JP2527086Y2

JP2527086Y2 - 家具用蝶番

Info

Publication number: JP2527086Y2
Application number: JP1993027280U
Authority: JP
Inventors: 勝重有南; 隆一磯川
Original assignee: 高橋金物株式会社; 磯川産業株式会社
Priority date: 1993-05-25
Filing date: 1993-05-25
Publication date: 1997-02-26
Anticipated expiration: 2007-02-26
Also published as: JPH0685884U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家具用蝶番に関する。
さらに詳しくは、納入先で組上げられるノックダウン方
式の家具等に使用され、家具本体の側板に扉を簡単な作
業で取付けることができるようにした家具用蝶番におい
て、その扉側からの取り外し構造に係る改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、家具用蝶番としては、例えば、実
開平２−１１８０７６号公報に記載のものが知られてい
る。

【０００３】この従来の家具用蝶番は、家具本体の扉側
に固定される部分が扉に埋込み固定されたカップケース
とこれに嵌合装着されるカップ型取付部材とからなり、
カップケースとカップ型取付部材との嵌合側面に嵌合に
より係合される係合部を設けてなるもので、家具等の納
入先において予め固定されたカップケースへのカップ型
取付部材の押し込み嵌合というワンタッチ作業で扉側へ
の装着を完了することができるようにしたものである。
また、この従来の家具用蝶番の係合部は、両者の間にマ
イナスドライバ等の工具類を差し込み可能な係合爪，係
合溝で構成され、工具類による係合爪，係合溝の係合解
除でカップケース，カップ型取付部材を離脱させること
ができるようになっている。

【０００４】なお、この従来の家具用蝶番によると、家
具等の納入先までは扉にカップケースのみが埋込み固定
されているのみで扉から突出した部分が設けられていな
いことになるために、扉の梱包，搬送を容易にするとも
に、蝶番各部の損傷を防止することができるという利点
がある。また、このような従来の家具用蝶番では、通
常、カップ型取付部材にリンク部材を介して家具本体の
側板側に固定される取付部材が連結されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】前述の従来の家具用蝶
番では、カップケースからカップ型取付部材を引き離し
て離脱させる際に、係合部の係合爪，係合溝の間に工具
類を差し込んで係合爪，係合溝の係合を強制的に解除さ
せなければならない。その後、カップ型取付部材に連結
しているリンク部材等を掴んでカップケースからカップ
型取付部材を片持ちの格好で引抜くようにする操作を行
うことから、カップケース，カップ型取付部材の離脱に
よって、工具類の当接，押圧で係合部周りが傷付いたり
変形したりし、引抜き応力の片掛かりでリンク部材や各
部の連結組付けが変形してしまうことがあった。このた
め、点検等のために扉側の取り外しを一旦行うと、損
傷，変形が原因となって扉側への再度の取付け装着が不
可能になったり取付け装着の精密性が低下するという問
題点がある。

【０００６】本考案は、このような問題点を考慮してな
されたもので、損傷，変形を伴わずに扉側からの取り外
しを行うことのできる家具用蝶番を提供することを課題
とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めの本考案に係る家具用蝶番は、カップケースとカップ
型取付部材との嵌合側面に嵌合により係合される係合部
を設け、係合部をカップケース，カップ型取付部材の嵌
合方向と直交する方向へスライド可能とする抜け口をカ
ップケースの嵌合側面の一部を切除して設け、カップ穴
からカップケースを取り外した後にカップ型取付部材を
カップケースの抜け口から抜き出し可能にしたことを特
徴とする手段を採用する。好ましい実施態様としては、
カップケースの上部からフランジ部が張出されるととも
にこのフランジ部に係合されるフランジカバー部がカッ
プ型取付部材から張出されている構成を採用できる。

【０００８】

【作用】扉に埋込み固定されたカップケースにカップ型
取付部材を押し込みすると、係合部によって係合取付さ
れる。取り外しに際しては、カップケース，カップ型取
付部材を一体的に扉から取り外した後に、カップケース
の嵌合側面の切除部分からカップ型取付部材を嵌合方向
と直交する方向へ抜き出せば、取り外しが行われる。再
使用に際しては、損傷や変形が起こらないカップケース
とカップ型取付部材が用いられる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係る家具用蝶番の一実施例を
図面に基いて説明する。

【００１０】この実施例では、図１に示されるように、
扉Ｄ側に固定される部分であるカップ型取付部材１が、
リンクプレート２を介して家具本体の側板（図示せず）
側に固定される部分であるフレーム型取付部材３に回動
可能に連結されたものを示してある。

【００１１】このカップ型取付部材１は、平面形状が略
小判形のカップ形に形成されてなるもので、外周面が後
述のカップケース４に嵌合する嵌合側面１１となり、外
底面が同じく嵌合底面１２となっている。これ等の嵌合
側面１１，嵌合底面１２が突き合わされた角部１３は、
カップケース４への嵌合を容易にするためにアール形に
角取りされている。また、嵌合側面１１のリンクプレー
ト２が取付けられている側の曲面的な１つの面１１ａ
は、リンクプレート２を支持して回動応力を受けるため
に肉厚構造となっている。さらに、カップケース４はそ
の内部の受容穴１６が各種高さｈのフレーム型取付部材
３を収納可能な寸法ｗに延長形成されている。

【００１２】このカップ型取付部材１の嵌合側面１１の
相対する平面的な２つの面１１ｂ，１１ｃには、対称的
な位置に係合溝１４が夫々設けられている。この係合溝
１４は、前記面１１ｂ，１１ｃから曲面的な他の１つの
面１１ｄにかけてＬ字形に掘り込まれたような構造から
なるもので、上端部がカップ型取付部材１の上縁に開放
された開放口１４ａとなり、下端部が外側へ下降傾斜し
た係止面１４ｂとなり、前記面１１ｄ側の側方部がスラ
イド間隙１４ｃとなっている。

【００１３】また、このカップ型取付部材１には、リン
クプレート２が取付されていない側の上部から対称的な
位置にフランジカバー部１５が一体に張出されている。
フランジカバー部１５は、後述するフランジ部４２と同
形の薄板状を呈し、抜き出し方向以外の三部位にはリブ
１５１，１５２が垂設されている。このフランジカバー
部１５には丸穴１５３が開口されている。

【００１４】カップ型取付部材１が嵌合されるカップケ
ース４は、カップ型取付部材１が嵌合収納されるカップ
部４１と、カップ部４１の上縁の外側に翼形に一体形成
されたフランジ部４２とからなる。

【００１５】カップ部４１は、扉Ｄに穿設されたカップ
穴Ｈに嵌合されるカップ形に形成されてなるもので、内
周面がカップ型取付部材１の嵌合する嵌合側面４１１と
なり、内底面が同じく嵌合底面４１２となっている。こ
の嵌合側面４１１の相対する平面的な２つの面４１１
ｂ，４１１ｃ（カップ型取付部材１の嵌合側面１１の相
対する平面的な２つの面１１ｂ，１１ｃに対応）には、
対称的な位置にカップ型取付部材１の係合溝１４と係合
可能な係合爪４１３が夫々設けられている。この係合爪
４１３は、く字形にカップ部４１の内側に切り起こされ
たような形状をして弾性を有している。なお、この係合
爪４１３とカップ型取付け部材１の係合溝１４とによっ
て、２箇所の係合部ａが構成されることになる。

【００１６】さらに、このカップ部４１の嵌合側面４１
１の曲面的な１つの面４１１ａ（カップ型取付部材１の
嵌合側面１１の曲面的な１の面１１ａに対応）は、略全
体が切除されて抜け口４１４となっている。この抜け口
４１４は、カップ部４の嵌合底面４１２に段差を形成し
ないように切除形成されている。また、抜け口４１４の
反対側の１つの面４１４ｄには切欠穴４１５，４１５が
切除形成されている。なお、嵌合底面４１２には必要に
応じて孔部４１６を切除形成しておくことができる。

【００１７】フランジ部４２は、扉Ｄのカップ穴Ｈの周
囲の取付け面に当接するような板形に形成されてなるも
ので、ビス５等の取付け用皿穴４２’が設けられてい
る。

【００１８】この実施例によると、嵌合したカップ型取
付部材１，カップケース４においてカップケース４のカ
ップ部４１の抜け口４１４にまでカップ型取付部材１の
嵌合側面１１のリンクプレート２側の面１１ａを位置さ
せることができることになり、この面１１ａのリンクプ
レート２を支持しての回動応力を受けるための肉厚構造
を抜け口４１４を形成しているカップ部４１の嵌合側面
４１１の１つの面４１１ａの厚さ分増大させることがで
きる。従って、カップ型取付部材１の耐回動応力の強度
が高くなる。また、このようなカップ型取付部材１の耐
回動応力の強度の向上は、面１１ａの肉厚構造の増大量
を前記面４１１ａで吸収することができるため、カップ
穴Ｈの径（カップケース４のカップ部４１の外径）が拡
大するのを避けることができる。このため、規格化，多
用化されているカップ穴Ｈの径の範囲内（例えば、シス
テムキッチンでは、直径３５mmが多用化されている。）
で、カップ型取付部材１の耐回動応力の強度の向上工作
を行うことができる。

【００１９】また、この実施例によれば、抜け口４１４
の反対側の１つの面４１４ｄにも切欠穴４１５，４１５
を切除しているので、叙述のカップ穴Ｈの径の範囲内に
おいても、カップ型取付部材１の受容穴１５の寸法ｗを
大きく設計することができ、これにともなって各種高さ
ｈのフレーム型取付部材３を使用することが可能とな
る。

【００２０】また、この実施例によると、従来のカップ
型取付部材１の係合溝１４の掘り込みを延長しカップケ
ース４のカップ部４１の嵌合側面４１１の一部を切除す
ることで実施することができるため、従来の既存品につ
いて改造実施することも可能である。

【００２１】この実施例の使用に際しては、扉Ｄに対し
て製造工場等で予めカップケース４のみを取付け固定し
ておくことになる。従って、前述の従来例と同様に、扉
Ｄには突出した部分が設けられていないことになるた
め、扉Ｄの梱包，搬送が容易で蝶番各部の損傷を防止す
ることができるという利点が損なわれることはない。な
お、このカップケース４については、ダボ付きネジ等で
ワンタッチで扉Ｄに取付けることができるようにして、
家具等の納入先で取付けるようにすることも可能であ
る。

【００２２】そして、前述の従来例と同様に、ワンタッ
チでカップケース４のカップ部４１にカップ型取付部材
１を嵌合装着することになる。この嵌合装着において
は、カップケース４のカップ部４１とカップ型取付部材
１とを正対させて嵌合させることになる。即ち、カップ
型取付部材１をカップケース４のカップ部４１に押し込
むと、カップ部４１の係合爪４１３が外側方向へ押し広
げられてからカップ型取り付け部材１の係合溝１４に係
合することになり、２箇所の係合部ａによってカップ型
取付部材１，カップケース４の嵌合装着が保持されるこ
とになる。なお、カップ型取付部材１の係合溝１４の係
止面１４ｂが傾斜していて、カップ型取付部材１がカッ
プケース４のカップ部４１の係合爪４１３によってカッ
プケース４のカップ部４１の嵌合底面４１２側へ押圧さ
れるため、前述の装着の緊密性が高くなる。その際、フ
ランジカバー部１５は三方向のリブ１５１，１５２に規
制されつつフランジ部４２の上面に被せられて係合さ
れ、広い部位からの位置決めがなされる。

【００２３】また、点検等のためにカップ型取付部材
１，カップケース４を取り外すには、図２，図３に示す
ようにカップケース４のフランジ部４２を扉Ｄに固定し
ているビス５を抜き、図４，図５に示すように扉Ｄのカ
ップ穴Ｈからカップ型取付部材１，カップケース４を一
体的に引抜いてから、図６に示すようにカップケース４
のカップ部４１からカップ型取付部材１を嵌合方向と直
交する方向へ抜き出すことになる。

【００２４】このような取り外しにおいては、カップケ
ース４のカップ部４１の係合爪４１３がカップ型取付部
材１の係合溝１４のスライド間隙１４ｃの内部をスライ
ドして、カップ型取付部材１がカップケース４のカップ
部４１の抜け口４１４から抜け出すため、操作のために
強い力を必要とせず動作が円滑に行われる。また、フラ
ンジカバー部１５の左右リブ１５２，１５２がフランジ
部４２の左右に当接してガイドされ、リブを有しない側
から引き抜きされるに至る。

【００２５】なお、図７に示すように、カップ型取付部
材１の係合溝１４の開放口１４ａから工具類６を差し込
んで、カップケース４のカップ部４１の係合爪４１３を
押し曲げて係合部ａの係合を解除し、カップ型取り付け
部材１をカップ部４１から引き抜く従来例と同様の取り
外しを行うこともできるようになっている。

【００２６】以上、図示した実施例の外に、係合部ａの
係合構造を他の構造の溝，爪からなる実施例とすること
も可能である。また、係合爪４１３をカップ型取付部材
１の嵌合側面から上方に向けて設け、係止面１４ｂをカ
ップケース４の嵌合側面の上縁に設けることで、相互に
置換することも可能である。

【００２７】さらに、図８に示すように、カップ型取付
部材１の上部にはフランジカバー部を設けない構造で実
施可能である。この場合であっても、係合部構造によっ
て確実な係合取付が行われる。

【００２８】さらにまた、カップ型取付部材１に連結さ
れるリンクプレート２，フレーム型取付部材３等を他の
構造とする実施例も可能である。

【００２９】

【考案の効果】以上のように本考案に係る家具用蝶番
は、扉から一体的に取り外されたカップケース，カップ
型取付部材のカップケースからカップ型取付部材を抜き
出して取り外すことができるので、従来のような工具類
の当接，押圧や引抜き応力の片掛かりが起こらず、扉側
からの取り外しに際して各部の損傷，変形が起こらない
ため、損傷，変形を伴わずに扉側からの取り外しを行う
ことができる効果がある。また、この効果により、損
傷，変形が原因となって扉側への再度の取付け装着が不
可能になったり取付け装着の精密性が低下することがな
い効果が生ずる。

【００３０】さらに、カップケースの切除された部分を
利用してカップ型取付部材に肉厚構造を備えることがで
きるため、既存の外径寸法を拡大することなくカップ型
取付部材の耐回動応力の強度を高めることができる効果
がある。

【００３１】さらに、従来例に比し係合部の溝構造の延
長やカップケースの一部の切除という構成からなるた
め、既存品について簡単に改造実施することができる効
果がある。

【００３２】さらに、扉には突出した部分が設けられな
いため、扉の梱包，搬送が容易で各部の損傷が防止され
るという従来例の利点が損なわれない効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る家具用蝶番の一実施例を示す取り
外した状態の斜視図である。

【図２】図１の取り外し動作を示すもので、取り外し動
作の初動状態の要部の断面図である。

【図３】図２の拡大縦断面図である。

【図４】図２に続く取り外し動作状態を示す要部の断面
図である。

【図５】図４の拡大縦断面図である。

【図６】図４に続く取り外し動作状態で、取り外し完了
状態を示す要部の縦断面図である。

【図７】家具用蝶番の一実施例の他の取り外し例を示す
要部の断面図である。

【図８】家具用蝶番の他の一実施例を示す取り外した状
態の斜視図である。

【符号の説明】

１カップ型取付部材１１嵌合側面１２嵌合底面１４係合溝１５フランジカバー部４カップケース４１カップ部４１１嵌合側面４１２嵌合底面４１３係合爪ａ係合部Ｄ扉

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開平４−265386（ＪＰ，Ａ) 実開平２−118076（ＪＰ，Ｕ) 実公平４−50386（ＪＰ，Ｙ２)

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】家具本体の扉側に固定される部分が扉に
穿設されるカップ穴に埋込み固定されるカップケースと
これに嵌合装着されるカップ型取付部材とからなり、カ
ップケースとカップ型取付部材との嵌合側面に嵌合によ
り係合される係合部を設けてなる家具用蝶番において、
係合部をカップケース，カップ型取付部材の嵌合方向と
直交する方向へスライド可能とする抜け口をカップケー
スの嵌合側面の一部を切除して設け、カップ穴からカッ
プケースを取り外した後にカップ型取付部材をカップケ
ースの抜け口から抜き出し可能にしたことを特徴とする
家具用蝶番。
【請求項２】カップケースの上部からフランジ部が張
出されるとともにこのフランジ部に係合されるフランジ
カバー部がカップ型取付部材から張出されている請求項
１記載の家具用蝶番。