JP2573419Y2 - 熱交換器の出入口パイプの支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はパラレルフロータイプの
熱交換器における出入口パイプの支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、パラレルフロータイプの熱交換
器は、チューブとフィンとが交互に積層され、積層され
たチューブの両端にはそれぞれヘッダタンクが接続さ
れ、ヘッダタンクには熱交換媒体の入口パイプと出口パ
イプが接続されている。そして、入口パイプと出口パイ
プとの間で複数のチューブを一群のチューブ群とした流
路を通じて熱交換媒体を通流する構造となっている。

【０００３】また、出入口パイプにはその先端に継手が
設けられ、各々の接続パイプとの接続作業を容易とする
ために双方の継手が互いに近傍の位置となるように出入
口パイプが配置されている。従って、各パイプ長が所定
長さとなるため、これらのパイプは熱交換器に固定しな
ければならない。従来において、出入口パイプを固定す
るには例えば、実開平１−１７０８８８号に記載された
ものが一般に知られている。この種の支持構造によれ
ば、熱交換器の所定箇所、例えば、端板やヘッダタンク
に一体成形やろう付けによりねじ挿通孔を有するステー
を固定する一方、各パイプの周囲にクリップを巻きつ
け、クリップの基端部をねじによりステーのねじ挿通孔
に通して、クリップをステーに固定する構造となってい
た。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上述した如
き従来の出入口パイプの支持構造によれば、ろう付け、
溶接、ねじ締結等により熱交換器に固定されたステーに
別体のパイプ保持用のクリップを取付ける構造となって
いたので、部品点数が増加して作業工数が増大する欠点
があった。また、鉄製のクリップを用いた場合にはアル
ミニウム製のパイプとの間で電蝕を生じるため、これを
防止するために特殊表面処理が必要となる上、異質の部
品組付けによる撓みが生ずるという問題があった。

【０００５】そこで、本考案は部品点数及び作業工数の
削減を可能とし、電蝕や撓みの発生を防止した熱交換器
の出入口パイプの支持構造を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、複数のチュー
ブが互いに平行に積層され、これら複数のチューブの両
端にヘッダタンクが接続され、ヘッダタンクに熱交換媒
体の入口パイプと出口パイプが接続されたパラレルフロ
ータイプの熱交換器において、前記入口パイプ又は出口
パイプを保持するブラケットを、熱交換器のサイドプレ
ートに形成した一対の挿入孔に装着するものであって、
前記ブラケットは、切り起こしにより形成される係止突
起を設けたステー部と、前記ステー部に連接し前記入口
パイプ又は出口パイプの周面の半周に倣うように湾曲し
Ｕ字状に形成されたクリップ部とを一体に形成し、前記
サイドプレートは、前後対向壁部を備えるとともに、こ
の対向壁部に前記一対の挿入孔が形成され、前記ブラケ
ットの前記クリップ部には前記入口パイプ又は出口パイ
プを嵌合するとともに、前記ステー部をサイドプレート
の前記一対の挿入孔に差込んで当該ステー部の前記係止
突起をサイドプレートに当接させて、一体ろう付けにて
前記ブラケットにより熱交換器に出入口パイプを支持す
る構成の熱交換器の出入口パイプの支持構造である。

【０００７】

【作用】パイプは、熱交換器の所定箇所に固着されたブ
ラケットのステー部に連接されたブラケットのクリップ
部に嵌め込むことにより、仮止めされる。

【０００８】ステー部は、熱交換器のサイドプレートに
形成した一対の挿入孔に差込んで当該ステー部の係止突
起をサイドプレートに当接させることにより、位置決め
及び仮止めがなされる。すなわち、この位置決め及び仮
止めは、ステー部の係止突起がサイドプレートに当接す
ることによる位置規制と、ステー部が一対の挿入孔に差
込まれることによる回転規制とが相俟ってなされる。

【０００９】このようにして仮止めされた後、一体ろう
付けされ、ブラケットにより熱交換器に出入口パイプが
支持される。

【００１０】このような支持構造においては、ブラケッ
トのステー部とクリップ部が一体であるので、部品点数
が低減し作業工数も削減される。

【００１１】

【実施例】以下に本考案の第１実施例について説明す
る。本実施例の熱交換器１は、図１に示すように、複数
の偏平チューブ２が波状フィン３を介して互いに平行に
積層され、これら積層された偏平チューブ２の両側には
ヘッダタンク４が接続されている。この熱交換器１の上
下端側には、横断面Ｕ字状のサイドプレート５が配設さ
れ、これにより積層された偏平チューブ２が補強されて
いる。尚、図１中、６はヘッダタンク４の上下の開口を
閉塞する盲キャップを示す。また、入側のヘッダタンク
（図中右側）４の上側には入口パイプ７の基端側が接続
され、出側のヘッダタンク（図中左側）４の下側には出
口パイプ８の基端側が接続されている。本実施例では、
双方のヘッダタンク４内の所定箇所には仕切り板９が配
設され、入口パイプ７から出口パイプ８の間で、４回流
路が蛇行する５パスの熱交換器に構成されている。

【００１２】前記入口パイプ７の先端には入口継手１１
が設けられ、前記出口パイプ８の先端には出口継手１２
が設けられており、それぞれ接続パイプに接続できるよ
うになっている。入口パイプ７及び出口パイプ８は熱交
換器１の空気通流側の面に配設され、入口パイプ７の先
端側は上側のサイドプレート５の近傍で略水平となるよ
うに配設される一方、出口パイプ８の先端側は出側のヘ
ッダタンク４の近傍で略垂直となるように配設されてい
る。そして、入口パイプ７の先端側の水平部分がブラケ
ット１３により上側のサイドプレート５に固定支持され
ている。他方、出口パイプ８の先端側の垂直部分が別の
ブラケット１４により出側のヘッダタンク４に固定支持
されている。

【００１３】前記入口パイプ７のブラケット１３は、図
２に示すように、平板状に形成されたステー部１５と、
入口パイプ７の周面の半周に倣うように湾曲しＵ字状に
形成されたクリップ部１６とが一体に連接して形成され
ている。前記ステー部１５は、図２ないし図４に示すよ
うに、サイドプレート５に矩形状に設けられた挿入孔１
７，１７に差込んで一体ろう付けにより固着されてい
る。すなわち、この挿入孔１７，１７は、前後対向壁部
５ａ，５ｂを備えたサイドプレート５に一対形成されて
おり、そしてこれらの形状は、ステー部１５の横断面形
状に対応している。また、ステー部１５には、差込み作
業を容易にするため、切り起こしにより形成された係止
突起１８が設けられている。前記クリップ部１６は、図
２ないし図４に示すように、入口パイプ７を装着してね
じ１９により入口パイプ７を固定するため、クリップ部
１６の先端部分と、これに対応する箇所には挿通穴２０
及びねじ穴２１が設けられており、挿通穴２０にねじ１
９を通してねじ穴２１にねじを締結することにより、ク
リップ部１６に入口パイプ７が固定される。

【００１４】したがって、各ブラケットを、熱交換器に
固着されるステー部と出入口パイプを支持するクリップ
部とを一体に連接して形成したので、部品点数が減少し
作業工数が削減できる。また、ステー部をろう付けする
必要から、ステー部及びクリップ部がアルミニウム製と
なり、電蝕や撓みの発生が防止できる。

【００１５】また、一つのステー部に複数のクリップ部
を設けるには、図５及び図６に示す構造にすることも可
能である。図５及び図６に示すブラケット３６，３７
は、ステー部３１に連接されるクリップ部３２，３３が
片側で上下二段に各パイプを支持する構成である。

【００１６】尚、実施例ではブラケット１３で入口パイ
プ７を支持する場合を例に採って説明したが、出口パイ
プを支持することもできることは勿論である。

【００１７】

【考案の効果】以上説明したように、本考案は、複数の
チューブが互いに平行に積層され、これら複数のチュー
ブの両端にヘッダタンクが接続され、ヘッダタンクに熱
交換媒体の入口パイプと出口パイプが接続されたパラレ
ルフロータイプの熱交換器において、前記入口パイプ又
は出口パイプを保持するブラケットを、熱交換器のサイ
ドプレートに形成した一対の挿入孔に装着するものであ
って、前記ブラケットは、切り起こしにより形成される
係止突起を設けたステー部と、前記ステー部に連接し前
記入口パイプ又は出口パイプの周面の半周に倣うように
湾曲しＵ字状に形成されたクリップ部とを一体に形成
し、前記サイドプレートは、前後対向壁部を備えるとと
もに、この対向壁部に前記一対の挿入孔が形成され、前
記ブラケットの前記クリップ部には前記入口パイプ又は
出口パイプを嵌合するとともに、前記ステー部をサイド
プレートの前記一対の挿入孔に差込んで当該ステー部の
前記係止突起をサイドプレートに当接させて、一体ろう
付けにて前記ブラケットにより熱交換器に出入口パイプ
を支持する構成の熱交換器の出入口パイプの支持構造で
ある。

【００１８】従って、パイプは、熱交換器の所定箇所に
固着されたブラケットのステー部に連接されたブラケッ
トのクリップ部に嵌め込むことにより、仮止めされ、ま
た、ステー部は、熱交換器のサイドプレートに形成した
一対の挿入孔に差込んで当該ステー部の係止突起をサイ
ドプレートに当接させることにより、位置決め及び仮止
めがなされるので、爾後の一体ろう付けにより、ブラケ
ットを介して熱交換器に出入口パイプをきわめて容易且
つ簡単に支持することができる。

【００１９】このように、本考案によれば、熱交換器に
固着されるステー部と出入口パイプを固定するクリップ
部とを一体に連接したことにより、部品点数が減少し作
業工数が削減されるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係り、熱交換器の正面図
である。

【図２】入口パイプのブラケットの斜視図である。

【図３】入口パイプのブラケットの正面図である。

【図４】図３中の左側面図である。

【図５】本考案に係るブラケットの側面図である。

【図６】本考案に係るブラケットの側面図である。

【符号の説明】

１ 熱交換器 ２ チューブ ３ 波状フィン ４ ヘッダタンク ５ サイドプレート ６ 盲キャップ ７ 入口パイプ ８ 出口パイプ ９ 仕切り板 １１ 入口継手 １２ 出口継手 １３ ブラケット １４ ブラケット １５ ステー部 １６ クリップ部 １７ 挿入孔 １８ 係止突起 １９ ねじ ２０ 挿通穴 ２１ ねじ穴 ３１ ステー部 ３２ クリップ部 ３３ クリップ部 ３６ ブラケット ３７ ブラケット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のチューブが互いに平行に積層さ
   れ、これら複数のチューブの両端にヘッダタンクが接続
   され、ヘッダタンクに熱交換媒体の入口パイプと出口パ
   イプが接続されたパラレルフロータイプの熱交換器にお
   いて、前記入口パイプ又は出口パイプを保持するブラケット
   を、熱交換器のサイドプレートに形成した一対の挿入孔
   に装着するものであって、 前記ブラケットは、 切り起こしにより形成される係止突
   起を設けたステー部と、前記ステー部に連接し前記入口
   パイプ又は出口パイプの周面の半周に倣うように湾曲し
   Ｕ字状に形成されたクリップ部とを一体に形成し、前記サイドプレートは、前後対向壁部を備えるととも
   に、この対向壁部に前記一対の挿入孔が形成され、 前記ブラケットの前記クリップ部には前記入口パイプ又
   は出口パイプを嵌合するとともに、前記ステー部をサイ
   ドプレートの前記一対の挿入孔に差込んで当該ステー部
   の前記係止突起をサイドプレートに当接させて、一体ろ
   う付けにて前記ブラケットにより熱交換器に出入口パイ
   プを支持することを特徴とする熱交換器の出入口パイプ
   の支持構造。