JP2538520Y2 - 移植機の植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は苗載台の苗トレイから苗
取出爪によって取出した１株分のポット苗を植付爪に受
取って順次圃場に植付けるようにした主に野菜用移植機
の植付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種、植付爪で苗の植付けを行う場
合、土の水分状態や土の種類によっては植付爪の内外に
土が付着し、特に植付爪の内側に付着した場合には苗の
貫入深さも浅くなって浅植状態となるため、土の付着時
にはその都度手作業などにより土の除去などを行ってい
た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし乍らこのような
手作業での場合、作業者は植付爪の土付着状態を常時看
視する必要があるばかりでなく、土付着時にはその都度
作業を中断して掃除を行わねばならないという手間の煩
わしさと作業性の悪さがあった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】したがって本考案は、苗
載台の苗トレイから取出した１株毎のポット苗を植付爪
に受取って順次圃場に植付けるようにした構造におい
て、前記植付爪の楕円植付軌跡の上動軌跡近傍に、植付
爪の内周面に摺接させる掃除部材を設け、植付爪の上動
復帰時に植付爪の内周面を掃除部材でもって掃除するこ
とによって、常に一定の植付深さを自動的に保っての安
定した苗移植が可能となるものである。

【０００５】

【実施例】以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳述
する。図１は苗植付部の側面説明図、図２は移植機の全
体側面図であり、図中（１）はエンジン（２）を搭載す
る前フレーム、（３）は前フレーム（１）後端に連設す
るミッションケース、（４）は前記ミッションケース
（３）に伝動ケース（５）を介し上下揺動可能に支持す
る左右の走行輪、（６）は前記ミッションケース（３）
の後方にシャーシフレーム（７）及び移植フレーム
（８）を介し装設する移植部（９）の苗取出装置、（１
０）は左右の走行輪（４）間で前記ミッションケース
（３）に植付伝動ケース（１１）を介して装設する移植
部（９）の苗植付装置、（１２）は畝上面を鎮圧する鎮
圧ローラ、（１３）は植付間隔調整用の株間検出ロー
ラ、（１４）は覆土ローラであり、前記苗取出装置
（９）において左右往復移動する苗載台（１５）上の苗
トレイ（１６）より１株分のポット苗を苗取出爪（１
７）でもって取出すと共に、この取出されたポット苗を
前記苗植付装置（１０）のマルチカッタ（１８）と連動
して上下動するホッパ形の植付爪（１９）に放出供給し
て、操向ハンドル（２０）操作による機体の走行中畝面
に一定間隔毎のポット苗の植付けつまり移植を行うよう
に構成している。

【０００６】図３乃至図４に示す如く、前記植付爪（１
９）は植付伝動ケース（１１）の出力軸である植付駆動
軸（２１）にロータリケース（２２）及びクランクアー
ム（２３）を介し支持する植付アーム（２４）に取付け
るもので、前記伝動ケース（１１）はミッションケース
（３）からの入力軸（２５）にチェン（２６）及びスプ
ロケット（２７）を介し植付駆動軸（２１）を連動連結
させ、該駆動軸（２１）に一体連結させるロータリケー
ス（２２）の出力軸であるクランクアーム（２３）の取
付軸（２８）に取付ける遊星ギヤ（２９）を、伝動ケー
ス（１１）側に固定する太陽ギヤ（３０）に中間ギヤ
（３１）を介して噛合せ連結させ、前記駆動軸（２１）
を中心としてロータリケース（２２）を図４のａ矢印方
向に回転させるとき、クランクアーム（２３）を同図ｂ
矢印方向に回転させるように構成している。

【０００７】また前記植付アーム（２４）は、クランク
アーム（２３）先端に基端アーム軸（３２）を支持する
アーム本体（３３）と、該本体（３３）にボルト（３
４）を介し基端を固定させ先端に植付爪（１９）を取付
ける爪支持体（３５）とで形成し、前記ミッションケー
ス（３）側に枢着板（３６）を介し固定する昇降ガイド
（３７）のガイド溝（３７ａ）に、前記アーム本体（３
３）先端のガイドローラ（３８）を上下動自在に嵌入さ
せて、前記クランクアーム（２３）の回転時このガイド
溝（３７ａ）に沿ってアーム本体（３３）を上下動させ
て植付爪（１９）を図１及び図４に示す如き楕円形状の
植付軌跡（Ａ）で上下運動させるように構成している。

【０００８】さらに、前記植付爪（１９）は半円錐形状
の２つの分割爪体（１９ａ）（１９ｂ）に分割形成さ
れ、これら爪体（１９ａ）（１９ｂ）の上端側を爪支持
体（３５）の軸受用ボス（３９ａ）（３９ｂ）に各アー
ム（４０ａ）（４０ｂ）を介してそれぞれ回動自在に支
持させ、該アーム（４０ａ）（４０ｂ）基端に固設する
各揺動板（４１ａ）（４１ｂ）の中央をピン（４２）及
び係合溝（４３）で相互に係合連結させると共に、前記
アーム本体（３３）の基端ボス（３３ａ）内のアーム軸
（３２）に一体回動可能に設けるカム（４４）に、前記
揺動板（４１ａ）に係止した進退ロッド（４５）を当接
連結させ、前記クランクアーム（２３）が１回転すると
きカム（４４）でロッド（４５）を進退させて爪体（１
９ａ）（１９ｂ）の下部を開閉させるように構成してい
る。

【０００９】またさらに、前記植付爪（１９）の内周面
に摺接させて該爪（１９）に付着する土の掃除を行う掃
除部材である掃除ブラシ（４６）を前記植付軌跡（Ａ）
における上動軌跡上での上死点近傍に設けるもので、ブ
ラシ（４６）の回転横軸（４７）を固定取付けするブラ
シ取付板（４８）の基端を前記伝動ケース（１１）に連
結支持させ、２つの爪体（１９ａ）（１９ｂ）間に形成
される分割隙間（Ｃ）の巾寸法（ｔ）より小径に前記横
軸（４７）を設けると共に、これら爪体（１９ａ）（１
９ｂ）の隙間（Ｃ）上端部に横軸（４７）挿入案内用の
Ｖ形状切欠ガイド（４９）を設けて、苗植付後開いた状
態で上動する植付爪（１９）が隙間（Ｃ）を通してブラ
シ（４６）位置を通過するとき、ブラシ（４６）を爪
（１９）の内側に包み込むタイミングで爪体（１９ａ）
（１９ｂ）を閉封させて、植付爪（１９）の植付軌跡
（Ａ）に沿う上動時前記ブラシ（４６）でもって自動的
にこれら爪体（１９ａ）（１９ｂ）内側の掃除を行うよ
うに構成している。

【００１０】一方、畝面にマルチシートを敷設しての作
業時に、前記マルチカッタ（１８）を上下動させるカッ
タ駆動機構（５０）を設けるもので、前記伝動ケース
（１１）の固定取付板（５１）にマルチカッタ（１８）
を上下動自在に支持する一対の上下リンク（５２）（５
３）と、前記植付駆動軸（２１）に取付けてこの外周カ
ム面を上リンク（５２）のピン（５４）に摺接させるカ
ッタ上下動用カム（５５）とを駆動機構（５０）は備
え、前記植付爪（１９）の上下動作に連動してマルチカ
ッタ（１８）を上下動させてマルチシートに植付穴を穿
孔するように構成している。

【００１１】また、前記覆土ローラ（１４）は植付爪
（１９）との相対位置を可変調節可能に設けたもので、
ローラ（１４）を支持する支持アーム（５６）基端の枢
支軸（５７）を前記取付板（５１）に取付ける一方、該
取付板（５１）に支点軸（５８）を介し基端を取付け且
つ、前記駆動軸（２１）のカム（５９）にピン（６０）
を摺接させる揺動板（６１）と、前記支持アーム（５
６）との間に軸（６２）（６３）を介して調節ロッド
（６４）を介設して、該ロッド（６４）の長さ調節でも
って植付爪（１９）による植付深さの調節を行うように
構成している。

【００１２】図５に示す如く株間検出ローラ（１３）
は、支持するリンクのリンク長さを調節して植付深さの
調節を可能とさせるもので、検出ローラ（１３）を一端
に支持するリンク（６５）の中間を支点軸（６６）及び
ブラケット（６７）を介し前記ミッションケース（３）
に枢支させ、前フレーム（１）に支軸（６８）を介し可
揺動に枢支させる揺動リンク（６９）の一端に前記リン
ク（６５）の他端を中介リンク（７０）を介し連結させ
ると共に、機体の昇降制御を行う油圧昇降装置（７１）
の油圧昇降用バルブ操作レバー（７２）に、前記揺動リ
ンク（６９）の他端をロッド（７３）を介して連結させ
て、前記検出ローラ（１３）の回転をリンク（６５）の
ローラ軸（１３ａ）に設ける株間センサ（７４）で検知
して植付装置（１０）によるポット苗の植付株間を検出
すると共に、前記検出ローラ（１３）の上下動により機
体を昇降させて植付深さの制御を行うように構成してい
る。そして前記リンク（６５）には中介リンク（７０）
に連結させる枢着ピン（７５）と、この支点軸（６６）
間のリンク長さ（Ｌ₁)を可変調節する調節孔（７６）を
形成すると共に、前記揺動リンク（６９）にはロッド
（７３）に連結させる枢着ピン（７７）と、この支軸
（６８）間のリンク長さ（Ｌ₂)を可変調節する調節孔
（７８）を形成して、リンク長さ（Ｌ₁)の調節でもって
検出ローラ（１３）の中立位置を変更させて植付深さの
調節を行うと共に、リンク長さ（Ｌ₂)の調節でもって検
出ローラ（１３）の動きに対する油圧昇降用バルブのス
プールの動きの比を変更させて油圧感度の調節を行うよ
うに構成している。

【００１３】図６乃至図７に示す如く、前記鎮圧ローラ
（１２）の左右両側には畦の左右両側面に転接させて機
体を操向案内させる左右のガイドローラ（７９ａ）（７
９ｂ）を設けるもので、前記鎮圧ローラ（１２）を支持
する左右ブラケット（８０）にローラ（７９ａ）（７９
ｂ）のＬ形状のローラ軸（８１）を回動自在に枢支させ
ると共に、ローラ軸（８１）に一体形成するブラケット
取付板（８２）のロックピン（８３）を、前記ブラケッ
ト（８０）の上部ロック孔（８０ａ）及び下部作用長孔
（８０ｂ）に取付変更自在に係入支持させて、ロックピ
ン（８３）を下部作用長孔（８０ｂ）に係入させてのロ
ーラ（７９ａ）（７９ｂ）下降保持時には、捩りバネ
（８４）の弾圧力でもって畦の左右両側面にガイドロー
ラ（７９ａ）（７９ｂ）を圧接状態とさせて、畦に対す
る機体の追従性を良好とさせる一方、ロックピン（８
３）を上部ロック孔（８０ａ）に係入させてのローラ
（７９ａ）（７９ｂ）上昇保持時には、鎮圧ローラ（１
２）より上方にローラ（７９ａ）（７９ｂ）を位置保持
させて、平地作業などでこれらローラ（７９ａ）（７９
ｂ）が走行圃場面に接触して走行抵抗となるのを防止す
るように構成している。

【００１４】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、前記植付爪（１９）による苗の植付作業中において
は、植付爪（１９）が植付軌跡（Ａ）上を上方に移動す
るとき、つまり下方の植付位置で爪（１９）を開いて苗
を植付けてより開いた状態で上方の苗受取位置まで復帰
する間に、前記ブラシ（４６）位置を通過する際には、
ブラシ（４６）が爪（１９）内に有る状態のとき爪（１
９）は閉状態となって、この爪（１９）の通過時内周面
がブラシ（４６）でもって掃除され、この内周面に付着
する土などの除去が行われるものである。而してこの場
合植付軌跡（Ａ）の上動軌跡上にブラシ（４６）を固定
取付けするものであるから、極めて構造も簡単なものに
できるもので、植付爪（１９）の下動植付動作時にはこ
のブラシ（４６）を障害とさせることがない。

【００１５】なお、前記ブラシ（４６）を駆動力でもっ
て強制回転させる構造のものでも良い。

【００１６】

【考案の効果】以上実施例からも明らかなように本考案
は、苗載台（１５）の苗トレイ（１６）から取出した１
株毎のポット苗を植付爪（１９）に受取って順次圃場に
植付けるようにした構造において、前記植付爪（１９）
の楕円植付軌跡（Ａ）の上動軌跡近傍に、植付爪（１
９）の内周面に摺接させる掃除部材（４６）を設け、植
付爪（１９）の上動復帰時に植付爪（１９）の内周面を
掃除部材（４６）でもって掃除するものであるから、植
付爪（１９）の植付軌跡近傍に掃除部材（４６）を固定
設置するだけの極めて簡単な手段によって、自動的に１
回の植付動作毎に植付爪（１９）内周面の掃除が行われ
て、常に正確な苗の植付姿勢での苗植付作業を行うこと
が可能にでき、植付精度の向上が図れるなど顕著な効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】植付部の側面説明図である。

【図２】移植機の全体側面図である。

【図３】植付部の平面説明図である。

【図４】植付爪の動作説明図である。

【図５】株間検出ローラの側面説明図である。

【図６】鎮圧ローラ部の斜視説明図である。

【図７】鎮圧ローラ部の背面説明図である。

【符号の説明】 （１５） 苗載台 （１６） 苗トレイ （１９） 植付爪 （４６） 掃除ブラシ（掃除部材） （Ａ） 植付軌跡

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 日朝 正俊 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農 機株式会社内 (56)参考文献 実開 平２−102911（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗載台の苗トレイから取出した１株毎の
   ポット苗を植付爪に受取って順次圃場に植付けるように
   した構造において、前記植付爪の楕円植付軌跡の上動軌
   跡近傍に、植付爪の内周面に摺接させる掃除部材を設
   け、植付爪の上動復帰時に植付爪の内周面を掃除部材で
   もって掃除するように構成したことを特徴とする移植機
   の植付装置。