JP2524484Y2 - 心押台装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、精密旋盤における心押台装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、旋盤による旋削加工において、旋盤の回転主軸
にセンター又はチャックを装着し、該センター又はチャ
ックに工作物の一端部を保持すると共に、他端部を心押
台のセンターで押圧支持し、工作物を主軸と共に回転さ
せて工作物をバイトで旋削加工を行っている。一般に使
用されている旋盤における心押台装置としては、工作物
端面に設けるセンター穴に心押台に組み込まれるセンタ
ーで支え、旋盤主軸端部に設ける工作物保持手段との間
で工作物を支持している。また、工作物を支持する場合
に、心押台を旋盤ベッド上で工作物の長さに対応して最
適な位置に移動させ、該位置で心押台を旋盤ベッド上に
固定して使用されている。

一般に、心押台装置について、心押台が旋盤ベッド上
を移動する時に心押台をガイドする案内面は、耐摩耗性
に富み且つ該案内面に対する工作が容易でなければなら
ない。更に、心押台の移動時の滑り運動をする部分を動
かす力と、抵抗力の作用線の異なることから発生する回
転モーメントの影響をできるだけ少なくし、滑り面相互
の間の隙間が必要以上に大きくならないような加工を施
し、最終的には旋盤ベッドに対する心押台の調整が可能
に構成されなければならない。

〔考案が解決しようとする課題〕

近年、コンピュータ関連機器、OA機器、VTR等に使用
される部品については、小型且つ高精度が要求されてい
る。旋盤等に用いられるバイトの発達に従って従来では
旋削が困難とされていた焼入鋼に対しても旋削可能なバ
イトが提供され、工作物に対してバイトのみで最終仕上
加工を実施するという加工、即ちグラインダーレス加工
が可能になった。

一方、このようなグラインダーレス加工を提供する旋
盤にあっては、旋盤を構成する重要な機構である心押台
装置も高剛性で且つ高精度化が図られ、従来は補機とし
ての心押台装置であったものが、主軸装置と同様に精度
上細心の注意を払わなければならなくなった。

しかるに、従来からの心押台装置を用いて工作物に対
してグラインダーレス加工を行うには、一般機械部品で
あれば可能であっても、OA部品、自動車部品等を加工す
る場合には、該部品の最終加工はミクロンオーダの加工
精度を確保しなければならず、従来の心押台装置を用い
て工作物に対してこのような高精密加工を得ることは全
く困難なことであった。

また、上記のように、心押台装置における心押台はベ
ッド上の任意の位置に移動して使用されるため、心押台
をどの位置に設定しても、使用に際しては常に同じ条件
下で同様な精度を確保できなければならない。まして心
押台装置のフレームに組み込まれる工作物の支持のため
の軸を必要以上に、フレームから突出させて使用するに
は、機械剛性上からも好ましいとは言えないことであ
る。

従来の心押台装置の側面に設ける調整ねじを用いて旋
盤主軸回転中心軸に心押台回転中心軸を一致させるには
限度があり、旋盤ベッドに対する心押台のフレームの微
調整が困難であった。また、フレーム下面に設けるガイ
ドキーが前記回転中心軸に対して正確な直角度を要求す
るには困難を伴い、心押台装置に用いられるセンターの
先端が僅かに振れた状態になっており、センターで支え
られる工作物に作用する推力も僅かに振れた方向から働
いてしまう。その結果、細い工作物を旋削する場合に、
必要とする加工精度を確保することができなかった。

この考案の目的は、上記の課題を解決することであ
り、工作物の長さに対応して旋盤主軸端からベッド上を
任意の位置まで心押台を移動させて該心押台をベッド上
に固定する心押台装置において、心押台のフレームとベ
ッドとの間に二つのテーパギブを設け、移動ねじによっ
て心押台の旋削ベッドに対する移動時に、テーパギブが
フレームの精密案内ガイドを提供すると共に、ベッドに
対してフレームを幅方向に微小移動させて旋盤主軸回転
中心に心押台回転中心軸を一致させる微調整機構を整え
た心押台装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、上記の目的を達成するため、次のように
構成されている。即ち、この考案は、旋盤ベッド上に心
押台を配置し、前記心押台を旋盤主軸端面から任意の位
置の前記旋盤ベッド上に固定して使用される心押台装置
において、前記旋盤ベッドの上面を突出させて互いに対
向するベッド部を構成し、前記各ベッド部の内側面間に
挿入されるように前記心押台のフレームの下面を突出さ
せて凸部をそれぞれ形成し、前記内側面と対向する前記
凸部の両側端面をテーパ面に形成し、前記内側面と前記
側端面とで構成された二つの空間部にテーパギブをそれ
ぞれ摺動可能に装着し、前記各テーパギブを介して前記
ベッド部の前記内側面に前記フレームの前記凸部を圧接
状態に固定したことを特徴とする心押台装置に関する。

また、この心押台装置において、前記凸部の前記側端
面、前記テーパギブ及び前記ベッド部の前記内側面は、
前記旋盤主軸中心を通る垂直面に対して左右対称に構成
されているものである。

更に、この心押台装置において、前記空間部内での前
記テーパギブの前記凸部に対する摺動微調整は、前記テ
ーパギブに対向する前記凸部の側端面部に形成した雌ね
じに螺入し且つ前記テーパギブに形成した切欠き部に係
合する調整ねじによって達成できるものである。

〔作用〕

この考案による心押台装置は、上記のように構成され
ており、次のように作用する。即ち、この心押台装置
は、旋盤ベッドの上面を突出させた互いに対向するベッ
ド部と心押台のフレームの下面を突出させて各凸部との
間に形成した二つの空間部にテーパギブを摺動可能にそ
れぞれ装着したので、前記各凸部の側面をテーパ面にそ
れぞれ形成し、前記テーパギブの前記テーパ面に圧接状
態になるように前記テーパギブを前記空間部にそれぞれ
挿入することによって、心押台の旋盤ベッドに対する所
望の位置で前記旋盤ベッドに前記心押台の前記各凸部を
固定できる。

特に、この心押台装置は、二つの前記テーパギブの挿
入程度をそれぞれ変更することによって、前記旋盤ベッ
ドに対して前記フレームを幅方向に微小距離移動させる
ことができ、従って、旋盤主軸回転中心に心押台回転中
心軸を容易に一致させることができ、工作物の支持を正
確に行うことができる。

〔実施例〕

以下、図面を参照して、この考案による心押台装置の
一実施例を詳述する。第１図はこの考案による心押台装
置の一実施例を示す正面図、第２図は第１図の側面図、
第３図は第１図の心押台装置の一部を示し且つ第４図の
線III−IIIにおける一部断面の平面図、第４図は第３図
の側面図、第５図は第３図の心押台装置に組み込んだテ
ーパギブの一例を示す斜視図、第６図（Ａ）はフレーム
に螺入する調整ねじの一例を示す側面図、第６図（Ｂ）
は第６図（Ａ）の調整ねじの平面図、第７図（Ａ）はフ
レームに螺入する調整ねじの一例を示す側面図、及び第
７図（Ｂ）は第７図（Ａ）の調整ねじの平面図である。

この考案による心押台装置は、旋盤ベッド１の上面に
配置され、旋盤主軸（図示せず）の端面から任意の位置
に固定されて使用されるものであり、ベッド１上に摺動
可能に配置したフレーム２、フレーム２の貫通孔18に挿
入された軸19、該軸19の旋盤主軸側端部に形成された挿
入孔21、挿入孔21に取外し可能に取付けられたセンター
20、及びフレーム２にブラケット23を介して取り付けら
れ且つ軸19を貫通孔18内で軸方向に移動させるためのシ
リンダ22を有している。

センター20は、センター本体25、センター本体25に固
定し且つ挿入孔21に嵌合するステム部24、及びセンター
本体25内で回転自在に支持されたセンター回転体14を有
している。軸19にセンター20を取り付ける場合には、軸
19の挿入孔21にセンター20を挿入することで取り付ける
ことができる。また、軸19からセンター20を取り外す場
合には、センター本体25に螺入した取外しナット26を回
転させることによって容易に取外すことができる。

更に、この心押台装置において、フレーム２の下端部
には雌ねじ16を形成した突出部27が設けられている。旋
盤ベッド１の上面から突出した一対のベッド部1A,1Bに
跨がって取付けられた支持板28には、突出部27に形成し
た雌ねじ16に螺合する回転ねじ15が回転自在に取り付け
られている。回転ねじ15の回転運動は、回転ねじ15に固
定した手動ハンドル17を回転させることで達成される。
従って、手動ハンドル17を回転させて回転ねじ15を回転
させると、回転ねじ15に螺合した雌ねじ16を形成した突
出部27はベッド部1A,1Bに沿って移動することになる。
突出部27の移動は、突出部27と一体構造のフレーム２を
移動させることになる。従って、旋盤ベッド１に対して
旋盤主軸の中心軸に沿って心押台を移動させることにな
る。

この考案による心押台装置は、特に、次の構成を有す
る点で特徴を有している。即ち、この心押台装置は、主
として、旋盤ベッド１の上面12を上方へ突出させた一対
のベッド部1A,1B、及びベッド部1A,1Bの内側面４に挿入
できるように心押台のフレーム２の下面を下方に突出さ
せた凸部３を有し、ベッド部1A,1Bの内側面４と対向す
る凸部３の両側端面をテーパ面７に形成し、内側面４と
凸部３の両側端面のテーパ面７とで構成された二つの空
間部８にテーパギブ5,6を出入り可能にそれぞれ装着
し、テーパギブ5,6を介してベッド部1A,1Bの内側面４に
凸部３の両側端面をテーパ面７を圧接して旋盤ベッド１
に心押台を固定したものである。

この心押台装置において、ベッド部1A,1B及び凸部３
に対するテーパギブ5,6の移動は、後述するが、凸部３
に形成した雌ねじ９に螺合し且つテーパギブ5,6の切欠
き部5A,5B,6A,6Bに一部が係合する調整ねじ10,11によっ
て達成できる。

この心押台装置において、旋盤ベッド１は、対向状態
に突出した２つのベッド部1A,1Bを有し、各ベッド部1A,
1Bの内側面４と上面12は研削盤で仕上げられているもの
であり、心押台のフレーム２を搭載する面を提供するベ
ッド部1A,1Bの上面12を仕上げ、次にベッド部1A,1Bの内
側面４を仕上げる。ベッド１の面の仕上げ工程におい
て、ベッド１は研削盤に固定した状態に維持しておく方
が好ましい。即ち、ベッド１を研削盤に一度固定するこ
とによって、ベッド１におけるベッド部1A,1Bの上面12
と内側面４を仕上げることで、両面を同時加工すること
が可能になり、取付け作業による誤差が発生しない。ま
た、ベッド１の内側面４の仕上げでは、特に、二つの対
向する内側面４の平行度が正確に仕上げられなければな
らないが、二つのベッド部1A,1Bの対向する内側面４間
の間隔は特に限定されるものではない。

この心押台装置において、心押台フレーム２の凸部３
の側端面即ちテーパ面７、テーパギブ5,6及びベッド部1
A,1Bの内側面４は、旋盤主軸中心を通る垂直面に対して
左右対称に構成されている。フレーム２の後端部即ち旋
盤主軸とは反対側のフレーム端部となる凸部３には、ね
じの周方向の一部分即ちテーパギブ5,6の角部が位置す
る部分を切り欠いた雌ねじ９が長手方向に且つ中心線に
振り分け位置に形成されている。

例えば、フレームの凸部３に雌ねじ９を形成し、次い
で、凸部３の両側端面７をテーパ加工することによっ
て、一部が切り欠かれた雌ねじ９が構成されることにな
る。凸部３の幅の絶対値は限定されるものではないが、
凸部３に形成される側端面７の垂直度は正確に加工する
必要がある。また、凸部３の両側端面７のテーパ面を、
テーパギブ5,6のテーパ面5T,6Tと同一角度α（第５図参
照）に形成する必要がある。最終的には、凸部３の側端
面に形成したテーパ面７とテーパギブ5,6に形成したテ
ーパ面5T,6Tとをすり合わせによって精密に加工するこ
とが好ましい。

また、テーパギブ5,6のテーパ面5T,6Tは、テーパギブ
5,6の内側面に形成されている。これらのテーパギブ5,6
は、ベッド部1A,1B上を往復運動可能な心押台フレーム
２の側端面７とベッド部1A,1Bの内側面４との間に形成
される隙間即ち空間部８にそれぞれ挿入され、空間部８
でテーパギブ5,6を摺動移動させて隙間を加減し、それ
によって、心押台フレーム２を旋盤ベッド１に対して幅
方向に移動させて心押台フレーム２を旋盤主軸の中心に
移動調節するものである。

更に、テーパギブ5,6には、旋盤主軸とは反対側端部
で且つ雌ねじ９に対向する位置に二つの切欠き部5A,5B,
6A,6Bが形成されている。凸部３の側端面部に形成した
雌ねじ９には、調整ねじ10,11が螺合しており、しか
も、調整ねじ10は、テーパギブ5,6に形成した切欠き部5
A,6Aに係合し、また、調整ねじ11は、テーパギブ5,6に
形成した切欠き部5B,6Bに係合している。

この心押台装置において、フレーム２の側面には、４
個のボルト孔13が形成されている。これらのボルト孔13
には、ボルトがそれぞれ螺合してフレーム２をベッド１
のベッド部1A,1Bに仮固定するものである。フレーム２
をベッド１のベッド部1A,1Bに仮固定した状態で、若干
長めに形成したテーパギブ5,6を心押台フレーム２の側
端面７とベッド部1A,1Bの内側面４との間に形成される
空間部８に挿入し、テーパギブ5,6の当たりを確認しな
がらすり合わせ作業を施す。テーパギブ5,6のすり合わ
せ作業の後、テーパギブ5,6を最適長さに切断する。次
いで、テーパギブ5,6の所定の位置に、調整ねじ10,11が
係合する上記の切欠き部5A,5B,6A,6Bを形成する。更
に、旋盤主軸にセンター20を取り付けると共に、フレー
ム２にセンター回転体14であるセンターを取り付け、両
センター間にテストバーを保持して両センターの平行度
を確認する。

更に、この心押台装置は、旋盤ベッド１のベッド部1
A,1Bの上面12と該上面12と同時に加工されたベッド部1
A,1Bの内側面４に密着状態で使用されるため、工作物の
長さに対応してベッド部1A,1Bのどの位置に固定されて
も常に同一条件に設定できる。

また、心押台装置のフレーム２を移動させるには、ベ
ッド１に取り付けた手動ハンドル17を回転させて回転ね
じ15を回転させることによって、フレーム２の凸部３に
設けた雌ねじ16が軸方向に移動し、従って、フレーム２
がベッド部1A,1Bに対して軸方向に移動する。回転ねじ1
5は、心押台装置の中心位置に配置されており、ガイド
の作用を果たすテーパギブ5,6に近接して設けられてい
る。従って、心押台装置のフレーム２の移動に伴って発
生する心押台装置に作用する回転方向の力の影響を受け
ることがない。

この心押台装置において、旋盤主軸の回転中心軸と心
押台フレーム２に取り付けるセンター20の回転中心軸と
を一致させるには、フレーム２の下面に設けた凸部３の
側端面７とベッド部1A,1Bの内側面４とで形成される空
間部８において。テーパギブ5,6を軸方向に相対的に摺
動移動させることで、心押台のフレーム２を幅方向に移
動させて達成できる。特に、テーパギブ5,6のテーパ面5
T,6Tを凸部３のテーパ面７に沿って両テーパ面を圧接状
態で軸方向に移動させることによって、フレーム２が幅
方向に微動移動し、極めて小さな動作となって旋盤主軸
の回転中心軸と心押台フレーム２に取付けるセンター20
の回転中心軸とが容易に一致できるようになる。

また、第６図（Ａ）、第６図（Ｂ）、第７図（Ａ）及
び第７図（Ｂ）に示すように、調整ねじ11を回転させる
ための調整ねじ11に形成した回転工具孔11Hは、調整ね
じ10を回転させるための調整ねじ10に形成した回転工具
孔10Hと比較して大きな孔径に形成されている。従っ
て、調整ねじ10を回転させる時には、調整ねじ10を回転
させる回転工具を、凸部３の端部側から調整ねじ11の回
転工具孔11Hを貫通して回転工具孔10Hに係合させれば、
調整ねじ10を回転させることができる。

従って、テーパギブ5,6の凸部３に対する移動は、次
のようにして行うことができる。まず、調整ねじ11をロ
ック状態を十分に緩める。調整ねじ10を回転させてテー
パギブ5,6を凸部３に対して軸方向に摺動させる。テー
パギブ5,6を凸部３に対して所定の位置に設定した後、
調整ねじ11を回転させて締め上げ、テーパギブ5,6を凸
部３に対してロック状態にする。

この心押台装置において、ベッド部1A,1Bに対して凸
部３をテーパギブ5,6を介して所定の位置に位置設定し
た後、クランプねじ30をフレーム２の上面から挿入し、
クランプねじ30をベッド部1A,1Bの下面に配置した添え
板29に締め付けることによって、心押台のフレーム２を
ベッド部1A,1Bに対して設定固定することができる。

この心押台装置は、一般の工作機械が備える加工の１
サイクル毎に移動を繰り返すスライド機構と異なり、フ
レーム２の凸部３の側端面７、テーパギブ5,6及びベッ
ド部1A,1Bの内側面４等の摺動部の摩耗はそれほど大き
くはないが、摺動移動に伴って摩耗等でがたが発生する
ことがある。たとえ摺動部にがたが発生した時でも、テ
ーパギブ5,6を移動させることによって簡単に修正する
ことができる。

また、テーパギブ5,6自体を交換する場合にも、同様
に、フレーム２のベッド１に対する位置調整を簡単に行
うことができる。例えば、テーパギブ５を旋盤主軸とは
反対側に引き出し、且つテーパギブ６を旋盤主軸側へ押
し込めば、フレーム２はベッド１のベッド部1B側へ幅方
向に移動する。反対に、テーパギブ５を旋盤主軸側へ押
し込み、且つテーパギブ６を旋盤主軸とは反対側に引き
出せば、フレーム２はベッド１のベッド部1A側へ幅方向
に移動する。

この考案による心押台装置の実施例は、上記のように
構成されているが、上記実施例に限定されるものではな
い。即ち、上記実施例では、心押台のフレーム２の後方
からテーパギブ5,6を挿入して作用させているが、この
構成に限ることはない。例えば、心押台のフレーム２の
前方即ち旋盤主軸側からテーパギブ5,6を挿入して作用
させるように構成することも可能である。又は、一方の
テーパギブを心押台のフレーム２の後方から挿入して作
用させ、他方のテーパギブをフレーム２の前方から挿入
して作用させるように構成することも可能である。或い
は、フレームに設ける凸部をフレームの幅方向の両側部
にそれぞれ設け、該各凸部の間にベッドを位置させ、ベ
ッドの両外側面とフレームの凸部の両内側面に形成され
る空間部に、テーパギブをそれぞれ挿入配置するように
構成することもできる。

〔考案の効果〕

この考案による心押台装置は、上記のように構成され
ており、次のような効果を有する。即ち、この心押台装
置は、旋盤ベッドの上面を突出させた互いに対向するベ
ッド部を構成すると共に、心押台のフレームの下面を突
出させて凸部をそれぞれ形成し、前記ベッド部の側面と
前記凸部の側面との間に空間部を形成し、前記凸部の側
面をテーパ面に形成し、該テーパ面に圧接するテーパ面
を備えた二つのテーパギブを前記空間部に摺動可能にそ
れぞれ装着したので、前記テーパギブを圧接状態に前記
空間部に挿入することによって、前記旋盤ベッドに前記
心押台の前記凸部を固定できる。特に、前記テーパギブ
の挿入程度を変更することによって前記旋盤ベッドに対
して前記フレームを幅方向に微小距離移動させることが
でき、従って、旋盤主軸回転中心に心押台回転中心軸を
容易に一致させることができ、工作物の支持を正確に行
うことができ、工作物を高精度に旋削加工することがで
き、工作物の加工精度を極めて高めることができる。

また、前記凸部の側端面、前記テーパギブ及びベッド
部の内側面の摺動による摩耗が発生したとしても、前記
テーパギブを簡単に交換でき、摺動部に発生したがたを
前記テーパギブの調整によって容易に吸収して正確に旋
盤ベッドに対して心押台を設定することができる。

また、前記空間部は、前記フレームの前記凸部と前記
ベッド部との間で且つ前記ベッド部の内側又は外側に形
成できるものであり、前記空間部を前記ベッド部の内側
に形成する場合には、前記旋盤ベッドの上面を突出させ
て対向するベッド部を構成し、該各ベッド部の内側面間
に挿入されるように前記心押台のフレームの下面を突出
させて凸部を形成し、該内側面と対向する前記凸部の両
側端面をテーパ面に形成し、前記内側面と前記側端面と
で構成された二つの空間部にテーパギブをそれぞれ摺動
可能に装着することで達成される。

また、前記凸部の前記側端面、前記テーパギブ及び前
記ベッド部の前記内側面は、前記旋盤主軸中心を通る垂
直面に対して左右対称に構成されているので、前記テー
パギブの出し入れの調整が極めて高精度に達成できる。

更に、前記テーパギブに対向する前記凸部の側端面部
に形成した雌ねじに螺合し且つ前記テーパギブに形成し
た切欠き部に係合する調整ねじが組み込まれるので、前
記調整ねじを回転させるだけで前記テーパギブを前記凸
部に対して軸方向に微小距離だけ移動させることができ
る。また、前記調整ねじを２個宛設けることで、一方の
調整ねじを回転させることで前記テーパギブを移動さ
せ、他方の調整ねじで前記テーパギブを前記凸部に固定
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による心押台装置の一実施例を示す正
面図、第２図は第１図の側面図、第３図は第１図の心押
台装置の一部を示し且つ第４図の線III−IIIにおける一
部断面の平面図、第４図は第３図の側面図、第５図は第
３図の心押台装置に組み込んだテーパギブの一例を示す
斜視図、第６図（Ａ）はフレームに螺入する調整ねじの
一例を示す側面図、第６図（Ｂ）は第６図（Ａ）の調整
ねじの平面図、第７図（Ａ）はフレームに螺入する調整
ねじの一例を示す側面図、及び第７図（Ｂ）は第７図
（Ａ）の調整ねじの平面図である。 １……ベッド、1A,1B……ベッド部、２……フレーム、
３……凸部、４……内側面、5,6……テーパギブ、5A,5
B,6A,6B……切欠き部、5T,6T,7……テーパ面、８……空
間部、9,16……雌ねじ、10,11……調整ねじ、12……上
面、13……ボルト孔、14……センター回転体、15……移
動ねじ。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】旋盤ベッド上に心押台を配置し、前記心押
   台を旋盤主軸端面から任意の位置の前記旋盤ベッド上に
   固定して使用される心押台装置において、前記旋盤ベッ
   ドの上面を突出させて互いに対向するベッド部を構成
   し、前記各ベッド部の内側面間に挿入されるように前記
   心押台のフレームの下面を突出させて凸部をそれぞれ形
   成し、前記内側面と対向する前記凸部の両側端面をテー
   パ面に形成し、前記内側面と前記側端面とで構成された
   二つの空間部にテーパギブをそれぞれ摺動可能に装着
   し、前記各テーパギブを介して前記ベッド部の前記内側
   面に前記フレームの前記凸部を圧接状態に固定したこと
   を特徴とする心押台装置。
2. 【請求項２】前記凸部の前記側端面、前記テーパギブ及
   び前記ベッド部の前記内側面は前記旋盤主軸中心を通る
   垂直面に対して左右対称に構成されている請求項１に記
   載の心押台装置。
3. 【請求項３】前記空間部内での前記テーパギブの前記凸
   部に対する摺動微調整は、前記テーパギブに対向する前
   記凸部の側端面部に形成した雌ねじに螺入し且つ前記テ
   ーパギブに形成した切欠き部に係合する調整ねじによっ
   て達成できる請求項１に記載の心押台装置。