JP2559782B2 - 変形するドライブナットを備えた盲固定具及びこれを使用してパネルを固定する方法 - Google Patents

変形するドライブナットを備えた盲固定具及びこれを使用してパネルを固定する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、二枚のパネルを内側及び外側に重ねた状態
で固定するのに使用されるドライブナツト式盲固定具に
関する。
盲固定具は、互いに固定されたパネルの盲側となる表
面に対するアクセスが極めて制限され、或いは場合によ
つては不可能とされるような様々な状態に於て使用す
る。例えば、航空機等を含む空力的設計による構造に於
ては、パネルのアクセス可能な側では通常は実質的に表
面が一つの面となされることを望まれるが、盲側に対す
るアクセスは不可能となる。航空工業界に於るこのよう
な固定具の適用及び使用は、固定具が合致し克服しなけ
ればならない最も厳しい要求事項の幾つかを課するので
ある。特に、このような固定具はパネルを確実に固定し
なければならず、それらが使用されている過酷な条件に
より作用された応力や振動の下でグリツプ力を失わない
ように耐えねばならないのである。
このような要求事項を満足する盲固定具の一つの形式
は、二枚のパネルの整合孔に挿入するための内ねじ付固
定具本体と、該固定具本体と螺合されて挿通される外ね
じ付円筒形ステムとを含んで構成される。ステムの挿入
端には拡径されたステムヘツドが形成され、又、ステム
の外端にはレンチに係合される部分が形成される、固定
具本体に対するステムの回転動作によつて、ステムは固
定具本体を通して軸線方向へと外側へ向けて移動する。
この軸線方向の外側へ向かう動きによつて、ステムを囲
み且つステムヘツドに当接されている変形可能なスリー
ブが固定具本体の回りで変形され、内側パネルに対する
完全な取り付け状態とされるのである。このステムは更
に、予め設定されたトルク値にてステムが剪断されるよ
うになすための局所的な弱化部、即ち、破断溝を備えら
れるのである。この破断溝は、固定具が完全に取り付け
られた後、固定具本体の外側部分、即ち固定具本体のヘ
ツド、に対してステムが実質的にそれと同一面にて捩じ
切れるように、ステムの軸線方向に沿つた或る局部的な
位置に位置決めされるのが好ましい。実際の例として
は、ステムは固定具本体のヘツドの外側面に対して約3.
175mm(1/8in)の凹凸範囲内にて捩じ切られるのであ
る。この固定具本体ヘツドは通常は外側パネルに対して
同一面となるように皿ぐり内に受け入れられ、固定具が
取り付けられた後に空力的表面を形成するようになされ
る。突出された固定具本体ヘツドは外側パネルと係合さ
れるように使用される。
パネル同志を互いに固定するために上述したように盲
固定具が使用される場合、固定具本体ヘツドに当接され
るとともに、それ自体及び該固定具本体を回転しないよ
うに保持するために取り付け工具によりグリツプされる
ようにして、ドライブナツトがステムの外側部分上に螺
合させて備えられる。固定具を取り付ける場合、ステム
の回転の間に固定具本体ヘツド上のドライブナツトは滑
りを生じる。ドライブナツト及び固定具本体ヘツドの当
接する両表面が比較的滑らかであると、ドライブナツト
及び固定具本体ヘツドは過大締めを生じて互いに密着す
るようになる。この結果として、これらの部品の間の締
め付け方向の相対的な回転滑りは、ドライブナツト及び
固定具本体の間のグリツプされた部分に於るステムの弾
性的な引き伸ばしを生じるのである。この伸びはステム
に引張荷重を発生するのであり、この荷重は、締め付け
方向にステムを回転することで既にステムに作用されて
いる捩じり荷重と一緒になつて、固定具が完全に取り付
けられる以前にステムの捩じ切れを引き起こし、それ故
に、固定具によつてパネルに作用される有効クランプ力
を不都合にも低減させてしまう、ということの原因とな
つてしまうのである。
プラツトに付与された特許願一連番号第828,781号に
記載されている盲固定具は、ドライブナツト及び固定具
本体ヘツドの当接する両表面の少なくとも一方に摩擦力
増大手段を備え、これらの二つの要素間の過大締めによ
る密着状態を軽減し、これによりステムに於る引張荷重
の蓄積を低減するようになつている。この摩擦力増大手
段は、高摩擦抵抗のコーテイング、又は表面のギザギザ
付形として記載されている。しかしながらドライブナツ
トと固定具本体ヘツドとの間に積極的な機械的な係合状
態を形成するものではないのである。
発明の概要 本発明は内ねじ付固定具本体と、外ねじ付ステムと、
変形可能なスリーブと、ドライブナツトと、ドライブナ
ツト及び固定具本体の間に積極的な機械的な係合状態を
形成するための変形可能な手段とを含んで構成される。
固定具を取り付けるためにステムを回転させれば、ドラ
イブナツトに設けられた変形可能な表面は、固定具本体
ヘツドの外側表面に設けられている不規則面に対する最
初の滑りの間に変形して、ドライブナツトと固定具本体
ヘツドとの間に積極的な機械的な係合状態を形成するの
であり、これにより過大締めによる密着状態に抗すると
ともに、ステムに許容できない程高い引張荷重が蓄積さ
れるのを防止するのである。本発明の盲固定具は更に
又、簡単に取り付けでき、使用上の信頼性が高く、比較
的安価に製造できることを意図されているのである。
本発明の一つの実施例に於て変形可能な手段は、固定
具本体ヘツドの外側表面に形成された刻み溝、及び、変
形して該刻み溝内に入り込み、ドライブナツトと固定具
本体との間に積極的な機械的な係合状態を形成するよう
になされている、ドライブナツトの下側に形成された実
質的に環状の***部、を含んで構成される。他の実施例
では、ドライブナツトの変形可能な表面は、皿穴によつ
てドライブナツトの下側に円錐形に形成されて、中空の
円錐体に以た横断面が大体三角形の比較的鋭角な接触面
を形成するようになされる。固定具の取り付けの初期に
於て、この変形可能な面は固定具本体ヘツドとの接触面
が最小限であつて変形も僅かである。固定具の取り付け
が進むにつれて、この変形可能な面の変形が全体的に大
きくなるのである。
ドライブナツトと固定具本体ヘツドとの間に於るこの
変形可能な手段により形成された積極的な機械的な係合
状態は、ドライブナツトと固定具本体とが過大締めされ
て密着状態となされるのを防止する助けを果たす。この
ことが、ドライブナツト及び固定具本体ヘツドの間でグ
リツプされているステムの部分に引張荷重が蓄積される
のを最小限に抑制する。この結果として、固定具が完全
に取り付けられる以前に尚早な捩じ切れを生じるような
許容できない引張荷重がステムには作用されないのであ
る。
本発明の固定具を使用してパネルを締め付ける方法
は、両パネルの互いに整合されている開口を通して固定
具を挿入する段階であつて、固定具本体ヘツドを外側パ
ネルの外側表面に当接させ、スリーブは内側パネルの内
側表面より内側に配置しておく、段階を含む。取り付け
固具が使用され、ドライブナツトをグリツプしてこれを
回転しないように保持し、一方、ステムの外側部分には
トルクが付与されて一方向へ回転され、スリーブが内側
パネルの内側表面に沿つて接触する完全な取り付け状態
となるように横方向へ拡張されるのである。この方法は
更に、ドライブナツトの下側に設けられた変形可能な表
面を固定具本体ヘツドの外側表面に設けられた不規則面
に対して変形させ、これにより上述で説明したように、
固定具を取り付けるための回転動作の間にドライブナツ
トを固定具本体ヘツドとの間に積極的な機械的な係合状
態を形成するようになす、段階を含む。望まれるなら
ば、固定具の組立の間に製造者がドライブナツトの変形
可能な面を固定具本体ヘツドの不規則面に対して事前に
変形させておくことができる。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面に関連さ
せて与えられている以下の詳細な説明から、明白となる
であろう。これらの図面は、例を挙げて本発明の原理を
示している。
図面の簡単な説明 添付図面は本発明を図解するものである。これらの図
面に於て、 第1図は本発明の新規な特徴を具備するドライブナツ
ト及び固定具本体を有してなる盲固定具の縦断面図であ
つて、この固定具を取り付ける前に二枚のパネルを通し
て挿入された組み立てられた固定具を示しており、 第2図は実質的に第1図の線2−2に沿う固定具の横
断面図であつて、固定具本体の外側表面に形成されてい
る凹部を示しており、 第3図は実質的に第1図の線3−3に沿う断面図であ
つて、固定具は取り付け状態とされており、 第4図は第1図のドライブナツトの断面図であつて、
本発明の教示によつて作られたドライブナツトの一つの
実施例を示しており、 第5図は本発明の教示によつて作られたドライブナツ
トの他の実施例に於る断面図であり、そして、 第6図は本発明の教示によつて作られたドライブナツ
トの更に他の実施例に於る断面図である。
好ましい実施例の詳細説明 実施例の図面に示されているように、本発明は二枚の
パネルを外側及び内側に重ねて互いに結合するのに使用
するための、全体を符号10で示される盲固定具に具現さ
れるのである。この固定具はドライブナツト及び固定具
本体の間に積極的な係合を与えるための変形可能な手段
を備えていて、固定具の取り付けの際にそれら二つの要
素の間の過大締めによる噛み合いに抗するようになして
いる。本発明の盲固定具は更に、取り付けの簡単化、使
用上の高い信頼性、及び製造が比較的安価なこと、を意
図されているのである。
第1図を参照すれば、本発明の盲固定具10は二枚のパ
ネル12及び14を外側及び内側に重ねて互いに結合するた
めの位置に配置して示されており、外側のパネル12はア
クセス可能な外側表面16を有し、又、内側のパネル14は
アクセス不可能な盲側となる内側表面18を有している。
この固定具は、二枚のパネルに形成されている整合され
た開口22内に受け入れられる内ねじを形成された大体管
状の固定具本体20、及び、この固定具本体を挿通して螺
合されている外ねじ付円筒形ステム24を含んで構成され
ている。固定具本体は、内側パネルの内側表面から内側
へ突出しているテーパー付ノーズ26と、外側パネルの外
側表面に対して皿ぐりによつて実質的に同一面となるよ
うに受け止められた拡径された本体ヘツド28とを有して
いる。同一面とならないで突出する形式のヘツドとされ
る拡径された本体ヘツドも使用することができる。ステ
ムはその挿入側の端部、即ち内側端部、に拡径されたヘ
ツド30を有し、このヘツドは実質的に円筒形の変形可能
なスリーブ32に当接するようになされる。固定具本体、
ステムヘツド及びスリーブの外径は実質的に同じであ
り、二枚のパネルに形成されている孔の直径よりも僅か
に小さい。固定具のこの寸法決めは、二枚のパネルに形
成されている孔を通して固定具を挿入できるようになす
とともに、これにより固定具が以下に更に詳しく説明す
るように盲側にてそのクランプ機能を発揮できるように
なすのである。この代わりに、固定具はパネルに形成さ
れている孔との間に締り嵌めを形成するような寸法とさ
れることができる。
固定具10を取り付けて二枚のパネル12及び14を互いに
クランプするために、ステム24は固定具本体20に対して
一方向へ回転される。この回転動作により、ステムが固
定具本体を通して軸線方向へ外方へと移動されるように
なす。ステムが軸線方向へ外方へと移動されると、ステ
ムヘツド30は変形可能なスリーブ32をテーパー付ノーズ
26と係合させて固定具本体の上に乗り上げさせる。この
スリーブは別個の要素として示されているが、スリーブ
を固定具本体と一体の一部として形成することもでき
る。ステムが軸線方向に或る距離だけ移動した後には、
スリーブが内側パネル14の内側表面18に対して完全にセ
ツトされており、これらの二つの部片の間に確実な固定
を形成している。望まれるならば、局部的な弱化部、即
ち破断溝34、をステムに沿つた軸線方向の位置に設け、
固定具が完全に取り付けられた後に固定具本体ヘツド28
と実質的に同一面となる位置にてステムが切断されるよ
うになすことができる。ほとんどの場合、ステムは固定
具本体ヘツドの外側表面に対して約3.175mm(1/8in)の
凹凸範囲内で捩じ切られる。
固定具10を取り付けるために固定具本体20に対してス
テム24を回転させるのに、固定具本体が回転運動しない
ように保持しつつステムにトルクを加えて行うことが好
ましい。固定具を上述のようにセツトし取り付けるため
には、レンチビツトを有する各種の通常の動力駆動の取
り付け工具が使用できる。
ステム24を確実に回転させるために、ステムの外側端
部にはレンチ用の一対の平面部36が形成され、取り付け
工具(図示せず)の回転用のレンチビツトと係合される
ようになされる。望まれるならばこのような平面部36以
外のレンチ係合手段もステムに設けることができる。ス
テムが回転される間にパネル12及び14内にて固定具本体
20が回転されるのを防止するために、固定具本体ヘツド
28と当接させてドライブナツト38がステム上に取り付け
られる。このドライブナツトは、取り付け工具(図示せ
ず)に設けられた回転止め嵌合手段と係合される外側表
面40、及び外ねじ付ステム24と係合されるねじ部を形成
された内側表面42を有している。ほとんどの工具では、
この回転止め嵌合手段は回転されるレンチビツトと同心
的ではあるが軸線方向に間隔を隔てて設けられ、又、こ
の手段がステムに対する回転を防止するようにドライブ
ナツト及び固定具本体を保持するのである。
本発明によれば、ドライブナツト38及び固定具本体ヘ
ツド28の接触面の間に積極的な機械的な係合手段を構成
するために、変形可能な手段が設けられるのである。第
1図〜第4図に示された本発明の一つの実施例に於て
は、この変形可能な手段は、固定具本体ヘツドの外側表
面に形成された複数の刻み溝44、及びドライブナツトの
下面に形成された大体環状の***部46を含んで構成され
ている。更に詳しくは、第4図に示されたドライブナツ
トを参照すれば、ステム24と係合するドライブナツトの
内ねじ部分42と同心的に形成された第一の皿穴48がドラ
イブナツトの下面に設けられている。第二の直径が更に
大きな皿穴50が第一の皿穴48と同心的に形成されてお
り、この皿穴50は第一の皿穴の内部に向けて比較的短い
距離だけ延在されている。ドライブナツトの下側の残る
外側部分52は、例えば機械加工により円錐形の形状、即
ち第二の皿穴から半径方向外側へ向かうテーパー形状、
とされて環状の***部46を形成しており、この***部は
比較的鋭い、即ち尖端、を有している。この環状の***
部は固定具本体ヘツド28の外側表面に形成されている刻
み溝44内へ入り込むように変形されるようになつてお
り、これによりドライブナツト及び固定具本体ヘツドの
間に積極的な機械的な係合を形成するとともに、両要素
の間の過大締めによる密着を抑制するようになすのであ
る。第一の皿穴48は、ステムの外ねじ及びドライブナツ
トの内ねじの間に十分な間隙を形成し、これによりステ
ムが高い位置にて捩じ切られる場合でさえもドライブナ
ツトがステムに取り付いたままとなるのを防止するよう
になしている。
第2図に最も良く示されているように、複数の刻み溝
44が固定具本体ヘツド28の外側表面に形成されている。
好ましい実施例に於ては、フイリツプス形式のノツチに
似た形状の四つの刻み溝、即ち十字状の凹部とされる。
しかしながらこれらの刻み溝は、或る特定の個数、寸
法、形状、又は幾何学的配置とされる必要の全くないこ
とが理解されよう。例えば、一つの刻み溝でも十分であ
る。更に、刻み溝を会社のマークや社章、或いは製品識
別記号や一連番号とすることができる。第3図に示され
るように、この環状の***部46はステム24の回転によつ
て刻み溝内に変形して入り込み、ドライブナツト38と固
定具本体20との間に積極的な機械的な係合状態を形成す
るとともに、過大締めによる密着を生じないようになす
のである。この変形の手順が以下に更に詳しく説明され
る。
刻み溝44の代わりとして、固定具本体ヘツドの外側表
面を、間隔を隔てた突起(図示せず)を有する***面と
することができる。例えば、複数の半径方向に配向され
た比較的直線状の***とすることができる。しかしなが
ら刻み溝又は突起の何れかに拘わらずに使用されるなら
ば、固定具本体ヘツド28の外側表面には不規則な表面を
設けねばならないことは理解されるところである。この
不規則な表面は上述のように刻み溝又は突起とされるの
である。即ち、固定具本体ヘツドの外側表面として***
又は凹部を形成された表面を使用することで十分であ
る。
本発明の固定具10を取り付けるために、固定具は二枚
のパネル12及び14に形成されている整合された開口22内
に、固定具本体ヘツド28が外側パネルの外側表面16に受
け止められる迄、挿入される。取り付け工具が固定具上
を軸線方向に移動され、回転止め嵌合部がドライブナツ
ト38と係合されて該ドライブナツト及び固定具本体20を
回転しないように保持するとともに、回転されるレンチ
ビツトがレンチ用平面部36と係合されてステム24を一方
向へ回転することで固定具の取り付けを行うようになさ
れる。ステムが回転されると、ドライブナツトの下側に
形成されている変形可能な環状の***部46が固定具本体
ヘツド28の外側表面に押圧され、この***部が変形して
刻み溝内に押し込められるのである(第3図)。ステム
が更に回転されると、環状の***部が変形して刻み溝内
に押し込められる程度が甚だしくなる。即ち、ステムの
回転の最初では環状の***部の変形は最小限である。ス
テムが更に回転されると、ドライブナツト及び固定具本
体ヘツドの間の積極的な機械的な係合状態が形成される
迄、刻み溝内に入り込む環状の***部の変形程度が増大
されるのである。ドライブナツトと固定具本体ヘツドと
の間のこの積極的な機械的な係合状態は第3図に最も良
く示されており、この図面は固定具が取り付けられた後
の一つの刻み溝の内部に押し込められた完全に変形され
た環状***部の一部を示していて、この状態はステムの
外側部分が破断溝34にて捩じ切られる前の状態である。
上述したドライブナツト38と固定具本体ヘツド28との
間のこの積極的な機械的な係合状態は、ドライブナツト
が固定具本体ヘツドに対して過大締めされて密着するの
を防止する働きをなす。このことは、ドライブナツト及
び固定具本体ヘツドの間のグリツプされた部分に作用す
る許容できない程大きな引張荷重の蓄積を防止する効果
を有するのである。固定具10が完全に取り付けられた
後、ステムがドライブナツトに対して更に回転される
と、破断溝34に於るステムの捩じ切りが起こる。重要な
ことであるが、固定具が完全に取り付けられる前には尚
早な捩じ切れを引き起こすような許容できない引張荷重
がステムに作用することは無い。このようにして固定具
による良好なクランプが達成されるのである。
ステム24の外側部分が破断溝34で捩じ切られるとき、
ドライブナツト38自体はそれに取り付いた状態で残され
る。既に説明したように、皿穴48は高い位置でのステム
の切断が生じた場合に於ても取り付けられた固定具に取
り付いた状態で残つてしまうのを防止するのである。従
つて、捩じ切られたステム及びそれに取り付いているド
ライブナトを知られている技術によつて磁気的に回収す
ることが可能となる。
望まれるならば、固定具10の製造者又は組立作業者
(或いは末端の使用者ですらも)は、固定具をパネル12
及び14に取り付ける前に、環状***部46を事前に変形し
て刻み溝44内に差し込んだ状態とすることができる。こ
れは固定具の組立の間に実施できる。例えば組立の間、
変形可能なスリーブ32がステムヘツド30に当てられてス
テム24の上に置かれ、しかる後固定具本体20がこのスリ
ーブに隣接される迄ステム上のねじ回される。次に、ド
ライブナツト38がステム24上をねじ回され、これによつ
て環状***部46が固定具本体ヘツド28に突き当てられ
る。ステム及び固定具本体を回転しないように保持して
ドライブナツトにトルクが付与され、これにより環状隆
起部を変形させて刻み溝内に押し込み、上述したように
積極的な機械的な係合状態を形成するのである。
本発明の教示によつて作られたドライブナツトの他の
実施例が第5図〜第6図に示されている。先ず第5図を
参照すれば、ドライブナツトの下側には唯一の皿穴54が
形成されており、この皿穴はドライブナツトの内ねじ孔
42と実質的に同心に形成されている。このドライブナツ
トの下側の残された外側部分56は円錐形状、即ち皿穴か
ら半径方向外側へ向かうテーパー、を付形されて環状の
***部46を形成しており、この***部は固定具本体ヘツ
ド28の外側表面に形成されている刻み溝44と係合するた
めに比較的鋭角、即ち尖端、とされている。ドライブナ
ツトの横断面形状は、全体的に中空の円錐台形に以た幾
何学形状を有しており、環状***部の横断面形状は実質
的に三角形をなしている。
第6図には、本発明の教示により作られた第三の実施
例が示されている。第5図のドライブナツトの実施例と
同様に、ドライブナツトの下側にはその内ねじ孔42と実
質的に同心とされた唯一の皿穴58が備えられている。ド
ライブナツトの下側の残された外側部分60はドライブナ
ツトの外周部から皿穴へ向けて半径方向内側へとテーパ
ーを付形されており、皿穴を取り囲む環状の***部46に
て終端している。この環状***部は横断面が比較的薄
く、又、この好ましい実施例では実質的に四角形の横断
面をしている。同様な三角形でない幾何学形状も使用で
きることは理解されるところである。
ドライブナツト38が選定された実施例であるか否かに
拘わらずに、総ての実施例は実質的に同じように機能
し、凹凸の何れであろうとも固定具本体ヘツド28の外側
表面上の不規則な表面に入り込む又は囲むように変形さ
れるのである。
ドライブナツト38の変形可能な環状***部46は、圧縮
力が与えられたときに変形、即ちフロー、を生じること
のできる変形可能な材料で作ることができる。このよう
材料には金属材料や非金属材料が含まれる。例えば、様
様な種類のステンレス鋼又は鋼合金は圧縮力が与えられ
たときに変形、即ちフロー、を生じる。その他の代表的
な材料にチタンやアルミニウムが含まれる。固定具本体
20、ステム24及びスリーブ32を含むその他の残りの要素
も様々な種類のステンレス鋼、鋼合金、チタンやアルミ
ニウムで構成することができる。例えば、固定具本体、
ステム及びスリーブがステンレス鋼で作られ、ドライブ
ナツトがカーボン鋼で作られることができる。
変形可能な環状***部46がドライブナツト38に一体形
成されたものとして説明し図示してきたが、此の***部
は別個の要素として作られてドライブナツトの下側に取
りつけられることのできることが理解される。例えば、
ネオプレン製のO−リング等(図示せず)のような非金
属製要素がドライブナツトの下側に接合されて、固定具
本体ヘツド28の不規則面の中に又は回りに弾性的に変形
するようになされ得る。変形可能な環状***部はドライ
ブナツトの一部である必要のないことは理解されよう。
これに代えて、この***部を固定具本体ヘツドの外側表
面の一部とすることはでき、又、不規則面がドライブナ
ツトの下側に設けられることもできる。更に又、本発明
の固定具10は盲固定具である必要のないことも理解さ
れ、又、本発明の教示はドライブナツトの使用される形
式のその他の固定具に適用できることが理解される。
本発明の固定具10を使用してパネル12及び14を固定す
る方法は、両パネルに形成されている互いに整合された
孔22を通して固定具を挿入して固定具本体ヘツド28を外
側パネル12の外側表面16に当接させる段階を含み、スリ
ーブ32は内側パネル14の内側表面18の内側に位置され
る。取り付け固定具がドライブナツト38をグリツプして
回転しないように保持するために使用され、一方、ステ
ム24の外側部分にはトルクが付与されてこれを一方向へ
回転し、スリーブが内側パネルの内側表面に沿つて当接
した完全な取り付け位置となるように横方向へ拡張させ
るのである。この方法は更に、変形可能な環状***部46
をドライブナツトの下側にて変形させて固定具本体ヘツ
ドの外側表面に形成されている刻み溝44内に押し込め、
これにより固定具を取り付けるためのステムの回転動作
の際にドライブナツトと固定具本体ヘツドとの間に積極
的な機械的な係合状態を形成するようになす段階含む。
既に説明したようにこの環状の***部は、固定具をパネ
ルに挿入する前の段階で、刻み溝内に入り込むように事
前に変形させておくことができる。
前述の説明から、本発明はドライブナツト38と固定具
本体ヘツド28との間に積極的な機械的な係合状態を形成
するための変形可能な手段を有する盲固定具を提供す
る、ことが明白となろう。固定具の取り付けの間、変形
可能な環状の***部46が変形して固定具本体ヘツドの外
側表面に形成された刻み溝44内に押し込まれ、これによ
り過大締めによる密着状態を抑制してステム24に許容で
きない程高い引張荷重が蓄積されるのを防止するのであ
る。このことは固定具が完全に取り付けられる以前にス
テムが尚早な破断を生じることを防止する助けを果たす
のである。
本発明の特定の形態が図示され説明されたが、本発明
の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更がなさ
れ得ることは明白となろう。従つて、本発明は請求の範
囲によつて制限される以外には制限を受けないことを意
図されているのである。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二枚のパネルを外側及び内側に重ねた状態
    で結合するために、これらのパネルを貫通する整合され
    た開口内に取り付けられ、レンチ装置によって固定され
    るようになされた固定具であって、 パネルに形成されている開口内に受け入れられる内ねじ
    付の全体的に管状の固定具本体であり、 内側パネルよりも内方へ突出された内側端部、及び、 外側パネルの外側表面ヘッドと係合される拡径された本
    体ヘッド、 を有する前記固定具本体と、 前記固定具本体に挿通されて螺合される外ねじ付の円筒
    形のステムで、前記固定具本体に対する該ステムの一方
    向への回転動作が前記固定具本体を通して軸線方向の外
    方へステムを移動させるようになされたステムであり、 前記固定具本体の内側端部から間隔を隔てられている拡
    径されたステムヘッド、及び、 前記固定具本体の外側端部から間隔を隔てられているレ
    ンチ係合部分、 を有する前記ステムと、 前記ステムヘッドと当接されて該ステムの回りに配置さ
    れた変形可能なスリーブであって、前記固定具本体を通
    しての外方への前記ステムの移動によって、内側パネル
    の内側表面に沿って接触する完全な取付け状態へと変形
    されるようになされた前記変形可能なスリーブと、 前記本体ヘッドの外側表面に当接されて前記ステム上に
    螺合により取り付けられる内ねじ付ドライブナットで、
    該ドライブナットと前記レンチ係合部分がレンチ装置に
    よって係合され、ステムは前記ドライブナットに対して
    一方向へ回転されるうようになされ、ドライブナットは
    前記ステムが回転される間に前記固定具本体が回転しな
    いように抑止するようになされている前記ドライブナッ
    トと、 前記ステムの回転動作の間に、ドライブナット及び固定
    具本体ヘッドの間に締め付け方向に於る積極的な機械的
    な係合状態を形成するための変形可能な手段であり、 前記本体ヘッドの外側表面に設けられた不規則面、及
    び、 前記ドライブナットの下側に設けられた変形可能な面で
    あり、前記不規則面に対して変形されてドライブナット
    と本体ヘッドとの間に積極的な機械的な係合状態を形成
    するようになされている前記変形可能な面、 を有する前記変形可能な手段と、 を含んで構成されている固定具。
  2. 【請求項2】前記ドライブナットの下側に設けられてい
    る前記変形可能な面が比較的薄い変形可能な環状の***
    部を含み、前記固定具本体ヘッドの外側表面に設けられ
    ている前記不規則面が少なくとも一つの刻み溝を含んで
    構成されている請求の範囲第1項記載の固定具。
  3. 【請求項3】前記固定具本体ヘッドの外側表面に複数の
    刻み溝が形成さている請求の範囲第2項記載の固定具。
  4. 【請求項4】前記変形可能な面が前記ドライブナットに
    一体に形成されている請求の範囲第1項記載の固定具。
  5. 【請求項5】前記変形可能な面が前記ドライブナットに
    取り付けられている請求の範囲第1項記載の固定具。
  6. 【請求項6】二枚のパネルを外側及び内側に重ねた状態
    で結合するために、これらのパネルを貫通する整合され
    た開口内に取り付けられ、レンチ装置によって固定され
    るようになされた固定具であって、 パネルに形成されている開口内に受け入れられる全体的
    に管状の固定具本体であり、 内側パネルよりも内方へ突出された内側端部、及び、 外側パネルの外側表面と係合される拡径された本体ヘッ
    ドであり、外側表面に不規則面が設けられている本体ヘ
    ッド、 を有する前記固定具本体と、 前記固定具本体に挿通される外ねじ付の円筒形ステムで
    あり、 前記固定具本体の内側端部から間隔を隔てられている拡
    径されたステムヘッド、及び、 前記固定具本体の外側端部から間隔を隔てられているレ
    ンチ係合部分、 を有する前記ステムと、 前記ステム上に螺合されて取り付けられる内ねじ付のド
    ライブナットであり、前記本体ヘッドの前記不規則面に
    当接する該ドライブナットの下側は変形可能な面を有
    し、ドライブナット及びレンチ係合部分がレンチ装置に
    係合され、該ドライブナットに対してステムが一方向へ
    回転されて固定具の取り付けが行われるようになされて
    いて、ドライブナットの前記変形可能な面は前記ステム
    の回転によって前記本体ヘッドの前記不規則面に対して
    変形するようになされ、これにより前記ドライブナット
    及び前記本体ヘッドとの間に積極的な機械的な係合状態
    を形成するようになされている前記ドライブナットと、 を有して構成された固定具。
  7. 【請求項7】拡径された本体ヘッドを有する全体的に管
    状の固定具本体と、固定具本体の回転に抗するように固
    定具本体ヘッドに当接された内ねじ付ドライブナット
    と、本体ヘッドとは反対側の固定具本体の端部に設けら
    れた変形可能なスリーブと、ドライブナットを螺合貫通
    されるとともに、スリーブ及び固定具本体に形成されて
    いる整合された孔を通して延在されたステムであって、
    ドライブナットに対して一方向へステムを回転させるこ
    とで生じる固定具本体に対する軸線に沿った外方へのス
    テムの移動によって、横方向へ拡張させる力をスリーブ
    に作用させるようになすための前記ステムと、を有する
    形式の固定具を使用して、重ねられた外側及び内側パネ
    ルを固定する方法であって、 スリーブが内側パネルの内側表面を越えて位置決めされ
    た状態で、本体ヘッドが外側パネルの外側表面に係合す
    るまで互いに固定される両パネルの整合された開口を通
    して固定具を挿入し、 ドライブナットをグリップして回転しないように保持
    し、この状態の間に、 内側パネルの内側表面の上に横たわる完全な取り付け状
    態へスリーブが横方向へ拡張されるまで、ステムの外側
    部分にトルクを付与してステムを一方向へ回転させ、 固定具本体ヘッドの外側表面に対してドライブナットの
    下側を変形させ、固定具を取り付けるためにステムを回
    転運動させる間にドライブナットと固定具本体との間に
    積極的な機械的な係合状態を形成するようになす、 諸段階を含んでなる方法。
  8. 【請求項8】固定具本体ヘッドの外側表面に対してドラ
    イブナットの下側を変形させる段階が、 固定具本体ヘッドの外側表面上に不規則面を形成し、 ドライブナットの下側に変形可能な面を形成し、固定具
    を取り付けるためのステムの回転運動がドライブナット
    に設けた変形可能な面を固定具本体ヘッドに設けた不規
    則面に対して変形させ、ドライブナットと固定具本体と
    の間に積極的な機械的な係合状態を形成させる、 段階で果たされる請求の範囲第7項記載の方法。
  9. 【請求項9】固定具本体ヘッドの外側表面に対してドラ
    イブナットの下側を変形させる段階が、 固定具本体ヘッドの外側表面に少なくとも一つの刻み溝
    を形成し、 ドライブナットの下側に変形可能な環状の***部を形成
    し、固定具を取り付けるためのステムの回転運動が変形
    可能な環状***部を変形させて刻み溝内に押し込め、ド
    ライブナットと固定具本体ヘッドとの間に積極的な機械
    的な係合状態を形成する、 段階で果たされる請求の範囲第7項記載の方法。
  10. 【請求項10】固定具本体ヘッドの外側表面に不規則面
    を形成する段階が、固定具本体ヘッドの外側表面に複数
    の刻み溝を形成する段階で果たされる請求の範囲第8項
    記載の方法。
  11. 【請求項11】両パネルに形成されている整合された開
    口を通して固定具を挿入する前に、固定具本体ヘッドの
    外側表面に対してドライブナットの下側を予変形させる
    初期段階を更に含んでいる請求の範囲第7項記載の方
    法。
  12. 【請求項12】不規則形状の外側表面を備えた拡径され
    た本体ヘッドを有する全体的に管状の固定具本体と、固
    定具本体の不規則形状の面と接触される変形可能な面を
    有する内ねじ付ドライブナットと、本体ヘッドとは反対
    側の固定具本体の端部にある変形可能なスリーブと、ド
    ライブナットを螺合貫通するとともに、スリーブ及び固
    定具本体の整合された孔を通して延在した外ねじ付ドラ
    イブステムであって、ドライブナットに対して一方向へ
    ステムを回転させることで生じる固定具本体に対し軸線
    方向の外方へのステムの移動の際、横方向へ拡張させる
    力をスリーブに作用させる前記ステムと、を有する形式
    の固定具を使用して重ねられた外側及び内側パネルを固
    定する方法であって、 スリーブが、内側パネルの内側表面を越えて位置決めさ
    れた状態で、本体ヘッドが外側パネルの外側表面に係合
    するまで、互いに固定される両パネルの整合された開口
    を通して固定具を挿入し、 ドライブナットの外側表面をグリップして回転しないよ
    うに保持し、この状態の間に、 内側パネルの内側表面の上に横たわる完全な取り付け状
    態へスリーブを横方向へ拡張させるまで、ステムにトル
    クを付与してステムを一方向へ回転させてステムを軸線
    に沿って外方へ移動させ、 固定具本体ヘッドの不規則形状の外側表面に対してドラ
    イブナットの下側の変形可能な面を変形させ、固定具を
    取り付けるためにステムを回転運動させる間にドライブ
    ナットと固定具本体との間に積極的な機械的な係合状態
    を形成し、これにより固定具本体ヘッド及びドライブナ
    ットの間のグリップされたステム部分に引張荷重が蓄積
    するのを最小限にする、 諸段階を含んでなる方法。
  13. 【請求項13】不規則形状の外側表面を備えた拡径され
    たヘッドを有する全体的に管状の固定具本体と、固定具
    本体の不規則形状の面と接触される変形可能な面を有す
    る内ねじ付ドライブナットと、本体ヘッドとは反対側の
    固定具本体の端部にある変形可能なスリーブと、拡径さ
    れたステムヘッドを有する外ねじ付ドライブステムであ
    って、ドライブナットを螺合貫通し、かつ、スリーブ及
    び固定具本体の整合された孔を通して延在し、ドライブ
    ナットに対して一方向へステムを回転する際に生じる、
    固定具本体に対し軸線方向の外方へのステムの移動の
    際、横方向へ拡張させる力をスリーブに作用させる前記
    ステムと、を有する形式の固定具を組立る方法であっ
    て、 スリーブ及び固定具本体をステム上に取付けてスリーブ
    がステムヘッドに当接するようになし、 ドライブナットの変形可能な面が固定具本体ヘッドの不
    規則形状面に接触するまで、ステムにドライブナットを
    ねじ込み、 固定具本体ヘッドの不規則面に対してドライブナットの
    変形可能な面を変形させる、 諸段階を含んでなる方法。
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