ビード基板40は弾性金属板から製作
されており、シリンダボア孔43と該シリンダボア孔4
3を囲繞するビード42とを有する。副板41は、ビー
ド基板40に対してビード42を形成した側とは反対側
において積層されている。副板41のシリンダボア側の
内端部はビード基板40上に折り返されてビード基板4
0の内側縁部を抱持するグロメット部45となってお
り、折り返された端縁はシリンダボア孔43となってい
る。グロメット部45は、先ず第1に、ビード42より
もシリンダボア孔43側に所定の厚さの補償部として機
能する。この金属ガスケットは、燃焼ガス圧力や機関熱
の影響でシリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面
間隙が伸縮するのを防止する。また、金属ガスケットに
加わる面圧が補償部にも分配されるため、ビード42へ
作用する交番荷重が軽減されビード42に生じる応力が
低減するので、ビード42のヘタリが防止される。グロ
メット部45は二次シールであるビードの変形に対する
ストッパとしての機能も果たす。更に、シリンダボア孔
43の周りが補償部とビード部との双方でシールされる
ため燃焼ガスの漏れがより一層防止される。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63−210465号公報に開示された金属ガスケット
や、実公平1−8678号公報に開示された金属ガスケ
ットは、シリンダボア孔間におけるビードの会合部2
3,33をビード幅が略一定な直線状としているので、
完全な解決にはなっていない。即ち、会合部23,33
と会合部以外のビードが合流してくる領域では、ビード
の各部分のばね定数は変わらないように見えても全体と
してはばね特性が大幅に不連続に変化し、かつ応力が不
連続に増大しており、長時間使用するとビードの亀裂や
ヘタリが発生する。
【0010】また、ビードのばね特性が会合部において
不連続であるために、シリンダヘッドをシリンダブロッ
クに対して締付けたときにシリンダボア孔間において金
属ガスケットに働く面圧のバランスが確保できない。
【0011】更に、図9に示す金属ガスケットは、グロ
メット部45が基板40と折り返した2層の副板41と
の合計3層となるのに対して、ビード42が位置する部
分では内部に空間部を有する2層であり、またグロメッ
ト部45とビード42との間は基板40と副板41とが
接触した2層である。従って、グロメット部45に位置
する副板41とそのグロメット部45がシリンダヘッド
とシリンダブロックとの間の荷重変動や振動に直接的に
晒されることになるから、副板41の板厚を薄くした場
合には使用期間が長期になるとグロメット部45に亀裂
が生じやすくなるという不具合がある。他方、副板41
の板厚が厚くなると、シリンダヘッドをシリンダブロッ
クに対して締付けたときに、締付け荷重は3層からなる
補償部に対して比較的集中し易くなり、シリンダボア孔
周囲において平均的な面圧分布状態を確保することがで
きず、結果的に良好なシール状態を長期にわたって維持
することができないという不具合がある。そして、グロ
メット部45が副板41の横方向の変形に対するストッ
パとしての機能を果たす点からすると、副板41の大き
な変形に対してはグロメット部45に亀裂が生じる虞が
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この考案の目的は、上記
の課題を解決することであり、ビード基板にはシリンダ
ボア孔間でのばね特性や応力に問題があるビードの会合
部を形成せず、該ビード基板に積層する副板にはシリン
ダボア孔側端縁の周りをビード基板と重ならないように
折り返してグロメット部を形成し、従来のシリンダボア
孔間のビード会合部を排除することでばね特性を改善し
且つ連続的に変化させる状態を確保し、シリンダボア孔
間の部分のシール性能を向上させ、長時間使用によるビ
ードの亀裂やヘタリが発生するのを回避することができ
る金属ガスケットを提供することである。
【0013】更に、この考案の目的は、シリンダヘッド
をシリンダブロックに対して締付けたときに、シリンダ
ボア孔間において金属ガスケットに働く面圧自体を確保
し、該面圧のバランスを保ち、また、グロメット部の亀
裂防止を図り、シール性に優れた金属ガスケットを提供
することである。
【0014】この考案は、内燃機関のシリンダヘッドと
シリンダブロックとの対向面間をシールする金属ガスケ
ットにおいて、並列したシリンダボア孔間を除くシリン
ダボア孔周縁に沿って連続して伸びるビードを形成した
弾性金属板から成るビード基板と、前記ビード基板に積
層され且つ前記ビード基板の前記シリンダボア孔側端面
に重ならない幅で折り返したグロメット部を備えた金属
板から成る副板とを有し、前記シリンダボア孔間におけ
る前記ビードより内側に位置する部分の前記副板の板厚
を外周側に位置する部分の前記副板の板厚よりも滑らか
に変化させて厚く形成すると共に、前記外周側に位置す
る前記副板の厚さの薄い部分である前記副板の本体部分
の板厚を前記ビード基板の板厚と等しいか又は厚く形成
したことを特徴とする金属ガスケットに関する。
【0015】また、この金属ガスケットにおいて、副板
を折り返したグロメット部には軟質部材が介在されてい
るものである。
【0016】この金属ガスケットは、弾性金属板製のビ
ード基板のビードが、並列したシリンダボア孔の周縁に
沿って形成されるがシリンダボア孔間に進入することな
く連続的に輪郭を辿るように形成されているから、シリ
ンダボア孔間においては従来の金属ガスケットに形成し
たようなビードの会合部が存在しないので、ビードのば
ね特性はシリンダボア孔の周縁に沿って連続的に変化
し、ビードに働く応力についても不連続に大きく変化す
ることがない。
【0017】また、金属製の副板は、ビード基板に積層
され、シリンダボア側端縁をビード基板と重ならない幅
で折り返したグロメット部を有し、そしてシリンダボア
孔間におけるビードの輪郭より内側に位置する部分の板
厚をビード基板の板厚より厚くしたから、前記シリンダ
ボア孔間においては、シリンダヘッドの締め付け時に他
の領域よりも強く締め付けられてグロメット部のシール
性能が高くなるので、ビード基板の会合部が存在しない
ことによるシール性能の低下を補償できる。
【0018】更に、シリンダヘッドをシリンダブロック
に締付けたときに、ビード基板のビードは、その弾性金
属の弾性作用により押し潰されて横に広がるように変形
するが、副板のシリンダボア孔側端縁に形成されたグロ
メット部は、ビード基板と重ならないように折り返され
ているので、ビード基板を抱持するように折り返された
場合と比較して、グロメット部はビード基板のビードの
上記変形を拘束するストッパーとはならず、ビードの上
記の変形を許容する。従って、グロメット部は締付け時
にビードの変形からの影響を受けない。
【0019】更に、副板のグロメット部を形成するに際
して、シリンダボア孔周縁に沿う副板の部分を、軟質部
材を挟んで折り返すと、前記グロメット部での厚みが増
加するので、金属ガスケットにおける面圧分布を適性に
補正したり、バランスを細かく調節することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による金属ガスケットの実施例を説明する。図1はこの
発明による金属ガスケットの一実施例を示す平面図であ
る。
【0021】図1に示すように、金属ガスケット1は、
多気筒内燃機関におけるシリンダヘッドとシリンダブロ
ックとの間の対向面間に配置されて燃焼室の周囲をシー
ルするために使用されるものである。金属ガスケット1
は、後述の基板10と副板11から構成されている。金
属ガスケット1には、気筒即ちシリンダブロックに形成
されたシリンダボアに対等する孔、即ちシリンダボア孔
2が形成されている。更に、シリンダブロックとシリン
ダヘッドとを互いに連結するボルトが挿通するためのボ
ルト孔3が複数個穿設されている。更に、この金属ガス
ケット1には、冷却水を通す水孔5やリベット止め孔6
等が複数個穿設されている。
【0022】図2は図1の線A−Aにおける金属ガスケ
ットの断面図、図3は図1の線B−Bにおける金属ガス
ケットの断面図及び図4は図1の線C−Cにおける金属
ガスケットの断面図である。詳しくは、図2は、隣接す
るシリンダボア孔2,2の境界部分を横断して両シリン
ダボア孔2の中心を結ぶ線A−Aにおける断面図であ
る。図3は最も端のシリンダボア孔2の中心を通り、該
シリンダボア孔2と金属ガスケット1の最外郭縁部との
間を横切る線B−Bについての断面図である。更に、図
4はシリンダボア孔2間においてシリンダボア孔2の中
心を結ぶ線に直交する線C−Cにおける副板の断面図で
ある。図2、図3及び図4のいずれの図でも線A−A、
線B−B及び線C−Cの矢印の方向に見た図である。
【0023】この金属ガスケット1は、図2、図3及び
図4の各断面図に示されているように、基本的には、ビ
ード基板10と副板11とから構成されている。ビード
基板10は厚さを約0.20mmであり、材料として、
例えば、SUS301の材料からなるステンレス製ばね
板から製作されている。副板11は、厚さが薄い本体部
分で約0.22mmであり且つ厚い部分で約0.27m
mであり、材料として、例えば、SUS304のステン
レス製ばね板から製作されている。
【0024】また、図示していないが、金属ガスケット
1において、ビード基板10と副板11の表面に対し
て、耐熱性及び耐油性のゴム、樹脂等の材料で、例え
ば、10μ乃至50μ、好ましくは25μの厚さにコー
ティングを施す。コーティングはビード基板10と副板
11との両面に行ってもよく,場合によってはシリンダ
ヘッドとシリンダブロックの当接面側だけに施してもよ
い。このような表面処理を施すことによって、シリンダ
ヘッド及びシリンダブロックに対して金属対金属の直接
接触状態を避けて、ガスケットとしての耐腐食性、耐久
性等を向上でき、強度を確保して充分なシール機能を果
たすことができる。
【0025】ビード基板10には、シリンダボア孔2の
周囲においてビード12が形成されている。ビード12
の高さは約0.2mmであり、そしてビード12の幅は
約2mmである。図1及び図2に示されているように、
ビード12は、並列するシリンダボア孔2の周囲を連続
的に輪郭を辿るように形成され、言い換えれば、並列し
たシリンダボア孔2間を除くシリンダボア孔2周縁に沿
って連続して伸びるように形成されており、全体として
スムースな円弧状となっている。図1で符号12が指し
ているビードは二点鎖線となっているが、この線は、ビ
ードの頂部を辿る線であり、所謂ビード線である。ビー
ド線はシリンダボア孔2,2の間においては円弧状Rに
折り返している。また、ビード基板10の内側端縁13
(図3参照)は、当然にビード12よりもシリンダボア
孔2側に位置しているが、シリンダボア孔2間において
は並列するシリンダボア孔2の中心を結ぶ線の手前で折
り返している。したがって、図2に示すように、隣接す
るシリンダボア孔2,2の間では、ビード基板10自体
が存在していない状態である。ビード基板10は、ビー
ド12以外の部分は、実質的に平坦であるが、図3に示
すように、金属ガスケット1の周辺部ではハーフビード
14となっている。
【0026】副板11は、ビード基板10のビード12
を突出形成した側とは反対側においてビード基板10に
積層されている。副板11は、シリンダボア孔2側の部
分を除いて全体として基板10の形状と同じ形状であ
る。副板11の本体部分は平らな状態にあるが、シリン
ダボア孔2の周囲端縁は、ビード基板10が積層してい
る側に折り返されてグロメット部15が形成されてい
る。グロメット部15の折り返し幅は約1.4mmであ
るが、シリンダボア孔2とシリンダボア孔2との間にお
いては若干広く折り返され、折り返し端縁16の曲率も
シリンダボア孔2,2間に近づくほど大きくしてある。
グロメット部15の折り返し端縁16とビード基板10
の内側端縁13との間には間隙(約0.35mm)があ
り、ビード基板10と重なることはない。また、金属ガ
スケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間
に配置して締め付けたときに、ビード12が押し潰され
るように変形した場合でも、両端縁13,16は互いに
干渉し合うことはない。更に、図2に示すように、シリ
ンダボア孔2,2間においても、グロメット部15の折
り返し端縁16,16の間には僅かながら間隙が存在す
る。
【0027】図4に示すように、シリンダボア孔2,2
間において、シリンダボア孔2,2の中心を結ぶ線に直
交する線に沿っての副板11の断面形状は、中央部分1
8での厚さが両側部19,19即ち本体部分の厚さより
も滑らかに変化させて厚くなっている。即ち、断面全幅
(約160mm)に対して、ビード基板10のビード線
が最も接近するときの間隔にほぼ等しい幅(約40m
m)の範囲において、約0.27mmの厚さがある。こ
のような厚さを持つ副板11は、材料の圧延時に連続し
て加工することにより得られる。
【0028】金属ガスケット1は、シリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間に締め付け固定されるが、ビード
基板10と副板11は、どちらがシリンダヘッド側にく
るべきかの制約はない。ボルト孔3にボルトを通して金
属ガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロックと
の間に締め付け固定すると、ビード12は副板11に対
して強く圧縮されその高さを減じる。ビード基板10の
ビード12は、並列したシリンダボア孔2の周縁に沿っ
てシリンダボア孔2,2間に進入することなく連続的に
輪郭を辿るように形成されているので、シリンダボア孔
2,2間においては従来の金属ガスケットにみられたよ
うなビードの会合部が存在していない。したがって、ビ
ード12のばね特性はシリンダボア孔2の周縁に沿って
連続的に変化し、ビード12に働く応力についても不連
続に大きく変化することがないので、ばね材料に早期に
亀裂やヘタリが生じるのを回避することができる。
【0029】グロメット部15は、副板11のシリンダ
ボア孔2側端縁を折り返して形成されるが、副板11の
厚さが薄い本体部分の板厚をビード基板10の板厚と等
しいか又は厚く形成し、シリンダボア孔2,2間におい
ては、ビード12の輪郭より内側に位置する領域の部分
の板厚を外側に位置する部分の副板11の板厚より厚く
形成したから、シリンダボア孔2,2間以外のグロメッ
ト部分よりも厚くなる。したがって、金属ガスケット1
をシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に締め付け
たときに、グロメット部15の板厚が厚くなった部分の
シール性能が高くなるので、シリンダボア孔2,2の間
にビード基板10の会合部が存在しないことによるシー
ル性能の低下を補うことができる。それ故に、シリンダ
ボア孔2の全周囲において締め付け力による面圧バラン
スを確保することができる。
【0030】更に、金属ガスケット1をシリンダヘッド
とシリンダブロックとの間で締付けたときに、ビード基
板10のビード12は、その弾性金属の弾性作用により
押し潰されて横に広がるように変形するが、副板11の
シリンダボア側端縁に形成されたグロメット部15は、
ビード基板10と重ならないように折り返されており、
且つビード基板10の内側端縁13とグロメット部15
の折り返し端縁16との間には間隙があるので、ビード
基板10を抱持するように折り返された場合と比較し
て、グロメット部15はビード基板10のビード12の
変形を拘束するストッパとはならず、ビード12の変形
を許容する。したがって、グロメット部15は、金属ガ
スケット1を締付け時にビード12の変形からの影響を
受けることはない。
【0031】副板11の厚さはビード基板10の厚さよ
りもやや厚いので、ビード12はこの板厚分だけ全圧縮
するのを免れることになり、この点、ビード12のヘタ
リや亀裂の防止に有利である。また、グロメット部15
は、ビード基板10のビード12と重ならない限りにお
いてその折返し幅を任意に設定することができる。グロ
メット部15の折り返し幅は相当の自由度があるから、
ビード12との面圧配分を調節することができる。更
に、副板11はその板厚を任意に設定できるので、シム
としての機能を発揮することができ、シリンダヘッドと
シリンダブロックとの間の隙間に金属ガスケット1を適
合させる機能をも果たし、両者の対向面間をシールする
機能を向上する。
【0032】内燃機関の運転に伴ってシリンダヘッドと
シリンダブロックとの間には振動、爆発に伴う引張り力
が発生するが、副板11がビード基板10に積層されて
いるため、特に横方向の振動がビード基板10だけに作
用することがなく、その分ビード基板10がシリンダヘ
ッドやシリンダブロックとの擦りによる損傷が回避され
る。更に、縦方向即ちビード基板10の面に垂直な方向
の振動又は衝撃もシリンダヘッドあるいはシリンダブロ
ックからビード基板10の両面を直接に叩くことがない
ので、副板11はビード基板10に対して一種の緩衝作
用がある。また、副板11のグロメット部15は、ビー
ド基板10を抱き込んではいないために、ビード12の
圧縮に伴うビード基板10の面内の変位やシリンダヘッ
ドとシリンダブロックとの間の荷重変動や振動の影響を
副板11だけが直接受けることがない。したがって、副
板11のグロメット部15にもヘタリや亀裂が生じるこ
とがない。
【0033】次に、図5及び図6は、図2、図3及び図
4に示したこの発明による金属ガスケット1の実施例に
対応する別の実施例を示す断面図であり、断面位置は図
2及び図3の断面位置とそれぞれ同一である。これらの
図面において、先の実施例を示す図面に記載された構成
要素と同じ構成要素には同じ符号を付しているので、そ
の重複する詳細な説明は省略する。
【0034】図5及び図6において、副板11のグロメ
ット部15には、軟質部材のシム17が挿入され、グロ
メット部15により抱持されている。シム17はシリン
ダボア孔2のところで互いに連続したひとつのものとし
て形成してあるが、各シリンダボア孔の周囲についてそ
れぞれ独立して設けてもよい。このように、シム17は
副板11の板厚をグロメット部15のところでさらに調
節することを可能にする。シム17は軟質金属板から構
成されており、またそれ以外にも、断熱性グラファイト
シート、アラミド系ヒータシート、樹脂又はゴム等の軟
質材料と同じ程度の性質をもつものであってもよい。軟
質部材としてのシム17によってシリンダヘッドとシリ
ンダブロックとの間に生じる振動の吸収作用が期待でき
る。
【0035】この考案の各実施例は、多気筒内燃機関に
ついて示したけれども、この考案はこの形式の内燃機関
に限ることはなく、例えば、三気筒又はV型六気筒の内
燃機関の場合等に適用することができるが、それらにつ
いて詳細な説明は省略する。
【0036】
【考案の効果】この考案による金属ガスケットは、以上
のように構成されているので、シリンダボア孔間におい
て、従来形成されていたようなビードの会合部が形成さ
れておらず、ばね特性や、金属ガスケット締め付け時の
応力の変化が大きく不連続に変化することがない。ま
た、前記副板の板厚は滑らかに変化して前記シリンダボ
ア孔間が厚く形成されており、前記副板自体には応力集
中等は発生せず、強度を確保できると共に、前記シリン
ダボア孔間で所望の面圧を確保できる。したがって、金
属ガスケットを長期にわたって使用してもビード基板の
ビードは亀裂やヘタリを生じることがない。
【0037】また、ビード基板に積層された副板のグロ
メット部は、シリンダボア孔間におけるビードの輪郭よ
り内側に位置する部分において板厚をビード基板の板厚
より厚くしたから、シリンダボア孔間では金属ガスケッ
トの締め付け時にきつく締め付けられ、この部分のグロ
メット部のシール性能が高くなる。従って、シリンダボ
ア孔間ではビード基板の会合部が存在しないことによる
シール性能の低下を補うことができる。そして、シリン
ダボア孔の全周囲においても、金属ガスケット締め付け
時に働く面圧のバランスを良好なものに確保することが
できる。
【0038】また、副板のシリンダボア側端縁に形成さ
れたグロメット部は、ビード基板を抱持するというよう
な互いを拘束し合う関係をもって折り返されておらず、
ビード基板側にビード部と重複しないように折り返され
ているので、副板の前記グロメット部は、従来の技術で
記載したようなビード基板を抱持するように折り返され
てビード基板のビードより内側の部分を拘束するストッ
パとなるのとは異なり、ビードより内側の部分との間に
相対変位が許容される。したがって、グロメット部は締
付け当初にビード基板側から悪影響となる応力や変位を
受けることがない。この点からも、グロメット部はヘタ
リや亀裂の発生が抑制される。
【0039】また、グロメット部は基板のビードと重な
らない限りはその折返し範囲を任意に設定することがで
きるから、設計上、ビード部と折返し部との面圧配分を
調節することができる。そして、副板はその板厚を任意
に設定できるので、シムとしての機能を発揮することが
でき、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間の隙間
に金属ガスケットを良好に適合させる機能をも果たし、
両者の対向面をシールする機能を向上する。
【0040】更に、内燃機関の運転に伴ってシリンダヘ
ッドとシリンダブロックとの間には、振動、爆発に伴う
引張り力等の力が発生するが、副板が基板に積層されて
いるため特に横方向の振動が基板だけに作用することが
なく、その分、基板がシリンダヘッド又はシリンダブロ
ックとの擦りによる損傷が回避される。更に、縦方向即
ち基板の面に垂直な方向の振動又は衝撃も、シリンダヘ
ッド又はシリンダブロックから基板の両面を直接に叩く
ことがないので、副板は基板に対して一種の緩衝作用が
ある。また、副板にとっても、副板の折返し部は基板を
抱き込んではいないので、前記荷重変動や振動の影響を
副板だけが直接受けることもない。したがって、副板の
折返し部にもヘタリや亀裂が生じることがない。
【0041】また、上記したように、副板は本体も又グ
ロメット部も従来のものと比較して大きな応力や歪みが
かからないので、材料的にも加工性のよい安価なものを
選択することが可能になる。更に、グロメット部が軟質
部材を挟んで折り返された金属ガスケットでは、グロメ
ット部での厚みが増加するので、金属ガスケットにおけ
る面圧分布を適正に補償したり、ビードにおける面圧と
のバランスをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案による金属ガスケットの一実施例を示
す平面図である。
【図2】図1において、隣接するシリンダボア孔の境界
部分を横断して両シリンダボア孔の中心を結ぶ線A−A
についての断面図てある。
【図3】図1において、最も端のシリンダボア孔の中心
を通りこのシリンダボア孔と金属ガスケットの最外郭縁
部との間を横切る線B−Bについての断面図である。
【図4】この考案による金属ガスケットの実施例におけ
る副板の図1における線C−Cについての断面図であ
る。
【図5】この考案による金属ガスケットの別の実施例を
示し、図2と同じ断面位置有する断面図である。
【図6】この考案による金属ガスケットの別の実施例を
示し、図3と同じ断面位置有する断面図である。
【図7】従来の金属ガスケットを示す部分断面図であ
る。
【図8】従来の他の金属ガスケットを示す部分断面図で
ある。
【図9】従来の別の金属ガスケットを示す部分断面図で
ある。
【符号の説明】
1 金属ガスケット 2 シリンダボア孔 10 基板 11 副板 12 ビード 15 グロメット部 17 シム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−182563(JP,A) 特開 平1−211660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 15/08 F02F 11/00

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブ
    ロックとの対向面間をシールする金属ガスケットにおい
    て、並列したシリンダボア孔間を除くシリンダボア孔周
    縁に沿って連続して伸びるビードを形成した弾性金属板
    から成るビード基板と、前記ビード基板に積層され且つ
    前記ビード基板の前記シリンダボア孔側端面に重ならな
    い幅で折り返したグロメット部を備えた金属板から成る
    副板とを有し、前記シリンダボア孔間における前記ビー
    ドより内側に位置する部分の前記副板の板厚を外周側に
    位置する部分の前記副板の板厚よりも滑らかに変化させ
    て厚く形成すると共に、前記副板の本体部分の板厚を前
    記ビード基板の板厚と等しいか又は厚く形成したことを
    特徴とする金属ガスケット。
  2. 【請求項2】 前記副板を折り返した前記グロメット部
    に軟質部材を介在させている請求項1に記載の金属ガス
    ケット。
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