JP2565977Y2 - 偏平ブラシレスモータのロータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、偏平ブラシレスモー
タのロータの改良に係わり、特にイナーシャを大きくし
た偏平ブラシレスモータのロータに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、偏平ブラシレスモータ、特に
ＦＤＤ装置をダイレクトドライブさせ薄い鉄芯型ステー
タを有するものとして図２に示すようなものが知られて
いる。

【０００３】すなわち、１は印刷配線鉄基板からなるス
テータベースで、中央にボールベアリング２と含油メタ
ル３を嵌着したメタルハウジングを兼ねるステータホル
ダ４が取り付けられ、さらにその外周には数枚の珪素鋼
板をラミネートしたコア５が嵌着されており、このコア
にはステータコイル６がコアカバー７を介して巻回され
ている。

【０００４】一方、ロータケース８は内側に前記コア５
の外周に空隙を介して臨ませたリング状の希土類プラス
チックからなるメインマグネット９を保持し、その外周
のフランジ８ａにはＦＧマグネット１０を一体成形さ
せ、上面にはチャックマグネット１１を載置させ、ロー
タホルダ１２を介してシャフト１３に固着され、このシ
ャフト１３を前記のボールベアリング２と含油メタル３
に回転自在に支承させることにより全体として薄型に構
成させている。

【０００５】最近のＦＤＤ装置は非常に薄型化志向に伴
い、これを駆使する偏平ブラシレスモータも可及的に薄
型化の要求がつよく、全厚５ｍｍ程度が求められるよう
になると、ロータのイナーシャが大きくとれず、低回転
時の回転むらが問題となってきている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】この回転むら対策とし
てイナーシャを大きくするためにＦＧマグネットを必要
以上に大きく成形したり、フランジを大きく振り出した
りする手段が考えられるが、ＦＧマグネットの密度が小
さく、またフランジの上面にはヘッドが来るためあまり
大きくすることができないし、フランジを大きく振り出
すものでは、モータ径が大となって採用できない。

【０００７】この考案は、ＦＧマグネットを一体成形す
る際、フランジの上面に凹所が生ずることに着眼して解
決したもので、モータ径を大きくすることなくイナーシ
ャを大きくとれ、したがって低回転時の回転むらを改善
した偏平ブラシレスモータのロータを提供しようとする
ものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この考案は、印刷配線基
板にコイルの巻回されたコアを配してなるステータに軸
受を介して回転自在に支承され、有底円筒状の開口部を
径方向外方へ延在してフランジを形成させたケースと、
このケースの筒部内周に配され前記コアに所定の空隙を
介して臨ませたメインマグネットと、前記フランジに設
けられたＦＧマグネットとを具備してなる偏平ブラシレ
スモータのロータにおいて、前記ＦＧマ グネットは、前
記印刷配線基板に臨ませかつ、前記フランジの上面の一
部を露出させるようにしてフランジの下面から上面に亘
り一体成形され、このフランジ上面におけるＦＧマグネ
ットとで形成された凹所にウェイトを載置させたもので
ある。

【０００９】

【作用】ＦＧマグネットを、印刷配線基板に臨ませか
つ、フランジの上面の一部を露出させるようにしてフラ
ンジの下面から上面に亘り一体成形させ、このフランジ
上面におけるＦＧマグネットとで形成された凹所にウェ
イトを載置させたので、メインマグネットとウェイトと
はケースによって仕切られることになり、ウェイトはメ
インマグネットの磁束特性上の制約を受けず、ロータ径
を大きくすることなく容易にイナーシャを大とすること
ができる。

【００１０】また、ウエイトをロータケース外周とＦＧ
マグネットの間の凹所にはめこむものでは、ヘッドの含
有空間を無視できるので、ＦＧマグネットの構成によっ
て生じるデットスペースを有効的に活用して非常に薄型
化できる。

【００１１】

【実施例】図１はこの考案のロータを使用した偏平ブラ
シレスモータの片断面図であり、同図において、１は印
刷配線鉄基板からなるステータベースで、中央にボール
ベアリング２と含油メタル３を嵌着したメタルハウジン
グを兼ねるステータホルダ４が取り付けられ、さらにそ
の外周には数枚の珪素鋼板をラミネートしたコア５が嵌
着されており、このコアにはステータコイル６がコアカ
バー７を介して巻回されている。

【００１２】一方、ロータケース８は有底円筒状の開口
部を径方向外方へ延在してフランジを形成しており、こ
のケース８の筒部内周には前記コア５の外周に空隙を介
して臨ませたリング状の希土類プラスチックからなるメ
インマグネット９が保持され、その外周のフランジ８ａ
にはＦＧマグネット１０を一体成形させ、上面にはチ ャ
ックマグネット１１を載置させ、ロータホルダ１２を介
してシャフト１３に固着され、このシャフト１３を前記
のボールベアリング２と含油メタル３に回転自在に支承
させることにより全体として薄型に構成させている。

【００１３】この考案の特徴は、ロータケース８のフラ
ンジ８ａに一体成形されたフェライトプラチックマグネ
ットからなるＦＧマグネット１０を、印刷配線鉄基板１
に臨ませかつ、フランジ８ａの上面の一部を露出させる
ようにしてフランジ８ａの下面から上面に亘り形成さ
せ、ロータケース８の外周、フランジ８ａ上面における
ＦＧマグネット１０とで形成された凹所に亜鉛引き鉄板
からなるリング状のウエイト１４を嵌着させたものであ
る。

【００１４】このウエイトは鉛板や銅タングステンにし
てもよく、密度６以上なら他の部材でもよいのはもちろ
んである。

【００１５】

【考案の効果】以上述べたように本考案によれば、ＦＧ
マグネットを、印刷配線基板に臨ませかつ、フランジの
上面の一部を露出させるようにしてフランジの下面から
上面に亘り一体成形させ、このフランジ上面におけるＦ
Ｇマグネットとで形成された凹所にウェイトを載置させ
たので、メインマグネットとウェイトとはケースによっ
て仕切られることになり、ウェイトはメインマグネット
の磁束特性上の制約を受けずに済む。そのため、ウェイ
トの取り付けにあたってはメインマグネットとの関係を
全く無視することができるので、ロータ径を大きくする
ことなく容易にイナーシャを大とすることができる。

【００１６】なお、回転ジッター値は実験結果において
下記のようになった。 ウエイトなし ２．６７％ 鉄板ウエイト付き ２．１３％ 鉛板ウエイト付き １．１５％

【００１７】特に、本願考案ではＦＧマグネットの構成
によって生じるデットスペースを有効的に活用したもの
で、モータとしての小型・薄型化にあわせその限られた
スペース内を効率良く活用できたものであり、ヘッドの
邪魔にならず、極めて薄い偏平ブラシレスモータが提供
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のロータを用いる偏平ブラシレスモータ
の一実施例の片断面図である。

【図２】従来の同片断面図である。

【符号の説明】

８ ロータケース ８ａ フランジ ９ メインマグネット １０ ＦＧマグネット １４ ウエイト

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷配線基板にコイルの巻回された
   コアを配してなるステータに軸受を介して回転自在に支
   承され、有底円筒状の開口部を径方向外方へ延在してフ
   ランジを形成させたケースと、このケースの筒部内周に
   配され前記コアに所定の空隙を介して臨ませたメインマ
   グネットと、前記フランジに設けられたＦＧマグネット
   とを具備してなる偏平ブラシレスモータのロータにおい
   て、前記ＦＧマグネットは、前記印刷配線基板に臨ませ
   かつ、前記フランジの上面の一部を露出させるようにし
   てフランジの下面から上面に亘り一体成形され、このフ
   ランジ上面におけるＦＧマグネットとで形成された凹所
   にウェイトを載置させたことを特徴とする偏平ブラシレ
   スモータのロータ。