JP2582008B2 - 食品用保存剤 - Google Patents
食品用保存剤Info
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Description
る。
等の香辛料中に含まれる抗菌性物質については、今まで
に多くの研究がなされているが、これまで抗菌性が報告
されているのは、いずれも有機溶媒を用いて唐辛子から
抽出した成分に関するものである。唐辛子等の香辛料か
らの有機溶媒抽出成分は優れた抗菌性を有することが報
告されているが、この抽出成分のうち抗菌作用を有する
ものは香辛味成分であることが判明している。
菌剤として食品に添加すると、香辛料の味や香りが食品
に付加され、食品本来の味や香り色等を損なうため、従
来の唐辛子等の香辛料からの抽出成分は、優れた抗菌性
を有しながら食品用保存剤として用いるには大きな問題
があった。
結果、唐辛子の果実から水性溶媒により抽出した水溶性
画分に、香辛味成分以外の抗菌性物質が含有されること
を見出した。また、唐辛子の水溶性画分中に含まれる抗
菌性作用を有する物質が蛋白質であることを見出し、更
に鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
は、唐辛子の果実から、水性溶媒により抽出した、水溶
性蛋白質を含有し香辛味成分を含まない水溶性画分を有
効成分とするものである。特に水溶性画分中に、乾燥物
として2重量%以上の水溶性蛋白質が含有されることが
好ましい。また上記唐辛子の水溶性画分と、グリシン、
酢酸ナトリウム、リゾチーム、甘草抽出抗菌性物質、低
級脂肪酸エステル、グルコノデルタラクトン、シュガー
エステル、ビタミンB1エステル、重合リン酸塩、プロ
タミン、ポリリジン、アスコルビン酸及びその塩からな
る群より選ばれたる1種または2種以上と併用したもの
でも良い。
名:Capsicum annuum L.およびCapsium frutescens L.)
は、ナス科に属する植物で、果菜として知られているも
のである。唐辛子は南アメリカ原産といわれ、熱帯から
温帯に広く栽培されている。一般に、唐辛子は、レッド
・ペッパー、チリ・ペッパー、鷹の爪、八房、甘唐辛
子、パプリカ等といわれ、品種改良もなされて多くの品
種、形状のものが知られている。辛味のないものと、辛
味が強烈なもの等種々のものがあるが、本発明ではいず
れの品種でも用いることができる。
性蛋白質を含有し香辛味成分を含まない唐辛子の水溶性
画分は、唐辛子の果実を水性溶媒で抽出して得られる。
水性溶媒としては水や、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン等を
用いることができ、これらを併用することもできる。水
溶性画分は通常、乾燥して粉末化して用いる。また、塩
析、等電点沈殿等の手段によって含有量を高めて用いる
こともできる。
原料の違い、抽出に用いる水性溶媒の違い等によっても
異なるが、水性溶媒として水を用いた場合、乾燥物とし
て通常、0.5〜5重量%の蛋白質が含有される。本発明
の食品用保存剤の有効成分である唐辛子の水溶性画分中
に含まれている抗菌性物質は、主として水溶性蛋白質で
あろうと考えられる。唐辛子の水溶性画分中に含まれる
水溶性蛋白質の含有量は、同一原料を用いても抽出方法
の違い等によって異なるが、水溶性蛋白質の含有量が2
重量%以上であることが好ましい。水溶性画分中の蛋白
質の存在は紫外線吸収スペクトル、ニンヒドリン法等に
よって確認することができ、また含有量はケルダール
法、ローリー法等で定量することができる。
の菌に対し強い抗菌活性を有し、この抗菌活性はpHに影
響されることがなく、また熱に対しても安定であるが、
他の菌に対する優れた抗菌性を有する、グリシン、酢酸
ナトリウム、リゾチーム、甘草抽出抗菌性物質、低級脂
肪酸エステル、グルコノデルタラクトン、シュガーエス
テル、ビタミンB1 エステル、重合リン酸塩、プロタミ
ン、ポリリジン、アスコルビン酸及びその塩の1種また
は2種以上と併用すると食品の保存効果が更に向上する
ため好ましい。
ノデルタラクトン、アスコルビン酸及びその塩は、食品
に添加できるグレードのものであれば良い。またリゾチ
ームは、通常食品用として市販されているものを使用す
ることができる。
先に提案した特願昭60−17298号に記載されてい
るように、甘草から芳香族炭化水素、アセトン、エタノ
ール等で抽出した物質を用いることができる。この甘草
抽出抗菌性物質の実体は現在のところ不明であるが、い
わゆる甘味料として用いられているグリチルリチンとは
全く別の物質であると考えられる。
ロン酸、カプリル酸、ラウリン酸等と、グリセリンとの
エステルを用いることができる。またシュガーエステル
は食品添加物として許可されているものであればいずれ
も使用できる。ビタミンB1 エステルとしては、ビタミ
ンB1 硫酸塩、例えばラウリル硫酸塩、セチル硫酸塩等
が挙げられる。更にポリリジンは、ストレプトマイセス
属に属するポリリジン産生菌を培養して得られる培養物
から分離採取することができる。
は0.0005〜10重量%、特に0.005〜5重量%が
好ましい。上記した唐辛子の水溶性画分と併用する物質
の添加量は、食品の風味、味覚、色等に影響を及ぼさな
い範囲であれば良い。通常、唐辛子の水溶性画分1重量
部に対し、0.001〜20000重量部、好ましくは0.
005〜500重量部である。
は、例えば穀類、野菜、果実類、海草等を主原料とする
惣菜類(佃煮等)、漬物類(浅漬、古漬等)の他、かま
ぼこ、ちくわ、はんぺん、魚肉ハム等の水産練製品、水
産珍味、ソーセージ、ウィンナーソーセージ、ベーコ
ン、ハンバーグ、ミートボール等の畜肉製品、豆腐、豆
乳等や缶入りコーヒー等の飲料である。
辛子の水溶性画分を他の抗菌剤と併用する場合、これら
を一緒に添加しても別々に添加しても良い。また本発明
の食品用保存剤を水溶液として用いる場合には食品に噴
霧しても、食品を水溶液に浸漬しても良い。本発明保存
剤の添加時期にも特に制限はなく、食品の製造過程のど
の工程において行ってもよく、例えば加工食品であれ
ば、一般に加熱成形した後の包装前に水溶液を噴霧した
り水溶液に浸漬する方法により添加する。本発明保存剤
による食品の防腐効果をより有効に発現させるために
は、本発明保存剤を添加後に食品を加熱することが好ま
しい。加熱温度は通常の調理、殺菌を目的とする加熱温
度またはそれ以下で良いが、内部温度が50℃以上にな
るように加熱することが好ましい。
明する。
を、100ppm 、300ppm 、500ppm 、700ppm
、1000ppm 添加したトリプトソイ寒天培地(pH=
6.0)に、被検菌として4種の菌を接種して30℃で7
2時間培養後、菌の発育の有無を観察した。結果を表1
に示す。
び評価基準は以下の通りである。 菌の種類 菌A:Sacchromyces cerevisiae 菌B:Hansenula anomala 菌C:Pichia membranaefaciens 菌D:Penicillium decumbens 評価基準 +:菌の発育が認められる。 −:菌の発育が認められない。
g、グルタミン酸ナトリウム25g、砂糖25g、馬鈴
薯でんぷん175g及び氷水1kgを配合した基本組成
に、表2に組成を示す保存剤を添加し(基本組成に対す
る添加剤の各成分の割合が、表2に示す割合となるよう
に添加した。尚、表2中の各成分の割合は重量%であ
る。)、30分擂潰後、塩化ビニリデンフィルム(折径
4〜5mm)に約100gずつ充填し、90℃の熱水中で
30分間加熱した後、流水で30分間冷却して得た蒲鉾
を、同様にして製造した保存剤無添加の蒲鉾とともに保
存試験標本とした。保存試験はケーシング蒲鉾を1試験
区当たり10本ずつ25℃の恒温器中で保存し、保存性
を肉眼で観察し、防腐効果を判定した。 0点:変化なし。 0.5点:極めて小さなスポット出現 1点:コロニー様スポット1個又は部分膨張1個、離水
少し濁る。 2点:コロニー様スポット2個以上又は部分膨張2個以
上、離水濁る。 3点:コロニー様スポット多数又は小さな部分膨張多
数。 4点:部分膨張又は部分軟化。 5点:全体が軟化、膨張。 として評価し、10本の試験標本の各々について評価が
1点に達するまでの日数を求め、その平均を有効保存日
数とした。結果を表3に示す。尚、官能検査の結果、本
発明保存剤を添加した試験区は、対照品を添加した対照
区に比べて味、色、におい等において全く差が認められ
ず、添加による品質上の悪影響は認められなかった。
配合した基本組成に、表2に組成を示す保存剤を添加
し、充分混合した後、小型製麺機により麺線を作り、沸
騰水中で4分間ゆであげ、水冷した。水切り後、ポリエ
チレン袋に収納して密封し、1試験区当たり10袋ずつ
を25℃の恒温器中に保存して外観の変化を観察した。 0点:変化なし。 1点:変色、軟化、ネト、カビが1箇所に発生。 2点:変色、軟化、ネト、カビが2箇所に発生又は1箇
所の変敗が広がる。 3点:変色、軟化、ネト、カビが全体の1/2に広が
る。 4点:変色、軟化、ネト、カビが全体の3/4に広が
る。 5点:変色、軟化、ネト、カビが全体に広がる。 として評価し、10袋の試験標本の各々について評価が
1点となるまでの日数を求めその平均を有効保存日数と
した。結果を表4に示す。
粉60g、水50gを配合した基本組成に表2に示す保
存剤を添加し、充分混合した後、成形して25分間蒸し
あげ、冷却した。その後、1試験区当たり10個ずつを
25℃で保存して外観の変化を観察し、有効保存日数を
実施例1と同様の基準で求めた結果を表5に示す。また
本発明保存剤を添加した試験区は、対照区に比べて味、
色、におい、形態等において全く差が認められず、添加
による品質上の悪影響は認められなかった。
5g、コーンスターチ6.5gを基本組成とし、これに表
6に示す保存剤を添加し(表6中の各成分の量は、基本
組成に対する重量%である。)、充分に攪拌しながら弱
火で加熱し総重量の1割を煮つめた。このカスタードク
リームを冷却後、カップに充填して、25℃で保存し外
観の変化を観察し、一般生菌数が、1×106個/gに
達するまでの日数を有効保存日数とした。結果を表7に
示す。また官能試験を行った結果、本発明保存剤を添加
した試験区は、対照区に比べて味、色、におい、形態等
において全く差が認められず、添加による品質上の悪影
響は認められなかった。
ラスビンに分注し、オートクレーブ滅菌を行った。表6
に示す組成の保存剤の水溶液(水溶液中の各成分の量
が、表6に示す量となるように水溶液を調整した。尚、
表6中の各成分の量は重量%である。)を、ろ過滅菌し
た後、滅菌豆乳に添加混合し、全量を50ミリリットル
とした。次いでバチルス・ズブチリスIAM1069の
胞子懸濁液を豆乳中約102 個/ミリリットルとなるよ
うに接種し、90℃の水浴中で40分間加熱した後、水
冷し、25℃で保存して経日的に菌数測定を行った。菌
数が106 個/ミリリットルとなるまでの日数を有効保
存日数とした。結果を表8に示す。
脂15重量%、食塩2.5重量%、重合リン酸塩0.1重量
%、スパイス0.5重量%、亜硝酸ナトリウム70ppm 及
び氷水10重量%を加え、サイレントカッターで10分
間カッティングした。得られたエマルジョン肉を手動式
スタッファーを用いて約15gずつ羊腸に充填した。こ
れをスモークハウスで40分間乾燥後、スモーク及び蒸
煮を行い、中心部温度が75℃となるように加熱してウ
ィンナーソーセージを製造した。このウィンナーソーセ
ージを一夜冷蔵庫に保管後、表6に示す組成の保存剤の
水溶液(水溶液中の各成分の量が、表6に示す量となる
ように水溶液を調整した。)に2分間浸漬し、水切り風
乾後、滅菌シャーレ1枚にウィンナーソーセージ2本ず
つ入れたものを1試験区10枚用意し、25℃で保存し
て外観の変化を観察した。実施例1と同様の基準によっ
て有効保存日数を求めた。結果を表9に示す。
加した食品は、保存性を著しく向上することができる。
また本発明の保存剤は、食品本来の味覚、風味、色等を
変化させることがなく、添加による品質上の悪影響がな
い等の優れた食品用保存剤である。しかも唐辛子の水溶
性画分を他の抗菌性を有する物質と併用すると、更に食
品の保存性を向上することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 唐辛子の果実から、水性溶媒により抽出
した、水溶性蛋白質を含有し香辛味成分を含まない水溶
性画分を有効成分とする食品用保存剤。 - 【請求項2】 水溶性画分中に乾燥物として2重量%以
上の水溶性蛋白質を含有する請求項1記載の食品用保存
剤。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の唐辛子の水溶性
画分と、グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、甘草
抽出抗菌性物質、低級脂肪酸エステル、グルコノデルタ
ラクトン、シュガーエステル、ビタミンB1 エステル、
重合リン酸塩、プロタミン、ポリリジン、アスコルビン
酸及びその塩からなる群より選ばれたる1種または2種
以上とからなる食品用保存剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3165026A JP2582008B2 (ja) | 1990-11-28 | 1991-06-10 | 食品用保存剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32237090 | 1990-11-28 | ||
JP2-322370 | 1990-11-28 | ||
JP3165026A JP2582008B2 (ja) | 1990-11-28 | 1991-06-10 | 食品用保存剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04341169A JPH04341169A (ja) | 1992-11-27 |
JP2582008B2 true JP2582008B2 (ja) | 1997-02-19 |
Family
ID=26489915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3165026A Expired - Lifetime JP2582008B2 (ja) | 1990-11-28 | 1991-06-10 | 食品用保存剤 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (4)
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CN101703080A (zh) * | 2002-08-12 | 2010-05-12 | 隆萨股份有限公司 | 抗菌组合物 |
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JP6454458B2 (ja) * | 2013-04-26 | 2019-01-16 | 森川健康堂株式会社 | トウガラシ水性抽出物およびグレープフルーツ種子抽出物を含有する組成物 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS498272A (ja) * | 1972-05-10 | 1974-01-24 |
-
1991
- 1991-06-10 JP JP3165026A patent/JP2582008B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS498272A (ja) * | 1972-05-10 | 1974-01-24 |
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---|---|
JPH04341169A (ja) | 1992-11-27 |
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