JP2558482Y2

JP2558482Y2 - 音響機器の衝撃吸収構造

Info

Publication number: JP2558482Y2
Application number: JP1990121750U
Authority: JP
Inventors: 雅英古川
Original assignee: Clarion Co Ltd
Current assignee: Faurecia Clarion Electronics Co Ltd
Priority date: 1990-11-22
Filing date: 1990-11-22
Publication date: 1997-12-24
Anticipated expiration: 2005-11-22
Also published as: JPH0480739U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］本考案は、車輌の衝突等によって人体による衝撃が加
えられたとき、その衝撃を吸収し、人体を極力保護でき
るような構造を有する音響機器の衝撃吸収構造に関する
ものである。

［従来の技術］自動車の安全運行規定には、自動車の安全対策の観点
から、衝突時の乗員の頭部がインストゥルメントパネル
にぶつかることを想定して、インストゥルメントパネル
の衝撃強度を弱めることが規格されている。

その規格は、インストゥルメントパネル全域にかかる
のではなく、第４図に示す衝撃対象エリアについて、衝
撃強度を満足させることが要求されている。

即ち、運転席及び助手席に人が座っている状態で車が
衝突した場合、頭部がインストゥルメントパネル21に当
たる範囲が衝撃対象エリア22と定められ、このエリア22
は、規定の人型人形23を、そのヒップポイント24を中心
にして倒したときに、頭であるヘッドフォーム25が当た
る点の横水平方向をインストゥルメントパネル規準線26
とし、該規準線より上部と定められている。ところが、
従来の車載用音響機器20は、一般にこのインストゥルメ
ントパネル規準線26よりも下方に設置されていたため、
音響機器20は衝撃対象エリア22外であり、衝撃への対策
は不要と考えられていた。

また、第５図に示すように、従来のインストゥルメン
トパネル21内における音響機器20の開口エリア27は、１
機器分20aと狭く、人型人形23の頭部であるヘッドフォ
ーム25が入りきらず、仮に衝撃があったっとしても音響
機器周囲のインストゥルメントパネル21のクラスター28
が受け止めていたため、音響機器20側の衝撃への対応は
不要であった。

ところで、最近の音響機器の高級化、大型化に伴い、
第８図に示すように、機器ケース31の前面にフロントシ
ャーシ32を設けると共に、このフロントシャーシの背後
に、機器本体の配設される内部シャーシ33を固定した機
器が提案されている。この機器において、内部シャーシ
33には、その前縁部に沿って垂直方向に前部固定部34が
設けられ、内部シャーシ33の両側縁部のそれぞれの２箇
所に垂直方向に側部固定部35が設けられている。前部固
定部34は、かしめ部36が４箇所に形成され、フロントシ
ャーシ32の対応する位置に固定されている。また、側部
固定部35にはそれぞれにかしめ部36が形成され、機器ケ
ース31の対応する位置に固定されている。これらの部材
は機器本体の保護のため剛体によって形成され、また、
かしめによって固定された部材の重なり部分、特にフロ
ントシャーシ32と内部シャーシ33との重なり部分は、強
度の高い剛体となっている。

［考案が解決しようとする課題］ところが、近年インストゥルメントパネルの造形の変
化の為、第６図に示すように音響機器20も衝撃対象エリ
ア22の内部に設置されるようになってきている。

また、音響機器20の高級化、及びラジオやカセット、
CD等の多機能化に伴い、前記第８図のような大型の音響
機器においては、インストゥルメントパネル21に形成さ
れる開口エリア27も、第７図に示すように、従来の機器
の２機器分20bもしくは１機器20aにポケット部29を合せ
持つ形へと移行していく傾向にある。このような、従来
より広い開口エリア27では、頭部であるヘッドフォーム
25が入り込んでしまい、衝撃があった場合、頭は音響機
器20に直接当たることになってしまう。

しかし、第８図のような従来の音響機器では、フロン
トシャーシ32に外力が加わった場合、フロントシャーシ
32及びフロントシャーシ後部に略垂直に固定される内部
シャーシ33が強度のある剛体でできているため、強い反
発力を生み、この外力が人体頭部による衝撃であった場
合は、人体の安全性に大きな問題があった。

本考案は、上記のような従来技術の課題、及び各安全
規準を満足するために提案されたもので、その目的は、
衝撃によって生じるフロントシャーシとケース体内部に
固定された内部シャーシとの間の反発力を低減し、自動
車の衝突時の乗員の安全を高めた、音響機器の衝撃吸収
構造を提供することである。

［課題を解決するための手段］本考案の音響機器の衝撃吸収構造は、機器ケースの前
面に設けられたフロント部材と、前記機器ケース内部に
配設され、前記フロント部材に略垂直に固定された内部
シャーシとを備え、前記内部シャーシは、水平に配置さ
れたシャーシ本体と、前記シャーシ本体に対して略Ｌ字
状に設けられて前記フロント部材に固定される固定部材
を備え、前記固定部と前記シャーシ本体との境界部分に
は、前方からの所定以上の衝撃に対して変形するクラン
ク状の緩衝部が設けられ、前記緩衝部の変形に応じて前
記内部シャーシが、回動可能に前記機器ケースに支持さ
れることを特徴とするものである。

［作用］以上のような構成を有する本考案の作用は次の取りで
ある。

即ち、機器ケース前方から所定以上の衝撃が加えられ
た場合、内部シャーシは固定部でフロント部材に固定さ
れたまま、衝撃エネルギーはクランク状の緩衝部へと伝
達され、この緩衝部へと伝達された衝撃エネルギーは、
クランク状の緩衝部が変形し且つこの緩衝部の変形に応
じて内部シャーシが機器ケースに支持されつつ回動され
ることによって吸収される。

［実施例］以下、本考案の一実施例を第１図及び第２図に基づい
て具体的に説明する。

本実施例においては、機器ケース１の前面に操作パネ
ルのための開口部2aの形成されたフロントシャーシ２が
設けられている。また、機器ケース１内部には、フロン
トシャーシ２に略垂直に機器ケース１の底面と平行に固
定された内部シャーシ３が設けられ、この内部シャーシ
３上には機器本体が配設されている。内部シャーシ３前
部には、フロントシャーシ２との固定部として、フロン
トシャーシ２との固定面が垂直となったクランク形の緩
衝部４が設けられている。また、内部シャーシ３の両側
縁後端の２箇所には、機器ケース１との固定部として、
固定面が垂直となった固定支軸５が設けられている。こ
れらの緩衝部４及び固定支軸５には、それぞれかしめ部
6,7が形成され、フロントシャーシ２と機器ケース１の
対応する位置に固定されている。

この様な構成を有する本実施例の衝撃吸収構造では、
第２図のように、フロントシャーシ２の前方（Ａ方向）
より所定以上の外力が加わったときにフロントシャーシ
２が撓み、内部シャーシ３の緩衝部４に外力が加わる。
この時、クランク形をした緩衝部４が変形し、この変形
によって内部シャーシ３には下方への力が加えられる。
この力によって、内部シャーシ３は機器ケース１との固
定位置である回動支軸５を中心として下方に回動され
る。

その結果、緩衝部４の変形と、更に内部シャーシ３の
回動により外力が吸収されるので、フロントシャーシ２
が外力を受けた際に発生する反発力を効果的に抑えるこ
とができる。

また、本実施例では図示のように緩衝部４を固定する
ためのフロントシャーシ２の位置が、操作パネルのため
の開口部2aの左右の面であるフロントシャーシ２の側縁
近傍となるので、重なりによって剛体となる部分が少な
くなり、それだけ外力を受けた際に発生する反発力を抑
えることができる。

なお、本考案は上述した実施例に限定されるものでは
なく、具体的な各部材の形状、或いは各々の取付け位置
及び方法等は適宜変更可能である。

例えば、第３図に示すように、フロントシャーシ２に
形成される開口部2aの左右の側縁に、内部シャーシとの
固定部４の上部に、水平方向に切欠き８を設けることも
できる。このようにすると、外力が加わった時にフロン
トシャーシ２が切欠き８に対して上下方向に変形し易く
なり、その下部に設けられた内部シャーシ３の緩衝部４
の変形が助長されるので、フロントシャーシ２に外力が
加わった際に発生する反発力をより素早く低減すること
ができる。

また、内部シャーシ３の後部側縁の固定は機器ケース
１に限定されず、内部シャーシが回動する時には支点と
なるように固定されるのであれば、別途に設けられた固
定部材でも問題ない。更にこの固定はかしめに限定され
ず、ねじ止め、枢着、嵌合等でも同様の作用効果を発揮
することができる。

［考案の効果］以上の様に、本考案の衝撃吸収構造によれば、音響機
器に所定以上の外力が加わったとき、機器ケース内部に
固定された内部シャーシが簡単に変形し、更に、上下方
向に回動することによって、人体による衝撃が加えられ
たとき、反発力を低減させることができ、人体に対する
ショックを柔らげることのできる、安全性を高めた音響
機器を提供することができる。特に、本考案によると衝
撃エリア内の剛体部分に設けられた緩衝部によって前方
からの瞬間的衝撃が確実に吸収され、人体側への反発力
が低減されるため人体保護に有利な効果を奏することが
できる。また、衝撃エリア内の剛体部分で吸収した衝撃
エネルギーが内部シャーシの回動により人体と反対側へ
伝達・吸収されるため、構成部材を破壊するような大き
な衝撃のみならず小さな衝撃エネルギーまでも吸収する
ことが可能であり、機器の種類に係わらず確実な人体保
護が図れる。さらに、緩衝部の変形と内部シャーシの回
動により、シャーシ本体部及びシャーシ上の電子部品等
が変形破損する恐れがないため、衝撃エネルギーが吸収
された後に容易に現状復帰することが可能となる。

また、本考案では「ケース内で確実に回動される内部
シャーシ」と人体との直接的接触の可能性が皆無と言っ
て良く、人体に対する安全性においても極めて有利な効
果を奏するものと言える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の音響機器の衝撃吸収構造の一実施例を
示す要部斜視図、第２図は同じく衝撃時の要部側面断面
図、第３図は他の実施例を示す正面図、第４図は車輌の
衝撃対象エリアを表した断面図、第５図は従来の１機器
の音響機器の場合の衝撃時のヘッドフォームとの関係を
示す断面図、第６図は衝撃対象エリアの最近の傾向を示
す断面図、第７図は最近の２機器の音響機器または１機
器の音響機器にポケット部を合せ持つものと、衝撃時の
ヘッドフォームとの関係を示す断面図、第８図は従来の
音響機器の構造を示す透視図である。１……機器ケース、２……フロントシャーシ、３……内
部シャーシ、４……緩衝部、５……回動支軸、6,7……
かしめ部、８……切欠き、20……音響機器、20a……１
機器の音響機器、20b……２機器の音響機器、21……イ
ンストゥルメントパネル、22……衝撃対象エリア、23…
…人型人形、24……ヒップポイント、25……ヘッドフォ
ーム、26……インストゥルメントパネル基準線、27……
開口エリア、28……クラスター、29……ポケット部、31
……機器ケース、32……フロントシャーシ、33……内部
シャーシ、34……前部固定部、35……側部固定部、36,3
7……かしめ部。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】機器ケースの前面に設けられたフロント部
材と、前記機器ケース内部に配設され、前記フロント部材に略
垂直に固定された内部シャーシとを備え、前記内部シャーシは、水平に配置されたシャーシ本体
と、前記シャーシ本体に対して略Ｌ字状に設けられて前
記フロント部材に固定される固定部を備え、前記固定部と前記シャーシ本体との境界部分には、前方
からの所定以上の衝撃に対して変形するクランク状の緩
衝部が設けられ、前記緩衝部の変形に応じて前記内部シャーシが、回動可
能に前記機器ケースに支持されることを特徴とする音響
機器の衝撃吸収構造。