JP2533633Y2

JP2533633Y2 - Ａｔカット水晶振動子

Info

Publication number: JP2533633Y2
Application number: JP1987032833U
Authority: JP
Inventors: 亜紀雄千葉; 幹雄中島; 治良太田
Original assignee: 日本電波工業株式会社
Priority date: 1987-03-06
Filing date: 1987-03-06
Publication date: 1997-04-23
Anticipated expiration: 2002-03-06
Also published as: JPS63140719U

Description

【考案の詳細な説明】（考案の利用分野）本考案は圧電振動子を利用分野とし、特に不活性ガス
イオンを電極表面に照射して周波数を調整した水晶振動
子に関する。

（考案の背景）水晶振動子例えばATカットの厚みすべり振動子は、温
度特性に優れることもあって、２〜40MHz帯の発振子あ
るいは共振子として多用される。厚みすべり振動子の振
動周波数は大略厚みによって決定されるが、通常では水
晶片の電極上に例えば蒸着により質量を付加し、即ち質
量負荷効果を利用して振動周波数を調整している。

（従来技術）第６図は厚みすべり振動子の一従来例を示す図で、同
図（ａ）は水晶片の斜視図、同図（ｂ）は同図（ａ）の
ｂ−ｂ′断面図である。

水晶片１は、図示しない結晶軸ｘ、ｙ、ｚのｘ軸を中
心としてｙからｚ軸に約35°15′回転して得られるATカ
ット板で、円板状に加工される。両主面には反対方向の
端部外周に引き出し電極2a、2bが延出し、厚みすべり振
動を励起する基礎電極3a、3bが例えばクロムを下地とす
る銀等の蒸着により形成されている。この基礎電極3a、
3bは質量として作用して水晶片１の振動周波数を低下さ
せる。通常では、目的周波数より高めに所定囲内で設定
される。そして、水晶片１の一方の主面にのみ質量とし
て例えば銀を蒸着により付加（以下調整膜４とする）
し、所定の周波数に調整するようにしていた。

（従来技術の欠点）ところで、振動周波数を調整する場合、質量の付加は
基礎電極面上に均一に形成されることが理想とされる。
しかしながら、蒸着等のようにマスクを必要とするもの
では、その位置精度に誤差を生ずるため、基礎電極上に
調整膜４を均一に形成することが困難である。例えば、
第７図の平面図に示したように、調整膜４が基礎電極3a
から食み出した場合には、対向する基礎電極間（3aと3
b）の容量に変化を来す。また、基礎電極（3a）上に段
差を生じ、振動特性に劣化例えばクリスタルインピーダ
ンスの低下を来す等の問題があった。

（考案の目的）本考案は、周波数調整による並列容量の変化及び振動
特性の劣化を防止した圧電振動子を提供することを目的
とする。

（考案の解決手段）本考案は、水晶片の両主面に形成した電極の少なくと
も一方の電極表面に不活性ガスイオンを照射して質量を
減じ、周波数の調整を行ったことを解決手段とする。以
下、実施例を説明する。

（実施例）第１図乃至第３図は本考案の一実施例を説明する図で
ある。第１図（ａ）は水晶片の平面図、同図（ｂ）は基
礎電極形成後のａ−ａ′断面図、同図（ｃ）は周波数調
整後の断面図、同図（ｄ）は同図（ｃ）の点線枠（イ）
で示す拡大図、第２図は保持組立て後の水晶振動子の正
断面図、第３図（ａ）はイオンエッチングの一部構成
図、同図（ｂ）は同図（ａ）の作用を説明する側面図で
ある。なお、前実施例図と同一部分には同番号を付与し
て説明する。

水晶片１は前述同様に結晶軸ｘ、ｙ、ｚのｘ軸をｙか
らｚ軸に約35°15′回転した厚みすべり振動が励起され
るATカット板とし、円板状に加工されている。そして、
両主面にはマスクを被せ、反対方向の端部外周部に引き
出し電極2a、2bが延出して対向する基礎電極3a、3bを例
えば銀の蒸着により形成する。このとき、振動周波数は
目的周波数より低くなるように両主面の厚みをt₁として
大きく設定される「第１図（ａ）及び同図（ｂ）」。

そして、水晶片１は、ベース（５）上に立設した一対
の保持具６の図示されないスリットに両端外周部が電機
的・機械的に接続される。そうして、一方の主面側にイ
オンを照射して基礎電極面3aをエッチングし、その厚み
をt₂として振動周波数を高め所定の値に調整する「第１
図（ｃ）」。

例えば第３図（ａ）の点線枠（ロ）で示すイオン化さ
れたアルゴン、チッソ等の不活性ガス雰囲気中に、導電
材からなる陰極板７と陽極板８とを配置し、陰極板７上
に水晶振動子が順次移送されるようにする。なお、水晶
振動子は搬送台９の端子孔10に挿入して保持され、端子
11を通して発振器に接続される。そして、陰極板７と陽
極板８との間に電界を発生「第３図（ｂ）」し、陽極板
８から陰極板７に移動するイオン化ガスを水晶片１の一
方の基礎電極（3a）面に衝突させてエッチングする。従
って、このような方法で振動周波数が調整された水晶振
動子は、一般に水晶片１の外周部のエッチング量が大き
くて角部の稜線がとれ「第１図（ｄ）」、表面を滑らか
にして均一な厚みとなる。なお、第１図（ｃ）では、引
き出し電極の厚みをt₁として示したが、実際には同時に
エッチングされるのでt₂となる。

従って、この水晶振動子では、基礎電極面（3a）上に
周波数調整用の質量を付加する必要がないので、水晶振
動子の振動特性に劣化を来すことがない。そして、対向
する基礎電極（3aと3b）の面積（平面状）が周波数調整
前後において変化しないので、特に並列容量を一定にし
て図示しない発振回路との接続を容易にする。また、不
活性ガスイオンは、電極のエッチレイトが大きく、水晶
片のエッチング量を無視できるので、周波数調整用のマ
スクを必要としない。

（他の実施例）第４図及び第５図は本考案の他の実施例を説明する図
で、第４図は水晶片の周波数調整後の断面図、第５図は
イオンエッチングの一部構成図である。なお、前実施例
と同一部分には同番号を付与して説明は省略する。

この水晶振動子は、水晶片１に形成された両主面の基
礎電極3a、3bの両方を交互にエッチングして厚みをt₂と
し、振動周波数の調整を行う（第４図）。例えば水晶片
１の両主面側にイオンガン12を配置し、両主面の基礎電
極3a、3bに交互に不活性ガスイオンを照射して振動周波
数の調整を行う。なお、第４図の引き出し電極2a、２の
厚みt₁はイオンガンのビーム幅を小さくすることによ
り、通常ではt₂になる。

従って、この水晶振動子は両主面の基礎電極3a、3bの
厚みを約一定にするので、例えばCI値の低下を防止して
振動特性を高めることができる。そして、前実施例と同
様に、マスクを不要にして並列容量を一定にできる。

（他の事項）なお、上記実施例では水晶振動子をATカットの厚みす
べり振動子として説明したが、これに限らず質量付加効
果を利用して振動周波数を調整する圧電振動子に適用さ
れることはいうまでもなく、更に例えば多重モードを利
用した所謂MCF（Monolithic Crystal Filter）等の共振
子を除外するものでもない。

（考案の効果）本考案は、水晶片の両主面に形成した電極の少なくと
一方の電極面に不活性ガスイオンを照射して質量を減
じ、周波数の調整を行ったので、周波数調整前後におけ
る並列容量の変化及び振動特性の劣化を防止した圧電振
動子を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を説明する図で、
第１図（ａ）は水晶片の平面図、同図（ｂ）は基礎電極
形成後のａ−ａ′断面図、同図（ｃ）は周波数調整後の
同断面図、同図（ｄ）は同図（ｃ）の点線枠（イ）で示
す拡大図、第２図は保持組立て後の水晶振動子の正断面
図、第３図（ａ）はイオンエッチングの一部構成図、同
図（ｂ）は同図（ａ）の作用を説明する側面図である。第４図、第５図は本考案の他の実施例を説明する図で、
第４図は水晶片の周波数調整後の断面図、第５図はイオ
ンエッチングの一部構成図である。第６図、第７図は従来例を説明する水晶振動子の図で、
第６図（ａ）は水晶片の斜視図、同図（ｂ）は同図
（ａ）のｂ−ｂ′断面図、第７図は蒸着による周波数調
整後の水晶片の平面図である。１……水晶片、2a、2b……引き出し電極、3a、3b……基
礎電極、４……調整膜、５……ベース、６……サポー
タ、７……陰極板、８……陽極板、９……搬送台、10…
…端子孔、11……端子、12……イオンガン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭53−86187（ＪＰ，Ａ) 特開昭52−106288（ＪＰ，Ａ) 特開昭54−48190（ＪＰ，Ａ) 特開昭53−131794（ＪＰ，Ａ)

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ATカット水晶振動片の両主面上に対向して
基礎電極を形成してなるATカット水晶振動子において、
前記基礎電極の少なくとも一方の全面は、不活性ガスイ
オンの照射を受け周波数調整のために物理的にエッチン
グされて、元の厚みより薄い平面の基礎電極に形成され
てあることを特徴とするATカット水晶振動子。