JP2548507B2 - 線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびその用途 - Google Patents

線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびその用途

Info

Publication number
JP2548507B2
JP2548507B2 JP5262304A JP26230493A JP2548507B2 JP 2548507 B2 JP2548507 B2 JP 2548507B2 JP 5262304 A JP5262304 A JP 5262304A JP 26230493 A JP26230493 A JP 26230493A JP 2548507 B2 JP2548507 B2 JP 2548507B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antisense oligodeoxynucleotide
antisense
fibrogenesis
mrna
tgf
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5262304A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0799977A (ja
Inventor
ホンテック・ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IRUUYAN PHARM CO Ltd
PPONTETSUKU JON
Original Assignee
IRUUYAN PHARM CO Ltd
PPONTETSUKU JON
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IRUUYAN PHARM CO Ltd, PPONTETSUKU JON filed Critical IRUUYAN PHARM CO Ltd
Publication of JPH0799977A publication Critical patent/JPH0799977A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2548507B2 publication Critical patent/JP2548507B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/113Non-coding nucleic acids modulating the expression of genes, e.g. antisense oligonucleotides; Antisense DNA or RNA; Triplex- forming oligonucleotides; Catalytic nucleic acids, e.g. ribozymes; Nucleic acids used in co-suppression or gene silencing
    • C12N15/1136Non-coding nucleic acids modulating the expression of genes, e.g. antisense oligonucleotides; Antisense DNA or RNA; Triplex- forming oligonucleotides; Catalytic nucleic acids, e.g. ribozymes; Nucleic acids used in co-suppression or gene silencing against growth factors, growth regulators, cytokines, lymphokines or hormones
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H21/00Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids
    • C07H21/04Compounds containing two or more mononucleotide units having separate phosphate or polyphosphate groups linked by saccharide radicals of nucleoside groups, e.g. nucleic acids with deoxyribosyl as saccharide radical
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2310/00Structure or type of the nucleic acid
    • C12N2310/30Chemical structure
    • C12N2310/31Chemical structure of the backbone
    • C12N2310/315Phosphorothioates

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線維形成誘導性(fibro
genic)サイトカインに対する新規なアンチセンスオリゴ
デオキシヌクレオチドに関する。特に、本発明は、創傷
部位から多量に分泌される線維形成誘導性サイトカイン
の遺伝子発現を抑制して創傷部位の瘢痕形成を防止する
ことができる新規なアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】免疫反応、炎症反応および組織再生反応
(tissue repair response)等は、宿主を、危ない周囲環
境から保護する機能を行う。しかし、このような反応が
穏やかに起こらないとか過剰に起こる場合、この様な反
応等は宿主を保護するというよりは却って宿主に被害を
与えることになる。このような反応等が関与する生体過
程中の一例として、創傷の治癒過程においては外傷、手
術および火傷等に対する組織再生反応の一つとして瘢痕
が形成されるが、形成された瘢痕は収縮して非常に組織
の成長を阻害したり、機能の障害を招来したり、宿主の
外観を損なわせることがある。
【0003】創傷の治癒過程は急性および慢性炎症、細
胞の移動、血管新生および細胞外マトリックス(ECM)
の蓄積等が順次に生ずる非常に精巧な組織反応である。
創傷が生ずると創傷組織の周囲の血管が損傷し、創傷部
位に局所的に出血が起こり、凝固が起こる。この血塊内
に存在するフィブリノーゲンがフィブリンゲルを形成す
れば、フィブロネクチンのような血漿蛋白質がゲルの中
に入ることになる。この外にも炎症細胞、線維芽細胞お
よび血管新生細胞等がこのようなゲル内に入ってゲルを
溶かしたり、一方では、フィブロネクチンがコラーゲ
ン、プロテオグリカン等のようなECMの成分等を創傷
の周囲組織に蓄積させる。このような過程によって、始
めに組織中に存在していたフィブリン基質は、肉芽組織
に代替され、時間の経過と共にその場所に瘢痕が形成さ
れ、ECMの蓄積とともに角化細胞が移動して上皮膜を
形成し、水分の消失と細菌の侵入を防止することにな
る。このような一連の創傷治癒に関連した過程等は、損
傷部位の組織の免疫細胞、炎症細胞および間葉細胞とト
ランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、血小板由
来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)お
よび線維芽細胞活性化因子(FAF)等、各種のサイトカ
インとコラーゲン、フィブロネクチン、テネイシンおよ
びプロテオグリカン等のようなECM等との相互作用に
よって行われる。
【0004】このように、創傷部位の線維芽細胞の増殖
を促進させ、ECMの蓄積を増加させる種々のサイトカ
インの中では特にTGF−βおよびPDGFが最も大き
な役割を遂行していることが明らかになった。TGF−
βは線維芽細胞の増殖を有意に増加させるのみならず、
コラーゲンやフィブロネクチン等のようなECMの遺伝
子発現を増加させ、PDGFはコラーゲンの合成には影
響が少ないが、線維芽細胞の増殖を非常に促進させるも
のと知られている。
【0005】さらに、最近の報告によれば、胎児創傷(f
etal wounds)の場合には、創傷治癒過程中で瘢痕が形成
されず、炎症反応も少ないのみならず、サイトカインの
分泌も成体創傷(adult wounds)に比べて少ないものと明
らかになった(参照:ホワイトビィ・ディ・ジェイ(Whi
tby,D.J.)およびエム・ダブリュ・ジェイ・ファーグ
ソン(M.W.J.Ferguson)、991,胎児創傷治癒に
おける成長因子の免疫組織化学的局在化(Immunohisto-
chemical localization of growth factors infetal wo
und healing)、ディベロープメンタル・バイオロジー
(Dev.Biol.)147:207−215]。しかしなが
ら、上記文献には、さらに、胎児創傷の場合でも、TG
F−βを創傷周囲の組織に注射すれば瘢痕が形成され、
糸球体腎炎が誘発されることが報告されている。
【0006】このような瘢痕形成とサイトカインの存在
との間の関係が明らかになるにつれて、サイトカインを
調節することによって瘢痕組織の形成を抑制することが
できることを提案するに至った。例えば、シャー・エム
(Shah M.)ら(下記文献)の創傷の治癒過程の中でTG
F−βが生理的に過剰に分泌されるという事実から、ラ
ットに人為的に創傷を形成させた後、創傷の周囲にTG
F−βに対する中和抗体(NA)を注射した結果、中和抗
体で処理した創傷部位において、治癒された後にも組織
の引張力(tensile strength)に変化がないばかりでな
く、中和抗体−非処理対照群の創傷に比べて、より正常
に近い皮膚組織所見を表すことを観察することができた
[シャー・エム(Shah M.)、フォアマン・ディエム(Fo
reman DM.)、ファーグソン・エムダブリュジェイ(F
erguson MWJ.)、1992、トランスフォーミング
成長因子βに対する中和抗体による成体創傷の瘢痕形成
の制御(Control of scarring in adult wounds by neu
tralizing antibody to transforming growth factor
β)、ランセット(Lancet) 339:213−214を
参照]。また、本実験においては、中和抗体で処理され
た創傷は、瘢痕を形成せずに治癒される反面、中和抗体
−非処理対照群の創傷部位では、中和抗体処理された創
傷に比べて、より多くの炎症細胞が観察されるばかりで
なく、コラーゲンやフィブロネクチンのようなECMが
より多量に蓄積されるという事実も確認された。しか
し、このような中和抗体は非常に高価であり、不安定で
あり保管上の問題があるので、実用化させるには難しか
った。
【0007】さらに、ボーダー・ダブリュエイ(Border
WA)らは、プロテオグリカンECMの一種にしてTG
F−βの受容体に結合することができ、したがって、T
GF−βに対する抑制剤として作用できる、デコリン(d
ecorin)を実験的糸球体腎炎動物モデルに投与した結
果、デコリンがフィブリノイド変性を抑制することによ
って糸球体腎炎を予防することができるという事実を確
認した[ボーダー・ダブリュエイ(Border WA)、ラウ
スラーティ・イー(Rouslahti E.)、1992、疾患に
おけるトランスフォーミング成長因子β:組織再生のダ
ークサイド(Transforming growth factor−β in dise
ase:The dark side of tissue repair)、ジャーナル
・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Cli
n.Invest.)、90:1−7を参照]。しかし、デコリン
のような蛋白質性薬剤は巨大分子構造を持っているので
細胞内浸透が難しく、したがって、経口投与のみによっ
て使用できる。したがって、有効量の薬剤が目的とする
創傷部位に達するのは困難である。
【0008】前記方法以外にも、最も伝統的であり、一
般的な方法としてステロイドのような合成医薬品を使用
する方法があるにはあるが、このような薬剤等は瘢痕形
成に対する直接的な抑制効果がないだけでなく、典型的
なステロイド薬剤の副作用等を示す短所があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような先行技術の
研究によって、本発明者は、創傷周囲の組織において既
に生成された線維形成誘導性サイトカイン等の作用を抑
制したり、遮断したりして瘢痕形成を防止するのではな
く、より根源的に線維形成誘導性サイトカイン自体の生
成を抑制することによって、創傷部位において瘢痕の形
成を防止することができる手段を集中的に研究し、その
結果、線維形成誘導性サイトカインのmRNAに対する
特定のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを用い
ることによって、このような目的が達成できることを確
認し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、創傷部位で多
量に分泌され、組織の線維素様変性を刺激する線維形成
誘導性サイトカインのmRNAに対する新規なアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドを提供するものであ
る。さらに、本発明は、線維形成誘導性サイトカインの
遺伝子発現を抑制し、その結果、創傷部位での瘢痕形成
を抑制するのに充分な量の線維形成誘導性サイトカイン
に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドから
なる瘢痕形成抑制剤組成物を提供するものである。さら
にまた、本発明は、多量の線維形成誘導性サイトカイン
に対する新規アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
の製造方法を提供するものでもある。
【0011】特に、本発明は、線維形成誘導性サイトカ
インのmRNAに対する相補的配列に結合して線維形成
誘導性サイトカインの遺伝子の発現を抑制することによ
って、動物の創傷部位で瘢痕の形成を実質的にまたは完
全に防止することができる新規なアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドに関するものである。
【0012】本発明における線維形成誘導性サイトカイ
ンのmRNAに対するアンチセンスオリゴデオキシヌク
レオチドは、創傷周囲組織に適用すれば、mRNAの相
補的配列に結合してハイブリドを形成することによっ
て、線維形成誘導性サイトカインの遺伝子発現を抑制す
る。このようにすることによって、創傷周囲での線維形
成誘導性サイトカインの生成が抑制され、従って、瘢痕
形成を防止することができる。
【0013】本発明におけるアンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチドは、線維形成誘導性サイトカイン、例え
ば、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、
血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子
(FGF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インター
ロイキン−1(IL−1)およびインターロイキン−(I
L−6)等の活性物質のmRNAに対するものであり、
特に、これらの線維形成誘導性サイトカインの中で最も
強力に線維芽細胞増殖と結合組織の生成を誘導するTG
F−βおよびPDGFのmRNAに対するものである。
【0014】以下に、発明における代表的なアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチドを例示する。
【0015】TGF−βのmRNAに対する代表的なア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド: 5'−CCGAGAGCGCGAACAGGGC−3'; 5'−GGTGTGGTGGGGAGG−3'; 5'−GGCTGGGGGTCACCC−3'; 5'−AGAGAGATCCGTCTC−3'; 5'−CCCGGAGGGCGGCAT−3'; 5'−GGCAAAAGGTAGGAG−3'; 5'−GAAAGCTGAGGCTCC−3'; 5'−GAGAAGGGCGCAGTG−3'; 5'−GTGGAGGGGAGGCTT−3';または 5'−TGTCTCAGTATCCCA−3'。
【0016】TNF−αのmRNAに対するアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチド: 5'−AGCTTTCAGTGCTCAT−3'; 5'−GGTGTCCTTTCCAGG−3'; 5'−TAGCTGGTCCTCTGC−3'; 5'−CCTGCCTGGCAGCTT−3'; 5'−GGTGGCGCCTGCCACGAT−3'。
【0017】IL−6のmRNAに対するアンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチド: 5'−TGTGGAGAAGGAGTTCAT−3'。
【0018】PDGFのmRNAに対するアンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチド: 5'−CCAGCAGCGATTCAT−3'; 5'−AACGCGTAGATCGAG−3'; 5'−ATCAGGCGCTCAGGC−3'; 5'−GACCAGACGCAGGTA−3'; 5'−ACAGGTGGACGCGGC−3'。
【0019】本発明におけるアンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチドは通常的な化学的ヌクレオチド合成方法
によって製造できるが、製造の便利上、望ましくは、コ
ンピューター化されたDNA自動合成機を用いて合成す
る。このような合成過程中の全塩基は、細胞に対して毒
性のない保護基で保護して、ヌクレアーゼによる分解を
防止する。この際、保護基としてはホスホロチオエート
が最も望ましく使用される。しかし、アンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドを皮膚に適用する場合、塩基配
列を変形させても薬効に大きい差がないので、非保護状
態で塩基を合成して使用することもできる。しかし、非
修飾配列は組織中の天然エンドヌクレアーゼに対して非
常に敏感であるので、エンドヌクレアーゼに対して相対
的に高い耐性であるホスホロチオエート基によって修飾
されたアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、所
望の組織での治療効果期間を延長するために好ましく使
用される。かくして、本発明の線維形成誘導性サイトカ
インに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
は、非修飾形態および修飾(すなわち、保護)誘導体の両
方を含む。このようにして合成されたアンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドは、両末端に適切なリンカーを
結合させた後、このヌクレオチドを適切なベクタープラ
スミドに移入させ、組換えプラスミドを取得した後に、
この組換えプラスミドで適切な宿主細菌を形質転換させ
る。得られた形質転換体を適切な条件下で培養すること
によって、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを
多量に発現させた後、制限酵素によって消化させ、目的
とするアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドのみを
純粋に分離して、大量に収得することができる。
【0020】上記方法において望ましく使用されている
プラスミドは、例えば、pSPT18、pSPT19、
pBluescript、pGEM−3などであり、特に望まし
くは、プラスミドpBluescriptが使用される。このよ
うなプラスミドとアンチセンスオリゴデオキシヌクレオ
チドからなる組換えプラスミドで形質転換させるのに望
ましい宿主微生物は、イー・コリ(E.coli) HB101
である。
【0021】このようにして製造されたアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドは、上記のとおり、創傷周囲
に多量に分泌されることが知られている線維形成誘導性
サイトカインの生成を抑制することができるので、創傷
部位に対する瘢痕形成抑制剤として使用することができ
る。
【0022】したがって、本発明は、さらに、ヒトを含
む温血哺乳動物における、上記のような新規なアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドの瘢痕形成抑制剤とし
ての用途に関するものである。
【0023】瘢痕形成抑制剤として使用する場合、本発
明におけるアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
は、1種の線維形成誘導性サイトカインに対するものを
単独に使用することができるが、所望により、2種以上
の線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドを混合して使用することもで
きる。例えば、TGF−βに対するアンチセンスオリゴ
デオキシヌクレオチドをTNF−αに対するアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチドと混合して使用すれば、
より速い創傷治癒効果を得ることができる。
【0024】本発明のアンチセンスオリゴデオキシヌク
レオチドは、医薬的に許容される慣用の担体とともに医
薬的に許容される製剤の形態に、例えば、注射剤、噴霧
剤、軟膏剤、クリーム剤などの形態に製剤化し、全身投
与したり、創傷部位に局所適用して利用できる。このよ
うな製剤化に使用される医薬的に許容される慣用の担体
には、注射用としては注射用蒸留水、リン酸塩緩衝液、
生理食塩水などが包含され、噴霧剤用としてはエタノー
ル、プロピレングリコール、グリセリンまたは噴射剤(p
ropellant)などが包含され、軟膏剤およびクリーム剤な
どの局所投与用製剤用としてはポリエチレングリコー
ル、流動パラフィン、カルナウバワックスなどが含まれ
る。
【0025】本発明における線維形成誘導性サイトカイ
ンに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの
使用量は、創傷部位の範囲、程度など、および適用対象
の状態によって変わるが、一般に、1日に当たり3乃至
5回、毎回約10μMずつ、最も好ましくは、1日当た
り50μMを使用する。好ましくは、本発明におけるア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、クリーム
剤、軟膏剤、ローション剤などの形態で皮膚に局所投与
されるか、または皮下注射によって投与される。
【0026】本発明におけるアンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチドは、さらに、組織の線維素様変性による
瘢痕形成に関与する線維形成誘導性サイトカインの遺伝
子発現過程においてのみ作用するものであり、特別な副
作用や毒性は惹起させず、しかも治療の目的で上記で言
及したとおり、10μM程度の極微量を使用するので、
本発明におけるアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドは、薬物アレルギー、光過敏反応などを含む副作用の
発生は実質的にない。
【0027】以下の実施例によって、本発明を、さらに
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例で限定
されるものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1 TGF−βのmRNAに対するアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドである5'−CCGAGAGCGCG
AACAGGGC−3'の合成 カートリッジ洗浄のためのアセトニトリル、塩基の保護
基を除去するためのジクロロ酢酸および水分除去のため
の単分散プラスチックビーズを各々含む瓶が連結されて
おり、出発物質として塩基C(シトシン)を使用し、所定
量の塩基A(アデニン)、G(グアニン)およびC(シトシ
ン)を所定の順序で導入せしめるように調節されたDN
A自動合成機であるジーン・アセンブラー・スペシャル
(GENE ASSEMBLER SPECIAL:Phar
macia,LKB)を室温にて2.5時間作動させ、目的とす
るTGF−βに対するアンチセンスオリゴデオキシヌク
レオチドである5'−CCGAGAGCGCGAACA
GGGC−3'を合成した。
【0029】上記より合成されたアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドの両末端に、ApaIに対する切断部
位を提供するリンカー配列GGGCCを結合させた後、
得られたヌクレオチド配列をプラスミドpBluescript
のApaI切断部位に移入して、組換え発現プラスミドを
得た。得られた組換えプラスミドを宿主菌株であるイー
・コリ HB101中に導入して形質転換体を得た。該
形質転換体イー・コリHB101をLB培地(ルリア−
バータニ(Luria−Bertani)ブロス1リットル;バクロ
−トリプトン(Bacto−tryptone)10g、バクト−酵母
抽出物(Bacto−yeast extract)5g、NaCl 5g、1
N NaOH 1ml)で37℃で約16時間培養して、目的
とするアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを発現
させた。単離されたプラスミドを制限酵素ApaIで消化
させて、目的とする配列の純粋なアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドを得た。分光光度計を使用して、2
60nmにおいて、生成物の吸光度を測定した。目的生成
物の収率は92%であった。生成されたアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドの塩基配列分析および電気泳
動(「図1」)によって、目的とする標記アンチセンス配列
が得られたことを確認した。
【0030】実施例2 TNF−αのmRNAに対するアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドである5'−AGCTTTCAGTG
CTCAT−3'の合成 カートリッジ洗浄のためのアセトニトリル、塩基の保護
基を除去するためのジクロロ酢酸および水分除去のため
の単分散プラスチックビーズを各々含む瓶が連結されて
おり、所定量の塩基A(アデニン)、G(グアニン)、C
(シトシン)およびT(チミン)を、所定の順序で導入せし
めるように調節されたDNA自動合成機であるジーン・
アセンブラー・スペシャル(GENE ASSEMBLE
R SPECIAL;Pharmacia,LKB)を室温にて2.
5時間作動させて、目的とするTNF−αに対するアン
チセンスオリゴデオキシヌクレオチドである5'−AG
CTTTCAGTGCTCAT−3'を合成した。
【0031】上記で合成されたアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドの両末端にHindIIIに対する切断部位
を提供するリンカー配列AAを結合させた後、得られた
ヌクレオチド配列をプラスミドpBluescriptのHind I
II切断部位に移入させて、組換え発現プラスミドを得
た。次いで、得られた組換えプラスミドを宿主菌株であ
るイー・コリ HB101に導入して形質転換体を得
た。形質転換体イー・コリ HB101をLB培地で3
7℃で約16時間培養して、目的とするアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドを発現させた。単離されたプ
ラスミドを制限酵素Hind IIIで消化して、目的とする
配列の純粋なアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
を得た。分光光度計を使用して、260nmにおいて、生
成物の吸光度を測定した。目的生成物の収率は90%で
あった。生成されたアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドの塩基配列分析および電気泳動によって、目的と
する標記アンチセンス配列が得られたことを確認した。
【0032】実施例3 PDGFのmRNAに対するアンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチドである5'−ATCAGGCGCTCA
GGC−3'の合成 カートリッジ洗浄のためのアセトニトリル、塩基の保護
基を除去するためのジクロロ酢酸および水分除去のため
の単分散プラスチックビーズを各々含む瓶が連結されて
おり、所定量の塩基A(アデニン)、G(グアニン)、C
(シトシン)およびT(チミン)を所定の順序で導入せしめ
るように調節されたDNA自動合成機であるジーン・ア
センブラー・スペシャル(GENE ASSEMBLER
SPECIAL;Pharmacia,LKB)を室温にて2.5
時間作動させて、目的とするPDGFに対するアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドである5'−ATCA
GGCGCTCAGGC−3'を合成した。
【0033】上記より合成されたアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドの両末端に、ClaIに対する切断部
位を提供するリンカー配列ATCGを結合させた後、得
られたヌクレオチド配列をプラスミドpBluescriptの
ClaI切断部位に移入させて組換え発現プラスミドを得
た。
【0034】次いで、得られた組換えプラスミドを宿主
菌株であるイー・コリ HB101中に導入して形質転
換体を得た。得られた形質転換体イー・コリ HB10
1をLB培地で37℃で約16時間培養して、目的とす
るアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを発現させ
た。単離されたプラスミドを制限酵素ClaIで消化して
目的とする配列の純粋なアンチセンスオリゴデオキシヌ
クレオチドを得た。分光光度計を使用して、260nmに
おいて、生成物の吸光度を測定した。目的生成物の収率
は92%であった。生成されたアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドの塩基配列分析および電気泳動(「図
1」)によって、目的とする標記アンチセンス配列が得ら
れたことを確認した。
【0035】実施例4 TGF−βに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドが遺伝子発現に及ぼす影響 実験的に創傷を誘発させた動物に、線維形成誘導性サイ
トカイン中で代表的なTGF−βに対するアンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチドを投与し、投与しなかった
対照群と比較して、投与されたアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドがサイトカインの発現に及ぼす影響を
評価した。
【0036】1) Balb/Cマウスをエーテルで麻酔し
た後、背中部位の毛髪を、毛髪切削機およびチオグリコ
ール酸を用いて完全に除去し、正中央から四肢までの間
を同一の間隔で4カ所、筋肉の真上部分まで切断し、縫
合せずに自然的に治癒を誘導した。この際、1グループ
のマウスには、実施例1で製造したTGF−βに対する
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(5'−CCG
AGAGCGCGAACAGGGC−3')(皮膚への局
所投与に適している賦形剤に溶解または懸濁させた)を
50μMの濃度で局所投与して処理し、このような処理
を行わない他の1グループのマウスを対照群にして、各
グループにおいて、外傷治癒期間の経過として、線維形
成誘導性サイトカインの発現を測定した。
【0037】創傷形成の直後および創傷形成の1、2、
3、5および10週間後に、各グループのマウスから創
傷部分の組織を分離して細胞を収集した。収集した細胞
をCa2+、Mg2+およびRNaseを含有しないPBSで洗
浄した後、NP−40溶解緩衝液(lysis buffer)[0.5
%NP−40、10mMトリス−Cl(pH8.0)、100
mM NaCl、3mM MgCl2、1000U/ml RNAsi
n(プロメガ(Promega))]中に導入し、12000rpmで
2分間遠心して細胞核を除去した。次いで、上清は分離
して、直接RNAの原料として使用することができる。
【0038】別法としては、1×108個の細胞をGI
T緩衝液[4M グアニジンチオシアネート、50mMト
リス−Cl(pH8.0)、10mM EDTA(エチレンジア
ミン四酢酸)、0.5%ラウリルサルコシンナトリウム、
0.1Mメルカプトエタノール]4mlに溶解した後、5.
7M CsCl緩衝液7mlに負荷させ、80000rpm、2
5℃で約2時間遠心した。このようにして試験管下部と
壁に付着している総RNAを得た後、ポリ(A)+mRN
Aを純粋に分離するために、溶離液としてTE緩衝液を
使用して適正量のオリゴテックス(oligotex)−dTを、
得られたRNAに添加した。該混合物を65℃で5分間
加熱した後、氷で急冷し、次いで、1/10容積の5M
NaCl溶液を加えて37℃で5乃至10分間培養し
た。その後、15000rpmで5乃至10分間遠心し、
上清を除去した後、滅菌蒸留水を加えて混合し、再度、
65℃で5分間加熱し、次いで、15000rpmで5乃
至10分間遠心した。上清をそのままエタノールで沈殿
させた後、ジエチルピロカルボネート(DEPC)−dH
2Oに溶解して所望のmRNAを得ることができた。
【0039】上記方法によって得られたmRNAを65
乃至75℃で10分間変性させる。変性されたmRNA
1〜2μg、オリゴ(dT)12-18(ファルマシア(Pharma
cia))0.5μg、1×Taqポリメラーゼ緩衝液(50mM
トリス−Cl、pH8.3、3mM MgCl2、250μg/m
l BSA)、dNTP 1.25mM、MgCl22.5mM、
RNAsin(BRL)20単位およびネズミ逆転写酵素(B
RL)100単位を、RNAseを含有しない試験管に入
れて、ここに最終容積が20μlになるようにDEPC
−dH2Oを加えた。充分に攪拌した後、37℃で1時
間反応させた[モレキュラー・クローニング(Molecular
Cloning)、第II巻、14、第20〜21頁を参照]。
次いで、95℃で5分間加熱して反応を終結させた後、
NaOHでアルカリ処理して一本鎖cDNAを得、次い
で、これをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための鋳型
として使用する。
【0040】0.5mlのエッペンドルフ(eppendorf)試験
管に1×Taqポリメラーゼ緩衝液(50mMトリス−C
l、pH8.3、3mM MgCl2、250μg/ml BS
A)、dNTP 200μM、プライマー5'−GGGA
AATTGAGGGCTTTCGC−3'および5'−C
TGAAGCAATAGTTGGTGTC−3'各0.2
5μM(10pmol)、上記で生成したcDNA 2μgおよ
びTaqポリメラーゼ0.1Uを導入し、次いで、反応液
の総容積が10μlになるように、滅菌されたdH2Oを
加え、充分に混合した。その後、試験管を短時間遠心
し、該試験管の壁に付着している反応液を試験管の下部
に集めた。この反応液を、気泡が入らないように気をつ
けながら、ガラス製の毛細管に移し、毛細管の両末端を
加熱溶融して密封した。その後、サーマルサイクラー(t
hermal cycler、FTC−2000)を使用して、1つの
サイクルを95℃で5秒、55℃で5秒、72℃で15
秒間に指定して、35〜45サイクルを繰り返すことに
よってPCR増幅を行った。増幅されたDNAを1%シ
ーケム(Seakem)アガロースゲルを使用して電気泳動に
付した後、臭化エチジウム溶液50μg/mlを使用して
染色し、次いで、UV透視器(UV transilluminator)
を使用して確認した。その結果、本発明のTGF−βに
対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを投与
したマウスの組織においては、臭化エチジウム染色の強
度は、非処理対照群の組織における染色強度に比べて非
常に弱かった。このような結果より、TGF−βに対す
るアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、TGF
−βの構造遺伝子の前の部分に結合してTGF−βの発
現を濃度依存的に特異的に抑制することが分かった。し
たがって、このような濃度依存的抑制の結果に基づい
て、創傷部位の細胞数によってTGF−βの発現を完全
に抑制することができるアンチセンスオリゴデオキシヌ
クレオチドの量が決定され、次いで、臨床的に効果的な
創傷治癒を誘導できる理想的な用量として用いられる。
【0041】2) in situハイブリダイゼーション:目
的とするTGF−β遺伝子をプラスミドベクターpBlu
escript(クロンテク(Clontech)から購入)の相応するE
coRI切断部位に挿入して組換えプラスミドを生成し、
次いで、この組換えプラスミドをイー・コリ HB10
1内に移入させて形質転換体を得た。得られた形質転換
イー・コリ HB101を培養して目的とするプラスミ
ドを大量に得、これを塩化セシウム(CsCl)勾配遠心器
(1g/ml CsCl、740μg/ml臭化エチジウム+プ
ラスミドDNA、100,000rpm、10時間)で精製
した。その後、RNA標識化キット(ビー・エム・カン
パニー,リミテッド(B.M.Co.,Ltd.)製)を利用して、
SP6(またはT3)T7RNAポリメラーゼによるin v
itro転写を37℃で1〜2時間行った。転写反応が終了
した後、DNase Iによって鋳型DNAを分解し、エタ
ノール沈殿させて、転写産物であるRNAプローブを回
収した。回収したRNAプローブを10mM DTT、1
0mMトリス−HCl、1mM EDTA(pH7.6)50μ
lに溶解し、ハイブリダイゼーションに使用した。反応
終了後、該反応混合物に同量の中和緩衝液(300mM
CH3COONa、pH6.0、1%CH3COOH、10m
MDTT)を添加し、次いで、エタノール沈殿させて、
目的とするプローブを回収した。
【0042】ハイブリダイゼーション反応液(50%脱
イオン化ホルムアミド、10mMトリス−HCl、pH7.
6、RNaseを含有しないtRNA 200μg/ml、1
×デンハルト(Denhardt)溶液、10%デキストラン硫
酸、600mM NaCl、0.25% SDSからなる)1
00μlに、上記で得たプローブ0.5μgを加えて混合
した後、上記1)から得たマウス創傷組織が付着してい
る前処理した各々のスライドグラス上に、この混合物を
50〜100μlずつ置いて、該スライドグラスをカバ
ーグラスで覆ったまま16〜22時間ハイブリダイゼー
ションに付した。
【0043】ハイブリダイゼーションの終了後、5×S
SC中、50℃で、スライドグラスからカバーグラスを
除去し、ハイブリダイズ生成物をRNaseで処理して不
必要なシグナルを除去した。
【0044】ハイブリダイズ生成物について、DIG
ELISA DNA標識化および検出キット(ビー・エム
・カンパニー,リミテッド(B.M.Co.,Ltd.))を使用し
て発色反応を行った。すなわち、上記で得たハイブリダ
イズ生成物を100mMトリス−HCl、pH7.5、15
0mM NaCl(TS)中で約5分間放置した後、取り出
し、再度、TS中に脂肪および糖を含有しない乾燥牛乳
粉末を濃度1.5%として溶解した遮断液に入れ、室温
で30分間放置した。その後、ここに500〜1000
倍量のTSで希釈したアルカリホスファターゼ結合アン
チジゴキシゲニン抗体0.2単位を添加し、該混合物を
30〜60分間反応させた。反応が終わった後、生成物
をTS中で15分間ずつ2回洗浄し、100mMトリス
−HCl、pH9.5、100mM NaCl、500mM Mg
Cl2(TSM)中で簡単に洗浄した。次いで、TSMで希
釈したニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−
ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)
液で1〜2日間染色した。次いで、TE緩衝液(トリス
−HCl 10mmol/リットル、EDTA 1mmol/リッ
トル、pH8.0)を添加して発色反応を中止させ、スラ
イドグラスを水溶性封入剤(aqueous crystal mount)で
封入した。染色された状態で結果を判読した。
【0045】その結果、アンチセンスオリゴデオキシヌ
クレオチドで処理していない対照群において、サイトカ
インのmRNAは、創傷が発生した後1日目にはわずか
に検出されたが、3日目からは主に大食細胞から検出さ
れた。他方、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
処理群では、サイトカインのmRNAに対するシグナル
は検出されなかった。これによって、アンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドによってサイトカインの発現が
抑制されることを明らかに分かることができる。
【0046】実施例5 本発明のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドにつ
いて、瘢痕形成抑制活性を次のような方法によって測定
した。
【0047】40頭のネズミの背中部位に人工的に直径
約6mmの創傷を加えた後、20頭ずつ2つの群に分け
た。1つの群の鼠には、創傷を加えた後に実施例1によ
って製造されたTGF−βに対するアンチセンスオリゴ
デオキシヌクレオチド(5'−CCGAGAGCGCGA
ACAGGGC−3')を50μMの容量で創傷部位に噴
霧した(アンチセンス処理群)。残り1つの群では、アン
チセンスオリゴデオキシヌクレオチド処理をしなかった
(非処理対照群)。その後、瘢痕形成の重要なパラメター
である創傷部位のコラーゲン含量および引張力を時間の
経過に従って測定して、本発明のアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドの瘢痕形成抑制の効果を判断した。
【0048】その結果を下記「表1」および「表2」に
示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】上記「表1」および「表2」の結果から分
かるように、本発明のTGF−βに対するアンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチドで創傷部位を処理したネズ
ミにおいては、非処理対照群よりコラーゲン含量が有意
に低いが、このような低いコラーゲン含量にもかかわら
ず、引張力はむしろ高かった。また、本発明のアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドの投与によって、創傷
治癒が遅くならず、対照群に比べて、より正常組織に近
い形態に治癒されて、肉眼で区別が不可能であるほどの
完璧な組織再生力を現した。
【0052】このような結果は、TGF−βに対するア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドで創傷部位を処
理すれば、一般に創傷部位で生ずる現象であるTGF−
βのような各種のサイトカインの発現誘発が抑制される
だけでなく、成長因子による線維細胞の***および結合
組織の過量形成が抑制されることによって得られたもの
であると推定される。また、このようなアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドは、できる限り早く、すなわ
ち、創傷が発生した直後に、投与するのが効果の増大に
望ましく、血管新生も少なくなる。
【0053】実施例6 TNF−αに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドを使用したin vitro実験 マウスマクロファージ細胞株RAW264.7のin vitr
o培養液にTNF−αに対するアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドを注入して、抗癌および抗腫瘍効果に
関与することが知られている一酸化窒素(NO)の形成に
対する抑制効果を観察した。この試験は、NOの形成は
一酸化窒素シンセターゼ(NOS)について遺伝子の発現
によって行われ、このNOS遺伝子は、TNF−αの発
現と密接な関連があるという事実[参照文献:ジャーナ
ル・オブ・イムノロジー(Journalof Immunology) 1
46、114−120、1991およびジャーナル・オ
ブ・イムノロジー(Journal of Immunology) 149、
3290−3296、1992]に基づいている。
【0054】マウスマクロファージ細胞株RAW26
4.7を200μlずつ、96−ウェルプレート(Nunc)
に入れ、γIFN 10U/mlおよびLPS(リポ多糖
類)10ng/mlを含有するDMEM培地(ダルベッコの修
飾されたイーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle'
s Medium)+5%ウシ胎児血清+0.5%ペニシリン/
ストレプトマイシン)200μlを入れた。また、TNF
−αに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
を、各々、0.1μM、1μMおよび10μMの濃度で
加え、対照用にはTNF−αに対するアンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドを加えないまま、全試験管を3
7℃で48時間培養した。次いで、ディング(Ding)ら
の方法[参照文献:ジャーナル・オブ・イムノロジー(J
ournal of Immunology) 141、2407−241
2、1988]を利用して、培養液100μlと同量のグ
リース(Griess)試薬との発色反応によって、TNF−
αに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの
存在または不在下において、γIFNおよびLPSによ
って媒介されてニトライトの分泌量(NO2として計算し
てμM/リットルで示す)を測定して、ニトライト生成
に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの効
果を評価した。その結果を「図2」に示した。
【0055】「図2」に示された結果から分かるように、
NO生産はアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドに
よって濃度依存的に抑制される。この結果から、TNF
−αを含む線維形成誘導性サイトカインに対するアンチ
センスオリゴデオキシヌクレオチドは創傷の形成の際に
発現されることが知られているTNF−α、TGF−β
などの線維形成誘導性サイトカインの発現を直接抑制す
ることができると推論できる。
【0056】上記のとおり、本発明の線維形成誘導性サ
イトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドは、創傷部位から多量に分泌されて瘢痕の形成を
促進するTGF−β、TNF−α、PDGFなどのよう
なサイトカインの遺伝子発現を抑制するので、創傷部位
で瘢痕の形成を阻害して創傷部位が正常組織と外観的に
全く差異無しに治癒されるようにするのに有用な薬剤と
して利用することができる。
【0057】より適切な、本発明の重要な特徴は、発明
の詳細な説明がより良好に理解され、当該技術への寄与
が充分に認められるように、上記で概略記載された。当
業者は、本明細書に記載した概念および特定の具体例が
本発明の同一目的を行うために修飾するかまたは他の構
造を設計することを基礎として容易に利用できると理解
できる。さらに、当業者は、かかる等価の構造が特許請
求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱しないことを
明確に理解することができる。
【0058】
【発明の効果】本発明のアンチセンスオリゴデオキシヌ
クレオチドは、TGF−β、TNF−α、PDGFなど
の線維形成誘導性サイトカインのmRNAに対する相補
的配列に結合して、これらの物質の遺伝子発現を抑制す
ることによって、創傷においての線維形成誘導性サイト
カインの生成および組織の線維化による瘢痕形成を防止
して、創傷部位が正常組織とほぼ同一な外観および引張
力をもつように治癒させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TGF−β 1および2(レーン2および
3)、TNF−α(レーン4)、PDGF 1および2
(レーン5および6)およびφX174/Hae III
(分子サイズマーカー;レーン1)に対するアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチドの電気泳動の結果を示す
図面代用写真。
【図2】 γIFNおよびLPSによって媒介されたニ
トライトの分泌に対するアンチセンスTNF−αの効果
を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホンテック・ジョン 大韓民国チョルラブックト、イリシ、ナ ムジュンドン1ガ、224−5番 ナムソ ン・アパートメント1−301 (56)参考文献 国際公開92/17206(WO,A) PROC.NATL.ACAD.SC I.USA,VOL.88,NO.4 (1991)P.1516−1520 J.CLIN.INVEST.,VO L.91,NO.5(1993.5)P.1152 −1157 J.EXP.MED.,VOL.174, NO.4(1991)P.925−929 THE JOURNAL OF IM MUNOLOGY,VOL.149,NO. 8(1992)P.2785−2794 PROC.NATL.ACAD.SC I.USA,VOL.89,NO.10 (1992)P.4754−4758 NEUROLOGY,VOL.42,N O.4 SUPPL.3(1992)P. 415 NATURE,VOL.316(1985) P.701−705 NATURE,VOL.312(1984) P.724−729 NATURE,VOL.316(1985) P.748−750

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形質転換成長因子−β(TGF−β)およ
    び腫瘍壊死因子−α(TNF−α)から選ばれる線維形成
    誘導性サイトカインのmRNAに対する相補的配列に結
    合して線維形成誘導性サイトカインに対する遺伝子の発
    現を抑制することができる 5'−CCGAGAGCGCGAACAGGGC−3';
    または 5'−AGCTTTCAGTGCTCAT−3' の配列を有するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
    ドまたはその配列がホスホロチオエートによって修飾さ
    れた誘導体。
  2. 【請求項2】 線維形成誘導性サイトカインがTGF−
    βであり、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
    TGF−βのmRNAに対する配列: 5'−CCGAGAGCGCGAACAGGGC−3'; を有する請求項1記載のアンチセンスオリゴデオキシヌ
    クレオチド。
  3. 【請求項3】 線維形成誘導性サイトカインがTNF−
    αであり、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
    TNF−αのmRNAに対する配列: 5'−AGCTTTCAGTGCTCAT−3'; を有する請求項1記載のアンチセンスオリゴデオキシヌ
    クレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の、線維形成誘導性サイト
    カインのmRNAに対する、少なくとも1つのアンチセ
    ンスオリゴデオキシヌクレオチドの有効量を含有するこ
    とを特徴とする創傷部位で創傷を治癒する間の瘢痕形成
    抑制剤組成物。
  5. 【請求項5】 線維形成誘導性サイトカインがTGF−
    βであり、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
    TGF−βのmRNAに対する配列: 5'−CCGAGAGCGCGAACAGGGC−3' を含有する請求項4記載の瘢痕形成抑制剤組成物。
  6. 【請求項6】 線維形成誘導性サイトカインがTNF−
    αであり、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
    TNF−αのmRNAに対する配列: 5'−AGCTTTCAGTGCTCAT−3' を含有する請求項4記載の瘢痕形成抑制剤組成物。
  7. 【請求項7】 さらに、医薬的に許容される担体、補助
    剤または賦形剤を含有する請求項4記載の瘢痕形成抑制
    剤組成物。
  8. 【請求項8】 注射剤、噴霧剤、軟膏剤またはクリーム
    剤の形態に製剤化される請求項4記載の瘢痕形成抑制剤
    組成物。
JP5262304A 1993-06-15 1993-10-20 線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびその用途 Expired - Lifetime JP2548507B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1993-10883 1993-06-15
KR1019930010883A KR970005347B1 (ko) 1993-06-15 1993-06-15 섬유생성세포활성물질에대한안티-센스올리고데옥시뉴클레오타이드및이를함유하는반흔형성억제제조성물

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0799977A JPH0799977A (ja) 1995-04-18
JP2548507B2 true JP2548507B2 (ja) 1996-10-30

Family

ID=19357432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5262304A Expired - Lifetime JP2548507B2 (ja) 1993-06-15 1993-10-20 線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびその用途

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2548507B2 (ja)
KR (1) KR970005347B1 (ja)
IL (1) IL109942A0 (ja)
ZA (1) ZA944185B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997044046A1 (fr) * 1996-05-17 1997-11-27 Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. Agent inhibiteur de l'expression du facteur de croissance d'origine plaquettaire
US20090048191A1 (en) * 2004-03-31 2009-02-19 Lions Eye Institute Limited Therapeutic molecules for modulating stability of vegf

Non-Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
J.CLIN.INVEST.,VOL.91,NO.5(1993.5)P.1152−1157
J.EXP.MED.,VOL.174,NO.4(1991)P.925−929
NATURE,VOL.312(1984)P.724−729
NATURE,VOL.316(1985)P.701−705
NATURE,VOL.316(1985)P.748−750
NEUROLOGY,VOL.42,NO.4SUPPL.3(1992)P.415
PROC.NATL.ACAD.SCI.USA,VOL.88,NO.4(1991)P.1516−1520
PROC.NATL.ACAD.SCI.USA,VOL.89,NO.10(1992)P.4754−4758
THEJOURNALOFIMMUNOLOGY,VOL.149,NO.8(1992)P.2785−2794

Also Published As

Publication number Publication date
IL109942A0 (en) 1994-10-07
KR970005347B1 (ko) 1997-04-15
JPH0799977A (ja) 1995-04-18
ZA944185B (en) 1995-02-08
KR950000725A (ko) 1995-01-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5683988A (en) Anti-sense oligodeoxynucleotide to fibrogenic cytokine TGF-β and use thereof
JP7442574B2 (ja) Lpaの遺伝子発現の阻害のための組成物及び方法
Hsu et al. Ontogeny of expression of transforming growth factor-β1 (TGF-β1), TGF-β3, and TGF-β receptors I and II in fetal rat fibroblasts and skin
US8466116B2 (en) Use of CpG oligodeoxynucleotides to induce epithelial cell growth
CN105683377B (zh) 呼吸疾病相关基因特异性siRNA、含有siRNA的双螺旋寡RNA结构、含有它们的组合物用于预防或治疗呼吸疾病
IL194419A (en) Dsrna to inhibit the expression of a 5eg gene in a human cell, a pharmaceutical compound containing it, a vector method
JP2015518710A (ja) ヘモグロビン遺伝子ファミリー発現を調節するための組成物及び方法
JP2007312778A (ja) HMG蛋白質(highmobilitygroupprotein)遺伝子の核酸配列およびそれらの使用
CN105378083A (zh) 修饰的TGF-β寡核苷酸
US20200369738A1 (en) Treatment of Local Skin Hypotrophy Conditions
CA2398282A1 (en) Method and reagent for the modulation and diagnosis of cd20 and nogo gene expression
JP2001505432A (ja) ヒト接着分子のアンチセンス阻害
JP2003506078A (ja) Dnaザイムを使用する炎症性または悪性疾患の治療
JP2548507B2 (ja) 線維形成誘導性サイトカインに対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびその用途
JP2002517436A (ja) アデノシン二リン酸リボシルトランスフェラーゼの阻害を介する創傷処置
CA2520518A1 (en) Method for treatment of angiogenic disorders
JP2003530309A (ja) 増殖性皮膚疾患又は増殖性眼疾患を治療するリボザイム療法
RU2112766C1 (ru) Олигонуклеотиды, фармацевтическая композиция
US20020102694A1 (en) Nucleozymes with endonuclease activity
EP1900380B1 (en) Pharmaceutical composition for vascular occlusive disease
JPH09501057A (ja) 新規のオリゴヌクレオチド相互作用による血管細胞接着分子の発現の調節
JP2000506866A (ja) アンギオテンシノゲンmRNAに標的化されたオリゴヌクレオチド
JP2003512442A (ja) 癌の治療法
JP2002512025A (ja) インテグリンαv−サブユニット発現の抑制のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド
CA2117599C (en) Method for modulating proopiomelanocortin synthesis in a mammal