JP2545333Y2 - 出窓の排水装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、出窓の底板上に滴下し
た水の排水装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】出窓は、躯体に回り縁を突設し、その上
に窓枠を取付け、回り縁の下部に底板を設け、更にカウ
ンターを取付け、屋根を取付けて形成されるもので、こ
の出窓を躯体に取付ける場合には、一般に回り縁を取付
けてからその上に窓枠を取付けるものである。その場
合、回り縁と窓枠とを水密を保って連結する必要があ
り、その作業を行うために最後に回り縁に底板を取付け
ている。しかしその取付け部には隙間や排水口が明けて
あるが、回り縁や窓枠などからの結露水が底板上に溜ま
り、その水が強い風に煽られて回り縁内に飛沫が発生
し、躯体の腐朽を早める問題があった。

【０００３】以上の問題を解決する手段として例えば実
開平２−１１５８８４号公報によって開示してあり、そ
の手段は、躯体の回り縁で覆われる部分を全面に亘って
水切り板で隠蔽するようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記公報の手段による
場合には、まず水切り板を取付けてから回り縁を取付け
て、その上に各部材を組み込まれるが、先に水切り板及
び回り縁を取付けるために、後の組立て施工に困難性が
あった。

【０００５】木造の出窓と異なり、押出し形材で形成し
た出窓の回り縁は、窓枠を支えるというよりも、窓枠及
びカウンターの裏側を隠蔽する装飾的機能を果たすもの
である。そこで本考案は、工場で回り縁に底板を組付け
た製品として提供し、それを現場で窓枠やカウンターを
取付けた後に躯体に取付けて、しかもその底板上に溜ま
る水滴を巧みに排出できるように構成することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案による解決手段
は、躯体より突設した回り縁内に底板が取付けてあり、
その回り縁上に窓枠を設けている出窓で、その底板上に
滴下する水の排水装置であって、回り縁における内周縁
の全周縁に亘って底板の縁部を固着する上面を開放した
凹溝を設け、該凹溝を形成する室外側の側壁と回り縁の
外周壁間に樋溝を設け、該樋溝と凹溝が切欠穴によって
連通してあり、樋溝のうち水切り板より離れた室外側寄
り部分に排水口を設けていることを特徴とする。

【０００７】

【実施例】本考案を具体的に説明すると、図５に出窓を
示しており、その図中の符号１は回り縁で平面的には台
形をなすものである。また２は窓枠、３は前側の障子、
４は袖障子、５は屋根である。回り縁１は図４に示す如
く、水切り板６に固着した枠状をなすもので、その内空
部を底板７で覆うものである。

【０００８】上記底板７を回り縁１に取付ける手段とも
兼ねて排水装置を設けるもので、図１、図２及び図３に
示しているように、回り縁１の内周縁に四周して上面を
開放した凹溝８を設け、凹溝８の内周口縁には突条９が
形成してあり、一方底板７の室外側と室内側の各縁にＶ
字状の係止縁１０を形成し、両脇の縁には下方に屈折す
る差込み縁１１を設け、この底板７を回り縁１の内空部
上に覆い被せ、係止縁１０と差込み縁１１を凹溝８内に
嵌めるが、Ｖ字状の係止縁１０はスナップ的に係合して
突条９により脱出を阻止した状態となり、また差込み縁
１１は凹溝８内に単に嵌め込まれるが、その凹溝８内に
弾性材で紐状に形成した押え部材１２を添設するもので
ある。

【０００９】上記凹溝８を形成する室外側の側壁１３と
回り縁１の室外側の外周壁１４間に樋溝１５を設け、図
３に示す如く、凹溝８の側壁１３の数箇所に樋溝１５に
通じる切欠穴１６を明け、その各切欠穴１６より底板７
上の水滴を樋溝１５内へ流入するようになっており、更
に樋溝１５に流下した水滴は、同じく図３に示すよう
に、水切り板６と対向する側、すなわち水切り板６より
最も離れた室外側寄りの樋溝１５に排水口１７を明けた
ものである。

【００１０】以上のように、回り縁１には凹溝８と樋溝
１５を二重に設け、その樋溝１５の躯体より離れた位置
に排水口１７を設けたものであるから、排水口１７から
風が吹き込んでも樋溝１５内で強い飛沫が発生するが、
切欠穴１６を通じて逆流する風は凹溝８内で弱められ、
底板７上で発生する飛沫はきわめて弱まり、従って水切
り板６でその上方に設けるカウンター１８までを覆う必
要がなくなり、図１に示しているように、カウンター１
８を支える支持部材１９を水切り板６と分離して取付け
ることができる。その結果、水切り板６と底板７を組ん
だ回り縁１を窓枠２やカウンター１８との取付けに関係
なく躯体に取付けることができるものであり、また窓枠
２との連結部に対する水密処理も容易になる。

【００１１】尚、図示してないが、出窓の形状、すなわ
ち回り縁の形状が平面的に三角形、四角形の場合でも、
前記構造を持つ排水装置を取付けることができる。

【００１２】

【考案の効果】本考案による出窓の排水装置によれば、
水切り板を取付けた枠状をなす回り縁の内周縁に底板を
固定する凹溝を設け、該凹溝の室外側の側壁と回り縁の
室外側の外周壁間に樋溝を形成し、凹溝の側壁に樋溝に
通じる切欠穴を設け、樋溝の室外側寄り部に排水口を明
けたもので、その排水口より風が侵入しても、樋溝及び
凹溝を通じて底板上に吹き込むため、その間に風力が弱
まり底板上での飛沫が弱まり、水切り板上に設けられる
カウンターまでの間の躯体を全て覆い隠す必要がなくな
り、水切り板すなわち回り縁とカウンターの取付けが別
個に行うことができ、このことから出窓の取付け施工が
一段と容易になるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による出窓の排水装置を前側窓の部分に
よって示す断面図である。

【図２】同じく出窓の排水装置を袖側窓の部分によって
示す断面図である。

【図３】底板からの排水経路を示す斜視図である。

【図４】回り縁に底板を取付ける状態を示す斜視図であ
る。

【図５】出窓の正面図である。

【符号の説明】

１ 回り縁 ６ 水切り板 ７ 底板 ８ 凹溝 １３ 凹溝の側壁 １４ 回り縁の外周壁 １５ 樋溝 １６ 切欠穴 １７ 排水口

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体に取付ける水切り板（６）より室外
   側へ突設する枠状の回り縁（１）内に底板（７）が取付
   けてあり、該回り縁（１）上に窓枠（２）を設ける出窓
   で、その前記底板（７）上に滴下する水の排水装置であ
   って、回り縁（１）における内周縁の全周縁に亘って底
   板（７）の縁部を固着する上面を開放した凹溝（８）を
   設け、該凹溝（８）を形成する室外側の側壁（１３）と
   回り縁（１）の外周壁（１４）間に樋溝（１５）を設
   け、該樋溝（１５）と凹溝（８）が切欠穴（１６）によ
   って連通してあり、樋溝（１５）のうち水切り板（６）
   より離れた室外側寄り部分に排水口（１７）を設けてい
   ることを特徴とする出窓の排水装置。