JP2516144Y2 - 電磁石 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は電磁石、特に、小型の電
磁石に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、電磁石として、図３に示すよう
に、断面矩形状の磁性材を略コ字形に折り曲げて鉄心１
を形成し、この鉄心１にスプール２を介してコイル３を
巻回したものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記電
磁石では、スプールを射出成形により形成しているた
め、樹脂を十分に充填するには所定の肉厚が必要であ
る。このため、前記電磁石を小型にした場合、鉄心１の
断面積が非常に小さくなり、コイル３に僅かな電流を流
すだけで、前記鉄心１はすぐに磁気飽和した状態とな
り、十分な吸引力を得ることができなかった。例えば、
前記電磁石を電磁継電器に適用した場合、吸引力の不足
分を可動接触片のバネ力を調整することにより補わなけ
ればならないが、加工精度のばらつき等からこの調整は
非常に困難である。

【０００４】本考案は前記問題点に鑑み、小型でも所望
の吸引力を確保できる電磁石を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は前記目的を達成
するため、鉄心に射出成形により形成したスプールを介
してコイルを巻回してなる電磁石において、前記鉄心を
断面略半円形状の長尺材とし、スプールを形成する樹脂
の合流部を、鉄心の長手方向で、かつ、曲面部の頂部に
沿って位置させ、該曲面部頂部でのスプールの肉厚を平
面部側のスプールの肉厚に比べて薄肉としたものであ
る。

【０００６】

【実施例】次に、本考案に係る電磁石の一実施例につい
て図１および図２を参照して説明するが、この電磁石
は、図１に示すように、従来例とは鉄心５の断面形状が
異なるだけであるので、対応する部分に同一符号を付し
てその説明を省略する。

【０００７】前記鉄心５は断面略半円形状の磁性板を略
コ字形状に折り曲げたものである。この鉄心５では、曲
面部５ａが膨出する部分の肉厚が鉄心５の肉厚の３分の
１以下に抑えられているため、鉄心５の平面部５ｂ側に
は簡単に折り曲げることができる。

【０００８】また、この鉄心５は、インサート成形によ
り、磁極面を残してスプール２で被覆されるが、このイ
ンサート成形は図２の矢印Ａで示すように、鉄心５の平
面部５ｂ側から行われ、充填された樹脂は矢印Ｂ方向へ
流動した後、曲面部５ａの中央（頂部）で合流する。

【０００９】このように、鉄心５の下面では、樹脂の流
動方向にスプール２の肉厚が徐々に薄くなるようにして
あるので、無理なく樹脂を充填することができる。ま
た、この樹脂が鉄心５の曲面部５ａの中央で合流するよ
うにしているので、たとえ充填不足となっても、露出す
るのは曲面であり、巻回するコイル３が断線する恐れは
ない。

【００１０】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
に係る電磁石によれば、従来例のものと同じ大きさであ
っても、鉄心の断面形状を略半円形状とすることで、従
来例に比べて断面積を大きくできるので、鉄心が磁気飽
和を起こしにくくなり、特に、小型の場合に、十分な吸
引力を確保できる。また、スプールを形成する樹脂の合
流部に曲面部が位置するようにしてあり、かつ、鉄心の
下面で樹脂の流動方向に徐々に薄肉となっているので、
スプールの外形が従来と同じであっても樹脂はスムーズ
に流動し、たとえ、充填不足を起こした場合でも曲面部
が露出してコイルが断線することはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例に係る電磁石の部分断面斜視図であ
る。

【図２】 図１のI─I線断面図である。

【図３】 従来例に係る電磁石の部分断面斜視図であ
る。

【符号の説明】

２…スプール、３…コイル、５…鉄心、５ａ…曲面部、
５ｂ…平面部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心に射出成形により形成したスプール
   を介してコイルを巻回してなる電磁石において、前記鉄
   心を断面略半円形状の長尺材とし、スプールを形成する
   樹脂の合流部を、鉄心の長手方向で、かつ、曲面部の頂
   部に沿って位置させ、該曲面部頂部でのスプールの肉厚
   を平面部側のスプールの肉厚に比べて薄肉としたことを
   特徴とする電磁石。