JP2525638B2 - 牛乳脂肪率の上昇剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、乳牛に経口投与すると牛乳脂肪率を上昇さ
せる効果を示す乳牛の乳脂肪率の上昇剤に関する。

従来の技術 近年、乳業メーカーは酪農家からの牛乳の買入れに際
して、牛乳の品質に関して一定の規準を定めて、その規
準に合格しない牛乳の買入を中止している。牛乳の脂肪
率に関しては、各都道府県で規準値は異なるが、乳業メ
ーカーはその規準値に達しない牛乳を生産した酪農家に
対してペナルテイーを課している。

したがつて、牛乳脂肪率を上昇させる添加剤の開発が
強く望まれている。

発明が解決しようとする課題 本発明者らは、ガラクトオリゴ糖類を家畜飼料へ利用
する目的で、家畜に対する活性を検討している過程にお
いて、ガラクトオリゴ糖類を乳牛に経口摂取させると、
牛乳脂肪率が上昇することを見出した。

すなわち、本発明は、上記知見に基いてなされたもの
であつて、ガラクトオリゴ糖類を有効成分とする乳牛の
乳脂肪率の上昇剤を提供することを目的とする。

以下本発明を詳しく説明する。

発明の構成 本発明の特徴は、ガラクトオリゴ糖類を有効成分とす
る乳牛の乳脂肪率の上昇剤にある。

ここで用いる“ガラクトオリゴ糖”とは、乳糖にガラ
クトースが１〜４分子結合した、それぞれのガラクトシ
ルラクトース、ジガラクトシルラクトース、トリガラク
トシルラクトースおよびテトラガラクトシルラクトース
を意味する。

課題を解決するための手段 本発明において、活性成分として用いるガラクトオリ
ゴ糖類は、下記の方法により調製し得る。

乳糖または乳糖含有物（例えば、全乳、脱脂乳、チー
ズホエー等）にβ−ガラクトシダーゼを作用らせてガラ
クトース転移反応を行わせることにより、ガラクトオリ
ゴ糖類混合物が生成する。

上記乳糖または乳糖含有物にβ−ガラクトシダーゼを
作用させるには、出発原料物質の乳糖濃度を５〜50％に
したものを基質とし、これにpH2〜８、酵素濃度0.1〜20
0単位/mlで10〜60℃の温度下で酵素を作用させるのが適
当である。なお、上記酵素を作用させるための反応時間
はオリゴ糖の収量に大きな影響を及ぼすので、最適反応
時間は実験により確認することが必要である。すなわち
上記酵素の作用により生成する反応物中のガラクトオリ
ゴ糖類を高速液体クロマトグラフイーで定量しながら、
反応時間を調整する。

上記の酵素反応は、反応液を90℃以上で２〜30秒間加
熱することにより停止させることができる。酵素処理し
た反応液を、噴霧乾燥あるいはドラム乾燥すると、本発
明によるガラクトオリゴ糖類を20〜50重量％含有する粉
末が得られる。

本発明では、このようにして得られるガラクトオリゴ
糖類含有粉末を、飼料に対して一定量配合したものを乳
牛に給与する。

以下に実施例を示して本発明およびその効果を具体的
に説明する。

実施例 ガラクトオリゴ糖類の調製： 40kgのチーズホエー粉に温水60kgを加えて溶解後、ク
エン酸を加えてpHを5.0に調整したものに、β−ガラク
トシダーゼ60万単位を加えて40℃で10時間反応させた。
得られた反応液を105℃で２秒間加熱して酵素を失活さ
せた後、噴霧乾燥してガラクトオリゴ糖類を25重量％含
有する粉末を調製した。

乳牛の飼育試験： 分娩後３〜４ヶ月経過したホルスタイン種雌牛10頭
を、ＡおよびＢ群に分けた。各群毎に、上記の方法で調
製したガラクトオリゴ糖含有粉末を1.86重量％添加した
飼料と、対照としてガラクトオリゴ糖含有粉末の代りに
ホエー粉を添加した飼料を、下記に示した２重反転法で
給与した。

なお、ガラクトオリゴ糖類の給与量は、１頭当り１日
100gとした。

試験結果： 試験期間中、毎日搾乳し、各個体毎に牛乳の乳脂肪率
を測定した。

結果は下記表に示すとおりである。

表にみられるとおり、ガラクトオリゴ糖類を投与した
試験区では、対照区と比べて、牛乳脂肪率の上昇が認め
られた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安宅 一夫 北海道札幌郡広島町高台町１丁目１番地 ４ (56)参考文献 特開 昭62−138147（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】乳糖もしくは乳糖含有物にβ−ガラクトシ
   ダーゼを作用させて調製したガラクトオリゴ糖類を有効
   成分とする乳牛における乳脂肪率の上昇剤。