JP2507196Y2 - 窓用の壁パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、予め窓サッシを配した
壁パネルを布基礎、梁材などからなる家屋架構体に建込
むことにより家屋の窓を形成でき、現場施工の省力化を
図りうる窓用の壁パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、壁、床などをパネルを用いて形成
するいわゆるプレハブ工法の家屋が普及している。この
ようなプレハブ工法の家屋の窓も、窓用の開口部を有す
る壁パネルを用いて形成されるが、この家屋の窓を有す
る外壁は、従来、前記壁パネルを布基礎、階上の梁材な
どの家屋架構体に建込んだ後、その開口部に窓ガラスが
配される窓サッシを取付け、さらに該開口部を残して壁
パネルの枠組屋外面に外装板を添着することにより形成
されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、予め建
込まれた壁パネルに、窓サッシ、外装板を順次配設する
従来のものにあっては、現場における施工工数を増大
し、施工性に劣るとともに、垂直に配された壁パネルに
窓サッシ、外装板を取付けるため、この取付作業に多大
の手間と労力を要し、しかもややもするとその取付精度
を低下させることがあった。

【０００４】本考案は、内装板、外装材が添着された枠
組の開口部に窓サッシを配した窓用の壁パネルを用いて
家屋の窓を形成することを基本として、現場での窓サッ
シ、および外装板の取付けを排除でき、施工の省力化を
図りうる窓用の壁パネルの提供を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、家屋の窓を形
成しかつ家屋内外を仕切る窓用の壁パネルであって、
上、下の枠材とその両端を継ぐ縦の枠材とからなる周囲
枠内に、前記窓用の開口部を形成するための開口用の枠
材を付設してなる枠組の屋内面に内装板を、屋外面に外
装材を、夫々前記開口部を残して取付けるとともに、前
記開口部を囲む枠材の屋外面に、前記外装材の内面との
間に前記開口部に通じる挿入溝を形成する切欠部を設
け、しかも前記開口部に、前記挿入溝に嵌着するフラン
ジを有する窓サッシを配するとともに、 前記外装材は、
前記枠組の前記屋外面を開口部を残して閉じる仕切り板
と、この仕切り板との間に小巾の下地材を介して開口部
を残して取付けられることにより仕切り板との間で上下
にのびる通気路を形成する外装板とを具える。

【０００６】

【作用】窓用の壁パネルは、上、下の枠材とその両端を
継ぐ縦の枠材とからなる周囲枠内に、窓用の開口部を形
成するための開口用の枠材を付設してなる枠組を具える
とともに、この枠組の屋内面に内装板を、屋外面に外装
材を取付けている。又前記開口部を囲む枠材の屋外面
に、前記外装材の内面との間に前記開口部に通じる挿入
溝を形成する切欠部を設け、しかも前記開口部に、前記
挿入溝に嵌着するフランジを有する窓サッシを配してい
る。

【０００７】このような窓用の壁パネルは、工場等にお
いて製造され、施工現場において布基礎、梁材などから
なる家屋架構体に建込まれ、家屋の窓を形成する。従っ
て、現場における窓サッシ、外装板等の取付けを不要と
し、家屋の窓を便宜に形成しうるとともに、施工工数を
削減し、現場施工を省力化しうる。又、工場等において
窓サッシ、外装板を取付けるため、その取付精度を向上
しうる。

【０００８】さらに前記窓サッシは、そのフランジを外
装材と開口部を囲む枠材との間の挿入溝に嵌着すること
により前記開口部に配されるため、その取付強度を高め
ることができ、品質の向上にも役立つ。

【０００９】

【実施例】以下本考案の一実施例を図面に基づき説明す
る。図において本考案の窓用の壁パネル１（以下壁パネ
ル１という）は、家屋の窓Ａを形成しかつ家屋内外を仕
切るパネル体であって、周囲枠２内に窓Ａ用の開口部Ｂ
を形成するための開口用の枠材３を付設してなる枠組４
と、内装板５と、外装材８と、窓サッシ７とからなる。

【００１０】前記周囲枠２は、上、下の枠材９、１０と
その両端を継ぐ縦の枠材１１、１１とからなる。上の枠
材９は、本例では断面矩形の長尺な木質材からなり、そ
の両端下部には巾方向にのびる矩形の切欠部２０、２０
を切欠いている。又下の枠材１０は、前記上の枠材９を
上下反転した構成をなすとともに、その下面には、下の
枠材１０の全長に亘り条溝２１が設けられている。

【００１１】前記縦の枠材１１は、本例では図１、図３
に示すように、断面略矩形の長尺な木質材からなりかつ
前記上、下の枠材９、１０と同巾の基部２２外面に、断
面矩形の木質の突出部２３を前記基部２２の一側面と整
一させて突設している。なお該突出部２３の横長さＬは
基部２２の横長さＬＡよりも小としており、これにより
基部２２の外面には、突出部２３の側方でのびる奥面２
４を形成する。

【００１２】縦の枠材１１の基部２２上端、下端は前記
上、下の枠材９、１０の切欠部２０、２０に嵌合しかつ
釘等を用いて接合され、矩形の前記周囲枠２を形成す
る。なお前記嵌合により縦の枠材１１の前記奥面２４は
上、下の枠材９、１０の外面と整一するとともに、各枠
材９、１０、１１の側面、および内面も面一となる。

【００１３】前記周囲枠２内には、開口用の枠材３（以
下枠材３という）が付設される。該枠材３は、本例では
前記開口部Ｂの上下の周面Ｂ１、Ｂ２を形成する上、下
の内枠材２５、２６と該上、下の内枠材２５、２６の両
端を継ぎかつ開口部Ｂの側の周面Ｂ３を形成する縦の内
枠材２７、２７とを含む。

【００１４】前記縦の内枠材２７は、図３に示すよう
に、前記上、下の枠材９、１０と同巾かつ断面矩形の木
質材からなるとともにその上端、下端を該上の枠材９の
下面、および下の枠材１０の上面に固着される中枠材２
９と、該中枠材２９の側面に固着されかつ前記開口部Ｂ
の側の周面Ｂ３を形成する断面矩形の木質の側枠材３０
とからなる。該中枠材２９、および側枠材３０の各内面
は前記縦の枠材１１内面に整一するとともに、側枠材３
０の外面は中枠材２９の外面内方に控えて配され、これ
により縦の内枠材２７の屋外面に切欠部１２が設けられ
る。

【００１５】又前記上、下の内枠材２５、２６は、図２
に示すように、前記側枠材３０、３０の上端間、および
下端間に水平に架け渡される断面矩形の木質材からな
り、その屋外面には、前記開口部Ｂに向く側に切欠部１
３が設けられる。なお上、下の内枠材２５、２６の内外
面は、前記上、下の枠材９、１０の内外面に夫々整一す
る。

【００１６】このように構成された枠組４の屋内面に
は、本例では防水シート３１を介在させて例えば石膏ボ
ードからなる内装板５が開口部Ｂを残して添着されると
ともに、枠組４の屋外面には、この屋外面に取付く仕切
り板３５と、この仕切り板３５の外面に固着される下地
材３３と、この下地材３３の外面に取付けられる外装板
６とを具える前記外装材８が開口部Ｂを残して添設され
る。なお防水シート３１は、図１、図３に示すように、
前記縦の枠材１１、１１を側方にこえてのびる延長部３
１Ａを有しており、該延長部３１Ａを縦の枠材１１側面
に固着することにより枠組４内への側方からの湿気の流
入を防止する。

【００１７】又前記仕切り板３５は、縦の枠材１１、１
１の前記奥面２４、２４、上、下の枠材９、１０の外
面、前記中枠材２９外面、および前記上、下の内枠材２
５、２６の外面に開口部Ｂを残して取付けられることに
よって前記枠組４の屋外面を開口部Ｂを残して閉じる矩
形の合板からなり、その上下縁は前記縦の枠材１１、１
１の上下面と略整一することにより、上、下の枠材９、
１０の外面に、仕切り板３５が添着されない露出部３
６、３６を形成する。なお仕切り板３５と前記内装板５
との間には断熱材Ｃが充填され、壁パネル１の断熱性を
高めている。

【００１８】下地材３３は、前記枠材３の上、下の内枠
材２５、２６、および中枠材２９、２９の外方かつ前記
仕切り板３５外面に矩形に釘着される断面矩形の小巾の
木質材からなり、開口部Ｂに向く一側縁を仕切り板３５
の開口縁から張出している。なお下地材３３は、その取
付けにより外面が前記縦の枠材１１の突出部２３外面と
整一する。又仕切り板３５の外面上部、下部には適宜の
間隔を有して短尺な小巾の下地材３７…が垂直に固着さ
れる。

【００１９】前記外装板６は、前記突出部２３の外面、
下地材３３、３７…の外面に開口部Ｂを残して固着され
ることにより前記仕切り板３５との間で上下にのびる通
気路３９を形成する。又外装材８の外装板６内面と前記
枠材３の切欠部１２、１３との間には、この切欠部１
２、１３によって、前記下地材３３を介して開口部Ｂに
通じる挿入溝１４が形成される。

【００２０】さらに前記挿入溝１４に窓サッシ７の外周
面に突設されたフランジ７Ａを嵌着し、該窓サッシ７を
前記開口部Ｂに配設する。該窓サッシ７は、矩形の例え
ばアルミ成形品であって、その外周面には前記挿入溝１
４に嵌着しうるフランジ７Ａを折曲げにより該外周面の
全長に亘り設けている。窓サッシ７は、前記下地材３
３、外装板６の取付けに先立ち前記枠材３の切欠部１
２、１３に前記フランジ７Ａを外方から嵌入し、さらに
下地材３３、外装板６を取付けて壁パネル１を組立て
る。

【００２１】このような壁パネル１は工場において製造
された後、現場で家屋架構体に建込まれ、窓Ａを有する
外壁Ｗを形成する。

【００２２】すなわち本例では、図２に示すように壁パ
ネル１は、布基礎Ｆ上面にボルト止めされた断面Ｌ字の
長尺な支持金具４２の立上げ片４２Ａ先端を前記下の枠
材１０の条溝２１に嵌合することにより下端が支持さ
れ、又ラチス梁Ｈの下面に溶着された固定片４４に前記
上の枠材９上面にビス止めされたＬ字の取付金具４５の
立片４５Ａをボルト止めすることにより上端が支持さ
れ、前記布基礎Ｆとラチス梁Ｈとの間に建込まれる。

【００２３】さらに前記ラチス梁Ｈの上方には、該ラチ
ス梁Ｈ上面にボルト止めされる断面Ｌ字の支持金具４７
を用いて壁パネル１と同構成をなす壁パネル４９（開口
部Ｂのない無開口パネルでもよい）が建込まれるととも
に、該壁パネル４９の通気路３９Ａ上端は、小屋裏（図
示せず）に導通する。又壁パネル１の前記通気路３９と
壁パネル４９の通気路３９Ａとは、前記ラチス梁Ｈ外面
を覆う幕板５１の通風路５２により連結される。

【００２４】幕板５１は、上端、下端が壁パネル４９の
下の枠材１０Ａ外面に設けられた露出部３６Ａ、および
壁パネル１の前記上の枠材９の前記露出部３６に夫々取
付けられる矩形の基板５４の外面に、垂直な通気下地５
５を介して外装板５６を添着してなり、該外装板５６と
基板５４との間に前記通気路３９、３９Ａに通じる通風
路５２を形成する。

【００２５】このように壁パネル１の建込みにより、下
端において屋外に、又上端において前記通風路５２、通
気路３９Ａを介して小屋裏に導通する通気性を有する外
壁Ｗを形成できる。なお壁パネル１の前記下の枠材１０
の露出部３６には、外方に向かって下に傾く水切り片５
７Ａを有する水切り板５７がビス止めされ、外壁Ｗ下端
において水切り処理が施される。

【００２６】なお本考案の窓用の壁パネル１は、前記周
囲枠２を構成する縦の枠材１１、１１の一方を用いて、
前記開口用の枠材３の一つを形成してもよい。

【００２７】

【考案の効果】叙上の如く本考案の窓用の壁パネルは、
開口部を有する枠組の屋外面に、該開口部に配される窓
サッシと外装材とを取付けているため、現場での施工工
数を削減でき、施工の省力化を図りうる。

【００２８】又前記窓サッシのフランジを嵌着する挿入
溝を形成する切欠部を、前記開口部を囲む枠材の屋外面
に設けているため、比較的薄肉の板状体に切欠部を設け
るものに比して、切欠部の切欠き深さを大きくでき、そ
の寸法設定の自由度を増し、前記フランジの嵌着精度を
向上しうるとともに、薄肉板状体に直接、加工を施すも
のに比べてより容易に切欠部を設けることが出来る。

【００２９】さらに前記外装材の仕切り板と外装板との
間で形成される通気路によって、通気外壁を容易に形成
しうるとともに、例えば仕切り板の開口部に向く周縁を
前記挿入溝の溝底で途切れさせることにより、仕切り板
の厚さ分だけ該挿入溝の溝巾を増大でき、前記切欠部の
切欠き深さをフランジの嵌着精度を維持したまま小さく
することも可能となるなど、切欠部の形成作業をより一
層容易に出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】その取付状態をともに示す断面図である。

【図３】その横断面図である。

【符号の説明】

２ 周囲枠 ３ 開口用の枠材 ４ 枠組 ５ 内装板 ６ 外装板 ７ 窓サッシ ７Ａ 窓サッシのフランジ８ 外装材 ９ 上の枠材 １０ 下の枠材 １１ 縦の枠材 １２、１３ 切欠部 １４ 挿入溝３３ 下地材 ３５ 仕切り板 ３９ 通気路 Ａ 窓 Ｂ 開口部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】家屋の窓を形成しかつ家屋内外を仕切る窓
   用の壁パネルであって、 上、下の枠材とその両端を継ぐ縦の枠材とからなる周囲
   枠内に、前記窓用の開口部を形成するための開口用の枠
   材を付設してなる枠組の屋内面に内装板を、屋外面に外
   装材を、夫々前記開口部を残して取付けるとともに、 前記開口部を囲む枠材の屋外面に、前記外装材の内面と
   の間に前記開口部に通じる挿入溝を形成する切欠部を設
   け、しかも前記開口部に、前記挿入溝に嵌着するフラン
   ジを有する窓サッシを配するとともに、 前記外装材は、前記枠組の前記屋外面を開口部を残して
   閉じる仕切り板と、この仕切り板との間に小巾の下地材
   を介して開口部を残して取付けられることにより仕切り
   板との間で上下にのびる通気路を形成する外装板とを具
   えることを特徴とする 窓用の壁パネル。