JP2513873Y2 - 遮音パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、アパートの界壁用パネ
ルなどとして好適に用いられる遮音パネルに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来より、プレハブ化住宅などの工業化
住宅においては、パネルを現場で組み合わせて接合する
方式の施工法が採用されている。パネルとしては、工場
で予め、框材を矩形枠状に組んで形成した枠体の内部
に、縦横に芯材を配設し、かつこの枠体の表裏面に面材
を貼設して構成したものが用いられる。

【０００３】ところで、アパートの界壁用パネルなど、
特に防音や遮音を確保することが望ましいとされる部位
には、前記構成のパネルでは不都合がある。すなわち、
前記構成のパネルを用いた場合には、パネルの表裏両面
間が芯材によって直接連結された構成となっているた
め、音や振動がこの芯材を伝わって、パネルの表面から
裏面まで響いてしまうからである。

【０００４】そこで、特に遮音を確保する必要のある部
位には、例えば、図５に示すような遮音パネルが利用さ
れている。

【０００５】図５は、従来の遮音パネルの一例を示す断
面図で、図中符号１は、框材１aが矩形枠状に組まれて
形成された枠体である。この枠体１の表裏面には、面材
２,２が貼設されている。また、この枠体１の内部に
は、芯材３,３が千鳥状に配設されている。すなわち、
この例では、前記框材１aより幅の小さい芯材３,３が２
本用意され、１本はその側面を枠体１の表面に揃え、ま
た他の１本はその側面を枠体１の裏面に揃えるようにし
て、互いに千鳥状になるように、所定の間隔をあけて平
行に配設されており、これによって、枠体１内部は、前
記芯材３,３によって枠体１の表裏面間を直接連結する
ことのないように配慮がなされている。このため、この
遮音パネルは、その表裏面間を振動が伝達したりあるい
は音が伝導したりすることがさえぎられている。また、
この遮音パネル内部でかつ前記芯材３,３の配設部位以
外の空間には、グラスウール等の断熱材４が充填されて
いる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前記遮音パ
ネルにあっては、芯材３,３を互いに千鳥状になるよう
に配設するため、製造手間がかかって生産性が悪いとい
う問題があった。また、パネルの反りが発生し易く、パ
ネルの品質を維持することができないうえに、構造強度
が低いために、構造材としての使用に耐えないなどの問
題もあった。

【０００７】本考案は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、製造が容易でかつ高強度を有するよう
な遮音パネルを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、框材が矩形枠
状に組まれて形成された枠体の内部に、縦横に芯材を配
設し、かつこの枠体の表裏面に面材を貼設して構成され
たパネルにおいて、前記縦横の芯材のみに、その長手方
向に延在しかつ前記枠体の表裏面と平行な方向に貫通す
るスリットを断続的に形成してなることを解決手段とし
た。

【０００９】

【作用】本考案の遮音パネルによれば、枠体内部の芯材
のみに、その長手方向に延在しかつ前記枠体の表裏面と
平行な方向に貫通するスリットが断続的に形成されてい
るので、パネル表面に音や振動が加わった場合、これら
の音や振動は、これらのスリットによってさえぎられ、
パネルの裏面にまで伝達されることが防止される。面材
に音や振動が加わった場合、面材における音や振動のエ
ネルギーの大きさは、枠体に貼設される部分よりも芯材
に貼設される部分の方が大きくなるので、パネルに加わ
る音や振動を遮断するには、枠体部分よりも芯材部分の
方が効果的である。したがって、芯材にスリットを形成
すれば、音や振動を効果的に遮断することができる。

【００１０】

【実施例】以下、図１ないし図４を参照して、本考案の
遮音パネルの一実施例について説明する。

【００１１】この遮音パネル１０は、概略、框材を矩形
枠状に組んで形成した枠体１１の内部に、縦横に芯材１
２a,１２bが配設され、枠体１１の表裏面に面材１３,１
３が貼設されてなるものである。

【００１２】図１は、枠体１１の構成を示すもので、縦
框材１１a,１１aおよび横框材１１b,１１bが矩形輪郭に
組まれて接合されている。

【００１３】この枠体１１の内部には、縦芯材１２aお
よび横芯材１２bが配設されている。この例では、１本
の縦芯材１２aが、枠体１１内部のほぼ中央に、前記縦
框材１１aに対して平行に配設され、その両側に、それ
ぞれ２本ずつの横芯材１２b,１２bが、ほぼ均等な間隔
をあけて、前記横框材１１bに対して平行に配設されて
いる。また、縦芯材１２aおよび横芯材１２bには、枠体
１１を構成する框材(縦框材１１a,横框材１１b)と同一
幅を有する木質材が用いられており、幅方向の両側面を
それぞれ枠体１１の表面および裏面に揃えるようにして
配設されている。

【００１４】縦芯材１２aおよび横芯材１２bには、それ
ぞれ、厚み方向（枠体１１の表裏面と平行な方向）に貫
通するスリット１４が形成されて、このパネルの表裏両
面間の連結を少なくとも一部遮断するように配慮がなさ
れている。具体的にこの例では、縦芯材１２aおよび横
芯材１２bの幅方向のほぼ中央部に、該縦芯材１２aおよ
び横芯材１２bの長手方向に細長い矩形状に形成された
スリット１４,１４…が数個、所定間隔をあけて断続的
に設けられている。このようなスリット１４,１４…が
形成されたことによって、パネルの表面と裏面とを直接
的に連結していた芯材（縦芯材１２a,横芯材１２b）の
一部が遮断されたことになる。

【００１５】スリット１４の形成手段としては、例え
ば、図２あるいは図３に示すような手段が採用される。
図２に示した手段とは、所定寸法(幅および長さ)の芯材
(縦芯材１２a、横芯材１２b)を用意した後に、所定位置
に穿設加工を施して、目的のスリット１４を形成すると
いうものである。また図３に示した手段とは、予め芯材
(縦芯材１２a、横芯材１２b)の幅より小さな幅の角材１
５aを用意し、この角材２本を、所定の間隔を隔てて離
した状態に平行に配し、さらに両角材１５a,１５aの間
の隙間に所定間隔毎に埋木１５b,１５b…を配すること
で、芯材(縦芯材１２a、横芯材１２b)を形成するととも
に、埋木１５bと埋木１５bとの間に残された空間を目的
のスリット１４とするというものである。

【００１６】さらに、図４に示すように、このようにし
て構成された枠体１１の内部で、かつ前記縦芯材１２a
および横芯材１２bの配設部位以外の空間には、グラス
ウール等の断熱材１６が充填されている。

【００１７】また、枠体１１の表裏両面には石膏ボード
等の面材１３,１３が貼設されて、本実施例の遮音パネ
ル１０が構成されている。

【００１８】このようにしてなる本実施例の遮音パネル
においては、枠体１１内部に配設された縦芯材１２aお
よび横芯材１２bに、それぞれ厚み方向に貫通するスリ
ット１４,１４…が形成されているので、パネルの表裏
両面を直接連結する芯材(縦芯材１２a、横芯材１２b)の
一部がこれらスリット１４,１４…によって遮断された
こととなる。よって、パネル表面から芯材(縦芯材１２
a、横芯材１２b)に伝えられた音や振動が、このスリッ
ト１４,１４…によってさえぎられて、パネルの裏面に
まで伝達されることが防止される。したがって、この遮
音パネル１０は、高い遮音性能を有し、アパートの界壁
用パネルなど、特に防音や遮音が要求される部位に好適
に利用される。

【００１９】また、幅の小さな芯材を千鳥状に配設して
いた従来の遮音パネルに比べて、製造手間がかからず、
生産性の向上を図ることができるうえに、パネルの反り
などのトラブルを防止して高い品質の遮音パネルを得る
ことができる。また、縦芯材１２aおよび横芯材１２bと
して、框材(縦框材１１a、横框材１１b)と同一幅の木質
材が用いられ、その両側面をそれぞれ枠体１１の表裏面
に揃えるようにして配設されてなることから、この遮音
パネル１０は高い構造強度を有し、構造材としての利用
にも耐え得るものである。

【００２０】なお、本考案の遮音パネルは、前記実施例
に限られるものではなく、各部材の形状、寸法、材質等
の具体的構成要件は、実施にあたり適宜変更可能とされ
る。

【００２１】例えば、前記実施例では、枠体１１の内部
に、１本の縦芯材１２aとその両側に２本ずつの横芯材
１２b,１２bとが配設された例を示したが、これら芯材
の数および配設位置は、これに限られない。また、スリ
ット１４の形状や数、およびその形成手段なども、前記
実施例で示した例に限られず、適宜変更可能である。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案の遮音パネ
ルによれば、枠体内部の芯材のみに、その長手方向に延
在しかつ前記枠体の表裏面と平行な方向に貫通するスリ
ットが断続的に形成されているので、これらのスリット
によって、音や振動の伝達がさえぎられ、高い遮音性能
を示すことができる。また、この芯材にスリットを断続
的に形成したので、反りなどの変形を防いで高品質を維
持できるうえに、高強度を有し構造材としての使用にも
耐え得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の遮音パネルを構成する枠体の一例を示
す斜視図である。

【図２】芯材へのスリットの形成手段の一例を示す斜視
図である。

【図３】芯材へのスリットの形成手段の他の一例を示す
斜視図である。

【図４】本考案の遮音パネルの一例を示す断面図であ
る。

【図５】従来の遮音パネルの一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 遮音パネル １１ 枠体 １１a 縦框材(框材) １１b 横框材(框材) １２a 縦芯材(芯材) １２b 横芯材(芯材) １３ 面材 １４ スリット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 框材が矩形枠状に組まれて形成された枠
   体の内部に、縦横に芯材が配設され、かつこの枠体の表
   裏面に面材が貼設されて構成されたパネルにおいて、前記縦横の芯材のみに、その長手方向に延在しかつ前記
   枠体の表裏面と平行な方向に貫通する スリットが断続的
   に形成されてなることを特徴とする遮音パネル。