JP2569676B2 - 液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを用いた調光体、物体展示体及び表示装置 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法並びにそれを用いた調光体、物体展示体及び表示装置

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JP2569676B2
JP2569676B2 JP63007626A JP762688A JP2569676B2 JP 2569676 B2 JP2569676 B2 JP 2569676B2 JP 63007626 A JP63007626 A JP 63007626A JP 762688 A JP762688 A JP 762688A JP 2569676 B2 JP2569676 B2 JP 2569676B2
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裕 熊井
實 赤▲塚▼
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は透過散乱型の液晶光学素子及びその製造方法
並びにその利用に関するものである。
[従来の技術] 従来、光散乱を動作原理とする液晶光学素子には動的
散乱(DS)及び相転移(PC)の2つのモードが知られて
いる。DSモードは水平もしくは垂直配向処理を行なった
透明電極付基板に、導電性物質を添加した誘電異方性が
負の液晶を封入したものであり、電圧を印加しない透過
状態と、しきい値電圧より高い電圧印加により動的散乱
を生じさせ、透過率を低下させた状態との二状態を制御
するものである。またPCモードは、必要に応じて配向処
理した透明電極付基板にコレステリック液晶を封入し、
電圧印加の有無によりホメオトロピック配列のネマチッ
ク相(透過)とフォーカルコニック配列もしくはプレー
ナ配列のコレステリック相(散乱)の二状態を制御する
ものである。DSモード、PCモードのいずれも偏光板を使
用しないため、広い視角が得られる利点はあるものの、
前者は液晶中に導電性物質を添加した電流効果型である
ため、消費電力が大きくなる、液晶の信頼性が低下する
といった欠点を有している。
一方、後者においても動作電圧が、(電極間距離/液
晶のピッチ)に依存するため、大面積化しようとする場
合、高い精度で均一なギャップを必要とするといった困
難な問題を有している。
一方、H.G.CraigheadらがAppl.Phys.Lett.,40(1)2
2(1982)に開示した方法は、液晶が屈折率異方性を有
する特徴をいかしたものであり、具体的には液晶を多孔
体に含浸させ、電圧印加の有無により液晶の屈折率を変
化させ、多孔体との屈折率を調節することにより、透過
と散乱とを制御するものである。この方法は偏光板を用
いることなく原理的DSモード、PCモードがもつ欠点を克
服することが可能であり有用な方法である。同様の素子
はJ.L.Fergasonらがポリビニルアルコールを使ってマイ
クロカプセル化したネマチック液晶により、(特表昭58
−501631号)、またK.N.Pearlmanらは種々のラテックス
取り込み液晶により(特開昭60−252687号)、またJ.W.
Doaneらは、エポキシ樹脂中に液晶を分散硬化させる方
法(特表昭61−502128号)で作成している。
[発明の解決しようとする問題点] H.G.Craigheadらの方法は多孔体への含浸といった手
段をとっているため、使用する多孔体の孔や溝のサイズ
にばらつきがある、液晶の含浸が難しい、多孔体と液晶
の量比に自由度がないといった問題点から、透過率変化
が十分とれない、素子作成が困難であるといった欠点を
有していた。またJ.L.Fergasonら、K.N.Pearlmanらによ
る素子は、表示に必要な電極をパターニングしなくては
ならなかった。
この電極のパターニングには、電極上へのレジストの
塗布、露光、現像、エッチング等の工程が必要であっ
た。
さらに、この表示としては、電極が対向している部分
と対向していない部分との透過−非透過(透過率の値が
2値)の2値表示しかできなかった。
また、丸や四角の枠の中に図形や文字を表示すること
はできなかった。
また、電圧を印加した時のみ表示を行うものであっ
た。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであ
り、得られる硬化物の屈折率が、使用する液晶物質の常
光屈折率(no)、異常光屈折率(ne)または液晶物質が
ランダムに配向した場合の屈折率(nx)のいずれかと一
致するように選ばれた光硬化性化合物及び液晶物質の混
合物を一対の電極付基板間に保持し、光露光により、光
硬化性化合物を硬化させて液晶物質と硬化物との相分離
を固定化した液晶光学素子において、光硬化性化合物を
重合硬化をさせる際に、その少なくとも一部の基板間に
電圧を印加して硬化させ、特定の配向を生じせしめたこ
とを特徴とする液晶光学素子、特に、特定の配向を形成
した部分が、電圧の印加の有無によらずに常に光が透過
する液晶光学素子を提供するものである。
また、これらの液晶光学素子と、それに電圧を印加す
る駆動手段とからなる調光体、または、液晶光学素子
と、それに電圧を印加する駆動手段と、物体を配置する
配置手段とからなる商品展示棚、ショーウインドー等の
物体展示体、、または、液晶光学素子を複数個組合せ、
夫々を個々に駆動可能な駆動手段を設けた表示装置を提
供するものである。
また、一対の電極付基板間に得られる硬化物の屈折率
が、使用する液晶物質の常光屈折率(no)、異常光屈折
率(ne)または液晶物質がランダムに配向した場合の屈
折率(nx)のいずれかと一致するように選ばれた光硬化
性化合物及び液晶物質の混合物を供給し、光を照射する
ことによりこの混合物を硬化させる液晶光学素子の製造
方法において、少なくとも一部の基板間に電圧を印加し
つつ、光露光することにより、光硬化性化合物を重合硬
化させて、その部分にのみ特定の配向を生ぜしめること
を特徴とする液晶光学素子の製造方法を提供するもので
ある。
本発明の素子は、液晶と光硬化性化合物を用い、光硬
化過程を経ることにより、液晶と硬化物とを相分離によ
り固定化させ、硬化物のマトリックス中に液晶物質が散
在した構造となり、液晶と硬化物の分布が一様となり、
外観品位、生産性にすぐれ素子といえる。
本発明では、電圧を印加していない状態又は印加して
いる状態のいずれか一方で、光露光により重合硬化させ
られた硬化物の屈折率が、使用する液晶物質の常光屈折
率(no)、異常光屈折率(ne)または液晶物質がランダ
ムに配向した場合の屈折率(nx)のいずれかと一致する
ようにされる。
これにより、得られた硬化物の屈折率と液晶物質の屈
折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光が
散乱(白濁)することになる。
この特性を生かして、本発明の液晶光学素子は調光体
に使用するとその効果が大きい。
また、本発明の素子は、得られる硬化物の屈折率が、
使用する液晶物質の屈折率をnoまたはneと一致させてお
くことにより、電圧が印加されていない場合は、配列し
ていない液晶物質と、硬化物の屈折率の違いにより、散
乱状態(つまり白濁状態)を示し、また電圧を印加した
場合は、液晶物質が配列し、液晶の屈折率(noあるいは
ne)と光重合硬化により得られた硬化物の屈折率とが一
致することにより透過状態を示すものであり、可逆的な
調光機能をもつすぐれた素子と言える。
この素子は、この硬化工程の際に特定の部分のみに電
圧を印加した状態で硬化させてやることにより、特定の
配向が形成される。通常、しきい値電圧以上の電圧を印
加した状態で硬化させてやることにより、その部分が常
に光透過状態となる。
もっとも、使用する光硬化性化合物と液晶物質との系
により、この印加電圧に対する配向形成に差があるた
め、しきい値電圧以上の電圧を印加しても、常に光透過
状態にならないこともあり、しきい値電圧よりも充分高
い電圧を印加したり、系の配合を適切に選択するように
する。
この部分は、硬化後には電圧の印加に無関係に光がほ
ぼ透過する。これにより、電極のパターニングをするこ
となしに、特定の文字や図形を表示可能となる。また、
文字、図形、グラフ等を連続した枠で囲むことも容易に
可能となり、表示の自由度、表示パターンの設計の容易
性が向上するという利点も有する。
その他の電圧を印加しない状態、低い電圧を印加した
状態で硬化させた部分は、電圧は印加したが短時間であ
った部分は、ある程度光が透過して、かつ電圧の印加に
より光の透過率が変化するようになる。
この場合、液晶物質が完全に配向しきらない程度の電
圧を印加しつつ、光露光した場合、または電圧を印加し
てある程度硬化が進行する程度の短時間光露光した場合
には、液晶分子は平均的に見て基板面にほぼある角度傾
いて配向することとなる。
これにより、電圧を印加しない状態での光の透過率が
周囲の白濁している部分よりは高くなり、中間調の表示
が可能となる。これにより、写真のような表示も可能と
なる。
写真のような中間調を表示したい場合には、高い電圧
を印加しつつ、写真のネガ又はポジを使用して光露光す
れば良い。これにより、光が強く当たったところは透過
状態になり、光が当たる量が少なくなればなるほど散乱
状態となる。これにより、光の透過量によって種々の中
間調を出すことができる。この散乱状態となった部分は
電圧の印加によって錯乱と透過を制御することができ
る。
本発明の光が常に透過してくる部分を形成する目的の
ためには、特定の配向を形成するように電圧を印加しつ
つ硬化して得られた部分の液晶光学素子の液晶のしきい
値電圧以下で測定した誘電率の値(ε)と、電圧を印加
せずに硬化された部分の液晶光学素子の2状態で測定し
た誘電率、つまり (1)液晶が充分に基板に垂直方向に配列できる電圧で
測定した誘電率(εON) (2)液晶のしきい値電圧以下で測定した誘電率(ε
OFF) との関係式が次のようになることが好ましい。
特に電圧を印加した際の液晶の配向が、基板面に対し
垂直である方が透過率が上昇するので、得られる硬化物
の屈折率が、使用する液晶のnoと一致するように選ばれ
た光硬化性化合物と誘電異方性が正の液晶物質とを組み
あわせて使用した方が好ましい。
また、本発明の素子は、光露光により重合硬化させら
れた硬化物の屈折率が、使用する液晶物質がランダムに
配向した場合の屈折率(nx)と一致するようにされるこ
ともできる。ここでいうランダムに配向するとは、全て
の液晶分子が基板面に対して平行又は垂直に配列してい
るのでなく、硬化物のマトリックスを構成する網目もし
くはカプセルの影響により種々の方向を向いていること
を表わす。この場合には、電圧が印加されていない場合
は、配列していない(ランダムに配向)液晶物質と、硬
化物の屈折率が一致しているため、透過状態を示す。逆
に、電圧を印加した場合には、液晶物質が配列し、液晶
の屈折率(noあるいはne)と光重合硬化により得られた
硬化物の屈折率とが一致しなくなり、散乱状態(つまり
白濁状態)を示すこととなる。これにより電圧を印加し
ない状態で透明の素子が得られるが、光重合硬化により
得られた硬化物が網目状もしくはカプセル状に存在し、
液晶がこの硬化物の影響を受けランダムに配向している
のと同様の状況にあるため、均一な状態とすることが難
しいという問題点がある。これは、前者のように垂直ま
たは水平に配向させた場合には、均一に配向させやすい
が、ランダムに配向させるのは、マクロ的にみればラン
ダムであっても、部分的にみれば配向状態が微妙に異な
り、屈折率の差を生じ、これがムラとなって見え易いた
めである。
このタイプの素子は、この硬化工程の際に特定の部分
のみにしきい値電圧以上の電圧を印加した状態で硬化さ
せてやることにより、その部分が常に散乱状態となる。
この部分は、硬化後には電圧の印加に無関係に光が散
乱する。これにより、電極のパターニングをすることな
しに、特定の文字や図形を表示可能となる。
また、この素子の場合にも液晶物質が完全に配向しき
らない程度の電圧を印加しつつ光露光するか、または電
圧を印加してある程度硬化が進行する程度の短時間光露
光する等することにより、液晶分子を平均的に見て基板
面にほぼある角度傾いて配向させることができる。これ
により写真のような中間調を表示したり、低電圧駆動が
可能になる。
この場合も、使用する光硬化性化合物と液晶物質との
系により、印加電圧に対する配向形成に差があるため、
形成したい配向状態により、印加電圧は実験的に定める
ことが好ましい。
なお、本発明ではこの硬化物の屈折率と、使用する液
晶物質の屈折率(no、ne、nxのいずれか)とを一致させ
るものであるが、この一致とは完全に一致させることが
好ましいものであるが、透過状態に悪影響を与えない程
度に、ほぼ一致するようにしておけば良い。具体的に
は、屈折率の差を0.15程度以下にしておくことが好まし
い。これは、液晶物質により硬化物が膨潤して、硬化物
が本来持っていた屈折率よりも液晶物質の屈折率に近づ
くため、この程度の差があっても、光はほぼ透過するよ
うになる。
本発明では光硬化性の化合物が使用される。これによ
り、所望の部分に所定の配向を形成させて、固定表示部
分を形成することが容易にできる。即ち、基板の表面に
光を遮光するマスクを配置することにより、容易に特定
の部分のみを重合硬化させて、特定の配向を形成させ
て、常に光が透過してくるか散乱している固定表示部分
を形成することができる。
この光硬化性とは、赤外線、可視光線、紫外線、電子
線によって重合硬化する化合物であればよい。その光の
作用も、重合硬化を促進するものであれば何でもよく、
光子、電子、熱のいずれによってでもよい。
従って、光硬化性化合物は、ビニル重合、付加重合、
縮合重合、カチオン重合、アニオン重合、リビング重合
等何れであってもよいが、水分、腐食性物質等の液晶物
質を劣化させるおそれのある物質を発生する縮合重合は
一般的にみて好ましくない。
また、重合の系は、均一、不均一系を問わない。例え
ば、光硬化性化合物と液晶との混合物であってもよい
し、光硬化性化合物と液晶をポリビニルアルコール等と
混合しマイクロカプセル化したものでもよい。
また、電圧を印加して光重合硬化した後に、全体を過
熱して熱重合を行なってもよい。
本発明で使用される、光硬化性化合物は、硬化速度を
速めたいなら、光硬化開始剤を加えるなどしてよく、ラ
ジカル種により光重合硬化可能なものであれば、外観品
位、信頼性にすぐれた素子を作成することができる。こ
の光硬化ビニル系化合物は重合硬化するものが使用され
る。これは、さらに光二量化するものと重合高分子化す
るものに分けられる。前者はビニル基の中でも、シンナ
モイル基やシンナミリデン基をもつものが多く、たとえ
ばポリケイ皮酸ビニル、ポリシンナミリデン酢酸ビニ
ル、フェニレンジアクリル酸エステルなどが例示され
る。後者は、モノマーやオリゴマーが光により活性化さ
れて、相互にあるいは他のポリマーやオリゴマー、モノ
マーと重合硬化するものであり、ビニル基の中でもアク
リロイル系、アリル系、スピラン系、ビニルベンゼン系
のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどがあげられる。
具体的には、モノアクリレート、ジアクリレート、N−
置換アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレン
及びその誘導体、ポリオールアクリレート、ポリエステ
ルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアク
リレート、シリコーンアクリレート、フロロアルキルア
クリレート、ポリブタジエン骨格を有するポリアクリレ
ート、イソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート、
ヒダントイン骨格を有するアクリレート、不飽和シクロ
アセタールなどに代表される単官能及び多官能ビニル基
を有する化合物が例示される。
本発明では、これら種々の光硬化性ビニル系化合物の
使用が好ましい。中でもアクリロイル系化合物を使用す
ることが、光露光後の液晶と硬化物の相分離状態及びそ
の均一性にすぐれていること、また光露光による硬化速
度が速く硬化物が安定であることから好ましい。尚ここ
でいうアクリロイル系化合物のアクリロイル基は、α
位、β位の水素がフェニル基、アルキル基、ハロゲン原
子、シアノ基等で置換されていてもよい。
本発明では、これらの光硬化性ビニル系化合物の内、
光照射によって重合硬化するもの、特に重合高分子化す
るオリゴマーを含有するものが好ましい。
具体的には、光硬化性ビニル系化合物としてビニル基
を2個以上含有するアクリルオリゴマーを15〜17wt%含
有することが好ましく、光硬化後に硬化に伴う収縮が少
なく、液晶光学素子に微小なクラックが発生しにくく、
成形性が良好となる。この微小クラックが多くなれば、
光透過状態での光の透過率が低下する傾向となり、素子
の性能が低下する。このアクリルオリゴマーの粘度は高
すぎても低すぎても成形性に悪影響を与えるので50℃で
150〜50000cps程度とすることが好ましい。
光硬化性ビニル系化合物の残りの部分は、ビニル系の
モノマーが使用できる。特に、アクリル系のモノマーが
アクリルオリゴマーと相性が良く好ましい。
本発明で使用することが好ましいアクリルオリゴマー
としては、以下に示す一般式(I)の構造を有する。
このXで表わされる部分は、ポリオール、ポリエステ
ル、エポキシ、ウレタン、ヒダントイン等の骨格から選
ばれれば良く、少なくとも両側にアクリル酸の構造(CH
2=CH−COO−)持っていれば良い。具体的には、以下の
ような構造がありうる。
CH2CH2On、C3H6On等のR−On (Rはアルキレン基、R′は水素またはアルキル基を表
わし、フェニレンで置換もしくはシクロヘキシレンで置
換されていてもよい。また、同一構造式中に複数のR、
R′等がある場合には、全てが同一の基でも良いし、夫
々異なっていてもよい。以下も同じ。) 尚、これらの骨格は単なる例示にすぎなく、素子の形
状、特性等を考慮して適宜選択すれば良い。
また、光硬化性化合質は、単独もしくは複数混合で用
いてもよく、素子作成に必要な改質剤、作成した素子の
改質剤などを含んでいてもよい。具体的には、架橋剤、
界面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、
安定剤、吸収剤、色素、重合促進剤、連鎖移動剤、重合
禁止剤などを含んでいてよい。
本発明の素子で使用する光硬化性化合物は、前述の要
件を満たした種々の材料の中から、液晶の屈折率、液晶
との溶解性を勘案して選択すればよい。
また、光硬化開始剤は、ベンゾインエーテル系、ベン
ゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系な
どが例示される。
本発明で使用される液晶物質は、ネマチック液晶物
質、スメクチック液晶物質等があり、単独で用いても組
成物を用いても良いが、動作温度範囲、動作電圧など種
々の要求性能を満たすには組成物を用いた方が有利とい
える。特に、ネマチック液晶の使用が好ましい。
また、使用される液晶物質は、光硬化性化合物に均一
に溶解することが好ましく、光露光後の硬化物とは、溶
解しない、もしくは困難なものが必要であり、組成物を
用いる場合は、個々の液晶物質の溶解度ができるだけ近
いものが望ましい。
本発明の素子を製造する際、光硬化性化合物と液晶物
質とは5:95〜45:55程度の混合物とすればよく、液状な
いしは粘稠物として使用されればよい。
本発明の素子を製造する際、調製する光硬化性化合物
と液晶物質との混合物は液状であっても粘稠物であって
も均一に混合されていれば良く、素子の製造方法によっ
て最適なものを選べば良い。たとえば、In2O3−SnO2,S
nO2等の透明電極付のガラス基板が、相対向するように
配して周辺をシールしたセルには、液状で注入した方が
一般に便利であり、透明電極付のプラスチック、ガラス
等の基板に塗布し、対向する基板を重ね合わせようとす
る場合には、一般に粘稠状態の方が便利である。
基板間ギャップは、5〜100μmにて動作することが
できるが、印加電圧、オン・オフ時のコントラストを配
慮すれば、7〜40μmに設定することが適当である。こ
のようにして、基板に保持した混合物を、光露光によ
り、液晶物質と硬化物との相分離状態で固定化する。硬
化物の屈折率を液晶物質のnoまたはneと一致させる場合
には、光露光前には、基板に保持された内容物は均一に
溶解していれば、無色透明であるが、光露光後は配列し
ていない液晶物質と硬化物による屈折率散乱のため白濁
状態となる。こうして作成した本発明の素子は、電圧印
加することにより、液晶物質が配列し、硬化物と屈折率
が一致するため透過状態となる。
本発明では、この際固定表示の特定の配向を生じせし
めたい部分のみに電圧を印加しつつ、光露光硬化性化合
物の硬化を行なう。
この特定の配向を生じせしめるには、種々の方法があ
る。
特定の部分のパターンに対応する電極を配置し、その
間に電圧を印加しつつ、全体い光を当てて硬化させる。
特定の部分を除く部分に遮光性のマスクを形成し、少
なくとも特定の部分に電圧を印加しつつ、全体に光を当
てて特定の部分のみを硬化させ、次いで、遮光性のマス
クを除去して残りの部分を硬化させる。
レーザー等を走査しながら必要の部分には電圧を印加
して特定の部分にのみ特定の配向を形成させる。
また、これらの方法を組み合わせたり、特定の部分と
同じ形状のマスクを使用する等して特定の部分を除いた
部分を先に硬化させるように工程を逆転させてもよい。
特に、とその逆工程のプロセスが駆動用の基板の電
極をそのままパターニング時の電圧印加にも使用できる
ため、付加する手段がマスクのみでよく、生産性も良
い。
内面に電極を形成した通常の液晶光学素子のセルの構
成を採り、その電極を使用して特定のパターンを特定の
配向としてもよいし、外部に電極を配置し、それにより
特定のパターンを特定の配向としてもよい。これらによ
り、例えば、ドットマトリクス表示、セグメント表示、
バーグラフ表示に図形を組み合わせたり、連続した枠を
形成したりすることもできる。
また、例えば、全面ITO付き円盤状ガラス基板セルを
用い、中心で回転させながらの方法を使用してレーザ
ー光等で書き込むことによりメモリー素子としても使用
できる。
さらに、前述のごとく、硬化させる際の電圧をしきい
値電圧付近で段階的に変化させたり、光の照射時間、硬
化温度等を制御してして白濁度が低いが電圧により透過
率が変化する中間調の透過部分を形成してもよい。
このようにして作成した本発明の素子は、特定の配向
により常に光が透過してくる部分と、通常は白濁してい
るか透過状態であるが、電圧を印加することにより、液
晶が配列し、硬化物の屈折率と液晶の屈折率とが一致し
て透過状態になるため透過率が変化する部分を有する。
また、硬化物の屈折率を液晶物質の屈折率(nx)と一
致させた場合には、光露光前は、基板に保持された内容
物は均一に溶解していれば、無色透明であり、光露光後
は配列していない液晶物質と硬化物による屈折率が一致
するため透過状態となる。こうして作成した本発明の素
子は、電圧印加することにより、液晶物質が配列し、硬
化物と屈折率がずれて散乱するため白濁状態となる。
この場合には、特定の配向を形成した部分では、常に
光が散乱されることとなる。もちろん、中間調部分を形
成することもできる。
基板間ギャップは、5〜100μmにて動作す 本発明では、この液晶中に2色性色素や単なる色素、
顔料を添加したり、硬化性化合物として着色したものを
使用したり、基板に着色基板を使用したり、カラーフィ
ルターを積層したりして特定の色を付けることもでき
る。
本発明では、液晶物質を溶媒として使用し、光露光に
より光硬化性化合物を硬化させることにより、硬化時に
不要となる単なる溶媒や水を蒸発させる必要がない。こ
のため、密閉系で硬化できるため、信頼性が高く、か
つ、光硬化性化合物で2枚の基板を接着する硬化も有す
るため、シール剤を不要にすることもできる。
このため、一方の電極付基板上に光硬化性化合物及び
液晶物質の溶解物を供給し、さらにその上に他方の電極
付基板を重ね合せ、その後、光を照射して硬化させると
いう生産性の良い製造方法が採用できる。
特に、電極付基板にプラスチック基板を使用すること
により、連続プラスチックフィルムを使用した長尺の液
晶光学素子が容易に製造できる。
このような液晶と硬化性化合物のマトリックスによる
液晶を使用することにより、大面積にしても、上下の透
明電極が短絡する危険性が低く、かつ、通常のツイスト
ネマチック型の表示素子のように配向や基板間隙を厳密
に制御する必要もなく、大面積を有する液晶調光体を極
めて生産性良く製造できる。なお、光の透過状態のムラ
を少なくするためには、基板間隙はある程度一定である
方が良い。このため、ガラス粒子、プラスチック粒子、
セラミック粒子等の間隙制御用のスペーサーを基板間隙
に配置する方が好ましい。具体的には、基板上に光硬化
性化合物及び液晶物質の混合物に基板間隙制御用のスペ
ーサーを含有させて供給するか、混合物を供給前または
後にスペーサを供給して、他方の基板を重ね合わせるよ
うにすれば良い。この場合、重ね合わせた後に加圧し、
その後、硬化させることにより、より均一な基板間隙に
なりやすい。
このような液晶光学素子は、表示素子としても使用可
能であるが、大面積化が容易であること及び後で切断し
て所望のサイズにできること等から調光体として使用し
た場合に好適である。調光体として使用される場合に
は、通常は透過型であるため、電極は透明電極とされ
る。もちろん、その一部に低抵抗化するための金属リー
ド部を併設したりしてもよい。また、調光鏡として使用
する場合には、一方の電極を反射電極としてもよい。
この液晶光学素子は、基板がプラスチックや薄いガラ
スの場合にさらに保護のためにプラスチックやガラス等
の保護板を積層したり、基板を強化ガラス、合せガラ
ス、線入ガラス等にしてもよい等種々の応用が可能であ
る。
特に、電極付基板としてプラスチック基板を使用して
液晶光学素子とし、電極取り出し線を付けて、これを液
晶光学素子よりもやや大きい2枚のガラス板間にポリビ
ニルブチラール等の接着性材料層を介して挟持して、加
熱又は光照射により、接着性材料層を硬化させて、液晶
光学素子とガラス板とを一体化し合せガラス状にして使
用することが好ましい。中でも接着性材料をポリビニル
ブチラールとすることにより、通常の合わせガラスと極
めて類似した構造とすることができる。
この液晶光学素子を製造するには、所望の形状の基板
を2枚準備して、これを組合せて液晶素子を製造しても
よいし、連続プラスチックフィルム基板を使用したり、
長尺ガラス基板を用いて製造して、後で切断する方式で
製造してもよい。
この液晶光学素子を用いた調光体の用途としては窓、
天窓、間仕切り、扉等の建築材料、窓、ムーンルーフ等
の車両用材料、各種電気製品用のケース、ドア、蓋等の
材料に使用可能である。
調光体として使用する場合には、この液晶光学素子
に、これを駆動するための駆動手段を付加すれば良い。
この駆動手段としては、後述するように通常数十V程度
の交流電圧を印加することができるものが使用される。
また、この液晶光学素子を種々の物体を配置する配置
手段と組み合せ、かつこれを駆動するための駆動手段を
付加することにより、各種商品を展示するショーウイン
ドウ、ショーケース等の物体展示体に使用することもで
きる。これには、ファイル棚に使用してファイルのタイ
トルは電圧を印加して透明にしないと見えないが、ファ
イルの有無は常に透明の部分により確認できるというよ
うな応用もある。
また、本発明の液晶光学素子を複数個組合せて、夫々
を別個に駆動可能にし、文字や図形を表示するという表
示装置にも使用できる。例えば、10cm角の液晶光学素子
を16×16ドットになるように配置し、漢字を表示するこ
とにより、従来の液晶表示素子ではできなかったような
1文字が1m以上の大型表示装置も可能となる。
本発明の液晶光学素子は、駆動のために電圧を印加す
る時には、液晶の配列が変化するような交流電圧を印加
すればよい。具体的には、5〜100Vで10〜1000Hz程度の
交流電圧を印加すればよい。
また、電圧を印加しない時には、電極間をオープンに
するか短絡すればよい。これらの内でも、電極間のイン
ピーダンス、即ち、電極のインピーダンス、端子部での
接続インピーダンス、回路インピーダンスの合計インピ
ーダンスが、液晶物質と硬化物との層のインピーダンス
よりも低くなるようにすることにより、電圧を切った時
の液晶の応答が速くなる。
特に、電極間のインピーダンスが、液晶物質と硬化物
との層のインピーダンスの1/10以下になるようにするこ
とが好ましい。このため、電極のインピーダンス及び端
子部での接続インピーダンスが高い場合には、回路のイ
ンピーダンスを下げることが好ましい。
このように自己放電回路を形成することにより、通常
の液晶表示素子に比して素子自体の有するキャパシタン
スが非常に大きいものであっても、電極間に蓄積された
電荷が速やかに放電され、液晶がランダムな傾向に戻る
運動を阻害しなく、透過と散乱との間の変化が速くな
る。
本発明の素子は、表示用素子、とりわけ従来の液晶表
示素子が困難であった、大面積表示素子、湾曲状での表
示素子等に利用できるほか、大面積の調光素子、光シャ
ッター等、数多くの利用が考えられる。
また、電球等の光源の前に設置して、例えばフォグラ
ンプと通常のランプの切替を電気的に行う用途にも使用
できる。
また、本発明では一方の電極を鏡面反射電極として鏡
として使用してもよく。この場合には裏側の基板は不透
明なガラス、プラスチック、セラミック、金属製とされ
てもよい。
また、カラーフィルターを併用したり、液晶中に二色
性色素を混入したりしてカラー化したり、他のディスプ
レーであるTN液晶表示素子、エレクトロクロミック表示
素子、エレクトロルミネッセンス表示素子等と積層して
使用してもよく、種々の応用が可能である。
[実施例] 以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
実施例1 n−ブチルアクリレート1部及び2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート5部に液晶(BDH社製E−8)を18部、
光硬化開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテル0.
12部を均一に溶解し、25μmのセルギャップをもったIT
O付ガラス基板セルに注入した。注入孔を封止した後、
Tの字を切り抜いた黒色テープを遮光用マスクとして張
り付け、セル全体に50Hz、60Vの交流電圧を印加しなが
ら紫外線照射装置(東芝:トスキュアー400)により、
約3秒光露光した。
次いで、黒色テープを取り去り、電圧を印加せずに、
紫外線照射装置により、約60秒光露光したところTの字
型に透明な部分があり、他の部分は白濁した素子が得ら
れた。
この素子にAC60V(50Hz)の交流電圧を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となった。
実施例2 n−ブチルアクリレート1部及び2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート3部、アクリルオリゴマー(東亜合成化
学(株)製M−1200)4部、光硬化開始剤としてメルク
社製ダロキュアー1116を0.16部、液晶E−8を4部を均
一に溶解した。
この溶解物を、25μmのセルギヤップをもったSnO2
極付ガラス基板セルに注入した。
注入孔を封止した後、セル全体に50Hzの交流電圧を印
加しながら紫外線照射装置により、約15秒光露光した。
この際、印加電圧を種々変化させた。
次いで、電圧を印加せずに、紫外線照射装置により、
約60秒光露光して硬化を完了させた。
このようにして製造した液晶光学素子の硬化時に印加
した電圧による透過率の変化を第1表に示す。なお、オ
ンの透過率はAV60V(50Hz)の交流電圧を印加して行な
った。
実施例3 実施例1の混合物7部、ポリビニルアルコール3部を
水に分散後、ITO付きポリエチレンテレフタレートフィ
ルム上に流延し、水を揮発させたあと、ITO付きポリエ
チレンテレフタレートフィルムを重ね合せた。そのセル
ギャップは20μmであった。
実施例1と同様にして作成した素子に交流電圧(AC60
V、50Hz)を印加したところ、全面にわたって透明状態
となり、電圧をきるとTの字型に透明な部分があり、他
の部分は白濁した状態になった。
実施例4 N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド1部、n−
ブチルアクリレート3部、光硬化開始剤(ダロキュア11
16)を0.2部、液晶Roche社製TN−623 9.5部を均一に溶
解した。セルギャップを10μmにした以外は、実施例1
と同様に素子を作成した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
実施例5 実施例1と同様のセルを用い、黒色の遮光テープを四
角の枠状に切り抜いてセル表面に貼り、その内側に5つ
の大きさの異なる円の形に切り抜いた黒色のテープを同
心円状に貼り付け、このセル全体に交流電圧(AC60V、5
0Hz)を印加しながら赤外線照射装置により、約3秒光
露光した。
次いで、黒色テープを取り去り、電圧を印加せずに、
赤外線照射装置により、約60秒光露光したしたところ、
枠と同心円の部分は白濁し、他の部分は透明な素子が得
られた。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、枠と同心円の部分のみが応答し、全体が透明となっ
た。
また、黒色テープを貼る場所を代えることにより、上
記例でネガとポジを反転したものも製造できる。
実施例6 n−ブチルアクリレート3部、アクリルオリゴマー
(大阪有機化学工業(株)製ビスコート#823、粘度190
00cps/50℃)2部、液晶E−8を3部、光硬化開始剤
(ダロキュアー1116)を0.1部を均一に混合し、ドクタ
ー・ブレードを使い、ITO付ポリエステルフィルム上に
塗布した。10μmのスペーサーを散布した後、ITO付ポ
リエステルフィルムを重ねあわせて、実施例1と同様条
件で光露光し、素子を作成した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
実施例7 n−ブチルアクリレート1部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート5部、アクリルオリゴマー(東亜合成化学
(株)製M−6200、粘度240cps/25℃)3部、光露光開
始剤としてメルク社製ダロキュアー117を0.20部、液晶
E−8を18部を均一に溶解した。使用したセルのガラス
板厚を3.0mmにし、光露光時間を3分しにた以外は、実
施例1と同様にして素子を作製した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
実施例8 2−エチルヘキシルアクリレート7部、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート15部、アクリルオリゴマー(東亜合
成化学(株)製M−1200、粘度13,000cps/50℃)24部、
光露光開始剤(ダロキュアー1116)を0.9部、液晶E−
8を64部均一に溶解した。14μmスペーサーを加えてよ
く分散させた。その混合物をITO付きポリエステルフィ
ルム上に供給し、ITO付きポリエステルフィルムを重ね
合せ、紫外線照射装置(三菱電機(株)製ネオルミスー
パー(30W))使用により夫々5秒と約90秒光露光して
素子を作製した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
さらに、これを2枚のガラス板の間に2枚のポリビニ
ルブチラール膜を介して挟持し、オートクレーブ内で加
熱加圧して一体化させた。
このようにして一体化された素子は、外圧に対して安
全であり、信頼性も高いものであった。
実施例9 スペーサーを8μmにした以外は実施例8と同様にし
て素子を作製した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
背景部では実施例8に比して、セル間隙が小さいので、
電圧を印加しない場合でも、電圧を印加した場合にも、
同じ電圧印加においては透過率が高いものであった。
実施例10 実施例8の素子において、50Vの電圧を印加した状態
から回路を開放した場合の透過率変化の応答時間は1.2
秒であった。電圧を切った後で、素子の両電極を1kΩの
抵抗を介して短絡したところ、応答時間は0.02秒であっ
た。
実施例11 着色硬化物として、ベストキュア161(東華色素化学
工業(株))を1.5部加えて分散させた以外は、実施例
8と同様にして素子を作製した。
Tの字部分を除き、均一に着色した素子が得られた。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は着色白濁した状態
になった。
実施例12 N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド1部、n
−ブチルアクリレート3部、アクリルオリゴマー(ビス
コート#823)1部、光硬化開始剤(ダロキュアー111
6)0.2部、液晶(Roche社製TN-623)9.5部を均一に溶解
した。実施例4と同様にして素子を作成した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきるとTの
字型に透明な部分があり、他の部分は白濁した状態にな
った。
この素子は、原料にアクリルオリゴマーを使用してお
り、実施例4の素子に比して、硬化後の微小クラックが
少なく、電圧印加による透過率の変化が大きいものであ
った。
実施例13 実施例12と同じ溶解物を使用し、実施例12と同様にし
て、電圧を印加しつつ写真のネガをマスクの代りに使用
して光露光を行い、次いで電圧を印加せずに光露光を行
なって素子を作成した。
この素子に交流電圧(AC60V、50Hz)を印加したとこ
ろ、全面にわたって透明状態となり、電圧をきると透明
な部分から白濁したした部分までの中間調のある像が得
られた。
実施例14 マスクのパターンとしてスキーをしている人物像のパ
ターンを使用し、実施例12と同様にして素子を製造し
た。
この素子をスキー用品を配置したショーウインドウの
前に設けた。このショーウインドウは電圧を印加しない
状態では、スキーをしている人物像のパターンが白濁し
て表示されているが、交流電圧(AC60V、50Hz)を印加
すると全面が透明となった。
実施例15 マスクのパターンとして円状の孔を有するパターンを
使用し、実施例12と同様にして素子を製造した。
この素子を調光体として使用し、ドアに使用した。こ
のドアは電圧を印加しない状態では、丸い孔の部分のみ
から中が見え、これに交流電圧(AC60V、50Hz)を印加
すると全面が透明となった。これにより、ドアの内部の
部屋を使用中には中が丸い孔からしか見えなく、未使用
の時にはドアが完全に透明で一目で分かる。
実施例16 マスクのパターンとして長方形状の孔の有するパター
ンを使用し、実施例12と同様にして素子を製造した。
この素子を調光体として使用し、ファイル棚のガラス
戸として使用した。このガラス戸は電圧を印加しない状
態では、長方形状の孔の部分のみからファイル棚の中が
見え、これに交流電圧(AC60V、50Hz)を印加するとガ
ラス戸全面が透明となった。
これにより、ファイル棚に置かれているファイルの他
人に見られてもよいファイル番号等は常に見えるが、フ
ァイルのタイトルは電圧を印加した時のみ見えるという
ようにすることができる。
実施例17 マスクのパターンとして周囲を枠状にくりぬいた正方
形状のマスクを使用し、実施例12と同様にして素子を製
造した。
この素子を8×8個で1文字を表宇できるようにして
ドット表示型の表示装置を作成した。
この表示装置は、各ドットの周囲の部分は常に透明で
あり、光が透過しているが、交流電圧(AC60V、50Hz)
を印加すると印加したドットのみが全面透明となって、
表示がなされた。
実施例18 n−ブチルアクリレート6部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート16部、アクリルオリゴマー(M−1200)11
部、光硬化開始剤としてベンゾフェノン1部、液晶(E
−8)67部を均一に溶解した。
この溶解物を、25μmのセルギャップをもったITO電
極付ガラス基板セルに注入した。
注入孔を封止した後、セル全体にAC100V(50Hz)の交
流電圧を印加しながら紫外線照射装置により、約20秒光
露光した。
次いで、電圧を印加せずに、紫外線照射装置により、
約60秒光露光して硬化を完了させた。
このようにして製造した液晶光学素子の誘電率(AC0.
7V(1kHz)印加時)εは、17.3であり、光の透過率TOFF
(0V)は、75.0%であり、TON(AC100V(50Hz))は84.
0%であり、電圧を印加しなくてもほぼ透明であった。
なお、電圧を印加せずに硬化させた場合の液晶光学素
子のAC0.7V(1kHz)印加等のε(εOFFに相当)は10.1
であり、AC50V(1kHz)印加時のε(εONに相当)は15.
5であった。また、光の透過率TOFF(0V)は、11.2%で
あり、TON(AC100V(50Hz))は74.3%であった。
[発明の効果] 以上の如く、本発明は、新規はな液晶光学素子及びそ
の製造方法を提供するものであり、得られる硬化物の屈
折率が、使用する液晶物質の常光屈折率(no)、異常光
屈折率(ne)または液晶物質がランダムに配向した場合
の屈折率(nx)のいずれかと一致するように選ばれた光
硬化性化合物と液晶物質とを均一溶解状態で一対の電極
付基板に保持し、光露光により、光硬化性化合物を重合
硬化させ、液晶物質と硬化物との相分離を固定化した素
子である。したがって本発明は偏光板を必要とせず、外
観品位、生産性にすぐれた素子であって、光硬化性化合
物を重合硬化させる際に、その少なくとも一部の基板間
に電圧を印加して特定の配向を生ぜしめた素子であり、
表示用、とりわけ大面積、湾曲状での表示に、また大面
積での調光、光シャッター等に広く利用することができ
る。
特に、一対の電極付基板間に保持し、光露光により、
光硬化性化合物を重合硬化させ、液晶物質と硬化物との
相分離を固定化することが一工程ででき、光硬化させて
いるため、硬化時間も短く、極めて生産性が高い。
また、特定のパターンのマスクを用いてパターニング
することにより、この特定の部分の硬化と残りの部分の
硬化とを同じ装置で連続して行うことができるという利
点もある。
さらに、電極のパターニングをすることなしに、特定
の文字や図形が表示可能となる。また、文字、図形、グ
ラフ等を連続した枠で囲むことも容易に可能となり、表
示の自由度、表示パターンの設計の容易性が向上すると
いう利点も有する。
また、しきい値電圧付近の電圧を印加しつつ光硬化さ
せた場合、または電圧を印加しつつ短時間光を露光して
硬化させた場合には、完全に光が透過状態ではないが、
周囲のマスクした部分よりは光が透過してくるまたは白
濁している部分の形成できる。これにより、透過か白濁
の2値でない中間調の表示が可能になる。
本発明では光硬化性ビニル系化合物を使用することに
より素子の信頼性が高く、合せガラス様の構造を有して
おり、外圧による破損を生じにくく安全性が高い。
さらに、この基板の少なくとも一面に保護板を設ける
ことにより、安全性が向上し、特に、両面に保護板を設
けることにより破損を生じにくくなる。
特に、基板上に液晶物質、光硬化性化合物、特に光硬
化性ビニル系化合物、さらに必要に応じて光硬化開始剤
との混合物を供給し、その上に他方の基板を載置するこ
とにより、大面積の素子を極めて生産性良く製造でき
る。このため、ガラスの場合にもかなり長尺の基板が使
用できるし、プラスチックの基板では連続フィルムによ
る連続プロセスも可能となる。
特に、基板にプラスチック基板を使用した場合には、
生産性は良い半面、強度が劣っているため、大面積化し
た際に、破損し易くなったり、湾曲したりする。このた
め、両面に保護板を設ける効果が大きい。中でも保護板
としてガラス板を使用し、接着性材料で接着することに
より、合わせガラスと類似の構造となり、安全で信頼性
が高くなる。
又、本発明の液晶光学素子は、光硬化性ビニル系化合
物を使用することにより、液晶物質と硬化したビニル系
化合物とが細かな3次元網目状マトリックスを構成し
て、液晶物質が分散していることとなるため、素子を製
造後所望の大きさに切断して使用することもできる。
この場合、マトリックス中に液晶の分散体が互いにつ
ながっているため、電圧印加の際、液晶が均一に配列し
易いためマイクロカプセル状や独立した液晶粒から構成
される素子と比べて、透明状態でのヘーズが小さく、駆
動電圧が低くてすむ。また、白濁状態の際、素子が赤っ
ぽくなることを防ぐといった効果もある。
特に、光硬化性ビニル系化合物として、原料にアクリ
ルオリゴマーを使用することにより、硬化後の微小クラ
ックが少なく、電圧印加による透過率の変化が大きいも
のとなる。
本発明は、この外、本発明の効果を損しない範囲内で
種々の応用が可能である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】得られる硬化物の屈折率が、使用する液晶
    物質の常光屈折率(no)、異常光屈折率(ne)または液
    晶物質がランダムに配向した場合の屈折率(nx)のいず
    れかと一致するように選ばれた光硬化性化合物及び液晶
    物質の混合物を一対の電極付基板間に保持し、光露光に
    より、光硬化性化合物を硬化させて液晶物質と硬化物と
    の相分離を固定化した液晶光学素子において、光硬化性
    化合物を重合硬化させる際に、その少なくとも一部の基
    板間に電圧を印加して硬化させ、特定の配向を生じせし
    めたことを特徴とする液晶光学素子。
  2. 【請求項2】特定の配向を形成した部分が、電圧の印加
    の有無によらずに常に光が透過する請求項1記載の液晶
    光学素子。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の液晶光学素子と、
    それに電圧を印加する駆動手段とからなる調光体。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の液晶光学素子と、
    それに電圧を印加する駆動手段と、物体を配置する配置
    手段とからなる物体展示体。
  5. 【請求項5】請求項1または2記載の液晶光学素子を複
    数個組合せ、夫々を個々に駆動可能な駆動手段を設けた
    表示装置。
  6. 【請求項6】一対の電極付基板間に得られる硬化物の屈
    折率が、使用する液晶物質の常光屈折率(no)、異常光
    屈折率(ne)または液晶物質がランダムに配向した場合
    の屈折率(nx)のいずれかと一致するように選ばれた光
    硬化性化合物及び液晶物質の混合物を供給し、光を照射
    することによりこの混合物を硬化させる液晶光学素子の
    製造方法において、少なくとも一部の基板間に電圧を印
    加しつつ、光露光することにより、光硬化性化合物を重
    合硬化させて、その部分にのみ特定の配向を生ぜしめる
    ことを特徴とする液晶光学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】少なくとも特定の配向状態に保ちたい部分
    の電極には電圧を印加しつつ、特定の配向状態に保ちた
    い部分以外の部分をマスクして光露光して硬化させ、次
    いでマスクを取り去り電圧を印加せずに未硬化部分を硬
    化させる請求項6記載の液晶光学素子の製造方法。
  8. 【請求項8】特定の配向状態に保ちたい部分をマスクし
    て、光露光して特定の配向状態に保ちたい部分以外の部
    分を硬化させ、次いでマスクを取り去り、少なくとも特
    定の配向状態に保ちたい部分の電極には電圧を印加しつ
    つ、未硬化部分を硬化させる請求項6記載の液晶光学素
    子の製造方法。
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