JP2527657Y2 - 継電器整定回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】

本考案は、複数個の継電器へ同一の変成器出力を各継
電器に対応して設けられた複数個の整定切換回路を介し
て導入し、前記複数個の整定切換回路によって各継電器
毎に整定を変更可能である継電器、特に保護継電器の整
定回路に関する。 この種の整定回路は継電器を構成する回路数を少なく
できる方式であることが望まれる。

【従来の技術】

距離継電器などのように、複数の継電器要素（検出回
路）へ同一の入力を導入し、各継電器要素個別に整定変
更を可能とする場合、従来は第８図の回路構成が実用さ
れている。図において、１は変成器、2a〜2cは整定切換
回路、3a〜3cは検出回路である。近年、継電器機能の高
度化の要求に対し、例えば高調波対策用フイルタなどの
入力回路を検出回路の前に設ける必要が生じており、従
来の整定回路を用いると、第９図に示すように入力回路
4a〜4cは検出回路3a〜3cと同じ個数だけ必要となる。

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この場合には、入力回路4a〜4cが検出
回路3a〜3cと同じ個数だけ必要となることから、継電器
の寸法が大形化し、コストが増大するという問題があっ
た。 そこで、本考案は、上述の欠点を除くため、複数個の
検出回路に共通に１つの入力回路を設置することが可能
である継電器整定回路を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

このような課題を解決するために、本考案は、１つの
変成器の出力を整定し、複数個の継電器への入力とする
継電器整定回路において、前記変成器に接続された１つ
の入力回路と、該入力回路の出力を入力とし、相互に増
幅率の異なるｎ台の演算増幅器と、前記ｎ台の演算増幅
器のそれぞれの出力を入力とし、粗整定を行う場合には
増幅率の大きな演算増幅器を選択し、微整定を行う場合
には増幅率の小さな演算増幅器を選択する出力するｍ
（ｍ≧ｎ）台の整定切り換え回路と、複数の入力端を有
し、前記ｍ台の整定切り換え回路の出力を入力とする複
数の検出回路を備えることを特徴とする。

【作用】

本考案の成因について説明する。 第２図は変成器１と、整定切換回路2aと、検出回路3a
とから構成されたこの種の継電器回路の基本構成を示
す。この第２図の基本継電器回路に対して、上述した如
く、高周波対策フイルタなどの入力回路４を設けると、
第３図に示す構成となる。 この第３図の回路に対して、検出回路を複数個（例え
ば、検出回路3a,3b）設けると、第４図の回路構成とな
る。この場合には、整定切換回路2aは複数個の検出回路
3a,3bに対して共通的に設けられているために、複数個
の検出回路3a,3bに対して個別に整定することができな
いという問題がある。 そこで、複数個の検出回路3a,3bに対して、複数個の
整定切換回路2a,2bおよび複数個の入力回路4a,4bを設け
ると、第５図の回路構成となる。この回路構成は上述し
た第９図と同じである。このようにすると、確かに、複
数個の検出回路3a,3bに対して個別に整定することがで
きるという点は確保される。しかしながら、この場合に
は、上述したように、入力回路4a,4bが検出回路3a,3bと
同じ個数だけ必要となることから、継電器の寸法が大形
化し、コストが増大するという新たな問題が派生する。 そこで、第６図に示すように、複数の検出回路に対し
て１つの入力回路を共通に設置するという構成が想起さ
れる。このようにすることにより、複数個の検出回路3
a,3bに対して確保されると共に、継電器の寸法が大形化
しコストが増大するという上述の問題が解消される。 ところで、第２図ないし第５図の構成においては、整
定切換回路2a,2bの引出線は変成器１の異なったタップ
に接続されており、従って変成器の変成比に応じた信号
を供給される。ところが、第６図の場合には、変成器１
の両端には入力回路４が直接接続されている。入力回路
４には変成器の変成比に相当する機能がない。従って、
第６図の回路構成の場合には、継電器の整定変更機能が
存在しないという非常に重要な問題が派生した。 そこで、本考案者は、複数個の検出回路に対して個
別に整定することができるという点を確保する、継電
器の寸法が大形化しコストが増大するということは回避
する、継電器は整定変更機能を有するという観点か
ら、日夜研究と実験を重ねた結果、第７図に示すよう
に、入力回路の後段に所望の増幅度を有する演算増幅器
5a〜5cを接続すれば良いことを見出した。 このような構成によれば、複数個の検出回路に対し
て個別に整定することができ、継電器の寸法が大形化
しコストが増大するということは回避され、継電器は
整定を変形可能である、継電器整定回路が得られる。

【実施例】

次に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。 第１図は本考案の整定回路の実施例を示すものであ
る。入力は変成器１を介して入力回路４に与えられ、入
力回路４の出力側に継電器の整定に必要な増幅率で、か
つ増幅率の異なる演算増幅器5a〜5cを設ける。演算増幅
器5a〜5cの出力はそれぞれ整定切換え器2a〜2dを介して
検出回路3a,3bへ導かれる。 第１図において、演算増幅器5a〜5cの増幅率が順に小
さくなるものとし、整定切換え器2aで増幅器5aを選択
し、整定切換え器2bで増幅器5cを選択すれば、検出回路
3aに対して整定切換え器2aで粗整定を、整定切換え器2b
で微整定を行うことができ、結果として任意の整定が可
能となる。 また、検出回路3aにおいて検出回路内部の演算増幅回
路の抵抗R1とR2の関係をR2＝10R1とすれば、整定切換え
器2aおよび整定切換え器2bで増幅器5aを選択すれば、そ
れぞれ10％オキ,1％オキの整定ができる。 なお、第１図において整定切換え回路（2a〜2d）は、
タップ板、ロータリースイッチ、ピンボードなど、切換
え手段の方法は問わず実現可能である。

【考案の効果】

本考案によれば、複数の検出回路に対し１つの入力回
路を設けるだけで済むように構成したため、寸法、コス
トの低減、使用部品数の低減による信頼度の向上を可能
にした。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による整定回路を示す回路図、第２図は
本考案の応用回路を示す回路図、第３図ないし第７図は
本考案の成因について説明するための回路図、第８図は
従来の継電器整定回路を示す回路図、第９図は従来の整
定回路に入力回路を設けた回路図である。 1:変成器、2a〜2c:整定切換回路、3a〜3c:検出回路、4:
入力回路、5a〜5c:演算増幅器。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】１つの変成器の出力を整定し、複数個の継
   電器への入力とする継電器整定回路において、 前記変成器に接続された１つの入力回路と、 該入力回路の出力を入力とし、相互に増幅率の異なるｎ
   台の演算増幅器と、 前記ｎ台の演算増幅器のそれぞれの出力を入力とし、粗
   整定を行う場合には増幅率の大きな演算増幅器を選択
   し、微整定を行う場合には増幅率の小さな演算増幅器を
   選択して出力するｍ（ｍ≧ｎ）台の整定切り換え回路
   と、 複数の入力端を有し、前記ｍ台の整定切り換え回路の出
   力を入力とする複数の検出回路を備えることを特徴とす
   る継電器整定回路。