JP2576662B2 - 熱線遮断ガラス - Google Patents

熱線遮断ガラス

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JP2576662B2 JP2047134A JP4713490A JP2576662B2 JP 2576662 B2 JP2576662 B2 JP 2576662B2 JP 2047134 A JP2047134 A JP 2047134A JP 4713490 A JP4713490 A JP 4713490A JP 2576662 B2 JP2576662 B2 JP 2576662B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱線遮断ガラスに関する。
[従来の技術] 従来から、窓ガラスを通して建物の室内に流入する太
陽エネルギーを遮断して室内の温度上昇を抑え、冷房負
荷を軽減するために熱線遮断ガラスが使われている。従
来の熱線遮断ガラスとしては、スプレー法、CVD法、又
は浸漬法などで酸化チタン、酸化錫などの酸化物薄膜を
ガラス上に数百Å形成したものが知られている。
最近では、スパッタリング法により酸化物ばかりでな
く、金属や窒化物などの薄膜が大面積に自由に形成でき
るようになった。このため、クロムやチタンなどの遷移
金属の単層膜系、金属/酸化物膜、又は窒化物膜/酸化
物膜の2層膜系、又は酸化物膜/窒化物膜/酸化物膜、
又は酸化物膜/金属/酸化物膜の3層膜系、又はそれ以
上の多層膜構成の熱線遮断ガラスも使われるようになっ
てきた。
単層膜と異なり、3層、又はそれ以上の多層膜構成の
熱線遮断ガラスは、干渉を利用することで反射率や反射
色調をかなり自由に選択できる。このため、意匠性を重
視する建築用に需要が伸びている。
この他に、Low−Eガラス(低放射率ガラス)と呼ば
れ、室内からの熱線を反射することにより室内の温度の
低下を防ぎ、暖房負荷を軽減するための熱線反射ガラス
も知られている。これは、酸化物/Ag/酸化膜、又は酸化
膜/Ag/酸化膜/Ag/酸化膜の構成の積層膜を有し、主に寒
冷地で用いられている。しかし、Ag膜を使用しているの
で耐久性に劣る。このため、合わせガラスか複層ガラス
のかたちで積層膜が外部に露出しないようにして用いら
れる。このLow−Eガラスは、太陽光の熱線遮断効果も
有するため、一部の自動車ガラスにもこの目的で採用さ
れている。
[発明の解決しようとする課題] 従来のスプレー法、CVD法、浸漬法などで酸化チタン
や酸化錫などの酸化物膜をガラス上に形成した熱線遮断
ガラスは、低コストで生産性よく製造できる反面、最近
のスパッタリング法によって形成された金属又は合金系
の単層又は多層系の熱線遮断ガラスと比べると、熱線遮
断性能がやや劣ること、また、酸化錫は酸に弱く、化学
的安全性が十分でないという問題点があった。
また、クロムやチタンなどの遷移金属の単層膜系熱線
遮断ガラスは、一般に可視光線反射率RVが10〜50%と高
く、反射色もデサイン面からブロンズ、ブルー、グリー
ン、グレー、ゴールド、シルバーなどの色がついてい
る。また、可視光線透過率TVも10〜60%と低い。
このため、自然な色、即ちニュートラル色で低い反射
率、かつ70%以上の可視光線透過率が要求される自動車
用や一般家庭の窓ガラスに応用するには、不適当であっ
た。また、かかる金属の単層膜では、耐擦傷性、化学的
安全性といった耐久性もあまり十分でなく、自動車用な
ど、使用環境も厳しい用途には単板で用いることは不可
能であった。
また、前述したタイプのLow−Eガラスは、比較的ニ
ュートラルな反射色を有し、70%以上の可視光線透過率
を有するが、Ag膜を用いているので耐擦傷性が不十分な
ため、単板では使用できず、必ず合わせガラス化又は複
層ガラス化しなければならないという難点があった。
また、従来の金属/酸化物膜や窒化物膜/酸化物膜な
どの2層系の熱線遮断ガラスにおいては、ニュートラル
な色調、耐久性、高透過率、低反射率を有するものは得
られていなかった。
また、チタン、ジルコニウム、クロムなどの金属、又
はこれらの金属の窒化物からなる膜を高屈折率酸化物膜
で挟んだ3層構成の熱線遮断ガラスも、十分に良好な熱
線遮断性能を有しており、酸化物膜の厚みを調整し、光
の干渉を利用して可視光の反射率を抑えて可視光線透過
率を70%以上にすることが可能であり、最外層が酸化物
膜であるため、耐久性も優れているので単板の熱線遮断
ガラスとして好適ではあるが、光の干渉によってブル
ー、ピンク、又は黄色などの色を帯びてしまい、自然で
ニュートラルな外観が得られにくいという問題があっ
た。
このように、単板で使用できる程度の高耐久性を有
し、可視光線透過率が高く、特に自動車の窓ガラスとし
て使用できるよう、70%以上であって、透過率、反射色
ともにニュートラルな熱線遮断ガラスは得られていなか
った。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであ
り、透明基板上に熱線吸収膜、酸化物膜の少なくとも2
層が順次積層された熱線遮断ガラスであって、該酸化物
膜が空気側最外層であり、かつ2.0以下の屈折率を有す
るZrBxOy膜(1.0≦x<2.3、2.5≦y<5.45)であるこ
とを特徴とする熱線遮断ガラスを提供する。
本発明は、また、ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物
膜の少なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスで
あって、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以
下の屈折率を有するZrSizOy膜(0.28≦z<19、2.56≦
y<40)であることを特徴とする熱線遮断ガラスを提供
する。
本発明は、また、ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物
膜の少なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスで
あって、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以
下の屈折率を有するZrBxSizOy膜(0.28≦x+z<19、
2.5≦y<40、ただしx+z−3>0かつx−3z+1>
0の部分を除く)であることを特徴とする熱線遮断ガラ
スを提供する。
本発明は、また、ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物
膜の少なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスで
あって、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以
下の屈折率を有するTiSizOy膜(z≧0.56、y=2+2
z)であることを特徴とする熱線遮断ガラスを提供す
る。
第1図は本発明の熱線遮断ガラスの一例の断面図を示
すものであり、1はガラス基板、2は熱線吸収膜、3は
屈折率が2.0以下である酸化物膜を示す。
本発明における最も大きな特徴は、空気側最外層に屈
折率が2.0以下である酸化膜を形成することである。空
気側最外層の酸化物膜の屈折率が2.0を超えると、可視
光線反射率が大きくなり、その結果可視光線透過率が低
くなり、70%以上の可視光線透過率が容易に得られにく
くなる。したがって、酸化物膜3の屈折率は2.0以下、
好ましくは1.8以下、特に1.7以下が望ましい。
表1に、具体的に各種非晶質酸化物膜の性質を示す。
それぞれ表に挙げた組成のターゲットを用いて、反応性
スパッタリングにより製膜したものである。
結晶性は、薄膜X線回折により観測した。
耐擦傷性は、砂消しゴムによる擦り試験の結果で、○
は傷がほとんどつかなかったもの、×は容易に傷が生じ
たものである。
耐摩耗性は、テーバー試験(摩耗輪CS−10F、加重500
g、1000回転)の結果、ヘイズ4%以内のものを○、ヘ
イズ4%超のものを×とした。
耐酸性は0.1規定の硫酸水溶液中に240時間浸漬した結
果、TV(可視光線透過率)、RV(可視光線反射率)の浸
漬前に対する変化率が1%以内のものを○、1〜4%の
ものを△、膜が溶解して消滅してしまったものを×とし
た。
耐アルカリ性は0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液中
に240時間浸漬した結果、TV、RVの浸漬前に対する変化
率が1%以内のものを○、2%以内のものを△、膜が溶
解してしまったものを×とした。
煮沸テストは、1気圧下、100℃の水に2時間浸漬し
た後、TV、RVの浸漬前に対する変化率が1%以内である
とき○、1%超のとき×とした。
Zr(ジコルニウム)とB(ホウ酸)を含む酸化物ZrBx
Oy、ZrとSi(ケイ素)を含む酸化物ZrSizOy、ZrとBとS
iを含む酸化物ZrBxSizOyからなる膜において、その組成
については、B、Si、O(酸素)各々の膜中におけるZr
に対する原子比をそれぞれx、z、yとすると、次のよ
うな範囲である。
表1から明らかなようにZrBxOyについては1.0≦xで
ある。x<1.0であると膜の屈折率が2.0を超えてしま
い、可視光線透過率が70%以上の熱線遮断が得られにく
くなってしまうためである。一方、xが増加するほど、
膜の屈折率が下がる(第2図(a)参照)が、x≧2.3
で耐熱性が低下し、x≧4で耐アルカリ性の低下及び煮
沸テストで劣化を示すようになるので、本発明の酸化物
膜3としてのZrBxOy膜においては1.0≦x<2.3である。
yについては、ZrO2とB2O3の複合系と考えて、ZrO2+xB
O1.5と表すと、y=2+1.5x程度、即ち、2.5≦y<5.4
5である。
ZrSizOy膜については、ZrBxOy膜と同様にzが増加す
るほど、屈折率が下がるが(第2図(b)参照)、Bよ
りもSiの方が屈折率低下に対する寄与度が高いため、B
より少量で屈折率が2.0以下となるので、0.28≦zであ
る。また、z≧19であると膜の耐アルカリ性が不十分と
なり、Zrを含有している優位性があまり認められなくな
るので、0.28≦z<19である。yについては同様にZrO2
とSiO2の複合系を考えてy=2+2z程度、すなわち2.56
≦y<40である。
ZrBxSizOy膜については、同様に屈折率の点から0.28≦
x+zである。また、x+z<19であれば耐アルカリ性
も良好であるので、ZrBxSizOy膜においては、0.28≦x
+z<19である。ただし、上述のように、B2O3は吸湿性
で空気中の水分を吸収して溶けてしまうため、ZrBxSizO
y膜中にあまり多く含有されない方がよい。
具体的には、膜中において、O(酸素)以外のZr、
B、Siの合計に対して、Zr<25原子%、かつSi<25原子
%で残りがB2O3となるほどBが含まれていると化学的耐
久性が不十分となる。即ち、ZrBxSizOy膜中のZr:B:Si
(原子比)を1:x:zとすると、1/(1+x+z)<0.2
5、かつz/(1+x+z)<0.25、即ち、x+z−3>
0、かつx−3z+1>0の組成は化学的耐久性が好まし
くない。yは、ZrBxOyの場合に述べたのと同様の理由に
よりこの膜をZrO2+B2O3+SiO2の複合系と考えて、yは
2+1.5y+2z程度である。よってほぼ2.5≦y<40程度
である。BやSiの含有量が多いほどZrBxSizOy膜の屈折
率は低下する。(第2図(c)参照)。
以上より、本発明の酸化物膜3としての、BとSiのう
ち少なくとも1種とZrとを含む酸化物膜としては、ZrBx
Oy膜(1.0≦x<2.3、2.5≦y<5.45)、ZrSizOy膜(0.
28≦z<19、2.56≦y<40)、ZrBxSizOy膜(0.28≦x
<19、2.5≦y<40、ただしx+z−3>0かつx−3z
+1>0の部分を除く)が用いられる。
これらの膜はZrBxOy膜についてはx>0.10、ZrSizOy
膜についてはz≧0.05、ZrBxSiZOy膜についてはx+z
≧0.05であれば膜が非晶質化し、優れた耐摩耗性を有す
る。
TiSizOy膜については、第2図(d)より、z≧0.56
で屈折率は2以下となる。yについては、TiO2とSiO2
複合系と考えて、y=2+2zとなる。
本発明において用いる、B又はSiのうち少なくとも1
種とZrとを含む酸化物膜は、ジルコニウム、ホウ素、ケ
イ素の混合物、ホウ化ジルコニウム、又はこれらの混合
物等の焼結ターゲットから直流を用いた反応性スパッタ
リング法で容易に大面積のコーティングが可能であるの
で、自動車用、建築用等の用途に好適である。
以上、本発明の熱線遮断ガラスの空気側最外層の酸化
物膜3は、耐久性向上、光学定数調整、成膜時の安定
性、又は成膜速度の向上などのために、他の成分を含ん
でいても支障はない。また、本発明の酸化物膜3は完全
に透明である必要はなく、酸素欠損の状態の吸収性膜で
あってもよいし、一部窒素や炭素を含有してていもよ
い。
酸化物層3の膜厚は限定されないが、あまり薄いと十
分な耐久性が得られないため、用途にもよるが、50Å以
上、好ましくは100Å以上、特に150Å以上であることが
望ましい。一方、あまり厚くなると、屈折率にも依る
が、干渉効果が生じてきて反射色も強くなるので、1000
Å以下、好ましくは700Å以下、特に500Å以下であるこ
とが望ましい。
熱線吸収膜2の膜材料は特に限定されず、用途によっ
て、又は要求仕様によって、金属、炭化物、酸化物、又
はこれらの複合膜から選定される。具体的には、チタ
ン、クロム、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、窒
化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタ
ル、窒化ハフニウムのうち1種主を成分とした膜が熱線
吸収性能が良好なため好ましい。
かかる熱線吸収膜2の膜厚としては、あまり厚くなる
と可視光線透過率が低下してしまうので、基板1の種
類、酸化物膜3の屈折率と膜厚にも依るが、1000Å以
下、好ましくは800Å以下が望まれる。800Åを超える
と、特に窒化物膜の場合には、内部応力が大きくなり膜
の剥離が生じやすくなる。また、あまり薄いと十分な熱
線吸収性能が得られないので、膜材料と基板ガラスの板
厚、種類にも依るが、20Å以上、好ましくは20〜100Å
であることが望ましい。
また、酸化物層3及び熱線吸収膜2の膜形成法も特に
限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法などが可能であるが、大面積コーティン
グが必要な場合は、均一性に優れる反応性スパッタリン
グ法が好ましい。
本発明において、色調がニュートラルとは、以下のよ
うな特性を有するものを意味する。
即ち、CIEの表色系で表示したときの、基板表面に熱
線吸収膜、酸化物膜等の被膜形成する前と後のx坐標、
y坐標の変化巾をΔx、Δyとする。
を、被膜形成したことによる色調変化とし、ニュートラ
ル色とは、この色調変化の値が、透過色、反射色の各々
について0.008、0.032以下、より好ましくは0.007、0.0
28以下であることをいう。ただし、反射色については、
被膜形成した面と、形成していない面とで反射色が異な
る場合であるので、値の大きい方を指すものとする。
熱線吸収膜2が窒化物膜である場合、該窒化物膜を内
部応力を低減しガラス基板との付着力を増すため、ガラ
ス基板と窒化物膜との間に酸化物膜を形成してもよい。
また、ガラス基板との間に付着力を増すもう1つの方法
として、ガラス基板上にまず下地膜を形成し、次いで高
エネルギーイオンを注入し、その後、熱線吸収膜を形成
するという方法も有効である。例えば、下地膜としてチ
タン膜を形成し、次いで高エネルギー窒素イオンを注入
した後窒化チタン膜を形成すると、熱線吸収膜2として
大変付着力の高い窒化チタン膜が得られる。
[作用] 本発明の熱線遮断ガラスにおいて、空気側最外層の酸
化物膜3は、その屈折率、膜厚などにより、光学的な機
能を果している。即ち、熱線遮断ガラスの反射率を低下
させ、可視光線透過率の向上に寄付するとともに、反射
色の刺激純度を低下させ全体の色調をニュートラル化す
る作用を有する。さらに、酸化物膜3は熱線遮断ガラス
の耐摩耗性、耐薬品性を向上させるための保護膜の役割
を有する。
熱線吸収膜2は、太陽光線エネルギーを吸収する作用
を果たすとともに可視光線透過率を調整している。
また、酸化物膜3がB又はSiのうち少なくとも1種と
Zrとを含む酸化物膜である場合は、その屈折率を低下さ
せる作用を有するとともに、かかるB又はSiは酸化ジル
コニウム膜に不足している耐摩耗性を向上させる作用も
有する。
これは、ガラス構成要素であるB又はSiの添加によ
り、膜が非晶質化し、表面の平滑さが増すため摩擦抵抗
が低下し、耐摩耗性が向上しているものと考えられる。
このような非晶質化により、酸、アルカリなどに強い化
学的安定性を有する酸化ジルコニウムにあわせて耐摩耗
性を付与でき、耐摩耗性と化学的安定性の両方を併せも
つきわめて優れた耐久性を有する膜の実現に寄付してい
る。
[実施例] 実施例1 ガラス基板をスパッタリング装置の真空槽にセットし
1×10-6Torrまで排気した。ガラス基板としては4mm厚
の青板を用いた。実施例2以下も同様のガラス基板を用
いた。アルゴンと窒素の混合ガスを導入して圧力を2×
10-3Torrとした後、チタンを反応性スパッタリングして
窒化チタン(第1層)を約20Å形成した。次にアルゴン
と酸素の混合ガスに切り替え圧力を2×10-3Torrにし
て、ZrB2ターゲット反応性スパッタリングしてZrとBか
らなる酸化膜(第2層)を約200Å形成した。
こうして得られた熱線遮断ガラスの可視光線透過率
TV、太陽光線透過率TE、コート面可視光線反射率RVF
ガラス面可視光線反射率RVG、透過色、反射色の色調変
は、それぞれ71、56、13、12(%)、0.0068、0.026で
あった。
また、透過色、反射色も素板のガラスとほとんど見分
けがつかないほどニュートラル色であった。
膜の耐久性を調べるために0.1規定の塩酸、水酸化ナ
トリウム各水溶液中に室温で6時間、又は沸騰水中に2
時間浸漬したが、光学性能に変化は認められなかった。
酸、アルカリに対してさらに浸漬を続けて240時間経過
後に同様に評価したところ、TV、TEが2〜3%上昇して
いて、劣化が認められた。砂消しゴムによる擦り試験で
も、傷はほとんどつかずきわめて優れた耐擦傷性を示し
た。
実施例2 実施例1と同様にガラス基板上にジルコニウムを反応
性スパッタリングして窒化ジルコニウム(第1層)を約
20Å形成した後、アルゴンと酸素の混合ガスに切り替え
2×10-3Torrにした。次に、ZrB2ターゲットを反応性ス
パッタリングしてZrとBからなる酸化膜(第2層)を約
200Å形成した。
得られた熱線遮断ガラスの光学性能TV、TE、RVF
RVG、透過色、反射色の色調変化は、それぞれ71、55、1
2、12(%)、0.0067、0.026であった。
膜の耐久性を調べるために0.1規定の塩酸、水酸化ナ
トリウム各水溶液中に室温で6時間、又は沸騰水中に2
時間浸漬したが、光学性能に変化は認められなかった。
実施例1と同様な耐久試験を行ったが、同様に優れた性
能を示した。
実施例3 実施例1と同様にガラス基板上にクロムを反応性スパ
ッタリングして窒化クロム(第1層)を約10Å形成後、
アルゴンと酸素の混合ガスに切り替え2×10-3Torrにし
た。次に、ZrB2とSiCを含むターゲットを反応性スパッ
タリングしてZr、B、Siを含む酸化膜(第2層)を約20
0Å形成した。
得られた熱線遮断ガラスの光学性能TV、TE、RVF、RVG
透過色、反射色の色調変化は、それぞれ72、58、10、9
(%)、0.0074、0.029であった。透過色、反射色も素
板とほとんど見分けがつかなかった。耐久性も実施例1
と同様できわめて優れていた。
実施例4 実施例1の窒化チタンのかわりに第1層としてクロ
ム、チタン、ジルコニウムをそれぞれ約10Å形成した。
その上にZrB2ターゲットを反応性スパッタリングしてZr
とBを含む酸化膜(第2層)を約200Å形成して3種類
の熱線遮断ガラスを作った。これらのTV、TE、RVF、RVG
は第1層のクロム、チタン、ジルコニウムに大きな差は
みられず、それぞれ72、58、11、10(%)のものであっ
た。透過色、反射色の色調変化は、それぞれ0.0031〜0.
0065、0.028〜0.030と実施例1と同様にきわめて優れて
いた。耐久性も実施例1と同様にきわめて優れていた。
実施例5 実施例1と同様に窒化チタンを20Å形成後、錫を反応
性スパッタリングして200Å形成した。こうして得られ
た熱線遮断ガラスのTV、TE、RVF、RVGは、それぞれ70、
55、15、13(%)であった。
長時間の0.1規定の塩酸水溶液中保存で膜の溶液がみ
られた他は耐久性に優れていた。色調も反射が若干高い
ことを除けば透過色、反射色の色調変化がそれぞれ0.00
36、0.030とニュートラル色であった。
実施例6 実施例1と同様に窒化チタンを20Å形成した後、酸素
ケイ素を高周波反応性スパッタリングして250Å形成し
た。こうして得られた熱線遮断ガラスのTV、TE、RVF、R
VGは、それぞれ73、56、8、6(%)であった。
長時間の0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液中で膜の
溶解が見られた他は耐久性に優れていた。反射率が低
く、透過色、反射色の色調変化が0.005、0.018と色調も
きわめて優れていた。
実施例7 実施例1と同様に窒化チタンを20Å形成後、ジルコニ
ウム−ホウ素合金ターゲット(組成は原子濃度で50Zr−
50B)を反応性スパッタリングしてZrとBからなる酸化
膜(第2層)を約200Å形成した。
得られた熱線遮断ガラスの光学性能TV、TE、RVF
RVG、透過色、反射色の色調変化は、それぞれ72.3、58.
5、10.4、8.8(%)、0.0024、0.0290であった。透過
色、反射色も素板とほとんど見分けがつかなかった。膜
の耐久性を調べるために0.1規定の塩酸、水酸化ナトリ
ウム各水溶液中に室温で240時間、又は沸騰水中に2時
間浸漬したが、光学性能に変化は認められなかった。こ
のことから実施例1よりさらにきびしい耐久性試験によ
って優れた耐久性を示すことがわかった。砂消しゴムに
よる擦り試験でも、きわめて優れた耐擦傷性を示した。
実施例8 実施例1と同様に窒化チタンを20Å形成後、ZrSi2
ーゲットを反応性スパッタリングしてZrとSiからなる酸
化膜(第2層)を約200Å形成した。
得られた熱線遮断ガラスの光学性能TV、TE、RVF
RVG、透過色、反射色の色調変化は、それぞれ73.7、59.
3、8.6、7.1(%)、0.0010、0.0175であった。膜の耐
久性は実施例7と同条件で評価したが、同様に優れた性
能を示した。
実施例9 実施例1と同様に窒化チタンを20Å形成後、ジルコニ
ウム−ケイ素合金ターゲット(組成は原子濃度で10Zr−
90Si)を反応性スパッタリングしてZrとSiからなる酸化
膜(第2層)を約200Å形成した。
得られた熱線遮断ガラスの光学性能TV、TE、RVF
RVG、透過色、反射色の色調変化は、それぞれ74.3、59.
6、8.0、6.3(%)、0.0008、0.0074であった。膜の耐
久性は実施例7と同条件で評価したが、同様に優れた性
能を示した。
[発明の効果] 本発明の熱線遮断ガラスは透明基板上に熱線吸収膜、
屈折率が2.0以下の特定の酸化物膜を積層した2層以上
の膜構成を有するので、自然な、ニュートラル色調を有
し、可視光線透過率が高く、かつ高耐久性を有する。し
たがって、単板としても建築用、自動車用など、使用環
境の厳しい用途において充分使用できる。
酸化物膜3としてB又はSiのうち1種以上とZrとを含
む酸化物膜を形成した場合には、特に耐摩耗性、耐薬品
性に優れた熱線遮断ガラスが可能となる。
B又はSiあるいはその合計量の含有割合を多くするこ
とにより、該酸化物膜の屈折率を1.7以下にすることが
でき、その結果、可視光線低反射、高透過、ニュートラ
ルな色調を有する熱線遮断ガラスが可能となる。
さらに、かかるB又はSiのうち1種以上とZrとを含む
酸化物膜を空気側最外層3とする場合には、直流スパッ
タリング法により製膜できるため、大面積が必要とされ
る自動車用、建築用等の用途に最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の熱線遮断ガラスの一例を示す断面図で
ある。 第2図(a)はZrBxOy膜中のBの含有量と膜の屈折率n
との関係を示した図である。 第2図(b)はZrSizOy膜中のSiの含有量とnとの関係
を示した図である。 第2図(c)はZrB1SizOy膜中のSiの含有量とnとの関
係を示した図である。 第2図(d)はTiSizOy膜中のSiの含有量とnとの関係
を示した図である。 1:ガラス基板、 2:熱線吸収膜、 3:酸化物膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 5/20 G02B 5/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物膜の少
    なくとも2層の順次積層された熱線遮断ガラスであっ
    て、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以下の
    屈折率を有するZrByOy膜(1.0≦x<2.3、2.5≦y<5.4
    5)であることを特徴とする熱線遮断ガラス。
  2. 【請求項2】ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物膜の少
    なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスであっ
    て、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以下の
    屈折率を有するZrSizOy膜(0.28≦z<19、2.56≦y<4
    0)であることを特徴とする熱線遮断ガラス。
  3. 【請求項3】ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物膜の少
    なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスであっ
    て、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以下の
    屈折率を有するZrBxSizOy膜(0.28≦x+z<19、2.5≦
    y<40、ただしx+z−3>0かつx−3z+1>0の部
    分を除く)であることを特徴とする熱線遮断ガラス。
  4. 【請求項4】ガラス基板上に熱線吸収膜、酸化物膜の少
    なくとも2層が順次積層された熱線遮断ガラスであっ
    て、該酸化物膜が空気側最外層であり、かつ2.0以下の
    屈折率を有するTiSizOy膜(z≧0.56、y=2+2z)で
    あることを特徴とする熱線遮断ガラス。
  5. 【請求項5】可視光線透過率が70%以上であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の熱線遮断ガ
    ラス。
  6. 【請求項6】熱線吸収膜がチタン、クロム、ジルコニウ
    ム、タンタル、ハフニウム、窒化チタン、窒化クロム、
    窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ハフニウムの群
    から選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の熱線遮断ガ
    ラス。
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