JP2507652B2 - エコ―キャンセラ - Google Patents

エコ―キャンセラ

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JP2507652B2
JP2507652B2 JP5332190A JP5332190A JP2507652B2 JP 2507652 B2 JP2507652 B2 JP 2507652B2 JP 5332190 A JP5332190 A JP 5332190A JP 5332190 A JP5332190 A JP 5332190A JP 2507652 B2 JP2507652 B2 JP 2507652B2
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薫 中条
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Description

【発明の詳細な説明】 [概要] 長距離電話システム、会議電話システム、あるはテレ
ビ/音声会議電話システムなどに使用されるエコーキャ
ンセラに関し、 外乱などによりエコーキャンセラが発散状態に陥った場
合でも、自動的に自己復帰できるようにすることを目的
とし、 受信信号に基づいて擬似エコー信号を発生し、送信側
入力信号からこの擬似エコー信号を減じて送信側出力信
号とするように構成されたエコーキャンセラにおいて、
擬似エコー信号と送信側入力信号を比較して、擬似エコ
ー信号が送信側入力信号の所定割合以上となったことに
より発散を検出する発散検出手段、および、発散検出手
段により発散が検出された時にエコーキャンセラをリセ
ットするリセット手段を備えてなる。
[産業上の利用分野] 本発明は、長距離電話システム、会議電話システム、
あるいはテレビ/音声会議電話システムなどに使用され
るエコーキャンセラに関するものである。
エコーキャンセラは衛星通信や海底ケーブル通信など
の長距離電話回線で生じるエコーによる通話品質の劣化
を防止することを目的に開発されたものである。このエ
コーキャンセラ技術は、現在では、鳴音余裕度の改善と
いう目的で、着信転送サービス用双方向中継器、電話会
議用中継器などへも適用されており、また伝送路の効率
化を図るため長い符号化遅延を有する高能率符号器など
の適用によって問題となるエコーを消去する目的でも必
要となってきている。
さらにテレビ/会議電話システムや拡声電話機などで
は、スピーカからの出力音が部屋の壁などで反射し、マ
イクロホンに回り込むことによって生じるエコー音を消
去する目的で使用されている。
[従来の技術] 長距離電話回線の場合について、エコー現象とエコー
キャンセラの原理が以下に説明される。
第13図はエコー現象を説明する図である。一般に長距
離回線では、回線の両端の加入者回線は2本の線路で信
号の送受を行う2線式回線であり、それらを結ぶ長距離
回線は送受が各々別々の線路を用いる4線式回線で構成
される。2線と4線の変換にはハイブリッドトランス4
1、42が用いられるが、2線と4線の接続点におけるイ
ンピーダンスの不整合により受信側入力信号の一部がハ
イブリッドトランス41、42を経由して送信側に漏れ込む
現象が生じる。この漏れ込んだ信号を一般にエコーと呼
んでいる。
このエコーは、国内通話の場合には音声信号の伝播時
間が短く、送信信号と相手側の接続点を経由して戻って
くるエコーとの時間的ずれが最大でも50msec程度と少な
いため、話者には側音として聞こえ、通話の妨害となら
ないので、問題は少ない。
一方、衛星回線などを使用する国際回線では、通話者
間の往復信号は伝搬時間が約300msec以上になる場合も
あり、このため通話者は遅延を伴った自分の声のエコー
を聞きながら話すことになり、話しづらく、スムーズな
通話を行えなくなる。
エコーキャンセラはこのようなエコーを抑圧するもの
であり、その動作原理が第14図に示される。エコーキャ
ンセラ43、44は4線式回線の両端に置かれており、この
エコーキャンセラ43、44は、エコー経路の特性を推定し
て擬似エコー信号を発生する擬似エコー発生部431、441
と、実際のエコー信号から擬似エコー信号を差し引く減
算部432、442からそれぞれ構成される。
擬似エコー発生部431、441では一般にトランスバーサ
ルフィルタを用いてエコー経路のインパルス応答を推定
するが、インパルス応答の変化に対応するために、通
常、受信信号を用いて適応フィルタの係数を適応的に変
化させる構成をとっている。適応フィルタの適応アルゴ
リズムとしては、一般にはハードウェア構成が簡単で比
較的特性のよい学習同定法が用いられることが多い。
[発明が解決しようとする課題] しかし、学習同定法若しくはそれに類した適応アルゴ
リズムを用いた場合、FM変調による低ビットレートモデ
ム信号や単一周波数信号などの狭帯域信号が入力された
場合、推定インパルス応答(フィルタのタップ係数)の
値が大きくなり、ハードウェアの構成上定めたビットの
制限を越えるといった発散現象が起こることがある。
また実回線にエコーキャンセラを適応したときには、
回線が接続されていてエコー経路が存在している場合だ
けでなく、回線が切り替わったためエコー経路が存在し
なくなる場合もあり、このためエコーキャンセラが常
時、インパルス応答の推定を正しく行える状態にあると
は限らない。
このような場合に対応するために通常、エコーキャン
セラは内部に状況を判断し常に安定な動作を行うための
制御機能を備えている。しかし、これらの制限機能は必
ずしも全ての状況に対応可能であるとは言えず、何らか
の理由でインパルス応答の推定ができなくなった状態で
長時間にわたり適応動作を続けると、演算誤差が徐々に
累積されて、ついには発散現象に陥ることもある。
このような発散現象が発生した場合、エコーキャンセ
ラは第14図に示されるように、対となる二つのエコーキ
ャンセラ間で閉ループを形成するようになっているた
め、一旦フィルタの係数が発散した後では正常な動作に
自動的に復帰することは非常に難しいと言える。
また、このような発散現象は次のような場合にも生じ
る。すなわち、エコーキャンセラは、複雑な処理を実時
間で行うため、通常はディジタル信号処理回路を用いて
実現されており、取り扱う信号はディジタル信号となっ
ている。一方、電話網で取り扱う信号はアナログ信号で
ある。
このため、エコーキャンセラの前後にはアナログ信号
をディジタル信号に変換する回路が必要となり、ほとん
どの場合、第15図に示されるように、この変換回路とし
てPCMコーデックが使用されている。このPCMコーデック
は出力信号としてμ則コード等の非線形な8ビットの信
号を用いており、その最大値が制限されている。
エコーキャンセラの送信側入力信号はPCMコーデック
の出力信号であるため、最大レベルでもこのPCMコーデ
ックの出力最大値を越えることはない。また擬似エコー
は、エコーを推定したものであるため、正常動作してい
ればPCMコーデックの最大値を越えることはない。
エコーキャンセラにおいて、PCMコーデックの非線形
な8ビットの出力信号を用いてディジタル信号処理を行
う場合、通常、線形な信号に変換してから処理を行うこ
とになるが、その際、PCMコーデックの8ビットは14ビ
ットの信号に拡張される。さらに、エコーキャンセラで
エコー消去処理を行う場合、演算制度を確保するため、
14ビット以上の制度で演算が行われることも多く、その
ような場合にはエコー経路の推定が正しく行われていな
いと、擬似エコー信号としてPCMコーデックの最大値を
越えた値が算出されることもある。
この結果、残留エコーである送信側出力信号がPCMコ
ーデックの最大値を越えてしまうことも生じる。このよ
うな場合でも、送信側出力信号が再びPCMコーデックで
8ビットに変換されて対向するエコーキャンセラに伝送
されるのであれば、対向エコーキャンセラに影響を及ぼ
すことはない。
しかし、PCMコーデックの代わりに高能率符号器が挿
入されているような場合には、送信側出力信号がPCMコ
ーデックの最大値を越えたまま対向エコーキャンセラに
伝送されることもある。
この結果、対向エコーキャンセラの受信側入力信号と
してPCMコーデックの最大値を越えた値が入力されこと
になるが、この信号がエコー経路(すなわち対向エコー
キャンセラからPCMコーデック、ハイブリッドトラン
ス、PCMコーデックを経て元の対向エコーキャンセラの
送信側に回り込む経路)に出力される際には、PCMコー
デックにより値が抑えられてしまい、このため受信側入
力信号と送信側入力信号との間に非線形性が生じてしま
い、正しいエコー消去動作が不可能となり、対向エコー
キャンセラを発散させる原因ともなりうる。
上記のように何らかの理由により発散現象が生じた場
合には、それが実際に通話の障害となって現れることに
なり、そのような場合、従来は人間の判断によってエコ
ーキャンセラをリセットする以外に方法がなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、外乱などによりエコーキャンセ
ラが発散状態に陥った場合でも、自動的に自己復帰でき
るようにすることにある。
[課題を解決するための手段] 第1図〜第4図はそれぞれ本発明に係る原理説明図で
ある。これら第1図〜第4図において、91は受信信号に
基づき擬似エコーを発生する適応フィルタ、92は送信側
入力信号から適応フィルタ91の擬似エコー信号を減じて
送信側出力信号を出力する減算部、93、95、96はそれぞ
れ発散検出手段、94は発散検出手段からの検出信号に応
じて適応フィルタ91を含むエコーキャンセラ回路をリセ
ットするリセット手段である。
本発明に係るエコーキャンセラは、一つの形態とし
て、第1図に示されるように、受信信号に基づいて擬似
エコー信号を発生し、送信側入力信号からこの擬似エコ
ー信号を減じて送信側出力信号とするように構成された
エコーキャンセラにおいて、擬似エコー信号と送信側入
力信号を比較して、擬似エコー信号が送信側入力信号の
所定割合以上となったことにより発散を検出する発散検
出手段93、および、発散検出手段93により発散が検出さ
れた時にエコーキャンセラをリセットするリセット手段
94を備えてなる。
本発明に係るエコーキャンセラは、他の形態として、
第2図に示されるように、受信信号に基づいて擬似エコ
ー信号を発生し、この擬似エコー信号を送信側入力信号
から減じて送信側出力信号とするように構成されたエコ
ーキャンセラにおいて、擬似エコー信号と送信側出力信
号の少なくとも一方を送信側入力信号の最大値に基づき
定められる所定のしきい値と比較し、比較した信号がし
きい値を越えたことにより発散を検出する発散検出手段
95、および、発散検出手段95により発散が検出された時
にエコーキャンセラをリセットするリセット手段94を備
えてなる。
また本発明に係るエコーキャンセラは、さらに他の形
態として、上述の第2図の形態のエコーキャンセラにお
いて、発散検出手段95が、擬似エコー信号と送信側出力
信号をしきい値と比較し、それらが共に該しきい値を越
えたことにより発散を検出するように構成される。
また本発明に係るエコーキャンセラは、さらにまた他
の形態として、第3図に示されるように、受信信号に基
づいて擬似エコー信号を発生し、この擬似エコー信号を
送信側入力信号から減じて送信側出力信号とするように
構成されたエコーキャンセラにおいて、送信側入力信号
と送信側出力信号とを比較し、送信側入力信号が送信側
出力信号の所定割合以上となり、かつ送信側出力信号
が、送信側入力信号の最大値に基づいて定められる所定
のしきい値を越えたことにより発散を検出する発散検出
手段96、および、発散検出手段96により発散が検出され
た時にエコーキャンセラをリセットするリセット手段94
を備えてなる。
さらに本発明に係るエコーキャンセラは、他の形態と
して、第4図に示されるように、上述の各形態におい
て、エコーキャンセラのエコー消去量を判定するエコー
消去量判定手段97、帯域制限された低レベルノイズ(回
線ノイズ程度のもの)を発生するノイズ発生手段98、お
よび、エコー消去量判定手段97によりエコー消去量が小
さいと判定された時に、相手側に送出する送信側出力信
号としてノイズ発生手段98からの低レベルノイズを選択
するスイッチ手段99を更に備えてなる。
なお、以上の各形態における発散検出手段93、95、96
での信号比較にあたっては、信号として信号電力、ある
いは信号振幅などが利用できるものであり、信号振幅を
利用する場合には時間的平均値を利用することが好まし
い。
[作用] 第1図の形態のエコーキャンセラでは、発散検出手段
93が擬似エコー信号と送信側入力信号とを監視してお
り、エコーキャンセラの発散が発生した時には、擬似エ
コー信号が送信側入力信号の所定割合よりも大きくなっ
たことにより発散状態を検出して検出信号を出力し、こ
の検出信号を受けたリセット回路が適応フィルタ91のタ
ップ値やタップ係数をクリアしてエコーキャンセラを初
期化する。これによりエコーキャンセラは自己復帰され
る。
第2図の形態のエコーキャンセラでは、発散検出手段
95が擬似エコー信号または送信側出力信号が所定のしき
い値を越えるか否かを監視しており、発散状態の発生時
には擬似エコー信号または送信側出力信号が所定のしき
い値を越えるので、発散検出手段95がこれを検出し、リ
セット回路94でエコーキャンセラをリセットする。
この場合、擬似エコー信号と送信側出力信号の両方が
所定のしきい値を越えたことにより、発散状態と判定す
るように構成することができ、この場合には発散状態の
検出の信頼性が上がる。
第3図の形態のエコーキャンセラでは、発散検出信号
96が、送信側入力信号が送信側出力信号の所定割合以上
となり、かつ送信側出力信号が所定のしきい値を越えた
ことにより、発散状態を検出し、リセット回路94により
エコーキャンセラをリセットする。
さらに第4図の形態のエコーキャンセラでは、発散検
出時にエコーキャンセラがリセットされた時、適応フィ
ルタ91のタップ係数が収束して十分なエコー消去が行わ
れるまでの期間中、消去されなかったエコーが相手側に
送出されることのないように、エコー消去量判定手段97
がこの状態を判定し、スイッチ回路99を切り換えてノイ
ズ発生手段98の低レベルノイズを送信側出力信号として
相手側に送出する。これによりエコーキャンセラのエコ
ー消去特性の安定化を図ることができる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。な
お、以下の図面を通して、同じ参照番号が付された回路
要素は全て同一機能を持った回路を表すものとする。
第5図には、本発明の一実施例としてのエコーキャン
セラが示される。第5図において、点線で囲まれたブロ
ックがエコーキャンセラであり、受信信号系列をタップ
値として逐次に保持するタップ値格納部1、各タップの
タップ係数を保持するタップ係数格納部3、このタップ
値とタップ係数により擬似エコー信号を発生する擬似エ
コー発生部4、送信側入力信号から擬似エコー信号を減
じて送信側出力信号(すなわち残留エコー信号)を出力
する減算器5、受信信号と送信側出力信号とに基づいて
推定インパルス応答を収束させるようにタップ係数の更
新を行うタップ係数更新部2、送信側入力信号と擬似エ
コー信号が入力されてこれらに基づいてフィルタの発散
を検出する発散検出器6を含み構成されている。
発散検出器6の検出信号はタップ値格納部1およびタ
ップ係数格納部3に伝えられ、発散検出時にはこれらが
保持するタップ値およびタップ係数をクリアするように
なっている。なお、ここでタップ値格納部1、タップ係
数更新部2、タップ係数格納部3、擬似エコー発生部4
はトランスバーサル型の適応ディジタルフィルタで構成
される。
この実施例装置における発散検出器6の構成例が第6
図に示される。図示の如く、擬似エコー信号の信号電力
Ppeを算出する信号電力算出部61、送信側入力信号の信
号電力Psiを算出する信号電力算出部62、信号電力算出
部62で算出された送信側入力信号電力Psiに所定の係数
K(1より若干大きい値)を掛ける係数器63、および信
号電力算出部61からの擬似エコー信号電力Ppeと係数器6
3を経て所定係数Kが乗じられた送信側入力信号電力Psi
とを比較してその結果に基づき発散の検出信号を出力す
る比較器64を含み構成されている。
信号電力算出部61または62における信号電力の算出方
法としては、第7図に示されるように、一定区間の振幅
の二乗平均、すなわち を求める方法を用いることができる。
あるいは、リーキー積分を求める方法なども用いるこ
とができ、リーキー積分を用いる場合には、信号電力算
出部61、62は第8図に示されるように、入力信号Xiに係
数αを乗じる係数器612、係数器612の出力が入力されて
信号電力Pを出力する加算器613、加算器613の出力を遅
延させる遅延器614、遅延器614の出力に係数1−αを乗
じて加算器613に与える係数器615等で構成することがで
きる。
タップ値格納部1およびタップ係数格納部3における
保持データのクリア回路の構成例が第9図に示される。
図示の如く、これらの回路はタップ値およびタップ係数
を逐次に格納するRAM21を備えており、このRAM21の読出
し/書込みのモードはR/W制御回路22で制御されるよう
になっている。23はRAM21のアドレスを逐次更新してい
くアドレスカウンタであり、0レジスタ24はリセット時
の書込みデータとして“0"値を保持している。
R/W制御回路22には発散検出器6からの検出信号が入
力されるようになっており、発散検出時には、このR/W
制御回路22の制御下に、アドレスカウンタ23がリセット
されて0番地から最終番地まで順次にインクリメントさ
れると共に0レジスタ24の“0"値がRAM21にデータ入力
されるようになっており、それによりRAM21の保持デー
タを全て“0"にクリアできるようになっている。
擬似エコー発生部4で発生される擬似エコー信号は、
受信側から送信側に回り込むエコー信号を適応フィルタ
部で推定して算出されるものであり、片方向通話時に
は、エコーキャンセラが収束した後は、送信側入力信号
とほぼ同じの信号電力となると考えられ、またエコーキ
ャンセラが収束するまでの過渡期間においても、タップ
係数が正しい方向に収束する限り、擬似エコー信号電力
Ppeが送信側入力信号電力Psiに対して一定割合以上に大
きくなるとは考えられない。
また双方向同時通話時には、近端話者入力信号が送信
側入力信号としてエコー信号に加算されるため、送信側
入力信号Psiの方が擬似エコー信号電力Ppeよりも十分に
大きくなると考えられる。
したがって、擬似エコー信号電力Ppeが送信側入力信
号電力Psiを越えた場合には、適応フィルタ部のタップ
係数が誤った方向に更新されており、内部でエコーとは
無関係な信号が発生されている状態、すなわち発散状態
であると判断することができる。
発散検出器6はこの発散状態の有無を判定するもので
あり、送信側入力信号と擬似エコー信号について信号電
力算出部61、62でそれぞれ信号電力を算出して送信側入
力信号電力Psiと擬似エコー信号電力Ppeを得て、このう
ち、送信側入力信号電力Psiに係数器63で、ある程度の
マージンを見込んだ係数Kをかけ、比較器64で両信号電
力を比較して、 Psi×K−Ppe≧0 であれば、発散を起こしていない正常状態、 Psi×K−Ppe<0 であれば、発散状態と見なす判定を行うものである。
この発散検出器6で適応フィルタ部が発散を起こして
いると判定されると、比較器64から検出信号がタップ値
格納部1とタップ係数格納部3に送出されて、適応フィ
ルタ部のタップ値とタップ係数がクリアされ、これによ
りエコーキャンセラはリセット状態となるので、万一発
散状態に陥っても、自動的に自己復帰することが可能と
なる。
本発明に実施にあたっては種々の変形の形態が可能で
ある。以下、これらについて説明する。
第10図には本発明の他の実施例が示される。この回路
は第5図の実施例装置における発散検出器6の構成を変
えたものであり、エコーキャンセラの全体構成は第5図
図示のものとほぼ同じであるが、発散検出器6に入力さ
れる信号が擬似エラー発生部4からの擬似エコー信号と
減算器5から出力される送信側出力信号となっており、
送信側入力信号が入力されていない点が異なる。
第10図の発散検出器において、送信側出力信号(残留
エコー信号)と擬似エコー信号はそれぞれ比較器66、67
に入力されており、各比較器66、67には比較基準として
PCMコーデックの最大値(例えば+3.17dBmO)が入力さ
れている。
このPCMコーデックは第15図に説明したように、エコ
ーキャンセラと回線との間で、信号のA/D変換とD/A変換
を行うものであり、その出力信号はエコーキャンセラへ
の送信側入力信号となっており、この出力信号は最大値
が制限されている。
各比較器66、67は、送信側出力信号と擬似エコー信号
をそれぞれPCMコーデック最大値である基準値と比較
し、これらの信号がその基準値を越えた時に検出信号を
それぞれOR回路68に出力するようになっている。
この実施例装置の動作が以下に説明される。
擬似エコー発生部4で発生された擬似エコー信号、あ
るいは減算器4で送信側入力信号から擬似エコー信号を
減じることで作られた送信側出力信号(残留エラー)
は、エコーキャンセラが正常に動作している時には、PC
Mコーデックの最大値を越えることは考えられず、した
がってPCMコーデック最大値を越えた場合には、適応フ
ィルタ部が誤動作して発散状態にあると判断することが
できる。
発散検出器の各比較器66、67はこの判定を行ってお
り、送信側出力信号と擬似エコー信号の少なくとも一方
がPCMコーデック出力最大値を越えた場合には検出信号
がOR回路68を介して出力され、この検出信号はタップ値
格納部1とタップ係数格納部3に送出されて、前述した
ようにエコーキャンセラをリセットし、発散状態から自
己復帰するようにする。
なお、この実施例では発散検出器で送信側出力信号ま
たは擬似エコー信号がPCMコーデック最大値を越えた時
に発散状態と判定するようにしているが、第10図中のOR
回路68をAND回路に置き換えることにより、送信側出力
信号と擬似エコー信号の双方がPCMコーデック最大値を
越えた時のみ発散検出とすることができ、この場合には
発散検出の信頼性がより高くなる。また発散検出器は送
信側出力信号あるいは擬似エコー信号の一方のみで発散
を検出するようにすることもできる。
第11図には本発明の更に他の実施例が示される。この
実施例装置が第5図のものと相違する点は発散検出器7
の構成が異なることと、エコーキャンセラのリセット時
に適応フィルタ部が十分に収束するまでの間にダミーの
音声信号を対向装置に伝送する機構が設けられているこ
とである。
第11図において、発散検出器7には送信側入力信号と
送信側出力信号がそれぞれ入力されている。8はエコー
消去量判定部であり、発散検出器7の検出信号が入力さ
れており、適応フィルタ部でのエコー消去動作が適正に
行われているか否かを判定できるようになっている。
このエコー消去量判定部8の判定信号はスイッチ回路
10の切換えを制御する制御信号として使用されている。
スイッチ回路10は回線側へ出力される伝送信号を、減算
器5からの送信側出力信号または低レベルノイズ発生部
9からの低レベルノイズの何れかに切り替えるようにな
っている。この低レベルノイズ発生部9の低レベルノイ
ズは音声帯域に帯域制限された低レベルのノイズであ
り、擬似的な送信信号となるものである。
この実施例装置の発散検出器7の構成例が第12図に示
される。図示の如く、発散検出器7は、送信側入力信号
と送信側出力信号の信号電力をそれぞれ算出する信号電
力算出部71と72、送信側入力信号電力Psiに一定の係数
K(1より若干大きい値)を乗じる係数器73、係数Kが
乗じられた送信側入力信号電力Psiと送信側出力信号電
力Psoを比較する比較器74、送信側出力信号電力Psoを所
定の送信側出力電力しきい値THと比較する比較器75、比
較器74と75の比較結果信号が入力されて検出信号を出力
するAND回路76を含み構成される。
信号電力算出部71、72としては、前述した第6図ある
いは第7図の構成のものが利用できる。
ここで係数器73の係数Kは1より若干大きい値であ
り、ある程度のマージンを見込んで決定される。また比
較器75の送信側出力信号電力Psoのしきい値THは前述のP
CMコーデックの出力信号の最大値に基づき、この最大値
に対応する信号電力にある程度のマージンを見込んだ値
に決定される。
以下、この実施例装置の動作が説明される。
発散検出器7では、送信側入力信号の信号電力Psiと
送信側出力信号の信号電力Psoの監視を行っており、比
較器74では送信側出力信号電力Psoが送信側入力信号電
力Psiの一定割合を越えた時に検出信号をAND回路76に出
力し、一方、比較器75では送信側出力信号電力Psoが送
信側出力信号電力のしきい値THを越えた時に検出信号を
AND回路76に出力する。
これにより発散検出器7は、 Pso>TH、かつ Psi×K<Pso の時に適応フィルタ部が発散状態にあると見なして検出
信号をタップ値格納部1とタップ係数格納部3に出力す
る。
このような発散状態の検出は次の理由により可能なも
のである。
すなわち送信側出力信号が最大となるのは、双方向同
時通信時において双方の話者が最大レベルで通話してい
る場合であり、エコーキャンセラでのエコー消去動作が
的確に行われている時には、前述したPCMコーデックの
最大値を越えることはない。
送信側出力信号電力のしきい値THは、擬似エコー信号
がエコーキャンセラ内部で全く差し引かれなかった場合
を想定して、PCMコーデック最大値に対応する電力にあ
る程度のマージンを見込んだ値に設定されており、した
がって、適応フィルタ部のタップ係数が正しい方向に収
束する限り、送信側出力信号電力Psoがこのしきい値TH
を越えることは考えられない。またエコーキャンセラの
正常動作時には、送信側入力信号から擬似エコー信号が
減じられることで送信側出力信号が得られるものである
から、送信側出力信号電力Psoが送信側入力信号電力Psi
の一定割合を越えることも考えられない。
したがって、送信側出力信号電力Psoが送信側出力信
号電力Psoのしきい値THと送信側入力信号電力Psiの一定
割合を共に越えた場合には、エコーキャンセラ内部でタ
ップ係数が誤った方向に更新され、内部ではエコーと無
関係な信号が生成されている状態、すなわち発散状態で
あると考えることができるものである。
以上のようにして発散検出器7で発散が検出された時
には、タップ値格納部1とタップ係数格納部3のタップ
値とタップ係数がクリアされて回路が初期化され、それ
によりエコーキャンセラは発散状態から復帰し再収束す
ることが可能となる。
ただし、この初期化時には、タップ係数が適正なもの
に収束するまでの過渡期間はエコー消去が十分に行われ
ないので、消去しきれなかっったエコーが相手側に出力
されてしまうことになり、エコーキャンセラの特性とし
ては好ましくない。
そこで、この実施例装置では、エコー消去量判定部8
によりエコーキャンセラ内部でのエコー消去量を判定
し、エコー消去がある程度十分に行われるようになるま
での間は、スイッチ回路10を低レベルノイズ発生部9側
に切り換え、それにより送信側出力信号として音声帯域
に制限された低レベルのノイズが相手側に出力されるよ
うにしており、それによりエコーキャンセラの消去特性
の安定化を図っている。
[発明の効果] 本発明によれば、外乱などによりエコーキャンセラが
発散状態に陥った場合にも、その発散状態を検出して自
動的に正常常置に自己復帰することができるようにな
り、エコーキャンセラの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図、第3図、第4図はそれぞれ本発明に係
る原理説明図、 第5図は本発明の一実施例としてのエコーキャンセラを
示すブロック図、 第6図は実施例装置における発散検出器の構成例を示す
ブロック図、 第7図は実施例の発散検出器の信号電力算出部の構成例
を示すブロック図、 第8図は実施例の発散検出器の信号電力算出部の他の構
成例を示すブロック図、 第9図は実施例のタップ値およびタップ係数のクリア回
路の例を示すブロック図、 第10図は本発明の他の実施例としての発散検出器の構成
例を示すブロック図、 第11図は本発明の更に他の実施例を示すブロック図、 第12図は第11図の実施例装置における発散検出器の構成
例を示すブロック図、 第13図はエコー現象の原理を説明する図、 第14図はエコーキャンセラの原理を説明する図、およ
び、 第15図はエコーキャンセラを電話網に適用した場合の構
成を示すブロック図である。 図において、 1……タップ値格納部 2……タップ係数更新部 3……タップ係数格納部 4……擬似エコー発生部 5……減算器 6、7……発散検出器 8……エコー消去量判定部 9……低レベルノイズ発生部 10……スイッチ回路 21……RAM 22……R/W制御回路 23……アドレスカウンタ 24……0レジスタ 61、62、71、72……信号電力算出部 64、66、67、74、75……比較器 63、73……係数器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−98226(JP,A) 特開 平3−178227(JP,A) 特開 昭62−163428(JP,A) 特開 昭61−72419(JP,A) 特公 昭62−58574(JP,B2) 米国特許5305309(US,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受信信号に基づいて擬似エコー信号を発生
    し、送信側入力からこの擬似エコー信号を減じて送信側
    出力信号とするように構成されたエコーキャンセラにお
    いて、 該擬似エコー信号と該送信側入力信号を比較して、該擬
    似エコー信号が該送信側入力信号の所定割合以上となっ
    たことにより発散を検出する発散検出手段(93)、およ
    び、 該発散検出手段(93)により発散が検出された時にエコ
    ーキャンセラをリセットするリセット手段(94)を備え
    てなるエコーキャンセラ。
  2. 【請求項2】受信信号に基づいて擬似エコー信号を発生
    し、送信側入力信号からこの擬似エコー信号を減じて送
    信側出力信号とするように構成されたエコーキャンセラ
    において、 該擬似エコー信号と送信側出力信号の少なくとも一方を
    送信側入力信号の最大値に基づき定められる所定のしき
    い値と比較し、該比較した信号が該しきい値を越えたこ
    とにより発散を検出する発散検出手段(95)、および、 該発散検出手段(95)により発散が検出された時にエコ
    ーキャンセラをリセットするリセット手段(94)を備え
    てなるエコーキャンセラ。
  3. 【請求項3】請求項1記載のエコーキャンセラにおい
    て、 発散検出手段(95)は、擬似エコー信号と送信側出力信
    号をしきい値と比較し、それらが共に該しきい値を越え
    たことにより発散を検出するようにしたもの。
  4. 【請求項4】受信信号に基づいて擬似エコー信号を発生
    し、この擬似エコー信号を送信側入力信号から減じて送
    信側出力信号とするように構成されたエコーキャンセラ
    において、 該送信側入力信号と該送信側出力信号とを比較し、該送
    信側入力信号が該送信側出力信号の所定割合以上とな
    り、かつ該送信側出力信号が、該送信側入力信号の最大
    値に基づいて定められる所定のしきい値を越えたことに
    より発散を検出する発散検出手段(96)、および、 該発散検出手段(96)により発散が検出された時にエコ
    ーキャンセラをリセットするリセット手段(94)を備え
    てなるエコーキャンセラ。
  5. 【請求項5】エコーキャンセラのエコー消去量を判定す
    るエコー消去量判定手段と(97)、 帯域制限された低レベルノイズを発生するノイズ発生手
    段(98)、および、 該エコー消去量判定手段(97)によりエコー消去量が小
    さいと判定された時に、相手側に送出する送信側出力信
    号として該ノイズ発生手段(98)からの低レベルノイズ
    を選択するスイッチ手段(99)を更に備えてなる請求項
    1〜4の何れかに記載のエコーキャンセラ。
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