JP2546260Y2 - 生体試料吸引針 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、試料容器に収容されて
いる血液，尿等の生体試料を吸引するための生体試料吸
引針に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、血液，尿等の生体試料が収容され
ている試料容器としては、例えば、図７に示す真空採血
管がある。この真空採血管１は、その上端開口部がゴム
キャップ２によって閉塞され、内部は真空引きされてい
る。そして、真空採血管１内に採血された血液３は、生
体試料吸引針４を介して図示しない検査装置に吸引され
るようになっている。このため、生体試料吸引針４は、
前記ゴムキャップ２等の蓋体に突き刺すことができるよ
うに、先端が斜めにカットされて尖鋭となったステンレ
ス鋼管で構成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記生
体試料吸引針４では、繰り返し使用しているうちに、約
２万回程度で先端部が摩耗して破損に至ることがある。
前記生体試料吸引針４の先端部にチタンコーティング等
を施したとしても、約５万回程度しかもたない。しか
も、前記生体試料吸引針４は、安全性確保のために図示
しない取付台に強固に固定されているので、針交換時の
取外し作業は困難である。本考案は前記問題点に鑑み、
長期間の使用に耐え得る生体試料吸引針を提供すること
を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は前記目的を達成
するため、吸引管部と、先端が尖鋭に形成され、前記吸
引管部の下端開口部に嵌合された耐摩耗性に優れた材料
からなる針部とで構成され、試料容器の蓋体に突き通さ
れ、前記試料容器に収容されている生体試料を吸引する
生体試料吸引針において、前記吸引管部の下端部側壁の
前記針部が嵌合される部分に吸引口を穿設し、前記針部
の吸引管部への嵌合部分に、嵌合状態で前記吸引口と吸
引管部の内部空間とを連通する逃がし部を形成したもの
である。また、前記嵌合部のうち、前記逃がし部を形成
する壁面の少なくとも一部を、前記吸引口に向かって徐
々に鉛直下方に傾斜する傾斜面で構成するのが好まし
い。さらに、前記針部を、ルビー又はサファイアで構成
するのが好ましい。

【０００５】

【作用】本考案では、針部は耐摩耗性に優れた材料から
なるため、生体試料の吸引のために繰り返し試料容器の
蓋体に突き通されても摩耗しにくく、長期に亘って使用
される。

【０００６】

【実施例】次に、本考案の実施例について添付図面に従
って説明する。図１は本考案に係る生体試料吸引針１１
を示し、吸引管部１２と針部１３とからなる。吸引管部
１２はステンレス鋼管で構成され、その下端部側壁には
血液吸込口１４が穿設されている。

【０００７】針部１３はルビー，サファイア，超硬合金
等の耐摩耗性に優れた材料からなり、先端は円錐形状と
なっている。ただし、この先端形状は図２に示すように
４角錐等であってもよい。また、針部１３の後端部は、
図３に示すように、軸方向に沿って外周面がカットされ
て逃がし部１５が形成されており、端面は傾斜面１６と
なっている。

【０００８】前記針部１３は、その後端部が前記吸引管
部１２の下端開口部１２ａに嵌合されてエポキシ系の接
着剤あるいはろう接により固着されている。この状態で
は、前記吸引管部１２の血液吸込口１４は、針部１３の
逃がし部１５と吸引管部１２の内周面との間に形成され
た空間に開口している。

【０００９】なお、前記針部１３を吸引管部１２の下端
開口部１２ａに固定する構造としては、図５あるいは図
６に示すものでもよい。すなわち、図５に示す構造で
は、吸引管部１２の下端側には対向して貫通孔２０が形
成されている。一方、針部１３の後端部には、前記貫通
孔２０に対応する位置に貫通孔２１が形成されている。
そして、両貫通孔２０，２１にピン２２を圧入すること
により、前記針部１３を吸引管部１２の下端開口部１２
ａに固定できるようになっている。

【００１０】また、図６に示す構造では、針部１３の後
端部には環状凹部２３が形成されている。そして、前記
針部１３の後端部を前記吸引管部１２の下端開口部１２
ａに挿入した後、この下端開口部１２ａを環状凹部２３
にかしめることにより、前記針部１３を吸引管部１２に
固定することができるようになっている。ただし、この
かしめによって下端開口部１２ａの外周部に形成された
隙間には接着剤等を充填しておく。

【００１１】前記構成の生体試料吸引針１１は、従来例
同様、真空採血管１内の血液の吸引に使用される。すな
わち、この生体試料吸引針１１は真空採血管１のゴムキ
ャップ２に突き通され、血液吸込口１４を介して真空採
血管２の内部の血液を吸引する。吸引された血液は図示
しない検査装置で血球数等が計測された後、廃棄され
る。前記生体試料吸引針１１は洗浄液によって洗浄さ
れ、次の真空採血管１に備える。

【００１２】このように、前記生体試料吸引針１１は、
各真空採血管１のキャップ２に突き通される毎に摩擦力
を受けるが、この摩擦力を受ける針部１３が耐摩耗性に
優れた材料から構成されているため、摩耗せず、長期に
亘って使用できる。

【００１３】また、前記生体試料吸引針１１では、血液
吸込口１４が針部１３の近傍に位置しているため、図４
に示すように、病人や新生児など、採血量が非常に少な
い場合であっても十分に対応できる。そして、前記針部
１３の嵌合部には傾斜面１６が形成されているので、吸
引された血液あるいは洗浄液が溜まって汚染される恐れ
がない。

【００１４】なお、前記実施例では、生体試料吸引針１
１を真空採血管１のキャップ２に突き通す場合について
説明したが、尿等の他の生体試料が収容された試料容器
であっても蓋体で閉塞されたものであれば、同様にして
前記生体試料吸引針１１を使用することができる。

【００１５】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
に係る生体試料吸引針によれば、耐摩耗性に優れた材料
からなる針部で試料容器の蓋体を突き通すようにしたの
で、長期に亘って繰り返ししようしても、取り替えた
り、メンテナンスしたりする必要がない。また、吸引管
部の下端開口部に、別体で設けた針部を嵌合する構成と
したにも拘わらず、吸引口を針部に近接させて設けるこ
とができるので、試料が少量の場合であっても確実に吸
引することができる。しかも、針部に傾斜面を形成する
ようにしたので、針内に試料が残留することがなく、従
って試料によって針が汚染される心配もない。さらに、
針部をルビー又はサファイアで構成するようにしたの
で、長期に亘ってしようしても錆付く心配がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例に係る生体試料吸引針の一部断面図
である。

【図２】 他の実施例に係る生体試料吸引針の一部断面
図である。

【図３】 真空採血管および生体試料吸引針の正面図で
ある。

【図４】 本実施例に係る生体試料吸引針の使用状態を
示す図である。

【図５】 図１に示す針部の他の固定状態を示す断面図
である。

【図６】 図１に示す針部の他の固定状態を示す断面図
である。

【図７】 従来例に係る生体試料吸引針および真空採血
管の正面図である。

【符号の説明】

１…真空採血管（試料容器）、２…ゴムキャップ（蓋
体）、３…血液、１１…生体試料吸引針、１２…吸引管
部、１３…針部、１４…血液吸込口、１５…逃がし部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 松岡 忠己 埼玉県行田市若小玉2468 オグラ宝石精 機工業株式会社埼玉工場内 (72)考案者 大門 広志 埼玉県行田市若小玉2468 オグラ宝石精 機工業株式会社埼玉工場内 (56)参考文献 特開 昭58−76765（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−168868（ＪＰ，Ｕ) 特表 平４−500732（ＪＰ，Ａ)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸引管部と、先端が尖鋭に形成され、前
   記吸引管部の下端開口部に嵌合された耐摩耗性に優れた
   材料からなる針部とで構成され、試料容器の蓋体に突き
   通され、前記試料容器に収容されている生体試料を吸引
   する生体試料吸引針において、 前記吸引管部の下端部側壁の前記針部が嵌合される部分
   に吸引口を穿設し、 前記針部の吸引管部への嵌合部分に、嵌合状態で前記吸
   引口と吸引管部の内部空間とを連通する逃がし部を形成
   したことを特徴とする生体試料吸引針。
2. 【請求項２】 前記嵌合部のうち、前記逃がし部を形成
   する壁面の少なくとも一部を、前記吸引口に向かって徐
   々に鉛直下方に傾斜する傾斜面で構成したことを特徴と
   する請求項１に記載の生体試料吸引針。
3. 【請求項３】 前記針部を、ルビー又はサファイアで構
   成したことを特徴とする請求項１又は２に記載の生体試
   料吸引針。