JP2518271Y2 - 車両用空調吹出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は車室内の空調空気吹出口
に設置される車両用空調吹出装置に関し、更に詳しくは
同空調吹出装置の空調ケース体内部で水平軸線回りに回
動するハウジングの回動を所定の角度に制限すると共
に、同回動角度を越えて回動可能とすることにより車室
内における同空調吹出装置の設置作業の容易性を確保し
た車両用空調吹出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内部前面に枠状のハウジングを収容した
空調ケース体を車室内の空調用空気吹出口に設置し、前
記ハウジングを空調ケース内で水平軸線回りを回動でき
るようにして上下方向の風向きを変更する車両用空調吹
出装置がある。

【０００３】図６は前記空調吹出装置例を示しており、
同図によれば空調ケース体１′の前面は側部から見て円
弧の一部をなし、同空調ケース体１′の前部空間内には
左右に回動する図示せぬ縦ルーバと前面に固定水平ルー
バ３′とを有する枠状のハウジング４′が水平軸線回り
に回動可能に軸支されている。縦ルーバは上下の軸部が
ハウジング４′の上下壁面により回動自在に支持される
と共に、各縦ルーバは一本の図示せぬ縦ルーバ連動用リ
ンクにより回動自在に連結されており、図示せぬノブを
左右に操作して一枚の縦ルーバを左右に回動させること
により、前記リンクを介して全縦ルーバが一斉に左右に
回動する。一方、上記水平ルーバ３′はハウジング４′
の前面に水平に固定されており、上下の風向きを調整す
るときは該ハウジング４′を空調ケース体１′の内部で
左右軸部を中心として上下に回動させることにより行う
ようにしている。

【０００４】この種の車両用空調吹出装置を例えば車両
の天井部に設置する場合、各種部材が組付けられた空調
吹出装置のケース体両端部をビス締めにより天井パネル
に止着し、次いで取付け後の外観を損なわせないためビ
ス頭に盲蓋を被着させている。この盲蓋の被着作業は、
もともと空調吹出装置の設置とは関係のない作業であ
る。

【０００５】かかる不具合を排除するため、前記ケース
体の後壁部に予めビス孔を形成しておき、空調吹出装置
を前記ビス孔を介して車両パネルに取付けるとき、同ケ
ース体の内部に上下回動可能に取付けられた吹出グリル
の前面に形成されたルーバ面の隙間及び同グリルの内部
に回動自在に装着された多数の風向調整板間の隙間を通
して、外部からドライバー操作によるビス締めを行い、
上記盲蓋の被着作業を無くすと共に、外観上の見栄えを
損なわないようにすることも行われている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかして、図６に示す
空調吹出装置例の場合も同様であるが、上述の如き空調
ケース体とハウジングとを備えた従来の車両用空調吹出
装置では、一般的にハウジングの回動位置の設定は前記
空調ケース体の内側面に突出する突片とハウジングの外
側面との間の接触抵抗に依存するものであり、ハウジン
グの傾斜姿勢が安定しないことが多い。

【０００７】また、上述のごとき空調吹出装置の設置構
造によれば、ビスの止着作業を容易にするためには、吹
出グリルの内部風向調整板間の間隔及び前面ルーバの間
隔を必要以上に大きく設定する必要があり、そのため空
調吹出装置の設置後には相変わらず吹出グリルの正面か
ら内部に取付ビス頭が見えることがあり、未だ見栄えの
点で満足できないものであった。

【０００８】本考案は上述の不具合を同時に解消するこ
とを目的としてなされたものであり、設置作業の容易性
と設置後の外観とを確保すると共に、設置作業時及び風
向き変更時におけるハウジングの姿勢を確実に保持でき
る車両用の空調吹出装置を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本考案は前面に水平ルーバ群を固定し、後部に連動
して回動する風向き調整用縦ルーバ群を軸支した上下壁
部及び左右壁部を有する枠状のハウジングと、該ハウジ
ングを前部に収納すると共に、ハウジングの左右両端の
支軸を水平に枢支する空調ケース体とを備えた車両用空
調吹出装置であって、前記ハウジングの上下壁部のそれ
ぞれにドライバー挿通孔を形成すると共に、前記上下壁
部のドライバー挿通孔が前後に水平に並んだとき、同ド
ライバー挿通孔を結ぶ直線上に位置する前記空調ケース
体の後壁にビス孔が形成され、前記ハウジングの回動端
部を案内する案内面と該案内面の一部に前記ドライバー
挿 通孔が水平に並んだとき、前記空調ケース体の左右壁
部の内壁面の少なくとも一方にハウジングの回動を規制
する第１止片とを有する第１回動位置規制部材が設けら
れ、前記第１止片により前記ハウジングの上下壁部のい
ずれかを挟持する前記後壁の部位に、前記ハウジングの
回動により弾性変形可能な第２止片を内方に突出させた
第２回動位置規制部材を有してなることを特徴としてい
る。

【００１０】

【作用】空調ケース体にハウジングを組み込んだ本考案
の空調吹出装置を車両パネルに設置するときは、まずハ
ウジングを空調ケース体の内部で上方に回動させる。こ
の回動の途中において、ハウジングの上壁部の後端がケ
ース本体の後壁から突出する上記第２止片に衝接する
が、更にハウジングを上方に回動させると同止片は弾性
力で後方に回動して逃げ、ハウジングの更なる回動を許
容する。

【００１１】ハウジングが回動を続けて前記上下壁部が
水平面上に並ぶと、上壁部の後端が第１回動位置規制部
材の第１止片に当接し、ハウジングのそれ以上の回動を
できなくする。このとき、前記上壁部の前端は前記第２
止片を越えると同時に、同第２止片が弾性力により元の
姿勢に復帰し、上壁部の前端に当接する。従って、この
状態では上下壁部が、第２及び第１止片により挟持され
た状態となるため、ハウジングは容易に回動できなくな
る。

【００１２】この状態で空調ケース体の後壁を車両パネ
ルの設置部に当てがい、水平状態に並ぶドライバー挿通
孔にドライバーを挿通させてビスを車両パネルにねじ込
み、空調ケース体を車両パネルに固定する。この設置作
業が終了したあとでハウジングを下方に回動させると、
第２止片は弾性力により前方に回動してハウジングの回
動を許容する。

【００１３】こうして車両パネルに設置された車両用空
調吹出装置の前面から突出するノブを左右に操作すれ
ば、前記リンクを介して全縦ルーバが左右に一斉に回動
する。いま、風向きを斜め下方に向けるべくハウジング
を下向きに回動させると、水平ルーバが斜め下方に向い
て吹出口から吹き出される空気は斜め下方に向かうよう
になる。このとき、本考案によればハウジングの下壁部
の後端が上記第１回動位置規制部材の第１止片の下面に
当接して、それ以上の回動を規制する。

【００１４】また、風向きを斜め上方に向けるべくハウ
ジングを上向きに回動させると、水平ルーバが斜め上方
に向いて吹出口から吹き出される空気は斜め上方に向か
うようになる。このとき、本考案によればハウジングの
上壁部の後端が上記第２回動位置規制部材の第２止片の
上面に当接して、それ以上の回動を規制する。

【００１５】

【実施例】以下、本考案を図示実施例により具体的に説
明する。図１〜図５は本考案の代表的な実施例を示し、
図１は車両用空調吹出装置の縦断面図、図２は同装置の
空調ケース体を正面から見た内部構成図、図３はハウジ
ングの上向き回動時の縦断面図、図４は同ハウジングの
下向き回動時の縦断面図、図５は車両用空調吹出装置の
設置時のハウジング回動位置を示す縦断面図である。本
考案の車両用空調吹出装置は、従来と同様に図示せぬ車
両パネルに直接取り付けられる空調ケース体１と、該空
調ケース体１の内部に装着されるハウジング４とからな
る。

【００１６】空調ケース体１はケース本体１ａとフィニ
ッシャ１ｂとからなり、ケース本体１ａは全体が矩形断
面を有する角筒状をなしており、上下壁部１ａ′には上
下の前面壁部１ｂ′を円弧状に膨出させた矩形枠状のフ
ィニッシャ１ｂが嵌着固定されて構成される。従って、
空調ケース体１の前部は側面から見て円筒空間の一部を
なしている。

【００１７】また、本考案ではケース本体１ａの後部に
後壁１ｃを有しており、左右壁面１ｄに隣接する後壁１
ｃの中央部分には左右一対のビス孔１１が形成されると
共に、前記左右壁面１ｄの双方又はそのいずれかに接し
て本考案の特徴部分の一部をなす第１回動位置規制部材
１２が設けられている。該回動位置規制部材１２は、図
１及び図２に示すごとく前面が前記ハウジング４の回動
面と略同一の曲率をもつ円弧面１２ａとされ、図示例に
よれば同円弧面１２ａの下部に半径方向に突出する第１
止片１２ｂが形成されている。

【００１８】更に、本考案ではケース本体１ａの前記後
壁１ｃの一部には、図１及び図２に明示するごとき凹字
状のスリット１３が形成されており、同スリット１３に
より囲まれて形成される舌片１４ａの下端からはケース
本体１ａの内部に向けて水平に突出する第２止片１４ｂ
が形成されると共に、同第２止片１４ｂの上面と前記後
壁１ｃとの間を３角形状の補強リブ１４ｃで連結してい
る。これらの舌片１４ａ、第２止片１４ｂ及び補強リブ
１４ｃにより本考案の第２回動位置規制部材１４を構成
している。図示例によれば、第２回動位置規制部材１４
は上記ビス孔１１に関して前記第１回動位置規制部材１
２の対称位置に設けられている。そして、第１回動位置
規制部材１２と第２回動位置規制部材１４との間の垂線
距離は、少なくとも上記ハウジング４の上壁部４ａの奥
行き長さに略等しく設定される。

【００１９】前記ケーシング本体１ａの左右側壁間に
は、縦ルーバ２と水平ルーバ３を有する枠状のハウジン
グ４が水平軸線回りを回動可能に軸着されている。この
回動を許容するため、略矩形枠状をなしたハウジング４
の上下壁部４ａの外面は前記空調ケース体１の上下壁部
１ａ′，１ｂ′の内壁面と略同一の曲率をもつ円弧状を
なしており、その左右側壁の中央からは図示せぬ支軸が
突出している。

【００２０】また、同ハウジング４の前記上下壁部４
ａ，４ｂの左右端部の中央部分には一対のドライバー挿
通孔４ｃが形成されると共に、同ハウジング４の前面に
は水平ルーバ３が所定の間隔をおいて平行に固着されて
おり、一方の縦ルーバ２はハウジング４の内部に所定の
間隔をおいて垂直状態で多数列設され、図示せぬ上下の
軸部がハウジング４の上下壁部４ａ，４ｂに回動自在に
支持されている。各縦ルーバ２の後端部下端が図示せぬ
一本の縦ルーバ連動用リンクにより回動自在に連結され
る。

【００２１】いま、空調ケース体１にハウジング４を組
み込んだ本実施例による空調吹出装置を車両パネルに設
置するときは、まずハウジング４を空調ケース体１の内
部で上方に回動させる。この回動の途中において、ハウ
ジング４の上壁部４ａの後端が図２に示すごとくケース
本体１ａの後壁１ｃから突出する上記第２止片１４ｂに
衝接するが、更にハウジング４を上方（図３の反時計回
り方向）に回動させると同止片１４ｂは弾性力で図５に
仮想線で示すごとく後方に回動して逃げ、ハウジング４
の更なる回動を許容する。

【００２２】ハウジング４が回動を続けて上下壁部４
ａ，４ｂが水平面上に並ぶと、上壁部４ａの後端が第１
回動位置規制部材１２の第１止片１２ｂに当接し、それ
以上の回動をできなくする。このとき、前記上壁部４ａ
の前端は前記第２止片１４ｂを越え、同第２止片１４ｂ
は弾性力により図５の実線位置に復帰し、上壁部４ａの
前端に当接する。従って、この状態では上下壁部４ａ，
４ｂが、第２及び第１止片により挟持状態となるため、
ハウジング４は容易には回動できなくなる。

【００２３】図５に実線で示す状態で空調ケース体１の
後壁１ｃを車両パネルの設置部に当てがい、水平状態に
前後に並ぶドライバー挿通孔４ｃに図示せぬドライバー
を挿通させてビスを車両パネルにねじ込み、空調ケース
体１を車両パネルに固定する。この設置作業が終了した
あとでハウジング４を下方（図５の時計回り方向）に回
動させると、第２止片１４ｂは弾性力により前方に回動
し、図５に仮想線で示す位置とは反対側に逃げてハウジ
ング４の回動を許容する。

【００２４】こうして車両パネルに設置された車両用空
調吹出装置の前面から突出するノブ６を左右に操作すれ
ば、前記リンク５を介して全縦ルーバ２が左右に一斉に
回動する。いま、風向きを斜め下方に向けるべくハウジ
ング４を、図４に示す如く下向きに回動させると水平ル
ーバ３が斜め下方に向き、吹出口から吹き出される空気
は斜め下方に向かうようになる。このとき、本考案によ
ればハウジング４の下壁部４ｂの後端が上記第１回動位
置規制部材１２の第１止片１２ｂの下面に当接して、そ
れ以上の回動を規制している。

【００２５】また、風向きを斜め上方に向けるべくハウ
ジング４を、図３に示す如く上向きに回動させると水平
ルーバ３が斜め上方に向き、吹出口から吹き出される空
気は斜め上方に向かうようになる。このとき、本考案に
よればハウジング４の上壁部４ａの後端が上記第２回動
位置規制部材１４の第２止片１４ｂの上面に当接して、
それ以上の回動を規制する。

【００２６】なお、上記第１及び第２回動位置規制部材
１２，１４の設置位置は適宜設定し得るものであり、そ
の設定位置によりハウジング４の風向き変更のための回
動角度が決定される。

【００２７】

【考案の効果】以上の説明からも明らかなごとく、空調
ケース体とハウジングとを備えた本考案の車両用空調吹
出装置によれば、同装置の設置作業が簡単となり、しか
も設置後においてビス等が表出しないため外観を損なう
ことがなく、また上下の風向き変更も所定角度に設定さ
れ、空気吹き出し姿勢が確保される。また、特に本考案
では同装置の設置にあたって、単にハウジングを回動さ
せるだけでビス止めが可能となるばかりでなく、ドライ
バー挿通孔の水平位置においてハウジング位置が第１及
び第２回動位置規制部材により同時に規制されるため、
設置作業時においてハウジングが徒らに上下に回動する
ことがなくなり、同作業が極めてしやすいものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の車両用空調吹出装置の構成例を示す縦
断面図である。

【図２】同装置の構成部材をなすケース本体の端部にお
ける内部構造を示す一部正面図である。

【図３】上記車両用空調吹出装置の空気吹き出しを斜め
上方に向けたとき縦断面図である。

【図４】上記車両用空調吹出装置の空気吹き出しを斜め
下方に向けたとき縦断面図である。

【図５】上記車両用空調吹出装置の設置時におけるハウ
ジング姿勢を示す縦断面図である。

【図６】従来の一般的な車両用空調吹出装置の機能説明
図である。

【符号の説明】

１，１′ 空調ケース体 １ａ ケース本体 １ｂ フィニッシャ １ａ′，１ｂ′ 上下壁部 １ｃ 後壁 １ｄ 左右側壁部 ２ 縦ルーバ ３，３′ 水平ルーバ ４，４′ ハウジング ４ａ，４ｂ 上下壁部 ４ｃ ドライバー挿通孔 １１ ビス孔 １２ 第１回動位置規制部材 １２ａ 円弧面 １２ｂ 第１止片 １３ スリット １４ 第２回動位置規制部材 １４ａ 舌片部 １４ｂ 第２止片 １４ｃ リブ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前面に水平ルーバ(3) 群を固定し、後部
   に連動して回動する風向き調整用縦ルーバ(2) 群を軸支
   した上下壁部(4a,4b) 及び左右壁部を有する枠状のハウ
   ジング(4) と、該ハウジング(4) を前部に収納すると共
   に、ハウジング(4) の左右両端の支軸(4a)を水平に枢支
   する空調ケース体(1) とを備えた車両用空調吹出装置で
   あって、 前記ハウジング(4) の上下壁部(4a,4b) のそれぞれにド
   ライバー挿通孔(4c)を形成すると共に、前記上下壁部(4
   a,4b) のドライバー挿通孔(4c)が前後に水平に並んだと
   き、同ドライバー挿通孔(4c)を結ぶ直線上に位置する前
   記空調ケース体(1) の後壁(1c)にビス孔(11)が形成さ
   れ、前記ハウジング(4) の回動端部を案内する案内面(12a)
   と該案内面(12a) の一部に前記ドライバー挿通孔(4c)が
   水平に並んだとき 、前記空調ケース体(1) の左右壁部の
   内壁面(1d)の少なくとも一方にハウジング(4) の回動を
   規制する第１止片(12b) を有する第１回動位置規制部材
   (12)が設けられ、 前記第１止片(12b) により前記ハウジング(4) の上下い
   ずれかの壁部(4a,4b)を挟持する前記後壁(1c)の部位
   に、前記ハウジング(4) の回動により弾性変形可能な第
   ２止片(14a) を内方に突出させた第２回動位置規制部材
   (14)を有してなることを特徴とする車両用空調吹出装
   置。