JP2523400B2 - クランクシャフトの加工方法 - Google Patents

クランクシャフトの加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は内燃機関に使用するクランクシャフトの加
工方法に関する。
〔従来の技術〕
従来内燃機関に使用されているクランクシャフトは、
クランクシャフトミラーを使用して加工しているが、V
型6気筒エンジンとV型8気筒エンジンに使用している
クランクシャフトでは、ピンの幅が約2倍も違うため、
これらクランクシャフトを同一のクランクシャフトミラ
ーで加工する場合、従来では次の加工方法により加工し
ていた。
(1)第9図(イ)及び(ロ)に示すように、V型6気
筒エンジン(以下単にV6エンジンという)に使用するク
ランクシャフトaを加工するカッタbと同様に、V型8
気筒エンジン(以下単にV8エンジンという)に使用する
クランクシャフトa′を加工するカッタb′の幅を大き
くして加工する方法。
(2)第10図(イ)及び(ロ)に示すようにV6エンジン
のクランクシャフトaを加工するカッタbが取付けられ
たカッタアダプタcの幅に合せてカッタアダプタc′を
製作し、これにV8エンジンのクランクシャフトa′を加
工するカッタb′を取付けて加工する方法。
(3)第11図(イ)に示すようにV6エンジンのクランク
シャフトaを加工するカッタbと同じ幅のカッタb′に
よりまずV8エンジンのクランクシャフトa′を加工し、
次にレストdをカッタb′に対して長手方向へ移動して
残りの部分を加工する方法。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし上記(1)の加工方法のようにV8エンジンのク
ランクシャフトa′を加工するカッタb′の外径を大き
くすると、カッタbが大重量となるためカッタ交換など
の段取り替えが大変になると共に、カッタ自体も高価と
なる不具合がある。
また上記(2)の方法のようにV6エンジンのクランク
シャフトaに合せた幅のカッタアダプタc′にカッタ
b′を取付けてV8エンジンのクランクシャフトa′を加
工した場合、剛性の低下から精度の高い加工ができない
不具合がある。
さらに上記(3)の加工方法のように加工中レストd
を移動した場合、加工精度が低下する不具合がある。
この発明は上記不具合を改善する目的でなされたもの
で、V6エンジンのクランクシャフトは、ピン幅及びピン
の外径をカッタにより1回で、そしてV8エンジンのクラ
ンクシャフトはピン幅及びピンの外径を2回に分けて加
工するようにしたクランクシャフトの加工方法を提供し
ようとするものである。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
この発明は上記目的を達成するために、クランクシャ
フトを加工する2基のカッタヘッドと、上記クランクシ
ャフトを支持する2基のレスト装置を備えたクランクシ
ャフトミラーによりV6エンジンのクランクシャフトと、
V8エンジンのクランクシャフトを加工するに当って、ク
ランクシャフトを支持するレスト装置のクランクシャフ
トの長手方向に対する位置を固定した状態で、V6エンジ
ンのクランクシャフトはピン幅及びピンの外径をカッタ
により1回で、そしてV8エンジンのクランクシャフトは
ピン幅及びピンの外径をカッタで2回に分けて加工する
ようにしたものである。
これによってV6エンジンのクランクシャフトを加工す
るカッタによりV8エンジンのクランクシャフトの加工が
可能になる。
〔実施例〕 この発明の一実施例を図面を参照して詳述する。
V8エンジンに使用されるクランクシャフト1′のピン
1a′は、同時に2本のコンロッド(図示せず)が組込ま
れることから、V6エンジンのクランクシャフト1のピン
1aに対して約2倍の幅を有しており、この発明ではこの
点に着目してV6エンジンのクランクシャフト1のピン幅
及びピン1aの外径を1回で、そしてV8エンジンのクラン
クシャフト1′はピン幅及びピン1aの外径を2回に分け
て加工するようにしたものである。
すなわちV6エンジンのクランクシャフト1を加工する
に当っては、まず第1工程で第1図に示すように右側の
レスト装置2′によりクランクシャフト1のジャーナル
1bをクランプすることにより支持し、この状態で左側の
カッタユニット(図示せず)に取付けられた左カッタ3
により第1ピン1a1を、そして右側のカッタユニット
(図示せず)に取付けられた右カッタ3′により第3ピ
ン1a3を加工する。
なおこの発明の加工方法に使用するクランクシャフト
ミラーは、ワーク1,1′の両端を把持する2基のワーク
ヘッド(図示せず)と、ワーク1,1′の複数のピン1aを
同時に加工可能な2基のカッタユニット(図示せず)
と、上記カッタユニットに設けられ、かつカッタユニッ
トのカッタ3,3′により加工するピン1a近傍のジャーナ
ル1bを支持する2基のレスト装置2,2′よりなる。
そしてレスト装置2,2′はワーク1,1′をクランプする
ことによりジャーナル1bを支持し、アンクランプするこ
とにより支持を開放するようになっている。
上記のようにして第1工程が完了したら、第2工程で
は右側のカッタユニットを第5ピン1a5へ、そして左側
のカッタユニットを第2ピン1a2へ移動して、各カッタ
ヘッドに設けられたレスト装置2′,2をクランプするこ
とにより第5ピン1a5及び第2ピン1a2に隣接するジャー
ナル1bを支持し、この状態で各カッタユニットに設けら
れたカッタ3′,3により第5ピン1a5及び第2ピン1a2
同時に加工する。
第3工程では左側のレスト装置2でクランクシャフト
1のジャーナル1bをクランプして支持した状態で左側カ
ッタユニットに取付けられた左カッタ3により残りの第
4ピン1a4を、そして右側のカッタユニットに取付けら
れた右カッタ3′で第6ピン1a6を加工する。
以上のようにして加工することにより、2基の左右レ
スト装置2,2′はカッタ3,3′との相対位置を移動するこ
となくクランクシャフト1の全てのピン1aを加工するこ
とができるようになる。
一方V8エンジンに使用するクランクシャフト1′は第
2図に示すように4工程により加工する。
すなわち第1工程で左側のカッタユニットに取付けら
れた左カッタ3により第1ピン1a1の半分を、そして右
側のカッタユニットに取付けられた右カッタ3′で第2
ピン1a2の半分を加工する。
このとき右側のカッタユニットに設けられたレスト装
置2′で第2ピン1a2に隣接するジャーナル1bをクラン
プして支持する。
第2工程では左側カッタユニットの左カッタ3で第1
ピン1a1の残り半分を、そして右側カッタユニットの右
カッタ3′で第3ピン1a3の半分をそれぞれ加工すると
共に、このとき左側カッタユニットのレスト装置2で第
1ピン1a1に隣接するジャーナル1bをクランプして支持
し、右側のカッタユニットのレスト装置2′で第3ピン
1a3に隣接するジャーナル1bをクランプして支持する。
第3工程では左側カッタユニットの左カッタ3で第2
ピン1a2の残り半分を、そして右側カッタユニットの右
カッタ3′で第4ピン1a4をそれぞれ加工すると共に、
このとき左側カッタユニットのレスト装置2で第2ピン
1a2に隣接するジャーナル1bをクランプして支持し、右
側のカッタユニットのレスト装置2′で第4ピン1a4
隣接するジャーナル1bをクランプして支持する。
最後の第4工程では左側カッタユニットの左カッタ3
で第3ピン1a3の残り半分を、そして右側カッタユニッ
トの右カッタ3′で第4ピン1a4の残り半分をそれぞれ
加工すると共に、このとき左側カッタユニットのレスト
装置2で第3ピン1a3に隣接するジャーナル1bをクラン
プして支持する。
これによってV6エンジンのクランクシャフトと同様
に、カッタ3,3′とレスト装置2,2′の相対位置を変える
ことなく、レスト装置2,2′のクランプ、アンクランプ
するだけで各カッタ3,3′により加工するピン1a近傍の
ジャーナル1bを支持することができるようになる。
以上はV6エンジン及びV8エンジンに使用されるクラン
クシャフト1,1′の加工方法であるが、同様な方法で第
3図及び第4図に示すように3気筒エンジンに使用する
クランクシャフトと4気筒エンジンに使用するクランク
シャフトや、第5図及び第6図に示すようにV10エンジ
ンやV12エンジンに使用するクランクシャフトについて
も加工することができる。
また第7図にV6エンジンに使用するクランクシャフト
1のピン幅及びピン1aの外径をカッタ3により1回で加
工する状態を、そして第8図にV8エンジンに使用するク
ランクシャフト1′のピン幅及びピン1aの外径を2回に
分けて加工する状態をそれぞれ示す。
これら図で明らかなように、V8エンジンのクランクシ
ャフト1′を2回に分けて加工する際でも、左右レスト
装置2,2′と左右カッタ3,3′のワーク長手方向の相対位
置を移動しなくてもよいように、予めレスト装置2,2′
のピッチが設定されている。
〔発明の効果〕
この発明は以上詳述したように、同一のクランクシャ
フトミラを使用して、V6エンジンのクランクシャフトの
ピン幅及びピンの外径は1回で、またV8エンジンのクラ
ンクシャフトのピン幅及びピンの外径は2回に分けて加
工するようにしたことから、従来のようにV8エンジンの
クランクシャフトを加工するカッタが大型となって段取
り替えが大変になるなどの不具合を解消することができ
ると共に、カッタアダプタを交換せずにクランクシャフ
トの加工が可能なため、カッタの剛性が低下して加工精
度に影響を及ぼすなどの不具合も解消することができ
る。
さらにレスト装置とカッターのワーク長手方向の相対
位置を固定したままで加工が可能になることから、ワー
クの把み替えによる精度の低下が防止できると共に、V
6、V8エンジンのクランクシャフトを加工する場合にも
2回に分けて加工することにより、加工負荷が低減でき
るため、より大型のクランクシャフトも小さい能力のク
ランクシャフトミラーにより加工することができるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
図面はこの発明方法の実施例を示すもので、第1図はV6
エンジンのクランクシャフトを加工する際の工程を示す
工程図、第2図はV8エンジンのクランクシャフトを加工
する際の工程図、第3図は3気筒エンジンのクランクシ
ャフトを加工する際の工程図、第4図は4気筒エンジン
のクランクシャフトを加工する際の工程図、第5図はV1
0又は5気筒エンジンのクランクシャフトを加工する際
の工程図、第6図はV16又は6気筒エンジンのクランク
シャフトを加工する際の工程図、第7図はV6エンジンの
クランクシャフトを1回で加工している状態の詳細図、
第8図はV8エンジンのクランクシャフトを2回に分けて
加工している状態の詳細図、第9図(イ)、(ロ)、第
10図(イ)、(ロ)及び第11図(イ)、(ロ)は従来の
加工方法を示す説明図である。 1,1′はクランクシャフト、2,2′はレスト装置、3,3′
はカッタ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランクシャフト1,1′を加工する2基の
    カッタヘッドと、上記クランクシャフト1,1′を支持す
    る2基のレスト装置2,2′を備えたクランクシャフトミ
    ラーによりV6エンジンのクランクシャフト1と、V8エン
    ジンのクランクシャフト1′を加工するに当って、クラ
    ンクシャフト1,1′を支持するレスト装置2,2′のクラン
    クシャフトの長手方向に対する位置を固定した状態で、
    V6エンジンのクランクシャフト1はピン幅及びピン1aの
    外径をカッタ3,3′により1回で、そしてV8エンジンの
    クランクシャフト1′はピン幅及びピンの外径をカッタ
    3,3′により2回に分けて加工することを特徴とするク
    ランクシャフトの加工方法。
  2. 【請求項2】上記加工方法を実施するため、各カッタユ
    ニットに設けられたカッタ3,3′とレスト装置2,2′の間
    隔を、1回加工と、2回加工が可能なピッチに設定して
    なる請求項1記載のクランクシャフトの加工方法。
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