JP2564489B2

JP2564489B2 - 高強度、高靱性および耐摩耗性を有するロッカ−ア−ム

Info

Publication number: JP2564489B2
Application number: JP62166194A
Authority: JP
Inventors: 三郎脇田; 襄二松本; 健一北薗
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 1987-07-02
Filing date: 1987-07-02
Publication date: 1996-12-18
Anticipated expiration: 2011-12-18
Also published as: JPS6411941A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この発明は、高強度および高靭性を有し、かつ耐摩耗
性にもすぐれた内燃機関のロッカーアームに関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来、一般に内燃機関のロッカーアームの製造には、
数多くの耐摩耗性Fe基鋳造合金が用いられている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、近年の機関の高出力化および軽量化に伴い、
ロッカーアームにも小型化および薄肉化が要求されるよ
うになっているが、従来の耐摩耗性Fe基鋳造合金製ロッ
カーアームは、いずれもすぐれた耐摩耗性を示すもの
の、強度および靭性不足が原因で、これらの要求には十
分満足して対応することができないのが現状である。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本発明者等は、上述のようの観点から、高強
度および高靭性を有し、かつ耐摩耗性にもすぐれたFe基
鋳造合金製ロッカーアームを開発すべく研究を行なった
結果、重量％で（以下％は重量％を示す）、 C:2〜４％、Cr:15.5〜25％、 Mo:1〜10％、Si:0.1〜２％、 Mn:0.1〜２％、Co:0.1〜1.9％、 W:0.1〜1.9％、Ni:0.1〜３％、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有す
るFe基鋳造合金からなるロッカーアームは高強度および
高靭性を有し、かつ耐摩耗性にも優れているので小型化
および薄肉化が可能となり、さらには苛酷な条件下での
実用に対してもすぐれた性能を発揮するという知見を得
たのである。

この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであ
って、以下に成分組成を上記の通りに限定した理由を説
明する。

（ａ）ＣＣ成分には、一部が素地に固溶して強度を向上させる
ほか、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させ、さらに鋳
造性を改善する作用があるが、その含有量が２％未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
４％を越えると、合金の靭性が低下するようになること
から、その含有量を２〜４％と定めた。

（ｂ） Cr Cr成分には、炭化物を形成して合金の耐摩耗性を著し
く向上させる作用があるが、その含有量が15.5％未満で
は所望の優れた耐摩耗性を確保することができず、一方
その含有量が25％を越えると合金の靭性劣化が著しくな
ることから、その含有量を15.5〜25％と定めた。

（ｃ） Mo Mo成分には、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させ、
かつ素地に固溶して合金強度を向上させる作用がある
が、その含有量が１％未満では前記作用に所望の効果が
得られず、一方その含有量が10％を越えても前記作用に
より一層の向上効果は得られず、経済性を考慮して、そ
の含有量を１〜10％と定めた。

（ｄ） Si Si成分には、脱酸作用のほか、鋳造性を改善する作用
があるが、その含有量が0.1％未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方その含有量が２％を越えると、
靭性が低下するようになることから、その含有量を0.1
〜２％と定めた。

（ｅ） Mn Mn成分には、Siと同様に脱酸作用のほか、合金の靭性
を向上させる作用があるが、その含有量が0.1％未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
２％を越えると耐摩耗性が低下するようになることか
ら、その含有量を0.1〜２％と定めた。

（ｆ） Co Co成分には、素地に固溶して合金の強度を向上させる
作用があるが、その含有量が0.1％未満では所望の強度
向上効果が得られず、一方その含有量が1.9％を越えて
もより一層の向上効果は得られず、経済性を考慮して、
その含有量を0.1〜1.9％と定めた。

（ｇ）ＷＷ成分には、素地固溶による強度向上作用、並びに炭
化物形成による耐摩耗性向上作用があるが、その含有量
が0.1％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方その含有量が1.9％を越えると、合金の靭性が劣化す
るようになることから、その含有量を0.1〜1.9％と定め
た。

（ｈ） Ni Ni成分には素地に固溶して合金の靭性を一段と向上さ
せる作用があるが、その含有量が0.1％未満では所望の
高靭性を確保することができず、一方その含有量が３％
を越えると、耐摩耗性が低下するようになることから、
その含有量を0.1〜３％と定めた。

〔実施例〕

つぎに、この発明のFe基鋳造合金を実施例により具体
的に説明する。

通常の高周波溶解炉を用い、それぞれ第１表に示され
る成分組成をもったFe基合金溶湯を調整し、ついでこれ
らのFe基合金溶湯を通常のロストワックス法によりロッ
アーカームに鋳造し、引続いて大気中、850〜950℃の範
囲内の所定温度に１時間保持後油焼入れの焼入れ処理
と、同じく大気中、550〜620℃の範囲内の所定温度に0.
5時間保持後放冷の焼戻し処理を施すことによって、本
発明ロッカーアーム１〜16および比較ロッカーアーム１〜12
をそれぞれ製造した。

なお、比較ロッカーアーム１〜12は、いずれも構成成
分のうちのいずれかの成分含有量（第１表に※印を付
す）がこの発明の範囲から外れた組成をもつものであ
る。

つぎに、この結果得られた各種のFe基鋳造合金製ロッ
カーアームについて、強度を評価する目的で引張強さ、
靭性を評価する目的でシャルピー衝撃値を測定し、さら
に耐摩耗性を評価する目的で、ロックウエル硬さ（Ｃス
ケール）を測定すると共に、これを４気筒OHCエンジン
に組込み、エンジン回転数:850r.p.m.、オイル:LPG廃油（油温:60℃）、相手部材たるカムの材質:FC25のチル材、運転時間:200時間、の条件で実機摩耗試験を行ない、ロッカーアームおよび
カムの最大摩耗深さを測定した。これらの測定結果を第
１表に示した。

〔発明の効果〕

第１表に示される結果から、本発明ロッカーアーム１
〜16は、いずれも高強度および高靭性を有し、かつ相手
攻撃性の低い状態で、すぐれた耐摩耗性を示すのに対し
て、比較ロッカーアーム１〜12に見られるように、構成
成分のうちのいずれかの成分含有量でもこの発明の範囲
から外れると、前記の特性のうちの少なくともいずれか
の性質が劣るようになることが明らかである。

上述のように、この発明のロッカーアームは、高強度
および高靭性を有するので、ロッカーアームの小型化お
よび薄肉化が可能となり、かつ相手攻撃性が低く、耐摩
耗性にもすぐれているので、著しく長期に亘ってすぐれ
た性能を発揮するなど工業上有用な特性を有するもので
ある。

フロントページの続き (72)発明者北薗健一東京都港区浜松町２丁目４番１号三菱金属株式会社東京支店内 (56)参考文献特開昭59−23846（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−13046（ＪＰ，Ａ) 特開昭58−3950（ＪＰ，Ａ) 特開昭56−84442（ＪＰ，Ａ) 特公昭42−23706（ＪＰ，Ｂ１)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】C:2〜４％、Cr:15.5〜25％、 Mo:1〜10％、Si:0.1〜２％、 Mn:0.1〜２％、Co:0.1〜1.9％、 W:0.1〜1.9％、Ni:0.1〜３％、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成（以下
重量％）のFe基鋳造合金からなることを特徴とする高強
度、高靭性および耐摩耗性を有するロッカーアーム。