JP2557362Y2 - センタアームレストのロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば自動車の後部座
席のシートバック中央に設けられる格納式のセンタアー
ムレストを、格納位置にロックしうるようにしたセンタ
アームレストのロック装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、自動車の後部座席のシートバック
中央に、前倒れ状態で使用する格納式のセンタアームレ
ストを設けて、乗員の疲労度の緩和と居住性等をより向
上させるようにしたものがある。この種の従来のセンタ
アームレストは、不使用時においては単にシートバック
中央に形成した収納凹部とセンタアームレストとの摩擦
力のみにより、格納位置に係止保持しうるようになって
いるのが一般的である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上述したように、格納
時のロック手段がなく、単にシートバックとセンタアー
ムレストとの摩擦力のみで係止していると、急停車時等
において容易に前方へ回動して前倒れ状態となることが
あり、見栄えや体裁上好ましくない。特に、長期間の使
用によりセンタアームレストに経時変化が生じると、互
いの摩擦力が低下して不使用時に簡単に前方へ飛び出す
ことも予想される。

【０００４】本考案は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、センタアームレストを格
納位置に確実にロックし、ロックを解除しない限り簡単
に使用位置に回動しないようにしたセンタアームレスト
のロック装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、ほぼ水平を
なす使用位置と、シートバックの中央部に形成した凹部
内に格納される格納位置とに変位可能なセンタアームレ
ストを、不使用時に前記格納位置に保持するロック装置
において、前記センタアームレストが回動自在に取り付
けられ、シートバック側からセンタアームレストの両側
に延出する両側板と、該両側板に形成され前記回動の軸
を中心とする円弧状の溝をなす案内溝と、該案内溝内に
摺動自在に係合し前記センタアームレストの下端部に設
けられたガイドピンと、前記センタアームレスト内に上
下に移動可能として設けられたロック部材と、該ロック
部材を、その下端部がセンタアームレストの下端面より
所要の長さ突出しうるように常時下向きに付勢する付勢
手段と、下端部が前記ロック部材に連結され、かつ上端
部をセンタアームレストの上端部より突出させたストラ
ップと、シートバック側に設けられた前記ロック部材の
下端部が係脱しうる係止部材とを備えることにより達成
することができる。

【０００６】

【作用】使用位置にあるセンタアームレストを格納位置
まで回動すると、常時下向きに付勢されているロック部
材の下端部が、係止部材と係合することにより、自動的
にロック保持される。また、センタアームレストより突
出するストラップを引くと、これに連結されたロック部
材が付勢手段に抗して上方に移動することにより、係止
部材との係合が外れてロックが解除され、引き続きスト
ラップを引けば、センタアームレストは前方に倒れ、使
用位置まで回動させることができる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図３は、自動車の後部のベンチタイプの座席を
示し、ほぼ水平をなすシート１と若干後傾するシートバ
ック２とからなっている。シートバック２の中央部に
は、以下に詳述するセンタアームレスト３が、ほぼ水平
をなす使用位置（図示２点鎖線示）と、シートバック２
に形成された上下に長い凹部４内に格納される格納位置
（図示実線示）との間を回動することにより、変位可能
となるように設けられている。

【０００８】図１及び図２において、５は、センタアー
ムレスト３を構成しているパッド６内に収容された、樹
脂又は金属製の補強用のインサートで、ほぼ縦長矩形状
をなす後板５ａと、その全周に連設された前方を向く枠
板５ｂとからなっている。インサート５の上端部には、
後記するストラップ２０を挿通するための開口部７が形
成されている。

【０００９】８は、上記後板５ａの前面に固着された、
正面視下向Ｕ字形をなす第１の補強枠である。枠板５ｂ
の下端部の前方寄りには、左右方向（車幅方向）を向く
上下１対の枢軸９，９が、枠板５ｂの両側を貫通して回
動不能に固着されている。１０は、後端部がシートバッ
クフレーム１１に固着された平面視前向きコ字形をなす
支持ブラケットで、その両側板１０ａ，１０ａは、シー
トバック側からセンタアームレスト側に延出して設けら
れ、センタアームレスト３の下部の後半部を囲むように
して、両側面の側方に位置している。

【００１０】上記上側の枢軸９の両側端は、支持ブラケ
ット１０における両側板１０ａに、ブッシュ１２を介し
て回動自在に枢支されている。また、下側の枢軸９の両
側端は、支持ブラケット１０の両側板１０ａに形成され
た、上側の枢軸９を中心とする上向き円弧状をなす案内
溝１３に摺動自在として係合されている。これにより、
センタアームレスト３は、ほぼ垂直をなす格納位置から
ほぼ水平をなす使用位置までの間を、回動軸となる上側
の枢軸９を中心として回動することができるようにな
り、この時、下側の枢軸９は、案内溝１３に沿うガイド
ピンとして機能する。

【００１１】インサート５の下端部中央には、側面視前
向きコ字形をなすガイドブラケット１４が、その下片１
４ａをインサート５の枠板５ｂの下面に、同じく基片１
４ｂをインサート５の後板５ａの後面にそれぞれ固着す
るとともに、上片１４ｃを、後板５ａを貫通させて枢軸
９の近傍まで延出するように固設されている。また、上
片１４ｃの基片１４ｂ寄りの両側端は、後板５ａの下部
前面に固着した下向きＵ字形をなす第２の補強枠１５に
固着されている。１６は、ガイドブラケット１４の上片
１４ｃと下片１４ａ、及びインサート５の下部枠板５ｂ
を、上下方向に摺動自在として貫通するロックピンで、
その下端部には、枠板５ｂの上面に当接させることによ
り、ロックピン１６の下端部の下片１４ａよりの突出量
を規制するためのバネ受けを兼ねたストッパ１７が固着
されている。

【００１２】なお、ロックピン１６の下片１４ａよりの
突出寸法は、センタアームレスト３の下端面より所要寸
法突出するように設定してある。１８は、ガイドブラケ
ット１４における上片１４ｃと下片１４ａ間のロックピ
ン１６に嵌挿した圧縮コイルばねで、その下端を上記ス
トッパ１７に、かつ上端を上片１４ｃの下面にそれぞれ
圧接させることにより、ロックピン１６を常時下向きに
付勢している。

【００１３】上片１４ｃより突出しているロックピン１
６の上端部には、引上げプレート１９が固着され、その
下端は、ガイドブラケット１４の上片１４ｃと当接して
ストッパを兼ねるようになっている。引上げプレート１
９には、帯状のストラップ２０の下端が連結され、かつ
その上端は、インサート５の上部の開口部７を挿通し
て、センタアームレスト３の上端より前方に突出させて
ある。

【００１４】２１は、後端がシートバックフレーム１１
の下端に固着された係止プレートで、その前端上部に連
設された水平片２１ａの係合孔２２に、ロックピン１５
の下端部が係脱しうるようになっている。上記実施例に
おいて、格納位置にあるセンタアームレスト３を使用位
置に引出す際は、まずアームレスト３の上端より、突出
しているストラップ２０を把持して前方へ引く。する
と、引上げプレート１９と一体をなすロックピン１６
が、圧縮コイルばね１８に抗して引上げられ、その下端
部が係止プレート２１の係合孔２２より離脱することに
より、ロックが解除される。

【００１５】引き続きストラップ２０を前方へ引くこと
により、センタアームレスト３は前方へ回動して使用状
態となる。一方、ストラップ２０を解放した状態で、使
用位置にあるセンタアームレスト３を凹部４内に挿入す
ると、下向きに付勢されているロックピン１６が、係止
プレート２１の係合孔２２に突入することにより、格納
位置に自動的にロック保持される。なお、このような格
納位置では、ロックピン１６と係止プレート２１とが係
合し、ガイドピンとして機能する下側の枢軸９が両側端
で各々案内溝１３と係合し、そして、回動軸となる上側
の枢軸９が両側端で各々支持ブラケット１０に枢支され
ているので、格納状態におけるアームレスト３の保持力
は高い。以上のように、上記実施例においては、単にス
トラップ２０を引くだけで簡単にロックが外れて使用位
置に引出すことかでき、また不使用時は凹部４内に挿入
するだけで自動的にロックされるので、操作が極めて容
易である。しかも、不使用時には格納位置に確実にロッ
クして高い保持力を維持できるので、車の急停車等にお
いて妄りに前倒れ状態となることはなく、体裁等を損な
う恐れもない。

【００１６】

【考案の効果】本考案によれば、使用時以外は、センタ
アームレストを格納位置に確実にロック保持して、自然
に前倒れ状態となるのを防止しうるので、見栄えや体裁
等が損なわれる恐れはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を備えるセンタアームレスト
の中央縦断側面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線に沿う要部の矢視図であ
る。

【図３】本考案を適用した後部座席全体の斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ シート ２ シートバック ３ センタアームレスト ４ 凹部 ５ インサート ５ａ 後板 ５ｂ 枠板 ６ パッド ７ 開口部 ８ 第１の補強枠 ９ 枢軸 １０ 支持ブラケット １０ａ 側板 １１ シートバックフレーム １２ ブッシュ １３ 案内溝 １４ ガイドブラケット １４ａ 下片 １４ｂ 基片 １４ｃ 上片 １５ 第２の補強枠 １６ ロックピン（ロック部材） １７ ストッパ １８ 圧縮コイルばね（付勢手段） １９ 引上げプレート ２０ ストラップ ２１ 係止プレート（係止部材） ２１ａ 水平片 ２２ 係合孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 黒岩 重夫 愛知県小牧市大字本庄1251の３ 丸菱工 業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭61−117741（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−182363（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−131329（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ほぼ水平をなす使用位置と、シートバック
   の中央部に形成した凹部内に格納される格納位置とに変
   位可能なセンタアームレストを、不使用時に前記格納位
   置に保持するロック装置において、前記センタアームレストが回動自在に取り付けられ、シ
   ートバック側からセンタアームレストの両側に延出する
   両側板と、 該両側板に形成され前記回動の軸を中心とする円弧状の
   溝をなす案内溝と、 該案内溝内に摺動自在に係合し前記センタアームレスト
   の下端部に設けられたガイドピンと、 前記センタアームレスト内に上下に移動可能として設け
   られたロック部材と、 該ロック部材を、その下端部がセンタアームレストの下
   端面より所要の長さ突出しうるように常時下向きに付勢
   する付勢手段と、 下端部が前記ロック部材に連結され、かつ上端部をセン
   タアームレストの上端部より突出させたストラップと、 シートバック側に設けられた前記ロック部材の下端部が
   係脱しうる係止部材とを備えることを特徴とするセンタ
   アームレストのロック装置。