JP2545717B2 - フリンジ発生装置及びこれを用いた論理演算装置 - Google Patents

フリンジ発生装置及びこれを用いた論理演算装置

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JP2545717B2 JP2254714A JP25471490A JP2545717B2 JP 2545717 B2 JP2545717 B2 JP 2545717B2 JP 2254714 A JP2254714 A JP 2254714A JP 25471490 A JP25471490 A JP 25471490A JP 2545717 B2 JP2545717 B2 JP 2545717B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はレーザ光の可干渉性を利用し、少なくとも二
本のレーザ光を干渉させて得られる光の干渉強度パタ
ン、すなわちフリンジを発生させるための装置における
改良に関し、また、そうしたフリンジ発生装置を用いて
構成される論理演算装置に関する。
[従来の技術] 周知のようにフリンジとは、レーザ光に代表されるコ
ヒーレント光の持つ可干渉性により、位相と波長が揃っ
た少なくとも二本のコヒーレント光を干渉させた結果と
して得られる光の干渉強度パタンのことを言い、当該パ
タン中における山の数は二つの光源の径と間隔(ないし
はそれらの比)に依存し、山と谷の位置は各光の位相差
に依存する。
このようなフリンジは、距離や凹凸の測定等から情報
処理に至るまで、幅広い応用が可能なため、従来からも
そうしたフリンジ自体を発生させる装置のみならず、フ
リンジの数や山谷間の間隔、さらには偏向(山の位置の
変更)等を制御する技術についても模索されていた。
しかし、従来におけるフリンジ発生装置では、干渉さ
せるべき二本のコヒーレント光は、単一のコヒーレント
光源から出力された一本のコヒーレント光を途中で二本
に分岐することで得ており、これらを再び混合すること
により、フリンジを発生させていた。これは、独立した
二つの光源から位相と波長の揃ったコヒーレント光を得
るのが難しかったからであるが、のみならず、実際に開
発されているフリンジ発生装置では、コヒーレント光源
としてガス・レーザ等、比較的大きなレーザ発振装置を
用いており、その出力レーザ光の光路中にスリット、プ
リズム、反射鏡、レンズ、ホログラム等、適当なる光学
部品を空間的に配置することで二本のコヒーレント光に
分離した後、同様の光学部品で再度混合していた。
また、発生させたフリンジの山と谷の位置を調整する
ためには(すなわち、フリンジ中の山ないし谷を偏向す
るためには)、原理的には二本の分離したコヒーレント
光の光路長差を光の波長の数分の一程度の精度で変化さ
せ、それらの間に位相差を与えれば良いので、上記の従
来例でもこの考えに従い、光路途中に配した反射鏡の空
間的な位相を機械的に動かしたり、あるいはまた、光路
中に電磁気的に屈折率の変化する媒質を挿入し、それに
対して電流、電界ないしは磁界等を印加することで見掛
けの光路長を変化させていた。
[発明が解決しようとする課題] しかるに、上記のようなフリンジの発生、制御に関
し、これまでの事情を考察すると、種々解決すべき問題
点を挙げることができる。
まず光源につき述べるに、従来は上記したようにガス
・レーザ等の比較的大型な光源が使用されており、した
がって、特に情報処理等の応用分野に適用するには消費
電力が大き過ぎ、何よりも小型化が困難であった。
そしてこれは、仮に光源だけを半導体レーザ等の微細
素子に代えたとしても、従来の装置構成のままでは本質
的な解決とはならなかった。
すなわち、従来の装置構成では、フリンジの発生、制
御には単にレーザ光源のみならず、レーザ光路途中に配
置された種々の光学部品を要するため、それら全てを半
導体レーザ並のレベルにまで小型化ないし微細化するの
は将来的にも大変な努力を要するし、特に全ての光学部
品を半導体レーザ光源と集積化することは不能に近い。
また、もし仮に、そうした全ての光学部品の小型化、
微細化に成功し得たとしても、従来の装置構成では、発
生するフリンジ自体の安定性やその制御には高精度が望
めない。レーザ光源と各光学部品を極めて高い精度で機
械的に位置固定することからして困難であるし、まして
や、フリンジの山と谷の位置調整ないしは偏向を制御す
るために、光路を形成している反射鏡の空間位置を光波
長の数分の一程度の精度で機械的に動かさねばならない
のは至難の技である。電気的な制御も難しいし、駆動の
ための装置系も大型になってしまう。これに対し、上記
したように、見掛け上の光路長の制御に電磁応答性の屈
折率可変媒体を利用すれば、電磁気的な制御の可能性や
高速性こそ得られるが、やはり他の光学部品との組合せ
を考えると、全体としての小型化には直ぐに限界が見え
てしまう。
もっとも、半導体レーザ素子には、これまでにもそれ
ぞれのレーザ発振原理に従い、それこそ実に多くの構造
的特徴を持つものが提案されているが、概ねそのいずれ
においても、レーザ発振領域となる活性領域自体は、要
すれば隣接するもの同志を数μmオーダにまで近接させ
ながら、任意個数、形成することができる。
そこで、少なくとも互いに近接した一対の活性領域に
おいてそれぞれ発振されるレーザ光の位相と波長とを揃
えることができさえすれば、特に混合機構を採用しなく
ても、遠視野像においてはフリンジないしフリンジに相
当するパタンが得られる筈である。
しかし、従来においてこの点に関し深く考察を施した
例はなく、二つの独立なレーザ素子の同期を取るために
は、せいぜい、素子後方に配置したレンズや外部反射鏡
により、素子後方端からの出射レーザ光をフィード・バ
ックする程度しか考慮されていなかった。もちろんこれ
では、先に述べた通り、安定なフリンジの発生や山と谷
間の高精度な位置調整等は望めない。
本発明はこのような従来の実情に鑑み、最も基本的に
は、 外部光学部品を用いることなく、素子単体としてフリ
ンジを安定に発生することができ、かつ、小型化ないし
微細化に適した構造のフリンジ発生装置を提供するこ
と, という目的を果たすためになされたものである。
その上で、本発明はまた、さらに達成すると望ましい
目的として、下記に列挙するような各付随的な目的を有
している。
フリンジにおける山や谷の数を所望の数とすることが
簡単かつ確実であること。
フリンジの山ないし谷の偏向、すなわち、それらの位
置を制御するにも、電磁気的または光回路的に制御し易
い構造を有しており、かつ、その制御精度も高いこと。
上記の項目を満たすために必要な追加の構造部分も
また、極力簡単な構造で小型化、微細化に適した構造と
すると共に、望ましくはフリンジ発生に要する光源部分
と同一基板上に集積するのも容易なこと。
上記のようにして安定に発生させたフリンジを高い精
度で制御可能にした機能を併せ持つフリンジ発生装置を
提供した場合、その最も有力な応用例の一つとして、デ
ジタル演算に適した論理演算装置の基本的な構成を提供
すること。
[課題を解決するための手段] 本発明ではまず、上記した最も基本的な目的を達成
するために、それぞれレーザ光出射端面を持つ二つのレ
ーザ活性領域を単一の半導体レーザ構造中に作り込み、
かつ、当該半導体レーザ構造中においてそれら二つのレ
ーザ活性領域を互いに光光結合させると共に、二つのレ
ーザ活性領域の幅と互いの離間距離を、遠視野像におい
て得るべき所望のフリンジパタンに応じて決定すること
を提案する。
このような概念は従来ないが、本発明の開示に伴い、
同一半導体レーザ構造中に近接して形成された二つのレ
ーザ活性領域同志を当該半導体レーザ構造中においての
み、光結合させようとするならば、それ自体は困難なこ
とではない。
例えば、二つのレーザ活性領域の間隔を数μmオーダ
以下にまで十分に近接させ、かつ、それら二つのレーザ
活性領域間に意図的に漏洩光を生じさせればそうした光
結合を実現できる。
あるいはまた、二つのレーザ活性領域の一対の端面の
中、一方の端面同志を共通にし、他端面をそれぞれ独立
にすることによっても実現することができ、さらに、二
つのレーザ活性領域を互いに交差させ、幾何的な意味で
も共通の交差領域を形成することで実現することもでき
る。
本発明は以上のように、基本的には上記構成のフリン
ジ発生装置を提案するものであるが、この基本発明に従
属する下位の概念の発明として、二つのレーザ活性領域
からそれぞれ出射されるレーザ光を導波する光導波路を
併せ持つフリンジ発生装置も提案する。
この場合、当該光導波路は、一般に上下が相対的に低
屈折率のバッファ層で挟まれた相対的に高屈折率の層状
の光導波路として構成することができ、したがってこの
ような光導波路は、幾何的な構成部材としては両レーザ
活性領域に共通の部材となるが、実質的には、各レーザ
活性領域から出射されたレーザ光がこの層状光導波路中
を光軸に沿って通過して行く部分のみを実効的な各専用
の光導波路部分と考えることができる。
これに対し、各レーザ活性領域に専用で周囲全体がバ
ッファ層により囲まれた一対の線状光導波路を使用する
ことも当然に考えられる。
さらに、本発明では、上記のような層状光導波路の実
質的な各光路部分に対して、あるいはまた、幾何的に形
のある構成部材としても各レーザ活性領域に専用に作ら
れた一対の線状光導波路を用いた場合にはそれら各導波
路の一方または双方に対して、選択的にその屈折率を制
御する屈折率制御機構を備えさせ、この屈折率制御機構
の備えられた光路部分ないし光導波路が位相調整領域と
なっているフリンジ発生装置も提案する。
また、この場合の屈折率制御機構としては、光導波路
を挟み互いには逆導電型にあるバッファ層と、それら一
対のバッファ層に対してオーミック接触した制御電極と
から構成する場合や、オーミック電極に代え、光導波路
を直接に照射可能な制御光(可視光領域の外、赤外光領
域等も含む)の発生手段を有する場合も提案する。
このような屈折率制御機構を有する本発明のフリンジ
発生装置では、後述の作用ないしは実施例の説明を通じ
て明らかなように、発生させたフリンジのパタン形状そ
のもの、つまり、山や谷の位置を電気的ないし磁気的、
あるいはまた光回路的に制御可能な機能をも有すること
になる。
そこで本発明は、この事実に従い、これまでは実用化
したくてもできなかったフリンジ応用分野の一つとし
て、デジタル論理演算への進出を約束する基本的な論理
演算装置構成をも提案する。
すなわち、互いに光結合され、単一のレーザ構造中に
作り込まれた二つのレーザ活性領域から成る最も基本的
なフリンジ発生のための構造部分と、上記した屈折率機
構を有する位相調整領域とに加え、フリンジ発生装置の
レーザ活性領域から上記した位相調整領域中の各光導波
路を介して出力される一対のレーザ光が遠視野像におい
てフリンジを描く空間範囲内にあって、位相調整領域に
おける屈折率制御に伴うフリンジのパタン変更により、
選択的に受光量の変化を受け得る位置に受光器を配した
構成を提案する。
[作用] 本発明のフリンジ発生装置では、それぞれレーザ光出
射端面を持つ二つのレーザ活性領域を単一半導体レーザ
構造中に作り込み、かつ、当該半導体レーザ構造中にお
いてそれら二つのレーザ活性領域を互いに光結合してい
る。
この光結合の方法には本願請求範囲記載中のように、
また、すでに述べた通り、二つのレーザ活性領域を互い
に十分に近接させて互いに漏洩光が生じるようにした
り、あるいは少なくとも一部で共通の領域を有するよう
にする手法があるが、いずれにしても互いに光結合して
いるため、通常の半導体レーザと同様で良い駆動原理を
援用し、各レーザ活性領域への電流注入によりレーザ発
振させただけでも、幾何的には二つのレーザ活性領域が
互いに独立した活性領域として形成されているにもかか
わらず、それら一対のレーザ活性領域におけるレーザ発
振は同期し、発振する一対のレーザ光の波長、位相も極
めて良く揃って、遠視野像としてフリンジに相当するパ
タンを描く。そして、このパタンは、本発明によると二
つのレーザ活性領域の幅と互いの離間距離により所望の
形状とされる。
換言すれば、本発明のフリンジ発生装置は、外部に光
混合のための光学素子を要することも全くなく、素子単
体としてフリンジを発生できるものとなり、しかも、実
質的には半導体レーザ構造であるので、極めて微細な素
子となり得る。
また、こうした本発明の基本態様に加え、各レーザ活
性領域の出射端面に入射端面を望ませた光導波路を用い
た場合、その光導波路が幾何的な構成部材としては共通
の層状光導波路であるか、あるいは逆に各レーザ活性領
域から出射される各レーザ光に専用に設けられた線状光
導波路であるかの相違にはかかわりなく、少なくとも、
光軸方向に沿う任意の位置に実効的なレーザ光出射端面
を確定できる。
そうではなく、一対の線状光導波路をその長さの全長
に亙り非平行な直線導波路とした場合、あるいはまた、
層状の光導波路であっても二つのレーザ活性領域自体が
互いにその一端面で共通になっているか途中に交差する
領域を有する等して各出射レーザ光が互いに斜め方向に
出射される場合には、実質的に半導体レーザ構造におけ
る一対のレーザ出射端同志の間隔を光導波路構造部分の
出射端側では変更することができる。
したがって、先に述べたフリンジに関する原理から明
らかなように、光導波路の幾何的な寸法の如何により、
遠視野像におけるフリンジの山や谷の数を所望の値に調
整、固定することができる。
同様のことは一対の線状光導波路の少なくとも一方ま
たは双方に、少なくともその長さの一部分において屈曲
した部分を形成することにより、それら一対の光導波路
の入射端同志の間隔と出射端同志の間隔とが異なってい
る場合にも言えるが、さらに望ましいことに、こうした
構造に従い、屈曲部分を経た後、再度、互いに平行にな
った導波路部分において当該光導波路の寸法を決定する
ようにすれば、その切り出しの際の加工精度は一対の光
導波路間の離間間隔精度に何の影響も与えることがなく
なり、極めて高い精度が得られる。
いずれにしても、光導波路構造部分を追加して成る本
発明のフリンジ発生装置では、光源部分である半導体レ
ーザ構造部分における一対のレーザ活性領域の出射端面
間の距離は一定であっても、光導波路部分の所の幾何的
な寸法調整により、様々な数のフリンジの山を発生させ
ることができる。
さらに、上記した構成により、層状光導波路の実効的
な一対の光路部分または一対の専用線状光導波路の少な
くとも一方または双方にそれらの屈折率を選択的に制御
する屈折率制御機構を備えさせた場合、それら屈折率制
御機構の備えられた光路部分ないしは光導波路は、その
中を通るレーザ光の位相調整領域となる。
屈折率制御機構としては、本願要旨構成中に記載して
いるように、例えばまず、pnバッファ層の一方あてに各
オーミック接触した計一対のオーミック電極を使用する
ことができるが、この場合には、当該一対のオーミック
電極を介しての順方向電流注入による光導波路内のキャ
リア数の変化や、逆バイアス電圧による空乏層への高電
界印加に伴うフランツ−ケルディッシュ効果により、当
該光路部分ないし光導波路内にて実効的な屈折率変化を
得ることができる。
したがって、これは結局、当該光路部分ないし光導波
路中を通過するレーザ光に対し、その光路長を可変調整
することになるので、結果として一対の出力レーザ光に
所定の位相差を与えることができる。
また同様に、本発明の他の態様に従い、一対のオーミ
ック電極による順方向電流注入に代え、外部から制御光
を照射しても、光路部分ないしは光導波路中に選択的に
キャリアを発生させることで屈折率を制御できるので、
出射される各レーザ光間に所定の位相差を与えることが
できる。
さらに、適当なるランプ、ヒータ等を用い、外部制御
光としても熱エネルギとしての意味の方が高い赤外光を
利用すると、光路部分ないし光導波路における発熱、温
度変化によって屈折率変化を生起させることもできる。
さらに場合により、上記の通りpnバッファ層と一対のオ
ーミック電極による場合でも、順方向電流の印加に伴う
発熱で同様の効果を得ることもできる。
いずれにしろ、このようにして各出射されるレーザ光
間に所定の位相差を与えることができれば、同一の空間
位置における遠視野像でも、フリンジの包絡線形状には
変化を及ぼすことなく、フリンジの山の位置を変更(偏
向)することができ、また、この変化は、一般に位相の
回りに伴い周期的になる。
したがって、一対の光路部分ないし一対の光導波路の
各々に屈折率制御機構を設け、かつ、ある空間位置にお
いて当該フリンジのパタン変更を受け得る位置に受光器
を一つまたは複数個設けて成る本発明の論理演算装置に
よれば、双方の屈折率制御機構を稼動するか、あるいは
一方のみに留めるか、一方のみを稼動させる場合にはど
ちらを稼動させるか等に関し(具体的には各屈折率制御
機構に印加する電流、電圧や磁界の大きさの差、ないし
は照射光の強度差に関し)、二つの入力二値論理変数の
各々の値に応じてある法則を定めれば、ある場合のフリ
ンジのパタンでは特定の受光器がフリンジの山の部分に
相当する位置にあり、検出閾値を越える光量を受ける
が、他の受光器はフリンジの山に相当する部分には位置
せず、検出閾値を越える光量を受けないとか、他の屈折
率制御機構の稼動パタンではその逆の結果になるとかの
選択的な検出動作を期待することができる。
当然これは、与えられた二つの二値論理変数間の論理
演算に利用することができるし、同様にして屈折率制御
機構を稼動させる組合せ、ないしはその稼動のさせ方に
適当なる関係を定めることにより、さらに他の種類の論
理演算にも応用を計ることができる。
なお、フリンジ発生のそもそもの光源部分となる半導
体レーザ構造部分や、バッファ層で挟まれるか囲まれた
光導波路部分等は、上記構造上、簡単に同一の基板上ま
たは同一の支持体上に集積することができ、全体として
も極めて微細な素子とすることができる。後述の実施例
中にも認められる通り、場合により、電極構造や端面の
処理に少しの変更を必要としても、レーザ構造部分と光
導波路構造部分とはほとんど同様の構造として形成する
ことすら可能である。
論理演算装置を構成する場合に必要な受光器に関して
も然りであって、同一基板上にレーザ構造部分、光導波
路ないし位相調整領域、受光器を構築しても、光導波路
ないし位相調整領域の出射端面と受光器入射端面との間
に適当な長さに亙る溝(空間部分)を形成するか、光透
過可能でフリンジを生成できる幅の媒質領域を形成すれ
ば、集積化された論理演算装置を実現することができ
る。
もちろん、本願請求範囲記載中の構成は、発明として
の必須構成要件をのみ、記載するものであるので、例え
ばレーザ活性領域が三本以上、互いに隣接して配置さ
れ、それら隣接するもの同志の間に光結合が満たされて
いるフリンジ発生装置もまた、本発明に従い構築するこ
とができる。換言すれば、それら複数本のレーザ活性領
域の中、少なくとも隣接する二本に対し、本発明の構成
が満たされている限り、そうしたフリンジ発生装置もま
た、本発明の範囲内に入り、少なくとも当該隣接する二
本のレーザ活性領域を含む部分において上記した作用を
営むものとなる。
[実施例] 第1図には本発明に従って作製されたフリンジ発生装
置10の望ましい一実施例が示されているが、特にこの実
施例の場合には、本発明の最も基本的な構成部分である
フリンジ発生のための光源部分としての半導体レーザ構
造7のみならず、この半導体レーザ構造7から各出射さ
れた一対のレーザ光を導波する光導波路構造8をも有
し、さらに、当該光導波路構造8は、これに対して後述
する屈折率制御機構が付されている結果、導波されるレ
ーザ光の位相を制御できる位相調整領域9ともなってい
る。
静的な構造から説明すると、n型GaAs基板11の上には
相対的に低屈折率なn型AlxGa1-xAsバッファ層12が形成
され、その上には、半導体レーザ構造7の部分では活性
層13Aとなり、光導波路構造8の部分では層状光導波路
層13Gとなる相対的に高屈折率なAlyGa1-yAs層13が形成
されている。
高屈折率層13の上には再度、相対的に低屈折率な、た
だし導電型がp型のAlxGa1-xAsバッファ層14が形成さ
れ、その上にはp型のGaAs導電領域15-1,15-2,15-3
15-4が形成されている。
この実施例の場合、当該p型導電領域15-1,15-2,15
-3,15-4は通常のフォト・リソグラフィの援用により、
それぞれ、所定の幅と厚味を持ち、かつ、互いに近接し
て配置された矩形断面で直線的に伸びるリブ状の部材と
して形成されており、半導体レーザ構造部分中の一対の
p型導電領域15-1,15-2の各々に対し、光導波路構造8
中のp型導電領域15-3,15-4がそれぞれ同軸に整合して
いる(と言うよりも、後述する劈開ないし分離の前工程
までは、半導体レーザ構造も光導波路構造も各半導体層
に関しては全く同様の構造に作製されるので必然的に整
合する)。
p型バッファ層14とこれらの各p型導電領域15-1,15
-2,15-3,15-4の上には一連にSiNx絶縁層16が形成さ
れ、さらにその上に適当なる導電材料による電極層が形
成されるが、この絶縁層16にはエッチング処理により開
口が開けられているので、この開口を介し、当該電極層
は各p型導電領域15-1,15-2,15-3,15-4の表面に対し
てオーミック接触する。
しかるに、この電極層は、少なくとも光導波路構造8
ないしは位相調整領域9となる部分においては、各p型
導電領域15-3,15-4に各専用の第1、第2電極17-1,17
-2が形成されるように、エッチング処理等によって互い
に横方向に絶縁分離されている。
対して、半導体レーザ構造8となる部分においては、
一対のp型導電領域15-1,15-2に対して共通の電極が形
成されれば良いので、特に上記のような専用電極形成の
ための分離作業は必須としないが、製造上の都合を考え
ると、一応、光導波路構造部分8において各p型導電領
域15-3,15-4に各専用の第1、第2電極17-1,17-2を形
成するのと同一の工程で電極層をとりあえず左右に分割
してしまい、その後、半導体レーザ構造部分では両p型
導電領域15-1,15-2に共通の電極が形成されるように、
それらを電気的に並列接続しても良い。本書では便宜
上、この半導体レーザ構造部分における両p型導電領域
15-1,15-2に共通の電極を第0(零)電極17-0と呼称す
る。
n型基板11上に形成された上記構造に対し、当該基板
11の裏面には、半導体レーザ構造7に対しても、また光
導波路構造8ないしは位相調整領域9に対しても、上記
した第1、第2、第0電極とそれぞれ対をなす共通電極
18が形成されているが、これはまた、本フリンジ発生装
置10の物理的な支持部材として利用することもできる。
しかるに、製作上は以上のように実質的に同一の積層
構造として作製できる半導体レーザ構造部分7と光導波
路構造部分8(位相調整領域9)も、動作上は電気的、
光学的に分離する必要があり、そのため、この実施例で
は、分離面20にて示されるように、例えば劈開により、
それら両構造部分7,8(9)を分離し、最初は一連に形
成されていた第1、第2電極17-1,17-2と半導体レーザ
構造側の共通電極としての第0電極17-0とを互いに絶縁
分離している。ただし、この分離法は任意であり、アル
ゴン・イオン・エッチング等、適当なる他の公知技術に
よっても分離可能である。
図示されている半導体レーザ構造7の部分は、明らか
なように、縦方向の屈折率変化を利用して光を閉じ込め
るレーザ活性領域を有する公知既存のこの種の半導体レ
ーザの基本構成に準じており、劈開等の分離により、最
初は一連に形成された高屈折率層13を分離して得た活性
層13Aに対し、第0電極17-0と共通電極18間に一対のバ
ッファ層12,14間を順バイアスする極性の電圧を印加し
て順バイアス電流を流した場合、この電流値が発振閾値
を越えると当該活性層13Aの中、p型導電領域15-1,15
-2の下に位置する領域部分で励起キャリアによるレーザ
発振が生ずる。
このレーザ発振が生起する領域は、第1図示の実施例
装置の動作を説明するためにも構造を簡単化して示した
第2図中において、レーザ活性領域1-1,1-2として便宜
上、斜線を付して示してある。
しかるにまず、本発明のフリンジ発生装置10としてこ
れだけでも本発明の最も基本的な態様を満足するこの半
導体レーザ構造部分7の動作につき説明すると、レーザ
活性領域1-1,1-2は互いに十分近接して設けられてお
り、それらの間の高屈折率層部分13を介しての横方向漏
洩光がそれぞれ相手方のレーザ活性領域に漏れ込み得る
ようになっている(漏れの程度は設計的な問題)。
そのため、これら二つのレーザ活性領域1-1,1-2は互
いに幾何的には独立した領域として捕えることができる
のにもかかわらず、同期して発振でき、それら一対の発
振レーザ光の波長、位相は良く揃ったものとなる。
ここで、第2図の簡略図に示されるように、各レーザ
活性領域1-1,1-2の幅を2σ、それらの間の中心間距離
を2dとすると、第1図示実施例装置における半導体レー
ザ構造部分7はいわゆるガウシアン型の強度分布を持つ
平面波を出射でき、事実、位相差零のそうした一対の出
力レーザ光による近視野像と遠視野像は第3図(a)〜
(e)に示されるようなものとなった。
すなわち、それぞれ近視野像に示されるように、レー
ザ活性領域間距離dと各レーザ活性領域の幅σとの比
(d/σ)を1、1.5,2、3、4と変化させた場合、対応
的に第3図(a)〜(e)の各々に示されるように、そ
れらの遠視野像は、いずれも単一のレーザ光源から放射
されたと仮定した場合の遠視野像と同一の包絡線を有す
るが、確実にフリンジを有し、しかも、フリンジの形
状、すなわち光強度の山ないしは谷の数は上記の比d/σ
に応じて変化した。明らかなように、レーザ活性領域1
-1,1-2間の横方向離間距離2dが増す程、フリンジ中の
山の数は増えている。
そして、このレーザ活性領域間の横方向離間距離2d
は、第1図示のような具体的な装置構造では実質的に第
0電極17-0とオーミック接触している一対のリブ状のp
型導電領域15-1,15-2間の横方向離間距離によって所望
の寸法に設定でき、また、各レーザ活性領域1-1,1-2
幅2σは、当該p型導電領域15-1,15-2の幅によって所
望の幅に設定することができる。つまり、実効的な電流
注入部分の幾何寸法に応じてそれらを調整、設定できる
のである。
してみると、重要かつ望ましいことに、本発明のフリ
ンジ発生装置10では、従来のように反射鏡やレンズその
他、外部に光学部品を必要とすることも全くなく、実質
的に一対のレーザ活性領域を有する半導体レーザ構造7
のみによって確実にフリンジを発生することができる。
そして、当該半導体レーザ構造7中には機械的な稼動部
分がないことから当然ではあるが、発生するフリンジは
極めて安定なものであり、かつ、フリンジ中に必要とす
る山の数の設定性も極めて良好である。装置構造の寸法
に関しても極めて微細化することができ、かつ、半導体
基板上への他の電子、光回路要素との集積も容易であ
る。
なお、閾値以上の電流値において発振させた各レーザ
活性領域1-1,1-2に対し、注入する電流量を増減して
も、第3図に示されたパタンには変動のないことも本発
明者の実験により確かめられた。
しかるに、第1図示の本発明実施例装置では、このよ
うな最も基本的なフリンジ発生機構に加え、光導波路構
造8や、さらにはこれに対して屈折率制御機構を持つ位
相調整領域9が備えられているので、次にこれらについ
て説明する。
半導体レーザ構造7の部分から出射される一対のレー
ザ光は、直ちに光導波路構造8の層状光導波路13Gの一
端縁に入射する。そして、当該層状光導波路13Gが横方
向に均質な屈折率分布を有するように作製されていれ
ば、入射した各レーザ光はそのまま直線的に当該層状導
波路13Gを通過し、他端縁から出射して行く。
第2図中では模式式に当該レーザ光が層状光導波路13
G中を通過する領域に斜線を付し、光路部分3-1,3-2
して示しており、出射端面5,6は第1図の方でも模式的
に斜線を付して示してある。
このような構造では、光導波路8の存在により、半導
体レーザ構造7の出力したレーザ光を任意の位置まで、
損失少なく導波することができるが、さらにこの実施例
では、それぞれの光路部分3-1,3-2に対し順バイアスに
よるキャリア注入可能な関係で、ないしは逆バイアス印
加可能な関係で、第1電極17-1と共通電極18、第2電極
17-2と共通電極18とから成る電極対構造が付されている
ので、この光導波路構造8はまた、位相調整領域9とも
なる。
例えば第1電極17-1と共通電極18にのみ、光導波路を
上下に挟むpnバッファ層12,14を順バイアスする極性の
電圧を印加し、順方向電流を流すと、対応する光路3-1
の方のみ、その内部のキャリア濃度を電流注入によって
増大でき、したがって実効的な屈折率は低下する。
屈折率の低下はまた、見掛け上、光路長が長くなった
ことに相当するから、結局、一対の光路部分3-1,3-2
通過する両レーザ光に位相の差が生ずる。
もちろん、こうした位相差は、二組ある電極対17-1,1
8;17-2,18の中、単にどちらかの電極対にのみ、キャリ
ア注入電流を流すか流さないかというオン・オフ的な対
応関係だけではなく、両電極対に共に電流を流すが、流
す電流の値に差を付けることでも生じさせることができ
る(特にこのことは、後述する種々の論理演算の実現に
応用することができる)。
しかるに、上記原理に従い、第1図示装置に基づく実
験によれば、第4図示のような好ましい結果が得られ
た。
本図は先に述べた一対のレーザ活性領域間距離と各レ
ーザ活性領域の幅との比d/σを1.5に固定した場合の実
験結果を示しているが、実際に第1図示の装置構造で
は、二組ある電極対17-1,18;17-2,18を利用しての電流
注入状態を可変することで、光導波路構造8から出射さ
れるレーザ光相互に±π(結局は2π)の位相差を与え
ることに成功しており、第4図(c)に示される位相差
φ=0の場合から位相差を増加させると、第4図(b)
に示されるφ=2/πの状態を経て第4図(a)に示され
るφ=πに至るまで、包絡線の形状や位置には変化がな
くても、フリンジとしての山ないしは谷の位置が変化し
て行き、偏向可能なことが示された。
特に第4図(c)に示される位相差φ=0の場合と第
4図(a)に示される位相差φ=πの場合とでは、丁
度、山や谷の関係が反転している。
一方、第4図(c)に示される位相差φ=0の状態か
ら相対的に負の方向に位相差を生じさせて行った場合に
も、第4図(d)に示される位相差φ=−2/πの状態か
ら第4図(e)に示される位相差φ=−πの状態に至る
まで、上記正方向の変化とは対称的な変化が生じ、位相
差φ=−πの場合と位相差φ=+πの場合とでは結果と
して同一のパタンになった。つまり、フリンジのパタン
は一対のレーザ光の位相差に関し2πを周期とする周期
的な変化を見せる。
このようにして、本発明のフリンジ発生装置では、上
記のような位相調整領域9を設けることにより、電気的
に極めて高い精度でフリンジの山の偏向制御をなすこと
ができる。
しかも、構造上、当該位相調整領域9は半導体レーザ
構造部分7と初めからほとんど同一の構造として一緒に
形成できるので、全体として極めて微細な装置とし得る
外、当然のことながら、本装置相互の集積化や他の電
子、光回路要素との集積化も容易である。
ただ、半導体レーザ構造部分とほとんど同一の構成で
あるということは、上記のようにキャリア注入制御のた
めに各電極対構造17-1,18;17-2,18にpnバッファ層12,14
に関しての順方向電流を流す場合、その大きさがある程
度以上になると、この光導波路構造8ないしは位相調整
領域9の部分でもレーザ発振を生ずる可能性があること
を意味する。
これを防ぐには、第1図中に符号30にて示したよう
に、層状光導波路13Gの出射端縁には無反射コーティン
グを付せば良い。
ただし、各光路部分3-1,3-2における屈折率変化ない
しは光路長の調整は、上記のように順方向電流によって
のキャリア注入に代え、逆バイアス電圧を印加してもな
すことができる。逆バイアスに伴う空乏層に対しての高
電界は、フランツ−ケルディッシュ効果により、直接的
に光路内の屈折率変化を生起することができる。したが
って、使い方をそのようにすると決まっている場合に
は、無反射コーティング30は特に必要のないこともあ
る。
以上、本発明の第一の実施例につき説明したが、その
改変例は種々考えられる。
まず、第1図示の装置構造では、半導体レーザ構造7
の部分においても光導波路構造8の部分においても、レ
ーザ活性領域ないしは光導波路はその上下のみ、バッフ
ァ層12,14により囲まれており、横方向にはそうしたバ
ッファ層が存在していない。半導体レーザ構造部分7で
は上記した通り、一対のレーザ活性領域1-1,1-2間の光
結合のため、あえて意図的に漏洩光を利用するので特に
当該レーザ活性領域1-1,1-2の間の部分についてはそう
したバッファ層は存在しない方が良いということも言え
るが、光導波路構造8ないしは位相調整領域9にては、
上下のみならず、左右もそうしたバッファ層で囲まれい
ると良い。
つまり、各レーザ光の通過する光路部分3-1,3-2(第
2図)のみが相対的に高屈折率に形成され、その周囲は
相対的に低屈折率に形成されること等により、当該各光
路部分がそれぞれのレーザ光に専用の光導波路となって
いると望ましいが、これも例えば、公知既存の選択的な
イオン打ち込み技術等を利用することにより、十分に実
現可能である。
以下、こうしたことから、これまでは一対のレーザ光
に共通の導波路部材として形成された層状光導波路13G
中において、実際にそれらレーザ光が通過する部分を光
路部分3-1,3-2と読んだが、これに加えて、周囲が完全
にバッファ層で囲まれ、幾何的な構成部材としても各レ
ーザ光に専用の領域となっている一対の光導波路を用い
る場合も含め、それらを単に光導波路3-1,3-2と呼ぶ。
また、通常、光導波路とは、コアとクラッド(バッファ
層に相当)から成るものと定義される場合が多いが、本
書ではむしろ直感的な理解を容易にするため、コアに相
当する部分のみを光導波路と呼んでいる。
そこで、次にこの光導波路部分の改変例について述べ
ると、第1,2図示の実施例構造では、当該光導波路構造
8の部分における一対の光導波路3-1,3-2は、互いに直
線的かつ平行に伸びる線状導波路であったが、これを例
えば第5図に示されるように、それぞれは線状の導波路
ではあるが、非平行であって、各出射端5,6に行く程、
離間して行く関係とすると、当該光導波路構造8として
の軸方向の幾何的な寸法Lを変化させることで、出射端
5,6における一対のレーザ光間の離間距離d(以下、比d
/σの問題であるので、第1,2図中における寸法2dは単に
dに代える)を変化させることができる。
つまり、仮想線の切断線Cで示されるように、長さL
をやや短目のL′とすると、これに連れて出射端5′,
6′間の間隔は符号d′で示されるように短くなり、先
の原理に従い、フリンジの数も変わって(減って)く
る。
当然、これとは逆に長さLをもっと長くすればフリン
ジの山の数も増えるし、また、装置としての軸方向に対
して各光導波路3-1,3-2のなす角度もフリンジの山の数
の関数となる。このような事実は極めて望ましい。半導
体レーザ構造7の部分では光結合効率その他の理由から
寸法的な制約があっても、光導波路構造8の部分でのこ
うした幾何的な調整により、任意かつ正確に必要なフリ
ンジの山数を得られるからである。
そしてこの点は、特にフリンジの山の偏向制御を必要
とせず、フリンジの数のみの調整を要する用途にも有用
である。換言すれば、一対のバッファ層12,14をpn関係
に設定し、かつ、それらに一組の電極対17-1,18;17-2,1
8を設けることで屈折率制御機構を持たせることを必須
としないフリンジ発生装置として本発明を具現すること
も可能である。
ただ、第5図示の構造のままでも、半導体レーザ構造
7からの出射レーザ光軸と光導波路構造部分8での光軸
とに急に角度が持たされているため、ここで結合損失を
生じ易い。そこで、これを防ぐためには、第6図示のよ
うに、レーザ活性領域1-1,1-2の出射端に望む入射端で
は同軸結合となるが、出射端5,6に向かって徐々に曲線
状に滑らかにテーパ付いて行くホーン形状にこれら一対
の光導波路3-1,3-2を作製すると良い。この場合には、
上記した各光導波路上下の部分のみならず、各左右の部
分13′も相対的に低屈折率に変え、バッファ領域ないし
クラッド領域とする。先に述べたような一連の層状光導
波路13Gを用いても、外部からの電界制御等により、レ
ーザ光にこのような曲線軌跡を持たせることも不可能で
はないが、装置構成の実際からすると余り現実的ではな
い。また、最近では、半導体集積層構造中にこのような
滑らかな曲線部分を持つ構造を作製する技術も開示され
ている。
この第6図示の構造でも第5図示の構造について述べ
た通り、光導波路構造8の装置としての軸方向長さを適
当に設定することで実質的に一対のレーザ光間の距離d
を調整でき、フリンジの山の数を必要個数に設定するこ
とができる。しかし、これらいずれの場合にも、例えば
切断位置C(第5図)が設計設定位置から大きくずれる
と、フリンジの数も不安定になる等のおそれが無いとは
言えない。
そこで、このような場合には、第7図に示されるよう
に、光導波路3-1,3-2はその長さの途中部分にのみ、滑
らかな屈曲部分を有し、入射端と出射端の近傍では互い
に平行な直線状線路となっていると望ましい。こうなっ
ていれば、屈曲を終えた点以降であるならば、出射端5,
6に至るまでのどこで切っても、両光導波路間の間隔d
は全く左右されないことになり、当該間隔dは屈曲部分
の始めと終りの位置に関するリソグラフィ精度で決定で
きることになる。もちろん、入射端側でも平行な直線状
となっていることは、半導体レーザ構造7側からの出射
レーザ光に対して光軸整合を取り、結合損失を低減する
上で有利である。
続いてレーザ活性領域1-1,1-2に対する改変例につき
考察する。
これまでの実施例においては、半導体レーザ構造7中
に設けられる一対のレーザ活性領域1-1,1-2は、互いに
横方向に漏洩光を生じさせるためにも近接して平行に配
された直線状の活性領域であった。
しかし、光結合のためには第8図示のような構造も採
用できる。
つまり、一対のレーザ活性領域1-1,1-2は、光軸方向
一対の両端面の中、一方の端面1-3が共通となり、ここ
からそれぞれ斜め方向に互いに離れて行くように伸び、
それぞれ独立な出射端に至っている。したがって、全体
としてみると、この第8図示の半導体レーザ構造7はV
字型のレーザ活性領域を有する構造に見ることができる
が、これはまた、当該共通端面1-3を反射鏡と見ると、
一本のレーザ活性領域をこの鏡1-3で折り返すようにし
たものと等価であり、そのため、先の実施例のように、
一対の独立なレーザ活性領域1-1,1-2同志の間に漏洩光
を生じさせることでそれらの中に生ずるレーザ光相互の
波長、位相を揃える必要もなく、必然的に一対のレーザ
活性領域1-1,1-2は密に光結合される。
そこで、この構造の場合には特に、当該各レーザ活性
領域1-1,1-2の横方向の部分も相対的に低屈折率な領域
とした、いわゆる埋め込みヘテロ半導体レーザ構造と同
様な構造を採用することができ、レーザ活性領域1-1,1
-2に電磁界を集中させての高い動作効率を得ることがで
きる。
このようなV字型活性領域を有する半導体レーザ構造
7の出射端に光導波路構造8を臨ませた場合、その光導
波路構造8が最初に述べたように層状光導波路13Gであ
ったときには、各レーザ光はこの層状光導波路13G中を
互いに離れる方向に斜めに真直ぐ出射して行くので、す
でに第5〜7図に即して説明したように、光導波路構造
8の装置としての軸方向寸法Lに応じ、一対の出射端5,
6間の横方向離間距離dを調整することができ、ひいて
は発生させるフリンジの山の数をそのような幾何的な設
計手段により、所望の値に設定することができる。もち
ろん、光導波路3-1,3-2は上下のみならず左右もバッフ
ァ領域13′により囲まれた各レーザ光に専用の領域であ
って良く、その場合には長さ途中に適当なる屈曲部分を
設けるようにすることもできる。
例えば第9図に示されるように、横方向もバッファ領
域13′で囲まれた各光導波路3-1,3-2は、その入射端で
は互いにテーパ関係にあって各レーザ活性領域1-1,1-2
に光軸整合が取られているが、長さの途中で緩やかに屈
曲し、出射端5,6においては互いに平行になるようにし
てあれば、レーザ活性領域1-1,1-2と対応する各光導波
路3-1,3-2との光結合損失の低下を抑制しながら、屈曲
を終えた点以降の部分で出射端5,6を確定するように計
ることで、光導波路構造8の長さ寸法Lに依存すること
のない出射端間隔dを得ることができ、ひいては所定の
フリンジの山数を安定に得ることができる。
もちろん、第9図中、仮想線で示した光導波路3-1,3
-2に見られるように、少しの光結合損失を許容可能なら
ば、光導波路構造8中における光導波路は入射端から出
射端に至るまで、互いに平行な直線状の光導波路であっ
ても良い。
第10図は、本発明において採用する互いに光結合した
一対の光導波路1-1,1-2における当該光結合を、第8,9
図に示したv字型構造により実現するのに代え、交差構
造により実現したものである。
すなわち、半導体レーザ構造7中に設ける一対の光導
波路1-1,1-2は、それぞれが逆方向に斜めに伸びること
により、互いにその長さの途中部分で幾何的にも交差す
るように構成されており、この交差領域1-4にて直接的
な光結合が計られている。
したがって、第1,2図示実施例におけるように横方向
の漏洩光による光結合を要しないから、第8,9図示実施
例に関して述べたと同様、埋め込みヘテロ構造レーザへ
の適用に適しており、高い動作効率が得られるのみなら
ず、特に高い電磁界が集中する光結合領域ないし交差領
域1-4が半導体レーザ構造の端部ではなく内部に位置し
ているため、高出力動作の場合にも素子の破壊や劣化が
起こり難いという特徴を有している。
もちろん、この第10図示の半導体レーザ構造部分に組
合せる光導波路構造8ないし位相調整領域9は、これま
で述べてきた種々のタイプのものを必要に応じて任意に
組合せることができる。
さらに、これまでのいずれの実施例に対してもその改
変例となるが、光導波路構造8を位相調整領域9として
構成するに際し、当該光導波路部分3-1,3-2中における
キャリア濃度の制御は外部からの制御光の照射によりな
すこともできる。
第11図はそのような場合の実施例であって、第1図示
装置構造の改変例として示してあるため、同一構成で良
い部分ないしは同一の構成要素に関しては説明を省略す
るが、光導波路構造8の表面に備えられていた一対の電
極は除去され、その代わりに、表面絶縁膜16には開口な
いしは入射窓31-1,31-2が開けられていて、この入射窓
を介し、半導体レーザ構造7から入射してきたレーザ光
の光路部分を直接に外部制御光33-1,33-2により、選択
的に照射することができようになっている。
制御光33-1,33-2の収束には図面中でシリンドリカル
・レンズ32-1,32-2で代表させているように、公知既存
の光学系を援用すれば良いが、このような方法によって
も、制御光を照射した光路部分中には電子正孔対を発生
させることができるため、結果としてキャリア濃度を制
御でき、その屈折率を所望の値に可変することができ
る。
したがって、既述の原理に従い、このような構造によ
っても、光導波路3-1,3-2内の見掛けの光路長を可変す
ることで通過して行くレーザ光に位相の進み遅れを与え
ることができ、両レーザ光間に所望の位相差を生じさせ
ることができる。
また、照射する制御光33-1,33-2が例えば適当なるラ
ンプはヒータから発せられた赤外光であるような場合に
は、これによって光導波路部分が直接に熱せられ、温度
変化を起こすことで屈折率が変わる事実を位相制御に利
用することもできる。同様のことはオーミック電極1
7-1,17-2及びそれらと対をなす共通電極18を用いた場
合についても言え、キャリア注入効果というよりも、順
方向電流を流しての光導波路部分での発熱に伴う温度変
化により、屈折率を制御することもできる。
さらに、そのような電流構造によって屈折率制御機構
を構成する場合にも、第1、第2電極17-1,17-2に適当
な間隔で適当な個数の開口を開け、この部分を介して光
の照射も可能なように構成されていれば、電流または電
圧制御と外部制御光制御とを適当に組合せて利用するこ
ともできる。
以上、本発明のフリンジ発生装置10のいくつかの実施
例につき述べたが、その応用例は種々考えられる。しか
し、本発明のフリンジ発生装置によれば、これまで応用
したくともできなかった分野への適用ができ、その代表
的な場合として、論理演算装置の構築がある。
これまでにも、本出願人は、例えばレーザ活性層内の
キャリアの分布状態の変化により、レーザ・ビームの出
力方向を偏向可能なビーム偏向レーザを開示しており、
これを用いることにより、種々の論理演算を光回路で合
理的になし得る装置を提案している(特願平1−143773
号)。
これに関し、例えば万能論理演算である排他的論理和
とその否定論理を実現する場合につき述べると、現実的
な回路構成は、第13図に示されるようなものとなる。
二つの入力用受光器41-1,41-2があり、それらの変換
電気出力はそれぞれ適当なる増幅器42-1,42-2によって
増幅された後、等価的に一対のダイオード40-1,40-2
示されるビーム偏向レーザ40の一対の電極に与えられ
る。
これに対し、ビーム偏向レーザ40の出力するレーザ・
ビームを選択に受ける出力受光器は三つあり、図中、実
線で示されている方向を角度0(零)方向とすれば、こ
の方向に一つの出力増幅器44が備えられ、図中、斜め上
方向である角度+θ方向と斜め下方向である。−θ方向
にも各一つづの出力受光器43-1,43-2が備えられる。
しかるに、入力二変数X,Yに関し、それらの排他的論
理和及びその否定論理を得るためには、まず、約束とし
て、各変数をさらに適当な態様で空間符号化する。
例えば、入力論理変数X,Yがそれぞれ論理“1"の場
合、変数Xは(Xa=1,Xb=0)により、また、変数Yは
(Ya=1,Yb=0)により表し、論理“0"の場合には逆と
する。第13図中ではX=1,Y=0の場合が示されている
ので、(Xa=1,Xb=0)と(Ya=0,Yb=1)の組合せと
なっている。
このようにした上でさらに、Xa,Yaは、それらが0の
場合には一方の入力用受光器41-1に対して光を入射させ
(図中、Yaに関して白抜きの枠で表示)、1の場合には
入射させない(同様にXaに関して黒塗りの枠で表示)よ
うにすると共に、Xb,Ybはもう一方の入力用受光器41-2
に対して同様の状態に対応させる。
また、三つの出力受光器43-1,43-2;44の中、角度0
方向にある受光器44からは変換電気出力Zaを取り出し、
±θ方向に一つあて備えられている残り二つの出力受光
器43-1,43-2の変換電気出力相互は互いに電気的に接続
して出力Zbとする。
こうすると、入力論理変数X,Y間の論理値相互の組合
せに関し全部で四つある組合せの中、例えば図示されて
いる(X,Y)=(1,0)の場合には、結果としてビーム偏
向レーザ40中の一対の電極ないしはダイオード部分4
0-1,40-2に対し、共に同程度の駆動電流が与えられる
ため、ビーム偏向レーザ40からの出力ビームは角度0方
向に最大強度を持つ分布で出力され、これが受光器44に
てのみ捕えられる。
したがって、論理演算結果を表す変換電気出力Zaは論
理“1"となり、他方の変換電気出力Zbは論理“0"とな
る。
これはまた、(X,Y)=(0,1)の場合にも全く同様と
なるが、これに対し、(X,Y)=(0,0)の場合には、先
の約束からして二つの中の一方の入力用受光器41-1にの
み、入射光が与えられるので、ビーム偏向レーザの一方
のダイオード40-1のみが稼動され、その出射ビームは角
度−θ方向に最大強度を示し、これは出力受光器43-1
てのみ捕えられるようになる。
また、(X,Y)=(1,1)の場合には、他方の入力用受
光器41-2にのみ、入射光が与えられるため、ビーム偏向
レーザ40からの出射ビームは角度+θ方向に最大強度を
持って出力され、出力受光器43-2にてのみ、捕えられ
る。
そこで、このように(X,Y)=(0,0)または(X,Y)
=(1,1)の場合には、論理演算結果を表す変換電気出
力Zaは論理“0"、他方の変換電気出力Zbは論理“1"とな
る。
明らかなように、上記の動作は、二つの入力論理変数
X,Yに関し、出力Zaにおいて排他的論理和出力を、また
他方の出力Zbにおいてその否定出力を得られることを示
している。
このようにして、本出願人が既に提案したビーム偏向
レーザを用いての論理演算方式によれば、上記した排他
的論理和のみならず、全ての論理演算を比較的簡単で確
実に動作する光回路により高速で実現することができ
る。しかしなお、改良すれば望ましい余地はあり、例え
ば上記のように排他的論理和とその否定出力を得るよう
な場合にも、必要な二つの出力受光器43-1,43-2の出力
相互を電気的に接続するような配線はないに越したこと
はないし、そもそも出力受光器がどちらか一つで済め
ば、回路の浮遊量等も大いに低減し、より一層、高速化
する。
しかるに、本発明の位相調整領域付きのフリンジ発生
装置10を使用すると、このような要請にも応えることが
できる。
第12図はそのようにして構成された本発明による論理
演算装置の一構成例を示しているが、すでに述べた本発
明による位相調整領域9の付いたフリンジ発生装置は、
本図中でも符号10で示してある。
本回路でも二つの入力用受光器51-1,51-2があり、そ
れらの変換電気出力は適当なる増幅器52-1,52-2によっ
て増幅された後、既述した位相調整領域9における第1
電極17-1と第2電極17-2に与えられる。
これに対し、本発明のフリンジ発生装置10からの出力
レーザ光を選択に受ける出力受光器は二つしかなく、図
中、実線で示されている角度0方向に一つの出力増幅器
54が備えられ、図中、斜め上方向である角度+θ方向に
もう一つの出力受光器53が備えられる。
ただし、入力二変数X,Yに関し、それらの排他的論理
和及びその否定論理を得るためには、まず、先の従来例
の場合と同様に各変数をさらに適当な態様で空間符号化
する。
例えば、入力論理変数X,Yがそれぞれ論理“1"の場
合、変数Xは(Xa=1,Xb=0)により、また、変数Yは
(Ya=1,Yb=0)により表し、論理“0"の場合には逆と
する。第12図中では先と同様、X=1,Y=0の場合、す
なわち(Xa=1,Xb=0)と(Ya=0,Yb=1)の組合せが
示されている。しかし、本回路では、都合により、Xa,Y
aは、それらが0ではなくて1の場合に一方の入力用受
光器41-1に対して光を入射させ、0の場合には入射させ
ないようにし、もう一方の入力用受光器41-2に対しての
Xb,Ybの対応関係も同様としている。
こうすると、入力論理変数X,Y間の論理値相互の組合
せに関し全部で四つある組合せの中、例えば図示されて
いる(X,Y)=(1,0)の場合、あるいは(X,Y)=(0,
1)の場合には、結果として本発明フリンジ発生装置10
の位相調整領域9中の各実効光路部分ないし光導波路に
対し、第1、第2電極17-1,17-2のそれぞれを介して各
増幅器52-1,52-2から同じ大きさの電流値を流し込む
か、または共に流し込まない状態を生起することができ
(入力受光器と増幅器との回路関係によりどちらかとす
ることができる)、そうであれば、すでに説明したよう
に、半導体レーザ構造部分7から出射される一対のレー
ザ光には位相差が与えられないため、例えば第4図
(c)に示されているように、このときの遠視野像は角
度0方向にピークを持つパタンのフリンジとすることが
できる。
したがって、両入力X,Yが互いに異なる論理値のとき
に出力論理“1"を得るという排他的論理和の一つの条件
は、当該角度0方向に配置された出力受光器54が検出閾
値を越える光を受けるという状態で満足することがで
き、このときの変換電気出力Za=1を得ることができ
る。
これに対し、(X,Y)=(0,0)の場合には、先の約束
からして一方の入力用受光器51-2にのみ、また、(X,
Y)=(1,1)の場合には他方の入力用受光器51-1にの
み、入射光が与えられるため、本発明フリンジ発生装置
10における位相調整領域中、第1、第2電極17-1または
17-2のどちらか一方にのみ、電流を注入するか、電圧を
印加することができる。
したがって、当該位相調整領域中を通過する一対のレ
ーザ光に屈折率の変化を介して所定の位相差を与えるこ
とができるので、特に、このときの位相差が+πまたは
−πとなるように印加電流値を調整すれば、そのときの
遠視野像におけるフリンジ・パタンは第4図(a)また
は(e)に示されるようなものとなる。
ところが、これもすでに述べたように、第4図(a)
に示されるパタンと第4図(e)に示されるパタンと
は、実質的に位相差2πでの周期的な変化の結果、同様
となるので、このときのフリンジ・パタン中、最大強度
となる二つのピーク方向の中、いずれか一方にのみで良
いから、その方向にもう一方の出力受光器53を配して置
けば、このときには当該受光器53のみが入射光を受け、
他方、角度0方向にある受光器54にはほとんど入射光が
ない状態を生ずることができる。
こうしたことにより、本回路は、二つの入力論理変数
X,Yに関し、所望の排他的論理和を出力受光器54の出力Z
aに、また、その否定論理を他方の受光器53の出力Zbに
得ることができる。
明らかなように、本発明のこのような論理演算装置に
よれば、既述した従来例に比し、必要な出力受光器の数
は一つ低減でき、もちろん、相互配線も不要となる。な
お、上記の例は角度0方向にも±θ方向にも共に大きな
光強度差を与えることができて望ましいが、第4図
(b)または第4図(d)と第4図(c)とのパタン変
更関係を利用することもできる。
もちろん、空間符号化の如何や、これに伴っての位相
調整領域9に備えられる第1、第2オーミック電極1
7-1,17-2に対しての電流または電圧の印加状態の組合
せを任意に固定することにより、上記原理からして全て
の論理演算に適用できることは明らかである。オーミッ
ク電極による電流注入または逆バイアス制御に代え、光
照射によるキャリア発生ないし熱的な屈折率制御を計る
場合にも同様である。
以上、種々の実施例に即して説明したが、本発明のフ
リンジ発生装置では、フリンジ発生のそもそもの光源部
分となる半導体レーザ構造部分や、バッファ層で挟まれ
るか囲まれた光導波路部分等は、上記構造上、簡単に同
一の基板上または同一の支持体上に集積することがで
き、全体としても極めて微細な素子とすることができる
し、場合により、電極構造や端面の無反射処理等、少し
の変更を必要としても、レーザ構造部分と光導波路構造
部分とはほとんど同様の構造として形成することすら可
能である。
第12図示のように、論理演算装置を構成する場合に必
要な受光器53,54や入力側の受光器51とその増幅回路52
に関しても然りであって、同一基板上にそれらを構築す
ることができる。特に論理演算出力側の受光器53,54に
関しても、光導波路出射端面とそれら受光器53,54の入
射端面との間に適当な長さに亙る溝(空間部分)を形成
するか、光透過可能でフリンジを生成できる幅の媒質領
域を形成すれば、集積化するのに何の問題もない。
また、例えばレーザ活性領域が三本以上、互いに隣接
して配置され、それら隣接するもの同志の間に光結合が
満たされているフリンジ発生装置としても、それら複数
本のレーザ活性領域の中、少なくとも隣接する二本づつ
に対してそれぞれ本発明を適用すると考えれば、本発明
は同様にそのような装置をも構築可能である。半導体レ
ーザ構造部分についてもその原理や構造自体は任意であ
って、場合により垂直発振型レーザ(面発光レーザ)の
使用や、これに併せて縦方向の光導波路形成も可能であ
る。
[効果] 本発明によると、何等外付けの光学部品を要すること
もなく、単体の半導体素子として極めて安定かつ簡単に
フリンジを発生できる装置が提供される。装置構造も微
細化が可能であり、これまで応用の利かなかった分野へ
の進出を果たせる。
また、位相調整領域を付加した本発明のフリンジ発生
装置によれば、電磁気的ないしは光回路的にフリンジ中
の山を偏向すること、つまり、包絡線パタンは一定のま
ま、山や谷のある位置を変更することが簡単かつ高精度
に行なえる。装置構造として位相調整領域を含めてな
お、微細化、集積化が可能である。
そして、本発明のフリンジ発生装置を使用した論理演
算装置としては、光回路により高速に、かつ高精度に所
求の論理演算を実行できる外、ビーム偏向レーザを用い
た従来例に比してもなお、好結果の得られる場合があ
る。また要すれば、このような光論理演算回路としても
同様に微細化、集積化されたものを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のフリンジ発生装置の一実施例の斜視
図, 第2図は第1図示実施例装置ないしは本発明の原理を説
明するための概略構成を示す説明図, 第3図は本発明のフリンジ発生装置から得られるフリン
ジのパタンに関し、一対のレーザ光間の間隔を可変した
場合に得られる近視野像、遠視野像の説明図, 第4図は本発明のフリンジ発生装置から得られるフリン
ジのパタンに関し、一対のレーザ光間に位相差を与えた
場合に得られ遠視野像の説明図, 第5図、第6図、第7図はそれぞれ、光導波路構造部分
にそれぞれ改変を施した本発明の各実施例の概略構成
図, 第8図及び第9図は、半導体レーザ構造部分のレーザ活
性領域に関して改変を施した本発明実施例の概略構成
図, 第10図は同様に半導体レーザ構造部分のレーザ活性領域
に関し、互いに交差させた構造を有する本発明実施例の
概略構成図, 第11図は外部からの制御光照射により位相調整をなすよ
うに改変した本発明実施例におけるフリンジ発生装置の
斜視図, 第12図は本発明のフリンジ発生装置を用いて構成された
論理演算装置の一実施例の概略構成図, 第13図は従来開示のビーム偏向レーザを用いて構成され
た論理演算装置の代表的一構成例の概略構成図, である。 図中において、 1-1,1-2は半導体レーザ構造中におけるレーザ活性領
域,1-3は一対のレーザ活性領域に関する共通端面ない
しその近傍部分,1-4は一対のレーザ活性領域の交差領
域,3-1,3-2は層状光導波路中における光路部分ないし
各レーザ光に専用の光導波路,5,6は各光導波路ないし光
路部分のレーザ光出射端,7は半導体レーザ構造,8は光導
波路構造,9は光導波路構造を含む位相調整領域,10は全
体としての本発明フリンジ発生装置,11は基板,12,14は
相対的に低屈折率なバッファ層,13はレーザ活性領域及
び光路部分を形成するための高屈折率層,13Aは一対のレ
ーザ活性領域を構成するためのレーザ活性層,13Gは一対
の光路部分を形成するための層状光導波路,13′は光導
波路よりも低屈折率な横方向バッファ領域,17-0は一対
のレーザ活性領域に共通な第0電極,17-1,17-2は一対
の光路部分ないし光導波路に各専用の第1、第2電極,1
8は共通電極,20は半導体レーザ構造と光導波路構造との
分離面,30は無反射コーティング,31-1,31-2は光入射
窓,33-1,33-2は外部から選択的に照射される制御光,
51-1,51-2は論理演算装置における入力用受光器,53,54
は出力受光器,である。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれレーザ光出射端面を持つ二つのレ
    ーザ活性領域を単一の半導体レーザ構造中に作り込み、
    かつ、該半導体レーザ構造中において上記二つのレーザ
    活性領域を互いに光結合して成ると共に、該二つのレー
    ザ活性領域の幅と互いの離間距離は、遠視野像において
    得るべき所望のフリンジパタンに応じて決定されている
    こと; を特徴とするフリンジ発生装置。
  2. 【請求項2】上記二つのレーザ活性領域の上記光結合
    は、該二つのレーザ活性領域の間隔を十分に近接させ、
    該二つのレーザ活性領域間に漏洩光を生じさせることで
    なされていること; を特徴とする請求項1に記載のフリンジ発生装置。
  3. 【請求項3】上記二つのレーザ活性領域の上記光結合
    は、該二つのレーザ活性領域のそれぞれの一対の反射端
    面の中、一方の端面を共通にし、他端面をそれぞれ独立
    にすることによりなされていること; を特徴とする請求項1に記載のフリンジ発生装置。
  4. 【請求項4】上記二つのレーザ活性領域の上記光結合
    は、該二つのレーザ活性領域を互いに交差させ、共通の
    交差領域を形成することでなされていること; を特徴とする請求項1に記載のフリンジ発生装置。
  5. 【請求項5】上記二つのレーザ活性領域の各出射端には
    光導波路の入射端または入射端縁が臨み、該光導波路の
    出射端または出射端縁から各レーザ光が出射されるこ
    と; を特徴とする請求項1,2,3または4に記載のフリンジ発
    生装置。
  6. 【請求項6】上記光導波路は、バッファ層に挟まれた相
    対的に高屈折率の層状光導波路であり、上記二つのレー
    ザ活性領域の各活性領域は異なる位置で該層状光導波路
    の一端縁に臨んでおり、該各活性領域の該各出射端面か
    ら出射されたレーザ光はその出力光軸に沿い直線的に該
    層状光導波路中を通過し、該層状導波路の対向端縁から
    それぞれ独立に出射すること; を特徴とする請求項5に記載のフリンジ発生装置。
  7. 【請求項7】上記光導波路は、周囲がバッファ層で囲ま
    れた相対的に高屈折率の線状光導波路であって、上記二
    つのレーザ活性領域にそれぞれ専用に一対、設けられて
    いること; を特徴とする請求項5に記載のフリンジ発生装置。
  8. 【請求項8】該一対の線状光導波路は、その長さの全長
    に亙り、互いに平行な直線導波路であること; を特徴とする請求項7に記載のフリンジ発生装置。
  9. 【請求項9】該一対の線状光導波路は、その長さの全長
    に亙り、互いに非平行な直線導波路であり、該一対の光
    導波路の入射端同志の間隔と出射端同志の間隔とが異な
    っていること; を特徴とする請求項7に記載のフリンジ発生装置。
  10. 【請求項10】該一対の線状光導波路の一方または双方
    は、少なくともその長さの一部分において屈曲した部分
    を有し、該一対の光導波路の入射端同志の間隔と出射端
    同志の間隔とが異なっていること; を特徴とする請求項7に記載のフリンジ発生装置。
  11. 【請求項11】上記層状光導波路には、該層状光導波路
    中を通過する上記二つのレーザ光の一方または双方の光
    路部分に対し、選択的にその屈折率を制御する屈折率制
    御機構が備えられ、該屈折率制御機構の備えられた上記
    光路部分が位相調整領域となっていること; を特徴とする請求項6に記載のフリンジ発生装置。
  12. 【請求項12】上記一対の線状光導波路の一方または双
    方には、該線状光導波路に対し、選択的にその屈折率を
    制御する屈折率制御機構が備えられ、該屈折率制御機構
    の備えられた該線状光導波路が位相調整領域となってい
    ること; を特徴とする請求項7,8,9または10に記載のフリンジ発
    生装置。
  13. 【請求項13】上記屈折率制御機構は、光導波路を挟み
    互いには逆導電型の関係にある一対のバッファ層と、該
    一対のバッファ層に対しオーミック接触した一対の制御
    電極とを有すること; を特徴とする請求項11または12に記載のフリンジ発生装
    置。
  14. 【請求項14】上記屈折率制御機構は、上記一対の制御
    電極に代え、上記光導波路を直接に照射可能な制御光発
    生手段を有すること; を特徴とする請求項13に記載のフリンジ発生装置。
  15. 【請求項15】それぞれレーザ光出射端面を持つ二つの
    レーザ活性領域を単一の半導体レーザ構造中に作り込
    み、かつ、該半導体レーザ構造中において上記二つのレ
    ーザ活性領域を互いに光結合したフリンジ発生装置と; 上記二つのレーザ活性領域の各出射端から出射された各
    レーザ光を導波する光導波路と、該光導波路に対し、ま
    たは該光導波路中にあって上記二つのレーザ活性領域か
    ら出射されるレーザ光がそれぞれ通過する光路部分に対
    し、選択的にその屈折率を制御する屈折率制御機構とを
    有する位相調整領域と; 上記フリンジ発生装置の上記レーザ活性領域から上記各
    光導波路を介して出力される一対のレーザ光が遠視野像
    においてフリンジを描く空間範囲内にあって、上記位相
    調整領域における上記屈折率制御に伴う該フリンジのパ
    タン変化に伴い選択的に受光量の変化を受け得る位置に
    配置された受光器と; を有することを特徴とする論理演算装置。
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