JP2545877Y2 - ベーンポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ローターに内装したベーンをカムリング
に沿って出没させる構成にしたベーンポンプに関する。

（従来の技術） 第３図に示したベーンポンプは、ボディ１とカバー２
との間でカムリング３を挟持するとともに、このカムリ
ング３にローター４を内装している。そして、このロー
ター４には、放射線方向に出没自在にした複数のベーン
５を設けている。また、上記ボディ１には軸受孔ｂを形
成し、この軸受孔ｂには巻ブッシュ７を嵌着するととも
に、この巻ブッシュ７で回転軸６を支持している。

さらに、上記回転軸６は、小径部6aと大径部6bとを有
し、小径部6aにローター４を嵌着するとともに、大径部
6bは上記巻ブッシュ７に支持されるものである。そし
て、この巻ブッシュ７の内周と回転軸６との間には、わ
ずかなすき間が形成されるが、このすき間を通路ｖとし
ている。

上記のようにした軸受孔ｂの最外端にはシール溝SVを
形成するとともに、このシール溝SVにシールｓを装着し
て、上記通路ｖの外側を閉塞している。そして、この通
路ｖはボディ１に形成したドレン通路ｐに連通している
が、このドレン通路ｐは、上記シール溝SVの底部からボ
ディ１側に形成したキリ孔で構成されている。

しかして、回転軸６とともにローター４を回転する
と、供給口８から吸込まれた流体が、ボディ１、カムリ
ング３及びカバー２の三者に形成のポート９〜12が相ま
って構成する連通路Ｒを経由して、カバー２に形成の図
示していない吸込ポートに供給され、この吸込ポートか
らベーン５とカムリング３とによって構成される作動室
ａに供給される。

このように流体を閉じ込めた作動室ａは、ローター４
が約1/4回転した時点で、その容積が縮小するので、当
該作動室ａにおける作動油は、吐出ポートOUから吐出さ
れる。

（本考案が解決しようとする問題点） 上記従来のベーンポンプでは、ドレン通路ｐを、ボデ
ィ１に形成した細径のキリ孔だけで構成しているので、
この孔加工に時間がかかる。しかも、このキリ孔は長い
ので、その加工途中でドリルが折れたりして危険がとも
なうとともに、このドリルの振れが大きくなって予期し
ない方向に当該ドレン通路ｐが形成されてしまうという
問題もあった。

この考案の目的は、キリ孔を短くてすむようにして、
上記従来の欠点を解消したベーンポンプを提供すること
である。

（問題点を解決する手段） この考案は、ボディとカバーとを分離し、このボディ
に形成した軸受孔に巻ブッシュを嵌着し、この巻ブッシ
ュで回転軸を支持するとともに、ボディ内に設けかつベ
ーンを放射状に設けたローターに回転軸を嵌着する一
方、上記巻ブッシュの内周と回転軸との間に通路が形成
される構成にし、この通路の最外端に相当する上記軸受
孔周囲にシール溝を形成し、このシール溝にシールを装
着し、しかも、上記通路をボディに形成したドレン通路
に接続してなるベーンポンプを前提にするものである。

上記のベーンポンプを前提としつつ、この考案は、上
記軸受孔に沿って凹部を形成し、この軸受孔に巻ブッシ
ュを嵌着することによって、巻ブッシュを凹部に露出さ
せるとともに軸受孔と凹部とを区画し、しかも、上記軸
受孔と回転軸との間に形成される上記通路を、上記シー
ル溝を介して凹部に連通させ、かつ、この凹部の最深部
あるいはその近傍からキリ孔を形成し、これら凹部及び
キリ孔でドレン通路を構成した点に特徴を有する。

（本考案の作用） この考案は、ボディに形成した凹部を巻ブッシュで区
画してドレン通路としたので、当該凹部をあらかじめボ
ディに型成形できる。そして、軸受孔に巻ブッシュを嵌
着する以前に、当該凹部の最深部あるいはその近傍から
キリ孔を形成し、これら凹部及びキリ孔によって、ドレ
ン通路を構成する。

（本考案の効果） この考案のベーンポンプによれば、ドレン通路の一部
を構成する凹部の部分のキリ孔加工を省略できるので、
それだけキリ孔加工の長さが短くてすむ。したがって、
キリ孔加工を長くしたときの問題、すなわちドリルの折
損による危険や、ドレン通路の寸法精度の狂い等の種々
の問題を解消できる。

また、凹部を形成して、この凹部に潤滑流体を導くよ
うにしたので、この凹部に内の潤滑流体によって巻ブッ
シュ及び回転軸を冷却できる。したがって、回転軸に生
じる摩擦熱などを冷却できる。

（本考案の実施例） 第１、２図に示したこの考案の実施例は、ボデイ21の
側面をカバー22でふさぐとともに、このボディ21にカム
リング23を内装している。そして、このカムリング23内
にはローター24を設けるとともに、このローター24には
前記従来と同様のベーン25を挿入している。

さらに、上記ローター24を回転自在に支持する回転軸
26は、小径部26aと大径部26bとを形成するとともに、こ
れら小径部と大径部との間にテーパ部26cを形成してい
る。そして、上記小径部26aは、ローター24の中心部分
を貫通するとともに、その貫通部分を、カバー22側に設
けたメタル製のベアリング27に支持させている。また、
上記大径部26bは、ボディ21に設けたメタル製の巻ブッ
シュ28に支持されているが、この巻ブッシュ28はボディ
21に形成した軸受孔29に嵌着している。そして、この軸
受孔29の外側にはシール溝30を形成し、このシール溝30
にシール31を装着している。

また、上記軸受孔29の最外端から内方に向って凹部32
を形成しているが、この凹部32は当該ボディ21に型出し
で形成したものである。そして、上記軸受孔29に巻ブッ
シュ28を嵌着することによって、この凹部32が軸受孔29
から区画されるようにしている。このようにした凹部32
の最深部からキリ孔33を形成し、これら凹部32及びキリ
孔33で、この考案のドレン通路を構成するようにしてい
る。

さらに、上記回転軸26の小径部26aからテーパ部26cの
周囲にかけてすき間Ｈを形成するとともに、このすき間
Ｈは、上記巻ブッシュ28と大径部26bとの間に形成した
通路34に連通させている。そして、この通路34は、上記
シール31の内側を通って凹部32に連通するようにしてい
る。

なお、上記すき間Ｈ、通路34、凹部32及びキリ孔33
で、潤滑経路を構成するものである。

しかして、回転軸26を回転すると、ローター24が回転
するとともに、カムリング23に沿ってベーン25が出没
し、ポンプ機能を発揮すること従来と全く同様である。

ただし、この実施例では、上記のようにテーパ部26c
を形成したので、小径部26aと大径部26bとに連続性が保
たれる。しかも、小径部よりも大径部の方が、その周速
度が速いので、潤滑流体が粘性的に引っ張られ、ロータ
ー24側の流体が、上記すき間Ｈ→通路34→凹部32→キリ
孔33を経由して流れるので、回転軸26の周囲に十分な潤
滑流体が供給されることになる。

また、この実施例では、軸受孔29に沿って凹部32を形
成し、この凹部32の最深部からキリ孔33を形成するよう
にしたので、従来のベーンポンプに比べて、この凹部32
の分だけ当該キリ孔33の長さを短くできる。このように
キリ孔33の長さを短くできるので、その孔加工の際に、
そのドリルが折れたり、あるいはそれが大きく振れて予
期しないところにキリ孔が形成されたりしなくなる。

なお、この実施例においても、供給口８及びポート
９、11を形成していること、従来と同様である。

【図面の簡単な説明】

図面第１、２図はこの考案の実施例を示すもので、第１
図は断面図、第２図は第１図のII-II線断面図、第３図
は従来のベーンポンプの断面図である。 21……ボディ、22……カバー、24……ローター、25……
ベーン、26……回転軸、28……巻ブッシュ、29……軸受
孔、30……シール溝、31……シール、32……凹部、33…
…キリ孔、34……通路。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−53690（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−181（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−127878（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ボディとカバーとを分離し、このボディに
   形成した軸受孔に巻ブッシュを嵌着し、この巻ブッシュ
   で回転軸を支持するとともに、ボディ内に設けかつベー
   ンを放射状に設けたローターに回転軸を嵌着する一方、
   上記巻ブッシュの内周と回転軸との間に通路を形成する
   構成にし、この通路の最外端に相当する上記軸受孔周囲
   にシール溝を形成し、このシール溝にシールを装着し、
   しかも、上記通路をボディに形成したドレン通路に接続
   してなるベーンポンプにおいて、上記軸受孔に沿って凹
   部を形成し、この軸受孔に巻ブッシュを嵌着することに
   よって、巻ブッシュを凹部に露出させるとともに軸受孔
   と凹部とを区画し、しかも、上記軸受孔と回転軸との間
   に形成される上記通路を、上記シール溝を介して凹部に
   連通させ、かつ、この凹部の最深部あるいはその近傍か
   らキリ孔を形成し、これら凹部及びキリ孔でドレン通路
   を構成したベーンポンプ。