JP2529881Y2 - 住宅ユニットの位置決め構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、基礎上に複数の住宅ユニットを設置する際
の柱相互間の位置決めを行う住宅ユニットの位置決め構
造に関し、住宅のカプセルユニット工法に利用できる。

〔従来の技術〕

住宅建築のため、現在において、現場作業の減少、組
立工期の短縮のため、ユニット化した室を基礎上に並べ
て施工するカプセルユニット工法が多用されつつある。
このカプセルユニット工法は、基礎の上部に複数のシー
ス管を埋設し、このシース管の凹部にグラウト材を充填
し、住宅ユニットの柱の低部に取り付けられたアンカー
ボルトがグラウト材に挿入されるように住宅ユニットを
クレーン等で吊り上げて組立作業を行うものである。

このカプセルユニット工法では、隣合う住宅ユニット
の柱相互間を所定寸法に保つ必要があるが、従来では、
隣合う住宅ユニットの柱間にパッドを介装しながらグラ
ウト材が固まる前に住宅ユニットをクレーン等で吊り上
げた状態で前後左右に移動させ、これにより隣合う住宅
ユニットの柱の相互間の寸法調整を行っている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、前述のようにグラウト材が固まる前に各ユ
ニットを前後左右に移動させながら柱間の寸法調整を行
うことは、柱の位置決め作業が煩雑になるという問題点
があった。従って、隣合う柱間の寸法調整が容易に行え
ず、ユニットの組立作業が煩雑となり、組立工期の短縮
が充分に図れなかった。

ここに、本考案の目的は、複数の住宅ユニットを基礎
上に設置する際、隣合う住宅ユニットの柱相互間の位置
決めを容易に行える住宅ユニットの位置決め構造を提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の住宅ユニットの位置決め構造は、基礎と、端
部が底面で閉塞された中空状の柱をそれぞれ有する複数
の住宅ユニットとの間に位置決めプレートを介装して隣
合う住宅ユニット同士の位置決めをする住宅ユニットの
位置決め構造であって、前記位置決めプレートは、前記
柱の底面に係合する複数の係合部を有し、これらの係合
部は互いに前記複数本の柱の離隔距離に対応して離れて
いるとともに、前記柱の底面の係合孔に係合する複数の
ピンであることを特徴とする。

〔作用〕

このような構成の本考案では、基礎上の所定位置に位
置決めプレートを配置し、柱を有する住宅ユニットをク
レーン等で吊り上げ、柱の底面を前記位置決めプレート
の係合部で案内しながらユニットを位置決めプレート上
に載置する。さらに、この手順より前記ユニットに隣接
させる住宅ユニットを前記位置決めプレート上に載置す
る。これにより、各ユニットの柱相互間の寸法は所定間
隔に保たれる。

ここで、住宅ユニットを基礎上に固定するには、例え
ば、住宅ユニットを位置決めプレート上に載置する際
に、予め柱の底面に取り付けられたアンカーボルトを、
基礎上部の凹部に充填されたグラウト材に挿入し、前記
ユニットを位置決めプレート上に載置した状態で時間の
経過を待つ。また、柱に予めプレートを取り付け、前記
ユニットを位置決めプレート上に載置した後、適宜に手
段によってこのプレートを基礎に固定するものでもよ
い。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図には、カプセルユニット工法により住宅ユニッ
トが基礎に設置される状態が示される。この第１図にお
いて、基礎１の上には２個の１階用の住宅ユニット２が
左右に配置され、これらのユニット２の上には図示しな
い屋根または２階用の住宅ユニットが設けられている。

前記ユニット２の基礎１への取付構造は第２図ないし
第４図に示されている。これらの図において、前記２個
のユニット２の隣合う２本の柱３と基礎１との間には硬
質ゴム製の位置決めプレート４が介装されている。柱３
は、図示される通り、端部が底面3Aで閉塞された中空状
に形成されている。この位置決めプレート４は、平板状
の本体５及びこの本体５に立設された係合部としてのピ
ン６から構成されている。ピン６は４本あり、これらは
２本１組とされて前記柱３の底面3Aに形成された係合孔
７にそれぞれ係合され、これら２本１組とされたピン６
は互いに２本の柱３の離隔距離に対応して離れている。
前記底面3Aにはそれぞれアンカーボルト８が予め取り付
けられ、これらのアンカーボルト８は、それぞれ下方に
突出している。

前記基礎１の上部には互いに所定間隔離れた２本のシ
ース管９が埋設されている。これらのシース管９の凹部
9Aは、それぞれ前記アンカーボルト６の外径よりも大き
な内径を有しかつその内部にグラウト材10が充填されて
いる。前記基礎１と前記位置決めプレート４との間には
硬質ウレタン製の２枚の枠部材11が介装され、これらの
枠部材11は、グラウト材10にアンカーボルト８を挿入し
た際シース管９から溢れたグラウト材10が基礎１の側面
等に流出しないようにシース管９を囲うように配置され
ている。

前記基礎１には前記枠部材11の内側かつ第４図中上方
に２本の異形鉄筋12が埋設され、これらの異形鉄筋12の
上端にはそれぞれ２本のレベル調整ボルト13が螺合され
ている。これらのレベル調整ボルト13は、その頭部が位
置決めプレート４の本体５の底面と当接するとともに、
ねじ込み量を調整することにより前記位置決めプレート
４を水平にするようになっている。

このように構成された位置決めプレート４を用いて住
宅ユニット２を基礎１へ設置するには、まず、シース管
９の凹部9A内にグラウト材10を充填し、この後、このシ
ース管９を囲うように枠部材11を基礎１上に置く。

さらに、枠部材11の上に位置決めプレート４を置く。
この際、レベル調整ボルト13により前記位置決めプレー
ト４を水平にする。なお、風等により位置決めプレート
４がずれないようにするため、必要に応じてこの位置決
めプレート４を仮止めしてもよい。

位置決めプレート４が基礎１の上に配置されたら、ユ
ニット２をクレーン等で吊り上げ、このユニット２の柱
３を前記位置決めプレート４のピン６で案内しながら本
体５上に降ろし、柱３の底面3Aに取り付けられたアンカ
ーボルト８を位置決めプレート４の本体５に形成された
孔5Aを通し、固まる前のグラウト材10に挿入する。その
後、このユニット２と隣接させるユニット２をクレーン
等で吊り上げ、ユニット２の柱３を位置決めプレート４
のピン６で案内しながら本体５上に降ろし、アンカーボ
ルト８をグラウト材10に挿入する。この状態で時間が経
過するとグラウト材10が固まり、各柱３が基礎１へ固定
される。

このような本実施例によれば、隣合う住宅ユニット２
を基礎１に設置する際、基礎１とこれらのユニット２の
２本の柱３との間に柱３の離隔距離に対応して離れてい
るピン６を有する位置決めプレート４を介装したので、
墨だし作業をすることなく、これら隣合う２個のユニッ
ト２の柱３相互間の位置決めが容易に行える。従って、
カプセルユニット工法によるユニット２の組立作業の工
期を短縮することができる。また、本実施例では、レベ
ル調整ボルト13を設けたので、前記位置決めプレート４
を水平に保ことができ、よって、柱３を基礎１上に真っ
直ぐ立てることができる。

なお、前記実施例の位置決めプレート４は、隣合う２
個の住宅ユニット２の柱３を所定間隔離して基礎１に取
り付ける場合に用いられるものであったが、本考案の位
置決めプレートは、第５図（Ａ）の通り、隣合う３個の
ユニットの柱３を所定間隔離して基礎１に取り付けるも
の、あるいは、第５図（Ｂ）の通り、隣合う４個のユニ
ットの柱３を所定間隔離して基礎１に取り付けるもので
あってもよい。

さらに、前記実施例では、柱３を基礎１に固定するた
めに、柱３の底面に固定されたアンカーボルト８をシー
ス管９内のグラウト材10に挿入するようにしたが、第６
図の通り、基礎１にアンカーボルト20を埋設し、このボ
ルト20を柱３に固定されたＬ型プレート21の孔21Aに挿
通し、アンカーボルト20に螺合されたナット22と基礎１
とによってプレート21、延いては柱３を基礎１に固定す
るものであってもよい。なお、第６図のアンカーボルト
20は、下端部に軸方向に延びる複数の切欠20Aを有し、
かつ、その上端からピン23が嵌挿されると下端部が径方
向に広がって基礎１から抜けない構造とされている。

また、前記実施例のように係合部をピン５としても、
その数は前記実施例のように１本の柱３に対して２本に
限定されるものではない。

さらに、本考案では、レベル調整ボルト13を必ずしも
設けることを要しない。

また、位置決めプレート４の材質は硬質ゴム以外のも
の、例えば金属であってもよい。ただし、前記実施例の
ように位置決めプレート４を硬質ゴム製とすれば、この
プレート４自体を軽量にすることができるとともに、プ
レート４が錆びることを防止できる。

〔考案の効果〕

前述のような本考案によれば、基礎上に複数の住宅ユ
ニットを設置する際、隣合うユニットの柱相互間の位置
決めが容易に行えるという効果がある。なお、本考案に
ついて、IPCを「E04B1/348N,E04B1/40,391」としていわ
ゆるパトリス検索を行ったところ、本考案のような「住
宅ユニットの位置決めプレート」は見当たらず、該当分
野における本考案の斬新性が明らかになった。

【図面の簡単な説明】

第１図はカプセルユニット工法によって住宅ユニットが
基礎に取り付けられる状態を示す斜視図、第２図ないし
第４図は本考案の一実施例に係る位置決めプレートを用
いて住宅ユニットの柱を基礎に取り付ける状態を示すも
ので、第２図は分解斜視図、第３図は縦断面図、第４図
は第３図中IV−IV線に沿う矢視断面図及び第５図
（Ａ），（Ｂ）はそれぞれ本考案の変形例を示す平面
図、第６図は住宅ユニットの基礎への取付構造の変形例
を示す縦断面図である。 １……基礎、２……住宅ユニット、３……柱、3A……底
面、４……位置決めプレート、５……本体、６……係合
部としてのピン、８……アンカーボルト、9A……凹部、
10……グラウト材、13……レベル調整ボルト。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基礎と、端部が底面で閉塞された中空状の
   柱をそれぞれ有する複数の住宅ユニットとの間に位置決
   めプレートを介装して隣合う住宅ユニット同士の位置決
   めをする住宅ユニットの位置決め構造であって、前記位
   置決めプレートは、前記柱の底面に係合する複数の係合
   部を有し、これらの係合部は互いに前記複数本の柱の離
   隔距離に対応して離れているとともに、前記柱の底面の
   係合孔に係合する複数のピンであることを特徴とする住
   宅ユニットの位置決め構造。
2. 【請求項２】請求項１記載の住宅ユニットの位置決め構
   造において、前記係合部は平板状の本体に立設され、こ
   の本体の底面に頭部が当接するレベル調整ボルトを前記
   基礎に設けたことを特徴とする住宅ユニットの位置決め
   構造。