JP2532065B2 - 乗用型コンバイン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、走行装置により自在に走行する機体の前端
に刈取部を装架し、その刈取部の後方に、刈取穀稈を後
送する穀稈移送装置とキャビンとを左右に並列させて装
架し、穀稈移送処理の後方に脱穀部を装架し、キャビン
の後方にエンジンルームおよび穀粒処理装置らを装架す
る形態の乗用型コンバインについての改良に関する。

［従来の技術］ 上述の形態の乗用型コンバインは、機体の前端部に装
架される刈取部で刈取られて穀稈移送装置により脱穀部
に送給されていく刈取穀稈の移送経路が、キャビン内に
乗り込んでいるオペレーターがそのキャビンのなかから
良く監視できるようにするため、キャビンと脱穀部とが
正面視において左右に並列し、平面視においてキャビン
が前位で脱穀部が後位を占めるよう前後に喰い違って並
列するように機体に装架して、キャビンの側方に刈取穀
稈を後送する穀稈移送装置が位置するように構成する。

例えば、実願昭55−151850号（実開昭57−74223号）
のマイクロフィルムには、走行装置により自在に走行す
る機体の前端に刈取部を装架し、その後方における機体
の前端寄りの部位に、操作装置および座席を囲い込むキ
ャビンと刈取穀稈を後送する穀稈移送装置とを、左右に
並列させて装架し、それらの後方における機体の後端寄
りの部位で、前記穀稈移送装置の後方位置に刈取穀稈を
脱穀処理する脱穀部を、キャビンと左右および前後に喰
い違うよう配位して装架する乗用型コンバインにおい
て、脱穀部とキャビンとを、脱穀部の前端側でキャビン
寄りの部位をキャビンの後端側の脱穀部寄りの部位の後
方に位置せしめて、そのキャビンの脱穀部寄りの部位
が、脱穀部の前端側でキャビン寄りの部位に対し左右方
向においてラップする状態として、機体に対し装架せし
めたことを特徴とする乗用型コンバインが開示されてい
る。

また、例えば、実願昭55−177833号（実開昭57−9898
5号）のマイクロフィルムには、走行装置により自在に
走行する機体の前端に刈取部を装架し、その後方におけ
る機体の前端寄りの部位に、操作装置および座席を囲い
込むキャビンと刈取穀稈を後送する穀稈移送装置とを、
左右に並列させて装架し、それらの後方における機体の
後端寄りの部位で、前記穀稈移送装置の後方位置に刈取
穀稈を脱穀処理する脱穀部を、キャビンと左右および前
後に喰い違うよう配位して装架する乗用型コンバインに
おいて、キャビンの後方に配設するエンジンルームとキ
ャビンとを、エンジンルームの前端側でキャビン寄りの
部位をキャビンの後端側のエンジンルーム寄りの部位の
下方に位置せしめて、そのキャビンのエンジンルーム寄
りの部位が、エンジンルームの前端側でキャビン寄りの
部位に対し上下方向においてラップする状態として、機
体に対し装架せしめたことを特徴とする乗用型コンバイ
ンが開示されている。

［発明が解決しようとする課題］ 乗用型コンバインにおいては、キャビンをこれに内装
する各種の操作装置の操作が楽に行なえるように充分な
広さとし、また、脱穀部にはこれの処理能力を充分なも
のとするよう機枠の巾と長さを大きくして扱胴を大径で
長大にする等の構成が要求される。しかしながら、この
ように作業性能を向上させるためにキャビンと脱穀部と
を拡大するほど、機体の全巾や全長が大きくなる。

一方、機体の全巾や全長が大きくなるほど機体の操縦
性能（取り回し性等）は悪くなり、また、機体の左右の
機巾等には法基準がありこれを越える大きさとすること
はできない。

即ち、上述の従来技術においては、作業性能を向上さ
せ、且つ、機体の大きさをコンパクトに抑えることは困
難なのである。

例えば、前記実願昭55−151850号（実開昭57−74223
号）のマイクロフィルムに開示の技術においては、キャ
ビンと脱穀部との左右方向のラップ分だけ機体の全巾を
小さく抑えられるものの、キャビンと脱穀部とを前後方
向においてラップさせていないため、機体の全長を小さ
く抑えることはできない。

また、例えば、前記実願昭55−177833号（実開昭57−
98985号）のマイクロフィルムに開示の技術において
は、キャビンとエンジンルームとの前後方向のラップ分
だけ機体の全長を小さく抑えられるものの、キャビンと
脱穀部とを左右方向においてラップさせていないため、
機体の全巾を小さく抑えることはできない。

［課題を解決するための手段］ 本発明においては、この目的を達成するための手段と
して、走行装置10・10を有する機体１の前側に刈取部２
を設け、その後方における機体１の前部に、操作装置50
・50aおよび座席51を囲い込むキャビン５と刈取穀稈を
後送する穀稈移送装置３とを、左右に並列させて設け、
それらの後方における機体１の後部で前記穀稈移送装置
３の後方に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀部４をキャビ
ン５と左右および前後に喰い違うよう配置する乗用型コ
ンバインにおいて、脱穀部４とキャビン５とを、脱穀部
４の前端側でキャビン５寄りの部位ｚをキャビン５の後
端側の脱穀部４寄りの部位5bの下方に位置せしめて、そ
のキャビン５の脱穀部４寄りの部位5bが、脱穀部４のキ
ャビン５寄りの部位ｚに対し左右および前後の両方にお
いてラップする状態とし、且つ前記座席51より後方とな
る部位5bに前記走行系以外の操作装置50aを配置したこ
とを特徴とする乗用型コンバインを提起するものであ
る。

［発明の作用効果］ このように構成せる本発明の技術的手段は次のような
作用効果を奏する。

キャビン５を機体１の前部の左右一側部に配置し、脱
穀部４を機体１の後部の左右他側部に配置して、キャビ
ン５の後端側の脱穀部４寄りの部位5bと脱穀部４の前端
側のキャビン５寄りの部位ｚとが、左右および前後にお
いて互いにラップする状態とすることから、キャビン５
はそれの室内に装備せしめる各種の操作装置50…の操作
が楽に行なえるように充分な広さとし、また、脱穀部４
を、例えばそれの処理能力を充分なものとするよう扱胴
を大径で長大にして機枠の巾と長さを大きくしておいて
も、前述したキャビン５と脱穀部４とのラップ分だけ機
体の全巾および全長を小さく抑えられるようになる。

これは、例えば、前述の実願昭55−151850号（実開昭
57−74223号）のマイクロフィルム、及び実願昭55−177
833号（実開昭57−98985号）のマイクロフィルムに開示
のような従来技術の欠点を解消することができるもので
ある。

また、走行系以外の操作装置50aは、キャビン５の脱
穀部４寄りの座席51より後方となる部位5bに配置される
ため、座席51に着座した操縦者にとっては、自ずと、後
側方に位置するものとなる。これによって、操縦者は該
操作装置50aに不用意に触れて誤操作する恐れがない。
しかも、操作装置50aをこのような操縦者の手の届き難
い部位に配置できるため、居住空間を大きく確保できる
ばかりでなく、キャビン５内における他の各種の操作装
置50…の配置スペースが拡大でき、快適な操縦性を具現
することもできるのである。

［実施例］ 次に実施例を図面に従い詳述する。

第１図は本発明を実施せる乗用型コンバインＡの正面
図で、同図において、１はクローラに形成してある左右
の走行装置10・10により自在に走行する機体、２は収穫
すべき穀稈を刈取るようその機体１の前端に装架せる刈
取部、３は刈取部２で刈取った穀稈を後送する穀稈移送
装置、４は穀稈移送装置３で後送されてくる刈取穀稈を
受継いで脱穀処理するよう機体１に装架した脱穀部、５
は機体１を運転操作する操作装置50…（第３図）および
座席51を取り囲むよう機体１に装架せるキャビン、６は
キャビン５の後方に装架せるエンジンルーム、７はその
エンジンルーム６の後方に前記脱穀部４と左右に並列す
るよう配位して機体１に装架せるグレンタンク、８はそ
のグレンタンク７内に貯留せる穀粒を機外に取出すよう
そのグレンタンク７の後面側に装設せる揚穀機、９は脱
穀部４にて脱穀処理した穀稈（排藁）を切截処理するよ
う機体１の後端に装架した排藁処理装置を示す。

刈取部２は、機体１に上下に回動するよう設けた刈取
フレームに、刈取る条列の穀稈を分草する分草体20…
と、分草した穀稈を引起す穀稈引起装置21…と、引起し
た穀稈の株際を刈取るバリカン型の刈刃装置22と、刈取
った穀稈を刈刃装置22の刈巾の方向に左右から横移送し
て刈巾の中間部位に集める横移送装置を装架してなる通
常のものであり、それの左右の両側面には、並列する穀
稈引起装置21…および横移送装置らの側方を囲い込む側
面カバー23が取付けてある。

穀稈移送装置３は、刈取穀稈の株元部を挾持して搬送
する株元搬送チェン30と刈取穀稈の穂先部を抱えもって
搬送する穂先搬送装置31とが上下にラップするよう組合
わされている従来公知のものであって、刈取部２の後方
における機体１の前端部の右半側（第１図において右
側）に配設してあり、前述した刈取フレームに支架して
ある。

脱穀部４は、脱穀すべき穀稈をフィ−ドチェン40に挾
持せしめて供給する通常の自脱型の脱穀装置であり、そ
れのフィードチェン40の始端部が前記穀稈移送装置３で
後送されてくる刈取穀稈の株元部を受継ぐように配位し
て機体１に装架してある。

前記操作装置50…および座席51は、刈取部２の後方に
おける機体１の前端部で前記穀稈移送装置３の側方に位
置する左半側に装設してある。

また、それらを室内に収蔵するように装設せるキャビ
ン５は、それらを取り囲む箱状の剛体に形成せるキャビ
ンフレーム5aを機体１に支架せしめることで、前記穀稈
移送装置３と左右に並列するように機体１の前端部の左
半側に装架してあり、そのキャビンフレーム5aには、前
面側の構成フレームおよび後面側の構成フレームならび
に穀稈移送装置３側の構成フレームにはそれぞれ透明体
により塞がれた窓52…が装設してあり、機体１の外側に
向う構成フレームには窓を具備する開閉自在のドア53が
装設してある。また、該キャビンフレーム5aには、それ
の脱穀部４側の上端側に寄る部位に、後方に突出する小
形の箱状の部位5bが一体に連続して形成してあって、こ
の部位5bの内腔を、揚穀機８の放出筒81の旋回作動およ
び起伏回動を制御する操作装置50a…を操作するスペー
スに利用するようにしてある。

そして、該キャビン５は、それの後面側の構成フレー
ムから後方に小形の箱状に突出する部位5bが、第２図に
示している如く、脱穀部４の前端側の該キャビン５寄り
の部位ｚの上方に被さるように脱穀部４側に寄せ、これ
により該キャビン５の後面側の脱穀部４に寄る部位に、
その脱穀部４の機枠4aの前端部のキャビン５寄りの部位
が第１図にあるよう正面側から見てラップする状態位置
に装架してある。

エンジンルーム６は、それの前面側の機壁がキャビン
５の後壁を共用するようにキャビン５の後面側に装設し
てあり、内部にはエンジンおよび伝動機構が配設され
る。

グレンタンク７は、キャビン５の後方に前記脱穀部４
と左右に並列するよう機体１に装架され、それの脱穀部
４側の機壁の上部に装設せる受入口が脱穀部４の一番揚
穀機の吐出口に接続し、後面側の底部に装設せる排出口
は揚穀機８の受入口に接続連通している。

揚穀機８は、軸線方向を上下方向とした揚穀筒80内に
送穀用のオーガーを同軸に配位して収蔵軸架せる通常の
もので、その揚穀筒80の上端には、内部に送穀用のオー
ガーを同軸に配位して収蔵軸架した水平方向の放出筒81
の機端部が、支点軸82中心に上下に回動自在に接続連通
させてある。

そしてその放出筒81には、前記支点軸82を中心として
該放出筒81と一体に回動するよう取付けた昇降回動機枠
83と、その昇降回動機枠83と前述の揚穀筒80との間に渡
架せる油圧シリンダ装置84とにより構成される昇降作動
機構ｗが組付けてあって、油圧装置の制御弁の制御によ
る前記油圧シリンダ装置84の伸縮作動によって行なわれ
る該昇降作動機構ｗの作動で、支点軸82中心に起伏回動
し、また、該放出筒81の基端が接続連通する前述の揚穀
筒80が、それの軸心線を回動軸線として自在に回転する
ようにしてあり、それに連繋した別の油圧シリンダ装置
（図示していない）の作動でこの揚穀筒80を回転させる
ことにより、該放出筒81が首振り旋回するようになって
いる。そして、この揚穀機８の放出筒81を起伏回動させ
る油圧シリンダ装置84と首振り旋回させる油圧シリンダ
装置の作動の制御を、前述したキャビン５の後面側に設
けた突出フレーム5bの内腔に配設した操作装置50a・50a
により行なうようにしてある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施せる乗用型コンバインの正面図、
第２図は同上の平面図、第３図は同上の要部の縦断側面
図である。 図面符号の説明 Ａ……乗用型コンバイン、１……機体、10……走行装置 ２……刈取部、20……分草体、21……穀稈引起装置 22……刈刃装置、23……側面カバー、３……穀稈移送装
置 30……株元搬送チェン、31……穂先搬送装置、４……脱
穀部 4a……脱穀部の機枠、40……フィ−ドチェン、５……キ
ャビン 5a……キャビンフレーム、5b……脱穀部寄りの部位 50・50a……操作装置、51……座席、52……窓 53……ドア、６……エンジンルーム、７……グレンタン
ク ８……揚穀機、80……揚穀筒、81……放出筒 82……支点軸、83……昇降回動機枠 84……油圧シリンダ装置、９……排藁処理装置 ｗ……昇降作動機構、ｚ……キャビン寄りの部位

フロントページの続き (72)発明者 越智 理一 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社技術部内 (72)発明者 安野 公二 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社技術部内 (56)参考文献 実開 昭57−74223（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−98985（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行装置10・10を有する機体１の前側に刈
   取部２を設け、その後方における機体１の前部に、操作
   装置50・50aおよび座席51を囲い込むキャビン５と刈取
   穀稈を後送する穀稈移送装置３とを、左右に並列させて
   設け、それらの後方における機体１の後部で前記穀稈移
   送装置３の後方に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀部４を
   キャビン５と左右および前後に喰い違うよう配置する乗
   用型コンバインにおいて、脱穀部４とキャビン５とを、
   脱穀部４の前端側でキャビン５寄りの部位ｚをキャビン
   ５の後端側の脱穀部４寄りの部位5bの下方に位置せしめ
   て、そのキャビン５の脱穀部４寄りの部位5bが、脱穀部
   ４のキャビン５寄りの部位ｚに対し左右および前後の両
   方においてラップする状態とし、且つ前記座席51より後
   方となる部位5bに前記走行系以外の操作装置50aを配置
   したことを特徴とする乗用型コンバイン。