JP2528081Y2 - 圧延機のロールオシレーション装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は作業ロールに連接して水平中間ロールおよび
分割支持ロールを有する圧延機において、分割支持ロー
ルによる水平中間ロールの偏摩耗を防止し、被圧延材
（ストリップともいう）の表面性状（光沢）の向上を可
能にした圧延機のロールオシレーション装置に関するも
のである。

〔従来技術〕

加工が困難な材料を圧延する場合、作業ロールを小径
化して圧延荷重の低減化を図ったり、作業ロールの形状
を制御してストリップの形状を制御する装置が各種開発
されている。このための一手段として、分割ロールによ
り水平中間ロールを介して作業ロールを押圧してストリ
ップの形状を制御する方法が行われている。その場合、
分割支持ロールが水平中間ロールに対して常に一定の位
置で接触すれば水平中間ロールが偏摩耗してそのまま水
平中間ロールから作業ロールに転写され、さらにストリ
ップに転写されて表面性状（光沢）を著しく悪くさせる
ことになる。そこで、これらの弊害を除去するために、
水平中間ロールを軸方向に移動させることにより水平中
間ロールの偏摩耗を防止する方法が提案されている。例
えば、特開昭60−240313号公報（以下、従来技術Ｉとい
う）および特開昭60−240314号公報（以下、従来技術II
という）は本考案の適用されるミル形式と同一のものに
おける水平中間ロールの偏摩耗対策を提案するものであ
るが、水平中間ロールを軸方向に移動する具体的な手段
については開示されていない。

特開昭60−27403号公報（以下、従来技術IIIという）
は第７図に示すように、ワークロール31（本考案の作業
ロールに相当）と該ワークロール31を支持する一対の中
間ロール32と、該中間ロール32を支持すると共に胴方向
に分割された複数の補強ロール33をストリップに対して
対称に配置した多段クラスター圧延機において、ピニオ
ン−ラック機構により中間ロールを移動する構成を開示
するものである。また、特開昭60−238009号公報（以
下、従来技術IVという）も上記従来技術IIIと同じロー
ル配置の多段クラスター圧延機における中間ロールの偏
摩耗対策を教示するものであり、回転自在のオシレーシ
ョンアームを往復移動用油圧シリンダーで揺動させるこ
とにより、軸受箱と一体となって中間ロールを軸方向に
移動する構成を開示している。

さらに特開昭62−214809号公報（以下、従来技術Ｖと
いう）は、第８図に示すように補強ロール41に対してオ
フセット配置された作業ロール42が中間ロール43（本考
案の水平中間ロールに相当）を介して分割ロール44（本
考案の分割支持ロールに相当）によって支持される形式
であって、本考案の適用される圧延機形式と同一のもの
における水平中間ロールの偏摩耗対策を開示するもので
あり、可動フレームに装着したシリンダ筒体状軸受に水
平中間ロールの軸部が摺動および回転可能に挿入され、
シリンダヘッドに供給された圧油等により水平中間ロー
ルを軸方向に移動可能に構成したものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述したように、従来技術ＩおよびIIには水平中間ロ
ールの具体的な軸方向移動手段は開示されていない。

また、従来技術IIIおよびIVは多段クラスター圧延機
における中間ロールの偏摩耗対策を提案するもので、本
考案の適用される圧延機形式とは異なるものであり、中
間ロールを軸方向に移動する手段については開示してい
るが、軸直角方向に移動する手段については記載されて
いない。さらに、従来技術Ｖは適用対象のミル形式が本
考案と同一であるが、この場合も水平中間ロールの軸方
向移動手段を開示しているだけで、軸直角方向に移動す
る手段については記載されていない。

一般に、作業ロールまたは中間ロールもしくは水平中
間ロールは圧延量の増大と共に摩耗し、疵入りなどによ
り研磨されて徐々に径が減少していくものである。しか
るに上記従来技術III、IVおよびＶに開示されている手
段では、使用により作業ロールまたは中間ロールもしく
は水平中間ロールの径が摩耗または研磨により減少した
場合、分割ロールから中間ロールもしくは水平中間ロー
ルを介して作業ロールに押圧力を適正な状態で作用させ
ることができない。

上記に鑑み、本考案は使用によるロール径の変化にも
充分対応して水平中間ロールの偏摩耗を防止することが
できる圧延機のロールオシレーション装置を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案に係る圧延機のロー
ルオシレーション装置は、 補強ロールに対してオフセット配置された作業ロール
が水平中間ロールを介して分割支持ロールによって支持
される形式の圧延機または該圧延機の作業ロールと補強
ロールとの間にさらに中間ロールを介装した形式の圧延
機に付設された圧延機のロールオシレーション装置にお
いて、 上記分割支持ロールは押圧手段により水平方向移動可
能に構成され、上記作業ロール、水平中間ロールおよび
分割支持ロールの軸芯を同一平面内に保持するセンタリ
ングレバーの突出部内に水平中間ロールの軸方向移動用
油圧シリンダーが内装され、該油圧シリンダーに連結す
るシフトブロックは上記突出部外面で保持されていると
共に水平中間ロールチョックとの間に介装され、上記水
平中間ロールは該シフトブロックの案内面に沿って作業
ロール、水平中間ロールおよび分割支持ロールの軸芯を
結ぶ方向に上記押圧手段により移動可能に構成されてい
ることを特徴とする。

〔作用〕

圧延作業中において、水平中間ロールを常に油圧シリ
ンダーにより軸方向に往復揺動させると、分割支持ロー
ルと水平中間ロールの接触面は水平中間ロール表面上に
均一に分散し、水平中間ロール表面の摩耗は略均一にな
る。

また分割支持ロールを押圧手段により押圧すると、分
割支持ロールは水平方向に僅か移動して水平中間ロール
に接触する。水平中間ロールは分割支持ロール、水平中
間ロールおよび作業ロールの軸芯を結ぶ方向に移動可能
であるので、作業ロールまたは水平中間ロールが摩耗ま
たは研磨により減径した場合でも、分割支持ロールと水
平中間ロールの接触および水平中間ロールと作業ロール
の接触は適正に維持されるから、ストリップの形状制御
は問題なく行われる。

〔実施例〕

本考案の実施例について、添付図面を参照しながら以
下に説明する。

第１図、第２図は本考案を適用可能な圧延機のロール
配置を示す図で、第１図はいわゆる4Hi圧延機の場合、
第２図はいわゆる6Hi圧延機の場合である。

第１図において、１は作業ロールで、上下の補強ロー
ル４に対してオフセット配置され、水平中間ロール２を
介して胴方向に分割された分割支持ロール３によって支
持されている。第２図で示すものは、第１図に対して上
下の補強ロール４に対して同一軸芯上にあって補強ロー
ル４と作業ロール１の両方に接している中間ロール５が
付加されている。

第３図は、第１図および第２図のＡ−Ａ矢視図であり
一部断面を示す。第４図は第３図のＢ−Ｂ矢視断面図、
第５図は第３図のＣ−Ｃ矢視断面図、第６図は第３図の
Ｄ−Ｄ矢視断面図である。

第３図において、各分割支持ロール３およびロール軸
受７は共通軸６に装着され、且つ該分割支持ロール３は
ロール軸受７に保持されて水平方向に移動可能にカート
リッジ８内に組み込まれている。各分割支持ロールのロ
ール軸受７に対してはアーム９が装着され、各アーム９
はウエッジ装置10を介してサポーティングブリッジ11に
支持されている。

12は作業ロール１、水平中間ロール２および分割支持
ロール３を同一平面内に保持するセンタリングレバーで
あり、該センタリングレバー12の半円形の先端金具13が
作業ロールのチョック14に係合し、水平中間ロールのチ
ョック15はシフトブロック16を介してセンタリングレバ
ー12に連結され、さらにセンタリングレバー12は分割支
持ロールの共通軸６に装着されている。このセンタリン
グレバー12内には油圧シリンダー（図示せず）が内蔵さ
れており、作業ロール１、水平中間ロール２および分割
支持ロール３の軸芯を結ぶ方向に伸縮可能である。該セ
ンタリングレバー12は、共通軸６に装着されてカートリ
ッジ８内に組み込まれたレバー軸受17に保持されてい
る。該レバー軸受17にもアーム９′が装着され、このア
ーム９′はウエッジ装置10′を介してサポーティングブ
リッジ11に支持されている。センタリングレバーのウエ
ッジ装置10′は、第４図に示されているように油圧シリ
ンダー18′と連結されており、上記ロール軸受７の各ア
ーム９のウエッジ装置10の各々も第５図に示すように個
別の油圧シリンダー18と連結されている。

第６図において、水平中間ロールを回転可能に保持す
る水平中間ロールチョック15は、シフトブロック16に対
して、該シフトブロック16の案内面19に沿って、作業ロ
ール１、水平中間ロール２および分割支持ロール３の軸
芯を結ぶ方向に移動可能に嵌合されている。シフトブロ
ック16は、センタリングレバー12の突出部20外面に保持
されており、且つセンタリングレバー12は突出部20内に
油圧シリンダー21を有しており、該油圧シリンダー21の
ピストンロッド22の小径の先端部23はねじ部を有して上
記シフトブロックとナット24にて螺合しており、油圧シ
リンダー21に高圧油の圧力が加えられるとシフトブロッ
ク16はピストンロッド22と一体となって上記突出部20外
面に沿って移動して水平中間ロールチョック15を押圧す
ることにより、水平中間ロール２は軸方向に移動するよ
うに構成されている。

また、上記油圧シリンダー18に高圧油の圧力が加えら
れると、ウエッジ装置10のくさび作用によりアーム９に
第５図において右方向の力が加えられるので、ロール軸
受を介して伝達されたこの力により分割支持ロール３は
右方に移動して水平中間ロール２を押圧する。すると水
平中間ロール２は上記案内面19に沿って、作業ロール
１、水平中間ロール２および分割支持ロール３の軸芯を
結ぶ方向に移動して、作業ロール１、水平中間ロール２
および分割支持ロール３の適正な接触状態が確保され
る。このとき、上記油圧シリンダー18′にも高圧油の圧
力が加えられて、ウエッジ装置10′のくさび作用でアー
ム９′に第４図において右方向の力が加えられる。アー
ム９′に加えられたこの力はレバー軸受17を介してセン
タリングレバー12に作用して、センタリングレバー12も
内蔵された油圧シリンダーの作用により作業ロール１、
水平中間ロール２および分割支持ロール３の軸芯を結ぶ
方向に短縮する。

なお、上記油圧シリンダー21は圧延作業中においては
常時ゆっくりと作動しており、水平中間ロールは軸方向
に揺動しつつ圧延が行われている。この水平中間ロール
の揺動距離としては、各分割支持ロールの間隙（第３図
でｄで示す）以上であれば水平中間ロールに偏摩耗が生
じることはない。

また、本実施例においては、分割支持ロールの装着さ
れる軸は共通軸としたが、これを分割軸とすることによ
り、各分割支持ロールを個別に操作することもできる。

〔考案の効果〕

上記のように構成される本考案は以下に記載するよう
な効果を奏する。

１）水平中間ロールは圧延作業中において常にセンタリ
ングレバー内の油圧シリンダーにより軸方向に揺動して
いるので、分割支持ロールによる水平中間ロールの偏摩
耗を生じることはなく、ストリップの表面性状（光沢）
の向上が可能である。

２）作業ロールまたは水平中間ロールの径が減少した場
合でも、分割支持ロールを押圧手段により水平方向に移
動させて、水平中間ロールを、作業ロール、水平中間ロ
ールおよび分割支持ロールの軸芯を結ぶ方向に移動させ
ることにより、常に分割支持ロール、水平中間ロールお
よび作業ロールの接触状態を最適状態に維持しつつスト
リップの形状制御を行うことができる。

３）センタリングレバーの突出部内に水平中間ロールの
軸方向移動用油圧シリンダーを内装し、この油圧シリン
ダーに連結するシフトブロックを上記突出部外面で保持
すると共に水平中間ロールチョックとの間に介装すると
いう巧みな構成配置により、圧延機の限られた狭いスペ
ースを効率的に利用して、「水平中間ロールの軸方向移
動」と「作業ロール、水平中間ロールおよび分割支持ロ
ールの軸芯を結ぶ方向への水平中間ロールの移動」とい
う複合動作の達成が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した4Hi圧延機のロール配置を示
す図、第２図は本考案を適用した6Hi圧延機のロール配
置を示す図、第３図は第１図および第２図のＡ−Ａ矢視
図であり一部断面を示す図、第４図は第３図のＢ−Ｂ矢
視断面図、第５図は第３図のＣ−Ｃ矢視断面図、第６図
は第３図のＤ−Ｄ矢視断面図、第７図は従来技術のロー
ル配置を示す図、第８図は別の従来技術のロール配置を
示す図である。 １……作業ロール、２……水平中間ロール、３……分割
支持ロール、４……補強ロール、５……中間ロール、６
……共通軸、７……ロール軸受、８……カートリッジ、
９……アーム、９′……アーム、10……ウエッジ装置、
10′……ウエッジ装置、11……サポーティングブリッ
ジ、12……センタリングレバー、13……先端金具、14…
…作業ロールチョック、15……水平中間ロールチョッ
ク、16……シフトブロック、17……レバー軸受、18……
油圧シリンダー、18′……油圧シリンダー、19……案内
面、20……突出部、21……油圧シリンダー、22……ピス
トンロッド、23……先端部、24……ナット、31……ワー
クロール、32……中間ロール、33……補強ロール、41…
…補強ロール、42……作業ロール、43……中間ロール、
44……分割ロール

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】補強ロールに対してオフセット配置された
   作業ロールが水平中間ロールを介して分割支持ロールに
   よって支持される形式の圧延機または該圧延機の作業ロ
   ールと補強ロールとの間にさらに中間ロールを介装した
   形式の圧延機に付設された圧延機のロールオシレーショ
   ン装置において、 上記分割支持ロールは押圧手段により水平方向移動可能
   に構成され、上記作業ロール、水平中間ロールおよび分
   割支持ロールの軸芯を同一平面内に保持するセンタリン
   グレバーの突出部内に水平中間ロールの軸方向移動用油
   圧シリンダーが内装され、該油圧シリンダーに連結する
   シフトブロックは上記突出部外面で保持されていると共
   に水平中間ロールチョックとの間に介装され、上記水平
   中間ロールは該シフトブロックの案内面に沿って作業ロ
   ール、水平中間ロールおよび分割支持ロールの軸芯を結
   ぶ方向に上記押圧手段により移動可能に構成されている
   ことを特徴とする圧延機のロールオシレーション装置。