JP2548278Y2 - 自動間隙調整装置付ブレーキシリンダ - Google Patents

自動間隙調整装置付ブレーキシリンダ

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JP2548278Y2
JP2548278Y2 JP7153091U JP7153091U JP2548278Y2 JP 2548278 Y2 JP2548278 Y2 JP 2548278Y2 JP 7153091 U JP7153091 U JP 7153091U JP 7153091 U JP7153091 U JP 7153091U JP 2548278 Y2 JP2548278 Y2 JP 2548278Y2
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武美 真仁田
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案に係る自動間隙調整装置
付ブレーキシリンダは、ドラムブレーキを構成する背板
に組み付けて、自動車の制動装置を構成すると共に、ブ
レーキシューのライニングが摩耗して、このライニング
とドラム内周面との間の隙間が大きくなる傾向となった
場合には、このブレーキシューを上記ドラム内周面に向
けて移動させ、上記隙間が大きくなり過ぎるのを防止す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の制動を行なう為のドラム
ブレーキの場合、車輪の内側に設けた背板に1対のブレ
ーキシューを、半径方向に亙る変位を自在として組み付
けると共に、やはり上記背板にブレーキシリンダを固定
する事で構成される。制動時には、上記ブレーキシリン
ダへの圧油の供給により、上記1対のブレーキシューを
半径方向外方に押し広げ、各ブレーキシューに設けたラ
イニングの外周面を、車輪と共に回転するドラムの内周
面に強く押し付け、両面間に働く摩擦力によって制動力
を得る。
【0003】ところで、制動の繰り返しに伴なってブレ
ーキシューのライニングが摩耗し、このライニングの外
周面とブレーキドラムの内周面との間の隙間が増大した
場合、これをそのまま放置すると、上記ライニングの外
周面とドラムの内周面とが摩擦し合う迄に要する、上記
ブレーキシューの変位量が多くなる。この結果、制動時
に要するブレーキペダルの踏み込み量が多くなり、制動
時の間隔が悪くなるばかりか、著しい場合には十分な制
動を行なえなくなる。
【0004】この様な不都合を解消する為に従来から、
ブレーキシューのライニングが摩耗して、このライニン
グとドラム内周面との間の隙間が大きくなる傾向となっ
た場合には、このブレーキシューを上記ドラム内周面に
向けて移動させ、上記隙間が大きくなり過ぎるのを防止
する、自動間隙調整装置(所謂オートスラックアジャス
タ)付のブレーキシリンダが、従来から広く使用されて
いる。
【0005】図6〜7は、上述の様な目的で従来から使
用されている、自動間隙調整装置付ブレーキシリンダの
第1例を示している。1はシリンダ本体で、両端が開口
した筒状に形成されている。このシリンダ本体1は、1
対のブレーキシュー(図示せず)の端部同士の間に位置
させて、背板に固定される。
【0006】上記シリンダ本体1内には1対のピストン
本体2を、このシリンダ本体1の両端開口部から挿入し
ている。各ピストン本体2の内端部(シリンダ本体1の
中央寄り端部)外周面にはパッキング3を装着し、上記
シリンダ本体1の内周面と各ピストン本体2の外周面と
の間の油密保持を図っている。又、各ピストン本体2は
有底円筒状に形成して、内側に有底の円孔5を設けると
共に、この円孔5の開口部を、上記シリンダ本体1の外
側に向けている。
【0007】又、上記シリンダ本体1の中央部には給油
口4を設けて、このシリンダ本体1内に圧油を送り込み
自在としている。即ち、この給油口4から上記シリンダ
本体1内に圧油を送り込む事で、上記1対のピストン本
体2を、上記シリンダ本体1から押し出し自在としてい
る。
【0008】上記各ピストン本体2の円孔5の内側に
は、調整筒6を、それぞれ回転自在に装着している。各
調整筒6の内周面には、それぞれ雌螺子7を形成してお
り、この雌螺子7に、調整ボルト8を螺合させている。
各調整ボルト8の先端部は、上記調整筒6の外端部から
突出させており、この先端面に形成した係合凹部9に、
ブレーキシューを構成するウェブ(図示せず)の端縁を
係合させる。この様に、係合凹部9にウェブの端縁を係
合させる事で、上記調整ボルト8は回転不能とされる。
【0009】上記調整筒6の外周面にはスリーブ10
が、この調整筒6の軸方向(図6の左右方向)に亙る変
位のみ自在として、外嵌されている。即ち、上記スリー
ブ10の一端部(図6の右端部)内周縁には係合突起1
1を形成し、この係合突起11を、上記調整筒6の外周
面に軸方向に亙り設けた係合溝12に係合させている。
そして、上記スリーブ10の外周面に第一ラチェット歯
13を、円周方向に亙って設けている。そしてこの第一
ラチェット歯13を、軸方向に対し傾斜させている。
又、上記調整筒6の外端部外周縁に形成した鍔部22と
上記スリーブ10の外端縁との間には圧縮ばね14を設
けて、上記スリーブ10に、内方に向かう弾力を付与し
ている。
【0010】一方、前記ピストン本体2の側面で、上記
第一ラチェット歯13と整合する位置には、軸方向に長
い長孔15を設けている。又、前記シリンダ本体1の一
部で、この長孔15と整合する部分には、このシリンダ
本体1の半径方向(図6の上下方向)に亙って、ガイド
孔16を設けている。このガイド孔16内にはラチェッ
トピン17を、スリーブ18を介して、上記シリンダ本
体1の半径方向に亙る変位自在に嵌装すると共に、この
ラチェットピン17の先端部(図6の下端部)を、上記
長孔15に遊合させている。
【0011】上記ラチェットピン17の先端面には、上
記第一ラチェット歯13と噛合自在な第二ラチェット歯
19を形成している。更に、上記ガイド孔16の外端開
口部を塞いだ蓋体20と上記ラチェットピン17との間
には圧縮ばね21を設けて、このラチェットピン17の
先端面を上記第一ラチェット歯13に向け押圧してい
る。
【0012】そして、上記第一、第二両ラチェット歯1
3、19の傾斜方向、並びに上記調整筒6の内周面に形
成した雌螺子7及びこの雌螺子7と螺合した調整ボルト
8の螺子方向を適正に定める事で、前記ライニングの外
周面とドラムの内周面との間の隙間を調整自在としてい
る。
【0013】即ち、前記給油口4を通じて前記シリンダ
本体1内に圧油を給排する事で、前記ピストン本体2
を、上記シリンダ本体1から突出する方向に移動させた
場合には、前記第一、第二両ラチェット歯13、19の
傾斜面同士が摺動する事で、両ラチェット歯13、19
が噛合する事はないが、制動解除に伴なって前記ブレー
キシューの間隔が、リターンスプリングの弾力により縮
まり、上記ピストン本体2がシリンダ本体1内に押し込
まれた場合には、上記両ラチェット歯13、19同士が
互いに噛合する様に、上記両ラチェット歯13、19の
傾斜方向を定めている。
【0014】又、上記第一ラチェット歯13の軸方向に
対する傾斜方向は、制動解除に伴なって上記第一、第二
両ラチェット歯13、19同士が互いに係合し、上記調
整筒6が回転した場合に、この調整筒6の内周面の雌螺
子7と前記調整ボルト8との螺合に基づき、上記調整筒
6からの上記調整ボルト8の突出量が増大する様に定め
ている。
【0015】上述の様に構成される自動間隙調整装置付
ブレーキシリンダの場合、制動を行なう際には、シリン
ダ本体1の中央部に設けた給油口4より、このシリンダ
本体1内に圧油を送り込む。この結果、シリンダ本体1
内に嵌装された1対のピストン本体2の間隔が広がり、
各ピストン本体2がシリンダ本体1から押し出される。
各ピストン本体2に、調整筒6を介して支持された調整
ボルト8の先端は、前述の様に1対のブレーキシューの
ウェブに突き当てられている為、上記ピストン本体2の
押し出しに伴なって上記1対のブレーキシューの間隔が
広がり、各ブレーキシューのライニングの外周面がドラ
ムの内周面に強く押し付けられて、制動が行なわれる。
【0016】上記1対のブレーキシューのライニングの
摩耗が少なく、このライニングの外周面とドラムの内周
面との間隔が狭い場合には、制動時に於けるピストン本
体2の移動量が少なく、上記第一、第二両ラチェット歯
13、19同士は、同じ歯同士が当接したままとなる。
即ち、外周面にスリーブ10を介して第一ラチェット歯
13を設けた調整筒6がピストン本体2と共に変位して
も、その変位量が僅かである為、シリンダ本体1の軸方
向へは変位しないラチェットピン17先端面の第二ラチ
ェット歯19が、上記第一ラチェット歯13の山(歯)
を越える事はない。この為、制動解除に伴なって上記ピ
ストン本体2がシリンダ本体1内に押し込まれても、ス
リーブ10及び調整筒6が回転する事はなく、前記調整
ボルト8の突出量は、制動以前の状態のままに保たれ
る。
【0017】制動の繰り返しに伴なって前記ライニング
が摩耗し、このライニングの外周面とドラムの内周面と
の間隔が広くなると、制動時に於けるピストン本体2の
移動量が多くなり、制動に伴なって外周面にスリーブ1
0を介して第一ラチェット歯13を設けた調整筒6がピ
ストン本体2と共に変位すると、シリンダ本体1の軸方
向へは変位しないラチェットピン17先端面の第二ラチ
ェット歯19が、上記第一ラチェット歯13の山(歯)
を越える。
【0018】この為、制動解除に伴なって上記ピストン
本体2がシリンダ本体1内に押し込まれると、上記第二
ラチェット歯19がそれ迄(制動以前)噛合していた山
とは異なる山と噛合する。この結果、制動解除に伴なっ
てピストン本体2がシリンダ本体1内に押し込まれる
と、スリーブ10及び調整筒6が回転する。調整筒6が
回転する結果、前記調整ボルト8の突出量は、制動以前
の状態よりも増し、各ブレーキシューのライニングの外
周面とドラムの内周面との間の隙間が小さくなる。
【0019】尚、図6〜7に示した構造の場合、調整筒
6の外周面に直接第一ラチェット歯13を形成せず、こ
の調整筒6に対し軸方向に亙る変位のみ自在として外嵌
したスリーブ10の外周面に、上記第一ラチェット歯1
3を形成すると共に、このスリーブ10を圧縮ばね14
によりピストン本体2の内端に向けて押圧している。そ
して、この圧縮ばね14の弾力を、前記1対のブレーキ
シューを非制動時の状態に戻す為のリターンスプリング
の弾力よりも少し弱くしている。
【0020】従って、前記ライニングの外周面とドラム
の内周面との間の隙間が広がった状態で制動を行なった
後に於いては、上記スリーブ10が(リターンスプリン
グの弾力によって)一度圧縮ばね14の弾力に抗してピ
ストン本体2の外端部に向けて移動する。そして、上記
リターンスプリングの弾力によって、各ブレーキシュー
が元の位置に戻ってから、上記スリーブ10が上記圧縮
ばね14の弾力によりピストン本体2の内端部に向けて
移動しつつ、前記調整筒6を回転させ、上記調整ボルト
8の突出量を増大させる。
【0021】但し、調整筒6の外周面に直接第一ラチェ
ット歯13を形成しても、リターンスプリングによるピ
ストン本体2の押し込みと同時に上記調整筒6が回転さ
せられる以外、同様にして、前記ライニングの外周面と
ドラムの内周面との間の隙間調整を行なえる。
【0022】次に、図8は従来から使用されている、自
動間隙調整装置付ブレーキシリンダの第2例を示してい
る。この第2例の構造の場合、通常の制動時にシリンダ
本体1内に圧油を送り込む事で、このシリンダ本体1内
に嵌装された1対のピストン本体2、2の間隔を押し広
げる他、駐車時にはウェッジ23の押し込みにより、上
記1対のピストン本体2、2の間隔を押し広げれられる
様に構成している。
【0023】即ち、上記1対のピストン本体2、2の内
端面に、互いに逆方向に傾斜した傾斜面24、24を形
成すると共に、上記シリンダ本体1の中間部側面に、こ
のシリンダ本体1に対して直角方向に副シリンダ部25
を形成し、この副シリンダ部25内にロッド26を、こ
の副シリンダ部25の軸方向に亙る変位自在に設けると
共に、このロッド26の先端部にウェッジ23を固定し
ている。そしてこのウェッジ23の両側面と上記1対の
傾斜面24、24とを、それぞれローラ27、27を介
して当接させている。
【0024】駐車ブレーキを作動させる場合には、上記
ロッド26を図8の下方に押圧する事により、上記ウェ
ッジ23を1対のピストン本体2、2の間に押し込み、
このピストン本体2、2の間隔を押し広げる。通常走行
時に於ける制動の際には、図示しない給油口を通じて上
記シリンダ本体1内に圧油を送り込む。そして、ブレー
キシューのライニングが摩耗した場合には、前述の図6
〜7に示した構造の場合と同様にして、調整筒6を回転
させ、この調整筒6からの調整ボルト8の突出量を増大
させる。
【0025】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上述の様に
構成され作用する従来の自動間隙調整装置付ブレーキシ
リンダは、シリンダ本体1内での、各ピストン本体2、
2のストローク量を、必ずしも十分に確保出来ない。
【0026】即ち、上記各ピストン本体2、2のストロ
ーク量は、それぞれの側面に形成された長孔15の内側
で、前記スリーブ18並びにラチェットピン17が変位
可能な範囲に限定される。一方、上記長孔15の前後両
端部(図9の左右両端部)には、加工の必要上、図9に
示す様に半円弧部15a、15aが形成される事が避け
られない。一方、上記スリーブ18並びにラチェットピ
ン17の前後両側面の曲率は、上記各半円弧部15a、
15aの曲率に比べて相当に大きくなる事が避けられな
い。これは、元々断面が円形のラチェットピン17の先
端部両側面を平削する事で、このラチェットピン17の
先端部を上記長孔15の内側に、この長孔15の長さ方
向に亙る変位は自在であるが、この長孔15の内側での
回転を不能とする必要がある為である。
【0027】ところが、上述の様に前後両側面の曲率を
比較的大きく形成した、上記スリーブ18及びラチェッ
トピン17は、上記長孔15の半円弧部15a、15a
の内側に迄は入り込めない。この為、上記スリーブ18
及びラチェットピン17が長孔15の内側で動き得るス
トローク量lは、上記長孔15の長さLよりもかなり短
くなってしまう。前記各ピストン本体2がシリンダ本体
1から突出し、ブレーキシューを変位させられる量は、
上記ストローク量lによる制限を受ける為、このストロ
ーク量lが限定されるのは好ましくない。
【0028】特に、ブレーキシューの交換直後等、ライ
ニングの外周面とドラムの内周面との間に大きな隙間が
存在する状態で、シリンダ本体1内に圧油を送り込み、
各ピストン本体2を大きく変位させた場合には、前記ス
リーブ18並びにラチェットピン17が、前記長孔15
の端部に強く押し付けられて、このラチェットピン17
が変形する恐れがある。
【0029】本考案の自動間隙調整装置付ブレーキシリ
ンダは、上述の様な事情に鑑みて考案されたものであ
る。
【0030】
【課題を解決するための手段】本考案の自動間隙調整装
置付ブレーキシリンダは何れも、前述した従来の自動間
隙調整装置付ブレーキシリンダと同様に、少なくとも一
端が開口した筒状のシリンダ本体と、このシリンダ本体
内に、開口部をシリンダ本体の外側に向けて油密に嵌装
された、有底円筒状のピストン本体と、このピストン本
体の外周面に、その全周に亙って形成された係止凹溝
と、この係止凹溝内に装着され、その外周縁を上記シリ
ンダ本体の内周面に摺接させる事で、上記ピストン本体
の外周面と上記シリンダ本体の内周面との間の油密保持
を図るパッキングと、上記シリンダ本体内に圧油を送り
込んでこのシリンダ本体から上記ピストン本体を押し出
す為、このシリンダ本体の一部に設けられた給油口と、
上記ピストン本体の外端面中央部に一端を開口させた円
孔と、この円孔の内側に回転自在に装着され、その内周
面に雌螺子を形成した調整筒と、この調整筒内周面の雌
螺子に螺合し、上記調整筒の外端部から突出させた先端
部をブレーキシューの端部と係合させる事で、回転不能
とされる調整ボルトと、上記調整筒の外周面に、円周方
向に亙って軸方向に対し傾斜した状態で設けられた第一
ラチェット歯と、この第一ラチェット歯に整合する状態
で、上記ピストン本体に設けられた、軸方向に長い長孔
と、上記シリンダ本体の一部でこの長孔と整合する部分
に、このシリンダ本体の半径方向に亙って設けられたガ
イド孔と、このガイド孔内に変位自在に嵌装されると共
にその先端部を上記長孔に遊合させ、先端面に設けた第
二ラチェット歯を上記第一ラチェット歯と噛合自在とし
たラチェットピンと、このラチェットピンの先端面を上
記第一ラチェット歯に向けて押圧するばねとから成り、
上記給油口を通じて上記シリンダ本体内に圧油を給排す
る事で、このシリンダ本体から上記ピストン本体を出入
りさせた場合に、上記第一、第二両ラチェット歯の係脱
に基づいて上記調整筒が回転し、この調整筒からの上記
調整ボルトの突出量が増大する様に、上記第一、第二両
ラチェット歯及び上記雌螺子の方向を定めている。
【0031】又、請求項1に記載された自動間隙調整装
置付ブレーキシリンダに於いては、上記長孔が、上記ピ
ストン本体の内端面側に開口する、長U字形切り欠き状
に形成されたものであり、上記係止凹溝が、上記長孔の
奥端部と上記ピストン本体の外端面との間に形成されて
いる事を特徴としている。
【0032】更に、請求項2に記載された自動間隙調整
装置付ブレーキシリンダに於いては、上記調整筒を上記
円孔の内側に、軸方向に亙る変位自在に、且つ調整筒の
外周面と円孔の内周面との間の油密を保持した状態で装
着すると共に、上記円孔の内端部を上記シリンダ本体内
に連通させた事を特徴としている。
【0033】
【作用】上述の様に構成される本考案の自動間隙調整装
置付ブレーキシリンダが、制動時にブレーキシューを車
輪と共に回転する部材に押し付けて制動を行なう際の作
用、並びに、ライニングの摩耗に伴なって、このライニ
ングの表面と上記回転する部材の表面との隙間が大きく
なり過ぎるのを防止する際の作用は、前述した従来の自
動間隙調整装置付ブレーキシリンダと同様である。
【0034】特に、本考案の自動間隙調整装置付ブレー
キシリンダの場合、ブレーキシューを大きく変位させる
事が可能となる。
【0035】即ち、請求項1に記載された考案の場合、
ラチェットピンの先端部が遊合した長孔が、上記ピスト
ン本体の内端面側に開口する、長U字形切り欠き状に形
成されている為、シリンダ本体の開口部に向けてピスト
ン本体が移動した場合に、上記ラチェットピンの先端部
と長孔の端部とが干渉する事がなくなる。従って、上記
ラチェットピンの先端部が長孔の内側から抜け出ない範
囲で、上記ピストン本体の変位量を大きくする事が可能
となる。
【0036】又、請求項2に記載された考案の場合、ピ
ストン本体がシリンダ本体に対して変位出来なくなった
後に於いては、上記ピストン本体内に設けられた円孔の
内側に設けられた調整筒が軸方向に亙って変位し、調整
ボルトを介してその端部をこの調整筒に突き当てられ
た、ブレーキシューを大きく変位させる事が可能とな
る。
【0037】
【実施例】図1〜2は、請求項1に記載された考案に対
応する、本考案の第一実施例を示している。尚、本考案
の特徴は、シリンダ本体1に対するピストン本体2の変
位量を大きくする点に特徴があり、その他の構成及び作
用は、前述した従来の自動間隙調整装置付ブレーキシリ
ンダと同様である為、重複する説明を省略し、以下、本
考案の特徴部分に就いて説明する。
【0038】円筒状に形成されたピストン本体2の側面
には、このピストン本体2の軸方向(図1〜2の左右方
向)に亙って、長孔28を形成している。この長孔28
は、前記従来構造(図6、8、9参照)に於ける長孔1
5の様に、長さ方向両端を塞がれたものではなく、上記
ピストン本体2の内端面側(図1〜2の右端面側)に開
口する、長U字形切り欠き状に形成されている。
【0039】又、上記ピストン本体2の外周面とシリン
ダ本体1の内周面との間の油密保持を図る為のパッキン
グ3を装着する為、上記ピストン本体2の外周面に形成
した係止凹溝29を、上記長孔28の奥端部と上記ピス
トン本体2の外端面(図1〜2の左端面)との間に形成
している。
【0040】そして、シリンダ本体1の側面に、このシ
リンダ本体1の半径方向に亙って設けられたガイド孔1
6の内側に、上記半径方向に亙る変位自在に嵌装したラ
チェットピン17の先端部を、上記長孔28の内側に遊
合させると共に、圧縮ばね21によりこのラチェットピ
ン17の先端面(図1〜2の上端面)を、調整筒6に回
転不能に外嵌したスリーブ10の外周面に押圧してい
る。
【0041】上記調整筒6の中間部外周面には突条30
を形成し、この突条30をピストン本体2内周面の段部
31に係合させる事で、この調整筒6がピストン本体2
の外端面側開口部から抜け出るのを防止している。又、
上記ピストン本体2の内端開口部内側には蓋板32を固
定し、この蓋板32によって、上記調整筒6がピストン
本体2の内端面側開口部から抜け出すのを防止してい
る。従って、この調整筒6は、上記ピストン本体2の内
側に、回転のみ自在として装着されている。
【0042】上述の様に構成される本考案の自動間隙調
整装置付ブレーキシリンダの場合、上記ピストン本体2
の軸方向に亙って形成されたラチェットピン17の先端
部が遊合した長孔28が、上記ピストン本体2の内端面
側に開口する、長U字形切り欠き状に形成されている
為、シリンダ本体1内に圧油を送り込む事により、上記
ピストン本体2をこのシリンダ本体1の開口部に向けて
移動させた場合にも、上記ラチェットピン17の先端部
と長孔28の端部とが干渉する事がなくなる。
【0043】従って、上記ラチェットピン17の先端部
が長孔28の内側から抜け出ない範囲で、上記ピストン
本体2の変位量を大きくする事が可能となる。
【0044】次に、図3は、請求項1に記載された考案
と請求項2に記載された考案とを組み合わせた、本考案
の第二実施例を示している。
【0045】本実施例の場合、上記第一実施例に於ける
調整筒6外周面の突条30、並びにピストン本体2内周
面の段部31、同じく内端面の蓋板32(図1〜2)を
省略している。従って、本実施例の場合、上記ピストン
本体2の円孔5内に嵌装された調整筒6がこのピストン
本体2に対して、軸方向(図3の左右方向)に亙って変
位自在となる。
【0046】この様に構成する事により、本実施例の場
合には、ラチェットピン17の先端部と長孔28の端部
とが干渉する事なく、ピストン本体2自体の変位量を増
大させられるだけでなく、ピストン本体2がシリンダ本
体1に対して変位出来なくなった後、即ち、上記ピスト
ン本体2をそれ以上変位させると、このピストン本体2
外周面のパッキング3がシリンダ本体1外に露出する
為、図示しないストッパ機構によって、上記ピストン本
体2の変位が制限された後に於いては、上記シリンダ本
体1内に送り込まれた圧油により上記調整筒6が、上記
円孔5から押し出される様にして、軸方向に亙って変位
する。
【0047】この結果、上記調整筒6の中心部に螺合し
た調整ボルト8を介して、その端部をこの調整筒6に突
き当てられたブレーキシューを大きく変位させる事が可
能となる。
【0048】次に、図4〜5は、請求項2に記載された
考案に対応する、本考案の第三実施例を示している。
【0049】本実施例の場合、調整筒6をピストン本体
2の円孔5の内側に、軸方向に亙る変位を自在として嵌
装すると共に、上記ピストン本体2に形成した通孔33
を通じて上記円孔5の凹部に、圧油を送り込み自在とし
ている。ピストン本体2の内端面には傾斜面24を形成
し、この傾斜面24とウェッジ23とを、ローラ27を
介して当接させている。ラチェットピン17の先端部を
遊合させた長孔15は、上記第一〜第二実施例に於ける
様な、長U字形切り欠き状のものではなく、前記図9に
示す様な、両端部が塞がれた形状としている。
【0050】上述の様に構成される本実施例の場合、ピ
ストン本体2自体のストローク量は、前記従来構造の場
合に比べて大きくはならないが、ピストン本体2がシリ
ンダ本体1に対して変位出来なくなった後、シリンダ本
体1内に送り込まれた圧油によって上記調整筒6が、上
記円孔5から押し出される様にして、軸方向に亙り変位
する結果、上記調整筒6の中心部に螺合した調整ボルト
8を介して、その端部をこの調整筒6に突き当てられた
ブレーキシューを大きく変位させる事が可能となる。
【0051】本実施例の場合、ブレーキシューのライニ
ングの外周面とドラムの内周面との間の隙間が大きい状
態で制動を行なうと、ラチェットピン17の先端部と長
孔15の端部とが干渉する事が考えられるが、この状態
ではピストン本体2の内側から調整筒6が突出し、この
調整筒6がブレーキシューとピストン本体2との間で突
っ張る。この為、上記ラチェットピン17の先端部に、
このラチェットピン17を変形させる程大きな力が加わ
る事はない。
【0052】
【考案の効果】本考案の自動間隙調整装置付ブレーキシ
リンダは、以上に述べた通り構成され作用する為、調整
ボルトを介してブレーキシューを押圧する調整筒の変位
量を確保して、ドラムの内周面に対してブレーキシュー
のライニングを十分に強く押圧出来る。
【0053】又、ラチェットピンの先端部と長孔の端部
との干渉に基づき、このラチェットピンの先端部に大き
な力が加わる事がない為、このラチェットピンが変形す
る事がなく、自動間隙調整機構の信頼性、耐久性が向上
する。
【0054】尚、上述の説明は、ドラムブレーキを中心
に述べたが、本考案はディスクブレーキ用の自動間隙調
整装置付ブレーキシリンダにも適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例を、非制動時の状態で示す
部分断面図。
【図2】同じく制動時の状態で示す部分断面図。
【図3】同第二実施例を、非制動時の状態で示す部分断
面図。
【図4】同第三実施例を、非制動時の状態で示す部分断
面図。
【図5】同じく制動時の状態で示す部分断面図。
【図6】従来の自動間隙調整装置付ブレーキシリンダの
第1例を、一部を切断して示す正面図。
【図7】図6の下方から見た図。
【図8】従来の自動間隙調整装置付ブレーキシリンダの
第2例を示す断面図。
【図9】図8のA−A断面図。
【符号の説明】
1 シリンダ本体 2 ピストン本体 3 パッキング 4 給油口 5 円孔 6 調整筒 7 雌螺子 8 調整ボルト 9 係合凹部 10 スリーブ 11 係合突起 12 係合溝 13 第一ラチェット歯 14 圧縮ばね 15 長孔 15a 半円弧部 16 ガイド孔 17 ラチェットピン 18 スリーブ 19 第二ラチェット歯 20 蓋体 21 圧縮ばね 22 鍔部 23 ウェッジ 24 傾斜面 25 副シリンダ部 26 ロッド 27 ローラ 28 長孔 29 係止凹溝 30 突条 31 段部 32 蓋板 33 通孔

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一端が開口した筒状のシリン
    ダ本体と、このシリンダ本体内に、開口部をシリンダ本
    体の外側に向けて油密に嵌装された、有底円筒状のピス
    トン本体と、このピストン本体の外周面に、その全周に
    亙って形成された係止凹溝と、この係止凹溝内に装着さ
    れ、その外周縁を上記シリンダ本体の内周面に摺接させ
    る事で、上記ピストン本体の外周面と上記シリンダ本体
    の内周面との間の油密保持を図るパッキングと、上記シ
    リンダ本体内に圧油を送り込んでこのシリンダ本体から
    上記ピストン本体を押し出す為、このシリンダ本体の一
    部に設けられた給油口と、上記ピストン本体の外端面中
    央部に一端を開口させた円孔と、この円孔の内側に回転
    自在に装着され、その内周面に雌螺子を形成した調整筒
    と、この調整筒内周面の雌螺子に螺合し、上記調整筒の
    外端部から突出させた先端部をブレーキシューの端部と
    係合させる事で、回転不能とされる調整ボルトと、上記
    調整筒の外周面に、円周方向に亙って軸方向に対し傾斜
    した状態で設けられた第一ラチェット歯と、この第一ラ
    チェット歯に整合する状態で、上記ピストン本体に設け
    られた、軸方向に長い長孔と、上記シリンダ本体の一部
    でこの長孔と整合する部分に、このシリンダ本体の半径
    方向に亙って設けられたガイド孔と、このガイド孔内に
    変位自在に嵌装されると共にその先端部を上記長孔に遊
    合させ、先端面に設けた第二ラチェット歯を上記第一ラ
    チェット歯と噛合自在としたラチェットピンと、このラ
    チェットピンの先端面を上記第一ラチェット歯に向けて
    押圧するばねとから成り、上記給油口を通じて上記シリ
    ンダ本体内に圧油を給排する事で、このシリンダ本体か
    ら上記ピストン本体を出入りさせた場合に、上記第一、
    第二両ラチェット歯の係脱に基づいて上記調整筒が回転
    し、この調整筒からの上記調整ボルトの突出量が増大す
    る様に、上記第一、第二両ラチェット歯及び上記雌螺子
    の方向を定めた、自動間隙調整装置付ブレーキシリンダ
    に於いて、上記長孔が、上記ピストン本体の内端面側に
    開口する、長U字形切り欠き状に形成されたものであ
    り、上記係止凹溝が、上記長孔の奥端部と上記ピストン
    本体の外端面との間に形成されている事を特徴とする自
    動間隙調整装置付ブレーキシリンダ。
  2. 【請求項2】 少なくとも一端が開口した筒状のシリン
    ダ本体と、このシリンダ本体内に、開口部をシリンダ本
    体の外側に向けて油密に嵌装された、有底円筒状のピス
    トン本体と、このピストン本体の外周面に、その全周に
    亙って形成された係止凹溝と、この係止凹溝内に装着さ
    れ、その外周縁を上記シリンダ本体の内周面に摺接させ
    る事で、上記ピストン本体の外周面と上記シリンダ本体
    の内周面との間の油密保持を図るパッキングと、上記シ
    リンダ本体内に圧油を送り込んでこのシリンダ本体から
    上記ピストン本体を押し出す為、このシリンダ本体の一
    部に設けられた給油口と、上記ピストン本体の外端面中
    央部に一端を開口させた円孔と、この円孔の内側に回転
    自在に装着され、その内周面に雌螺子を形成した調整筒
    と、この調整筒内周面の雌螺子に螺合し、上記調整筒の
    外端部から突出させた先端部をブレーキシューの端部と
    係合させる事で、回転不能とされる調整ボルトと、上記
    調整筒の外周面に、円周方向に亙って軸方向に対し傾斜
    した状態で設けられた第一ラチェット歯と、この第一ラ
    チェット歯に整合する状態で、上記ピストン本体に設け
    られた、軸方向に長い長孔と、上記シリンダ本体の一部
    でこの長孔と整合する部分に、このシリンダ本体の半径
    方向に亙って設けられたガイド孔と、このガイド孔内に
    変位自在に嵌装されると共にその先端部を上記長孔に遊
    合させ、先端面に設けた第二ラチェット歯を上記第一ラ
    チェット歯と噛合自在としたラチェットピンと、このラ
    チェットピンの先端面を上記第一ラチェット歯に向けて
    押圧するばねとから成り、上記給油口を通じて上記シリ
    ンダ本体内に圧油を給排する事で、このシリンダ本体か
    ら上記ピストン本体を出入りさせた場合に、上記第一、
    第二両ラチェット歯の係脱に基づいて上記調整筒が回転
    し、この調整筒からの上記調整ボルトの突出量が増大す
    る様に、上記第一、第二両ラチェット歯及び上記雌螺子
    の方向を定めた、自動間隙調整装置付ブレーキシリンダ
    に於いて、上記調整筒を上記円孔の内側に、軸方向に亙
    る変位自在に、且つ調整筒の外周面と円孔の内周面との
    間の油密を保持した状態で装着すると共に、上記円孔の
    内端部を上記シリンダ本体内に連通させた事を特徴とす
    る自動間隙調整装置付ブレーキシリンダ。
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