JP2565973Y2 - 内照式看板の照明装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、情報表示面をケースの
内部から照明する形式の看板に用いられる照明装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】ケースの内部に設置した蛍光灯などの照
明灯の光をケースの情報表示面の背面に照射するように
した内照式看板は近時大形化が進んでいる。たとえば情
報表示面にアクリル樹脂板を配設したような看板ではそ
の縦横寸法が最大３×３ｍ程度であったものが、情報表
示面に樹脂シートを配設したような看板では大形化によ
り縦横寸法が４ｍ以上のものも作られるようになってき
た。

【０００３】図１０は従来の内照式看板を示した概略図
であり、１００はケースでその前面の情報表示面に、情
報を表示した樹脂シート１１０が配設されている。１２
０は照明ユニットで、この照明ユニット１２０に所要数
の照明灯装着具１２２が設けられ、それらの装着具１２
２に照明灯としての蛍光灯１２１が装着されている。そ
して、照明ユニット１２０はケース１００の側面に形成
された開口１１１を利用して内外間でスライドさせるこ
とによりケース１００に出し入れされる構成になってい
る。このような看板において、蛍光灯１２１の交換や反
射板の清掃などの照明要素のメンテナンスは、照明ユニ
ット１２０をケース１００から横に引き出した状態で行
われる。

【０００４】しかしながら、看板が設置されている場所
では、ケース１００の横に照明ユニット１２０を引き出
すことができる程の広いスペースが確保されているとは
限らないため、照明ユニット１２０を引き出してメンテ
ナンスをすることが困難ないし不可能なこともある。ま
た、大形看板の場合には照明ユニット１２０もそれに応
じて大形であることが普通であり、そのような看板で
は、照明ユニット１２０を機械を用いてケース１００に
出し入れする必要が生じ、蛍光灯１２１の交換という作
業自体が簡単であるにもかかわらず、それを行うための
一連の作業を大掛かりに行う必要が生じている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】本考案は以上の事情に
鑑みてなされたものであり、ケースの内部で蛍光灯など
の照明灯やその他の照明要素のメンテナンスを可能にす
ることによって、大形看板であっても、また、看板の周
囲にスペースがなくても、照明灯などのメンテナンスを
容易かつ迅速に行うことの可能な内照式看板の照明装置
を提供することを解決課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案による内照式看板
の照明装置は、情報表示面と照明灯交換用開口と上部ロ
ーラと下部ローラを具備するケースの内部に、照明灯装
着具を取り付けた回動体が前記上部ローラと下部ローラ
とに巻き掛けられて配設され、その回動体をケースの内
部一定経路上で変位させて上記装着具を上記開口に対応
する照明灯交換位置と上記表示面に対応する正規位置と
の間で移動させ、照明灯交換と情報表示とを行わせるも
のである。上記回動体を無端状のチェンで構成し、上記
上部ローラ及び下部ローラがスプロケットであるものも
本発明の範囲に含まれる。

【０００７】

【作用】この構成において、たとえば照明灯を交換する
ときは、スプロケットに巻き掛けられた無端状のチェン
などで構成された回動体をケースの内部で変位させるこ
とにより、その回動体に取り付けられている照明灯装着
具を正規位置から照明灯交換位置に移動させ、その後、
ケースの開口を利用して照明灯装着具に取り付けられて
いる照明灯を取り外し、そこに新たな照明灯を装着す
る。この交換作業の後、回動体をケースの内部で逆方向
に変位させ、照明灯装着具を照明灯交換位置から正規位
置に移動させる。

【０００８】

【実施例】図１は請求項１の考案についての実施例によ
る照明装置Ａを内部に組み込んだ内照式看板Ｂの垂直概
略断面図、図２は照明装置Ａを正面から見た説明図、図
３は図１の要部を拡大した垂直断面図である。

【０００９】ケース１は矩形箱型に形成されており、そ
のケース１内における前部の上端と下端とにそれぞれロ
ッド状の枠材１１，１２が横架されている。また、これ
らの枠材１１，１２の背部に型鋼で作られた固定梁１
３，１４がそれぞれ設けられている。そして、ケース１
の前面の開口１５に配設された合成樹脂シート１６の上
端部が上部枠材１１に巻き掛けられ、その下端部が下部
枠材１２に巻き掛けられている。図３に詳細に示したよ
うに、シート１６の上端部や下端部にはそれぞれ丸棒１
７，１８が装備され、これらの丸棒１７，１８がＪ形ボ
ルト１９ａ，２０ａとナット１９ｂ，２０ｂとを用いて
枠材１１，１２に連結されていて、ナット１９ｂ，２０
ｂを締め付けることにより、シート１６に所定のテンシ
ョンが付与されている。図９に示すように、シート１６
には各種の情報を表す表示２１が施されている。したが
って、シート１６の表面が情報表示面２２として機能す
る。情報表示面２２を合成樹脂パネルや紙の表面によっ
て形成することもある。

【００１０】ケース１の天板部２３に照明灯交換用の開
口２４が形成されており、この開口２４に開閉蓋２５が
装備されている。開閉蓋２５には図示したようなヒンジ
２６を中心として開閉される構成のもののほか、合成樹
脂シートで開口を開閉するようにしたものなど、種々の
形式のものを採用することが可能である。２７はケース
１の背板、２８はケース１の枠組みである。

【００１１】照明装置Ｂは、上部ローラ３１および下部
ローラ３２と、それらの間に巻き掛けられた無端帯状の
回動体３３と、回動体３３に具備された反射面３４と、
回動体３３の反射面３４に取り付けられた照明灯装着具
３５とを備えている。

【００１２】この実施例において、回動体３３は上部ロ
ーラ３１や下部ローラ３２に巻き掛けることのできる性
質を具備している必要がある。回動体３３に要求される
この性質は回動体３３に可撓性を備えた薄い金属板を用
いることによっても満足されるけれども、照明灯装着具
３５を回動体３３に直接取り付けることを考慮すると、
一枚物の可撓性を備えた薄い金属板を回動体３３として
用いることは照明灯装着具３５の取付強度に関して問題
がある。そのような問題を生じない回動体３３を図４〜
図６に例示してある。図４や図５の回動体３３はヒンジ
３６を介して多数の板体（金属板や合成樹脂板）３７を
連結したものであり、図６の回動体３３は隣接する板体
３７，３７の端部同士を凹凸嵌合させることによって連
結し、その凹凸嵌合によってヒンジ３８を形成させたも
のである。図４〜図６の回動体３３は、個々の板体３７
自体は硬くて曲りにくいものであるけれども、回動体３
３の全体としてはヒンジ３６やヒンジ３８の機能によっ
て屈曲自在になる。

【００１３】回動体３３に設けられる反射面３４は、回
動体３３における少なくとも照明灯装着具３５の取付箇
所を含む範囲に形成しておくことが望ましい。したがっ
て、照明灯装着具３５の取付箇所が図例のように回動体
３３の全長（全周長）の約半分の範囲に亘っている場合
は、そのような範囲に反射面３４を形成しておくことが
望ましい。反射面３４としては、回動体３３に用いる金
属板の表面をそのまま用いたり、回動体３３に用いる材
料の表面に施しためっき層を用いたりすることが可能で
ある。

【００１４】反射面３４の縦横寸法は上述した情報表示
面２２の大きさや、光を反射させたい領域の大きさによ
って任意に選定することができる。図例では、情報表示
面２２の大きさを基準として反射面３４の大きさを定め
ており、そのような反射面３４の全体に亘り図２のよう
に照明灯としての蛍光灯３９を規則的に縦横に配列して
配備するようにしてある。照明灯装着具３５が蛍光灯３
９の配備箇所に取り付けられることは勿論である。

【００１５】図２のように上部ローラ３１と下部ローラ
３２にはスプロケット３１ａ，３２ａが設けられてお
り、これらのスプロケット３１ａ，３２ａにチェン４０
が巻き掛けられている。したがって、チェン４０あるい
はスプロケット３１ａ（または３２ａ）を回転させる
と、上部ローラ３１や下部ローラ３２が回転し、それに
よって回動体３３がケース１の内部の一定経路上、すな
わち回動体３３の配設経路上で変位する。

【００１６】以上説明した内照式看板Ｂにおいて、たと
えば特定の蛍光灯３９を交換したいときは、チェン４０
あるいはスプロケット３１ａ（または３２ａ）を回転さ
せることにより回動体３３をたとえば図３の矢符Ｘ方向
に変位させ、交換すべき蛍光灯３９を開口２４に対応す
る照明灯交換位置まで移動させる。その後、蓋２５を開
けた開口２４を利用してその蛍光灯３９を取り外し、蛍
光灯装着具３５に新たな蛍光灯を装着する。その後、回
動体３３を逆方向に変位させて蛍光灯３９を情報表示面
２２に対応する正規位置に復帰させる。なお、図３にお
いては、回動体３３を変位させる前の蛍光灯３９やその
装着具３５の位置を実線で示し、変位後のそれらの位置
を仮想線で示してある。これと同じようにして反射面３
４を清掃することも可能である。なお、回動体３３を変
位させるときの動力は人力でも、あるいはモータなどの
電気的動力によってもよい。

【００１７】この実施例では、回動体３３を変位させる
手段として、スプロケット３１ａ，３２ａやチェン４０
を用いているが、この手段は他の方法によってもよい。
他の方法としては、図例の上部ローラ３１や下部ローラ
３２を直接回転させるようにしたもの、回動体にチェン
を取り付け、そのチェンをスプロケットに巻き掛けたも
の、など、種々のものを採用することが可能である。要
するに、上記手段は、回動体をケースの内部の一定経路
上で変位させて照明灯装着具を照明灯交換用開口に対応
する照明灯交換位置と上記表示面に対応する正規位置と
の間で移動させることのできるものであればどのような
構成であってもよい。

【００１８】また、照明灯装着具には蛍光灯３９を点・
消灯するのに必要なソケットなどの電気部品が含まれ
る。さらに、照明灯として白熱電球が選ばれる場合もあ
る。そのほか、照明灯交換用開口２４の形成箇所は、ケ
ース１の上部に限らず、下部や背部であってもよい。ま
た、回動体３３の左右方向の変位により照明灯装着具３
５をケース１の側方に移動させるように構成した照明装
置の場合には、照明灯交換用開口をケース１の側面や背
面に形成しておく。

【００１９】図７は請求項２の考案についての実施例の
要部を示している。この実施例では、スプロケット４に
無端チェン５を巻き掛け、無端チェン５の略半分の長さ
に相当する範囲にアタッチメント５１を介して細長の反
射板５２を密に連設する状態で取り付け、１つおきの反
射板５２に照明灯装着具３５を取り付けてある。従っ
て、この実施例では、無端チェン５が回動体の例であ
り、スプロケット４が回動体を変位させるための上部ロ
ーラ及び下部ローラとなる。このものにおいても、スプ
ロケット４を入力又は電気的動力で所要角度だけ回転さ
せると、照明灯装着具３５を図外のケースの開口に対応
する照明灯交換位置と上記表示面に対応する正規位置と
の間で移動させることが可能である。

【００２０】図７のように、回動体としての無端チェン
５に細長の反射板５２を密に連設する状態で取り付ける
方式を採用すると、たとえば図８のように反射板５２を
円弧形状にして反射面を凹面にすることが可能になり、
そのようにすることによって、反射光を輝度を向上させ
ることができるようになる。なお、細長の反射板５２を
用いる場合、その長さが長いときは、無端チェン５の条
数を増やして無端チェン５による反射板５２の支持箇所
を多くすることが望ましく、そのようにしておけば反射
板５２の撓みや不測の揺動などを防止することができ
る。

【００２１】また、反射板５２はチェン５に取り付ける
必要性は必ずしもなく、チェン５のアタッチメント５１
に直接に照明灯装着具３５を取り付け、反射板５２は図
７の仮想線で示すようにチェン５の間に固定的に取り付
けておくこともできる。この場合、反射板５２で反射さ
れた光は蛍光灯３９の間を通って情報表示面２２に達す
る。

【００２２】ところで、上述の照明装置Ａを組み入れた
内照式看板Ｂは、ただ単に蛍光灯を組み込んだ内照式照
明装置に比べると、看板全体の奥行き寸法が多少長くな
るけれども、大形の看板になるほど奥行き寸法の増加は
目立ちにくくなる。たとえば、情報表示面の縦横寸法が
６〜２０ｍ程度の大形の看板であれば奥行き寸法が７５
０〜８００ｍｍであってもそれが目立つことはない。

【００２３】

【考案の効果】本考案によれば、内照式看板の照明灯な
どのメンテナンス例えば照明灯としての蛍光灯を交換す
る場合に、交換をする蛍光灯が装着されている照明灯装
着具がケース内部に具備された上部ローラ及び下部ロー
ラに巻き掛けられているから、照明灯装着具をケース内
で、照明灯交換用開口のところまで移動させてから、そ
の開口を利用してケースの内部で交換することができる
ようになる。そのため、看板の周囲のスペースが狭くて
も、あるいはその周囲にスペースがない場合でも、ま
た、看板が大形であっても、メンテナンスを容易かつ迅
速に行なうことができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の考案の実施例による照明装置を内部
に組み込んだ内照式看板の垂直概略断面図である。

【図２】照明装置を正面から見た説明図である。

【図３】図１の要部を拡大した垂直断面図である。

【図４】回動体の部分側面図である。

【図５】変形例による回動体の部分側面図である。

【図６】他の変形例による回動体の部分側面図である。

【図７】請求項２の考案の実施例の要部を示す側面図で
ある。

【図８】図７の反射板の変形例を示す側面図である。

【図９】内照式看板の概略外観図である。

【図１０】従来の内照式看板の概略外観図である。

【符号の説明】

Ａ 照明装置 １ ケース ４ スプロケット（回動体を変位させるための手段） ５ 無端チェン（回動体） ２２ 情報表示面 ２４ 照明灯交換用開口 ３１ａ，３１ｂ，４０ 回動体を変位させる手段 ３３ 回動体 ３４ 反射面 ３５ 照明灯装着具

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 情報表示面と照明灯交換用開口と上部
   ローラと下部ローラを具備するケースの内部に、照明灯
   装着具を取付けた回動体が前記上部ローラと下部ローラ
   とに巻き掛けられて配設され、その回動体をケースの内
   部の一定経路上で変位させて上記装着具を上記開口に対
   応する照明灯交換位置と上記表示面に対応する正規位置
   との間で移動させ、照明灯交換と情報表示とを行わせる
   ことを特徴とする内照式看板の照明装置。
2. 【請求項２】 回動体が無端状のチェンであり、前記
   上部ローラ及び下部ローラがスプロケットである請求項
   １の内照式看板の照明装置。