JP2531563Y2 - 吸い込み式冷却ファン付き頭上弁エンジンの冷却装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、吸い込み式冷却ファン付き頭上弁エンジン
の冷却装置に関し、吸・排気温度を有効に下げて、充填
効率を向上するとともに、排気バルブシートの摩耗など
を防止できるものを提供する。

〈従来技術〉 一般に、頭上弁エンジンでは、シリンダヘッドに中央
部から外側に向けて吸気ポート及び排気ポートを形成す
るために、吸・排気弁間の狭隘な部位に冷却風を通し、
冷却性能を向上するようにしてある。

即ち、本考案の対象となる吸い込み式冷却ファン付き
頭上弁エンジンの冷却装置の基本構造は、第１図及び第
５図に示すように、 頭上弁エンジンＥの前方に吸い込み式冷却ファン１を
配置し、エンジンＥのシリンダヘッド２に吸気ポート３
及び排気ポート４を形成し、シリンダヘッド２の後部寄
りに冷却風案内路５の入口６を空け、シリンダヘッド２
の冷却ファン１に臨む部位に冷却風案内路５の出口７を
空け、冷却風案内路５の入口６を吸・排気弁間部位８を
経てその出口７に連通した形式のものである。

この形式の従来技術としては、第５図で示す実公平１
−41861号公報に示すように、 シリンダヘッド２に略前・後に振り分けて吸・排気ポ
ート３・４を配置するとともに、 シリンダヘッド２の後部左側2cに冷却風案内路５の入
口６を空け、当該案内路５を吸・排気弁間部位８の通気
上手側8aで二股に分岐し、 その一方5aを吸・排気弁間部位８を通ってシリンダヘ
ッド２の前部右側2aに向けて形成し、 その他方5bを吸・排気弁間部位８を通らないでシリン
ダヘッド２の前部左側2bに向けて形成し、 冷却風をシリンダヘッド２の後部左側2cから前部右側
2aにかけて斜め縦断方向に案内するとともに、シリンダ
ヘッド２の左寄り部位のみを案内するように構成したも
のがある。

上記従来技術では、冷却風案内路５を二股に分岐し
（いわば、２本の案内路5a・5bを設け）、冷却風の一部
を吸・排気弁間部位８を通さないようにして、吸い込み
抵抗を低減してシリンダヘッドの冷却性能を向上しよう
とする。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、上記従来技術では、前後に配置された
吸・排気ポート３・４に対して冷却風は左右の斜め方向
か、左寄りの前後方向にしか流れないので、吸・排気ポ
ート３・４の冷却が不充分になって、排気温度が上がっ
て排気バルブシートが摩耗したり、潤滑油の劣化が助長
される虞れがある。

また、吸気温度が上昇してエンジンＥの出力が低下す
る虞れもある。

本考案は、吸・排気ポートを効率良く冷却することを
技術的課題とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を達成するための手段を、実施例を示す図面
により以下に説明する。

即ち、請求項１に記載の考案は、頭上弁エンジンの前
方に吸い込み式冷却ファン１を配置し、エンジンＥのシ
リンダヘッド２に吸気ポート３及び排気ポート４を形成
し、シリンダヘッド２の後部寄りに冷却風案内路５の入
口６を空け、シリンダヘッド２の冷却ファンに臨む部位
に冷却風案内路５の出口７を空け、上記入口６を吸・排
気弁間部位８を経て上記出口７に連通した吸い込み式冷
却ファン付き頭上弁エンジンの冷却装置において、 上記冷却風案内路５の入口６から吸・排気弁間部位８
にかけての弁間導入側通路部10を、略平行をなす吸気ポ
ート３と排気ポート４との間に形成し、 上記弁間導入側通路部10の内壁11のうちの、吸・排気
ポート３・４に面する壁面をポート側壁面12と規定し、
エンジンＥの燃焼室寄りの壁面を燃焼室側壁面13と規定
し、 上記ポート側壁面12から弁間導入側通路部10内の空間
に向けて空冷フィン14を突出させ、この空冷フィン14を
弁間導入側通路部10の通路方向で、且つ、吸・排気弁間
部位８に近づくほど燃焼室側壁面13に接近するように傾
斜状に方向付けた、ことを特徴とするものである。

また、請求項２に記載の考案は、請求項１に記載の吸
い込み式冷却ファン付き頭上弁エンジンの冷却装置にお
いて、上記弁間導入側通路部10の通路横断方向中央部で
上記入口寄りに方向案内板15を通路方向に沿う縦断状に
形成した、ことを特徴とするものである。

〈作用〉 （１）請求項１に記載の考案では、冷却風案内路５の入
口６から吸・排気弁間部位８にかけての弁間導入側通路
部10を、略平行をなす吸気ポート３と排気ポート４との
間に形成し、このポート側壁面12から弁間導入側通路部
10内の空間に向けて空冷フィン14を突出させので、冷却
風案内路５を通る冷却風が吸・排気ポート３・４に面す
るポート側壁面12に接触して空冷フィン14からの放熱を
促進し、吸気及び排気を一層冷却する。また、この空冷
フィン14を弁間導入側通路部10の通路方向で、且つ、吸
・排気弁間部位８に近づくほど燃焼室側壁面13に接近す
るように傾斜状に方向付けたので、冷却風案内路５を流
れる冷却風は、特に高熱になり易い燃焼室寄りの燃焼室
側壁面13に強力に吹き付けられて当該燃焼室側壁面13を
効率よく冷却する。

（２）請求項２に記載の考案では、請求項１に記載の吸
い込み式冷却ファン付き頭上弁エンジンの冷却装置にお
いて、弁間導入側通路部10の通路横断方向中央部で上記
入口寄りに方向案内板15を通路方向に沿う縦断状に形成
したことから、冷却風を方向案内板15で空冷フィン14に
スムースに案内して、上記（１）の作用を促進する。

〈考案の効果〉 （１）請求項１に記載の考案では、冷却風案内路を通る
冷却が吸・排気ポートに面するポート側壁面に接触して
空冷フィンからの放熱を促進し、吸気及び排気を一層冷
却するので、排気温度が低下して排気バルブシートの摩
耗や潤滑油の劣化を防止できるとともに、吸気温度が低
下して吸気の充填効率が上がり、エンジンの出力が向上
する。しかも、冷却風案内路を流れる冷却風は、空冷フ
ィンにより特に高熱になり易い燃焼室寄りの燃焼室側壁
面を効率よく冷却するので、上記効果を一層促進するこ
とができる。

（２）請求項２に記載の考案では、冷却風を方向案内板
で空冷フィンにスムースに案内するので、上記（１）の
効果をさらに促進することができる。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて述べる。

第１図は吸い込み式冷却ファン付き縦型頭上弁ディー
ゼルエンジンのシリンダヘッドの横断平面図、第２図は
第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断
面図、第４図は同エンジンの概略左側面図であって、縦
型頭上弁ディーゼルエンジンＥのシリンダ19の上方にシ
リンダヘッド２及びヘッドカバー20を順番に組み付け
る。

第４図に示すように、エンジンＥのクランク軸17の前
方にフライホイール16及び吸い込み式冷却ファン１を順
番に固定し、フライホイール16及び冷却ファン１を導風
ケース18で覆い、エンジンＥの後方及び導風ケース18の
ヘッドカバー20に臨む吸い込み口21から冷却風を吸い込
んで、導風ケース18の吹き出し口22から吹き出すように
構成する。

第１図に示すように、上記シリンダヘッド２に中央部
から後側壁25の外側に向けて排気ポート４を形成し、同
中央部から右側壁26の外側に向けて吸気ポート３を形成
する。

上記シリンダヘッド２に冷却風案内路５を１本だけ形
成し、当該案内路５の入口６をシリンダヘッド２の右側
壁26の後部寄りに空け、案内路５の出口７をシリンダヘ
ッド２の冷却ファン１に臨む前側壁27の略全面に亘り空
ける。

上記案内路５の入口６を吸・排気弁間部位８を経てそ
の出口７に連通し、当該入口６から吸・排気弁間部位８
にかけての弁間導入側通路部10を、略平行をなす吸気ポ
ート３と排気ポート４との間に形成する。

尚、符号23は燃料噴射ノズルの噴口、符号24はカウリ
ングである。

また、第１図に示すように、排気弁の軸心30は、吸気
弁の軸心28を通る前後方向の仮想線31から角度αだけ左
寄りに偏心して配置される。

一方、第２図に示すように、上記弁間導入側通路部10
の内壁11のうちの、吸・排気ポート３・４に面する壁面
をポート側壁面12とし、エンジンＥの燃焼室寄りの壁面
を燃焼室壁面13とする。

この場合、第１図及び第３図に示すように、上記ポー
ト側壁面12から当該通路部10内の空間に向けて空冷フィ
ン14を突出し、空冷フィン14を弁間導入側通路部10の通
路方向で、且つ、吸・排気弁間部位８に近付くほど燃焼
室側壁面13に接近するように傾斜状に方向付ける。

また、第１図〜第３図に示すように、上記弁間導入側
通路部10の通路横断方向の中央の入口寄りに方向案内板
15を通路方向に沿う縦断状に形成し、方向案内板15を通
路左・右の上記空冷フィン14・14に向けて二股状に形成
する。

そこで、本実施例の吸い込み式冷却ファン付き頭上弁
エンジンＥの機能を説明する。

冷却ファン１の回転でエンジンＥの後方から前方に冷
却風が吸い込まれ、エンジンＥを空冷する。

この場合、シリンダヘッド２の冷却風案内路５を通る
冷却風は、吸・排気ポート３・４に沿って流れ、ポート
側壁面12への接触面積が増大するので、両ポート内を流
れる吸・排気を強力に冷却できる。

従って、排気温度が下がって排気バルブシートの摩耗
や潤滑油の劣化が防止できる。

また、吸気温度が下がって吸気の充填効率が上がり、
エンジンＥの出力が向上する。

一方、上記冷却風案内路５のポート側壁面12に空冷フ
ィン14を突出するとともに、二股状の方向案内板15で左
・右の空冷フィン14に冷却風をスムーズに振り分け状に
案内するので、空冷フィン14からの放熱が促進されて、
吸気及び排気を一層冷却する。

また、空冷フィン14を燃焼室側壁面13に傾斜状に方向
付けるので、冷却風案内路５を流れる冷却風を燃焼室側
壁面13に強力に吹き付けて、特に高熱になり易い燃焼室
側壁面13を効率良く冷却できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の実施例を示し、第１図は吸い
込み式冷却ファン付き縦型頭上弁ディーゼルエンジンの
シリンダヘッドの横断平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
線断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は
同エンジンの概略左側面図、第５図は従来技術を示す第
１図相当図である。 Ｅ……頭上弁エンジン、１……吸い込み式冷却ファン、
２……シリンダヘッド、３……吸気ポート、４……排気
ポート、５……冷却風案内路、６……５の入口、７……
５の出口、８……吸・排気弁間部位、10……５の弁間導
入側通路部、11……10の内壁、12……11のポート側壁
面、13……11の燃焼室側壁面13、14……空冷フィン、15
……方向案内板。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】頭上弁エンジンの前方に吸い込み式冷却フ
   ァン１を配置し、エンジンＥのシリンダヘッド２に吸気
   ポート３及び排気ポート４を形成し、シリンダヘッド２
   の後部寄りに冷却風案内路５の入口６を空け、シリンダ
   ヘッド２の冷却ファン１に臨む部位に冷却風案内路５の
   出口７を空け、上記入口６を吸・排気弁間部位８を経て
   上記出口７に連通した吸い込み式冷却ファン付き頭上弁
   エンジンの冷却装置において、 上記冷却風案内路５の入口６から吸・排気弁間部位８に
   かけての弁間導入側通路部10を、略平行をなす吸気ポー
   ト３と排気ポート４との間に形成し、 上記弁間導入側通路部10の内壁11のうちの、吸・排気ポ
   ート３・４に面する壁面をポート側壁面12と規定し、エ
   ンジンＥの燃焼室寄りの壁面を燃焼室側壁面13と規定
   し、 上記ポート側壁面12から弁間導入側通路部10内の空間に
   向けて空冷フィン14を突出させ、この空冷フィン14を弁
   間導入側通路部10の通路方向で、且つ、吸・排気弁間部
   位８に近づくほど燃焼室側壁面13に接近するように傾斜
   状に方向付けた、ことを特徴とする吸い込み式冷却ファ
   ン付き頭上弁エンジンの冷却装置。
2. 【請求項２】上記弁間導入側通路部10の通路横断方向中
   央部で上記入口寄りに方向案内板15を通路方向に沿う縦
   断状に形成した、ことを特徴とする請求項１に記載の吸
   い込み式冷却ファン付き頭上弁エンジンの冷却装置。