JP2587346B2 - 鉄道車両のブレーキ装置 - Google Patents

鉄道車両のブレーキ装置

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JP2587346B2 JP15622992A JP15622992A JP2587346B2 JP 2587346 B2 JP2587346 B2 JP 2587346B2 JP 15622992 A JP15622992 A JP 15622992A JP 15622992 A JP15622992 A JP 15622992A JP 2587346 B2 JP2587346 B2 JP 2587346B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両のブレーキ装
置に関し、特に、鉄道車両の長大編成化と速度向上に対
応可能なブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道車両のブレーキ装置としては
自動空気ブレーキ装置が簡易でありながら安全性、信頼
性が高いことから広く用いられている。自動空気ブレー
キ装置は制御車両(機関車等)と付随車両(貨車等)を
ブレーキ管で結合し、この管内の圧力に従って、全車両
のブレーキが一斉に制御されるものである。しかし、こ
の自動空気ブレーキ装置はブレーキ管内を伝播する空気
圧の変化により制御を行なうので、特に車両が長大編成
化すると前位車両と後位車両とでブレーキの動作に時間
的ずれが生ずる欠点がある。即ち、例えば、長大編成列
車で急制動(非常ブレーキ)をかけた場合には、前位車
両のブレーキ装置が作動してから最後位車両のブレーキ
装置が作動するまで3秒近くの時間遅れが生ずる。この
結果、静止しつつある前位車両と未だ空走状態の後位車
両との間には大きな車体応力が加わり、特に連結器に加
わる応力(自連力)は過大なものとなる。また、後位各
車両が順々に前位車両に突き当たるようにして停車する
ことから、車体に前後振動を発生させ、乗り心地の低下
にもつながる。このため、従来の自動空気ブレーキ装置
では、ブレーキシリンダの管系に絞りを設けてブレーキ
の応答性を低く設定していた。ブレーキシリンダ圧力を
緩やかに変化させれば前位車両と後位車両とのブレーキ
動作は重なって、前後車両間での制動力の差が小さくな
るからである。しかし、このようにブレーキの応答性を
低く設定すれば、ブレーキ性能は低下して制動時の空走
時間は長くなり、制動遅れにより運転操作性も低下する
という問題点があった。
【0003】一方、上述の時間遅れを解決する技術とし
て電磁自動空気ブレーキ装置が提案されている。これを
図面により説明すると、図10は従来の電磁自動空気ブ
レーキ装置の付随車に搭載されるブレーキ制御手段を示
す図であり、図11は同じく制御車に搭載されるブレー
キ指令手段を示す図である。図に示す通りこの装置で
は、制御車両と付随車両とは非常ブレーキ指令線3、ゆ
るめ指令線4、元空気だめ管8、ブレーキ管9により結
合されている。ここで、非常ブレーキ指令線3は非常ブ
レーキ時において制御車両から通電される配線であり、
ゆるめ指令線4は非常ブレーキの開放時において制御車
両から通電される配線である。また、元空気だめ管8は
制御車両に搭載された元空気だめ及び空気圧縮器(共に
図示せず)に連通される空気だめ管であり、ブレーキ管
9はブレーキ動作の制御に用いられる空気管である。そ
して、この装置では以下のようなブレーキ作用が行なわ
れる。
【0004】まず、通常のブレーキ作用について説明す
る。図11において、ブレーキハンドル1を操作すると
その指示はブレーキ指令器2に伝達され、ブレーキ指令
器2から制御線6に加わる電圧(若しくは電流)が変化
する。この電圧に応じて電空変換弁15及び中継弁16
が作動してブレーキ管9の圧力を制御する。ここで、電
空変換弁15は上記電圧信号に対応した空気圧を出力側
配管(図記号の下位置)に出力すべく、内蔵された弁を
操作して出力側配管を排気側配管(左位置)または供給
側配管(右位置)のいずれかに連通するものであり、一
方、中継弁16も同様に、指令側配管(上位置)に作用
する空気圧に対応した圧力を出力側配管(下位置)に出
力すべく、内蔵弁を操作して出力側配管を排気側配管
(左位置)または供給側配管(右位置)のいずれかに連
通するものである。これらの弁操作によりこの装置で
は、ブレーキハンドル1によりブレーキをかけるべく操
作するとブレーキ管9の圧力が大気開放されるようにな
っている。
【0005】次に、ブレーキ管9の圧力が大気開放され
たときの付随車両の動作を説明する。図10に示すよう
に付随車両では、ブレーキ管9にブレーキ制御弁21、
応荷重弁24を介してブレーキシリンダ25が接続され
ている。ここで、ブレーキ制御弁21は指令側配管(図
記号の上位置)に作用する空気圧に対応した圧力を出力
側配管(下位置)に出力すべく、内蔵弁を操作して出力
側配管を排気側配管(左位置)または供給側配管(右位
置)のいずれかに連通するものであり、具体的にはブレ
ーキ管9の空気圧に比例した圧力を作用空気室管23に
作用させるようになっている。一方、応荷重弁24は、
指令側配管(上位置)に作用する空気圧に反比例する圧
力を出力側配管(下位置)に出力すべく、内蔵弁を操作
して出力側配管を排気側配管(左位置)または供給側配
管(右位置)のいずれかに連通するものであり、ブレー
キシリンダ25の駆動に必要な大量の空気を制御するた
めのものである。この装置によれば、ブレーキ管9の圧
力が大気開放されると、ブレーキ制御弁21は作用空気
室管23の圧力を大気開放するように働くとともに、応
荷重弁24は供給空気だめ22からブレーキシリンダ2
5に大量の圧縮空気を導入して、ブレーキの制動作用が
行なわれる。以上が従来装置の通常のブレーキとしての
動作である。
【0006】次に、この従来装置の非常ブレーキ作用を
説明する。非常ブレーキ作用においては、上述の通常の
ブレーキ作用が行なわれると同時に、これと並行して以
下の作用が行なわれる。即ち、ブレーキハンドル1によ
り非常ブレーキを指令すると、ブレーキ指令器2から非
常ブレーキ指令線3に通電され、この電流により付随車
両の非常電磁弁18が開弁する。そして、開弁した非常
電磁弁18を介してブレーキ管9の圧力は大気開放され
る。従って、ブレーキ管9は、制御車両の中継弁16を
介して大気開放されると同時に各付随車両の非常電磁弁
18を介して大気開放されて、その圧力は瞬時に低下す
る。
【0007】ところが、この装置でばブレーキ管9の圧
力が瞬時に低下してもブレーキの制動開始までに時間遅
れがある。なぜなら、ブレーキ管9の圧力低下によりブ
レーキ制御弁21の切換動作は瞬時に行なわれるが、応
荷重弁24に作用する圧力は排気絞り34を介して少し
ずつ時間をかけて大気開放されるからである。従って、
この装置の非常ブレーキは応答性が悪いという問題点が
ある。なお、排気絞り34は自動空気ブレーキ車両との
互換性を保つために設けられているもので、自動空気ブ
レーキ車両と併結して混合編成を行なう機会の多い現在
では、互換性を無視して排気絞り34を除去することは
できない。
【0008】次に、非常ブレーキ作用後にブレーキ開放
の為に行なわれる、込め作用について説明する。図11
の制御車両においてブレーキハンドル1で非常ブレーキ
のゆるめ操作を指示すると、ブレーキ指令器2、電空変
換弁15及び中継弁16を介してブレーキ管9の圧力が
高められる。そしてこれと同時に、ブレーキ指令器2か
らゆるめ指令線4に通電される。この電流により図10
の付随車両の電磁弁19が開弁され、電磁弁19及び絞
り20を通って元空気だめ管8の圧縮空気がブレーキ管
9に流入する。従って、ブレーキ管9には制御車両から
の込めと同時に全付随車両から一斉に込めが行なわれ
る。そして、ブレーキ指令器2が圧力センサ17により
所定の込め完了圧力を検知するとゆるめ指令線4への通
電が断たれ、その後は電空変換弁15及び中継弁16の
みによって所定の込め完了圧力を維持するように制御さ
れる。
【0009】ところが、この装置では込め過ぎが生じた
り、逆に込めが完了していないにも関わらず込め完了が
誤検知されることがあり、この傾向は車両が長大編成に
なるほど顕著となる。というのは、前述したように込め
は制御車両と付随車両とから一斉に行なわれるが、込め
完了の検知は制御車両のみが行なうので、前位車両と後
位車両とでブレーキ管9の圧力分布に片寄りができれば
正確な検知はできない。具体的には、付随車両の込めが
速すぎると検知が遅れて込め過ぎになり、逆に制御車両
の込めが速すぎると込め完了の誤検知になるのである。
そして、この誤検知が生ずるとブレーキ指令器2からゆ
るめ指令線4への通電が断たれて付随車両からの込めは
行なわれなくなり、その後の込めは制御車両だけが行な
うことになるので迅速な込めが行なえない。この結果、
ブレーキの開放までの時間が遅れて運転操作性の悪化を
招く。また、ブレーキ管9の圧力分布が片寄ると前位車
両と後位車両との制動力にも差が生じて、前述した自動
空気ブレーキ装置の場合と同様な、車体応力や自連力の
増大、車体の前後振動による乗り心地の悪化などの問題
が生じる。
【0010】なお、上記説明では制御車両として図11
の電気指令式の装置を例としたが、図12のような電磁
指令式の装置を用いても同様である。図12の装置で
は、ブレーキハンドル1に自動空気ブレーキ装置の制御
機能と電磁自動空気ブレーキ装置の制御機能が併設され
ている。即ち、ブレーキハンドル1に内蔵される弁を操
作することによりブレーキ管9の圧力を大気に開放した
り、逆に圧力調整弁14及び給気管10から圧縮空気を
供給することが可能であり、さらに、非常ブレーキ指令
線3、ゆるめ指令線4に通電すべくブレーキ指令器2に
指示する機能をも有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来の鉄
道車両のブレーキ装置では、次のような問題点があっ
た。即ち、自動空気ブレーキ装置にあっては、編成内の
ブレーキ管圧力分布の差に起因する各車両のブレーキ力
のばらつきにより車体応力や自連力の増大を招くととも
に、車体に前後振動を発生させ乗り心地の低下を招いて
いた。さらに、これを改善すべくブレーキの応答性を低
くすればブレーキ本来の性能が犠牲になって空走時間の
延長や制御遅れによる運転操作性の悪化を招いていた。
また、電磁自動ブレーキ装置にあっては、自動空気ブレ
ーキ車両との互換性を維持するために設けられた絞りが
非常ブレーキの応答性を悪化させていた。さらに、非常
ブレーキ後の込め作用においても、込め過ぎや込め完了
の誤検知が生じて運転操作性を悪化させたり、車体応力
や自連力の増大、車体前後振動による乗り心地の低下等
を招いていた。
【0012】本発明は上記問題点を解決し、自動空気ブ
レーキ車両との互換性を維持しつつ電磁自動空気ブレー
キ本来の高い応答性を有する鉄道車両のブレーキ装置を
提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、制御車両と付随車両
とからなる列車編成の各車両にブレーキ手段が設けられ
るとともに、各車両は少なくとも元空気だめ管とブレー
キ管と非常ブレーキ指令線とゆるめ指令線とによって結
合され、前記制御車両には少なくとも前記ブレーキ管の
空気圧を制御する手段と前記非常ブレーキ指令線及び前
記ゆるめ指令線に通電する手段とを含むブレーキ指令手
段を備える一方、前記付随車両には前記ブレーキ管の空
気圧ならびに前記非常ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指
令線の通電に従って該付随車両のブレーキ手段の制動力
を制御するブレーキ制御手段を備えてなる鉄道車両のブ
レーキ装置において、該ブレーキ制御手段のブレーキシ
リンダ配管系にブレーキシリンダ圧力のジャーク制限用
の絞りが設けられるとともに、この絞りをバイパスする
電磁弁が備えられており、該電磁弁は前記非常ブレーキ
指令線又は前記ゆるめ指令線の通電に従って開弁するこ
とを特徴としている。
【0014】また、請求項2に記載の発明では、制御車
両と付随車両とからなる列車編成の各車両にブレーキ手
段が設けられるとともに、各車両は少なくとも元空気だ
め管とブレーキ管と非常ブレーキ指令線とゆるめ指令線
とによって結合され、前記制御車両には少なくとも前記
ブレーキ管の空気圧を制御する手段と前記非常ブレーキ
指令線及び前記ゆるめ指令線に通電する手段とを含むブ
レーキ指令手段を備える一方、前記付随車両には前記ブ
レーキ管の空気圧ならびに前記非常ブレーキ指令線及び
前記ゆるめ指令線の通電に従って該付随車両のブレーキ
手段の制動力を制御するブレーキ制御手段を備えてなる
鉄道車両のブレーキ装置において、前記ブレーキ指令手
段には、複数の込め速度のジャーク制御量を選択する手
段を備えるとともに、該選択手段は、ブレーキ管圧力セ
ンサによる検出圧力が所定値以下の場合には速やかなジ
ャーク制御量を選択する一方、該検出圧力が所定値を越
えた場合には緩やかなジャーク制御量を切換選択するこ
とを特徴としている。
【0015】また、請求項3に記載の発明では、制御車
両と付随車両とからなる列車編成の各車両にブレーキ手
段が設けられるとともに、各車両は少なくとも元空気だ
め管とブレーキ管と非常ブレーキ指令線とゆるめ指令線
とによって結合され、前記制御車両には少なくとも前記
ブレーキ管の空気圧を制御する手段と前記非常ブレーキ
指令線及び前記ゆるめ指令線に通電する手段とを含むブ
レーキ指令手段を備える一方、前記付随車両には前記ブ
レーキ管の空気圧ならびに前記非常ブレーキ指令線及び
前記ゆるめ指令線の通電に従って該付随車両のブレーキ
手段の制動力を制御するブレーキ制御手段を備えてなる
鉄道車両のブレーキ装置において、前記ブレーキ指令手
段には、速やかなジャーク制御量の非常ブレーキ指令と
緩やかなジャーク制御量の常用ブレーキ指令とを選択す
る手段を備え、該選択手段は、ブレーキ指令時の車両速
度が所定値以下か、又は、車両の編成両数が所定数以上
の場合の非常ブレーキ扱いにおいて、所定時間中は常用
ブレーキ指令を選択するとともに所定時間経過後には非
常ブレーキ指令を切換選択することを特徴としている。
【0016】
【作用】請求項1に係る本発明によれば、ブレーキ管の
空気圧に応じてブレーキシリンダの圧力を制御する配管
系統内に設けた絞りがブレーキシリンダ圧力を緩やかに
変化させてジャークの量を制限するように働いて、前位
車両と後位車両とのブレーキ動作を重ねて制動力のばら
つきを抑える作用をする。この動作は従来の自動空気ブ
レーキ車両と全く同じであるから自動空気ブレーキ車両
との混合編成においても互換性が維持される。さらに、
本発明では、この絞りをバイパスする電磁弁が備えられ
ており、この電磁弁の開弁は前記絞りによるジャーク量
の制限を解除するように働いてブレーキの応答時間を短
縮する。そして、この電磁弁は非常ブレーキ指令線又は
ゆるめ指令線の通電に従って開弁するから、電磁自動空
気ブレーキ車両同士の編成でのみ有効に作用して自動空
気ブレーキ車両との混合編成では動作しない。
【0017】また、請求項2に係る本発明によれば、制
御車両のブレーキ指令手段に設けたジャーク量の選択手
段によりブレーキ後の込め速度が選択される。そして、
この選択手段は、ブレーキ管圧力が所定値以下の場合に
速やかなジャーク制御量を選択するように作用して、込
め時間を短縮するように働く。また、この選択手段は、
ブレーキ管圧力が所定値を越えると緩やかなジャーク制
御量へと切換選択するように働いて、ブレーキ管圧力の
ばらつきを抑えて込め完了の誤検知を防止するように作
用する。
【0018】また、請求項3に係る本発明によれば、制
御車両のブレーキ指令手段に設けた選択手段が非常ブレ
ーキ指令と常用ブレーキ指令との選択を行なう。そし
て、この選択手段は非常ブレーキ扱いにおいて、低速走
行下では所定時間中に常用ブレーキ指令を選択するよう
に働いてブレーキ管圧力のばらつきを抑える作用をする
一方、高速走行下では初めから非常ブレーキ指令を選択
するように働いて空走時間を短縮するように作用する。
また、この選択手段は、編成両数が大きいときには所定
時間中に常用ブレーキ指令を選択するように働いて長大
編成による自連力の発生を抑える作用をなす一方、編成
両数が小さいときには初めから非常ブレーキ指令を選択
するように働いて空走時間を短縮するように働く。
【0019】
【実施例】以下、添付図面により本発明に係る鉄道車両
のブレーキ装置の実施例を説明する。なお、図面の説明
において同一の要素には同一符号を付し、重複する説明
を省略する。まず、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第1実施例を図1により説明する。この実施例は請
求項1に係るものである。図に示す通り、この装置は制
御車両と付随車両とからなる列車編成の付随車両に関す
るものであり、制御車両とは非常ブレーキ指令線3、ゆ
るめ指令線4、元空気だめ管8、ブレーキ管9により結
合され、制御車両から非常ブレーキ指令線3、ゆるめ指
令線4に供給される電流と元空気だめ管8、ブレーキ管
9に供給される空気圧とによって、ブレーキ制御弁2
1、応荷重弁24を介してブレーキシリンダ25の空気
圧を調整し、制動力の制御を行なうようになっている。
ここでブレーキ制御弁21及び応荷重弁24は図10の
従来例にて説明したのと同一のものである。従来例と異
なるのは、ブレーキシリンダ25のジャークを制限する
絞り31,34について、これをバイパスする電磁弁2
9,32が設けられていることである。電磁弁29はゆ
るめ指令線4への通電で開弁して絞り31をバイパス
し、電磁弁32は非常ブレーキ指令線3への通電で開弁
して絞り34をバイパスする。従って、電磁自動空気ブ
レーキ車両同士の編成では非常ブレーキ指令線3又はゆ
るめ指令線4に通電して絞り31,34をバイパスする
ことにより高い応答性の非常ブレーキ装置を実現し、非
常ブレーキ作用及び込め作用とも迅速な、運転操作性の
高いブレーキ装置を提供することができる。また、非常
ブレーキ指令線3及びゆるめ指令線4に通電されない状
態では従来の自動空気ブレーキ装置と全く同等の動作を
行なうので、自動空気ブレーキ車両との混合編成におい
て互換性を保つことができる。そして、その場合にはブ
レーキの応答性を低くして自連力を低減し、乗り心地を
向上させることができる。なお、本実施例では絞りを3
1,34のように設けたが、絞りはブレーキ管空気圧に
応じてブレーキシリンダ圧力を制御する配管系統のいず
れかに設けてもよく、例えば、図中のブレーキ管9とブ
レーキ制御弁21との間、ブレーキ制御弁21と応荷重
弁24との間、応荷重弁24とブレーキシリンダ25と
の間等でもよい。これらの場合には電磁弁29,32も
各絞りをバイパスするように設けることはいうまでもな
い。なお、図中のグラフは本実施例の作用を示すもので
ある。ここで、37は非常ブレーキ指令線3への通電を
示す線図、38はゆるめ指令線4への通電を示す線図、
37’は電磁弁32の開弁を示す線図、38’は電磁弁
29の開弁を示す線図、45は電磁自動空気ブレーキ車
両同士の編成でのブレーキシリンダ25の圧力変化を示
す線図、46は自動空気ブレーキ車両との混合編成時の
ブレーキシリンダ25の圧力変化を示す線図である。こ
の図によれば、自動空気ブレ−キ車両との混合編成(4
6)ではブレーキシリンダ25の圧力変化は緩やかでブ
レーキの応答性が低く設定されており、電磁自動空気ブ
レーキ車両同士の編成(45)では反対にブレーキの応
答性が高くなっていることが示されている。
【0020】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第2実施例を図2により説明する。この実施例も請
求項1に係るもので、付随車両に関するものである。請
求項1においては、すでに第1実施例で説明したよう
に、ブレーキシリンダ圧力のジャーク制限用の絞りを設
けるが、設ける位置はブレーキ管空気圧に応じてブレー
キシリンダ圧力を制御する配管系のどこでも良い。そこ
で、本実施例ではブレーキ制御弁21と応荷重弁24と
の間の配管系統に絞り28を設けた。この絞り28によ
りブレーキ制御弁21の動作から応荷重弁24の動作ま
でに時間遅れが生じてブレーキシリンダ25のジャーク
が制限されるとともに、非常ブレーキ指令線3又はゆる
め指令線4への通電により絞り28をバイパスするジャ
ーク制御電磁弁26が開弁するとより大口径の絞り27
を介して空気が流入してジャークの制限が解除されるの
である。なお、ダイオード35はゆるめ指令線4の電流
が非常ブレーキ指令線3に逆流するのを阻止するもの
で、同様にダイオード36は非常ブレーキ指令線3の電
流がゆるめ指令線4に逆流するのを阻止するものであ
る。また、絞り27はジャーク制御電磁弁26の開弁時
の応答を可変に設けたものである。本実施例によれば電
磁自動空気ブレーキ車両同士の編成では非常ブレーキ指
令線3又はゆるめ指令線4に通電して高い応答性の非常
ブレーキ装置を実現し、非常ブレーキ作用及び込め作用
とも迅速な、運転操作性の高いブレーキ装置を提供する
ことができる。また非常ブレーキ指令線3及びゆるめ指
令線4に通電されない状態ではジャーク制御電磁弁26
が閉鎖しているので、絞り28により応答性は制限され
て、従来の自動空気ブレーキ装置と同等の動作を行なっ
て互換性を保つことができる。そして、その場合にはブ
レーキの応答性を低くして自連力を低減し、乗り心地を
向上させることができる。なお、図中のグラフは上記作
用を示すものである。ここで、37は非常ブレーキ指令
線3への通電を示す線図、38はゆるめ指令線4への通
電を示す線図、41はジャーク制御電磁弁26への通電
を示す線図、45は電磁自動空気ブレーキ車両同士の編
成でのブレーキシリンダ25の圧力変化を示す線図、4
6は自動空気ブレーキ車両との混合編成時のブレーキシ
リンダ25の圧力変化を示す線図である。この図によれ
ば、自動空気ブレーキ車両との混合編成(46)ではブ
レーキシリンダ25の圧力変化は緩やかでブレーキの応
答性が低く設定されており、電磁自動空気ブレーキ車両
同士の編成(45)では反対にブレーキの応答性が高く
なっていることが示されている。
【0021】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第3実施例を図3により説明する。この実施例は請
求項2に係るものである。図に示す通り、この装置は制
御車両と付随車両とからなる列車編成の制御車両に関す
るものであり、付随車両とは非常ブレーキ指令線3、ゆ
るめ指令線4、元空気だめ管8、ブレーキ管9により結
合され、非常ブレーキ指令線3、ゆるめ指令線4に電流
を供給し、元空気だめ管8、ブレーキ管9に空気圧を供
給することによって各付随車両の制動力を制御するもの
である。この装置は、図11の従来例とほぼ同様な構成
をとっているが、ブレーキ指令器2が異なっている。即
ち、従来例におけるブレーキ指令器2は、ブレーキハン
ドル1から指示されたブレーキ管9の圧力の目標値と圧
力センサ17による検出値とを比較して、その結果に応
じて制御線6の電圧を制御する機能のみを有していた。
そしてこの際の込め速度のジャークの制御量は常に一定
になっていた。これに対し、本実施例におけるブレーキ
指令器2では、制御線6の電圧を制御するのに際して複
数の込め速度のジャーク制御量を選択する機能が内蔵さ
れており、これによりブレーキ後の込め速度を選択でき
るようになっている。そして、この選択は圧力センサ1
7の検出値と所定の設定値との大小判断により行なわれ
る。即ち、圧力センサ17により検出されたブレーキ管
9の圧力が所定の設定値以下の場合には速やかなジャー
ク制御量を選択する一方、圧力センサ17による検出圧
力が設定値を越えると緩やかなジャーク制御量を切換選
択して電空変換弁15の制御を行なうのである。そし
て、この機能は非常ブレーキ後の込め作用においてのみ
働くもので、具体的には、ゆるめ指令線4への通電中に
のみ作用するようになっている。本実施例によれば、ブ
レーキ指令器2が、非常ブレーキ後の込め作用に際し
て、所定圧以下のブレーキ管圧力に対しては速やかな込
め作用を行なうとともに、所定圧を越えるブレーキ管圧
力に対しては緩やかな込め作用を行なうので、速やかな
込め作用により込め時間の短縮を図る一方、圧力が上昇
して込めの誤検知の危険性が生ずると緩やかな込めに切
り換えるので、ブレーキ管圧力のばらつきを抑えて込め
完了の誤検知を防止することができる。なお、図中のグ
ラフは上記作用を示すものである。ここで、37は非常
ブレーキ指令線3への通電を示す線図、38はゆるめ指
令線4への通電を示す線図、40はブレーキ指令器2に
よるブレーキ管圧力制御パターンを示す線図、42はブ
レーキ管9の圧力変化を示す線図である。この図によれ
ば、ブレーキ管9の圧力変化が所定圧以下のブレーキ管
圧力に対しては速やかな込め作用を行ない、その後の込
めが緩やかに行なわれていることが示されている。
【0022】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第4実施例を図4により説明する。この実施例も請
求項2に係るもので、制御車両に関するものである。前
述した第3実施例では電気指令式の制御車両に適用した
例を説明したが、本実施例は電磁指令式の制御車両に関
するものである。本実施例では複数の込め速度のジャー
ク制御量を選択する手段として給気管10の途中に設け
た絞り12とこの絞り12をバイパスする電磁弁11を
用いている。そして、電磁弁11はブレーキ指令器2か
ら制御線5を介して供給される電流により開弁するよう
になっている。即ち、電磁弁11の閉鎖中には絞り12
によりブレーキの込めのジャークの量は制限されて緩や
かなものとなり、一方、電磁弁11が開弁すると制限の
ない速やかなジャーク制御が行なわれるのである。そし
て、本実施例と第3実施例ではブレーキ指令器2も異な
るものとなっている。即ち、第3実施例のブレーキ指令
器2は複数のジャークの量を選択する必要があったが、
本実施例のブレーキ指令器2はより簡易なもので、圧力
センサ17の検出値が所定の設定値よりも小さい場合に
制御線5に通電する機能を有するものである。従って、
本実施例においては圧力センサ17の検出値が所定圧以
下のときに電磁弁11が開弁し、絞り12に制限される
ことなく、元空気だめ管8の圧縮空気が圧力調整弁1
4、電磁弁11、給気管10、ブレーキハンドル1を通
って中継弁16に作用するので、速やかな込め速度のジ
ャーク制御が行なわれる。そして、圧力センサ17の検
出値が所定圧を越えると電磁弁11は閉鎖し、絞り12
に制限された緩やかな込め速度のジャーク制御に切り換
えられる。従って、速やかな込め作用により込め時間の
短縮を図るとともに、緩やかな込めにより込めの誤検知
を防止することができる。なお、図中のグラフは上記作
用を示すのものである。ここで、37は非常ブレーキ指
令線3への通電を示す線図、38はゆるめ指令線4への
通電を示す線図、39は電磁弁11への通電を示す線
図、42はブレーキ管9の圧力変化を示す線図である。
この図によれば、ブレーキ管9の圧力変化が、電磁弁1
1へ通電される所定圧以下のブレーキ管圧力に対しては
速やかな込め作用を行ない、その後の込めが緩やかに行
なわれることが示されている。
【0023】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第5実施例を図5により説明する。この実施例も請
求項2に係るもので、制御車両に関するものである。本
実施例では複数の込め速度のジャーク制御量を選択する
手段として給気管10に電磁弁13を設けると共に電磁
弁19と絞り12を含む配管により元空気だめ管8から
ブレーキ管9へ空気導入が可能になっている。電磁弁1
3はブレーキ指令器2から制御線5を介して供給される
電流により開弁するようになっており、電磁弁19もブ
レーキ指令器2から通電されて開弁するようになってい
る。即ち、速やかなジャーク制御量を選択するためには
電磁弁13を開弁すれば通常の自動空気ブレーキ方式の
機関車等と同等の速さでの込めが行なわれ、また、緩や
かなジャーク制御量を選択するために電磁弁13を閉鎖
すると共に電磁弁19を開弁して絞り12により制限さ
れた緩やかなジャークの量により込めを行なう。そし
て、ブレーキ指令器2は第4実施例と同様に圧力センサ
17の検出値が所定の設定値よりも小さい場合に制御線
5に通電するものである。従って、本実施例によれば圧
力センサ17の検出値が所定圧以下のときに電磁弁13
が開弁して速やかな込め速度のジャーク制御が行なわれ
る。そして圧力センサ17の検出値が所定圧を越えると
電磁弁13が閉鎖すると同時に電磁弁19が開弁して絞
り12により制限された緩やかな込め速度のジャーク制
御に切り換えられる。従って、速やかな込め作用により
込め時間の短縮を図るとともに、緩やかな込めにより込
めの誤検知を防止することができる。なお、図中のグラ
フは上記作用を示すものである。ここで、37は非常ブ
レーキ指令線3への通電を示す線図、38はゆるめ指令
線4への通電を示す線図、42はブレーキ管9の圧力変
化を示す線図、52は電磁弁13への通電を示す線図で
ある。この図によれば、ブレーキ管9の圧力変化が、電
磁弁13への通電中により速やかになっており、その後
は緩やかになっていることが示されている。
【0024】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第6実施例を図6により説明する。この実施例は請
求項3に係るもので、制御車両に関するものである。図
に示す通り、この装置は、図3の第3実施例とほぼ同様
な構成をとっているが、次のような違いがある。即ち、
本実施例のブレーキ指令器2には速やかなジャーク制御
量の非常ブレーキ指令と緩やかなジャーク制御量の常用
ブレーキ指令とを選択する機能が設けられており、これ
により運転士のブレーキ指令の選択にかかわらずいずれ
のブレーキ指令をも選択できるようになっている。そし
て、ブレーキ指令器2には速度センサ51が接続される
とともに、車両の編成両数を設定するスイッチ(図示せ
ず)が設けられており、車両の走行速度と編成両数とに
従ってブレーキ指令の選択がなされる。具体的には、運
転士が非常ブレーキ扱いを指示した場合において、ブレ
ーキ指令器2が車両走行速度を所定値以下と判断すると
所定時間のタイマーを起動してタイマー動作中は非常ブ
レーキ指令線3へ通電せずに常用ブレーキ指令を選択す
る。そして、所定時間経過の後に非常ブレーキ指令を切
換選択して非常ブレーキ指令線3への通電を開始する。
また、これと同様に、車両の編成両数が大きい場合にお
いても、運転士の非常ブレーキ扱いにかかわらず、所定
時間中は常用ブレーキ指令を選択するように働く。従っ
て、本実施例によれば、低速走行時における非常ブレー
キ作用に際しては、所定時間の常用ブレーキ指令により
ブレーキ管圧力を緩やかに減圧し、各車両間のブレーキ
管圧力のばらつきを抑え、しかる後に非常ブレーキ指令
による急激な減圧を行なうので、各車両間の制動力にば
らつきは無くなって、車体応力や自連力を低減し車体の
前後振動による乗り心地の悪化が防止される。そして、
高速走行時には常用ブレーキ指令を発することなく、直
ちに非常ブレーキ指令を発するので車両運行上の安全性
を阻害すこともない。また、車両の編成両数が大きい場
合の非常ブレーキ扱いにおいても、所定時間の常用ブレ
ーキ指令によりブレーキ管圧力を緩やかに減圧し、各車
両間のブレーキ管圧力のばらつきを抑えるので、長大編
成による過大な車体応力や自連力の発生を防止すること
ができる。そして、過大な自連力の発生することのない
短編成での非常ブレーキ扱いにおいては常用ブレーキ指
令を行なうことなく初めから非常ブレーキ指令を発する
ので空走時間が短縮される。なお、本実施例では前記タ
イマーの設定時間を車両編成の長さに応じて調整すれ
ば、各編成に最適な設定を行なうことも可能である。な
お、図中のグラフは本実施例の作用を示すものである。
ここで、37は非常ブレーキ指令線3への通電を示す線
図、40はブレーキ指令器2によるブレーキ管圧力制御
パターンを示す線図、42はブレーキ管9の圧力変化を
示す線図、48はブレーキ指令器2の常用ブレーキ指令
状態を示す線図である。この図によれば、ブレーキ管9
の減圧が常用ブレーキ指令中には緩やかになっており、
その後は急激に減圧されていることが示される。
【0025】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第7実施例を図7により説明する。この実施例も請
求項3に係るもので、制御車両に関するものである。前
述した第6実施例では電気指令式の制御車両に適用した
例を説明したが、本実施例は電磁指令式の制御車両に関
するものである。即ち、本実施例では速やかなジャーク
制御量の非常ブレーキ指令と緩やかなジャーク制御量の
常用ブレーキ指令とを選択する手段として、ブレーキハ
ンドル1と中継弁16との間の配管に電磁弁49と絞り
50とを並列的に設けている。そして、電磁弁49の閉
鎖中には絞り50によってジャーク量が制限されるの
で、ブレーキハンドル1により非常ブレーキ扱いとして
も緩やかなジャーク制御量の常用ブレーキ指令が行なわ
れる。また、電磁弁49がブレーキ指令器2からの通電
により開弁すると、ジャークの量が制限されることはな
くなるから速やかなジャーク制御量の非常ブレーキ指令
が行なわれるようになる。従って、ブレーキ指令器2か
ら電磁弁49への通電の有無によって非常ブレーキ指令
と常用ブレーキ指令とを選択できる。ここで、ブレーキ
指令器2には第6実施例と同様に速度センサ51が接続
されるとともに、車両の編成両数を設定するスイッチ
(図示せず)が設けられており、車両の走行速度と編成
両数とに従ってブレーキ指令の選択がなされる。具体的
には、運転士が非常ブレーキ扱いを指示した場合におい
て、ブレーキ指令器2が車両走行速度を所定値以下と判
断すると所定時間のタイマーを起動してタイマー動作中
は電磁弁49へ通電せずに常用ブレーキ指令を選択す
る。そして、所定時間経過の後に非常ブレーキ指令を切
換選択して電磁弁49への通電を開始する。また、同様
に、車両の編成両数が大きい場合においても、運転士の
非常ブレーキ扱いにかかわらず、所定時間中は常用ブレ
ーキ指令を選択するように働く。従って、本実施例によ
れば、低速走行時における非常ブレーキ作用に際して
は、所定時間の常用ブレーキ指令によりブレーキ管圧力
を緩やかに減圧し、各車両間のブレーキ管圧力のばらつ
きを抑え、しかる後に非常ブレーキ指令による急激な減
圧を行なうので、各車両間の制動力のばらつきは無くな
って、車体応力や自連力を低減し車体の前後振動による
乗り心地の悪化が防止される。そして、高速走行時には
常用ブレーキ指令を発することなく、直ちに非常ブレー
キ指令を発するので車両運行上に安全性を阻害すること
もない。また、車両の編成両数が大きい場合の非常ブレ
ーキ扱いにおいても、所定時間の常用ブレーキ指令によ
りブレーキ管圧力を緩やかに減圧し、各車両間のブレー
キ管圧力のばらつきを抑えるので、長大編成による過大
な車体応力や自連力の発生を防止することができる。そ
して、過大な自連力の発生することのない短編成での非
常ブレーキ扱いにおいては常用ブレーキ指令を行なうこ
となく初めから非常ブレーキ指令を発するので空走時間
が短縮される。なお、図中のグラフは上記作用を示すも
のである。ここで、37は非常ブレーキ指令線3への通
電を示す線図、38はゆるめ指令線4への通電を示す線
図、42はブレーキ管9への圧力変化を示す線図、48
はブレーキ指令器2の常用ブレーキ指令状態を示す線図
である。この図によれば、ブレーキ管9の減圧が常用ブ
レーキ指令中には緩やかになっており、その後は急激に
減圧されていることが示されている。
【0026】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の第8実施例を説明する。この実施例は請求項1乃至
請求項3を組み合わせたもので、図8は制御車両に関す
る部分と付随車両に関する部分の両方を示している。即
ち、制御車両としては図6の第6実施例と同様の構成を
とっており、付随車両としては図2の第2実施例の構成
になっている。このように本発明では制御車両に関する
実施例と付随車両に関する実施例とを自在に組み合わせ
て実施することが可能である。そして、この実施例の作
用を図9に示すとともに、参考として従来のブレーキ装
置の作用を図13に示す。ここで、37’は常用ブレー
キ指令状態を示す線図、37は非常ブレーキ指令線3へ
の通電を示す線図、38はゆるめ指令線4への通電を示
す線図、40はブレーキ指令器2によるブレーキ管圧力
制御パターンを示す線図、41はジャーク制御電磁弁2
6への通電を示す線図、42乃至44はいずれもブレー
キ管9の圧力を示す線図で、42は電磁自動空気ブレー
キ車両同士の編成の前位車両におけるもの、43は自動
空気ブレーキ車両との混合編成の前位車両におけるも
の、44は電磁自動空気ブレーキ車両同士の編成の後位
車両におけるもの、45乃至47はいずれもブレーキシ
リンダ25の圧力を示す線図で、45は電磁自動空気ブ
レーキ車両同士の編成の前位車両におけるもの、46は
自動空気ブレーキ車両との混合編成の前位車両における
もの、47は電磁自動空気ブレーキ車両同士の編成の後
位車両におけるもの、48はブレーキ指令器2の常用ブ
レーキ指令状態を示す線図である。これらの図において
ブレーキシリンダ25の圧力に着目すると、図13の従
来例では非常ブレーキ指令線3へ通電(37)しても、
ブレーキの応答性は45,47に示すように自動空気ブ
レーキの応答(46)から殆ど改善されていないのに対
して、図9の本実施例では自動空気ブレーキの応答(4
6)と全く異なる高い応答性の非常ブレーキが実現され
ている(45,47)ことが示されている。さらに、ブ
レーキ管9の込め作用については、図13の従来例では
42,44に示すように圧力の急激な立ち上がりによる
込め完了の誤検知が発生して最終的な込め完了まで長時
間要しているのに対して、図9の本実施例では込め完了
の誤検知が起こる以前に緩慢な込め作用に切り換えて、
かえって最終的な込め完了までの時間を短縮できている
ことが示されている。
【0027】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、電磁自動空気ブレーキ装置のほ
か、電磁速動空気ブレーキ装置、電磁直通空気ブレーキ
装置、多段式中継弁を用いた電気指令式空気ブレーキ装
置にも適用できる。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明に係る鉄道車両のブ
レーキ装置の請求項1に記載したものによれば、ブレー
キシリンダ圧力のジャーク制限用の絞りを設けたから、
従来の自動空気ブレーキ車両との互換性を維持すること
が可能であり、これらの車両との混合編成においても各
車両の制動力のばらつきを抑止して、車体応力や自連力
の発生や前後振動による乗り心地の悪化を防止すること
が可能となる。そして、この絞りをバイパスする電磁弁
を設けて、非常ブレーキ指令又はゆるめ指令により開弁
するように構成したから、電磁自動空気ブレーキ車両同
士の編成では、電磁自動空気ブレーキ本来の高い応答性
を有する非常ブレーキ装置を提供することが可能とな
る。
【0029】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の請求項2に記載したものによれば、非常ブレーキ後
の込め作用に際して、当初の込め作用は速やかに行なわ
れるが、込め完了の誤検知の危険性がある所定圧力域以
降では込め作用を緩やかに行なうように切り換えるの
で、込め完了が誤検知されることは無くなり、込め完了
までゆるめ指令線に通電される。従って、込め時間が短
縮されるとともに込め過ぎ等が発生することもなくなっ
て、運転操作性が向上し、制動後の再力行も容易となる
効果がある。
【0030】次に、本発明に係る鉄道車両のブレーキ装
置の請求項3に記載したものによれば、低速走行時にお
ける非常ブレーキ作用に際しては、所定時間の常用ブレ
ーキ指令によりブレーキ管圧力を緩やかかつ均等に減圧
した後で非常ブレーキ指令による急激な減圧を行なうの
で、各車両間の制動力のばらつきは無くなって、車体応
力や自連力は低減し車体の前後振動は防止され乗り心地
を向上することができる効果がある。そして、高速走行
時には常用ブレーキ指令を発することなく、直ちに非常
ブレーキ指令を発するので非常ブレーキの応答性は高
く、車両運行上の安全性の高いブレーキ装置を提供する
ことができる。また、車両の編成両数が大きい場合の非
常ブレーキ扱いにおいても、所定時間の常用ブレーキ指
令によりブレーキ管圧力を緩やかに減圧し、各車両間の
ブレーキ管圧力のばらつきを抑えるので、長大編成によ
る過大な車体応力や自連力の発生を防止することができ
る。そして、過大な自連力の発生することのない短編成
での非常ブレーキ扱いにおいては常用ブレーキ指令を行
なうことなく初めから非常ブレーキ指令を発するので空
走時間が短縮される効果がある。
【0031】以上のように本発明に係る鉄道車両のブレ
ーキ装置によれば、鉄道車両の速度向上と長大編成化に
十分対応可能なブレーキ装置を提供することが可能であ
る。さらに、本発明装置はブレーキ制御用電源を持たな
い貨車等にも簡易な改造で安価に設置可能であり、実用
的効果の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第1実
施例(請求項1)の構成および作用図である。
【図2】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第2実
施例(請求項1)の構成および作用図である。
【図3】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第3実
施例(請求項2)の構成および作用図である。
【図4】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第4実
施例(請求項2)の構成および作用図である。
【図5】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第5実
施例(請求項2)の構成および作用図である。
【図6】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第6実
施例(請求項3)の構成および作用図である。
【図7】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第7実
施例(請求項3)の構成および作用図である。
【図8】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第8実
施例の構成および作用図で、請求項1乃至3に係る発明
を組み合わせたものである。
【図9】本発明に係る鉄道車両のブレーキ装置の第8実
施例による非常ブレーキとゆるめの作用図である。
【図10】従来の鉄道車両の電磁自動空気ブレーキ装置
における付随車搭載部分の構成および作用図である。
【図11】従来の鉄道車両の電気指令式電磁自動空気ブ
レーキ装置における制御車搭載部分の構成および作用図
である。
【図12】従来の鉄道車両の電磁自動空気ブレーキ装置
における制御車搭載部分の構成および作用図である。
【図13】従来の鉄道車両の電磁自動空気ブレーキ装置
による非常ブレーキとゆるめの作用図である。
【符号の説明】
1・・・ブレーキハンドル 2・・・ブレーキ指令器 3・・・非常ブレーキ指令線 4・・・ゆるめ指令線 5,6,7・・・制御線 8・・・元空気だめ管 9・・・ブレーキ管 10・・・給気管 11,13,18,19,26,29,32,49・・
・電磁弁 12,20,27,28,30,31,33,34,5
0・・・絞り 14・・・圧力調整弁 15・・・電空変換弁 16・・・中継弁 17・・・圧力センサ 21・・・ブレーキ制御弁 22・・・供給空気だめ 23・・・作用空気室管 24・・・応荷重弁 25・・・ブレーキシリンダ 35,36・・・ダイオード 51・・・速度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新田 浩 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 日本貨物鉄道株式会社内 (72)発明者 川口 清 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 長谷川 泉 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御車両と付随車両とからなる列車編成の
    各車両にブレーキ手段が設けられるとともに、各車両は
    少なくとも元空気だめ管とブレーキ管と非常ブレーキ指
    令線とゆるめ指令線とによって結合され、前記制御車両
    には少なくとも前記ブレーキ管の空気圧を制御する手段
    と前記非常ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線に通電
    する手段とを含むブレーキ指令手段を備える一方、前記
    付随車両には前記ブレーキ管の空気圧ならびに前記非常
    ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線の通電に従って該
    付随車両のブレーキ手段の制動力を制御するブレーキ制
    御手段を備えてなる鉄道車両のブレーキ装置において、 該ブレーキ制御手段のブレーキシリンダ配管系にブレー
    キシリンダ圧力のジャーク制限用の絞りが設けられると
    ともに、この絞りをバイパスする電磁弁が備えられてお
    り、該電磁弁は前記非常ブレーキ指令線又は前記ゆるめ
    指令線の通電に従って開弁することを特徴とする鉄道車
    両のブレーキ装置。
  2. 【請求項2】制御車両と付随車両とからなる列車編成の
    各車両にブレーキ手段が設けられるとともに、各車両は
    少なくとも元空気だめ管とブレーキ管と非常ブレーキ指
    令線とゆるめ指令線とによって結合され、前記制御車両
    には少なくとも前記ブレーキ管の空気圧を制御する手段
    と前記非常ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線に通電
    する手段とを含むブレーキ指令手段を備える一方、前記
    付随車両には前記ブレーキ管の空気圧ならびに前記非常
    ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線の通電に従って該
    付随車両のブレーキ手段の制動力を制御するブレーキ制
    御手段を備えてなる鉄道車両のブレーキ装置において、 前記ブレーキ指令手段には、複数の込め速度のジャーク
    制御量を選択する手段を備えるとともに、該選択手段
    は、ブレーキ管圧力センサによる検出圧力が所定値以下
    の場合には速やかなジャーク制御量を選択する一方、該
    検出圧力が所定値を越えた場合には緩やかなジャーク制
    御量を切換選択することを特徴とする鉄道車両のブレー
    キ装置。
  3. 【請求項3】制御車両と付随車両とからなる列車編成の
    各車両にブレーキ手段が設けられるとともに、各車両は
    少なくとも元空気だめ管とブレーキ管と非常ブレーキ指
    令線とゆるめ指令線とによって結合され、前記制御車両
    には少なくとも前記ブレーキ管の空気圧を制御する手段
    と前記非常ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線に通電
    する手段とを含むブレーキ指令手段を備える一方、前記
    付随車両には前記ブレーキ管の空気圧ならびに前記非常
    ブレーキ指令線及び前記ゆるめ指令線の通電に従って該
    付随車両のブレーキ手段の制動力を制御するブレーキ制
    御手段を備えてなる鉄道車両のブレーキ装置において、 前記ブレーキ指令手段には、速やかなジャーク制御量の
    非常ブレーキ指令と緩やかなジャーク制御量の常用ブレ
    ーキ指令とを選択する手段を備え、該選択手段は、ブレ
    ーキ指令時の車両速度が所定値以下か、又は、車両の編
    成両数が所定数以上の場合の非常ブレーキ扱いにおい
    て、所定時間中は常用ブレーキ指令を選択するとともに
    所定時間経過後には非常ブレーキ指令を切換選択するこ
    とを特徴とする鉄道車両のブレーキ装置。
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