JP2587900Y2 - 芳香剤揮散構造体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ゲル状芳香剤の容器に
用いられる芳香剤揮散構造体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ゲル状芳香剤容器の芳香剤揮散構
造は、芳香剤を収納した容器の開口部をアルミニウム箔
や樹脂コート紙の裏面にシール材層を形成した非通気性
フィルムや蓋体で密封し、使用時に、これらのシールフ
ィルムや蓋体を取り去って、容器を開口し、芳香剤揮散
用の隙間を有した四角形状の容器に入れて使用してい
た。また、使用時に芳香剤の揮散量を調節出来る容器と
しては、例えば、芳香剤受け台に嵌合する傘状の蓋体を
取り付け、天部の孔から加温した半ゲル状の流動性を有
する芳香剤を充填し、天部をシール密封し、蓋体の内壁
に沿って傘状のゲル化した芳香剤柱を形成させ、使用時
には、傘状の蓋体を回転して引き上げて、ゲル状の芳香
剤柱を露出させ、その露出面積によって、芳香剤の揮散
度合いを調節していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た前者の開口した芳香剤容器を芳香剤揮散用の隙間を有
した容器に入れたものは、使用時に芳香剤揮散度合いの
調整がしにくく、また、後者の傘状の蓋体を被せた容器
は、芳香剤揮散度合いの調整は可能であるが、調整が大
雑把で、傘状の蓋体の位置固定が不安定であった。ま
た、芳香剤の充填時に、半ゲル液状の芳香剤が液漏れす
ることがあった。本考案は、芳香剤充填時に液漏れの心
配がなく、使用時に芳香剤揮散度合いの調整操作が容易
で、しかも安定した調整が得られる芳香剤容器の芳香揮
散構造体を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、図１及び図２
に示すように、ゲル状芳香剤を収納した有底の中空円筒
状の周壁（１１０）に揮散窓（１１１）を有する容器本
体（１００）に、天面の注入口部（２２０）を小蓋（３
００）で封じた中空円筒状の周壁（２１０）に揮散窓
（２１１）を有する蓋体（２００）を摺動可能に被せた
密封容器であって、容器本体の揮散窓の外側周囲に連続
した凸状のリブ（１１２）を設け、そのリブが、蓋体の
周壁内面と摺動可能に接していることを特徴とする芳香
剤揮散構造体（１０）である。

【０００５】上述の芳香剤揮散構造体を構成する容器本
体と蓋体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアセ
タールなどの剛性のあるプラスチック成形材料を用い
て、射出成形法によって成形するものである。なお、容
器本体と蓋体とは、密封性や摺動性を考慮して、異なる
材質を使用しても良い。また、小蓋は、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィンを用いて、射出成
形法によって成形するものである。

【０００６】容器本体の周壁及び蓋体の周壁に形成され
る揮散窓の形状と個数は、任意であるが、容器本体と蓋
材を封鎖状態に組み合わせた時には、容器本体の揮散窓
が蓋材の周壁内面によって封鎖され、同時に蓋材の揮散
窓が容器本体の周壁外面によって封鎖されるものであ
る。また、芳香剤揮散構造体を使用する時には、蓋材を
水平方向に回転すると、容器本体の揮散窓と蓋材の揮散
窓とが、少なくとも部分的に重なり合うものである。

【０００７】また、容器本体の揮散窓の外側周囲に設け
られる連続したリブは、必要に応じて多重に形成しても
良い。

【０００８】さらに、蓋体の外側に、必要に応じては、
蓋体と連結し蓋体を覆う外蓋体を形成しても良く、ま
た、蓋体と容器本体とに、蓋体の回転を位置規制し合う
係止突起を相互に設けても良い。

【０００９】

【作用】本考案の芳香剤揮散構造体に芳香剤を充填する
ため、容器本体と蓋材とを封鎖状態に組み合わせた芳香
剤揮散構造体の蓋体天部の注出口より、加温した半ゲル
液状の芳香剤を注入すると、図１（ａ）に示したよう
に、容器本体（１００）の揮散窓（１１１）の外側周囲
には連続したリブ（１１２）が形成されており、そのリ
ブが、図１（ｂ）に示したように、蓋体（２００）の周
壁内面に摺動可能に接しているため、注入された半ゲル
液状の芳香剤が、容器本体の揮散窓から容器外に漏れ出
すことがない。

【００１０】芳香剤を充填された本考案の芳香剤揮散構
造体を使用する時に、蓋体を水平方向に回転すると、蓋
体の揮散窓と容器本体の揮散窓とが重なり合って開口す
る。芳香剤の揮散量は、この蓋体の揮散窓と容器本体の
揮散窓とが重なり面積に比例する。蓋体は、何処の位置
でも静置することが出来るので、芳香剤の揮散度合いを
調節することが容易となる。

【００１１】

【実施例】まず、図２及び図３に示したように、天部が
開口し下部に蓋体（２００）の裾部（２１３）と掛合す
る裾部（１１３）を持ち外側周囲に連続した二重のリブ
（１１２）を持つ二つの揮散窓（１１１）を有した有底
の容器本体（１００）と、その容器本体と周壁内面が摺
動し合う天部に注入口（２２０）を持ち下部に容器本体
と掛合する裾部（２１３）を持ち周壁に容器使用時に容
器本体の揮散窓（１１１）と重なり合う二つの揮散窓
（２１１）を有した筒状の蓋体（２００）とを、ポリプ
ロピレンを用いて、射出成形機で成形して作製した。ま
た、小蓋（３００）を、ポリエチレンを用いて射出成形
機で成形した。

【００１２】次に、作製した容器本体に蓋体を、図２及
び図３の矢印のように被せて、封鎖した容器を作製し、
この容器の蓋材（２００）の天部の注入口（２２０）か
ら、加温した半ゲル液状の芳香剤を注入した。この充填
操作中に容器本体（１００）の揮散窓（１１１）から半
ゲル液状の芳香剤が容器外に漏れ出すことはなかった。
芳香剤を充填後に、蓋材の天部の注入口を小蓋（３０
０）で封鎖して、図１（ａ）に示した本実施例の芳香剤
揮散構造体（１０）を作製した。

【００１３】作製した芳香剤揮散構造体の蓋材を水平方
向に回し、蓋材の揮散窓と容器本体の揮散窓を重ね合わ
せて芳香剤揮散構造体を開口した。芳香剤が、容器外に
揮散し始めたが、その芳香の強さは、蓋材の揮散窓と容
器本体の揮散窓の重なり面積に比例した。そして、芳香
度合いの調整は、蓋材を回すだけの簡単な操作であり、
しかも、蓋材がそのまま静置するため、調整状態が安定
していた。

【００１４】

【考案の効果】本考案の芳香剤揮散構造体は、前述の実
施例に述べたように、芳香剤充填時に、加温された半ゲ
ル液状の芳香剤が、容器本体の揮散窓の外側周囲に連続
したリブが形成されているため、容器外に漏れることが
なく、また、使用時に、芳香剤の揮散度合いの調整が極
めて簡単な操作で良く、しかも、調整状態が従来の芳香
剤容器に較べて安定している。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本考案の一実施例の芳香剤揮散構造
体の一部を切欠いた正面図であり、（ｂ）は、Ａ−Ａ’
部分拡大断面図である。

【図２】本考案の一実施例の芳香剤揮散構造体の、容器
本体と蓋体と小蓋との組み立て方を示す説明図である。

【図３】（ａ）は、図２の容器本体と蓋体の一部を切欠
いた斜視図であり、（ｂ）は、容器本体の揮散窓を形成
した側壁部分の断面図である。

【符号の説明】

１０……芳香剤揮散構造体 １００……容器本体 １１０，２１０……周壁 １１１，２１１……揮散窓 １１２……リブ １１３，２１３……裾部 １２０……開口部 ２００……蓋体 ２２０……注入口 ３００……小蓋

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ゲル状芳香剤を収納した有底の中空円筒状
   の周壁に揮散窓を有する容器本体に、天面の注入口部を
   小蓋で封鎖すると共に中空円筒状の周壁に揮散窓を有す
   る蓋体を摺動可能に被せた密封容器であって、容器本体
   の揮散窓の外側周囲に連続した凸状のリブを設け、その
   リブが、蓋体の周壁内面と摺動可能に接していることを
   特徴とする芳香剤揮散構造体。