JP2535113B2 - 紫外線吸収ガラス - Google Patents

紫外線吸収ガラス

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JP2535113B2
JP2535113B2 JP3312503A JP31250391A JP2535113B2 JP 2535113 B2 JP2535113 B2 JP 2535113B2 JP 3312503 A JP3312503 A JP 3312503A JP 31250391 A JP31250391 A JP 31250391A JP 2535113 B2 JP2535113 B2 JP 2535113B2
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glass
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ultraviolet
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剛 近藤
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス基板の上に酸化
亜鉛膜を設け、外部をシリカ膜等で被覆した多層膜構造
よりなる、表面特性が機械的および化学的に改善された
紫外線吸収ガラスに関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】一般に、ガラスの優れた特性
である透明性を具え、しかも紫外線の透過を阻止するた
めには、紫外線のみを選択的に反射するかもしくは吸収
する機能をガラスに付与する方法がある。選択反射特性
はガラス表面に屈折率の異なる膜を交互に積層すること
により得られるが、製作に当たっては極めて高度の膜形
成技術が要求され、例えば住宅用窓ガラスのような大面
積のものを製作することは困難である。一方、ガラスに
紫外線の吸収機能を持たせるためには、ガラス自体が紫
外線を吸収する組成のガラスとするか、もしくは普通の
板ガラス組成で製造されたソーダ石灰ガラスの表面また
は中間に紫外線吸収膜を設けるかの二つの方法が考えら
れる。
【0003】前者の紫外線を吸収するガラスは、通常の
ガラス組成に酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタンあるい
は酸化バナジウム等を添加することにより得られるが、
この様な特殊組成のガラスの製造は、手間がかかるだけ
でなくコスト高にもなる。またガラスの機械的強度、化
学的特性も変動をきたし、使用に当たっての設計、施工
上からも好ましくない。
【0004】紫外線吸収被膜をガラス外部に設置する方
法としては、(1)有機または無機化合物の紫外線吸収
剤を含む有機高分子フィルムをガラス表面に接着、また
は2枚のガラスの中間に挿入する方法、(2)有機また
は無機化合物の紫外線吸収剤を有機または無機物よりな
るバインダーを介してガラス表面に付着させる方法、ま
た(3)紫外線吸収能を有する物質自体の膜をガラス表
面に形成する方法が採り得る。
【0005】これらの内、有機高分子フィルムあるいは
有機物をバインダーとする膜はそれ自体の表面硬度が低
く、また膜自体が紫外線により劣化作用をうけるため高
密度紫外線への暴露または長期の使用には適さない。さ
らに有機化合物よりなる紫外線吸収剤はそれ自体紫外線
に不安定であるという欠点も有する。
【0006】ところで、紫外線吸収能を有する物質自体
の膜をガラス表面に形成する方法には、紫外域において
その酸化物が吸収帯を有する金属またはその酸化物の真
空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオ
ンプレーティング等の物理的製膜法、または該金属を構
成元素とする化合物をガラス上において酸化および/ま
たは分解反応に付すことによる方法が例示できる。
【0007】しかしながら、実用的な観点からこれら各
種の製膜法を考察するならば、真空蒸着等の物理的製膜
法は、真空系を必要とする関係上、装置及び操作、した
がって、被処理物のスループットの点からは余り好まし
い方法とはいえないのに対して、酸化分解を利用する方
法は経済的に見て比較的有利といえる このような酸化物膜に関して、例えば特開平1−245
201明細書には、オクチル酸亜鉛の酸化分解反応によ
りソーダライムガラスの上に酸化亜鉛膜を形成しうるこ
とを開示している。また特開昭62−297470明細
書には、2−エチルヘキサン酸亜鉛の酸化分解による酸
化亜鉛膜の作製方法が記載されている。
【0008】金属酸化物の多くは紫外領域に吸収帯を有
することから、各種の金属、例えば、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,
V,Pb,Ce,Ti,Znなどが列挙できるが、通常はその酸化物
が可視領域における吸収の少ないCe,Ti,Znなどが好まれ
る。特に、酸化亜鉛は、紫外線を効率的に吸収し、しか
も可視光線の透過率に優れることから、この様な酸化亜
鉛被膜を有するガラスが、いわゆる紫外線吸収ガラスと
して有用であることは充分予想しうるところである。
【0009】しかしながら、酸化亜鉛皮膜を有する紫外
線吸収ガラスは、被膜の硬度が低く屋外における使用は
もちろん、屋内においても清掃または払拭時において傷
を受けやすいという問題点があった。また、酸化亜鉛は
酸性および塩基性溶液と接触すると容易に溶解すること
が知られており、使用に当たっては通常のガラスと比べ
厳格な注意が要求される。したがって、単に酸化亜鉛を
被覆することでは実用に適する紫外線吸収ガラスは得ら
れなかった。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、紫外線
吸収能に優れた酸化亜鉛を紫外線吸収剤として利用し、
しかも表面硬度および化学的安定性に優れた大面積の紫
外線吸収ガラスを得るべく検討を加え、次の発明に到っ
た。
【0011】すなわち、本発明は、ガラス上に形成され
た酸化亜鉛被膜の上に、少なくとも酸化珪素、酸化ジル
コニウムまたは酸化チタンを含有する酸化物被膜を形成
した紫外線吸収ガラスであって、酸化物被膜が組成の異
なる2層以上からなることを特徴とする紫外線吸収ガラ
スである。紫外線吸収膜は紫外領域においてその酸化物
が吸収帯を有する金属またはその酸化物の真空蒸着、ス
パッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーテ
ィング等の物理的製膜法、または該金属を構成元素とす
る化合物をガラス上において酸化および分解反応に付す
ことによる方法によって得られる膜が例示できる。
【0012】金属酸化物の多くは紫外領域に吸収帯を有
することから、本発明において、各種の金属、例えば、
Cr,Mn,Fe,Co,Ni,V,Pb,Ce,Ti,Znなどを適用しうるが、そ
の酸化物が可視領域における吸収の少ないCe,Ti,Znなど
が好ましい。特に、酸化亜鉛は、紫外線を効率的に吸収
し、しかも可視光線の透過率に優れることから、最も好
ましい酸化物である。
【0013】また外部被覆とする金属酸化物膜について
もSi,Ti Zrまたはそれらの酸化物の真空蒸着、スパッタ
リング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング
等の物理的製膜法、シランと酸素含有ガスとを原料とす
る化学的気相堆積法、またはSi,Ti Zrの1種以上を構成
元素とする化合物をガラス上において酸化および分解反
応に付すことによる方法によって得られる膜が例示でき
るが、これらに限られるわけではない。
【0014】本発明の膜構成は、ガラス基材の少なくと
も片面に設けられる。また紫外線吸収膜及び外部被覆は
それぞれが単一の膜または単一の組成であることは必ず
しも必要ではなく、製膜方法に応じて多層または多組成
でありうる。ここでいう酸化物は一定の化学量論比を有
する必要はなく、例えば、亜鉛の場合において酸化亜鉛
は化学量論上でのZnOをいうのみならず、亜鉛と酸素
の不定比化合物またはそれらの混合物をも含む。
【0015】以下、酸化亜鉛よりなる紫外線吸収膜を有
する紫外線吸収ガラスの場合について説明するが、他の
金属を適用するに際しては、当業者の容易に想到しうる
程度の変更を要する場合もありうる。
【0016】紫外線吸収膜を酸化および/または分解反
応に付すことによる方法により作製する場合において
は、溶媒に可溶な亜鉛の塩、例えば硝酸、塩酸等の無機
酸の塩、カプリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、ナフテン酸、リノール酸、リノレン酸、2−
エチルヘキサン酸などのC8 〜C 20 の高級脂肪酸の
塩、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾト
リフルオロアセトン、ジベンゾイルメタン、フロイルア
セトン、トリフルオロアセチルアセトンなどのジケトン
キレート化合物、もしくは一般式 Zn(0R1)(0R2)または
ZnCl(0R1) (ただし、式中R1、R2はメチル基、エチル
基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブ
チル基、セカンダリブチル基、メトキシエチル基、エト
キシエチル基またはフェニル基のいずれかを示す。)で
表されるアルコキシ化合物であって、特にジメトキシ亜
鉛、ジエトキシ亜鉛、ジイソプロポキシ亜鉛、クロロメ
トキシ亜鉛、クロロエトキシ亜鉛等が挙げられ、これら
から選ばれる1種類以上が単独または混合して用いられ
る。
【0017】ガラス基板上への紫外線吸収膜の原料の塗
布方法には、フローコート法、スプレー法、ロールコー
ト法、スピンコート法、浸漬法、スクリーン印刷などの
方法があり、これらのどの方法を採用してもよいが、そ
れぞれの方法において使用される塗布液の性状は各々異
なる。したがって、塗布液には使用形態に応じて、希釈
剤、粘度調整剤、レベリング剤、酸化促進剤、安定剤な
どの目的で各種の添加剤を付加するのが一般的である。
【0018】希釈剤または粘度調整剤としての溶媒に
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノル
マルブタノール、エトキシエタノール、エチレングリコ
ール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢
酸ベンジル、アセト酢酸エチル、フタル酸ジブチルなど
のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセチルアセトン、イソホロンなどのケトン
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ト
リクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化
炭素などのハロゲン系溶媒または水などを使用する。
【0019】また粘度調整剤あるいはレベリング剤とし
ては、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ニトロセルロースなどの変成セルロース
類、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、
シリコーンリオキシエチレン共重合体、シリコーンポリ
オキシアルキレン共重合体、アミノ変成シリコーンオイ
ルなどのシリコーンオイル類が使用される。
【0020】高級脂肪酸の酸化重合を促進する目的で、
有機過酸化物を添加することも有効であるが、3,3,
5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、te
rt−ブチルパーオキシエンゾエート、ジ(tert−
ブチル)パーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブ
チルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンなどが使用される。
【0021】紫外線吸収膜は塗布液としては各種の組成
のものが用いられるが、いずれの場合も塗布後大気中ま
たは酸素濃度を高めた大気中において400℃以上で加
熱処理することにより酸化亜鉛とする。
【0022】紫外線吸収膜形成に使用される塗布薬液の
濃度は、溶液に占める亜鉛の比率として、0.1〜30
重量%が好ましいが、3〜20重量%がより好ましい。
亜鉛濃度が0.1重量%よりも低いと1回の塗布操作に
おいて形成される膜が薄いものとなり、繰り返し塗布が
必要となり、実用上不都合となる。また逆に亜鉛濃度が
高すぎる場合には、平滑な膜を得ることが困難になると
いう不利益がある。しかしながら、必ずしもこの濃度条
件でなければならないという訳ではなく、添加物、溶媒
の種類により調節は可能である。
【0023】この時得られる紫外線吸収膜の膜厚は、
0.1〜2μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより
好ましい。0.1μmよりも薄い膜では紫外線の吸収効
果が充分でなく、一方、2μmよりも厚い膜では可視光
線の吸収が生じるので避けることが望ましい。紫外線吸
収膜は、1回の塗布で形成することも複数回で形成する
ことも可能である。
【0024】酸化物被膜形成に使用される薬液は、Si,T
i,Zrのアルコキシド、塩素含有アルコキシドまたは無機
塩から成り立つが、また、SiアルコキシドにNa,Ca,K,B,
Zn,Ti,Zr,Al,Pb等のアルコキシド、塩素含有アルコキシ
ド、無機塩も同時に含有させたガラス形成組成の溶液を
そのまま、または部分加水分解させて用いることができ
る。Na,Ca,K,B,Zn,Pbの存在はガラス形成を容易にする
効果を有することから、とくに好ましい添加物である。
【0025】具体的には、Si原料としてシリカゾルもし
くは一般式 Si(0R1)(0R2)(0R3)(0R 4)、SiCl(0R1)(0R2)
(0R3) 、SiCl2(0R1)(0R2) またはSiCl3(0R1)、R1Si(0
R2)(0R 3)(0R4) 、R1R2Si(0R3)(0R4)(ただし、式中R1
R2、R3、R4はメチル基、エチル基、ノルマルプロピル
基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリブ
チル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基またはフ
ェニル基のいずれかを示す。)で表されるアルコキシ化
合物のうち、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。
【0026】Ti原料としてTiCl4 、TiOCl2、Ti(NO3)4
TiO(NO3)2 等のTi塩またはそれらの含水塩、もしくは一
般式 Ti(0R1)(0R2)(0R3)(0R4)、TiCl(0R1)(0R2)(0R3)
、TiCl2(0R1)(0R2) またはTiCl3(0R1)(ただし、式中R
1、R2はメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イ
ソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリブチル
基、メトキシエチル基、エトキシエチル基またはフェニ
ル基のいずれかを示す。)で表されるアルコキシ化合物
のうち、テトラエトキシチタン、テトラノルマルプロポ
キシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノル
マルブトキシチタン、クロロトリエトキシチタン、ジク
ロロジノルマルブトキシチタン、トリクロロノルマルブ
トキシチタン等もしくはジブトキシチタンアセチルアセ
トナート、イソプロポキシジチタンオクチレングリコレ
ートが挙げられる。
【0027】また、Zr原料としてZrCl4 、ZrOCl2、Zr(N
O3)4、ZrO(NO3)2、ステアリン酸ジルコニウム、ナフテ
ン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウ
ム、ジルコニウムアセチルアセトナート等のZr塩または
それらの含水塩、もしくは一般式 Zr(0R1)(0R2)(0R3)
(0R4)、ZrCl(0R1)(0R2)(0R3) 、ZrCl2(0R1)(0R2) また
はZrCl3(0R1)(ただし、式中R1、R2はメチル基、エチル
基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブ
チル基、セカンダリブチル基、メトキシエチル基、エト
キシエチル基またはフェニル基のいずれかを示す。)で
表されるアルコキシ化合物のうち、テトラエトキシジル
コニウム、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テ
トライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブト
キシジルコニウム、クロロトリエトキシジルコニウム、
ジクロロジノルマルブトキシジルコニウム、トリクロロ
ノルマルブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0028】酸化物被膜形成に使用される塗布薬液の濃
度は、溶液に占める金属の比率として、0.01〜5mo
l/l が好ましいが、0.1〜2mol/l がより好ましい。
金属濃度が0.1重量%よりも低いと1回の塗布操作に
おいて形成される膜が薄いものとなり、繰り返し塗布に
要する回数が増え実用上不都合となる。また逆に金属濃
度が高すぎる場合には、クラック、剥離、失透などが生
じ、平滑かつ均一な膜を得ることが困難になるという不
利益がある。しかしながら、必ずしもこの濃度条件でな
ければならないという訳ではなく、添加物、溶媒の種類
により調節は可能である。
【0029】この時得られる酸化物被膜の膜厚は、0.
1〜2μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ま
しい。0.1μmよりも薄い膜では紫外線吸収膜の保護
効果が充分でなく、一方、2μmよりも厚い膜ではクラ
ックを生じやすく避けることが望ましい。酸化物被膜
は、1回の塗布で形成することも複数回で形成すること
も可能であり、各膜毎に異なった組成の膜を形成するこ
とも有効である。
【0030】例えば、実施例において示すように、酸化
亜鉛膜の上に一旦テトラエトキシシランによる膜を被覆
し、その上にさらにチタン、ジルコニウムあるいはシリ
コンを含有する保護膜を形成することにより、顕著な保
護効果を示している。これは、本発明の製膜法、いわゆ
るゾルゲル法において、pHの低い塩素含有アルコキシ
ドを用いると、酸化亜鉛膜が溶解または剥離するという
問題点をさけたものである。その結果、膜の形成を容易
にし、平滑性、均一性、密着性、化学的安定性に優れた
保護膜が得られた。
【0031】薬液の紫外線吸収膜上への塗布は、浸漬
法、スプレー法、ローラーコート法、フローコート法、
スクリーン印刷法等の方法により行う。各種方法により
形成された塗膜は、70〜250 ℃で5 〜15分間乾燥し、電
気炉により400 ℃以上で10〜30分間焼成することで、酸
化物または酸化物ガラスとして優れた保護膜となる。
【0032】以上のように、本発明の紫外線吸収ガラス
は、建築物の窓やショーウィンドウ、温室などの建築
用、自動車、鉄道、船舶等の車両用、ステンドグラス、
ショーケース、照明器具カバーなどの室内装飾用、太陽
電池カバーなどのエレクトロニクス分野で様々な用途が
あり、ガラスの内側にある植物、動物、物品を紫外線に
よる劣化または損傷から保護することができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例により限定されるものでは
ない。
【0034】調整例1 2-エチルヘキサン酸亜鉛100g、リノール酸80g および溶
媒として混合キシレンを攪拌機および還流器付き500 ml
丸底フラスコに入れ、オイルバスで190 〜220℃に維持
しながら2時間攪拌し、茶褐色の粘稠な液体を得た。こ
の液体をさらに5 〜20mmHgの減圧下で蒸留することによ
り溶媒として使用した混合キシレンを除去し、185 gの
茶褐色の固体状物質を得た。
【0035】上記固体状物質52.5g をトルエン46.5g 、
ジメチルシリコーン系化合物(東芝シリコーン製 TSF-
400)1gの混合溶液中に投入して、攪拌することにより
酸化亜鉛被膜形成用薬液を調整することができた。
【0036】この薬液に100 ×100 ×3 mmで片面にマス
キングフィルムを付けたソーダ石灰ガラスである生板ガ
ラスを浸漬し、30cm/minの速度で引き上げて片面に塗膜
を形成した。該塗膜は200 ℃で15分間遠赤外線炉で乾燥
して、溶媒の除去および膜の酸化硬化を行い、さらに電
気炉により550 ℃で15分間焼成して、厚さ1.1μmのガ
ーゼ様しわ模様や干渉縞模様を示さない透明で均一な厚
さの酸化亜鉛被膜をえた。
【0037】本調整例で得られた紫外線吸収ガラスは、
波長370 nm以下の紫外線はほぼ100%吸収し、かつ可視領
域では生板ガラス板と透過率が殆ど変わらないことがわ
かった。
【0038】参考例1〜6、比較例1 調整例1で得た酸化亜鉛被膜を有するガラス板に、さら
に表1に示す組成の液を浸漬法により塗布した。
【0039】すなわち、ノルマルブタノールを溶媒とす
る表1に示す組成の化合物を0.5mol/lの濃度で含む溶液
に上記ガラス板を浸漬し、27cm/minの速度で引き上げ、
150℃で15分間熱処理し、500 ℃で15分間焼成し、表1
に示す膜厚の酸化物膜を得た。得られた紫外線吸収ガラ
スは、波長370 nm以下の紫外線はほぼ100%吸収し、かつ
可視領域では生板ガラス板と透過率が殆ど変わらないこ
とがわかった。
【0040】また、得られた紫外線吸収ガラスにつき種
々の物性試験を行った。 (1)耐酸性試験は、試料を30℃において1%塩酸水
溶液に24時間浸漬した後、波長吸収特性の変化を測定
することによりおこなった。
【0041】(2)耐アルカリ性試験は、試料を30℃
において1%水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬し
た後、波長吸収特性の変化を測定することによりおこな
った。
【0042】(3)耐候性試験は、高圧水銀ランプによ
り試料を3mW/cm2 の紫外線に2000時間暴露し
た後の外観および波長吸収特性の変化を測定することに
よりおこなった。
【0043】(4)曇化率については、JIS R−3
212に従った耐磨耗試験で、規定の磨耗ホイールによ
り供試体を磨耗し、散乱透過率/全透過率(%)で表し
た。表1には耐磨耗試験の前後における差を表示した。
回転数については、JISに規定される1000回転で
剥離した参考例3、5においては、100回転での変化
値を参考に示した。
【0044】(5)耐溶剤性試験は、試料を20℃にお
いてアセトンに720時間浸漬した後の外観および波長
吸収特性の変化を測定することによりおこなった。 (6)耐煮沸性試験は、試料を純水の煮沸水に50時間
浸漬した後の外観および波長吸収特性の変化を測定する
ことによりおこなった。
【0045】(7)耐湿性試験は、試料を温度50℃
(48〜52℃)、湿度98%(96〜100%)の恒
温恒湿装置に2週間設置した後の外観および波長吸収特
性の変化を測定することによりおこなった。
【0046】(8)密着性試験は、1mm角の碁盤目テ
ープテストによりおこない、n/100(nは剥離しな
かった数)で評価した。結果を表1に示す。
【0047】実施例1 ノルマルブタノールにテトラエトキシシランを0.1mo
l/lとなるように溶解した塗布溶液に、調整例1で得た
酸化亜鉛被膜を有するガラス板を浸漬し、27cm/minの
速度で引き上げ、150℃で15分間熱処理した。次い
で、ノルマルブタノールにクロロトリエトキシシランと
テトラエトキシシランがそれぞれ0.25mol/lとなる
ように溶解した塗布溶液に、調整例1で得た酸化亜鉛被
膜を有し、かつ上述の処理を施したガラス板を浸漬し、
27cm/minの速度で引き上げ、150℃で15分間熱処
理した。その後、500℃で15分間焼成し、表1に示
す膜厚の酸化物膜を得た。得られた紫外線吸収ガラス
は、波長370nm以下の紫外線はほぼ100%吸収し
q、かつ可視領域では生板ガラスと透過率が殆ど変わら
ないことがわかった。参考例1と同様の試験を行った。
結果を表1に示す。
【0048】実施例2 クロロトリエトキシシランにかえて、クロロトリエトキ
シジルコニウムを用いた以外は実施例1と同様の実験と
試験を行った。結果を表1に示す。
【0049】比較例2、3 比較例2は、調整例1によって得られた酸化亜鉛膜のみ
を被覆したガラス板であり、比較例3は、酸化亜鉛およ
び保護膜を被覆していない生板ガラスである。参考例1
と同様の試験を行った。ただし、比較例2の耐磨耗性試
験(曇化率)については、JISに規定される1000
回転はもとより、100回転においても剥離した。結果
を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1の結果を詳細に検討すると、耐酸性が
充分といえないものや、曇化率が被覆を行わない生板ガ
ラスより少し劣るものもあるが、上記試験でも保護膜が
剥離したものは全くなく、酸化亜鉛膜単独よりも遙かに
機械的、化学的強度に優れることは明白である。
【0052】
【発明の効果】本発明の紫外線吸収ガラスは可視光線を
殆ど吸収せず、紫外線を選択的に吸収するという光学特
性を示し、且つ、酸化亜鉛被膜の上にさらにSi、T
i、Zrの1種以上の酸化物の膜を被覆することによ
り、化学的、機械的に優れた紫外線吸収ガラスとなる。
その製造にあたって、本発明に従えば、いわゆるゾルゲ
ル法において、pHの低い塩素含有アルコキシドを用い
た場合においても、酸化亜鉛膜が溶解または剥離すると
いう問題が生ぜず、その結果、膜の形成を容易にし、平
滑性、均一性、密着性、化学的安定性に優れた保護膜と
なる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス上に形成された酸化亜鉛被膜の上
    に、少なくとも酸化珪素、酸化ジルコニウムまたは酸化
    チタンを含有する酸化物被膜を形成した紫外線吸収ガラ
    スであって、酸化物被膜が組成の異なる2層以上からな
    ることを特徴とする紫外線吸収ガラス。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛被膜に接する酸化物被膜が酸化
    珪素からなることを特徴とする請求項1記載の紫外線吸
    収ガラス。
  3. 【請求項3】 酸化珪素からなる酸化物被膜の上に塩素
    含有アルコキシドから酸化物被膜を形成したことを特徴
    とする請求項2記載の紫外線吸収ガラス。
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