JP2580180B2 - 高耐熱性銅−テルル合金の製造方法 - Google Patents
高耐熱性銅−テルル合金の製造方法Info
- Publication number
- JP2580180B2 JP2580180B2 JP62146362A JP14636287A JP2580180B2 JP 2580180 B2 JP2580180 B2 JP 2580180B2 JP 62146362 A JP62146362 A JP 62146362A JP 14636287 A JP14636287 A JP 14636287A JP 2580180 B2 JP2580180 B2 JP 2580180B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper
- tellurium
- alloy
- tellurium alloy
- high heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐熱性で強度及び熱放散性が要求される合
金、例えば自動車のラジエーターフイン又は半導体用リ
ードフレームに用いられる銅合金として熱伝導性及び耐
熱性の面において、特に優れた銅−テルル合金の製造方
法に関するものである。
金、例えば自動車のラジエーターフイン又は半導体用リ
ードフレームに用いられる銅合金として熱伝導性及び耐
熱性の面において、特に優れた銅−テルル合金の製造方
法に関するものである。
(従来の技術) 例えば、自動車のラジエーターフインには熱伝導性、
耐熱性、強度、加工性等に優れた金属材料が要求されて
いる。この要求を満たすため、従来錫、カドミウム、
鉛、クロム等各種の添加元素を加えた合金が開発されて
おり、本発明者等も、既に特開昭59-1653号公報にて開
示したように、重量にてテルルを40〜250ppm、酸素を20
ppm以下の範囲で、残部が銅及び不可避不純物からなる
銅合金を開発している。
耐熱性、強度、加工性等に優れた金属材料が要求されて
いる。この要求を満たすため、従来錫、カドミウム、
鉛、クロム等各種の添加元素を加えた合金が開発されて
おり、本発明者等も、既に特開昭59-1653号公報にて開
示したように、重量にてテルルを40〜250ppm、酸素を20
ppm以下の範囲で、残部が銅及び不可避不純物からなる
銅合金を開発している。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、小型、軽量、高機能型の自動車ラジエ
ーター用のフイン材については、高度の熱放散性に加え
て、材料の取扱い上で生ずる折損並びに変形事故の発生
を防止するため、機械的強度の高さも確保されている材
料の供給が望まれている。一方、半導体リードフレーム
材についても同様に高度の熱放散性に加えてリード部の
強化が望まれている。
ーター用のフイン材については、高度の熱放散性に加え
て、材料の取扱い上で生ずる折損並びに変形事故の発生
を防止するため、機械的強度の高さも確保されている材
料の供給が望まれている。一方、半導体リードフレーム
材についても同様に高度の熱放散性に加えてリード部の
強化が望まれている。
また、自動車ラジエーター用のフイン材は、ラジエー
ターの組立加工工程における半田付作業時に与えられる
加熱により材料強度の劣化を招き易く、この面の事故防
止を強化するため耐熱度の高い材料の出現が望まれてい
る。一方半導体回路の集積度の向上、電流容量の高度
化、省資源によるリードフレームの薄肉化などの趨勢に
伴ない、従来にも増してリードフレーム材に対する耐熱
度の向上も望まれている。
ターの組立加工工程における半田付作業時に与えられる
加熱により材料強度の劣化を招き易く、この面の事故防
止を強化するため耐熱度の高い材料の出現が望まれてい
る。一方半導体回路の集積度の向上、電流容量の高度
化、省資源によるリードフレームの薄肉化などの趨勢に
伴ない、従来にも増してリードフレーム材に対する耐熱
度の向上も望まれている。
更に、自動車ラジエーター用のフイン材については、
熱伝導率が問題とされるものの、実務上は相対的データ
ーとして電気伝導率で表示されることが多く、90%IACS
若しくはそれ以上のものであることが要求され、耐熱性
は350℃にて5分間加熱した後にビツカース硬度で90以
上を保つていることが要求されている。同様に数アンペ
アにも及ぶ大電流を流すことが要求されるパワートラン
ジスター用のリードフレームに用いられる材料には85%
IACS以上の電気伝導率が要求されると共に300〜400℃の
加熱に際しても材料の熱歪や軟化現象が生じにくい耐熱
強度を持つた材料が要求される。ところで、従来利用さ
れている銅合金では、これらの要求を満足するものがな
く、本発明者等の提示した銅テルル合金(特開昭59-165
3号公報参照)についても一層の機能向上が要求される
状態であつた。
熱伝導率が問題とされるものの、実務上は相対的データ
ーとして電気伝導率で表示されることが多く、90%IACS
若しくはそれ以上のものであることが要求され、耐熱性
は350℃にて5分間加熱した後にビツカース硬度で90以
上を保つていることが要求されている。同様に数アンペ
アにも及ぶ大電流を流すことが要求されるパワートラン
ジスター用のリードフレームに用いられる材料には85%
IACS以上の電気伝導率が要求されると共に300〜400℃の
加熱に際しても材料の熱歪や軟化現象が生じにくい耐熱
強度を持つた材料が要求される。ところで、従来利用さ
れている銅合金では、これらの要求を満足するものがな
く、本発明者等の提示した銅テルル合金(特開昭59-165
3号公報参照)についても一層の機能向上が要求される
状態であつた。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、銅−テルル合金の加工工程において、
再結晶処理温度を限定することにより、当該合金の耐熱
性を向上させ得ることを見出し、本発明に到達したもの
である。
再結晶処理温度を限定することにより、当該合金の耐熱
性を向上させ得ることを見出し、本発明に到達したもの
である。
すなわち、本発明は重量にてテルルを40〜250ppm、酸
素を20ppm以下の範囲で、残部が銅及び不可避不純物か
らなる銅−テルル合金を再結晶処理する場合の処理温度
として通常処理されている400〜600℃の温度範囲を外し
た200〜390℃又は680〜950℃での熱処理を施した場合、
この温度域にて銅−テルル合金の再結晶処理を施した
後、冷間加工を加える方法である。なお再結晶処理は素
材の冷間加工の度に施されるもので、一回に限るもので
はない。
素を20ppm以下の範囲で、残部が銅及び不可避不純物か
らなる銅−テルル合金を再結晶処理する場合の処理温度
として通常処理されている400〜600℃の温度範囲を外し
た200〜390℃又は680〜950℃での熱処理を施した場合、
この温度域にて銅−テルル合金の再結晶処理を施した
後、冷間加工を加える方法である。なお再結晶処理は素
材の冷間加工の度に施されるもので、一回に限るもので
はない。
(作用) このように、重量にてテルを40〜250ppm、酸素を20pp
m以下の範囲で、残部が銅及び不可避的不純物からなる
銅−テルル合金を製造する工程において、インゴツトか
ら素材に至る間に再結晶処理と圧延処理を繰返し処理し
て行くが、この場合の処理温度としては200℃未満では
再結晶を生じることがなく、また、400℃を越え680℃未
満では素地に過飽和に固溶したテルルが再結晶粒界に析
出して材料の耐熱性を低下させる。また950℃を超えて
の再結晶処理では、結晶粒の粗大化を生じて材料の脆弱
化を招く恐れがある。
m以下の範囲で、残部が銅及び不可避的不純物からなる
銅−テルル合金を製造する工程において、インゴツトか
ら素材に至る間に再結晶処理と圧延処理を繰返し処理し
て行くが、この場合の処理温度としては200℃未満では
再結晶を生じることがなく、また、400℃を越え680℃未
満では素地に過飽和に固溶したテルルが再結晶粒界に析
出して材料の耐熱性を低下させる。また950℃を超えて
の再結晶処理では、結晶粒の粗大化を生じて材料の脆弱
化を招く恐れがある。
なお、再結晶処理した後の冷却速度については、テル
ルの析出を防ぐ意味から高速処理が好ましいものの、銅
中のテルル拡散速度は遅いので、炉冷を越えての冷却速
度である空冷及び水冷処理をもつてすれば充分である。
ルの析出を防ぐ意味から高速処理が好ましいものの、銅
中のテルル拡散速度は遅いので、炉冷を越えての冷却速
度である空冷及び水冷処理をもつてすれば充分である。
(実施例) 黒鉛坩堝を備えた高周波大気溶解炉を用いて市販の電
気銅を溶解したのち、直ちに溶湯表面を木炭系のフラツ
クスで被覆した。続いて脱酸剤として燐を銅−15重量%
燐母合金にて添加した後、目的値に応じたテルルを銅−
50重量%テルル母合金により添加して溶製した銅−テル
ル合金を金型に鋳込んで幅105mm、長さ210mm、厚さ35mm
の鋳塊を得た。
気銅を溶解したのち、直ちに溶湯表面を木炭系のフラツ
クスで被覆した。続いて脱酸剤として燐を銅−15重量%
燐母合金にて添加した後、目的値に応じたテルルを銅−
50重量%テルル母合金により添加して溶製した銅−テル
ル合金を金型に鋳込んで幅105mm、長さ210mm、厚さ35mm
の鋳塊を得た。
この鋳塊の表面を厚さ並びに幅方向において、各面当
り5mmずつ面削除去した後、900℃に加熱し、板厚11mmま
での熱間圧延を行ない、水冷した。
り5mmずつ面削除去した後、900℃に加熱し、板厚11mmま
での熱間圧延を行ない、水冷した。
次いで、この熱間圧延材を両面0.5mmずつ、あらため
て面削した後、厚さ1mmまで冷間圧延を行ない、仕上つ
た板材を390℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、
800℃の各温度で別個に再結晶処理できるように切り分
けた後、上記各温度毎に1時間の再結晶処理をアルゴン
気流中で施し、その後荷重1Kgでビツカース硬度を測定
した。
て面削した後、厚さ1mmまで冷間圧延を行ない、仕上つ
た板材を390℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、
800℃の各温度で別個に再結晶処理できるように切り分
けた後、上記各温度毎に1時間の再結晶処理をアルゴン
気流中で施し、その後荷重1Kgでビツカース硬度を測定
した。
上記再結晶処理材について、再度冷間圧延加工を施し
て厚さ0.5mmの板材を製作し、耐熱性試験に供した。そ
の耐熱性の測定は350℃に設定したNaNO2とNaNO3との重
量比1:1の塩浴炉中にて各試験片を5分間浸漬・加熱し
た後、材料表面のビツカース硬度を測定することによつ
て行つた。
て厚さ0.5mmの板材を製作し、耐熱性試験に供した。そ
の耐熱性の測定は350℃に設定したNaNO2とNaNO3との重
量比1:1の塩浴炉中にて各試験片を5分間浸漬・加熱し
た後、材料表面のビツカース硬度を測定することによつ
て行つた。
第1表は溶製した銅−テルル合金の組成と1mm厚加工
材の硬度を示したものである。
材の硬度を示したものである。
第2表は上記鋳塊より得られた1mm厚加工材を再結晶
処理温度毎にて1時間処理した時のビツカース硬度と0.
5mm厚加工材について行なつた耐熱性試験と電気導電率
の測定結果を表示したものである。
処理温度毎にて1時間処理した時のビツカース硬度と0.
5mm厚加工材について行なつた耐熱性試験と電気導電率
の測定結果を表示したものである。
第2表から明らかなように、銅−テルル合金に再結晶
処理を施す場合、本発明によるときは350℃にて5分間
保持して後の硬度によつて判断される耐熱性が旧来法の
温度域で処理する場合に比して大幅に向上していること
が判る。
処理を施す場合、本発明によるときは350℃にて5分間
保持して後の硬度によつて判断される耐熱性が旧来法の
温度域で処理する場合に比して大幅に向上していること
が判る。
(発明の効果) 以上の説明により明らかなように、本発明による時は
自動車ラジエーター用フイン材やリードフレーム材とし
て利用される銅−テルル合金の耐熱性が向上し、自動車
ラジエーターや半導体素子の熱放散性を高めながら部材
の高温処理による性能劣化を防止することが可能にな
り、産業界に寄与するところ大なるものがある。
自動車ラジエーター用フイン材やリードフレーム材とし
て利用される銅−テルル合金の耐熱性が向上し、自動車
ラジエーターや半導体素子の熱放散性を高めながら部材
の高温処理による性能劣化を防止することが可能にな
り、産業界に寄与するところ大なるものがある。
Claims (1)
- 【請求項1】テルルを重量にて40〜250ppm、酸素を20pp
m以下の範囲で、残部が銅及び不可避不純物からなる銅
−テルル合金を製造するに際し、該合金の再結晶処理を
200〜390℃又は680〜950℃にて行うことを特徴とする高
耐熱性銅−テルル合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62146362A JP2580180B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 高耐熱性銅−テルル合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62146362A JP2580180B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 高耐熱性銅−テルル合金の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63310945A JPS63310945A (ja) | 1988-12-19 |
JP2580180B2 true JP2580180B2 (ja) | 1997-02-12 |
Family
ID=15406003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62146362A Expired - Fee Related JP2580180B2 (ja) | 1987-06-12 | 1987-06-12 | 高耐熱性銅−テルル合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2580180B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS591653A (ja) * | 1982-06-28 | 1984-01-07 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | ラジエ−タ−フイン用銅合金 |
-
1987
- 1987-06-12 JP JP62146362A patent/JP2580180B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63310945A (ja) | 1988-12-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3803981B2 (ja) | 高強度および高導電性を有する銅合金の製造方法 | |
WO2009122869A1 (ja) | 電子材料用Cu-Ni-Si-Co系銅合金及びその製造方法 | |
JP5451674B2 (ja) | 電子材料用Cu−Si−Co系銅合金及びその製造方法 | |
WO2011036804A1 (ja) | 電子材料用Cu-Ni-Si-Co系銅合金及びその製造方法 | |
JP4567906B2 (ja) | 電子・電気部品用銅合金板または条およびその製造方法 | |
JP6230341B2 (ja) | 応力緩和特性に優れる銅合金板 | |
JPH0790520A (ja) | 高強度Cu合金薄板条の製造方法 | |
JP7248104B2 (ja) | 圧延銅材及び放熱部材 | |
CN115735018B (zh) | 铜合金、铜合金塑性加工材、电子电气设备用组件、端子、汇流条、引线框架及散热基板 | |
JP2580180B2 (ja) | 高耐熱性銅−テルル合金の製造方法 | |
JP2956696B1 (ja) | 高強度・高導電性銅合金およびその加工方法 | |
JP3763234B2 (ja) | 高強度高導電率高耐熱性銅基合金の製造方法 | |
JPH0718355A (ja) | 電子機器用銅合金およびその製造方法 | |
JP5858961B2 (ja) | 応力緩和特性に優れる銅合金板 | |
JPH0463138B2 (ja) | ||
JP2733117B2 (ja) | 電子部品用銅合金およびその製造方法 | |
JPH01165733A (ja) | 高強度高導電性銅合金 | |
JP3407527B2 (ja) | 電子機器用銅合金材 | |
JPS61143564A (ja) | 高力高導電性銅基合金の製造方法 | |
WO2023127854A1 (ja) | 銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板 | |
JP2539478B2 (ja) | テルル含有銅合金の製造法 | |
WO2023127851A1 (ja) | 銅合金異形条材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板 | |
JP2991319B2 (ja) | 高強度・高導電性銅合金及び製造方法(2) | |
KR920006826B1 (ko) | 고전도성 전기, 전자부품용 동합금 및 그 제조방법 | |
TW202206611A (zh) | 銅合金、銅合金塑性加工材、電子電氣機器用零件、端子、匯流排、導線框、散熱基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |