JP2545421B2 - 避雷碍子装置における放電電極の支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は送電線に雷撃による異常大電流が流れたと
き、避雷機能によりそれを速やかに大地へ放電するとと
もに、続流を抑制遮断して永久地絡を防止することがで
きる避雷碍子装置における放電電極の支持構造に関する
ものである。

（従来の技術） 従来、送電線用避雷碍子装置は、鉄塔の支持アームに
対し取付アダプタにより避雷碍子しを吊下固定し、該避
雷碍子の下端部に設けた課電側の電極金具には、ホーン
状をなす接地側の放電電極を設け、一方、送電線側の例
えば電線吊下金具には同じくホーン状をなす鋼材よりな
る課電側の放電電極を設け、両放電電極の間に商用周波
電圧及び開閉サージ電圧に耐える絶縁強度に設定された
気中放電ギャップを形成するようになっている。そし
て、送電線に雷サージが侵入すると、そのサージ電流は
前記気中放電ギャップを閃絡して、避雷碍子の内部に収
納した電圧−電流特性が非直線性の限流素子を流れ、支
持アーム及び鉄塔を経て放電される。

（発明が解決しようとする問題点） 前記課電側の放電電極は、全体が鋼材で形成され、か
つ吊下金具に対し片持ち支持されていたので、例えば電
圧階級が275KV用では長さが2.5m、その径が約40mmと大
きくなり、重量が約40kgと大重量化し、山岳地での運搬
や鉄塔への装着作業に手間を要するという問題があっ
た。又、放電電極が重くなると、風圧荷重をうけ揺動す
る際、慣性力により取付部に大きな曲げモーメントが加
わり素材径を大きくするか、あるいは特別の補強を施す
かして振動疲労を防止する必要があった。

さらに、放電電極が大重量化すると、送電線の支持碍
子装置がアンバランスとなるので、これを防止するため
前記吊下金具に対し前記放電電極と反対側に位置し、か
つ支持碍子の沿面閃絡を防止するためのアーキングホー
ンを大重量化している。このため支持碍子の下端に作用
する荷重が大きくなり、送電線が風圧等により揺動する
際、その支持碍子下端の慣性力が大きくなって、支持碍
子が不規則な動揺をし易く、クリアランスが不足したり
部材に異常な応力が発したりして電気的、機械的信頼性
が低下する可能性があるという問題があった。

本発明の目的は、送電線側に取着される放電電極の重
量を軽減して、放電電極の運搬や鉄塔への放電電極の装
着を容易にするとともに、支持碍子の不規則な動揺を抑
制して絶縁クリアランスを充分確保し、又、異常な応力
の発生を防止して電気的、機械的信頼性を向上できる避
雷碍子装置における放電電極の支持構造を提供すること
にある。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） 本発明は前記問題点を解消するため、鉄塔の支持アー
ムに対し支持碍子を吊下し、該支持碍子の下端部には吊
下金具を介して送電線を支持し、該送電線にはホーン状
をなす課電側の放電電極の一部を支持機構によって送電
線へ連結支持し、一方、前記支持アーム側には取付アダ
プタを介して避雷碍子を支持し、該避雷碍子の下端部に
接地側の放電電極を取着し、前記課電側の放電電極との
間に所定の放電間隙を設けるという手段を採っている。

（作用） 本発明は前記手段を採ったことにより、次のように作
用する。

放電電極は吊下金具と送電線に連結された支持機構に
より二点支持となっており、支持機構の支持点から放電
電極の先端部までの片持ち部分は短かくなるため、動揺
時の慣性力や自重による曲げモーメントは低減される。
これによりこの部分の素材径の細径化が可能となり、支
持点間は細径化された径の素材であれば充分強度を確保
できるので放電電極全体として軽量化することができ
る。この結果、運搬や鉄塔への装着作業が容易となる。
又、放電電極が軽量化できるため、吊下金具に支持した
支持碍子の沿面閃絡防止用のアーキングホーンの重量も
軽減することができ、従って、支持碍子の不規則な動揺
を抑制して絶縁クリアランスを充分確保し、又、異常な
応力の発生を防止して電気的、機械的信頼性を向上でき
る。

（実施例） 以下、本発明を具体化した一実施例を第１図〜第４図
に基づいて説明する。

第１図に示すように鉄塔の支持アーム１の先端部には
連結金具２が固着され、同連結金具２にはＵグレビスリ
ンク３及びホーン取付金具４を介して懸垂碍子５を直列
に連結してなる支持碍子としての懸垂碍子連６が線路方
向（第１図の左右方向）及び同直交方向（第１図の紙面
と直交する方向）へ揺動可能に支持されている。前記懸
垂碍子連６下端部のホーン取付金具７には連結リンク８
を介して送電線９を支持する電線クランプ10が支持され
ている。前記ホーン取付金具4,7には、懸垂碍子連６の
沿面閃絡の損傷をできるだけ軽減するためのアーキング
ホーン11,12が装着されている。なお、この実施例では
前記ホーン取付金具７、連結リンク８及び電線クランプ
10により送電線９の吊下金具Ｋを形成している。

前記支持アーム１の先端部には取付アダプタ13がボル
トより固定され、同アダプタ13の先端部下面には第１の
避雷碍子14がその接地側の電極金具15をもって垂下固定
されている。又、第１の避雷碍子14の下端部、つまり課
電側の電極金具16には、第２の避雷碍子17の接地側の電
極金具15がボルトにより固定されている。

前記第1,第２の避雷碍子14,17はFRP等の耐張材料によ
り円筒状に形成された耐圧絶縁筒（図示略）と、その内
部に直列に収容された酸化亜鉛（ZnO）を主材とする電
圧−電流特性が非直線性の限流素子（図示略）と、前記
耐圧絶縁筒の両端部に嵌合固定したキャップ状をなす課
電側及び接地側の電極金具16,15と、さらに耐圧絶縁筒
の外周に設けたゴムモールド18とにより一体状に形成さ
れている。

なお、前記各電極金具15,16には、支持アームにより
ゴムモールド18の沿面閃絡時の損傷を軽減するためのア
ーキングリング19,20がそれぞれ装着されている。前記
第２の避雷碍子17の課電側の電極金具16には、接地側の
放電電極21が取着されている。

一方、前記課電側のホーン取付金具７には、前記接地
側の放電電極21と対向して所定の気中放電ギャップＧを
形成する課電側の放電電極22が支持されている。この放
電電極22は、第２図に示すように、平面ヘアピン状に形
成され、前記ホーン取付金具７に固定された取付板23に
対し、連結ピン24により回動可能に連結された一対のブ
ラケット25に溶着固定されている。又、この放電電極22
と前記送電線９との間には、該放電電極22を送電線９に
支持するための支持機構26が介装されている。

上記支持機構26の構造を第３図及び第４図により説明
すると、前記送電線９には上下二つ割りの把持金具27,2
8がボルト29により締付固定され、上部の把持金具27は
ブラケット27aが形成されている。又、前記放電電極22
の中間部下面には二又状のブラケット30が溶着固定さ
れ、該ブラケット30と前記把持金具27のブラケット27a
には、棒状の上下に二分割された長さ調整金具31が連結
され、その両端はボルト32,33により回動可能に締付固
定されている。なお、前記ボルト32の頭部及び該ボルト
32に螺合されるナット34はコロナ放電を防止するためほ
ぼ半球状に形成されている。同様に前記把持金具27,28
は前記各ボルト29,33の電界を緩和してコロナ放電を防
止するためのリブ27b,28aが形成されている。

さらに、前記長さ調整金具31端部とスリーブ35はネジ
接続され長さ調節後、両端のナットで固定する。

一方、接地側の前記放電電極21は図示しないが線路方
向から見て円弧状に形成されているので、懸垂碍子連６
が第３図において線路直交方向（同図の紙面直交方向）
に揺動しても前記放電ギャップＧがほぼ一定に保持され
るようにしている。

次に、前記のように構成した送電線用避雷碍子装置に
ついて、その作用を説明する。

今、雷撃により大電流が送電線９に印加されると、こ
の電流は電線クランプ10、連結リンク８、ホーン取付金
具７、ブラケット25及び放電電極22から放電ギャップＧ
を経て放電電極21へ放電され、電極金具16から第２の避
雷碍子17の限流素子（図示略）に流れ、電極金具15,1
6、第１の避雷碍子14の限流素子（図示略）、電極金具1
5及び取付アダプタ13を経て支持アーム１へ流れ、さら
に、鉄塔に流れ大地へ放電される。その後生じる続流は
前記限流素子により抑制遮断される。

さて、本発明実施例では課電側の放電電極22を支持機
構26により送電線９に支持したので、その基端と中間の
二点で支持したことになり、動揺時の慣性力や自重によ
る曲げモーメントは低減される。これによりこの部分の
素材径の細径化が可能となり、支持点間は細径化された
径の素材であれば十分強度を確保できるので放電電極全
体として軽量化することができる。この結果、運搬や鉄
塔への装着作業が容易となる。

又、本発明実施例では放電電極22の重量を軽減できる
ため、ホーン取付金具７に取付けた懸垂碍子連６の沿面
閃絡防止用のアーキングホーン12の重量を軽減すること
ができる。このため、懸垂碍子の不規則な動揺を抑制し
て絶縁クリアランスを充分確保し、又、異常な応力の発
生を防止して電気的、機械的信頼性を向上できる。

前記放電電極22の支持点の位置は該電極の長さ、形状
と電線のカテナリー角を考慮し放電電極と支持機構の全
体が小型軽量化の面で最も合理的になる位置を選定すれ
ばよい。

なお、本発明は前記実施例に限定されるものではな
く、次のように具体化することもできる。

（１）第１図に示す実施例において、支持機構26を放電
電極22の先端部と対応して設けたり、支持機構26を複数
箇所に設けたりすること。

（２）第５図に示すように二本の送電線９に把持金具36
を取着し、この把持金具36に支持板37を架設し、該支持
板37に課電側の放電電極22を支持し、さらに、この放電
電極22と課電側のホーン取付金具７とをリード線38によ
り電気的に接続すること。この別の作用・効果も前記実
施例と同様である。

発明の効果 以上詳述したように、この発明によれば放電電極全体
が軽量化され、この結果、その運搬や鉄塔への装着作業
を容易に行うことができる。又、放電電極が軽量となる
ため、この放電電極とバランスをとるためのアーキング
ホーンも軽量化でき、支持碍子下端部の荷重全体を軽減
して慣性力を小さくし、支持碍子の揺動角を小さく、か
つ、揺動時間を短くして、送電線と鉄塔との絶縁クリア
ランスを確保することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を具体化した避雷碍子装置全体の一実
施例を示す正面図、第２図は課電側の放電電極とアーキ
ングホーンを示す平面図、第３図は第１図のＡ−Ａ線断
面図、第４図は第３図のＢ−Ｂ線断面図、第５図は本発
明の別例を示す要部の斜視図である。 １……支持アーム、６……支持碍子としての懸垂碍子
連、９……送電線、12……アーキングホーン、13……取
付アダプタ、14……第１の避雷碍子、15……接地側の電
極金具、16……家電側の電極金具、17……第２の避雷碍
子、21……接地側の放電電極、22……課電側の放電電
極、23……取付板、24……連結ピン、25,30……ブラケ
ット、26……支持機構、27,28……把持金具、29,32,33
……ボルト、35……スリーブ、 Ｋ……ホーン取付金具７、連結リンク８及び電線クラン
プ10により構成される送電線の吊下金具。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄塔の支持アームに対し支持碍子を吊下
   し、該支持碍子の下端部には吊下金具を介して送電線を
   支持し、ホーン状をなす課電側の放電電極の一部を支持
   機構によって送電線へ連結支持し、一方、前記支持アー
   ム側には取付アダプタを介して避雷碍子を支持し、該避
   雷碍子の下端部に接地側の放電電極を取着し、前記課電
   側の放電電極との間に所定の放電間隙を設けたことを特
   徴とする避雷碍子装置における放電電極の支持構造。
2. 【請求項２】前記放電電極（22）の基端部は連結ピン
   （24）により課電側の吊下金具に対し上下方向の回動可
   能に支持され、支持機構（26）の上端部は放電電極（2
   2）に対しボルト（32）により上下方向の回動可能に連
   結され、下端部はボルト（33）により送電線（９）に設
   けた把持金具（28）に対し上下方向の回動可能に連結さ
   れ、さらに、前記支持機構（26）は長さ調整金具（31）
   に備えている特許請求の範囲第１項に記載の避雷碍子装
   置における放電電極の支持構造。
3. 【請求項３】前記支持機構（26）は送電線（９）に挾着
   固定される二つ割りの把持金具（27,28）と、課電側の
   放電電極（22）の中間部に止着されたブラケット（30）
   と、さらに、前記把持金具（27,28）及びブラケット（3
   0）との間に連結された長さ調整金具（31）とにより構
   成される特許請求の範囲第１項に記載の避雷碍子装置に
   おける放電電極の支持構造。
4. 【請求項４】送電線（９）には把持金具（36）を介して
   支持機構としての支持板（37）が取付けられ、該取付板
   （37）には放電電極（22）が片持ち支持され、この放電
   電極（22）と課電側の吊下金具はリード線（38）により
   接続されている特許請求の範囲第１項に記載の避雷碍子
   装置における放電電極の支持構造。