JP2580523B2 - 二ホウ化チタン単結晶の育成法 - Google Patents

二ホウ化チタン単結晶の育成法

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JP2580523B2
JP2580523B2 JP5301310A JP30131093A JP2580523B2 JP 2580523 B2 JP2580523 B2 JP 2580523B2 JP 5301310 A JP5301310 A JP 5301310A JP 30131093 A JP30131093 A JP 30131093A JP 2580523 B2 JP2580523 B2 JP 2580523B2
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KAGAKU GIJUTSUCHO MUKIZAISHITSU KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローティング・ゾー
ン(FZ)法による二ホウ化チタン単結晶の育成法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】二ホウ
化チタンは、現在、高温構造材や複合体の強化材として
の利用が検討されている。その単結晶の利用としては、
融点が高く、仕事関数及び蒸気圧が低いことから、長寿
命・高輝度電子放射材料として期待されている。この利
用には、純度の高い高品質大型単結晶が必要である。
【0003】高純度な二ホウ化チタン単結晶の育成法と
しては、育成温度が高く、不純物が蒸発により除去され
るFZ法が適している。しかしながら、融点における蒸
気圧が高いことから、安定な融帯移動による育成が行わ
れておらず、試料は多結晶化しているのが実情である。
【0004】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
再現性良く欠陥の少ない良質な大型二ホウ化チタン単結
晶を得る方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、従来のFZ法による二ホウ化チタン
単結晶育成における育成上の問題点を調べた結果、次の
ことが判明した。
【0006】すなわち、二ホウ化チタン単結晶の育成温
度が2790℃と高く、蒸発が非常に激しく、その速度
は、例えば炭化チタン結晶の育成に比較すると約40倍
激しいため、その蒸発物がワークコイルに付着し放電を
引き起こすこと、及び蒸発物が成長した結晶表面に付着
し、その部分から針状結晶が成長し、ヒートシンクとな
ることで単結晶化を阻害していることが判明した。
【0007】そこで、結晶育成時の蒸発による問題を
消するように、育成条件を検討した結果、蒸発速度は
雰囲気圧を上げることにより抑制することが可能で
、育成速度を高速とすることで相対的に蒸発速度を下
げることができ、良質な二ホウ化チタン単結晶が得られ
ることが確認された同時に、融帯組成を、B(ホウ
素)とTi(チタン)との比(B/Ti)で2.1〜
3.1の範囲内となるように制御することで、育成温度
を下げることもできチタンの蒸発が抑制され、良質の
二ホウ化チタン単結晶を再現性よく育成することができ
ることが確認された。本発明は、これらの知見に基づい
て完成されたものである。
【0008】すなわち、本発明は、フローティング・ゾ
ーン法により二ホウ化チタン単結晶を育成するに当たっ
、雰囲気ガス圧を5気圧以上30気圧以下とし、融帯
組成が、B(ホウ素)とTi(チタン)との比(B/T
i)で2.1〜3.1の範囲内となるようにして、育成
速度3〜12cm/hで育成することを特徴とする良質
二ホウ化チタン単結晶の育成法を要旨としている。
【0009】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0010】まず、本発明において用いられる装置の一
例を図1に示す。図中、1と1′はそれぞれ上軸と下軸
の駆動部、2と2′はそれぞれ上軸と下軸、3と3′は
ホルダー、4はワークコイル、5は原料焼結棒、6は融
帯、7は単結晶、8は種結晶又は初期融帯形成用の焼結
棒である。
【0011】試料の加熱は、ワークコイル4に高周波電
流を流すことにより、試料に誘導電流を生じさせ、その
ジュール熱により行う。このようにして、形成された融
帯6に上方より原料棒5を送り込み、下方より単結晶7
を育成する。
【0012】次に本発明による単結晶育成の手順を示
す。まず、原料の二ホウ化チタン粉末とホウ素粉末(又
はチタン金属粉末)を所定比によく混合後、結合剤とし
て少量の樟脳を加え、ラバープレス(2000kg/cm2)
により圧粉棒を作製する。この圧粉棒を真空中又は不活
性ガス中で千数百℃に加熱し、原料焼結棒を作製する。
【0013】得られた焼結棒5を上軸2にホルダー3を
介してセットし、下軸2′には種結晶(又は初期融帯形
成用の焼結棒)8をホルダーを介してセットする。両者
の5と8の間に初期融帯の組成を制御するためのホウ素
焼結体(又はチタン金属円盤)を挾む。次にホウ素焼結体
(又はチタン金属円盤)とその周辺を加熱により溶融さ
せ、融帯6を形成させ、上軸2と下軸2′を下方に移動
させて単結晶7を育成する。
【0014】このとき、下軸2′の移動速度、すなわ
ち、結晶育成速度は、育成中常に一定に保持する。その
移動速度範囲は3〜12cm/hとする必要がある。好ま
しくは、6cm/h以上9cm/h以下である。この育成速度
により相対的に蒸発速度を下げることができる。
【0015】育成速度と結晶性の関係を、ヘリウム雰囲
気圧11気圧の下で定比組成の原料棒を用いて調べた。
その結果、3cm/h以下の育成速度では結晶表面に針状
結晶が成長し安定な融帯移動(育成)が行えなかった。せ
いぜい2cmの結晶が得られる程度であった。一方、12
cm以上の育成速度では結晶に粒界が多数入り、単結晶と
はならなかった。したがって、育成速度は3〜12cm/
hとし、6〜9cm/hが再現性が良く好ましい速度であ
る。
【0016】上軸2の移動速度、すなわち、原料棒の融
帯への供給速度は、原料棒の密度が低いので、それを補
償して原料棒とほぼ同じ直径をもつ単結晶が育成される
ように設定する。
【0017】雰囲気としては、この結晶の育成では放電
が起こり易いので、イオン化ポテンシャルの最も大きい
ヘリウムガスを用いるのが好ましい。これは、高周波ワ
ークコイル部分で発生する放電を防止するためである。
アルゴンガスも可能である。更に蒸発速度は、雰囲気圧
の−0.7乗に比例するので、通常の雰囲気圧である数
気圧より高く設定することが肝要である。
【0018】すなわち、育成する結晶の長さにも依存す
るが、安定に5〜6cmの結晶を育成するには、5気圧程
度でも可能ではあるが、10気圧以上の圧力が好まし
い。一方、30気圧以上では結晶に粒界が入り結晶性が
低下するので、雰囲気圧は5〜30気圧の範囲とする。
雰囲気圧の制御により蒸発速度を1/3から2/3に抑
制することができる。
【0019】原料については、蒸発速度を相対的に低下
させるために、育成速度を高くすることから、単結晶化
が容易なように高純度原料を使用するの好ましい。
特に、タングステンのよう蒸気圧の低い不純物を含ま
ない原料を使用するのが好ましい。蒸気圧の高い不純物
は、多量含まれない限り、育成時に蒸発により完全
に除去され、育成に障害を与えることはない。
【0020】更に、融帯組成の結晶性への影響を調べ
た。定比組成を持つ原料棒を用いると、育成中定比組成
より少しチタン過剰な組成で蒸発するので、融帯組成
(B/Ti原子比)は常に2.3(±0.1)になった。すな
わち、この組成(B/Ti=2.3)の融液より蒸発する蒸
発物は定比組成(B/Ti=2)となっていた。
【0021】融帯組成は、原料棒の組成で制御する。融
帯組成をよりホウ素過剰(B/Ti>2.3)にすると育成
温度(加熱電力)が下がり、再現性よく良質な結晶が得ら
れる。しかしながら、融帯組成がB/Ti=3.1になる
と、融帯直上に形成される傘状のものが大きくなり(ワ
ークコイルを原料棒が通過しなくなり)育成が困難にな
る。その際の原料焼結棒の組成(原子比B/Ti)は2.2
である。
【0022】一方、原料棒組成をチタン過剰(B/Ti
<2)とし、融帯組成をより定比に近付ける(すなわ
ち、B/Ti<2.3)と、育成温度が高くなりチタ
ンの蒸発が増加するため、育成上好ましくない。融帯組
成がB/Ti<2.1の領域では、良質結晶育成の再現
性が悪い。したがって、融帯組成は、B/Ti=2.1
〜3.1とする
【0023】次に本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0024】市販の二ホウ化チタン粉末に結合剤として
樟脳を少量加え、直径10mmのゴム袋に詰め円柱形にし
た。これを2000kg/cm2のラバープレスを行い圧粉
体を得た。この圧粉体を真空中、1800℃で加熱し、
直径9mm、長さ12cm程度の焼結棒を得た。密度は約5
8%であった。
【0025】この焼結棒を図1に示すFZ育成炉の上軸
にホルダーを介して固定し、下軸には二ホウ化チタン焼
結体を固定した。両者の間に0.1g程度のホウ素焼結体
を挾み、融帯組成を制御した。育成炉に7気圧のアルゴ
ンを充填した後、高周波コイル(内径16mm、3巻2段)
によりホウ素焼結体とその周辺部を溶かし初期融帯を形
成し、9cm/hの育成速度で下方に移動させ、全長6c
m、直径0.9cmの単結晶を育成した。融帯組成はB/T
i=2.3であった。
【0026】単結晶の粒界密度については、結晶棒終端
部から(1010)面を切り出し、鏡面研磨の後、エッチ
ング(硝酸:塩酸=1:3の液で1分程度)して測定し
た。その結果、結晶は厚さ1mmの多結晶の皮で囲まれる
が、その中に粒界は全く含まない良質な単結晶であっ
た。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
亜粒界を含まない良質な大型二ホウ化チタン単結晶が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる単結晶育成装置の一例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 上軸駆動部 1′ 下軸駆動部 2 上軸 2′ 下軸 3 ホルダー 3′ ホルダー 4 ワークコイル 5 原料焼結棒 6 融帯 7 単結晶 8 種結晶又は初期融帯形成用の焼結棒

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フローティング・ゾーン法により二ホウ
    化チタン単結晶を育成するに当たって、雰囲気ガス圧を
    5気圧以上30気圧以下とし、融帯組成が、B(ホウ
    素)とTi(チタン)との比(B/Ti)で2.1〜
    3.1の範囲内となるようにして、育成速度3〜12c
    m/hで育成することを特徴とする良質二ホウ化チタン
    単結晶の育成法。
  2. 【請求項2】 雰囲気ガスとしてアルゴンガス又はヘリ
    ウムガスを用いる請求項1に記載の方法。
JP5301310A 1993-11-05 1993-11-05 二ホウ化チタン単結晶の育成法 Expired - Lifetime JP2580523B2 (ja)

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