JP2533224Y2 - 管状体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、炭素繊維、ガラス繊維
等の高強度繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを芯材に
巻回し焼成することにより管状に成形される管状体に関
し、詳しくは、その内周に突出部が形成された管状体に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記の技術として特開平１−３０
４８３６号公報に示されるものが存在し、この従来例で
は釣り竿として用いられる中通し竿の内面に対し、螺旋
状に成形した糸案内部材を挿入固定して釣り糸の案内性
能の向上を図っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ここで、前述した従来
例について考えるに、このように中通し竿の内部に糸案
内部材を配置したものでは、この糸案内部材が竿の内面
に突出する形態となるので、釣り糸と竿素材との接触を
回避して竿素材内面の磨耗を阻止し、しかも、釣り糸と
の接触面積の低減から、釣り糸の巻き取り操作時の抵抗
を低減できるという良好な面を有するものとなってい
る。又、釣り竿は柔軟で高い屈撓性が要求されるもので
あり、従来例のように内部に竿素材と異なる性質の部材
を挿入固定した場合には、釣り竿の屈撓性を損なうばか
りで無く、繰り返して屈撓することにより、前述した糸
案内部材が竿素材から剥離することもあり、改善の余地
がある。

【０００４】本考案の目的は、屈撓性を損なうこと無く
内面に突出部を形成し、しかも、この突出部に剥離を生
じ難い管状体を構成する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の管状体の屈撓構
造は、炭素繊維、ガラス繊維等の高強度繊維に樹脂を含
浸させたプリプレグ（５）を芯材（３）に巻回し焼成す
ることにより管状に成形される管状体であって、管状体
本体（１）の内周面に、軸芯方向視で全周、若しくは、
略全周に亘って軸芯側に突出する突出部（２）を該管状
体本体（１）の素材で一体形成して成り、その突出部
（２）は軸方向に分布し、突出部（２）の内周面は略軸
方向直線状部を有している。更に本考案の管状体の屈撓
構造は、前記突出部（２）を管状体本体（１）の、一方
の端部から他方の端部に亘り、該管状体（Ｒ）の軸芯
（Ｘ）を中心として螺旋状に連なる形状に形成して成る
前記考案の管状体である。

【０００６】

【作用】上記特徴を例えば図１に示すように構成する
と、この管状体Ｒを屈撓させた場合には、管状体本体１
の屈撓と伴に、内面の突出部２も屈撓するものとなり、
この突出部２が管状体本体１と一体的に、しかも、管状
体本体１の素材で形成されているので剥離が生じ難い。
しかも、この突出部２が軸芯方向視で略全周に形成され
ているので、荷重方向に拘わらず荷重に対する屈撓（た
わみ）量が均一化するものとなる。

【０００７】

【考案の効果】従って、屈撓性を損なうこと無く、内面
に突出部を形成し、しかも、この突出部に剥離を生じ難
い管状体が合理的に構成されたのである。特に、この管
状体を中通し竿に用いた場合には、管状体本体に対する
釣り糸の接触を回避して管状体本体の磨耗を抑制し、し
かも、突出部に高強度繊維を含んでいるので該突出部の
磨耗も抑制し乍ら、接触面積の低減で釣り糸を軽快に送
り、又、良好な屈撓性を現出できるのである。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１には、中通し竿に用いられる管状体Ｒが表さ
れ、この管状体は炭素繊維、ガラス繊維などの高強度繊
維を含んだ樹脂を緩いテーパ状に形成した管状体本体１
と、この管状体本体１の内周面に該管状体本体１の素材
で一体的に形成した突出部２とを備えて構成される。こ
の突出部２は管状体Ｒの一方の端部から他方の端部に亘
り、該管状体Ｒの軸心Ｘを中心として螺旋状に連なる形
状に成形され、この突出部２、及び、管状体本体１は次
のように製造される。

【０００９】つまり、図２に示すように、この製造時に
は先ず、緩いテーパ状に成形された芯材としてのマンド
レル３の外周にポリエステル等、剥離性が良好で適当な
厚みを有する樹脂テープ４を所定間隔で螺旋状に巻回す
る。次に、図３に示すように、炭素繊維、ガラス繊維な
どの高強度繊維にエポキシ樹脂を含浸させたシート状の
プリプレグ５を、このマンドレル３、及び、樹脂テープ
４の外周に対して所定巻き回数巻回し、更に、この外面
に熱収縮テープ６を巻回し、この後、所定温度で焼成す
る。この焼成によるプリプレグ５の硬化で管状体Ｒの成
形が完了すると共に、この後、マンドレル３を引き抜く
ことで管状体Ｒの内周に前記樹脂テープ４が残る状態と
なり、図４に示す如く、一方の端部から剥ぎ取るよう
に、樹脂テープ４を取り除き、又、熱収縮テープ６を取
り除き、両端部を切断することにより図１に示す如く内
周面に螺旋状の突出部２を有する管状体Ｒが得られるの
である。

【００１０】尚、このように製造された管状体Ｒでは管
状体本体１に対する釣り糸の接触を回避して管状体本体
１の磨耗を抑制し、しかも、突出部２に高強度繊維を含
んでいるので該突出部２の磨耗も抑制し乍ら、接触面積
の低減で釣り糸を軽快に送り、又、管状体本体１と突出
部２との間に無理な応力等を作用させず良好な屈撓性を
現出できるものとなる。

【００１１】〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、例えば、管状体の製造時に
マンドレルに対して独立したリング状に樹脂テープを巻
回することにより、図５に示すように、夫々独立した複
数のリング状の突出部２を管状体本体１に一体的形成す
ることも可能である。又、本考案では、中通し竿以外に
ゴルフクラブのシャフトに使用することが可能であり、
ガイドを備えた釣り竿にも使用できる。

【００１２】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を便利にするために符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】管状体の断面図

【図２】マンドレルに樹脂テープを巻回する工程の斜視
図

【図３】プリプレグの外面に熱収縮テープを巻回する工
程の斜視図

【図４】樹脂テープを剥離する工程の斜視図

【図５】別実施例の管状体の断面図

【符号の説明】 １ 管状体本体 ２ 突出部 ３ 芯材 ５ プリプレグ Ｒ 管状体 Ｘ 軸芯

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】炭素繊維、ガラス繊維等の高強度繊維に樹
   脂を含浸させたプリプレグ（５）を芯材（３）に巻回し
   焼成することにより管状に成形される管状体であって、 管状体本体（１）の内周面に、軸芯方向視で全周、若し
   くは、略全周に亘って軸芯側に突出する突出部（２）を
   該管状体本体（１）の素材で一体形成して成り、その突
   出部（２）は軸方向に分布し、突出部（２）の内周面は
   略軸方向直線状部を有する管状体。
2. 【請求項２】前記突出部（２）を管状体本体（１）の、
   一方の端部から他方の端部に亘り、該管状体（Ｒ）の軸
   芯（Ｘ）を中心として螺旋状に連なる形状に形成して成
   る請求項１記載の管状体。