JP2562747B2 - プレNi合金めっき法による溶融Znめっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法 - Google Patents

プレNi合金めっき法による溶融Znめっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法

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JP2562747B2 JP3201150A JP20115091A JP2562747B2 JP 2562747 B2 JP2562747 B2 JP 2562747B2 JP 3201150 A JP3201150 A JP 3201150A JP 20115091 A JP20115091 A JP 20115091A JP 2562747 B2 JP2562747 B2 JP 2562747B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレNi合金めっき法
を利用した溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融Znめ
っき鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、建材、家電あるいは自動車用とし
て溶融めっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板が利
用される場合、板厚、あるいは熱延、冷延の如何に依ら
ず優れた表面外観を有することおよびめっき密着性およ
び耐パウダリング性等の厳しい加工部のめっき密着性に
優れることが具備すべき重要な性能となってきた。特公
昭46−19282号公報あるいは特公昭63−489
23号公報に示されているプレNiめっき法による溶融
Znめっき鋼板は、プレNiめっきしない従来のゼンジ
マー法や、無酸化炉方式の溶融めっき法に比較すれば、
外観あるいは、めっき密着性共に良好とはなるが、Ni
めっき後の加熱温度および加熱時間等の加熱条件が不十
分であるため、特に、厚板の熱延酸洗板などにおいて現
在要求されている建材、家電用途の表面外観、めっき密
着性、さらには自動車用途の厳しい加工部のめっき密着
性(耐パウダリング性)および加工部の耐食性を確保す
るには不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、本発明
者らが特願平3−102825号等で提案中のプレNi
めっき、急速低温加熱を利用した溶融Znめっき鋼板お
よび合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法は、冷延鋼板
および熱延鋼板共に上述の従来のゼンジマー法、無酸化
炉方式の溶融Znめっき方法およびプレNiめっき法に
よる溶融Znめっき方法に比較すると極めて良好なめっ
き性および加工部のめっき密着性が確保できる優れた方
法であるが、溶融Znめっき時にプレNiめっき層の一
部が、Znめっき浴中に溶出しやすいため長時間操業の
場合においてはドロス等の原因になりやすいため、Ni
めっきの残存率を向上させるという改良点を残してい
た。そこで、本発明者らは、種々検討したところ、プレ
Niめっき時にNiと親和力の高い特定の元素をNiと
共析させることにより、溶融Znめっき時のNiの溶出
が抑制され、良好な溶融Znめっき性が得られ、さらに
その溶融Znめっき鋼板に合金化処理を行った場合にお
いても良好な合金めっき層が得られ、加工部のめっき密
着性にも優れることが判明した。本発明は上記のように
特定の元素よりなるプレNi合金めっき、特定条件の加
熱を行うことによりZnめっき性の優れた溶融Znめっ
き鋼板および加工部のめっき密着性に優れた合金化溶融
Znめっき鋼板を製造する方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず、プ
レNiめっき時にNiと種々の元素を共析させ、特定の
加熱条件下で加熱後、溶融Znめっきを施し、めっき性
およびめっき層中のNi残存量を測定した。さらには4
70〜550℃の範囲内で合金化処理も行って合金化溶
融Znめっき鋼板も製造し、加工部のめっき密着性を調
べた。その結果、鋼板の表面にP,S,B,Mo,Z
n,Fe,Co,Cu,Cr,Sn,Wのうち1種以上
を0.1%以上含有するNi合金を0.2〜2g/m2
めっき後、特定の加熱条件下で加熱後亜鉛めっき、およ
びさらには合金化処理することにより、めっき時のプレ
めっき残存量が増大し、溶融Znめっき性および合金化
溶融Znめっき鋼板の加工部のめっき密着性が良好とな
ることを見いだした。さらに、Ni合金めっき処理を施
した後の浴侵入板温が低温であり、浴侵入板温に到達す
る速度が速いことが必須条件である。通常法のように、
高温加熱でしかも高温に保たれる時間が長い場合にはプ
レNi合金めっき層が地鉄中に拡散してしまい溶融Zn
めっき性、合金化処理後の加工部のめっき密着性が向上
しなかった。プレNi合金めっきした後、鋼板がAl
0.1〜1%含有したZn浴に侵入するまでの加熱温度
範囲を420℃以上500℃以下とし、Ni合金めっき
が地鉄中に拡散しやすくなる温度である350℃以上に
到達してから浴に侵入する直前までの温度に到達するま
での時間が15sec以内である場合に溶融Znめっき
外観およびめっき密着性共に飛躍的に良好となることを
見いだした。さらには、プレNiめっき後の加熱速度を
さらに急速で30℃/s以上とし溶融Znめっきするこ
とにより、厳しい加工を受けた場合のめっき密着性およ
び加工部の耐食性が飛躍的に向上することも見出した。
また、上記方法で溶融Znめっき後、適正な合金化条件
のもとで合金化処理を行った場合にのみ表面外観および
加工部のめっき密着性共に優れた合金化溶融Znめっき
鋼板が得られることも判明した。
【0005】このような、経緯により下記本発明を完成
させたものである。即ち、鋼板の表面にP,S,B,M
o,Zn,Fe,Co,Cu,Cr,Sn,Wのうち1
種あるいは2種以上を複合で0.1%以上含有するNi
合金を0.2〜2.0g/m2めっき後、非酸化雰囲気
中で浴の420℃以上500℃以下の温度まで加熱し、
鋼板が浴に進入するまでの過程において、350℃以上
である時間が15sec以内で、大気に触れることなく
Al 0.05〜1%含有する溶融Zn浴に浸漬して亜
鉛めっきすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法および鋼板の表面にP,S,B,Mo,Zn,F
e,Co,Cu,Cr,Sn,Wのうち1種あるいは2
種以上を複合で0.1%以上含有するNi合金を0.2
〜2g/m2めっき後、非酸化雰囲気中で430〜50
0℃まで30℃/s以上の昇温速度で急速加熱を行った
のち、大気に触れることなくAl 0.05〜1%含有
する溶融Zn浴に浸漬して亜鉛めっきすることを特徴と
する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法ならびに上記請求項
1および2の方法により溶融Znめっき後、さらに、ワ
イピング直上で470〜550℃で10〜40秒合金化
処理することを特徴とする合金化溶融Znめっき鋼板の
製造方法。なお、本発明でいう非酸化性雰囲気とは、無
酸化雰囲気(例えばH20.1〜3%+N2,O2数10
ppm),あるいは、還元性雰囲気(例えばH215%
+N2雰囲気)のことである。
【0006】以下、図面を用いて、本発明について詳細
に説明する。図1は、溶融Znめっき時のNi残存率に
及ぼすプレNi合金めっき層中のP,Mo,あるいはZ
nの含有率の影響を示した図である。 熱延Alキルド
鋼板(1.6mm)に0.5g/m2プレNi合金めっ
き層を電気めっきし、O260ppm,H23%含有した
2雰囲気中で通電加熱により40℃/sで450℃ま
で加熱し、直ちにAl 0.2%の溶融Znめっき浴中
で3秒間めっきを行った。Ni残存率は、溶融Znめっ
き層中のNi量を化学分析で定量し、溶融Znめっき前
の付着量との比を求めた。各合金元素共にNiめっき層
中0.1%以上でNi残存率が向上し、その含有率の増
加と共に、Niは残存しやすくなる。このため、長時間
めっきをした場合のドロスの発生量がNi単独めっきの
場合に比較して極めて少なかった。他のプレNi合金系
めっきの場合についても同様であった。
【0007】図2は、Ni−Pめっき後の加熱板温と溶
融Znめっき性との関係を示した図である。熱延Alキ
ルド鋼板(板厚1.6mm)に0.5g/m2プレNi
−P(12%)めっき層を電気めっきし、O260pp
m、H23%含有したN2雰囲気中で通電加熱により20
0〜550℃まで加熱し、直ちにAl 0.2%の溶融
Znめっき浴中で3秒間めっきを行った。なお、加熱板
温が、350℃以上に到達してから、浴侵入板温に到達
するまでの時間を10secとなるようにした。めっき
付着量は135g/m2である。めっき性は、めっき外
観(不めっきの度合)とめっき密着性(ボールインパク
ト試験 B.I.)を総合して評価した。評価基準は次の通
りである。
【0008】 この図より、溶融めっき前の加熱板温が本発明範囲で
ある420〜500℃の範囲で、めっき外観、めっき密
着性共に極めて優れる。420℃未満ではめっき外観、
めっき密着性が劣化しやすい。また、加熱板温が500
℃を超えると密着性、耐食性が劣化する。他のプレNi
合金系めっきの場合もほぼ同様であった。
【0009】また、図3に加熱温度とプレNi−P合金
めっき層の地鉄中への拡散量の関係を示す。熱延Alキ
ルド鋼板(板厚1.6mm)に0.2g/m2プレNi
−P合金めっき層を電気めっきし、O260ppm、H2
3%含有したN2雰囲気中で通電加熱により5sec加
熱を行ったのち、Niめっき層の残存率をオージェ(A
ES)による深さ方向分析により求めた。加熱温度約3
50℃以上でどのプレNi合金めっき層も地鉄中に拡散
し始めることは明白であり、500℃を超えるとNi層
はほとんど残存しなくなる。次に、Ni−P(12%)
めっき後、浴侵入温度に到達するまでの過程において、
Niが拡散し始める温度350℃に到達した後、浴侵入
温度になるまでの時間と溶融Znめっき性との関係を示
したのが図4である。熱延Alキルド鋼板(板厚1.6
mm)に0.5g/m2プレNi−Pめっき層を電気め
っきし、O260ppm、H23%含有したN2雰囲気中
で通電加熱により加熱し、浴侵入板温450℃に到達
後、直ちに0.2%Alを含有する450℃のZnめっ
き浴に浸漬し3secめっきを行った。目付量は135
g/m2とした。本発明範囲である350℃に到達して
から浴侵入温度に到達するまでの時間が15sec以内
である場合に溶融Znめっき性が良好であることが明白
である。他のプレNi合金めっき系についてもほぼ同様
であった。さらに、Ni−Pめっき後の加熱開始時か
ら、浴侵入板温に到達するまでの平均加熱速度(昇温速
度)が30℃/s以上の場合には、図3の板温350℃
から浴侵入板温に到達するまでの時間が5sec以内と
なるが、上記溶融Znめっき性が極めて良好であること
も明白である。
【0010】図5にプレNi−Pめっき後の加熱の昇温
速度と合金化溶融Znめっき層の加工部のめっき密着性
の関係を示した図である。熱延Alキルド鋼板(板厚
1.6mm)に0.5g/m2プレNi−Pめっき層を
電気めっきし、O260ppm、H23%含有したN2
囲気中で450℃まで通電加熱により昇温速度を変化さ
せて加熱したのち、Al 0.15%の溶融Znめっき
浴中で3秒間めっきを行い、ワイピング直上で500℃
で15s合金化処理を行った。めっき付着量は60g/
2とした。厳しい加工部を再現するためにめっき密着
性は耐パウダリング性試験として、試験片を25mm張
出しのカップ絞り成形を行ったのち、テープ剥離テスト
を実施し、テープの黒化度で評価した。5点法で評価し
た。3点以上が、厳しい加工を受けた場合のめっき密着
性が良好となる場合である。評価基準は次の通りであ
る。 Ni−Pめっき後の昇温速度を30℃/sとした場合
に、厳しい加工を施した場合の加工部のめっき密着性が
良好になることが明白である。また、このような厳しい
加工部のめっき密着性の観点からは、加熱板温は430
℃以上500℃以内がベストであった。これらの結果
は、他のプレNi合金系めっきについても同様であっ
た。さらに、この合金化処理時において、Ni−Fe系
のプレNi合金めっきでは、合金化溶融Znめっき層中
のFe%がプレNi−Feめっき層中のFeの拡散に伴
い増加し易く、製造上有利であることも確認した。
【0011】以上、本発明においては、プレNiめっき
層中の合金添加元素が特定の元素であること、プレNi
合金めっき後の加熱温度が特定の範囲であること、35
0℃に到達してから、浴侵入板温に到達するまでの時間
が15sec以内であることがめっき性に優れた溶融Z
nめっき鋼板および加工部のめっき密着性に優れた合金
化溶融Znめっき鋼板の製造上の大きなポイントであ
る。さらには、プレNiめっき後の加熱速度を30℃/
s以上にすることが、厳しい加工部のめっき密着性に優
れた溶融Znめっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼
板製造上のさらなるポイントである。加熱の方法につい
ては、特に限定はしないが、鋼板を直接通電加熱する方
法、誘導加熱方式、赤外加熱方式など種々の方法が適用
できる。薄板から3mm超の厚板まで加熱速度の設定が
迅速に対応しやすく、コンパクトな設備が可能と言う点
では、直接通電加熱する方法が有効である。熱延材の場
合には、黒皮材の酸洗を適切な条件下で行うことが、プ
レNi合金めっきのめっき性を向上させる上で重要であ
る。例えば、90℃8%HCl中で20〜150s程度
の酸洗が望ましい。また、場合によっては、酸洗後にブ
ラシスクラバー、サンドペーパー等の研磨処理、電解研
磨、電解酸洗等の処理を施すとさらに望ましい。プレN
i合金めっきの中の合金元素含有率の上限は特に規定し
ないが、溶融Znめっき時のNiの溶出性への影響が飽
和し、プレめっき時の電流効率が悪くなり経済性を損な
うこと等を考慮すると約50%以下が望ましい。
【0012】プレNi合金めっき付着量を0.2g/m
2以上としたのは、これ以上で溶融Znめっきの不めっ
きが解消され、地鉄界面にFe−Al−Zn−Ni系4
元系合金層ができ、Fe−Zn合金層の以上発達を抑制
しめっき密着性が向上するためである。Ni合金めっき
付着量が0.2g/m2未満では不めっきが生じやすく
めっき密着性も劣化しやすい。上限を2.0g/m2
したのは、2.0g/m2を超えるとめっき密着性が劣
化したためである。この場合には地鉄界面Ni−Al−
Zn系の合金層が多くなり、Znと地鉄との合金化のバ
リヤー層であるFe−Al−Zn−Ni系4元系合金層
の生成がしにくくなりZnと地鉄の合金化が進むためと
考えられる。また、浴中Al 0.05%未満の場合に
もめっき密着性は不十分であった。この場合には、Fe
−Al−Zn−Ni系合金層がほとんど生成しておら
ず、地鉄界面にZn−Fe合金層が厚く成長しており、
特に界面の脆いΓ相(Fe5Zn21)が発達しており、
加工の際にクラックがはいり、この相からめっき剥離が
生じていることが判明した。また、浴中Alを1%以内
としたのは、これを超えると表面外観が白っぽくなるこ
ととめっき層中にAlが不均一に偏在するようになると
腐食環境下においては、これらが、めっき層中で局部電
池を構成してしまい、Znが溶出する作用が生じるため
に耐食性の劣化を引き起こす危険性を考慮したためであ
る。
【0013】合金化処理温度は470〜550℃が最適
である。470℃未満では合金化が進みにくく、550
℃を超えると合金化が進みすぎ、地鉄界面にΓ相が発達
しやすくなり加工部のめっき密着性が劣化する。合金化
時間については、合金化温度とのバランスで決まるが5
〜40秒の範囲が適当である。5秒未満では、合金化が
進みにくく、40秒を超えると合金化が進みすぎ、Γ相
が発達しやすくなり、加工部のめっき密着性が劣化す
る。めっき付着量については特に制約は設けないが、耐
食性の観点から10g/m2以上、加工性の観点からす
ると350g/m2以下であることが望ましい。以上の
結果は、Znめっき浴の場合についてのみ述べたが、Z
nめっき浴中にAl以外にさらに合金元素としてNi、
Sb、Pbを単独あるいは複合で0.2%以下の微量含
有した溶融Znめっき鋼板の場合にも結果は同様であっ
た。なお、浴温についてはZn浴の場合であってもZn
浴に微量に合金元素を含む場合であっても430〜50
0℃程度の通常の条件が使用できる。下地鋼板として
は、熱延鋼板、冷延鋼板ともに使用でき、Alキルド鋼
板、Al−Siキルド鋼板、Ti−Sulc、P−Ti
Sulc低炭素鋼板、高張力鋼板など種々のものが適用
できる。
【0014】
【作用】本発明において、P,S,B,Mo,Zn,F
e,Co,Cu,Cr,Sn,WとのNi合金めっきに
より、溶融Znめっき時のNiの溶融Zn浴中への溶出
量がNi単独めっきの場合よりも減少する理由について
は、未だ明らかではないが、Niとこれらの元素との親
和力が強く、離脱しにくいことが一つの原因と考えられ
る。また、特にNi−P,Ni−S,Ni−B,Ni−
Mo,Ni−Co−B系等は本発明の組成範囲の一部に
おいて、めっき層がアモルファス構造になることが知ら
れており、このため耐食性が良好となり、溶融Zn浴に
Niが溶出しにくくなったことも考えられる。また、本
発明法で得られためっき層および従来のプレNi法で得
られためっき層の構造を解析したところ、本発明範囲の
プレNi合金めっき後の加熱条件下、即ち加熱板温が4
20〜500℃で、350℃から浴侵入板温に到達する
までの時間が15s以内においては、プレNi合金めっ
き層の地鉄中への拡散は小であり、残存量が多く、さら
には、プレNi合金めっき後の昇温速度が30℃/s以
上の場合には、Ni合金めっき層は殆どめっきままの状
態で残存しており、地鉄中への拡散はほとんど見られな
いことが判明した。それに対して、従来技術範囲の加熱
温度が高い場合(500℃超)、350℃に到達してか
ら浴侵入板温度に到達するまでの時間が長すぎる場合に
おいては、Ni合金がほとんど地鉄中に拡散しFeとの
固溶体層に変化する。また、加熱温度が420℃未満の
場合ではNiが残存するものの、溶融めっき時におい
て、不めっきが生じやすく、密着性が悪い。この加熱時
におけるNi合金めっきの状態が異なるために、その後
の溶融めっき時において、めっき層構成の差異が生じる
ものと考えられる。即ち、本発明のNi付着量0.2〜
2.0g/m2においては、地鉄界面に多く残存したプ
レNi層が溶融Znめっき時において、地鉄界面近傍に
Fe−Al−Zn−Ni−α(α=P,S,B,Mo,
Zn,Fe,Co,Cu,Cr,Sn,W)系の合金層
(バリヤー層)が形成されており、Zn−Fe合金層が
薄く成長が抑制されていた。また、上層にはAlを含有
したZnめっき層が形成されていた。これに対して、従
来法においては、加熱時においてプレNi合金層が殆ど
残存しないため、溶融Znめっき時において、本発明の
ような地鉄界面のFe−Al−Zn−Ni−α系合金層
は形成されず、加熱時に形成されたFe固溶体層の上層
に厚いZn−Fe層が形成され、その上層として、Al
を含有したZn層が形成された構造となっていた。詳細
は明らかではないが、本発明において溶融Znめっき外
観、めっき密着性および合金化溶融Znめっき鋼板の加
工部の密着性が飛躍的に向上したのは、地鉄界面のFe
−Al−Zn−Ni−α系合金層が一種のバインダーの
役割をはたしており、しかも地鉄界面の脆いZn−Fe
合金層(Γ相)の成長を抑制させるバリヤー効果を有し
ているためではないかと考えられる。
【0015】
【実施例】表1に本発明の製造方法および得られた試料
の実施例を示す。*印が本発明以外の製造法で作成され
た比較材である。下地にAlキルド熱延酸洗鋼板(1.
6mm)用いた。それぞれのプレNi合金めっきを硫酸
酸性浴中で電気めっきで付着量を変化させて施した後、
前処理加熱をO260ppm、H23%+N2雰囲気中で
加熱条件を変化させておこなった後、浴温450℃、3
secで溶融めっきを行った。さらには、一部、ワイピ
ングした後、合金化加熱処理を450〜550℃、5〜
40秒行った。めっき付着量は60g/m2とした。溶
融Znめっき後のプレNi合金めっき層の残存率、めっ
き外観、めっき密着性等の溶融Znめっき性、合金化溶
融Znめっき鋼板の加工部のめっき密着性の評価は前述
の試験法、評価基準に従って評価した。また、合金化処
理後の合金化度合をA(最良),B(良好),C(不
良)の3ランク評価し、B以上を合格とした。No.1
〜69に示す通り、本発明範囲の製造方法で得られた鋼
板は、溶融Znめっき時後プレNi合金めっき層の残存
率、溶融めっき性、合金化溶融Znめっき鋼板の加工部
の密着性共に優れる。これに比較して、プレNi合金め
っき層の種類、付着量、加熱条件、浴中Al、合金化処
理条件が本発明範囲を逸脱する場合(No.70〜8
1)、プレめっき層の溶融Znめっき時の残存率、溶融
Znめっき性、合金化溶融Znめっき鋼板の加工部のめ
っき密着性が劣る。さらに、No.82〜85は、溶融
Znめっき浴中に他の合金元素を微量に含有する場合で
あり、この場合にも優れた性能を示した。
【0016】
【表1A】
【0017】
【表1B】
【0018】
【表1C】
【0019】
【表1D】
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、製造
上、プレめっき層の溶融Znめっき浴中への溶出が少な
いためドロス等の発生が少なく有利であり、また、従来
にないめっき性、あるいは加工部のめっき密着性を有す
る溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板
が得られ、建材、家電あるいは自動車用の構造材として
有用であることから、その工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融Znめっき時のNi残存率に及ぼすプレN
i合金めっき層中の合金元素の含有率の影響を示した
図、
【図2】Ni−Pめっき後の加熱板温と溶融Znめっき
性との関係を示した図、
【図3】加熱温度とプレNi合金めっき層の地鉄中への
拡散量の関係を示した図、
【図4】プレNi−Pめっき後、350℃から浴侵入温
度に到達するまでの時間と溶融Znめっき性との関係を
示した図、
【図5】プレNi−Pめっき後の加熱の昇温速度と合金
化溶融Znめっき層の加工部のめっき密着性の関係を示
した図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−24255(JP,A) 特開 昭58−9965(JP,A) 特開 平4−333551(JP,A) 特開 平4−333552(JP,A) 特開 平2−129384(JP,A) 特開 平2−236263(JP,A) 特公 昭46−19282(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面にP,S,B,Mo,Zn,
    Fe,Co,Cu,Cr,Sn,Wのうち1種あるいは
    2種以上を複合で0.1%以上含有するNi合金を0.
    2〜2g/m2めっき後、非酸化雰囲気中で420〜5
    00℃の温度まで加熱し、鋼板が浴に進入するまでの過
    程において、350℃以上である時間が15sec以内
    で、大気に触れることなくAl 0.05〜1%含有す
    る溶融Zn浴に浸漬して亜鉛めっきすることを特徴とす
    る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼板の表面にP,S,B,Mo,Zn,
    Fe,Co,Cu,Cr,Sn,Wのうち1種あるいは
    2種以上を複合で0.1%以上含有するNi合金を0.
    2〜2g/m2めっき後、非酸化雰囲気中で430〜5
    00℃まで30℃/s以上の昇温速度で急速加熱を行な
    ったのち、大気に触れることなくAl0.05〜1%含
    有する溶融Zn浴に浸漬して亜鉛めっきすることを特徴
    とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融Znめっき後、さらに、ワイピング
    直上で470〜550℃で5〜40秒合金化処理するこ
    とを特徴とする請求項1および2記載の合金化溶融Zn
    めっき鋼板の製造方法。
JP3201150A 1991-07-17 1991-07-17 プレNi合金めっき法による溶融Znめっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2562747B2 (ja)

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