JP2512097Y2 - 印鑑付万年筆 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、印鑑付万年筆の改良に関する。

（従来の技術） 従来、インクを吸蔵できるようにスポンジゴム等の無
数の連続気孔を有した多孔性印材より形成された印字体
を使用して、使用のたびに朱肉等に付着させる必要のな
い印鑑を軸の後端に装着した印鑑付筆記具が知られてい
る。然しながら、この種の印鑑付筆記具は印鑑の印字面
が露出していると印字面にキズをつけたり、ゴミが付着
したり、インクが乾いてしまう等の問題が発生する為
に、キャップで印字面を被覆するようになっており、そ
の為にキャップを着脱するのが面倒なだけでなくキャッ
プをなくしてしまう等の問題や着脱に際して誤って手を
汚すなどの問題がある。又、朱肉を使用する象牙等の印
材に代表される硬質の印鑑はキズをつけることは少ない
が、汚したり、ゴミが付着したり、キャップをなくして
しまう問題は存在する。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記のような問題を解決した便利な印鑑付万
年筆を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために案出された本考案の印鑑付
万年筆は、その後端部内孔に印鑑を収納して開口部を遮
蔽する蓋部をキャップ後端部の基部に回動自在に取付け
ると共にキャップを軸後方部外周に軸推移可能に被嵌し
て、キャップを軸の先方に推移させた時、蓋部の内側面
が印鑑の角部に接触しながら拡開して印字体が開口部よ
り露出して捺印可能としたものである。

（実施例） 第１図乃至第４図は本考案の実施例を示している。先
ず、第１図に示す様に印鑑（16）はインクを吸蔵できる
様にスポンジゴム等の無数の連続通気孔を有した多孔性
印材より形成された印字体（17）とインクを貯蔵して印
字体（17）にインクを供給するインク吸蔵体をカバーで
（図示せず）脚部（15）に固着して構成され、軸筒
（１）の後端内孔に着脱可能に嵌着されている。

キャップ（２）の後端で開口部（３）近傍の外周部に
設けた基部（11）にキャップ（２）と蓋部（４）との相
互間にスプリング（６）を附勢して蓋部（４）を回動自
在に取付けると共に、蓋部（４）は常時開口部（３）を
遮蔽するように構成されている。又、基部（11）にはク
リップ（12）が固着されている。又、キャップ（２）は
軸筒（１）の外周部に軸推移可能に被嵌されるが、軸筒
（１）の外周部には係止溝（７）と（８）が形成され、
それと対向してキャップ（２）の基部（11）には前端に
突状の係止部（20）と後端に釦（14）を有したロック装
置（９）が中間の止着部（10）でピン等を介して適宜回
動するように取付けられている。

又、ロック装置（９）はキャップ（２）に設けた窓部
（図示せず）に嵌装しており、ロック装置（９）の釦
（14）はクリップ（12）に穿設された窓部（13）から適
宜突出して、軸筒（１）の周面と釦（14）の下部との間
にはスプリング（19）が附勢されて釦（14）を押圧する
ことにより上記係止部（20）が昇降するように構成され
ている。第１図の状態では上記係止部（20）が軸筒
（１）の係止溝（７）に係合している。

又、キャップ（２）は上記ロック装置（９）の解除に
より軸筒（１）に対して軸推移するが回動方向には阻止
されている。然しながら、回転方向の阻止を確実にする
為にキャップ（２）の内周部と筒（１）の外周部には適
宜に回転止め手段が施される。（図示せず） ところで、上記軸筒（１）の内径部後方には段部（2
3）が形成され、溝部（24）を有したインナーキャップ
（21）が、段部（23）に溝部（24）を係合させて固着さ
れている。又、インナーキャップ（21）の内孔部入口に
は係合溝（22）が形成されている。

一方、万年筆の筆記体は略中央に位置した中軸（25）
の先方に口金（28）を備えた先軸（26）が取付けられ、
後方には尾栓（30）を備えた後軸（27）が取付けられて
いる。又、口金（28）の先端及び尾栓（30）の後端には
同形で係合部（29）（31）が形成され、更に口金（28）
の先端にはペン先（32）が設けられている。尚、中軸
（25）内にはインク貯蔵体が収納されて（図示せず）イ
ンクがペン先（32）迄誘導されるよう構成されている。

（作用） 本考案の印鑑付万年筆は以上のように構成されてお
り、未使用時には第２図に示す様に蓋部（４）が印字体
（17）を被覆状態になしている。

又、ペン先側が軸筒（１）の内孔に挿入されて、口金
（28）の係合部（29）がインナーキャップ（21）の係合
溝（22）に止着してペン先（32）はインナーキャップ
（21）内に密嵌されている。又、万年筆を使用する場合
には、第１図に示すように上記止着状態を解除して後軸
側を軸筒（１）の内孔に挿入して、尾栓（30）の係合部
（31）をインナーキャップ（21）の係合溝（22）に止着
させる。又、捺印時には中軸（25）に対して上記ロック
装置（９）の釦（14）を押圧した状態でキャップ（２）
を先方に軸推移すると止着部（５）を支点にして蓋部
（４）の内側面が印字体（17）を避けた印鑑（16）の角
部（18）を接触しながら拡開して印字体（17）がキャッ
プの開口部（３）から露出する。その時、ロック装置
（９）の係止部（20）は係止溝（７）から離脱して係止
溝（８）に位置する。（第４図参照）この状態でキャッ
プ（２）を指で掴んで捺印してもキャップ（２）が中軸
（25）に対して軸推移しないように阻止される。

再び印字体（17）を収納する場合には、釦（14）を押
圧した状態でキャップ（２）を中軸（25）に対して後方
に軸推移させれば良い。

（考案の効果） 本考案の印鑑付万年筆の構成及び作用は以上の如くで
あり、従来のキャップで印字面を被覆した物のように、
捺印の度にキャップを着脱して紛失してしまう心配も無
く又、キャップの着脱の際に誤って手を汚してしまう等
の問題も無く使用でき、且つ、非使用時には印字面が蓋
部により被覆されているので、キズをつけたり、ゴミが
付着したりインクが乾いてしまう等の問題もなく、極め
て使い勝手の良い印鑑が提供可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す透視縦断面図で、印字体
を収納し、万年筆の使用状態を示している。第２図は印
字体及びペン先を収納した携帯時の状態を示した透視縦
断面図である。第３図は印字体を収納し、万年筆の使用
状態に於ける上面図、第４図はペン先を収納し、印字体
を露出させた状態の正面図である。 （１）……軸筒、（２）……キャップ、（３）……開口
部、（４）……蓋部、（５）……止着部、（６）……ス
プリング、（７）……係止溝、（８）……係止溝、
（９）……ロック装置、（10）……止着部、（11）……
基部、（12）……クリップ、（13）……窓部、（14）…
…釦、（15）……脚部、（16）……印鑑、（17）……印
字体、（18）……角部、（19）……スプリング、（20）
……係止部、（21）……インナーキャップ、（22）……
係合溝、（23）……段部、（24）……溝部、（25）……
中軸、（26）……先軸、（27）……後軸、（28）……口
金、（29）……係合部、（30）……尾栓、（31）……係
合部、（32）……ペン先。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軸の先方部に万年筆の筆記体を備え、後方
   部に印鑑を装着した印鑑付万年筆に於いて、軸の後端部
   に印鑑（16）を収納して、開口部（３）を常時遮蔽する
   蓋部（４）をキャップ（２）後端の基部（11）にキャッ
   プ（２）と蓋部（４）との相互間にスプリング（６）を
   附勢して回動自在に取付けると共に、上記キャップ
   （２）を軸後方部外周に軸推移可能に被嵌して、当該キ
   ャップ（２）を軸の先方に推移させた時、上記蓋部
   （４）の内側面が印字体（17）を避けた印鑑の角部（1
   8）に接触しながら拡開して印字体（17）が開口部
   （３）より露出して捺印可能となるように構成したこと
   を特徴とする印鑑付万年筆。