JP2024515793A - ウイルスベクター生産システム - Google Patents

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JP2024515793A JP2023565926A JP2023565926A JP2024515793A JP 2024515793 A JP2024515793 A JP 2024515793A JP 2023565926 A JP2023565926 A JP 2023565926A JP 2023565926 A JP2023565926 A JP 2023565926A JP 2024515793 A JP2024515793 A JP 2024515793A
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ギアンヴァルシュ,ロランス
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ノバルティス アーゲー
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Abstract

本開示は、少なくとも部分的に、満足のいく安全性条件下において、高力価レンチウイルスベクターを生産する方法及び目的の導入遺伝子を担持するレンチウイルス粒子を生産する方法を提供する。本開示は、少なくとも部分的に、例えば細胞培養物からのそのようなレンチウイルス粒子の精製方法も提供する。本開示は、精製、保存及び遺伝子移入事象中にウイルスベクターの構造的完全性を維持するレンチウイルス調製物への製剤化も提供する。

Description

関連出願
本出願は、2021年4月27日に出願された米国仮特許出願第63/180,423号明細書に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ウイルスは、多くの場合、感染した宿主の免疫系による検出を回避するが、特定の細胞型への核酸送達に極めて効率的である。こうした特徴により、特定のウイルスは、遺伝子治療に使用される遺伝子送達ビヒクルとして魅力的な候補となっている。
遺伝子治療用途に利用可能なウイルスベクターとして、レンチウイルスベクターがある。このようなベクターは、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)に由来する再構築ウイルスベクター系を含み、動物及びヒト初代細胞又は細胞株に目的の遺伝子を導入することができる。レンチウイルスベクター媒介性遺伝子発現は、目的の遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれており、細胞の***時に複製されるため、これを用いて継続的且つ安定したタンパク質生産を達成することができる。レンチウイルスベクターは、非***細胞及び活発に細胞周期を経て進行する細胞を効果的に形質導入することができる。レンチウイルスベクター媒介による、目的の遺伝子の長期にわたる発現が起こり得る組織及び細胞としては、とりわけ、脳、肝臓、筋細胞、網膜、造血幹細胞、骨髄間葉系幹細胞及びマクロファージが挙げられる。
レンチウイルスベクターの大規模生産は、低力価のウイルス産生量及びベクターの安定性の低さなど、いくつかの課題によって妨げられてきた。さらに、レンチウイルスベクターは、精製プロセス中に不活性化の影響を受けやすく、これは、ベクター調製物の最終品質及び有効性の低下に寄与する可能性があり、精製されたレンチウイルスベクターの大規模生産にさらに別の障害をもたらしている。このように、より高力価のレンチウイルスベクターの大規模生産プロセス及び大規模精製プロセス並びにベクターの安定性を保持する製剤化バッファーが依然として必要とされている。
本開示は、少なくとも部分的に、満足のいく安全性条件下において、目的の導入遺伝子を担持する高力価レンチウイルスベクターを生産する方法を提供する。本開示は、少なくとも部分的に、例えば細胞培養物からのそのようなレンチウイルス粒子の精製方法も提供する。本開示は、精製、保存及び遺伝子移入事象(例えば、エクスビボ遺伝子移入)中にウイルスベクターの構造的完全性を維持するレンチウイルス調製物のための製剤化も提供する。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を提供するステップと、
b)複数の哺乳動物細胞を、
i)FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬、及び
ii)治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)及びウイルス粒子にパッケージングするための十分なLTR配列をコードする核酸並びに任意選択でレンチウイルスパッケージングタンパク質、レンチウイルスエンベロープタンパク質をコードする核酸
と、少なくとも細胞のサブセットに核酸が導入されることを可能にする条件下で接触させるステップと、
c)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップと
を含む。
特定の実施形態では、複数の哺乳動物細胞が50Lの培養物中にある場合、他には同様の100mlの培養物中における培養物1ml当たりの形質導入単位数の50%、60%、70%又は80%以上である、培養物1ml当たりの形質導入単位数をもたらす。
特定の実施形態では、本方法は、実施例5に記載の条件下で使用された場合、少なくとも1×10若しくは3×10又は少なくとも1×10の形質導入単位をもたらす。
特定の実施形態では、本方法は、1188:1、953:1及び1800:1以下のPP(物理的粒子):IP(感染性粒子)の比をもたらす。
特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、293細胞、例えばExpi293F細胞である。
特定の実施形態では、FectoVIR(登録商標)-AAVは、0.3~0.6μlのFectoVIR(登録商標)-AAV/百万細胞、例えば約0.4μl/百万細胞の濃度で使用される。
特定の実施形態では、核酸は、0.3~0.6μgの核酸/百万細胞、例えば約0.4μg/百万細胞の濃度で使用される。
特定の実施形態では、FectoVIR(登録商標)-AAV:トランスフェクションのためのDNAの比は、1:0.5~1:2、例えば約1:1である(ここで、任意選択で、トランスフェクションのためのDNAは、治療用エフェクターをコードするDNA、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質をコードするDNA及びレトロウイルスエンベロープタンパク質をコードするDNAを含む)。
特定の実施形態では、FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬は、核酸と複合体化される。
いくつかの実施形態において、本方法は、ステップb)前にFectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を核酸と混合するステップをさらに含む。
特定の実施形態では、トランスフェクション試薬と核酸との複合体形成量は、約1%~約15%、例えば約1%~約10%(例えば、約5~7.5%又は7.5~10%)である。
いくつかの実施形態では、複合体形成量は、3~7%、4~6%又は約5%である。
特定の実施形態では、FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬と核酸とは、複合体形成が起こることを可能にするのに十分な時間、例えば約10~90分、例えば15~60、例えば15~30、30~45又は45~60分にわたってインキュベートされる。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を約6.9超又は約6.9~7.3、例えば約7.0~7.1のpHで培養するステップ、
b)ステップa)に続いて、培養物のpHを約6.0~6.8、例えば6.6~6.8、例えば約6.7に調節するステップ、
c)ステップb)に続いて、培養物をトランスフェクション試薬及びDNAと接触させるステップ
を含む。
特定の実施形態では、トランスフェクション試薬は、FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を含む。
いくつかの実施形態において、DNAは、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする。
いくつかの実施形態において、a)は、約2~4日間、例えば約3日間にわたって細胞を培養するステップを含む。
特定の実施形態では、本方法は、ステップb)とステップc)との間において、細胞を培養する追加のステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、本方法は、ステップc)後に細胞を培養する追加のステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、ステップb)は、pHを約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1だけ低下させるステップを含む。
特定の実施形態では、ステップa)前に、複数の哺乳動物細胞は、0.1×10細胞/mL~0.3×10細胞/mL(例えば、約0.15×10細胞/mL又は約0.2×10細胞/mL)で最終体積の培養培地(例えば、FreeStyle(商標)培地)に接種される。
いくつかの実施形態において、複数の哺乳動物細胞は、ステップa)の50~80時間(例えば、約55時間、約60時間、約65時間、約70時間、約72時間、約75時間又は約80時間)前に接種される。
特定の実施形態では、複数の哺乳動物細胞は、トランスフェクションでの好適な細胞密度(例えば、約1.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mL(例えば、1.5×10細胞/mL~2.5×10細胞/mL)への細胞増殖及び増幅を可能にするのに好適な条件下で培養される。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)レンチウイルスベクター及び少なくとも1つの不純物を含む組成物を提供するステップ(例えば、ここで、組成物は、清澄化された細胞採取物又は濾液を含む)と、
b)組成物をアルギニン又はその塩と接触させるステップと
を含む。
特定の実施形態では、以下の1つ又は複数である:
i)アルギニンは、約25~50mM(約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMのアルギニン)の濃度であること、又は
ii)アルギニンは、例えば、実施例7によるアッセイにおいて、他には同様の組成物と比較して、レンチウイルスベクターの形質導入単位のレベルを約10%~300%、20%~180%、30%~160%、50%~150%、75%~125%又は約100%だけ増加させるのに十分な濃度であること、
iii)ステップb)後、組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり400,000、300,000、200,000又は100,000未満の総粒子濃度を示し、任意選択で、粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
iv)ステップb)後、組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約5,000、4,500、4,000、3,500、3,000又は2,500未満の、≧10μmの粒子の濃度を示し、任意選択で、粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
v)ステップb)後、組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約500、400、300又は200未満の、≧25μmの粒子の濃度を示し、任意選択で、粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
vi)ステップb)後、組成物は、アルギニン又はその塩を添加しないこと以外には同様の濾液と比較して、レンチウイルスベクターの低減された凝集を示すこと、
vii)レンチウイルスベクターの形質導入単位の回収率は、例えば、実施例7によるアッセイで測定された場合、アルギニンを添加しないこと以外には同様の対照よりも例えば少なくとも約10%、20%、50%、100%又は200%だけ高いこと。
いくつかの実施形態において、b)は、組成物を、アルギニン及び緩衝液を含む溶液と接触させるステップを含み、任意選択で、緩衝液は、PIPESであり、任意選択で、PIPESは、溶液中において約10mM~約50mM、例えば約20mMの濃度である。特定の実施形態では、溶液は、約6.0~約7.0、例えば約6.5のpHを有する。
いくつかの実施形態において、溶液は、塩をさらに含み、任意選択で、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択され、例えば塩化ナトリウムである。
いくつかの実施形態において、塩は、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mMの濃度で溶液中に存在する。
特定の実施形態では、溶液中のその濃度の塩は、約6.5のpHを有する。
いくつかの実施形態において、溶液は、炭水化物、例えば非還元炭水化物、例えばスクロース又はトレハロースをさらに含む。
特定の実施形態では、炭水化物は、溶液の約1~約10重量/体積%、例えば溶液の約2~約5重量/体積%、溶液の約2.5重量/体積%の濃度で溶液中に存在する。
特定の実施形態では、炭水化物は、約30~150mM(約73mM)又は150~300(例えば、約220)mMの濃度で溶液中に存在する。
いくつかの実施形態において、溶液は、NaCl(例えば、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mM)と、スクロース(例えば、約30~150mM、例えば約73mM若しくは例えば約150~300mM、例えば約220mM又は溶液の約2.5重量/体積%)との一方又は両方をさらに含む。
いくつかの実施形態において、溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び溶液の2.5重量/体積%のスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。特定の実施形態では、溶液は、約20mMのPIPES、約75mMの塩化ナトリウム及び溶液の2.5重量/体積%のスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。
特定の実施形態では、溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び73mMのスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。特定の実施形態では、溶液は、約20mMのPIPES、約75mMの塩化ナトリウム及び約73mMのスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。
いくつかの実施形態において、溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び220mMのスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、溶液は、約20mMのPIPES、約75mMの塩化ナトリウム及び約220mMのスクロースを含み、溶液は、約6.5のpHを有する。
いくつかの実施形態において、溶液は、20mMのPIPES、75mMのアルギニン、例えばアルギニン-HClをさらに含み、溶液は、約6.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、溶液は、約20mMのPIPES、約75mMのアルギニン、例えばアルギニン-HClをさらに含み、溶液は、約6.5のpHを有する。
いくつかの実施形態において、前記溶液の浸透圧は、約270mOsm/kg~約330mOsm/kg、例えば約275mOsm/kg~約300mOsm/k、例えば約285mOsm/kgである。
特定の実施形態では、本方法は、c)b)の組成物に対して精精製ステップ、例えば濾過ステップを実施し、それによりレンチウイルスベクターを含む半精製組成物を生成するステップをさらに含む。
特定の実施形態では、本方法は、ステップc)後、半精製組成物をアルギニン又はその塩と接触させるステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、アルギニンは、レンチウイルスベクターを被包する。
特定の実施形態では、アルギニンは、レンチウイルスベクターを安定化する。
いくつかの実施形態において、不純物は、タンパク質(例えば、宿主細胞タンパク質)、核酸(例えば、宿主細胞核酸)、炭水化物(例えば、宿主細胞炭水化物)、脂質、酵素、塩、緩衝液又はそれらの任意の組合せを含む。
特定の実施形態では、トランスフェクションでの細胞密度は、約1.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mL(例えば、1.5×10細胞/mL~2.5×10細胞/mL)である。
特定の実施形態では、細胞の生存率は、トランスフェクション時に少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)であるか又はそのように評価される。
特定の実施形態では、細胞の生存率は、トランスフェクション時又はその前後(例えば、トランスフェクション前の30分以内)に測定される。
いくつかの実施形態において、本方法は、2つ以上の核酸(例えば、2つ以上のプラスミド、例えば2つのプラスミド、3つのプラスミド、4つのプラスミド又は5つのプラスミド)を用いたプロセスに使用される。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップと、
b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を細胞に導入するステップと、
c)ステップb)の約6~40~10~40~10~30又は約20時間後の時点で細胞をベンゾナーゼと接触させるステップと、
d)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップと
を含む。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップ、
b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を細胞に導入するステップ、
c)細胞をベンゾナーゼと接触させるステップ、
d)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップ、
e)ステップc)の6~10時間、10~20時間、20~30時間、30~40時間又は40~50時間後、細胞からレンチウイルスベクターを採取するステップ
を含む。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を提供するステップであって、複数の細胞(例えば、ここで、細胞は、線維芽細胞、例えば胎児性腎線維芽細胞、例えばExpi293F細胞である)であり、細胞は、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸(例えば、DNA)を含む、ステップ、
b)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップ
を含む。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクター、アルギニン、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)緩衝液及び塩を含む水性組成物を提供する。
特定の実施形態では、水性組成物中のアルギニンは、約25~50mM(約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMのアルギニン)の濃度であり、任意選択で、PIPES水性組成物は、約10mM~約50mM、例えば約、例えば20mMの濃度である。
いくつかの実施形態において、水性組成物は、約6.0~約7.0、例えば約6.5のpHを有する。
特定の実施形態では、水性組成物は、塩をさらに含み、任意選択で、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、塩は、塩化ナトリウム(NaCl)である。
特定の実施形態では、水性組成物中の塩は、約25mM~約150mM、例えば約50mM~約75mMである。
いくつかの態様において、水性組成物は、20mMのPIPES及び75mMの塩化ナトリウムを含み、水性組成物は、約6.5のpHを有する。
特定の実施形態では、水性組成物は、炭水化物、例えば非還元炭水化物、例えばスクロース又はトレハロースをさらに含む。
いくつかの実施形態において、炭水化物は、前記溶液の約1~約10重量/体積%、例えば水性組成物の約2~約5重量/体積%、水性組成物の約2.5重量/体積%の濃度で水性組成物中に存在する。
一実施形態では、炭水化物は、約30~150mM(約73mM)又は150~300(例えば、約220)mMの濃度で水性組成物中に存在する。
いくつかの実施形態において、水性組成物は、NaCl(例えば、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mM)と、スクロース(例えば、約30~150mM、例えば約73mM若しくは例えば約150~300mM、例えば約220mM又は水性組成物の約2.5重量/体積%)との一方又は両方を含む。
一実施形態では、水性組成物は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び水性組成物の2.5重量/体積%のスクロースを含み、水性組成物は、約6.5のpHを有する。
特定の実施形態では、水性組成物は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び73mMのスクロースを含み、水性組成物は、約6.5のpHを有する。
一実施形態では、水性組成物は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び220mMのスクロースを含み、水性組成物は、約6.5のpHを有する。
特定の実施形態では、前記水性組成物の浸透圧は、約270mOsm/kg~約330mOsm/kg、例えば約275mOsm/kg~約300mOsm/k、例えば約285mOsm/kgである。
一実施形態において、先行するいずれかの請求項に記載のレンチウイルスベクターは、約3×10TU/mL~約5×10TU/mLの濃度で存在する。
特定の実施形態では、水性組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)及びリポタンパク質からなる群から選択される1つ又は複数のタンパク質を含まない。
一実施形態において、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子、例えばタンパク質、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を含むタンパク質をコードする導入遺伝子を含む。
特定の実施形態では、前記CARは、N末端からC末端の方向に、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び1つ又は複数のシグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、前記シグナル伝達ドメインは、1つ若しくは複数の一次シグナル伝達ドメイン及び/又は1つ若しくは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
特定の実施形態では、前記1つ又は複数の一次シグナル伝達ドメインの1つは、CD3-ζ刺激ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、前記共刺激シグナル伝達ドメインの1つ又は複数は、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される共刺激タンパク質から選択される細胞内ドメイン、例えば4-1BB(CD137)共刺激ドメイン又はCD28共刺激ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、前記共刺激シグナル伝達ドメインの1つ又は複数は、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46又はNKG2Dからなる群から選択される共刺激タンパク質から選択される細胞内ドメインを含む。
特定の実施形態では、前記抗原結合ドメインは、scFvである。
いくつかの実施形態において、前記抗原結合ドメインは、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1;C型レクチン様分子-1、CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvlll);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3;TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((Tn Ag)又は(GalNAca-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD1 17);インターロイキン-13受容体サブユニットα-2;メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21;血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胎児性抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ;前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2変異型(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、βタイプ、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質;チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3;トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分;乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレナリン受容体β3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51 E2(OR51 E2);TCRγオルタネートリーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);染色体12pに位置するETS転座変異遺伝子6(ETV6-AML);***タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53変異体;プロステイン;サバイビン;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1、T細胞によって認識される黒色腫抗原1;ラット肉腫(Ras)変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);肉腫転座切断点;黒色腫アポトーシス阻害剤(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニル-トランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X切断点2(SSX2);後期糖化最終産物受容体(RAGE-1);腎臓ユビキタス1(RU1);腎臓ユビキタス2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックプロテイン70-2変異型(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);及び免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)からなる群から選択される抗原、例えばCD19、CD22、メソテリン又はCD123に結合する。
特定の実施形態では、前記CARは、抗CD19抗体又はそのフラグメント、4-1BB(CD137)膜貫通ドメイン及びCD3-ζシグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、第2の導入遺伝子、例えば第2のタンパク質、例えば第2のキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のタンパク質をコードする第2の導入遺伝子を含む。
一態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップと、
b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を細胞に導入するステップと、
c)ステップb)の約2~6(例えば、約3)、4~10(例えば、6)、6~40、10~40、10~30(例えば、約24)又は約20時間後の時点で細胞をベンゾナーゼと接触させるステップと、
d)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップと
を含む。
特定の実施形態では、ベンゾナーゼは、細胞からレンチウイルスベクターを採取する6~10時間、10~20時間、20~30時間、30~40時間又は40~50時間前に添加される。
一態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップ、
b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を細胞に導入するステップ、
c)(例えば、ステップbの3~24時間後に)細胞をベンゾナーゼと接触させるステップ、
d)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップ、
e)ステップc)の6~10時間、10~20時間、20~30時間、30~40時間又は40~50時間後、細胞からレンチウイルスベクターを採取するステップ
を含む。
いくつかの実施形態において、ベンゾナーゼは、約10~40U/mL、例えば20~30U/mL、例えば約25U/mLの濃度である。
いくつかの実施形態において、ベンゾナーゼは、約3~60U/mL、3~10U/mL、3~7U/mL、4~6U/mL又は約5U/mLの濃度である。
一実施形態において、ベンゾナーゼは、5~50、5~15、15~25又は25~50U/mLの濃度である。
特定の実施形態では、本方法は、ステップc)前にベンゾナーゼを例えば約1~5mM、1~3mM又は約2mMのMgClと接触させるステップをさらに含む。
一態様において、本開示は、レンチウイルスベクターを製造する方法を提供し、この方法は、
a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を提供するステップであって、複数の哺乳動物細胞は、SV40ラージT抗原を含まず(例えば、ここで、細胞は、線維芽細胞、例えば胎児性腎線維芽細胞、例えばExpi293F細胞である)、複数の哺乳動物細胞は、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸(例えば、DNA)を含む、ステップ、
b)レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で細胞を培養するステップ
を含む。
特定の実施形態では、a)は、核酸を複数の哺乳動物細胞に導入するステップを含む。
いくつかの実施形態において、本方法は、複数の哺乳動物細胞からレンチウイルスベクターを少なくとも部分的に分離するステップをさらに含む。
一実施形態において、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質は、レンチウイルスgag、レンチウイルスpol若しくはレンチウイルスrev又はそれらの任意の組み合わせを含む。
特定の実施形態では、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gを含む。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターの調製物を提供し、この調製物は、
a)治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードするレンチウイルスゲノムと、
b)レンチウイルスゲノムを被包するエンベロープ(ここで、任意選択で、エンベロープは、VSV-Gを含む)と
を含む複数のレンチウイルスベクターを含み、
調製物は、少なくとも5×10、1×10、1×10又は1×1010の形質導入単位を含み、
調製物は、90%未満のSV40ラージT抗原又はSV40ラージT抗原をコードする、10μg/ml、1μg/ml未満の核酸(例えば、DNA)を含む。
いくつかの実施形態において、複数のレンチウイルスベクターは、少なくとも1×10、2×10、5×10又は1×1010、2×1010、5×1010、1×1011、2×1011、5×10又は1×1012の細胞を含む。
特定の実施形態では、複数の哺乳動物細胞は、少なくとも5、10、20、50、100、200又は500Lの培養液量中にある。
一実施形態において、複数の哺乳動物細胞を無血清培地で培養するステップを含む。
特定の実施形態では、複数の哺乳動物細胞は、懸濁液中で増殖される。
いくつかの実施形態において、CARは、CD19 CAR(例えば、国際公開第2014153270A1号パンフレットに記載されるように、例えばヒト化CD19 CAR)を含む。
特定の実施形態では、CARは、デュアルCAR(例えば、国際公開第2016164731A2号パンフレットに記載されるように、例えばヒト化CD19-CD22 CAR)を含む。
いくつかの実施形態において、CARをコードする核酸は、例えば、国際公開第2017049166A号パンフレットに記載されるように、shRNAをさらにコードする。
一実施形態において、レンチウイルスベクターは、血清の非存在下で培養された細胞中で生産される。
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、動的光散乱(DLS)によって測定された場合、100±25nmの流体力学的半径によって特徴付けられる。
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内(例えば、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃又は55℃)で100±25nmの前記流体力学的半径を維持する。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、10%~25%(例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%又は25%)の多分散性によって特徴付けられる。
一実施形態において、レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内(例えば、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃又は55℃)で10%~25%(例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%又は25%)の前記多分散性を維持する。
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、3回の凍結/融解サイクル後、前記凍結/融解サイクル前の前記水性組成物中の前記レンチウイルスベクターの濃度と比較して、約70%~約100%(例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%)の濃度を維持し、前記凍結/融解サイクルの各々は、前記水性組成物を凍結し、且つ続いて前記水性組成物を室温で融解させることを含む。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、6~10回の前記凍結/融解サイクル後、例えば6~9回の前記凍結/融解サイクル後、約70%~約100%(例えば、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%又は約100%)の前記濃度を維持する。
いくつかの態様において、本開示は、レンチウイルスベクターと、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)緩衝液からなる群から選択される緩衝液と、塩とを含む水性組成物を提供する。
いくつかの態様において、前記塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される。
一実施形態において、前記水性組成物は、スクロース及びトレハロースからなる群から選択される非還元炭水化物をさらに含む。
いくつかの態様において、本開示は、例えば、予防、診断、免疫療法又は治療用途のための大量のウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を生産するスケーラブルなプロセスを提供する。このプロセスは、浮遊細胞(例えば、HEK293細胞、例えばExpi293F細胞)を用いて実施することができる。いくつかの実施形態では、実質的に全ての浮遊細胞がラージT抗原、例えばSV40 T抗原を発現しない。いくつかの実施形態では、本製法は、バイオリアクターを用いて実施され得る。
いくつかの態様において、本開示は、高ウイルス力価又は高ウイルス収率の一方又は両方を有する大量のウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を生産するための、高度に再現性であり、効率的であり、且つスケーラブルなプロセスを提供する。
いくつかの態様において、本開示は、高ウイルス力価又は高ウイルス収率の一方又は両方を有する大量のウイルス(例えば、レンチウイルス)ベクターを精製するための、高度に再現性であり、効率的であり、且つスケーラブルなプロセスを提供する。
別の態様において、本開示は、精製プロセス中にウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターを安定化するための組成物及び方法を提供する。
Expi293F細胞による約1.5E7TU/mLのLV生産性及びHEK293T/17細胞による約3.9E7TU/mLのLV生産性を示し、Expi293F細胞を用いて得られたPP/IP比は、HEK293T/17細胞を用いて達成された約1000のPP/IP比と比較して約1900である。 各継代で観察された細胞密度が両方の細胞株間で同等(約3×10細胞/mL)であることを示す。 Expi293F及びHEK293T/17細胞の両方が培養中に高い生存率(>90%)を示す。 トランスフェクション試薬FectoVIR(登録商標)-AAVが、Expi293F細胞のLV生産性を目的の遺伝子に応じて1.9倍から2.8倍に有意に増加させることを示す。 異なる培養量中でFectoVIR(登録商標)-AAVをトランスフェクション試薬として使用した場合のExpi293F細胞のLV生産性の一貫した堅固な増加を示す。 トランスフェクションのために異なる量のDNAを用いて得られたレンチウイルスの量を示す。この実験では、0.4μgのDNA/1E6細胞を用いて、最も高いウイルス生産及び最も低いPP/IPが得られた。 2つの異なるレンチウイルスベクターを用いて得られたレンチウイルスの量を示し、トランスフェクション前にpHを6.7に変更することにより、生産性の約3倍の増加が誘導された。2.5Lスケールのバイオリアクターを使用した。 以下の2つの生産システム:(i)トランスフェクション試薬としてFectoVIR(登録商標)-AAVを用いたExpi293F細胞、及び(ii)トランスフェクション試薬としてPEIpro(登録商標)を用いたHEK293T細胞において、異なるCAR構築物を用いたレンチウイルス生産性の比較を示す。 サンプルを限外濾過に供した場合の対照ランと比較して、濾過処理時間がアルギニンの存在下で244分から145分に短縮されたことを示す。 TFFの前にアルギニンを添加すると、後続のプロセスのベクター回収率が約40%から80%以上に向上したことを示す。 両濾過ステップ前にアルギニン添加を実施すると、ベクター回収率がさらに増加したことを示す。 アルギニンの添加によって濃度依存的に粒子数及びサイズが減少することを示す。 異なる濃度のベンゾナーゼ及び異なる添加時間で採取した際の感染性LVV(TU/mL-TUアッセイ)及び比PP/IP(物理的粒子/感染性粒子)の生産性を示す棒グラフである。 異なる濃度のベンゾナーゼ及び異なる添加時間で回収した際のDNAの量(ng/1E+7 TU)を示す棒グラフである。 異なる濃度のベンゾナーゼ及び異なる添加時間で回収した際のDNAの量(ng/mL)を示す棒グラフである。 異なるインキュベーション時間及び複合体形成量で回収した際の感染性LVV(TU/mL-TUアッセイ)及び比PP/IP(物理的粒子/感染性粒子)の生産性を示す棒グラフである。 異なるインキュベーション時間で回収した際の感染性LVV(TU/mL-TUアッセイ)及び比PP/IP(物理的粒子/感染性粒子)の生産性を示す棒グラフである。 LVV処理中の50Lスケール(n=4)での細胞密度及び生存率を示す棒グラフである。 2つの異なる生成物(C1及びI1)を用いた異なるスケールでの感染性LVV(TU/mL-TUアッセイ)の生産性を示す棒グラフである。
本開示は、少なくとも部分的に、満足のいく安全性条件下において、目的の導入遺伝子を担持する高力価レンチウイルスベクターを生産する方法に基づく。本開示は、少なくとも部分的に、例えば細胞培養物からのそのようなレンチウイルス粒子の精製方法も提供する。本開示は、精製、保存及びエクスビボでの遺伝子移入事象中にウイルスベクターの構造的完全性を維持するレンチウイルス調製物への製剤化も提供する。
定義
別段の記載がない限り、本明細書で使用される以下の用語及び語句は、下記の意味を有することが意図される。
本明細書で用される場合、単数形「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、別に記載されない限り複数の指示対象を含む。
「又は」という用語は、文脈が明確に別の解釈を指示していない限り、本明細書では「及び/又は」という用語を意味し、それと互換的に使用される。
「約」及び「およそ」とは、一般に、測定の性質又は精度を考慮して、測定された量について許容可能な誤差の程度を意味するものとする。例示的な誤差の程度は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。
用語「アミノ酸」は、天然に存在する、合成及び非天然のアミノ酸並びに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸並びに後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、O-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を有する化合物、即ち水素、カルボキシル基、アミノ基及びR基に結合したα-炭素、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホンニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化合物を指す。
本明細書で使用される場合、「緩衝液」という用語は、弱酸とその共役塩基又は弱塩基とその共役酸との混合物を指す。例えば、本明細書で使用される場合、「1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸緩衝液」とは、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸と1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸アニオン(例えば、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸ナトリウム)を含む混合物を指す。同様に、本明細書で使用される「クエン酸ナトリウム緩衝液」は、クエン酸ナトリウム並びにその共役酸、クエン酸を含む混合物を指す。弱酸とその共役塩基の間には化学平衡が確立されているため、緩衝液を含む溶液は、溶液に少量の酸又は塩基を添加した際のpHの急激な変化に抵抗する。
本明細書で使用される場合、「結合ドメイン」又は「抗体分子」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖又はそのフラグメントを指す。「結合ドメイン」又は「抗体分子」という用語は、抗体及び抗体フラグメントを包含する。いくつかの実施形態において、抗体分子は、多重特異的抗体分子であり、例えば複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数の配列の第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1エピトープに対する結合特異性を有し、複数の配列の第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2エピトープに対する結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、多重特異的抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つ抗原のみに対する特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1エピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列と、第2エピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列を特徴とする。
「抗体重鎖」という用語は、天然に存在する立体配座の抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖の大きい方を指し、これは、通常、抗体が属するクラスを決定する。
「抗体軽鎖」という用語は、天然に存在する立体配座の抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖の小さい方を指す。カッパ(κ)軽鎖とラムダ(λ)軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
「抗原結合フラグメント」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原のエピトープと(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布によって)特異的に相互作用する能力を保持する抗体の1つ又は複数の部分を指す。結合フラグメントの例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない:一本鎖Fvs(scFv)、ラクダ抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価フラグメント;F(ab)2フラグメント、即ち、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;VHドメイン及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインからなるFvフラグメント;VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.,Nature 341:544-546,1989);並びに単離された相補性決定領域(CDR)又は抗体の他のエピトープ結合フラグメント。
抗体又はその抗体フラグメントを含む記載のCARの部分は、抗原結合ドメインが、例えば、単一ドメイン抗体フラグメント(sdAb)、一本鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体又は二重特異性抗体を含む連続したポリペプチド鎖の一部として発現される様々な形態で存在し得る(Harlow et al.,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;Bird et al.,1988,Science 242:423-426)。いくつかの態様において、CAR組成物の抗原結合ドメインは、抗体フラグメントを含む。別の態様では、CARは、scFvを含む抗体フラグメントを含む。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(“Kabat”numbering scheme),Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(“Chothia”numbering scheme)を含め、いくつかの公知のスキームのいずれか又はそれらの組合せを使用して決定することができる。
さらに、Fvのフラグメントの2つのドメイン、即ちVL及びVHは、個別の遺伝子によってコードされるが、組換え方法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖にすることを可能にする合成リンカーによりそれらを結合することができ、この単一タンパク質鎖中で、VL及びVHの領域が対合して、一価分子を形成する(「一本鎖Fv(「scFv」)として知られている;例えば、Bird et al.,Science 242:423-426,1988;Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883,1988を参照されたい)。このような一本鎖抗体は、「抗原結合フラグメント」という用語に包含されることも意図される。これらの抗原結合フラグメントは、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、これらのフラグメントは、インタクトな抗体と同じ方法で有用性に関してスクリーニングされる。
用語「キメラ抗原受容体」又は代わりに「CAR」は、少なくとも、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、以下に定義するとおりの刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称される)とを含む組換えポリペプチドコンストラクトを指す。いくつかの実施形態において、CARポリペプチドコンストラクトのドメインは、同じポリペプチド鎖にあり、例えばキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、CARポリペプチドコンストラクトのドメインは、互いに連続しておらず、例えばRCARに提供されるように、例えば異なるポリペプチド鎖にある。
いくつかの態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ζの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義するとおりの少なくとも1つの共刺激分子に由来する1つ以上の機能性シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、共刺激分子は、41BB(即ちCD137)、CD27、ICOS及び/又はCD28から選択される。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する少なくとも2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N末端)に任意選択のリーダー配列を含む。いくつかの態様において、CARは、細胞外抗原認識ドメインのN末端にリーダー配列をさらに含み、リーダー配列は、任意選択で、細胞プロセシング及びCARの細胞膜局在化中に抗原認識ドメイン(例えば、scFv)から切断される。
特定の腫瘍マーカーX(ここで、Xは、本明細書に記載されるような腫瘍マーカーであり得る)を標的とする、抗原結合ドメイン(例えば、scFv、単一ドメイン抗体又はTCR(例えば、TCRアルファ結合ドメイン又はTCRベータ結合ドメイン))を含むCARは、XCARとも称される。例えば、BCMAを標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、BCMA CARと称される。CARは、任意の細胞、例えば本明細書に記載の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)で発現させることができる。
用語「シグナル伝達ドメイン」は、二次メッセンジャーを生成するか又はかかるメッセンジャーに応答してエフェクターとして機能することにより定義されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を調節するように細胞内で情報を伝えることにより機能するタンパク質の機能性の一部分を指す。「刺激性分子」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)によって発現され、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について、免疫細胞の活性化を刺激的に調節する細胞質シグナル伝達配列を提供する分子を指す。いくつかの態様において、シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが負荷されたMHC分子との結合によって惹起される一次シグナルであり、これは、限定されないが、増殖、活性化、分化などを含めたT細胞応答の媒介につながる。刺激的方法で機能する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも称される)は、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明において特に有用であるITAM含有細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ζ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR16)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれるが、これらに限定されない。特定のCARにおいて、本発明の任意の1つ以上のCARにおける細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えばCD3ζの一次シグナル伝達配列を含む。本発明の特定のCARにおいて、CD3ζの一次シグナル伝達配列は、ヒト配列又は非ヒト種、例えばマウス、齧歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCAR T細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。免疫エフェクター機能(例えば、CAR T細胞におけるもの)の例には、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性及びヘルパー活性が含まれる。
いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。例示的一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激又は抗原依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。例示的共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナル又は抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。例えば、CAR Tの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインがT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、及び共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが共受容体又は共刺激分子からの細胞質配列を含むことができる。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含むことができる。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、限定されないが、CD3ζ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3ベータ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれる。
「ζ」又は代替的に「ζ鎖」、「CD3ζ」若しくは「TCRζ」という用語は、CD247を指す。Swiss-Prot受託番号P20963は、例示的なヒトCD3ζアミノ酸配列を提供する。「ζ刺激ドメイン」又は代替的に「CD3ζ刺激ドメイン」若しくは「TCRζ刺激ドメイン」は、CD3ζの刺激ドメイン又はその変異体(例えば、変異、例えば点変異、フラグメント、挿入又は欠失を有する分子)を指す。いくつかの実施形態において、ζの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52~164又はその変異体(例えば、変異、例えば点変異、フラグメント、挿入又は欠失を有する分子)を含む。代わりに又はさらに、「ζ」若しくは代替的に「ζ鎖」、「CD3-ζ」(又は「CD3ζ、CD3 ζ若しくはCD3z)又は「TCR-ζ」という用語は、GenBank受託番号BAG36664.1として提供されるタンパク質又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基として定義され、「ζ刺激ドメイン」若しくは代替的に「CD3-ζ刺激ドメイン」又は「TCR-ζ刺激ドメイン」は、T細胞活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分なζ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基又はその機能的誘導体として定義される。いくつかの態様において、ζの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52~164又はその機能性オルソログである非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基を含む。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによりT細胞による共刺激応答、例えば、限定されないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子であり、CD3ζ、共通FcRγ(FCER1G)、FcγRIIa、FcRβ(FcεR1b)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12は、効率的な免疫応答に寄与する。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4-1BB(CD137)が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような共刺激性分子のさらなる例は、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドを含む。
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であり得る。共刺激性分子は、以下のタンパク質ファミリーに代表され得る:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)及び活性化NK細胞受容体。そのような分子の例には、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、ICAM-1、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CDS、CD7、CD287、LIGHT、NKG2C、NKG2D、SLAMF7、NKp80、NKp30、NKp44、NKp46、CD160、B7-H3及びCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。
細胞内シグナル伝達ドメインは、その由来である分子の細胞内部分全体、又は天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、又はその機能性フラグメント若しくは誘導体を含み得る。
「相補性決定ドメイン」又は「相補決定領域(「CDR」)は、VL及びVHの超可変領域を互換的に指す。CDRは、抗体鎖の標的タンパク質結合部位であり、これは、そうした標的タンパク質に対して特異性を有する。各ヒトVL又はVHには3つのCDR(CDR1~3、N末端から順に番号が付けられている)があり、可変ドメインの約15~20%を構成している。CDRは、標的タンパク質のエピトープと構造的に相補的であるため、結合特異性を直接担う。VL又はVHの残りの区間、いわゆるフレームワーク領域は、より低いアミノ酸配列の変動を呈示する(Kuby,Immunology,4th ed.,Chapter 4.W.H.Freeman&Co.,New York,2000)。
CDR及びフレームワーク領域の位置は、当技術分野における様々な公知の定義、例えばKabat、Chothia、international ImMunoGeneTics database(IMGT)(ワールドワイドウェブ:www.imgt.org/)及びAbM(例えば、Johnson et al.,Nucleic Acids Res.,29:205~206(2001)を参照されたい);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901-917(1987);Chothia et al.,Nature,342:877-883(1989);Chothia et al.,J.Mol.Biol.,227:799-817(1992);Al-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.,273:927-748(1997))を用いて決定することができる。抗原結合部位の定義は、以下の文献にも記載されている:Ruiz et al.,Nucleic Acids Res.,28:219-221(2000);Lefranc,M.P.,Nucleic Acids Res.,29:207-209(2001);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732-745(1996);Martin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:9268-9272(1989);Martin et al.,Methods Enzymol.,203:121-153(1991);Rees et al.,In Sternberg M.J.E.(ed.),Protein Structure Prediction,Oxford University Press,Oxford,141-172(1996)。
本明細書で使用される場合、「混入ポリヌクレオチド」という用語は、レンチウイルスベクターに由来しないポリヌクレオチドを指す。混入ポリヌクレオチドは、例えば、レンチウイルスベクターが産生された細胞に由来する非レンチウイルスポリヌクレオチド、例えばレンチウイルスベクターの導入遺伝子又は他の成分に含まれない染色体哺乳動物DNA(例えば、ヒトDNA)を含み得る。
「由来する」は、この用語が本明細書で使用されるとき、第1の分子と第2の分子との間の関係を指す。これは、概して、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性を指すものであり、第2の分子に由来する第1の分子に関する方法又は供給源を限定することを含意又は包含しない。例えば、CD3ζ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、それが、求められる機能、即ち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するような十分なCD3ζ構造を保持している。これは、細胞内シグナル伝達ドメインの特定の作製方法に限定することを含意又は包含せず、例えば細胞内シグナル伝達ドメインを提供するためにCD3ζ配列で開始して不要な配列を欠失させるか、又は突然変異を付与して細胞内シグナル伝達ドメインに至らせなければならないことを意味しない。
本明細書で使用される場合、「凍結/融解サイクル」という用語は、水溶液又は懸濁液などの液体混合物を、混合物が凍結するまでその凝固点以下の温度に曝露し、その後、その凝固点よりも高い温度で混合物を融解させることを指す。凍結ステップは、例えば、温度が約-80℃~約-20℃である環境に混合物を置くことによって実施することができる。混合物は、例えば、融解前の1若しくは数日、数週間、数ヶ月又は数年の期間、凍結したままにしておくことができる。融解ステップは、混合物を、温度が約2℃~約8℃である条件に曝露するか、又は混合物を室温(例えば、実験室の周囲温度又は約25℃)で保存することによって実施することができる。代わりに、ウォーターバス(例:37℃)を用いて融解させることもできる。
本明細書で使用される場合、「流体力学的半径」という用語は、粒子の拡散特性から推測される溶液中の粒子の見掛けの半径(nm単位のRh)を指す。ウイルス粒子の流体力学的半径は、水溶液中でのウイルス粒子の拡散速度並びに粒子が高分子のゲル中を移動する能力を決定する1要因である。ウイルス粒子の流体力学的半径は、粒子の成分各々の質量及び分子構造並びにその水和状態によって部分的に決定される。ウイルス粒子の流体力学的半径を決定する方法は、当技術分野で公知であり、そうしたものとして、動的光散乱及びサイズ排除クロマトグラフィーの使用がある。
本明細書において、「非還元炭水化物」という用語は、アルデヒドとの化学平衡状態では存在せず、従って、銀(Ag+)及び銅(Cu2+)などの遷移金属カチオンによってカルボン酸に酸化される能力が欠如した炭水化物を指す。例示的な非還元炭水化物として、限定はしないが、スクロース、トレハロース及びパラチニトールなどの二糖類、ラフィノース及びメレジトースなどの三糖類並びにスタキオースなどの四糖類が挙げられる。非還元炭水化物としては、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール及びキシリトールなどの単糖誘導体、ラシトール及びマルチトールなどの二糖類誘導体、アルドン酸並びにグルコン酸、グルコン酸γラクトンなどのそれらのラクトン、アルダリン酸及並びにリバラ酸、アラビナリン酸及びガラクタリン酸などのそれらのラクトン、グルクロン酸、ガラクロン酸及びイチアンウロン酸などのウロン酸、トレハロースオクタアセテート、スクロースオクタアセテート及びセロビオースオクタアセテートなどのエステル誘導体並びにヒドロキシル基がO-アルキル化されたエーテル誘導体がさらに挙げられる。非還元炭水化物には、D又はL立体化学的配向を有するものが含まれる。
本明細書で使用される場合、「浸透圧」という用語は、水溶液中の溶質粒子の浸透圧の尺度を指す。溶質粒子は、イオン分子及び非イオン化分子の両方を含む。浸透圧は、1kgの溶媒(即ち水)に溶解した浸透圧活性粒子の濃度(即ち、オスモル)として表される。浸透圧は、本明細書では、水1kg当たりのミリオスモル数(mOsm/kg)の単位で表される。
本明細書で使用される場合、「重量/体積パーセント」又は「w/v%」という用語は、その成分を含有する混合物の総体積に対する単一成分の重量(グラム単位)百分率を示す。例えば、8mlの総体積中500mgの成分は、6.25w/v%であり、5mlの総体積中500mgの成分は10w/v%である。
本明細書で使用される場合、「多分散性」という用語は、サンプル内のレンチウイルス粒子などの粒子のサイズの均質性の程度を指す。多分散度が高いほど均質性が低いことを示し、多分散性が低いほど均質性が高いことを示す。例えば、均質性のレベルが高い場合、レンチウイルス粒子は同一サイズと同様であると見なすことができるため、単分散である。当業者により理解されるように、多分散性が低下するにつれて、均質性のレベルが増加する。そのため、多分散性が低いほど、均質性のレベルが高いことを示す。例えば、多分散度が15%の製剤は、多分散度が10%の製剤よりも均質性が低い。均質性のレベルが低いと、粒子集団は、有意に異なるサイズを含むため、多分散であるとみなすことができる。
本明細書中で使用される場合、任意の疾患又は障害を「予防する」、「予防する(こと)」若しくはその「予防」という用語は、疾患若しくは障害の予防的処置;又は疾患若しくは障害の発症又は進行を遅らせることを指す。
本明細書で使用される用語「認識する」は、そのエピトープが直鎖状又は立体配座であるかにかかわらず、そのエピトープを見出し、相互作用する(例えば、結合する)抗体又はその抗原結合フラグメントを指す。「エピトープ」という用語は、本開示の抗体又は抗原結合フラグメントが特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、タンパク質の三次折りたたみによって並置された連続アミノ酸又は非連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的に、変性溶媒への曝露時に保持されるが、三次フォールディングにより形成されたエピトープは、典型的に、変性溶媒による処理で消失する。エピトープは、典型的には、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸を固有の空間的コンフォメーションで含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、当技術分野の技術、例えばX線結晶構造解析及び2次元核磁気共鳴法が挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「レトロウイルスパッケージングタンパク質」という用語は、レトロウイルス又はその変異体に由来するタンパク質を指し、これは、核酸(例えば、ウイルスゲノム)のエンベロープへのパッケージングを補助する。例示的なレトロウイルスパッケージングタンパク質としては、gag、pol及びrev、例えばレンチウイルスgag、pol及びrev、例えば野生型タンパク質又はその変異体、例えばそれらに対して少なくとも80%、90%又は95%の配列同一性を有する配列が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質は、ポリタンパク質として提供される。
本明細書で使用される場合、「レトロウイルスエンベロープタンパク質」という用語は、レトロウイルスに由来するタンパク質又はその変異体を指し、これは、アセンブリングされて、核酸(例えば、ウイルスゲノム)の周囲にエンベロープを形成することができる。例示的なレトロウイルスエンベロープタンパク質は、env、例えば野生型又はその変異体である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、レンチウイルスエンベロープタンパク質、例えば野生型又はその変異体である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-G、例えば野生型又はその変異体である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、偽型である。いくつかの実施形態において、レトロウイルスエンベロープタンパク質は、レトロウイルスパッケージングタンパク質又はパッケージ仕様とする核酸のLTRの1つ若しくは複数とは異なるウイルスに由来する。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」及び「結合する」という語句は、タンパク質及び他の生体分子の不均一な集団において、例えば特異性を有するリガンドによって認識される特定のタンパク質の存在を決定する、結合反応を指す。タンパク質に特異的に結合するリガンド(例えば、タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなど)は、KDが500nM未満のタンパク質に結合する。例えば、タンパク質に特異的に結合するリガンドは、最大500nM(例えば、1pM~500nM)のKDでタンパク質に結合する。タンパク質又はそのドメインに対して特異的結合を示さないリガンドは、その特定のタンパク質又はそのドメインに対して、500nM超(例えば、600nm、700nM、800nM、900nM、1μΜ、100μΜ、500μΜ又は1mM超)のKDを示す。特定のタンパク質に対するリガンドの親和性を決定するために、様々なアッセイフォーマットを使用することができる。例えば、固相ELISAアッセイは、標的タンパク質に特異的に結合するリガンドを同定するために、常用的に使用されている。特異的タンパク質結合を決定するのに用いることができるアッセイのフォーマット及び条件の説明については、例えば、Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1988)及びHarlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1999)を参照されたい。
「対象」という用語には、ヒト及びヒト以外の動物が含まれる。ヒト以外の動物には、全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類及び爬虫類などが含まれる。注記される場合を除いて、「患者」又は「対象」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
「治療用エフェクター」という用語は、本明細書中で使用されるように、有効なレベルで、対象に対して治療効果を及ぼし得る分子(例えば、RNA又はポリペプチド)を指す。
「治療上許容可能な量」又は「治療有効用量」という用語は、互換的に、所望の結果(即ち、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の阻害、転移の防止、ウイルス、細菌、真菌若しくは寄生虫感染の阻害又は予防)をもたらすのに十分な量を指す。いくつかの態様において、治療上許容可能な量は、望ましくない副作用を誘導又は誘発しない。いくつかの態様において、治療上許容可能な量は、副作用を誘導又は誘発するが、患者の状態を考慮して医療提供者によって許容されるものに限る。治療上許容可能な量は、最初に低用量を投与し、次に、所望の効果が達成されるまで、その用量を漸増することによって決定することができる。「予防的に有効な投与量」及び「治療的に有効な投与量」は、いくつかの実施形態では、それぞれ、癌に関連する症状などの疾患の症状の発症を予防するか、又はその重症度の低下をもたらすことができる。
本明細書で用いる「トランスフェクション」という用語は、真核細胞へのDNAの導入を指す。トランスフェクションは、限定はされないが、リン酸カルシウム-DNA共沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染及びバイオリスティックスを含む多様な手段によって達成され得る。
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害を「治療する」、「治療すること」若しくはその「治療」という用語は、一実施形態において、疾患又は障害を改善すること(即ち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせるか、阻止するか又は低減すること)を指す。別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、患者によって認識できないものを含め、少なくとも1つの物理的パラメータを緩和又は改善することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、疾患又は障害を、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)又は両方に調節することを指す。
本明細書で使用される場合、「ウイルス力価」という用語は、粒子から標的細胞への所与の核酸配列の転写をもたらす感染性ベクター粒子の数又は「形質導入単位」を指す。ウイルス力価は、Xiao et al.,Exp.Neurobiol 144:1 13-124,1997又はFisher et al.,J.Virol.70:520-532,1996に記載のアッセイなどの機能性アッセイによって測定することができ、これらの文献のいずれの開示内容も、その全体が参照により組み込まれる。代わりに、ウイルス力価は、例えば、当技術分野で公知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて、宿主細胞ゲノムに組み込まれたウイルスDNAの量を決定することによって測定することもできる。
本明細書で使用される場合、「ウイルスベクター」という用語は、核酸分子を宿主に導入する能力を有するウイルス粒子を指す。外因性遺伝子を担持するウイルスベクターは、通常、特定の細胞株を用いてプラスミドをパッケージングすることにより、ウイルスパッケージを介して感染性ウイルス粒子にパッケージングされる。感染性ウイルス粒子は細胞に感染して、外因性遺伝子の発現を達成する。「組換え」ウイルスベクターとは、遺伝子組換え技術によって構築されたウイルスベクターを指す。組換えウイルスベクターは、任意の適切な方法を用いて、例えばウイルスゲノムをコードする核酸をパッケージング細胞株に形質導入又はトランスフェクトした後、新たにパッケージングされたウイルス粒子を単離することにより、構築することができる。組換え技術は、ウイルスベクター自体の生産の上流の段階で実施され得ることが理解される。例えば、組換え技術を用いてプラスミドを生産し、次に、プラスミドを大規模に生産し、最後にプラスミドをパッケージングのために細胞株に導入して、ウイルスベクターを生産することができる。
「レンチウイルスベクター」という用語は、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターを指し、こうしたものとして、例えば、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)に提供されるような自己不活性化レンチウイルスベクターがある。医療施設で使用され得るレンチウイルスベクターの他の例としては、限定するものではないが、例えばOxford BioMedica製のLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術、Lentigen製のLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられる。非臨床型のレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者に公知であろう。
レンチウイルスの生産方法
本開示は、とりわけ、レンチウイルスベクターを製造するための改善された方法を提供する。以下の一般的な手順を使用することができる。まず、宿主細胞を培養することができる。例示的なタイプの宿主細胞、例えばラージT抗原を欠いたヒト細胞については、本明細書で「宿主細胞」と題されるセクションでより詳細に説明される。本明細書の実施例1に記載されるように、ラージT抗原を欠いた宿主細胞は、ラージT抗原を含む宿主細胞と比較して、製造上の利点をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、大量の細胞を生産するために、宿主細胞は、十分に多数の細胞が産生されるまで、順次、より大きい容器(例えば、バイオリアクター)で培養される。
十分な数の宿主細胞が得られたら、所望の核酸を宿主細胞に導入することができる。核酸は、トランスフェクションにより、例えば本明細書で「トランスフェクション」と題されるセクションに記載されるように、例えばFectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を用いて導入され得る。FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬の利点は、本明細書の実施例2及び3に記載されている。トランスフェクトされた核酸は、パッケージングしようとするウイルスゲノムを含み得、ウイルスゲノムは、目的の治療用遺伝子と、ウイルス粒子にパッケージングするための十分なLTR配列とを含む。宿主細胞に導入され得る追加の核酸には、パッケージングを促進するプラスミド、例えばウイルスgag、pol、env及びrevをコードするプラスミドが含まれる。いくつかの実施形態では、培養培地のpHは、トランスフェクション前に例えば約7.1から約6.7に、例えば本明細書で「培養条件及びトランスフェクション条件」と題されるセクション及び本明細書の実施例4に記載されているように下方に変更され得る。その後、細胞は、レンチウイルスを産生し始める。
トランスフェクション後、ベンゾナーゼなどのヌクレアーゼは、例えば、本明細書の「培地」と題されるセクション及び実施例5に記載されているように培養培地に添加され得る。理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、最終的なレンチウイルス調製物に対する混入核酸の供給源であり、例えば、培養培地は、溶解した宿主細胞由来の宿主細胞DNAを含有し得る。従って、細胞培養培地にベンゾナーゼを添加すると、混入核酸を分解し得るため、レンチウイルスの精製の改善を可能にする。
次に、レンチウイルスの精製を開始するために、宿主細胞培養物からレンチウイルスを採取することができる。いくつかの実施形態では、レンチウイルスの採取は、上清又は細胞培養培地を細胞から分離することを含む。いくつかの実施形態では、清澄化前に細胞を溶解しない。いくつかの実施形態では、細胞を溶解し得、溶解物を清澄化し得る。
細胞培養培地又は細胞溶解物からのレンチウイルスの精製は通常、いくつかの連続した精製ステップを含む。精製ステップは、濾過(例えば、限外濾過)及びクロマトグラフィーステップを含み得る。いくつかの態様において、アルギニンは、精製プロセス中、例えば濾過ステップ又はクロマトグラフィーステップ前又は後に添加することができる。アルギニンの添加は、例えば、本明細書の「精製」と題されるセクション及び実施例8~12に記載されている。理論に縛られることを望まないが、いくつかの態様において、アルギニンは、レンチウイルスベクターを安定化し、且つ/又はそれらの凝集を低減する。
精製されたレンチウイルスは、様々な用途に用いることができる。例えば、レンチウイルスは、例えば、アフェレーシスサンプル由来の免疫エフェクター細胞からCART細胞を生成する目的で、エクスビボで細胞に遺伝子を送達するために使用され得る。別の例として、対象の細胞にインサイチュで遺伝子を送達するために、レンチウイルスを対象に投与し得る。例えば、レンチウイルスは、インビボCARTに使用され得る。いくつかの実施形態において、レンチウイルスは、ヒト対象における投与に適しており、例えばCARをコードするレンチウイルスを対象に投与して、対象の体内の免疫エフェクター細胞へのCARコード核酸の導入を可能にすることができる。
天然に存在するレンチウイルスは、レトロウイルス科(Retroviridae)のウイルスの属であり、長い潜伏期間を特徴とする。レンチウイルスは、一般的に、宿主細胞のDNAに大量の遺伝情報を送達することができる。レンチウイルスの例としては、以下のものが挙げられる:ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の病因であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIV1型及びHIV2型を含む);ヒツジに脳炎(visna)又は肺炎(maedi)を引き起こすビスナ・マエディ(visna-maedi)、ヤギに免疫不全、関節炎及び脳症を引き起こすヤギ関節炎-脳炎ウイルス;ウマに自己免疫性溶血性貧血及び脳症を引き起こすウマ伝染性貧血ウイルス;ネコに免疫不全を引き起こすネコ免疫不全ウイルス(FIV);畜牛にリンパ節腫脹、リンパ球増加症及びおそらく中枢神経系感染症を引き起こすウシ免疫不全ウイルス(BIV);並びに類人猿に免疫不全及び脳症を引き起こすサル免疫不全ウイルス(SIV)。これらのウイルスによって引き起こされる疾患は、長い潜伏期間と長引く経過を特徴とする。通常、ウイルスは単球及びマクロファージに潜在的に感染し、そこから他の細胞に拡散する。HIV、FIV及びSIVもTリンパ球(即ちT細胞)に容易に感染する。
導入遺伝子
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるレンチウイルス又はレンチウイルスベクターは、核酸、例えば導入遺伝子、例えばタンパク質をコードする導入遺伝子を含み得る。核酸は、例えば、本明細書で「導入遺伝子」と題するセクションに記載されるような導入遺伝子を含み得る。導入遺伝子は、プロモーター配列に機能的に連結され得る。核酸は、1つ又は複数(例えば、2つ)のLTR配列も含み得る。理論に縛られることを望まないが、LTRは、宿主細胞ゲノムへの導入遺伝子とプロモーターの挿入を促進し得る。LTR配列は、野生型レンチウイルスLTR配列又はその変異体を含み得る。例えば、3’LTRは、組込み後にウイルスを自己不活性化する欠失を含み得る。さらに、5’LTRは、キメラLTRであり得る。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、標的細胞の染色体DNAに組み込まれ得る。
例示的導入遺伝子としては、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするものが挙げられる。CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び1つ又は複数のシグナル伝達ドメインなど、いくつかのドメインを含み得る。こうした場合、シグナル伝達ドメインは、1つ若しくは複数の一次シグナル伝達ドメイン(CD3-ζ刺激ドメインなど)及び/又は1つ若しくは複数の共刺激シグナル伝達ドメイン(CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、ICAM-1、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CDS、CD7、CD287、LIGHT、NKG2C、NKG2D、SLAMF7、NKp80、NKp30、NKp44、NKp46、CD160、B7-H3又はCD83と特異的に結合するリガンドを含み得る。
いくつかの実施形態において、導入遺伝子、例えばCARを含む導入遺伝子は、特定の標的タンパク質又は炭水化物に結合する抗原結合ドメイン(scFvなど)をコードし得る。例示的な抗原としては、以下のものが挙げられる:CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、C型レクチン様分子-1、CD33、上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvlll)、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドGD3、TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA)、Tn抗原((Tn Ag)又は(GalNAca-Ser/Thr))、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG 72)、CD38、CD44v6、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、B7H3(CD276)、KIT(CD1 17)、インターロイキン-13受容体サブユニットα-2、メソテリン、インターロイキン1受容体α(IL-11Ra)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、プロテアーゼセリン21、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ルイス(Y)抗原、CD24、血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β)、ステージ特異的胎児性抗原-4(SSEA-4)、CD20、葉酸受容体α、受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu)、ムチン1、細胞表面関連(MUC1)、上皮成長因子受容体(EGFR)、神経細胞接着分子(NCAM)、プロスターゼ、前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)、伸長因子2変異型(ELF2M)、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)、インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、β型、9(LMP2)、糖タンパク質100(gp100)、切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質、チロシナーゼ、エフリンA型受容体2(EphA2)、フコシルGM1、シアリルルイス接着分子(sLe)、ガングリオシドGM3、トランスグルタミナーゼ5(TGS5)、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2)、葉酸受容体β、腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248)、腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R)、クローディン6(CLDN6)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D)、染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61)、CD97、CD179a、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、ポリシアル酸、胎盤特異的1(PLAC1)、globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分、乳腺分化抗原(NY-BR-1)、ウロプラキン2(UPK2)、A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1)、アドレナリン受容体β3(ADRB3)、パネキシン3(PANX3)、Gタンパク質共役受容体20(GPR20)、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K)、嗅覚受容体51 E2(OR51 E2)、TCRγオルタネートリーディングフレームタンパク質(TARP)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1)、癌/精巣抗原1(NY-ESO-1)、癌/精巣抗原2(LAGE-1a)、黒色腫関連抗原1(MAGE-A1)、染色体12pに位置するETS転座変異遺伝子6(ETV6-AML)、***タンパク質17(SPA17)、X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1)、アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2)、黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1)、黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2)、Fos関連抗原1、腫瘍タンパク質p53(p53)、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1、T細胞によって認識される黒色腫抗原1、ラット肉腫(Ras)変異体、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、肉腫転座切断点、アポトーシスの黒色腫阻害剤(ML-IAP)、ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子)、N-アセチルグルコサミニル-トランスフェラーゼV(NA17)、ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3)、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、v-mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN)、RasホモログファミリーメンバーC(RhoC)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2)、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)、CCCTC結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3)、ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5)、プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4)、滑膜肉腫、X切断点2(SSX2)、後期糖化最終産物受容体(RAGE-1)、腎臓ユビキタス1(RU1)、腎臓ユビキタス2(RU2)、レグマイン、ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6)、ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7)、腸カルボキシルエステラーゼ、熱ショックプロテイン70-2変異型(mut hsp70-2)、CD79a、CD79b、CD72、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、IgA受容体(FCAR又はCD89)のFcフラグメント、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2)、CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2)、リンパ球抗原75(LY75)、グリピカン-3(GPC3)、Fc受容体様5(FCRL5)及び免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のレンチウイルスベクターは、2つ以上の導入遺伝子、例えば第1CAR、例えばCD19 CARをコードする第1の導入遺伝子と、第2CAR、例えばCD22 CARをコードする第2の導入遺伝子とを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデュアルCARレンチウイルスベクターは、2つの異なるCAR、例えばCD19 CAR及びCD22 CARをコードする。いくつかの実施形態において、2つのCARは、単一のオープンリーディングフレームの一部であり、プロテアーゼ切断部位、例えば自己切断部位、例えばP2A部位により隔てられている。いくつかの実施形態において、オープンリーディングフレームは、N末端からC末端に、第1のリーダー配列、第1のscFv(例えば、CD22に結合する)、任意選択で、第1のヒンジドメイン、第1の膜貫通ドメイン、第1の共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)、第1の一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ζ)、プロテアーゼ切断部位(例えば、P2A)、第2のリーダー配列、第2のscFv(例えば、これは、CD19に結合する)、任意選択で、第2のヒンジドメイン、第2の膜貫通ドメイン、第2の共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)及び第2の一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ζ)をコードする。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリーダー配列は、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のヒンジドメインは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の膜貫通ドメインは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の共刺激ドメインは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の一次シグナル伝達ドメインは、同じ配列を有する。
本明細書に記載の導入遺伝子によってコードされ得る追加のCARは、例えば、本明細書で「CAR標的」と題するセクションに提供されている。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のレンチウイルスベクターは、免疫エフェクター細胞内の核酸を標的とするsiRNA又はshRNAをコードする。例えば、siRNA又はshRNAは、T細胞において、TCR及び/若しくはHLA並びに/又は阻害性分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/若しくはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14若しくはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGFβ)をコードする核酸を標的とし得る。siRNA及びshRNAの発現系並びに例示的なshRNAは、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットのパラグラフ649及び650に記載されており、その全体が参照により援用される。これらの核酸は、例えば、CRISPERシステム、ジンクフィンガーヌクレアーゼ又はTALENを用いてターゲティングすることもできる。免疫エフェクター細胞は、治療しようとする対象に対して自己由来又は同種異系であり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のレンチウイルスベクターは、メチルシトシンジオキシゲナーゼ遺伝子(例えば、Tet1、Tet2又はTet3)の1つ若しくは複数の阻害剤を含むか又はコードする。操作された細胞(例えば、CAR-T細胞などの遺伝子改変抗原特異的T細胞)の機能活性を増大させるためのそうした組成物及び方法の使用も企図される。理論に縛られるものではないが、Tet遺伝子の単一の対立遺伝子(Tet1、Tet2若しくはTet3)の破壊は、増殖の増強、エフェクターサイトカイン産生の調節及び脱顆粒に伴って5-ヒドロキシメチルシトシンの総レベルを低下させ、それにより、CAR T細胞の増殖及び/又は機能を高める。いくつかの実施形態において、前記細胞におけるTet2の発現及び/又は機能は、低減又は排除されている。
いくつかの実施形態において、Tet1、Tet2及び/又はTet3の阻害剤は、Tet1、Tet2、Tet3又は前記siRNA若しくはshRNAをコードする核酸に特異的なsiRNA又はshRNAである。いくつかの実施形態において、siRNA又はshRNAは、Tet2 mRNAの配列と相補的な配列を含み、例えば国際公開第2017/049166号パンフレットの表4に列挙されるshRNAの標的配列を含み、この出願は、表4を含むその全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、Tet1、Tet2及び/又はTet3の阻害剤は、(1)Tet1、Tet2及び/又はTet3又はその調節エレメント、例えばTet2又はその調節エレメントをコードする遺伝子内の1つ若しくは複数の部位を標的とする遺伝子編集システム;(2)前記遺伝子編集システムの1つ若しくは複数の成分をコードする核酸;又は(3)それらの組合せである。いくつかの実施形態において、遺伝子編集システムは、CRISPR/Cas9システム、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム及びメガヌクレアーゼシステムからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるレンチウイルスベクターは、導入遺伝子、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする導入遺伝子を含み、さらに、免疫エフェクター細胞中の核酸を標的とするsiRNA又はshRNAを含む。
レンチウイルスベクターの特徴
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、動的光散乱(DLS)によって測定される100±25nmの流体力学的半径によって特徴付けられる。例えば、レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内で100±25nmの流体力学的半径を維持し得る。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、10%~25%の多分散性によって特徴付けられる。例えば、レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内で10%~25%の多分散性を維持し得る。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、3、6又は9回の凍結/融解サイクル後、凍結/融解サイクル前の水性組成物中のレンチウイルスベクターの濃度に対して約70%~約100%の濃度を維持し、凍結/融解サイクルの各々は、水性組成物を凍結し、次に水性組成物を室温で解凍させることを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法又は製剤のいずれかを用いて調製、精製若しくは保存されたレンチウイルスは、例えば、1のMOIで試験した場合、本明細書に記載の方法によって又は本明細書に記載の製剤中に生産、精製若しくは保存されていないレンチウイルスと比較して低いベクターコピー数(VCN)、例えば少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%低いVCNを有し得る。
レンチウイルスベクターパッケージングシステム
パッケージングシステムを使用して、核酸、例えば導入遺伝子をコードするRNAをレンチウイルスベクターにパッケージングすることができる。従って、本明細書に記載のシステム及び方法は、例えば、レンチウイルスベクター、例えば任意選択で導入遺伝子を含むレンチウイルスベクターの生産に適した少なくとも1つのプラスミドを含むレンチウイルスパッケージングシステムを含み得る。レンチウイルスベクターの生産に有用な種々のレンチウイルス成分は、当技術分野で公知である。例えば、Zufferey et al.,1997,Nat.Biotechnol.15:871-875及びDull et al,1998,J.Virol.72(11):8463-8471を参照されたい。レンチウイルスベクターの生産に適した様々な機能を、1つ又は複数の核酸(例えば、プラスミド)、例えば少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのプラスミドを含むレンチウイルスパッケージングシステム内の宿主細胞に付与することができ、1つのプラスミドは、レトロウイルスエンベロープタンパク質(Envプラスミド)をコードし、1つのプラスミドは、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、例えばGag及びPolタンパク質(パッケージングプラスミド又はGag-Polプラスミド)をコードし、1つのプラスミドは、レンチウイルスRevタンパク質(Revプラスミド)及び少なくとも1つの目的の導入遺伝子(TOI)発現カセットを含む1つ又は複数のプラスミドをコードする。いくつかの実施形態において、レンチウイルスパッケージングシステムは、少なくとも1つ、2つ、3つ若しくは4つのプラスミドをさらに含むか、又は本明細書に記載の方法は、それらの使用を含む。いくつかの実施形態において、レンチウイルスパッケージングシステムは、第5のプラスミドをさらに含むか、又は本明細書に記載の方法は、その使用を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、5つのプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすることを含み、第5のプラスミドは、レンチウイルスベクターパッケージングシステムのタンパク質をコードしない。いくつかの実施形態において、レンチウイルスパッケージングシステムは、1つ又は複数の核酸(例えば、プラスミド)、例えば5つのプラスミドを含み、例えばRout-Pitt et al.,J Biol.Methods 5(2):1-9,2018)に記載されるように、1つのプラスミドは、発現ベクターをコードし、1つのプラスミドは、Tat(例えば、pcDNATat)をコードし、1つのプラスミドは、Revタンパク質(例えば、pHCMV-Rev)をコードし、1つのプラスミドは、gagpol(例えば、pHCMV-gagpol)をコードし、1つのプラスミドは、VSV-G(例えば、pVSVG)もコードする。いくつかの実施形態において、プラスミドは、二重遺伝子発現カセット、例えばバイシストロンカセット、例えば2つの目的導入遺伝子をコードするバイシストロン構築物を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の目的導入遺伝子は、第1CAR、例えばCD19 CARをコードし、第2の目的導入遺伝子は、第2CAR、例えばCD22 CARをコードする。いくつかの実施形態において、レトロウイルスパッケージングタンパク質は、レンチウイルス、例えばレンチウイルスパッケージングタンパク質、例えばレンチウイルスgag及びpolタンパク質に由来する。いくつかの実施形態において、レンチウイルスgagタンパク質は、野生型レンチウイルスgagタンパク質であり、他の実施形態では、これは、野生型配列に対して1つ又は複数の配列修飾を有する。いくつかの実施形態において、レンチウイルスpolタンパク質は、野生型レンチウイルスpolタンパク質であり、他の実施形態では、野生型配列に対して1つ又は複数の配列修飾を有する。いくつかの実施形態において、revタンパク質は、野生型revタンパク質であり、他の実施形態では、これは、野生型配列に対して1つ又は複数の配列修飾を有する。いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、修飾エンベロープタンパク質、例えば異なるウイルスに由来するエンベロープタンパク質又はキメラエンベロープタンパク質を含む偽型ベクターであり得、例えば、Envプラスミドは、VSV-G Envタンパク質、例えば野生型VSV-Gタンパク質又は修飾変異体をコードし得る。
いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターは、pMDLgpRRE、pRSV-Rev及びpMD.Gプラスミド(Dull al.,前掲)を含むパッケージングシステムを用いて作製されるが、例えばアンピシリン遺伝子の代わりに、カナマイシン耐性マーカー、例えばカナマイシン及びネオマイシンの両方に対する耐性を付与するマーカー、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIを使用する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、例えば、アンピシリン遺伝子の代わりに、カナマイシン耐性マーカー、例えばカナマイシン及びネオマイシンの両方に対する耐性を付与するマーカー、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIを含むトランスファーベクターを含む。いくつかの実施形態において、転写ベクターは、例えば、国際公開第2017087861A号パンフレット又はMilone al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464,2009(各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているようなpELPS構築物由来の配列を含む。いくつかの実施形態において、治療用タンパク質は、レンチウイルス5’LTR(例えば、切断型レンチウイルス5’LTR)、レンチウイルス3’LTR、cPPT及びWPREの1つ又は複数、例えば全部を含む自己不活性化トランスファーベクターにコードされる。いくつかの実施形態において、転写ベクターは、細菌内で活性なプロモーター(例えば、T7プロモーター、T3プロモーター及びlacプロモーターの全てを欠く)、M13プライマー結合部位(例えば、M13フォワードプライマー結合部位及びM13リバースプライマー結合部位の両方を欠く)、ファージ起源(例えば、f1 ori)並びに蛍光タンパク質(例えば、GFP、例えばEGFP)をコードする遺伝子の1つ又は複数、例えば全部が欠失している。いくつかの実施形態において、トランスファーベクターは、CAP結合部位及びlacオペレーターの両方が欠失している。いくつかの実施形態において、トランスファーベクターが、T7プロモーター、M13フォワードプライマー結合部位、f1 ori、CAP結合部位、IPTG誘導性プロモーター、lacオペレーター、M13リバースプライマー結合部位、T3プロモーター及びEGFPを欠失している以外には、トランスファーベクターは、国際公開第2017087861号パンフレットに開示されるようなpELPS構築物を含み、トランスファーベクターは、治療用タンパク質、例えばCARをコードする。いくつかの実施形態において、トランスファーベクターは、以下の特性の1つ又は複数を有する:(a)他の点では類似の対照トランスファーベクターよりも安定しているか、(b)他の方法では類似の対照トランスファーベクターよりも生じる細胞毒性が低いか、又は(c)例えば、本明細書に記載されるように、標的細胞に組み込まれた場合、より低いベクターコピー数(VCN)をもたらす。いくつかの実施形態において、対照トランスファーベクターは、T7プロモーター、M13フォワードプライマー結合部位、f1 ori、CAP結合部位、IPTG誘導性プロモーター、lacオペレーター、M13リバースプライマー結合部位及びT3プロモーターを含む。
いくつかの実施形態において、遺伝子発現カセットは、タンパク質、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態において、遺伝子発現カセットは、2つのタンパク質、例えば第1CAR及び第2CARをコードする。遺伝子発現カセットに適した例示的な導入遺伝子は、本開示に記載されている。
トランスフェクション
いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターの生産に適したレンチウイルスパッケージングシステムのトランスフェクション、例えば一過性又は安定トランスフェクションにより、レンチウイルスベクター生産のための様々な機能が複数の宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞(例えば、無血清条件下、懸濁液中で増殖する複数のExpi293F細胞)に付与される。いくつかの実施形態では、宿主細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%がトランスフェクトされる。トランスフェクション又は感染の方法は、当業者に周知である。いくつかの実施形態において、トランスフェクションのために、100万細胞当たり少なくとも0.3μg、少なくとも0.4μg、少なくとも0.5μg、少なくとも0.6μg、少なくとも0.7μg、少なくとも0.8μgの細胞、少なくとも0.9μg又は少なくとも1.0μgのレンチウイルスパッケージングシステムが提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞をトランスフェクトするために、トランスフェクション試薬を使用する。いくつかの実施形態では、トランスフェクション試薬が使用される。トランスフェクション試薬は、当技術分野で公知であり、供給業者から入手可能である。トランスフェクション試薬の例として、限定するものではないが、Lipofectamine(商標)(Invitrogen)、Polifectamine、LentiTran(Origene)、PEIpro(登録商標)(Polyplus)、FectoVIR(登録商標)-AAV(Polyplus)及びProFection(登録商標)(Promega)が挙げられる。いくつかの実施形態では、トランスフェクション試薬、例えばFectoVIR(登録商標)-AAVは、100万細胞当たり0.1μl、02.μl、0.3μl、0.4μl、0.5μl、0.6μl、0.7μl、0.8μl、0.9μl又は1.0μlのレベルで使用される。いくつかの実施形態では、パッケージングシステム及びトランスフェクション試薬、例えばFectoVIR(登録商標)-AAVは、トランスフェクションのために、約1:0.5、1:0.75、1:1、1:1.5若しくは1:2又はそれらの間の任意の範囲の比で使用される。
いくつかの実施形態では、トランスフェクション試薬は、FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を含む。FectoVIR(登録商標)-AAVは、例えば、Polyplus(850 bd Sebastien Brant,67400 Illkirch,FRANCE;1251 Ave of the Americas;3rd Fl,New York;NY 10020 USA)から取得することができる。FectoVIR(登録商標)-AAVは、化学物質ベースの動物由来フリートランスフェクション試薬である。
いくつかの実施形態では、トランスフェクション時に、細胞(例えば、Expi293F細胞)は、約0.5×10細胞/mL~1×10細胞/mL、1×10細胞/mL~6×10細胞/mL、1×10細胞/mL~5×10細胞/mL、1.50×10細胞/mL~2.50×10細胞/mL、2.0×10細胞/mL~3.0×10細胞/mL、2.0×10細胞/mL~2.5×10細胞/mLの密度である。いくつかの実施形態において、トランスフェクションの時点で、細胞集団は、少なくとも約80%、90%又は95%の生存率を有する。
いくつかの実施形態では、PP/IP(物理的粒子/感染性粒子)比は、トランスフェクション後、500、700、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000未満である。
宿主細胞
ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター、例えば本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの発現に好適な任意の宿主細胞を使用して、本明細書に開示される方法を実施することができる。いくつかの実施形態では、好適な宿主細胞は、真核細胞、例えば哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、ウイルス、例えばレンチウイルス、例えばレンチウイルスベクター又は目的のレンチウイルスを発現するための遺伝子改変哺乳動物細胞であり得る。いくつかの哺乳動物細胞株は、ウイルスの組換え発現に適した宿主細胞である。哺乳動物宿主細胞株として、例えば、COS、PER.C6、TM4、VERO、MDCK、BRL-3A、W138、Hep G2、MMT、MRC 5、FS4、CHO、293T、A431、3T3、CV-1、C3H10T1/2、Colo205、HEK293、HeLa、L細胞、BHK、HL-60、FRhL-2、U937、HaK、Jurkat細胞、Rat2、BaF3、32D、FDCP-1、PC12、M1x、マウス骨髄腫(例えば、SP2/0及びNS0)並びにC2C12細胞、さらには形質転換霊長類細胞株、ハイブリドーマ、正常二倍体細胞並びに初代組織及び初代外植片のインビトロ培養物由来の細胞株が挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞に由来する細胞、例えば293F細胞、例えばExpi293F細胞を含め、HEK293細胞である。いくつかの実施形態では、培養物中の宿主細胞の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも90%、少なくとも95%が、ラージT抗原、例えばポリオーマウイルスのラージT抗原、例えばSV40のラージT抗原、例えば変異体SV40のラージT抗原を発現する。いくつかの実施形態では、培養物中の宿主細胞の少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%は、ラージT細胞抗原を発現しない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、懸濁液中での増殖に適している。
培養プロセス
本明細書に記載の細胞株は、高力価のレンチウイルスベクター粒子の生産を可能にする条件下で培養することができる。真核細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞は、培養の大部分を通して懸濁液中で自由に増殖する非足場依存性細胞として;又はその増殖のために固体基質への付着を必要とする足場依存性細胞として(例えば、単層として)培養され得る。
いくつかの実施形態では、細胞増殖に適応させるために、マイクロキャリアシステムを使用し得る。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアシステムは、懸濁培養、例えば大規模懸濁培養を含み得る。懸濁培養は、開放系又は閉鎖系、例えばバッチ式又はフェドバッチ式の閉鎖系で操作され得る。いくつかの実施形態において、栄養素は、添加されず、廃棄物は、培養期間を通して除去されない。いくつかの実施形態では、細胞、生成物、副産物及び有毒代謝物を含む廃棄物は、除去されないが、増殖サイクルを延長するために栄養素が継続的にシステムに供給される。いくつかの実施形態では、培養システムは、開放、例えば連続システム、例えば灌流システム又はケモスタットシステムであり得る。いくつかの実施形態では、システムは、1つ又は複数の細胞保持装置を備え得る。細胞保持装置は、例えば、マイクロキャリア、微細メッシュスピンフィルター、中空糸、平板膜フィルター、沈降管、超音波細胞保持装置などを含み得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクター内の細胞の濃度は、バイオリアクターから採取された上清中に存在する細胞の濃度よりも高い。いくつかの実施形態では、バイオリアクター内の細胞の濃度は、バイオリアクターから採取された上清と実質的に同一である。
連続発酵プロセスでは、多くの場合、規定培地をバイオリアクターに連続的に添加しながら、生成物の回収のために等量の培養液を同時に除去する。連続培養は、一般に、増殖の対数期において細胞を一定の細胞密度に維持する。連続又は半連続培養法では、細胞増殖又は最終生成物濃度に影響を与える1つの因子又は任意の数の因子を調節することが可能である。例えば、或るアプローチは、炭素源を制限し、他の全てのパラメータが代謝を和らげることを可能にし得る。いくつかのシステムでは、増殖に影響を与える多くの因子が連続的に変化し得るが、培地の濁度によって測定される細胞濃度は一定に保持される。連続システムは、多くの場合、定常状態の増殖を維持するため、細胞増殖速度は、培地が培養物から取り出されることによる細胞喪失に対して均衡が保たれることが多い。連続的な培養プロセスのための栄養素及び成長因子を調節する方法は、公知であり、種々の方法が当技術分野で公知である。
いくつかの実施形態において、浮遊細胞の培養物は、懸濁液中にある細胞のみを含む。いくつかの実施形態において、浮遊細胞の培養物は、例えば、一過性に表面に接着する少数(例えば、1%未満)の細胞を含み得る。
「細胞培養」は、細胞のあらゆるインビトロ培養を指し得る。この用語には、連続細胞株(例えば、不死性表現型を有する)、初代細胞培養、有限細胞株(例えば、非形質転換細胞)及びインビトロで維持されるその他の細胞集団が含まれる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステム又は方法は、ウイルスベクターの生産のためにパッケージング細胞又はパッケージング細胞株を使用する。細胞株は、レンチウイルスベクター生産のためのエレメント、例えばレトロウイルスパッケージングタンパク質及びレトロウイルスエンベロープタンパク質で安定的にトランスフェクトすることができる。典型的には、このようなパッケージング細胞は、ウイルスタンパク質(gag、pol及びenvなど)を発現することができる1つ又は複数の発現カセットを含むが、発現カセットは、パッケージングシグナルを含まない。パッケージング細胞は、インビトロで培養された細胞であり得る。パッケージング細胞株を使用して、例えば少なくとも1つの目的導入遺伝子(TOI)発現カセットを含む少なくとも1つのプラスミドを提供することにより、レンチウイルス粒子生産のためのプロデューサー細胞株を作製することができる。いくつかの実施形態において、プロデューサー細胞は、治療用エフェクターをコードすると共に、LTRを含むRNAをウイルスベクターにパッケージングすることを可能にするのに十分なLTR配列を含むプラスミド(例えば、トランスファープラスミド)を一過性に発現する。いくつかの実施形態では、プロデューサー細胞株は、治療用エフェクターをコードすると共に、LTRを含むRNAをウイルスベクターにパッケージングすることを可能にするのに十分なLTR配列を含む発現カセットを安定して発現する。
培地
本開示の方法は、真核細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞を培養するのに適した(例えば、本開示の条件下での細胞増殖及び維持を支持する)任意の培地を用いて実施され得る。「細胞培養培地」及び「培養培地」(又は単に「培地」)という用語は、真核生物細胞、例えば哺乳動物細胞を指し、これは、例えば、HEK293細胞、例えばExpi293F細胞の増殖に使用される栄養溶液を指し、典型的には、下記カテゴリーの1つ又は複数から少なくとも1つの成分を提供する:(1)培地の浸透圧に寄与する塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど);(2)通常、グルコースなどの炭水化物の形態のエネルギー源;(3)全ての必須アミノ酸及び通常20のアミノ酸の基本セット;(4)低濃度で必要なビタミン及び/又はその他の有機化合物;並びに(5)微量元素(微量元素は、通常、マイクロモル範囲の非常に低濃度で通常必要とされる無機化合物として定義される)。このような培地の組成物は、当技術分野で公知である(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるMather,J.P.,et al.(1999)“Culture media,animal cells,large scale production,”Encyclopedia of Bioprocess Technology:Fermentation,Biocatalysis,and Bioseparation,Vol.2:777-785を参照されたい)。栄養溶液は、任意選択で、以下のカテゴリーのいずれかからの成分の1つ又は複数を補充され得る:(a)動物血清;(b)ホルモン及び他の成長因子、例えばインスリン、トランスフェリン及び上皮成長因子;並びに(c)植物、酵母及び/又は組織の加水分解物(それらのタンパク質加水分解物を含む)。
いくつかの実施形態において、培養培地は、血清、例えばウシ胎児血清(FBS)を含み得る。いくつかの実施形態では、培養培地は無血清である。いくつかの実施形態では、培地は、既知組成で、例えば動物由来成分を含まない培地である。本明細書で使用される場合、「動物由来」成分は、インタクトな動物において産生される任意の成分(例えば、血清から単離及び精製されたタンパク質)又はインタクトな動物において産生される成分を用いて生成される任意の成分(例えば、植物源材料を加水分解するために動物から単離及び精製された酵素を用いて製造されたアミノ酸など)である。対照的に、動物性タンパク質の配列を有する(即ち、動物にゲノム起源を有する)が、インタクトな動物において産生される成分を含まない培地又はインタクトな動物から単離及び精製された培地を用いて、細胞培養物中で(例えば、組換え酵母若しくは細菌細胞中において又は組換え体若しくは非組換え体にかかわらず、樹立された連続真核生物細胞株において)インビトロで産生されるタンパク質は、「動物由来」の成分ではない。
既知組成培地は、全ての成分が既知の化学構造を有する培地である。既知組成培地は、例えば、Sigma、ThermoFisher、Invitrogen、JRH Biosciences、Gibcoなどの供給業者から入手可能である。いくつかの実施形態では、培地は、FreeStyle(商標)293 Expression Mediumである。いくつかの態様では、濃縮血清、例えば通常必要とされ、且つ増殖培養物に通常に提供される栄養素の濃度より高濃度の栄養素を含有する培地を使用し得る。いくつかの実施形態では、培地は、当技術分野で公知の任意の供給源又は方法から得られるアミノ酸を含有し得る。
いくつかの実施形態では、酵素、例えばヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼ、例えば組換えエンドヌクレアーゼ、例えばベンゾナーゼ(登録商標)を培養培地に添加し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2U/ml、少なくとも5U/ml、少なくとも7U/ml、少なくとも10U/ml、少なくとも15U/ml、少なくとも20U/ml、少なくとも25U/ml、少なくとも25U/ml、少なくとも30U/ml、少なくとも35U/ml、少なくとも40U/ml、少なくとも45U/ml、少なくとも50U/ml、少なくとも55U/ml又は少なくとも60U/mlのベンゾナーゼ(登録商標)を添加する。いくつかの実施形態では、2U/mL~10U/mL、10U/mL~20U/mL、20U/mL~30U/mL、30U/mL~40U/mL、40U/mL~50U/mL又は50U/mL~60U/mLのベンゾナーゼ(登録商標)を添加する。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼ(登録商標)は、宿主細胞、例えばExpi293F細胞をトランスフェクトしてから約5~40、10~40、10~30、20~30又は約20時間若しくは約24時間後の時点で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから20~30時間(例えば、約24時間)後、3~7U/mL(例えば、約5U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから1~5時間(例えば、約3時間)後、3~7U/mL(例えば、約5U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから4~8時間(例えば、約6時間)後、3~7U/mL(例えば、約5U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから1~5時間(例えば、約3時間)後、12~18U/mL(例えば、約15U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから、4~8時間(例えば、約6時間)後、12~18U/mL(例えば、約15U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから20~30時間(例えば、約24時間)後、12~18U/mL(例えば、約15U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから1~5時間(例えば、約3時間)後、20~30U/mL(例えば、約25U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから4~8時間(例えば、約6時間)後、20~30U/mL(例えば、約25U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから20~30時間(例えば、約24時間)後、20~30U/mL(例えば、約25U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから1~5時間(例えば、約3時間)後、40~60U/mL(例えば、約50U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから4~8時間(例えば、約6時間)後、40~60U/mL(例えば、約50U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから20~30時間(例えば、約24時間)後、40~60U/mL(例えば、約50U/mL)の濃度で添加される。いくつかの実施形態において、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約3時間後に5U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約3時間後に15U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約3時間後に25U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約3時間後に50U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態において、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約6時間後に5U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約6時間後に15U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約6時間後に25U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約6時間後に50U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態において、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約24時間後に5U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約24時間後に15U/mLの濃度で添加される。いくつかの態様において、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約24時間後に25U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、ベンゾナーゼは、宿主細胞をトランスフェクトしてから約24時間後に50U/mLの濃度で添加される。いくつかの実施形態において、塩、例えばMgClが、例えば、約1~5mM、1~3mM又は約2mMの濃度でベンゾナーゼ(登録商標)に添加される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、生産及び/又は精製プロセス中にベンゾナーゼ(登録商標)の添加を含み得る。
いくつかの実施形態において、化合物を培地に添加して、培養物増殖、例えば増殖の阻害、分化の誘導及び遺伝子発現の誘導又は抑制に影響を与えることができる。いくつかの実施形態では、化合物は酪酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞培養培地は、酪酸ナトリウムを含む。
培養条件及びトランスフェクション条件
培養条件は、細胞を維持するのに適した任意の培養条件(例えば、静止又は増殖状態)を含み得る。例えば、培養条件は、限定しないが、温度、酸素含量、栄養含量(例えば、グルコース含量)、pH(例えば、pHの上昇又は減少)、攪拌レベル(例えば、毎分回転数)、ガス流量(例えば、空気、酸素、窒素ガス)、酸化還元電位、細胞密度(例えば、光学密度)、細胞生存率などを含め、いくつかのパラメータを含み得る。培養条件の変化は、1つ若しくは複数の培養パラメータの改変、修正又は変更を含み得る。例えば、培養条件は、温度の増減、pHの増減(例えば、酸、塩基若しくは二酸化炭素を添加又は除去)、酸素含量の増減(例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素を導入)、空気圧の増減(例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素を導入することにより)、撹拌の増減及び/又は栄養素(例えば、1つ若しくは複数の糖又は糖の供給源、バイオマス、ビタミンなど)の追加若しくは除去、培養物とフラスコ容量との比の増減或いはこれらの組合せによって変化させることができる。いくつかの実施形態では、培養条件の変化、例えばpHの上昇又は低下が培養中の特定の時点、例えばトランスフェクション前に導入される。いくつかの実施形態では、レンチウイルスパッケージングシステムによるトランスフェクション前にpHを修正し、例えば約6.0~6.8、例えば6.2~6.8、例えば6.4~6.8、例えば6.7~6.75に調節する。
培養量及び培養単位
開示の方法は、小型細胞培養、例えば実験室規模又は大規模培養、例えば工業規模で実施することができる。これらの方法は、適切な培養ユニット、例えば培養フラスコ又はバイオリアクターで実施することができる。バイオリアクターは、細胞、例えば哺乳動物細胞の培養に有用である限り、任意のサイズのものであり得る。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、高度にスケーラブルであり、例えば、複数の哺乳動物細胞は、スケーリングされた培養物中に存在する(例えば、少なくとも1L、少なくとも2L、少なくとも5L、少なくとも10L、少なくとも15L、少なくとも20Lは、他には同様の小規模培養、例えば100ml、200ml、例えば300ml、400ml、500mlにおける培養物1ml当たりの形質導入単位数の30%、40%、50%、60%、70%又は80%以上である、培養物1ml当たりの形質導入単位数をもたらす)。いくつかの実施形態では、スケール培養(即ち、50Lを超える培養容量を有する)は、最小限の培養条件の変更で、小さい、実験室規模の培養物(例えば、10L)から生産規模の培養物(例えば、50L以上)へのスケールアップに特に適していると考えられる。pH、pO及び温度を含むが、これらに限定されない培養ユニットの内部条件は、典型的には培養期間中に制御される。生産培養単位とは、ポリペプチド、ウイルス及び/又は目的とする他の生成物の生産に使用される最終培養単位を指す。大規模生産培養ユニットの容量は、一般に約50リットルより大きく、約100、約200、約300、約500、約800、約1000、約2500、約5000、約8000、約10,000、約12,0000L以上又は任意の中間容量であり得る。好適な培養ユニット又は生産培養ユニットは、本明細書で企図される培養条件下で培地に懸濁させた細胞培養物を保持するのに適した任意の材料及び哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞増殖及び生存率を促進する材料からなる(即ち構成される)ものであり得る。好適な材料の例として、限定はしないが、ガラス、プラスチック及び/又は金属が挙げられる。いくつかの実施形態では、材料は、所望の産物、例えばレンチウイルスベクターの発現及び/又は安定性を妨害しないか又は有意に若しくは実質的に妨害しない。
いくつかの実施形態において、細胞培養プロセスは、1つ又は複数の種子培養ユニットを使用し、続いて生産培養ユニットを使用するなど、2つ以上の異なる培養ユニットで作動される。いくつかの実施形態では、このプロセスは、増殖した種子培養物を1つ又は複数の種子培養ユニットから大きい生産ユニットに移すことを含む。いくつかの実施形態では、細胞の増殖から生産培養ユニット及び生産段階まで1つの物理的培養ユニットで達成し得、例えば最終生産規模まで細胞を増殖させた後、プロセスを生産条件に切り替え得る。レンチウイルス又はレンチウイルスベクターを下流で処理するために、使用済みの培地を培養期間の終了時に回収する。いくつかの実施形態では、採取物は、トランスフェクション後24時間、48時間、72時間、96時間又は120時間時点で収集され得る。
いくつかの実施形態において、下流処理は、レンチウイルスの精製、製剤化及び/又は長期保存を含む。いくつかの実施形態では、培養期間の終了時に収集されるウイルス採取物は、例えば、約5×10形質導入単位/ミリリットル(TU/mL)~約7×10TU/mL(例えば、5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL、7×10TU/mL、7.5×10TU/mL、8×10TU/mL、8.5×10TU/mL、9×10TU/mL、9.5×10TU/mL、1×10TU/mL、1.5×10TU/mL、2×10TU/mL、2.5×10TU/mL、3×10TU/mL、3.5×10TU/mL、4×10TU/mL、4.5×10TU/mL、5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL又は7×10TU/mL)である。いくつかの実施形態では、培養期間の終了時に収集されるウイルス採取物は、少なくとも5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL、7×10TU/mL、7.5×10TU/mL、8×10TU/mL、8.5×10TU/mL、9×10TU/mL、9.5×10TU/mL、1×10TU/mL、1.5×10TU/mL、2×10TU/mL、2.5×10TU/mL、3×10TU/mL、3.5×10TU/mL、4×10TU/mL、4.5×10TU/mL、5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL又は7×10TU/mLの濃度で、レンチウイルスを含む。いくつかの実施形態では、培養期間の終了時に収集されるウイルス採取物は、5×10TU/mL~6×10TU/mL、6×10TU/mL~7×10TU/mL、7×10TU/mL~8×10TU/mL、8×10TU/mL~9×10TU/m、9×10TU/mL~1×10TU/mL、1×10TU/mL~2×10TU/mL、2×10TU/mL~3×10TU/mL、3×10TU/mL~4×10TU/mL、4×10TU/mL~5×10TU/mL、5×10TU/mL~6×10TU/mL、6×10TU/mL~7×10TU/mLの濃度で、レンチウイルスを含む。
濾過及びクロマトグラフィーを含む精製方法
いくつかの態様において、本開示は、例えば、より大量のレンチウイルスベクターが回収されるような、改善された効率でレンチウイルスベクターを精製するためのプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、精製プロセスにおける少なくとも1つのステップは、さらなる精製、例えば遠心分離、濾過又はクロマトグラフィー前に精製中間組成物(精製完了前の緩衝液を含む中間組成物)に薬剤、例えばアミノ酸又はその塩、例えばアルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClを添加して精製プロセスを改善することを含む。いくつかの実施形態では、濾過は、フロー濾過、デプス濾過、タンジェンシャルフロー濾過を指し得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーを含み得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って生産されたレンチウイルスベクターは、以下の特性の1つ又は複数を有する:GMPガイドラインに準拠している、無菌である、実質的に汚染物質がない、医薬用途に適している、ヒト対象への投与に適しているか又はヒト細胞のエクスビボ処理に適している。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、溶液又は懸濁液を半透膜(濾過)に付すが、これは、溶媒及び小さい溶質分子を通過させるが、より大きい粒子、例えばウイルス粒子を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、フィルターを使用して、塩、糖及び非水溶媒を除去及び交換し、結合種から遊離したものを分離し、低分子量物質を除去し、且つ/又はイオン性及び/若しくはpH環境の急速な変化を引き起こす。濾過ステップを用いて、溶液又は懸濁液中のベクターの濃度を高めることができる。いくつかの実施形態では、濾過ステップを使用して、採取物中のレンチウイルス粒子の濃度を高める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、濾過ステップ(例えば、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過及び透析濾過の1つ若しくは複数)を順次又は同時に含むプロセス、技術若しくは技術の組合せを利用する。いくつかの実施形態では、濾過は、フラットシート膜又は中空糸を用いて行われる。いくつかの実施形態では、濾過は、約0.1~0.5バール(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4又は0.5バール)の平均膜間差圧を用いて実施される。いくつかの実施形態では、濾過は、4~100L/m、例えば約4~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80又は80~90の負荷を用いて実施される。本開示の特定の実施形態では、濾過ステップを使用して、任意選択でクロマトグラフィー又は他の精製ステップと組み合わせて、本開示に関連して使用される様々な緩衝液を交換し、また任意選択でウイルス採取物から不純物を除去する。
上に記載され、当技術分野で知られているものなどの濾過技術を使用して、レンチウイルスベクターが調製される微生物及び細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えばHEK293細胞、例えばExpi293F細胞)を実質的に含まないレンチウイルス調製物を生産することができる。さらに又は代替的に、混入ポリヌクレオチド(例えば、レンチウイルスベクターが産生された細胞に由来する非レンチウイルスポリヌクレオチド、例えば染色体哺乳動物DNA、ヒトDNA、RNA又はレンチウイルス導入遺伝子に含まれない他のポリヌクレオチドなど)を実質的に含まない調製物を生産するように、本開示のレンチウイルスベクター調製物をヌクレアーゼで処理し得る。
例えば、精製に使用するための緩衝液(バッファー)
種々の緩衝液、例えばウイルスベクター精製に使用される緩衝剤を含む緩衝剤を含む水性組成物は、当技術分野で公知であり、そうしたものとして、限定はされないが、スルホン酸系緩衝液、例えば1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)系緩衝液(PIPES緩衝液)、ポリオール系緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液が挙げられむ。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される精製プロセスに関連して使用される緩衝液は、スルホン酸系緩衝液、例えばPIPES緩衝液である。いくつかの実施形態において、PIPES緩衝液は、緩衝剤、例えば約10mM~約50mM、約15mM~約40mM、約20mM~約30mM、例えば約20mMの濃度のPIPESを含み得る。
いくつかの実施形態において、緩衝液は、塩、例えば塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)若しくは塩化カルシウム(CaCl)又はそれらの任意の組合せをさらに含み得る。塩は、例えば、水性レンチウイルス調製物中に約1mM~約1M(例えば、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、100mM、125mM、150mM、175mM、200mM、225mM、250mM、275mM、300mM、325mM、350mM、375mM、400mM、450mM、475mM、500mM、525mM、575mM、600mM、625mM、650mM、675mM、700mM、725mM、750mM、775mM、800mM、825mM、850mM、875mM、900mM、925mM、950mM、957mM又は1M)の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、約25mM~約250mM、約50mM~約75mM、約50mM~約200mM又は約100mM~約150mM(例えば、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、100mM、125mM又は150mM)である。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、必要に応じて、50mM又は75mMであり得る。
いくつかの実施形態において、緩衝液は、炭水化物、例えば非還元炭水化物、例えばスクロース又はトレハロースをさらに含有し得る。いくつかの実施形態では、炭水化物、例えばスクロースは、約30mM~約300mM、約40mM~約275mM、約50mM~約250mM、約60mM~約240mM、約70mM~約220mM、約30mM~150mM又は約150~300mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝液、例えばPIPES緩衝液、例えば濾過用緩衝液、交換用緩衝液は、約50mM~約80mM、例えば約73mMの濃度のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液、例えばPIPES緩衝液、例えば製剤化用バッファー、保存用バッファーは、約200mM~250mM、例えば約220mMの濃度のスクロースを含む。
いくつかの実施形態において、炭水化物は、例えば、約1%~約10%、約2.5%~約10%又は約2.5%~約5重量/体積(w/v)%の濃度で存在し得る。例えば、本明細書に記載の非還元炭水化物などの炭水化物は、水性レンチウイルス調製物の1w/v%、1.5w/v%、2w/v%、2.5w/v%、3w/v%、3.5w/v%、4w/v%、4.5w/v%、5w/v%、5.5w/v%、6w/v%、6.5w/v、7w/v%、7.5w/v%、8w/v%、8.5w/v%、9w/v%、9.5w/v%又は10w/v%の濃度で水性レンチウイルス調製物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非還元炭水化物などの炭水化物は、少なくとも1w/v%、1.5w/v%、2w/v%、2.5w/v%、3w/v%、3.5w/v%、4w/v%、4.5w/v%、5w/v%、5.5w/v%、6w/v%、6.5w/v%、7w/v%、7.5w/v%、8w/v%、8.5w/v%、9w/v%、9.5w/v%又は10w/v%の濃度でレンチウイルス水性調製物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非還元炭水化物などの炭水化物は、1w/v%~2w/v%、2w/v%~3w/v%、3w/v%~4w/v%、4w/v%~5w/v%、5w/v%~6w/v%、6w/v%~7w/v%、7w/v%~8w/v%、8w/v%~9w/v%、9w/v%~10w/v%の濃度で、レンチウイルス水性調製物中に存在し得る。
いくつかの実施形態において、緩衝液は、例えば、アルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClをさらに含む。いくつかの実施形態では、薬剤、例えばアルギニン又はその塩、例えばアルギニン一塩酸塩(アルギニン-HCl)は、約25~50mM(例えば、約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、緩衝液の少なくとも1つ、例えばウイルス精製(例えば、本明細書に開示されるプロセスを用いたレンチウイルス精製)に使用されるPIPES緩衝液は、アルギニン、例えばアルギニン-HClを含有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される精製プロセスで使用される緩衝液のpHは、約5.0~約8.0、例えば6.0~約7.0(例えば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9又は7.0)、例えば約6.5である。
いくつかの実施形態において、PIPES緩衝液は、交換用緩衝液、濾過用緩衝液、製剤化用緩衝液及び/又は保存用緩衝液の1つ又は複数として使用され得る。いくつかの実施形態において、PIPES、NaCl及びスクロースの濃度の比は、PIPES濾過用緩衝液、PIPES交換用緩衝液、PIPES製剤化用緩衝液及びPIPES保存用緩衝液で異なる。いくつかの実施形態では、PIPES、NaCl及びスクロースの濃度の比は、PIPES濾過用緩衝液、PIPES交換用緩衝液、PIPES製剤化用緩衝液及びPIPES保存用緩衝液において同一である。いくつかの実施形態では、PIPES、NaCl及びスクロースの濃度の比は、PIPES交換用緩衝液及びPIPES濾過用緩衝液において同一である。いくつかの実施形態では、PIPES、NaCl、スクロース及び任意選択でアルギニン、例えばアルギニン-HClの濃度の比は、PIPES製剤化用緩衝液及びPIPES保存用緩衝液において同一である。
アルギニン添加
いくつかの実施形態において、アルギニン、例えばアルギニン-HClは、精製中に細胞培養採取物に添加される。いくつかの実施形態では、アルギニン、例えばアルギニン-HClは、精製中に緩衝液、例えばPIPES緩衝液又はPIPES緩衝液を含む精製中間組成物に添加される。いくつかの実施形態では、アルギニン、例えばアルギニン-HClは、アルギニンを含まないPIPES緩衝液に添加される。いくつかの実施形態では、アルギニン、例えばアルギニン-HClは、アルギニンを含むPIPES緩衝液に添加される。いくつかの実施形態では、薬剤、例えばアルギニン又はその塩、例えば一塩アルギニン(アルギニン-HCl)は、約25~50mM(例えば、約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMの濃度で添加される。
いくつかの実施形態において、ベクター回収率、レンチウイルスの形質導入単位の量は、例えば、アルギニンを精製中間組成物に添加することを含む精製ステップを含む精製プロセスでは、精製中間組成物にアルギニンを添加することを含む精製ステップを含まない精製プロセスと比較して約10%~300%、20%~180%、30%~160%、50%~150%、75%~125%又は約100%だけ高い。いくつかの実施形態では、アルギニンの添加は、精製の処理時間を短縮する。いくつかの実施形態では、精製が、例えば、アルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClを精製中間組成物に添加することを含む場合、精製の処理時間は、精製中間体組成物にアルギニンを添加することを含まない以外には類似する精製方法と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%又は少なくとも50%改善される。いくつかの実施形態では、アルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClの添加と、それに続く精製ステップ後の精製中間組成物は、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり400,000、300,000、200,000又は100,000未満の総粒子濃度を示す。理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態において、マイクロフローイメージングでは、個々のレンチウイルス粒子(例えば、感染性ウイルス粒子)は、実質的に検出されないが、凝集体、例えば非機能性ウイルスの凝集体を含むより大きい粒子は、検出される。いくつかの実施形態では、アルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClの添加、それに続く精製ステップ後の精製中間組成物は、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約5,000、4,500、4,000、3,500、3,000又は2,500未満の≧10μmの粒子の濃度を示す。いくつかの実施形態では、アルギニン又はその塩、例えばアルギニン-HClを添加した後の精製中間組成物、例えばアルギニン-HClの添加と、それに続く精製ステップ後の精製中間組成物は、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約500、400、300又は200未満の≧25μmの濃度を示す。いくつかの実施形態では、凝集体が減少すると、所与の時点での濾過膜の閉塞が低減する。いくつかの実施形態では、アルギニンは、レンチウイルス粒子を安定化させる。
いくつかの実施形態において、精製レンチウイルス組成物は、例えば、1ミリリットル当たり約1×10形質導入単位(TU/mL)~約7×10TU/mL(例えば、1×10TU/mL、1.5×10TU/mL、2×10TU/mL、2.5×10TU/mL、3×10TU/mL、3.5×10TU/mL、4×10TU/mL、4.5×10TU/mL、5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL又は7×10TU/mL)の濃度でレンチウイルスベクターを含む。
レンチウイルス保存のための水性組成物
いくつかの実施形態において、本開示は、例えば、本明細書に開示されるレンチウイルスベクター及び緩衝液、例えば製剤化用緩衝液又は保存用緩衝液、例えばPIPES緩衝液、例えばアルギニン、例えばアルギニン-HClを含むPIPES緩衝液を含む調製物、例えば水性混合物、例えば水溶液又は懸濁液、例えば水性組成物を提供する。いくつかの実施形態では、製剤化用緩衝液又は保存用緩衝液、例えばPIPES緩衝液、例えばアルギニン、例えばアルギニン-HClを含むPIPES緩衝液を含むレンチウイルス製剤は、HEPESなどの従来のレンチウイルス製剤化用緩衝液を含有するレンチウイルス製剤と比較して、改善された生物学的特性を示す。これらの改善された生物学的特性には、国際公開第2017087861A1号パンフレットに開示されているように、広範な温度及び塩濃度での凝集に対する耐性の増加が含まれる。いくつかの実施形態では、PIPES緩衝液は、生理学的及び高温(42℃及び50℃など)での形質導入能力の改善と共に、複数回の凍結/融解サイクル中の感染性の喪失に対する耐性の増加を示す。本開示のレンチウイルス調製物と併せて有用な他の緩衝液としては、ヒスチジン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、MES緩衝液及びMOPS緩衝液が挙げられる。本開示のレンチウイルス調製物は、任意選択で、塩化ナトリウムなどの塩を含み得、また任意選択で非還元炭水化物などの炭水化物を含み得る。
いくつかの実施形態において、PIPES製剤化用緩衝液及び/又は保存用緩衝液は、約10mM~約50mM、約15mM~約40mM、約20mM~約30mM、例えば約20mMの濃度の緩衝剤、例えばPIPESを含み得る。レンチウイルスベクター調製物は、任意選択で、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム又は塩化カルシウムなどの塩を含むことができる。塩は、例えば、水性レンチウイルス調製物中に約1mM~約1M(例えば、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、100mM、125mM、150mM、175mM、200mM、225mM、250mM、275mM、300mM、325mM、350mM、375mM、400mM、450mM、475mM、500mM、525mM、575mM、600mM、625mM、650mM、675mM、700mM、725mM、750mM、775mM、800mM、825mM、850mM、875mM、900mM、925mM、950mM、957mM又は1M)の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、少なくとも約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、100mM、125mM、150mM、175mM、200mM、225mM、250mM、275mM、300mM、325mM、350mM、375mM、400mM、450mM、475mM、500mM、525mM、575mM、600mM、625mM、650mM、675mM、700mM、725mM、750mM、775mM、800mM、825mM、850mM、875mM、900mM、925mM、950mM、957mM又は1Mである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、1~2mM、2~3mM、3~4mM、4~5mM、5~6mM、6~7mM、7~8mM、8~9mM、9~10mM、10~15mM、15~20mM、20~25mM、25~30mM、30~35mM、35~40mM、40~45mM、45~50mM、50~55mM、55~60mM、60~65mM、65~70mM、70~75mM、75~80mM、80~85mM、85~90mM、90~100mM、100~125mM、125~150mM、150~175mM、175~200mM、200~225mM、225~250mM、250~275mM、275~300mM、300~325mM、325~350mM、350~375mM、375~400mM、400~450mM、450~475mM、475~500mM、500~525mM、525~575mM、575~600mM、600~625mM、625~650mM、650~675mM、675~700mM、700~725mM、725~750mM、750~775mM、775~800mM、800~825mM、825~850mM、850~875mM、875~900mM、900~925mM、925~950mM、950~975mM又は957mM~1Mである。いくつかの実施形態では、塩の濃度は、約25mM~約250mM、約50mM~約75mM、約50mM~約200mM又は約100mM~約150mM(例えば、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、100mM、125mM又は150mM)である。いくつかの態様において、塩の濃度は、必要に応じて、50mM又は75mMであり得る。
本開示のレンチウイルスベクター調製物は、任意選択で、本明細書に記載の非還元炭水化物などの炭水化物を含有し得る。例示的な非還元炭水化物としては、とりわけスクロース及びトレハロースが挙げられる。レンチウイルスベクター調製物に含まれる場合、炭水化物は、例えば、水性レンチウイルス調製物の例えば、約1%~約10%、約2.5%~約10%又は約2.5%~約5%重量/体積(w/v)の濃度で存在し得る。例えば、本明細書に記載の非還元炭水化物などの炭水化物は、1w/v%、1.5w/v%、2w/v%、2.5w/v%、3w/v%、3.5w/v%、4w/v%、4.5w/v%、5w/v%、5.5w/v%、6w/v%、6.5w/v%、7w/v%、7.5w/v%、8w/v%、8.5w/v%、9w/v%、9.5w/v%又は10w/v%の濃度で水性レンチウイルス調製物中に存在し得る。
本開示のレンチウイルスベクター調製物は、アミノ酸又はその塩;例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン又はこれらの塩を含み得る。レンチウイルスベクター調製物に含まれる場合、アミノ酸、例えばアルギニン-HClは、約25~50mM(例えば、約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMの濃度で存在し得る。いくつかの態様において、本明細書に開示されるレンチウイルスベクター調製物は、2つ以上のアミノ酸又はその塩、例えばアルギニン又はその塩及びヒスチジン又はその塩を含み得る。
本明細書に記載のレンチウイルスベクター調製物は、例えば、約5.0~約8.0、例えば6.0~約7.0(例えば、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9又は7.0)のpHを呈示し得る。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクター調製物のpHは、6.5である。
いくつかの実施形態において、PIPES製剤化用緩衝液及びPIPES保存用緩衝液は、同一の組成、例えば同一濃度のPIPES、NaCl、スクロース及び任意選択でアルギニン、例えばアルギニン-HClを含む。いくつかの実施形態では、PIPES製剤化用緩衝液及びPIPES保存用緩衝液は、異なる組成、例えば異なる濃度のPIPES、NaCl、スクロース及び任意選択でアルギニン、例えばアルギニン-HClを含む。
レンチウイルスベクターは、本開示のレンチウイルス調製物中に様々な濃度で存在し得る。例えば、レンチウイルスベクターは、レンチウイルス調製物中において、例えば約1×10形質導入単位/ミリリットル(TU/mL)~約1×10TU/mL(例えば、1×10TU/mL、2×10TU/mL、3×10TU/mL、4×10TU/mL、5×10TU/mL、6×10TU/mL、7×10TU/mL、8×10TU/mL、9×10TU/mL、1×10TU/mL、1.5×10TU/mL、2×10TU/mL、2.5×10TU/mL、3×10TU/mL、3.5×10TU/mL、4×10TU/mL、4.5×10TU/mL、5×10TU/mL、5.5×10TU/mL、6×10TU/mL、6.5×10TU/mL、7×10TU/mL、7.5×10TU/mL、8×10TU/mL、8.5×10TU/mL、9×10TU/mL、9.5×10TU/mL又は1×10TU/mL)の濃度で存在し得る。必要に応じて、レンチウイルス調製物は、約3×10TU/mL~約5×10TU/mL(例えば、3×10TU/mL、3.5×10TU/mL、4×10TU/mL、4.5×10TU/mL又は5×10TU/mL)の濃度のレンチウイルスベクターを含有し得る。
本開示は、それぞれレンチウイルスベクターと、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)緩衝液からなる群から選択される緩衝液と、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム又は塩化カルシウム)とを含有する水性組成物も提供する。これらの組成物は、炭水化物、例えば非還元炭水化物(例えば、スクロース又はトレハロース)をさらに含有し得る。
いくつかの実施形態において、水性組成物、例えば本明細書に記載のレンチウイルスベクターを含む水性組成物は、低温、例えば10℃、6℃、4℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃又は90℃で一定時間、例えば約20分、40分、60分、1.5時間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、10日、12日、14日、16日、18日、20日、21日又は25日にわたって保存することができる。いくつかの実施形態では、水性組成物は、10℃、6℃、4℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃又は90℃未満で保存される。いくつかの実施形態では、PIPES保存用緩衝液で保存される精製レンチウイルスサンプルは、精製された直後、-80℃にて凍結状態で保存される。いくつかの実施形態では、このように保存されたレンチウイルス調製物は、使用前に解凍し、再凍結することができる(例えば、凍結融解サイクル)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように調製及び保存されるレンチウイルス調製物は、安定性及び/又は感染性の有意な喪失なしに、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回の凍結融解サイクルを受け得る。いくつかの実施形態では、調製物は、凍結融解サイクルを一度も経ていないレンチウイルス調製物と比較して安定性及び/又は感染性の0.5%以下、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下又は80%以下の安定性及び/又は感染性の喪失を示す。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるレンチウイルス調製物は、4℃で一定期間、例えば約20分、40分、60分、1.5時間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、10日、12日、14日、16日、18日、20日、21日又は25日にわたって保存することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルス調製物は、-80℃で一定期間、例えば約20分、40分、60分、1.5時間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、10日、12日、14日、16日、18日、20日、21日又は25日にわたって保存することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のように保存された(例えば、凍結状態で保存された)レンチウイルス調製物は、一度も凍結されなかったレンチウイルスと比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の感染力を示す。いくつかの実施形態では、レンチウイルス調製物は、2回以上(例:2、3、4、5、6、7、8又は9回)の凍結融解サイクルを受けた後、.5%以上、1%以上、2%以上、5%以上、7%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上感染力を喪失しない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のように保存された(例えば、凍結状態で保存される)レンチウイルス調製物は、一度も凍結されなかったレンチウイルスと比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%安定である。いくつかの実施形態では、レンチウイルス調製物は、ベクター完全性の改善のために、少なくとも5時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも7日間凍結した後に使用される。
本開示は、本明細書に記載の水性組成物を乾燥又は凍結乾燥することによって調製される乾燥又は凍結乾燥組成物並びに本明細書に記載の緩衝液(又は投与のための別の標準的なビヒクル)中でそのような乾燥又は凍結乾燥組成物を再構成することによって調製される水性組成物をさらに含む。
CAR標的
免疫エフェクター細胞を、望ましくない細胞(例えば、癌細胞)に指向させる、1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)を含有するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を形質導入するウイルスベクターが本明細書に記載される。これは、癌関連抗原に対して特異的であるCAR上の抗原結合ドメインを通して達成される。CARにより標的化され得る2つのクラスの癌関連抗原(腫瘍抗原)は、(1)癌細胞の表面に発現される癌関連抗原;及び(2)それ自体細胞内であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントがMHC(主要組織適合複合体)により癌細胞の表面に提示される癌関連抗原である。
いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319及び19A24とも称される);C型レクチン様分子-1(CLL-1又はCLECL1);CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvIII);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3(aNeu5Ac(2-8)aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((TnAg)又は(GalNAcα-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD117);インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Ra2又はCD213A2);メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21(テスチシン又はPRSS21);血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胎児抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ;前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2突然変異型(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット、ベータ型、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス性癌遺伝子ホモログ1(Abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質(bcr-abl);チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);グロボHグリコセラミドの六糖部分(GloboH);乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレノセプターβ3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRγ代替リーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);ETS転座変異体遺伝子6、染色体12pに位置する(ETV6-AML);***タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンギオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53突然変異体;プロステイン;サバイビン;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞によって認識される黒色腫抗原1(メランA又はMART1);ラット肉腫(Ras)突然変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);サルコーマ転座切断点;黒色腫アポトーシス阻害因子(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(亜鉛フィンガータンパク質)様(BORIS又は刷り込み部位の調節因子のブラザー)、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X切断点2(SSX2);後期糖化最終産物受容体(RAGE-1);腎臓遍在性1(RU1);腎臓遍在性2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックタンパク質70-2突然変異型(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);又は免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)の1つ以上から選択される。
本明細書に記載のCARは、腫瘍支持抗原(例えば、本明細書に記載の腫瘍支持抗原)に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント、TCR又はTCRフラグメント)を含むことができる。いくつかの実施形態では、腫瘍支持抗原は、間質細胞又は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)上に存在する抗原である。間質細胞は、微小環境での細胞***を促進するために、成長因子を分泌することができる。MDSC細胞は、T細胞の増殖及び活性化を阻害することができる。理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態では、CAR発現細胞は、腫瘍支持細胞を破壊し、それにより間接的に腫瘍の増殖又は生存を阻害する。
複数の実施形態において、間質細胞抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)及びテネイシンの1つ又は複数から選択される。一実施形態において、FAP特異的抗体は、シブロツズマブであるか、シブロツズマブと結合について競合するか、又はシブロツズマブと同じCDRを有する。複数の実施形態では、MDSC抗原は、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ又は複数から選択される。従って、いくつかの実施形態では、腫瘍支持抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)又はテネイシン、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ又は複数から選択される。
CD19
非限定的な例示的腫瘍抗原は、CD19である。CD19に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2012/079000号パンフレット及び同第2014/153270号パンフレットに開示されているものを本開示に従って用い得る。当技術分野では、任意の公知のCD19 CAR、例えば任意の公知のCD19 CARのCD19抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、LG-740;米国特許第8,399,645号明細書に記載のCD19 CAR;米国特許第7,446,190号明細書;Xu et al.,Leuk Lymphoma.2013 54(2):255-260(2012);Cruz et al.,Blood 122(17):2965-2973(2013);Brentjens et al.,Blood,118(18):4817-4828(2011);Kochenderfer et al.,Blood 116(20):4099-102(2010);Kochenderfer et al.,Blood 122(25):4129-39(2013);及び16th Annu Meet Am Soc Gen Cell Ther(ASGCT)(May 15-18,Salt Lake City)2013,Abst 10。
非限定的な例示的なCD19 CARは、例えば、本明細書に記載されるCD19 CAR又はXu et al.Blood 123.24(2014):3750-9;Kochenderfer et al.Blood 122.25(2013):4129-39,Cruz et al.Blood 122.17(2013):2965-73、NCT00586391、NCT01087294、NCT02456350、NCT00840853、NCT02659943、NCT02650999、NCT02640209、NCT01747486、NCT02546739、NCT02656147、NCT02772198、NCT00709033、NCT02081937、NCT00924326、NCT02735083、NCT02794246、NCT02746952、NCT01593696、NCT02134262、NCT01853631、NCT02443831、NCT02277522、NCT02348216、NCT02614066、NCT02030834、NCT02624258、NCT02625480、NCT02030847、NCT02644655、NCT02349698、NCT02813837、NCT02050347、NCT01683279、NCT02529813、NCT02537977、NCT02799550、NCT02672501、NCT02819583、NCT02028455、NCT01840566、NCT01318317、NCT01864889、NCT02706405、NCT01475058、NCT01430390、NCT02146924、NCT02051257、NCT02431988、NCT01815749、NCT02153580、NCT01865617、NCT02208362、NCT02685670、NCT02535364、NCT02631044、NCT02728882、NCT02735291、NCT01860937、NCT02822326、NCT02737085、NCT02465983、NCT02132624、NCT02782351、NCT01493453、NCT02652910、NCT02247609、NCT01029366、NCT01626495、NCT02721407、NCT01044069、NCT00422383、NCT01680991、NCT02794961又はNCT02456207に記載される抗CD19 CARを含み、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、CD19に結合し、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載されるFMC63 scFvフラグメントと同じ又は類似の結合特異性を有する。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインはCD19に結合し、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載されるscFvフラグメントを含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメイン(例えば、ヒト化抗原結合ドメイン)は、CD19に結合し、国際公開第2014/153270号パンフレット(参照により本明細書に援用される)の表3からの配列を含む。国際公開第2014/153270号パンフレットには、多様なCAR構築物の結合及び有効性をアッセイする方法も記載されている。
マウスCD19抗体のヒト化は、CART19治療、即ち、CAR19構築物で形質導入されたT細胞による治療を受けている患者において、マウス特異的残基がヒト抗マウス抗原(HAMA)応答を誘発し得る臨床現場で要望されている。ヒト化CD19 CAR配列の産生、特性評価及び有効性は、実施例1~5(p.115~159)を含め、その全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2014/153270号パンフレットに記載されている。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、国際公開第2012/079000号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に提供されるCAR19構築物の親マウスscFv配列を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、CD19に結合し、国際公開第2012/079000号パンフレットに記載のscFvを含む。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、国際公開第2012/079000号パンフレットにおいて配列番号12として提供される融合ポリペプチド配列を含み、これは、ヒトCD19に特異的に結合するマウス起源のscFvフラグメントを提供する。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、国際公開第2012/079000号パンフレットで配列番号12として提供されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、
のアミノ酸配列又はそれと実質的に相同な配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、
のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、アミノ酸配列:
を含むヒト化CD19 CARである。
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、配列、例えば以下の表1に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは全長CAR配列又はそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
例示的なCD19 CAR A
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、FMC63モノクローナル抗体由来の一本鎖可変フラグメント(scFv)、IgG4ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激ドメイン及びCD3ζ活性化ドメインの結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表25の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表25の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表25の配列の重鎖CDR1-3を含む。 いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表25の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表25の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表25の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表25の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
例示的なCD19 CAR B
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、CD28及びCD3-ζ共刺激ドメインに連結されたマウス抗CD19一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む。特定の実施形態では、抗CD19一本鎖可変フラグメントは、FMC63抗体(例えば、Nicholson et al.,Molecular Immunology,34(16-17):1157-1165,1997に記載の抗体;その内容全体が参照により本明細書に援用される)を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表26の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表26の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表26の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表26の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表26の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表26の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表26の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
例示的なCD19 CAR C
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、CD28及びCD3-ζ共刺激ドメインに連結されたマウス抗CD19一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表27の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表27の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表27の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表27の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表27の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表27の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表27の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
例示的なCD19 CAR F
いくつかの実施形態において、CD19 CARは、表27のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表34のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表34のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つ以下の変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表34の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表34の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表34の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表34の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表34の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表34の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表34の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Kabatによる表34の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、Chothiaによる表34の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
例示的なCD19-CD20 CAR G
いくつかの実施形態において、CD19 CARは二重特異性CARである。特定の実施形態では、CD19二重特異性CARは、CD19を標的とする軽鎖可変ドメインと、異なる標的(例えば、CD20)を標的とする重鎖可変ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性carは、抗CD19及び抗CD20 CARである。いくつかの実施形態では、二重特異的CARは、表35のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つの変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、表35のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つの変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、表35のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1つの変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、表35の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Kabatによる表35の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Chothiaによる表35の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、表35の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Kabatによる表35の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Chothiaによる表35の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、表35の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Kabatによる表35の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性CARは、Chothiaによる表35の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
BCMA
非限定的な例示的腫瘍抗原は、BCMAである。BCMAに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2016/014565号パンフレット又は同第2019/241426号パンフレットに開示されるものを本開示に従って使用することができる。当技術分野では、任意の公知のBCMA CAR、例えば任意の公知のBCMA CARのBCMA抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開第2016/014565号パンフレットに開示されるBCMA-1、BCMA-2、BCMA-3、BCMA-4、BCMA-5、BCMA-6、BCMA-7、BCMA-8、BCMA-9、BCMA-10、BCMA-11、BCMA-12、BCMA-13、BCMA-14、BCMA-15、149362、149363、149364、149365、149366、149367、149368、149369、BCMA_EBB-C1978-A4、BCMA_EBB-C1978-G1、BCMA_EBB-C1979-C1、BCMA_EBB-C1978-C7、BCMA_EBB-C1978-D10、BCMA_EBB-C1979-C12、BCMA_EBB-C1980-G4、BCMA_EBB-C1980-D2、BCMA_EBB-C1978-A10、BCMA_EBB-C1978-D4、BCMA_EBB-C1980-A2、BCMA_EBB-C1981-C3、BCMA_EBB-C1978-G4、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2又はC13F12.1である。
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2016/014565号パンフレットに開示されるBCMA-1、BCMA-2、BCMA-3、BCMA-4、BCMA-5、BCMA-6、BCMA-7、BCMA-8、BCMA-9、BCMA-10、BCMA-11、BCMA-12、BCMA-13、BCMA-14、BCMA-15、149362、149363、149364、149365、149366、149367、149368、149369、BCMA_EBB-C1978-A4、BCMA_EBB-C1978-G1、BCMA_EBB-C1979-C1、BCMA_EBB-C1978-C7、BCMA_EBB-C1978-D10、BCMA_EBB-C1979-C12、BCMA_EBB-C1980-G4、BCMA_EBB-C1980-D2、BCMA_EBB-C1978-A10、BCMA_EBB-C1978-D4、BCMA_EBB-C1980-A2、BCMA_EBB-C1981-C3、BCMA_EBB-C1978-G4、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2又はC13F12.1の、1つ以上のCDR、VH、VL、scFV若しくは全長配列又はそれと実質的に(例えば、95~99%)同一の配列を含む。
BCMAに結合する例示的な抗原結合ドメインは、国際公開第2012/0163805号パンフレット、同第2017/021450号パンフレット、同第2017/011804号パンフレット、同第2017/025038号パンフレット、同第2016/090327号パンフレット、同第2016/130598号パンフレット、同第2016/210293号パンフレット、同第2016/090320号パンフレット、同第2016/014789号パンフレット、同第2016/094304号パンフレット、同第2016/154055号パンフレット、同第2015/166073号パンフレット、同第2015/188119号パンフレット、同第2015/158671号パンフレット、米国特許第9,243,058号明細書、同第8,920,776号明細書、同第9,273,141号明細書、同第7,083,785号明細書、同第9,034,324号明細書、米国特許出願公開第2007/0049735号明細書、同第2015/0284467号明細書、同第2015/0051266号明細書、同第2015/0344844号明細書、同第2016/0131655号明細書、同第2016/0297884号明細書、同第2016/0297885号明細書、同第2017/0051308号明細書、同第2017/0051252号明細書、同第2016/020332号明細書、国際公開第2016/087531号パンフレット、同第2016/079177号パンフレット、同第2015/172800号パンフレット、同第2017/008169号パンフレット、米国特許第9,340,621号明細書、米国特許出願公開第2013/0273055号明細書、同第2016/0176973号明細書、同第2015/0368351号明細書、同第2017/0051068号明細書、同第2016/0368988号明細書及び同第2015/0232557号明細書に開示されており、これらは、その全体が参照により本明細書に全面的に組み込まれる。いくつかの実施形態では、そこに開示されるBCMA抗原結合ドメインの1つ又は複数の1つ又は複数の抗原結合ドメインである。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、BCMAに結合するヒト抗体又はヒト抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、本明細書に(例えば、表2~14に)記載されるヒト抗BCMA結合ドメインの1つ若しくは複数(例えば、3つ全て)のLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3並びに/又は本明細書に(例えば、表2~14に)記載されるヒト抗BCMA結合ドメインの1つ若しくは複数(例えば、3つ全て)のHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。いくつかの実施形態では、ヒト抗BCMA結合ドメインは、本明細書に(例えば、表2、6及び10に)記載のヒトVL及び/又は本明細書に(例えば、表2、6及び10に)記載のヒトVHを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、表2、6及び10のアミノ酸配列のVL及びVHを含むscFvである。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、以下を含む:表2、6及び10に提供されるアミノ酸配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)、但し、30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列又は表2、6及び10のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列を含むVL;及び/又は表2、6及び10に提供されるアミノ酸配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)、但し、30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列又は表2、6及び10のアミノ酸配列に対して95~99%の同一性を有する配列を含むVH。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、以下を含む:
(1)下記から選択される1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号54のLC CDR1、配列番号55のLC CDR2及び配列番号56のLC CDR3;及び/又は
(2)下記のいずれか1つに由来する1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号84のHC CDR3;(ii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号46のHC CDR3;(iii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号68のHC CDR3;又は(iv)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号76のHC CDR3。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、以下を含む:
(1)下記のいずれか1つに由来する1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号95のLC CDR1、配列番号131のLC CDR2及び配列番号132のLC CDR3;(ii)配列番号95のLC CDR1、配列番号96のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;(iii)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号115のLC CDR3;又は(iv)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;及び/又は
(2)下記のいずれか1つに由来する1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号86のHC CDR1、配列番号130のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;(ii)配列番号86のHC CDR1、配列番号87のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;又は(iii)配列番号86のHC CDR1、配列番号109のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3。
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合ドメインは、以下を含む:
(1)下記のいずれか1つに由来する1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号147のLC CDR1、配列番号182のLC CDR2及び配列番号183のLC CDR3;(ii)配列番号147のLC CDR1、配列番号148のLC CDR2及び配列番号149のLC CDR3;又は(iii)配列番号147のLC CDR1、配列番号170のLC CDR2及び配列番号171のLC CDR3;及び/又は
(2)下記のいずれか1つに由来する1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号179のHC CDR1、配列番号180のHC CDR2及び配列番号181のHC CDR3;(ii)配列番号137のHC CDR1、配列番号138のHC CDR2及び配列番号139のHC CDR3;又は(iii)配列番号160のHC CDR1、配列番号161のHC CDR2及び配列番号162のHC CDR3。
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、84、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、46、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、68、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、76、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、84、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、46、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、68、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、76、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、85、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、51、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、69、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、77、60、58及び56のアミノ酸配列をそれぞれ含む。
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、配列、例えば表2~14に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは全長CAR配列又はそれらと少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2012/0163805号パンフレットからのVH及びVL配列を使用して生成され得る(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、BCMA CARは、国際公開第2019/241426号パンフレットからのCDR、VH、VL、scFv又は全長CAR配列を使用して生成され得る(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
例示的なBCMA CAR D
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、B細胞成熟抗原(BCMA)の認識に特異的なマウス細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)と、それに続くヒトCD8αヒンジ及びCD137(4-1BB)及びCD3ζ鎖のT細胞細胞質シグナル伝達ドメインに融合した膜貫通ドメインをタンデムで含む。BCMA CAR DがBCMA発現標的細胞に結合すると、CD3ζ及び4-1BBドメインにより開始されるシグナル伝達、これに続いて、CAR陽性T細胞の活性化が起こる。BCMA CAR Dの抗原特異的活性化は、CAR陽性T細胞の増殖、サイトカイン分泌及びそれに続くBCMA発現細胞の細胞溶解死を引き起こす。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1の変異を有するヌクレオチド配列を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表28の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表28の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表28の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表28の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表28の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表28の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表28の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
例示的なBCMA CAR E
いくつかの実施形態において、BCMA CARは、4-1BB共刺激ドメイン及びCD3-ζシグナル伝達ドメインに連結された2つの単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキメラ抗原受容体は、(a)第1の抗BCMA単一ドメイン抗体(sdAb)を含む細胞外抗原結合ドメインと、第2の抗BCMA sdAbを含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗BCMA抗体の各々は、独立してVhHドメインである。特定の実施形態では、第1の抗BCMA sdAbは、配列番号377のアミノ酸配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1以下の変異を有するペプチド配列を含むVhHドメインに記載されるCDR1、CDR2及びCDR3を含む。特定の実施形態では、第2の抗BCMA sdAbは、配列番号381のアミノ酸配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1以下の変異を有するペプチド配列を含むVhHドメインに記載されるCDR1、CDR2及びCDR3を含む。特定の実施形態では、BCMA CARは、米国特許第11,186,647号明細書に記載の任意のBCMA CARであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表29のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表29のヌクレオチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1以下の変異を有するヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、CD19 CARは、表29のポリペプチド配列或いはその少なくとも80%、85%、90%、95%、97%若しくは100%又はそれに対する20、15、10、8、5、4、3、2若しくは1以下の変異を有するポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表29の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表29の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表29の配列の重鎖CDR1-3及び軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表29の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表29の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表29の配列の重鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、表29の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Kabatによる表29の配列の軽鎖CDR1-3を含む。いくつかの実施形態では、BCMA CARは、Chothiaによる表29の配列の軽鎖CDR1-3を含む。
他の例示的な標的
さらなる非限定的な例示的な腫瘍抗原には、CD20、CD22、EGFR、CD123及びCLL-1が含まれる。
CD20に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のCD20 CAR、例えば任意の公知のCD20 CARのCD20抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例示的なCD20結合配列又はCD20 CAR配列は、例えば、参照により組み込まれる国際公開第2018/067992号パンフレットの表1~5に開示されている。いくつかの実施形態において、CD20 CARは、国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレット(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているCD20 CARのCDR、可変領域、scFv又は全長配列を含む。いくつかの実施形態では、CD20CARは、以下の表23に開示される配列、例えばCDR、VH、VL、scFv若しくは全CAR配列又はそれらに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
CD20に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2016/164731号パンフレット及び同第2018/067992号パンフレットに記載されている。いくつかの実施形態では、そこに開示されるCD20抗原結合ドメインの1つ又は複数の抗原結合ドメインである。
CD22に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2016/164731号パンフレット及び同第2018/067992号パンフレットに記載されている。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、表15に列挙される任意の重鎖結合ドメインアミノ酸配列のHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。複数の実施形態では、抗原結合ドメインは、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3をさらに含む。複数の実施形態において、抗原結合ドメインは、表16に列挙されるLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、表16に列挙された任意の軽鎖結合ドメインアミノ酸配列のLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の1つ、2つ又は全て並びに表15に列挙された任意の重鎖結合ドメインアミノ酸配列のHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3の1つ、2つ又は全てを含む。
EGFRvIIIに結合する例示的な抗原結合ドメインは、国際公開第2014/130657号パンフレットに記載されている。
CD123に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2014/130635号パンフレット及び同第2016/028896号パンフレットに記載されている。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2014/130635号パンフレットの表1~2からの配列を含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2016/028896号パンフレットの表2、6及び9からの配列を含む。
CLL-1に結合する例示的な抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される国際公開第2016/014535号パンフレットに開示されている。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗体(例えば、参照により本明細書に援用される、国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、同第2016-0046724-A1号明細書、同第2014/0322212A1号明細書、同第2016/0068601A1号明細書、同第2016/0051651A1号明細書、同第2016/0096892A1号明細書、同第2014/0322275A1号明細書若しくは国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗体)に由来する1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は本明細書に記載の抗体(例えば、参照により本明細書に援用される、国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、同第2016-0046724-A1号明細書、同第2014/0322212A1号明細書、同第2016/0068601A1号明細書、同第2016/0051651A1号明細書、同第2016/0096892A1号明細書、同第2014/0322275A1号明細書若しくは国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗体)に由来する1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、上に挙げた抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
複数の実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に援用される、国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、同第2016-0046724-A1号明細書、同第2014/0322212A1号明細書、同第2016/0068601A1号明細書、同第2016/0051651A1号明細書、同第2016/0096892A1号明細書、同第2014/0322275A1号明細書若しくは国際公開第2015/090230号パンフレットに記載される抗原結合ドメインである。
CAR発現細胞を用いてターゲティングすることができる例示的な標的抗原として、限定はされないが、CD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4、とりわけ例えば国際公開第2014/153270号パンフレット、同第2014/130635号パンフレット、同第2016/028896号パンフレット、同第2014/130657号パンフレット、同第2016/014576号パンフレット、同第2015/090230号パンフレット、同第2016/014565号パンフレット、同第2016/014535号パンフレット及び同第2016/025880号パンフレットに記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCARのいずれかの抗原結合ドメイン(例えば、CD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4)は、上に列挙された抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は上に列挙された抗原結合ドメイン由来の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙又は記載された抗体の重鎖可変領域及び/又は可変軽鎖領域を含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙された抗体の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は上に列挙された抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、上記に列挙又は記載された抗体の重鎖可変領域及び/又は可変軽鎖領域を含む。
CD22に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2018/067992号パンフレット又は国際公開第2016/164731号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のCD22 CAR、例えば任意の公知のCD22 CARのCD22抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
例示的なCD22結合配列又はCD22 CAR配列は、例えば、国際公開第2016164731号パンフレットの表6A、6B、7A、7B、7C、8A、8B、9A、9B、10A及び10B並びに国際公開第2018067992号パンフレットの表6~10に開示されている。いくつかの実施形態において、CD22 CAR配列は、国際公開第2018067992号パンフレット又は国際公開第2016164731号パンフレットに開示されているCD22 CARのCDR、可変領域、scFv又は全長配列を含む。
実施形態において、CARは、CD22に結合する抗原結合ドメイン(CD22 CAR)を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、ヒトCD22を標的とする。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載されるような単鎖Fv配列を含む。
ヒトCD22 CARの配列を以下に提供する。いくつかの実施形態において、ヒトCD22 CARは、CAR22-65である。
ヒトCD22 CAR scFv配列
ヒトCD22 CAR重鎖可変領域
ヒトCD22 CAR軽鎖可変領域
QSALTQPASASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTLYVFGTGTQLTVL(配列番号755)
いくつかの実施形態では、CD22CARは、以下の表15~16及び表24に開示される配列、例えばCDR、VH、VL、scFv若しくは全CAR配列又はそれらに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
EGFRに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130657号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のEGFR CAR、例えば任意の公知のEGFR CARのEGFR抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例示的なEGFRvIII CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/130657号パンフレット、例えば国際公開第2014/130657号パンフレットの表2に開示される、CDR、可変領域、scFv又は全長CAR配列を含み得る。
CD123に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2014/130635号パンフレット又は国際公開第2016/028896号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のCD123 CAR、例えば任意の公知のCD123 CARのCD123抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開第2014/130635号パンフレットに開示されているCAR1~CAR8;又は国際公開第2016/028896号パンフレットに開示されているCAR123-1~CAR123-4及びhzCAR123-1~hzCAR123-32である。CD123 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2014/130635号パンフレット及び国際公開第2016/028896号パンフレットに指定される。
CLL-1に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書に開示されているものである。当技術分野では、任意の公知のCLL-1 CAR、例えば任意の公知のCLL-1 CARのCLL-1抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
いくつかの実施形態において、CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/014535号パンフレットの表2によるCLL-1 CAR又は抗原結合ドメインを含む。CLL-1 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014535号パンフレットに指定される。
CD33に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書及び国際公開第2016/014576号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のCD33 CAR、例えば任意の公知のCD33 CARのCD33抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。例えば、国際公開2016/014576号パンフレットに開示されているCAR33-1~CAR33-9は、本開示に従って使用され得る。
いくつかの実施形態において、CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/014576号パンフレットの表2又は9によるCD33 CAR又は抗原結合ドメインを含む。CD33 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014576号パンフレットに指定される。
一実施形態において、CD33に対する抗原結合ドメインは、例えば、Bross et al.,Clin Cancer Res 7(6):1490-1496(2001)(ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab Ozogamicin)、hP67.6)、Caron et al.,Cancer Res 52(24):6761-6767(1992)(リンツズマブ(Lintuzumab)、HuM195)、Lapusan et al.,Invest New Drugs 30(3):1121-1131(2012)(AVE9633)、Aigner et al.,Leukemia 27(5):1107-1115(2013)(AMG330,CD33 BiTE)、Dutour et al.,Adv hematol 2012:683065(2012)及びPizzitola et al.,Leukemia doi:10.1038/Lue.2014.62(2014)に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。一実施形態において、CD33に対する抗原結合ドメインは、国際公開第2016/014576号パンフレットに記載の抗体、抗原結合フラグメント又はCARの抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GD2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Mujoo et al.,Cancer Res.47(4):1098-1104(1987);Cheung et al.,Cancer Res 45(6):2642-2649(1985),Cheung et al.,J Clin Oncol 5(9):1430-1440(1987),Cheung et al.,J Clin Oncol 16(9):3053-3060(1998),Handgretinger et al.,Cancer Immunol Immunother 35(3):199-204(1992)に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。いくつかの実施形態において、GD2に対する抗原結合ドメインは、mAb14.18、14G2a、ch14.18、hu14.18、3F8、hu3F8、3G6、8B6、60C3、10B8、ME36.1及び8H9から選択される抗体の抗原結合部分であり、例えば国際公開第2012033885号パンフレット、同第2013040371号パンフレット、同第2013192294号パンフレット、同第2013061273号パンフレット、同第2013123061号パンフレット、同第2013074916号パンフレット及び同第201385552号パンフレットを参照されたい。いくつかの実施形態では、GD2に対する抗原結合ドメインは、米国特許出願公開第20100150910号明細書又は国際公開第2011160119号パンフレットに記載の抗体の抗原結合部分である。
一実施形態において、Tn抗原に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第8,440,798号明細書、Brooks et al.,PNAS 107(22):10056-10061(2010)及びStone et al.,OncoImmunology 1(6):863-873(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PSMAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Parker et al.,Protein Expr Purif 89(2):136-145(2013)、米国特許第20110268656号明細書(J591 ScFv);Frigerio et al,European J Cancer 49(9):2223-2232(2013)(scFvD2B);国際公開第2006125481号パンフレット(mAb 3/A12、3/E7及び3/F11)に記載の抗体並びに一本鎖抗体フラグメント(scFv A5及びD7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ROR1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hudecek et al,Clin Cancer Res 19(12):3153-3164(2013);国際公開第2011159847号パンフレット;及び米国特許第20130101607号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FLT3に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2011076922号パンフレット、米国特許第5777084号明細書、欧州特許第0754230号明細書、米国特許第20090297529明細書に記載の抗体及びいくつかの市販用カタログ抗体(R&D、ebiosciences、Abcam)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TAG72に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hombach et al,Gastroenterology 113(4):1163-1170(1997)に記載の抗体;及びアブカム(Abcam)ab691の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FAPに対する抗原結合ドメインは、例えば、Ostermann et al,Clinical Cancer Research 14:4584-4592(2008)(FAP5)、米国特許出願公開第2009/0304718号明細書;シブロツズマブ(例えば、Hofheinz et al.,Oncology Research and Treatment 26(1),2003を参照されたい);並びにTran et al.,J Exp Med 210(6):1125-1135(2013)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD38に対する抗原結合ドメインは、ダラツムマブ(例えば、Groen et al,Blood 116(21):1261-1262(2010)を参照されたい);MOR202(例えば、米国特許第8,263,746号明細書を参照されたい);又は米国特許第8,362,211号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD44v6に対する抗原結合ドメインは、例えば、Casucci et al,Blood 122(20):3461-3472(2013)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CEAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Chmielewski et al,Gastoenterology 143(4):1095-1107(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EPCAMに対する抗原結合ドメインは、MT110、EpCAM-CD3二重特異性Ab(例えば、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00635596を参照されたい)から選択される抗体;エドレコロマブ;3622W94;ING-1;並びにアデカツムマブ(MT201)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PRSS21に対する抗原結合ドメインは、米国特許第8,080,650号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、B7H3に対する抗原結合ドメインは、抗体MGA271(Macrogenics)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、KITに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7915391号明細書、米国特許出願公開第20120288506号明細書に記載の抗体並びにいくつかの市販カタログ抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IL-13Ra2に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2008/146911号パンフレット、同第2004087758号パンフレット、いくつかの市販用カタログ抗体並びに国際公開第2004087758号パンフレットに記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD30に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7090843B1号明細書及び欧州特許第0805871号明細書に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GD3に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7253263号明細書;同第8,207,308号明細書;米国特許出願公開第20120276046号明細書;欧州特許第1013761号明細書;国際公開第2005035577号パンフレット;及び米国特許第6437098号明細書に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD171に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hong et al.,J Immunother 37(2):93-104(2014)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IL-11Raに対する抗原結合ドメインは、Abcam(cat#ab55262)又はNovus Biologicals(cat#EPR5446)から入手可能な抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。別の実施形態では、IL-11Raに対する抗原結合ドメインは、ペプチドであり、例えばHuangら、Cancer Res 72(1):271-281(2012)を参照されたい。
一実施形態において、PSCAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Morgenroth et al.,Prostate 67(10):1121-1131(2007)(scFv 7F5);Nejatollahi et al.,J of Oncology 2013(2013),論文ID 839831(scFv C5-II);及び米国特許出願公開第20090311181号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、VEGFR2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Chinnasamy et al.,J Clin Invest 120(11):3953-3968(2010)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ルイスYに対する抗原結合ドメインは、例えば、Kelly et al.,Cancer Biother Radiopharm 23(4):411-423(2008)(hu3S193 Ab(scFvs));Dolezal et al.,Protein Engineering 16(1):47-56(2003)(NC10 scFv)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD24に対する抗原結合ドメインは、例えば、Maliar et al.,Gastroenterology 143(5):1375-1384(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PDGFR-βに対する抗原結合ドメインは、抗体Abcam ab32570の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、SSEA-4に対する抗原結合ドメインは、抗体MC813(Cell Signaling)又は他の市販の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD20に対する抗原結合ドメインは、抗体リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ若しくはGA101の抗体;又は国際公開第2016/164731号パンフレットに記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、葉酸受容体αに対する抗原結合ドメインは、抗体IMGN853又は米国特許出願公開第20120009181号明細書;米国特許第4851332号明細書、LK26:米国特許第5952484号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ERBB2に対する抗原結合ドメイン(Her2/neu)は、抗体:トラスツズマブ又はペルツズマブの抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MUC1に対する抗原結合ドメインは、抗体SAR566658の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EGFRに対する抗原結合ドメインは、抗体:セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ又はマツズマブの抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、NCAMに対する抗原結合ドメインは、抗体クローン2-2B:MAB5324(EMD Millipore)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、エフリンB2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Abengozar et al.,Blood 119(19):4565-4576(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IGF-I受容体に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第8344112B2号明細書;欧州特許出願公開第2322550A1号明細書;国際公開第2006/138315号パンフレット又はPCT/US2006/022995号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CAIXに対する抗原結合ドメインは、抗体クローン303123(R&D Systems)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LMP2に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7,410,640号明細書又は米国特許出願公開第20050129701号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、gp100に対する抗原結合ドメインは、抗体HMB45、NKIβB又は国際公開第2013165940号パンフレット若しくは米国特許出願公開第20130295007号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、チロシナーゼに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第5843674号明細書;又は米国特許第19950504048号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EphA2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Yu et al.,Mol Ther 22(1):102-111(2014)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GD3に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7253263号明細書;米国特許第8,207,308号明細書;米国特許出願公開第20120276046号明細書;欧州特許出願公開第1013761 A3号明細書;20120276046;国際公開第2005035577号パンフレット;又は米国特許第6437098号明細書に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、フコシルGM1に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許出願公開第20100297138号明細書;又は国際公開第2007/067992号パンフレットに記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、sLeに対する抗原結合ドメインは、抗体G193(ルイスYの場合)の抗原結合部分、例えばCDRである(Scott AM et al.,Cancer Res 60:3254-61(2000)を参照されたく、またNeeson et al,J Immunol May 2013 190(Meeting Abstract Supplement)177.10に記載されている通りである)。
一実施形態において、GM3に対する抗原結合ドメインは、抗体CA 2523449(mAb 14F7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、HMWMAAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Kmiecik et al.,Oncoimmunology 3(1):e27185(2014)(PMID:24575382)(mAb9.2.27);米国特許第6528481号明細書;国際公開第2010033866号パンフレット;又は米国特許出願公開第20140004124号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、o-アセチル-GD2に対する抗原結合ドメインは、抗体8B6の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TEM1/CD248に対する抗原結合ドメインは、例えば、Marty et al.,Cancer Lett 235(2):298-308(2006);Zhao et al.,J Immunol Methods 363(2):221-232(2011)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CLDN6に対する抗原結合ドメインは、抗体IMAB027(Ganymed Pharmaceuticals)の抗原結合部分、例えばCDRである(例えば、clinicaltrial.gov/show/NCT02054351を参照されたい)。
一実施形態において、TSHRに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第号8,603,466号;同第8,501,415号;又は同第8,309,693号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GPRC5Dに対する抗原結合ドメインは、抗体:FAB6300A(R&D Systems);又はLS-A4180(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD97に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第号6,846,911号明細書;de Groot et al.,J Immunol 183(6):4127-4134(2009)に記載の抗体;又はR&D:MAB3734からの抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ALKに対する抗原結合ドメインは、例えば、Mino-Kenudson et al.,Clin Cancer Res 16(5):1561-1571(2010)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ポリシアル酸に対する抗原結合ドメインは、例えば、Nagae et al.,J Biol Chem 288(47):33784-33796(2013)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PLAC1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Ghods et al.,Biotechnol Appl Biochem 2013 doi:10.1002/bab.1177に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GloboHに対する抗原結合ドメインは、抗体VK9;又は例えばKudryashov V et al.,Glycoconj J.15(3):243-9(1998)、Lou et al.,Proc Natl Acad Sci USA 111(7):2482-2487(2014);MBr1:Bremer E-G et al.J Biol Chem 259:14773-14777(1984)に記載の抗体の抗原結合部分である。
一実施形態において、NY-BR-1に対する抗原結合ドメインは、抗原結合部分、例えばJager et al.,Appl Immunohistochem Mol Morphol 15(1):77-83(2007)に記載の抗体のCDRである。
一実施形態において、WT-1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Dao et al.,Sci Transl Med 5(176):176ra33(2013);又は国際公開第2012/135854号パンフレットに記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MAGE-A1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Willemsen et al.,J Immunol 174(12):7853-7858(2005)(TCR様scFv)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、***タンパク質17に対する抗原結合ドメインは、例えば、Song et al.,Target Oncol 2013 Aug 14(PMID:23943313);Song et al.,Med Oncol 29(4):2923-2931(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、Tie2に対する抗原結合ドメインは、抗体AB33(Cell Signaling Technology)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MAD-CT-2に対する抗原結合ドメインは、例えば、PMID:2450952;米国特許第7635753号明細書に記載される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、Fos関連抗原1に対する抗原結合ドメインは、抗体12F9(Novus Biologicals)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MelanA/MART1に対する抗原結合ドメインは、欧州特許出願公開第2514766A2号明細書;又は米国特許第7,749,719号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、肉腫転座切断点に対する抗原結合ドメインは、例えば、Luo et al.,EMBO Mol.Med.4(6):453-461(2012)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TRP-2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Wang et al.,J Exp Med.184(6):2207-16(1996)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CYP1B1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Maecker et al.,Blood 102(9):3287-3294(2003)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、RAGE-1に対する抗原結合ドメインは、抗体:MAB5328(EMD Millipore)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素に対する抗原結合ドメインは、抗体:cat no:LS-B95-100(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、腸内カルボキシルエステラーゼに対する抗原結合ドメインは、抗体:4F12:cat no:LS-B6190-50(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、mut hsp70-2に対する抗原結合ドメインは、抗体:Lifespan Biosciences:モノクローナル:cat no:LS-C133261-100(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD79aに対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:Abcamから入手可能な抗体、抗CD79a抗体[HM47/A9](ab3121);Cell Signalling Technologyから入手可能な抗体、CD79A抗体#3351;又はSigma Aldrichから入手可能な抗体HPA017748(ウサギに産生される抗CD79A抗体)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD79bに対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:Dornan et al.,“Therapeutic potential of an anti-CD79b antibody-drug conjugate,anti-CD79b-vc-MMAE,for the treatment of non-Hodgkin lymphoma”Blood.2009 Sep 24;114(13):2721-9.doi:10.1182/blood-2009-02-205500.Epub 2009 Jul 24のポラツズマブベドチン、抗CD79b又は“4507 Pre-Clinical Characterization of T Cell-Dependent Bispecific Antibody Anti-CD79b/CD3 As a Potential Therapy for B Cell Malignancies”Abstracts of 56th ASH Annual Meeting and Exposition,San Francisco,CA December 6-9 2014に記載されている二重特異性抗体Anti-CD79b/CD3の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD72に対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:Myers,and Uckun,“An anti-CD72 immunotoxin against therapy-refractory B-lineage acute lymphoblastic leukemia.”Leuk Lymphoma.1995 Jun;18(1-2):119-22に記載のJ3-109又はPolson et al.,“Antibody-Drug Conjugates for the Treatment of Non-Hodgkin’s Lymphoma:Target and Linker-Drug Selection”Cancer Res March 15,2009 69;2358に記載の抗CD72(10D6.8.1、mIgG1)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LAIR1に対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:ProSpecから入手可能なANT-301 LAIR1抗体;又はBioLegendから入手可能な抗ヒトCD305(LAIR1)抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FCARに対する抗原結合ドメインは、Sino Biological Inc.から入手可能な抗体:CD89/FCARAntibody(カタログ#10414-H08H)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LILRA2に対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:Abnovaから入手可能なLILRA2モノクローナル抗体(M17)、クローン3C7又はLifespan Biosciencesから入手可能なマウス抗LILRA2抗体、モノクローナル(2D7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD300LFに対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:BioLegendから入手可能なマウス抗CMRF35様分子1抗体、モノクローナル[UP-D2]又はR&D Systemsから入手可能なラット抗CMRF35様分子1抗体、モノクローナル[234903]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CLEC12Aに対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:二重特異性T細胞誘導体(BiTE)scFv-抗体及びNoordhuis et al.,“Targeting of CLEC12A In Acute Myeloid Leukemia by Antibody-Drug-Conjugates and Bispecific CLL-1xCD3 BiTE Antibody”53rd ASH Annual Meeting and Exposition,December 10-13,2011に記載のADC並びにMCLA-117(Merus)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、BST2に対する抗原結合ドメイン(CD317とも呼ばれる)は、以下の抗体:Antibodies-Onlineから入手可能なマウス抗CD317抗体、モノクローナル[3H4]又はR&D Systemsから入手可能なマウス抗CD317抗体、モノクローナル[696739]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EMR2に対する抗原結合ドメイン(CD312とも呼ばれる)は、以下の抗体:Lifespan Biosciencesから入手可能なマウス抗CD312抗体、モノクローナル[LS-B8033]又はR&D Systemsから入手可能なマウス抗CD312抗体、モノクローナル[494025]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LY75に対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:EMD Milliporeから入手可能なマウス抗リンパ球抗原75抗体、モノクローナル[HD30]又はLife Technologiesから入手可能なマウス抗リンパ球抗原75抗体、モノクローナル[A15797]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GPC3に対する抗原結合ドメインは、以下の抗体:Nakano K,Ishiguro T,Konishi H,et al.Generation of a humanized anti-glypican 3 antibody by CDR grafting and stability optimization.Anticancer Drugs.2010 Nov;21(10):907-916に記載されるhGC33又はMDX-1414、HN3若しくはYP7(これら3つの全ては、Feng et al.,“Glypican-3 antibodies:a new therapeutic target for liver cancer.”FEBS Lett.2014 Jan 21;588(2):377-82に記載されている)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FCRL5に対する抗原結合ドメインは、Elkins et al.,“FcRL5 as a target of antibody-drug conjugates for the treatment of multiple myeloma”Mol Cancer Ther.2012 Oct;11(10):2222-32に記載の抗FcRL5抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。一実施形態において、FCRL5に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2001/038490号パンフレット、同第2005/117986号パンフレット、同第2006/039238号パンフレット、同第2006/076691号パンフレット、同第2010/114940号パンフレット、同第2010/120561号パンフレット又は同第2014/210064号パンフレットに記載される抗FcRL5抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IGLL1に対する抗原結合ドメインは、Lifespan Biosciencesから入手可能なマウス抗免疫グロブリンλ様ポリペプチド1抗体、モノクローナル[AT1G4]、BioLegendから入手可能なマウス抗免疫グロブリンλ様ポリペプチド1抗体、モノクローナル[HSL11]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙された抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3及び/又は上に列挙された抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。一実施形態において、抗原結合ドメインは、上に挙げた抗体の重鎖可変領域及び/又は可変軽鎖領域を含む。
別の態様では、抗原結合ドメインは、ヒト化抗体又は抗体フラグメントを含む。いくつかの態様では、非ヒト抗体はヒト化され、抗体の特定の配列又は領域は、ヒトおいて自然に産生される抗体又はそのフラグメントとの類似性を高めるように修飾される。一態様では、抗原結合ドメインは、ヒト化される。
メソテリンに結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、ヒトメソテリンに結合する、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015090230号パンフレット及び国際公開第2017112741号パンフレット、例えば国際公開第2017112741号パンフレットの表2、3、4及び5に開示されているものである。当技術分野では、任意の公知のメソテリンCAR、例えば任意の公知のメソテリンCARのメソテリン抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。
GFR ALPHA-4に結合するCARは、当技術分野で公知である。例えば、国際公開第2016/025880号パンフレットに開示されているものは、本開示に従って使用され得る。当技術分野では、任意の公知のGFR ALPHA-4 CAR、例えば任意の公知のGFR ALPHA-4 CARのGFR ALPHA-4抗原結合ドメインは、本開示に従って使用され得る。GFR ALPHA-4 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVH CDR及び1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/025880号パンフレットに指定される。
抗原結合ドメイン構造
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子の抗原結合ドメインは、抗体、抗体フラグメント、scFv、Fv、Fab、(Fab’)2、単一ドメイン抗体(SDAB)、VH又はVLドメイン、ラクダ科動物のVHHドメイン又は二機能性(例えば二特異性)ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))を含む。
ある例において、scFvは、当技術分野で知られる方法により製造できる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。ScFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域とを一緒に連結することにより産生できる。scFv分子は、最適長及び/又はアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際に、短ポリペプチドリンカーを用いる場合、(例えば、5~10アミノ酸)、鎖内折りたたみは、阻止される。鎖内折りたたみは、2つの可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成させるためにも必要である。リンカー方向及びサイズの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、米国特許出願公開第2005/0100543号明細書、米国特許出願公開第2005/0175606号明細書、米国特許出願公開第2007/0014794号明細書並びに国際公開第2006/020258号パンフレット及び国際公開第2007/024715号パンフレットを参照されたい。
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、あらゆる天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。別の実施形態において、リンカー配列は、(Gly4Ser)n(ここで、nは、1つ以上の正の整数である)などの一連のグリシン及びセリン反復を含む(配列番号22)。いくつかの実施形態において、リンカーは、(Gly4Ser)4(配列番号29)又は(Gly4Ser)3(配列番号30)であり得る。リンカー長の変動は、活性を維持又は増強し、活性試験において優れた有効性を生じ得る。
別の態様において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(「TCR」)又はそのフラグメント、例えば単鎖TCR(scTCR)である。そのようなTCRを作製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Willemsen RA et al,Gene Therapy 7:1369-1377(2000);Zhang T et al,Cancer Gene Ther 11:487-496(2004);Aggen et al,Gene Ther.19(4):365-74(2012)(参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローン由来のVα及びVβ遺伝子を含むscTCRを操作することができる。このアプローチは、それ自体が細胞内にある癌関連標的にとって非常に有用であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントは、MHCによって癌細胞の表面に提示される。
特定の実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、10-4M~10-8Mの結合親和性KDを有する。
いくつかの実施形態において、コードされたCAR分子は、標的抗原について、10-4M~10-8M、例えば10-5M~10-7M、例えば10-6M又は10-7Mの結合親和性Kを有する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、参照抗体、例えば本明細書に記載の抗体より少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍又は1000倍小さい結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、参照抗体(例えば、抗原結合ドメインが由来する抗体)より少なくとも5倍小さい結合親和性を有する。いくつかの態様において、このような抗体フラグメントは、当業者に理解されるように、免疫応答活性化、その標的抗原からのシグナル伝達開始阻害を含むが、これらに限定されない生物学的応答を提供する点で機能的である。
いくつかの態様において、CARの抗原結合ドメインは、それが由来するscFvのマウス配列と比較してヒト化されたscFv抗体フラグメントである。
いくつかの態様において、本明細書に記載のCARの抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、その配列が哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、CAR構築物全体は、その配列全体が哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。コドン最適化とは、コードDNAにおける同義コドン(即ち同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種で偏っているという発見を指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。様々なコドン最適化方法が当技術分野で知られており、例えば少なくとも米国特許第5,786,464号明細書及び第6,114,148号明細書に開示される方法が含まれる。
特定の抗原抗体対は、当技術分野で公知である。抗原抗体対及びその成分の非限定的な例示的な実施形態は、本明細書の上記の「標的」という名称のセクション及び以下に提供される。
二特異性CAR
特定の実施形態において、抗原結合ドメインは、二又は多特異的分子(例えば、多特異的抗体分子)である。いくつかの実施形態において、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子である。二特異性抗体は、2つ以下の抗原に特異性を有する。二特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有する第1免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2エピトープに対する結合特異性を有する第2免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)である。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、オーバーラップする。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、オーバーラップしない。いくつかの実施形態において、第1及び第2エピトープは、異なる抗原、例えば異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列並びに第2エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する半抗体及び第2エピトープに結合特異性を有する半抗体を含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有する半抗体又はそのフラグメント及び第2エピトープに結合特異性を有する半抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態において、二特異性抗体分子は、第1エピトープに結合特異性を有するscFv又はそのフラグメント及び第2エピトープに結合特異性を有するscFv又はそのフラグメントを含む。
いくつかの実施形態において、抗体分子は、多特異性(例えば、二特異性又は三特異性)抗体分子である。このような分子は、例えば、二特異性融合タンパク質、例えば2つのscFvとその間の親水性へリックスペプチドリンカー及び完全定常領域とを含む発現構築物、例えば米国特許第5637481号明細書に記載のもの;二量体化して二特異性/多価分子を形成することができる、抗体ヒンジ領域及びCH3領域にペプチドスペーサーでさらに結合した、連結したVL及びVH鎖を有するミニボディ構築物、例えば米国特許第5837821号明細書に記載のもの;ペプチド結合により架橋性基とC末端で結合し、さらにVLドメインと会合して一連のFV(又はscFv)を形成するVHドメイン(又はファミリーメンバーのVLドメイン)のストリング、例えば米国特許第5864019号明細書に記載のもの;及び両方のscFV又は二特異性抗体型フォーマットを使用して、例えばホモ二価、ヘテロ二価、三価及び四価構造を形成する、非共有結合又は化学架橋により多価構造に組み合わされたペプチドリンカーにより連結したVH及びVLドメインの両方を有する単鎖結合ポリペプチド、例えば米国特許第5869620号明細書に記載のものを含む。上に参照した出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
二特異性抗体分子の各抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)内において、VHは、VLの上流又は下流であり得る。いくつかの実施形態において、上流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL1)の上流のそのVH(VH1)と共に配置され、下流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL2)の上流のそのVH(VH2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VH1-VL1-VL2-VH2を有する。他の実施形態において、上流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH1)の上流のそのVL(VL1)と共に配置され、下流抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH2)の上流のそのVL(VL2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VL1-VH1-VH2-VL2を有する。任意選択で、リンカーは、2つの抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)間、例えば構築物がVH1-VL1-VL2-VH2として配列される場合にVL1とVL2との間又は構築物がVL1-VH1-VH2-VL2として配置される場合にVH1とVH2との間に配置される。リンカーは、本明細書に記載のリンカー、例えば(Gly-Ser)nリンカー(ここで、nは、1、2、3、4、5又は6、好ましくは4である)であり得る(配列番号691)。一般に、2つのscFv間のリンカーは、2つのscFvのドメイン間の誤対合を避けるのに十分長くなければならない。任意選択で、リンカーは、第1のscFvのVLとVHとの間に配置される。任意選択で、リンカーは、第2のscFvのVLとVHとの間に配置される。複数リンカーを有する構築物において、リンカーの任意の2つ以上は、同一であるか又は異なり得る。従って、いくつかの実施形態において、二特異性CARは、本明細書に記載のような配置でVL、VH及び任意選択で1つ以上のリンカーを含む。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、種々の実施形態において、本明細書に記載のキメラ分子(例えば、CAR)は、キメラ分子の細胞外ドメインに結合する膜貫通ドメインを含むように設計できる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接した1つ以上のさらなるアミノ酸、例えば膜貫通が由来するタンパク質の細胞外領域と関連する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)及び/又は膜貫通タンパク質が由来するタンパク質の細胞内領域と関連する1つ以上のさらなるアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)を含み得る。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、キメラタンパク質(例えば、CAR)の他のドメインの1つと関連するものであり、例えばいくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン又はヒンジドメインが由来するのと同じタンパク質由来であり得る。別の態様において、膜貫通ドメインは、キメラタンパク質(例えば、CAR)の任意の別のドメインが由来するものと同じタンパク質に由来しない。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、このようなドメインが、同一又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインと結合することを避けるように、例えば受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように選択又はアミノ酸置換による修飾ができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CAR発現細胞の細胞表面上の別のCARとホモ二量体化できる。異なる態様において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列は、同じCAR発現細胞に存在する天然結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小化するように修飾又は置換され得る。
膜貫通ドメインは、天然由来又は組み換え源由来であり得る。源が天然であるとき、ドメインは、あらゆる膜結合又は膜貫通タンパク質由来であり得る。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CARが標的に結合したときには常に細胞内ドメインにシグナル伝達できる。本発明において特に有用な膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖又はゼータ鎖、CD28、CD27、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の少なくとも膜貫通領域を含み得る。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D又はNKG2Cの少なくとも膜貫通領域を含み得る。
いくつかの例において、膜貫通ドメインは、ヒンジ、例えばヒトタンパク質からのヒンジを介してCARの細胞外領域、例えばCARの抗原結合ドメインに結合できる。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ(例えば、IgG4ヒンジ又はIgDヒンジ)、GSリンカー(例えば、本明細書に記載のGSリンカー)、KIR2DS2ヒンジ又はCD8aヒンジであり得る。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号4のアミノ酸配列を含む(例えば、これからなる)。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号12の膜貫通ドメインを含む(例えば、これからなる)。
いくつかの実施形態において、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも1、2又は3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないCD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列又は配列番号12のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号12の配列を含む。
他の実施形態において、CAR分子をコードする核酸は、例えば、配列番号13の配列又はそれと95~99%の同一性を有する配列を含むCD8膜貫通ドメインのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、コードされた抗原結合ドメインは、膜貫通ドメインにヒンジ領域によって結合されている。いくつかの実施形態において、コードされたヒンジ領域は、CD8ヒンジのアミノ酸配列、例えば配列番号4;又はIgG4ヒンジのアミノ酸配列、例えば配列番号6又は配列番号4又は6と95~99%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態において、ヒンジ領域をコードする核酸配列は、それぞれCD8ヒンジ又はIgG4ヒンジに対応する、配列番号5又は配列番号7の配列又は配列番号5又は7と95~99%の同一性を有する配列を含む。
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、組み換えであり得、その場合、ロイシン及びバリンなどの疎水性残基を優勢に含む。いくつかの態様において、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットを組み換え膜貫通ドメインの各末端に見ることができる。
任意選択で、2~10アミノ酸長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーがCARの膜貫通ドメインと細胞質領域との間に結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは、特に適当なリンカーを提供する。例えば、いくつかの態様において、リンカーは、GGGGSGGGGS(配列番号10)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、GGTGGCGGAGGTTCTGGAGGTGGAGGTTCC(配列番号11)のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGGS(配列番号877)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号876)のヌクレオチド配列によりコードされる。
いくつかの態様において、ヒンジ又はスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。
シグナル伝達ドメイン
細胞内シグナル伝達ドメインを有する本発明の実施形態において、このようなドメインは、例えば、一次シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激シグナル伝達ドメインの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメインをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
本発明のCARの細胞質部分内の細胞内シグナル伝達配列は、互いに無作為に又は特定の順序で連結し得る。任意選択で、例えば2~10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸)長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーは、細胞内シグナル伝達配列間に結合を形成し得る。いくつかの実施形態において、グリシン-セリンダブレットを適当なリンカーとして使用できる。いくつかの実施形態において、単一アミノ酸、例えばアラニン、グリシンを適当なリンカーとして使用できる。
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの実施形態において、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば本明細書に記載のリンカー分子により分けられる。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、リンカー分子は、グリシン残基である。いくつかの実施形態において、リンカーは、アラニン残基である。
一次シグナル伝達ドメイン
一次シグナル伝達ドメインは、TCR複合体の一次活性化を刺激性方向又は阻害性方向のいずれかで制御する。刺激性方向で作用する初代細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。CARにおいて、このようなドメインは同じ目的で使用される。
本発明において特に有用であるITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメインの例は、CD3ζ、共通FcRγ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12のものを含む。いくつかの実施形態において、本発明のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの一次シグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、コードされた一次シグナル伝達ドメインは、CD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含む。コードされたCD3ζ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号18若しくは配列番号20に少なくとも1、2若しくは3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないアミノ酸配列又は配列番号18若しくは配列番号20と95~99%同一性を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態において、コードされた一次シグナル伝達ドメインは、配列番号18又は配列番号20の配列を含む。他の実施形態において、一次シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号19若しくは配列番号21の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
共刺激シグナル伝達ドメイン
いくつかの実施形態において、コードされた細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46及びNKG2Dの1つ以上から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号14若しくは配列番号16に少なくとも1、2若しくは3つの修飾を有するが、修飾が20、10又は5を超えないアミノ酸配列又は配列番号14若しくは配列番号16と95~99%同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、コードされた共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号14又は配列番号16の配列を含む。他の実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号15若しくは配列番号17の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
他の実施形態において、コードされる細胞内ドメインは、配列番号14又は配列番号16の配列及び配列番号18又は配列番号20の配列を含み、これらの細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレームに且つ単一ポリペプチド鎖として発現される。
いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号15若しくは配列番号17の配列又はそれと95~99%同一性を有する配列及び配列番号19若しくは配列番号21の配列又はそれと95~99%の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態において、核酸分子は、リーダー配列をさらにコードする。いくつかの実施形態において、リーダー配列は、配列番号2の配列を含む。
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及びCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及び4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号14のシグナル伝達ドメインである。いくつかの態様において、CD3ζのシグナル伝達ドメインは、配列番号18のシグナル伝達ドメインである。
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及びCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。いくつかの態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、QRRKYRSNKGESPVEPAEPCRYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP(配列番号16)のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、
の核酸配列によりコードされる。
阻害性ドメイン
いくつかの実施形態において、ベクターは、CAR、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸配列及びinhKIR細胞質ドメイン;膜貫通ドメイン、例えばKIR膜貫通ドメイン;及び阻害剤細胞質ドメイン、例えばITIMドメイン、例えばinhKIR ITIMドメインを含む阻害分子をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、阻害分子は、天然に存在するinhKIRであるか、又は天然に存在するinhKIRと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の相同性を共有するか、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20残基を超えて異ならない配列である。
いくつかの実施形態において、阻害分子をコードする核酸配列は、SLAMファミリー細胞質ドメイン;膜貫通ドメイン、例えばSLAMファミリー膜貫通ドメイン;及び阻害剤細胞質ドメイン、例えばSLAMファミリードメイン、例えばSLAMファミリーITIMドメインを含む。いくつかの実施形態において、阻害分子は、天然に存在するSLAMファミリーメンバーであるか、又は天然に存在するSLAMファミリーメンバーと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の相同性を共有するか、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20残基を超えて異ならない配列である。
いくつかの実施形態において、ベクターは、インビトロ転写ベクター、例えば本明細書に記載の核酸分子のRNAを転写するベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、ポリ(A)テール、例えばポリAテールをさらに含む。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、3’UTR、例えば本明細書に記載される、例えばヒトβ-グロブリンに由来する3’UTRの少なくとも1つのリピートを含む3’UTRをさらに含む。いくつかの実施形態において、ベクターの核酸配列は、プロモーター、例えばT2Aプロモーターをさらに含む。
プロモーター
いくつかの実施形態において、ベクターは、プロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、プロモーターは、EF-1プロモーター、CMV IE遺伝子プロモーター、EF-1αプロモーター、ユビキチンCプロモーター又はホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターから選択される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、EF-1プロモーターである。いくつかの実施形態において、EF-1プロモーターは、配列番号1の配列を含む。
本発明のいくつかの態様において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を、Ficoll(商標)分離など、当業者に知られるあらゆる技術を使用して、対象から採取した血液の単位から得ることができる。いくつかの態様において、個体の循環血液からの細胞をアフェレーシスにより得る。アフェレーシス産物は、典型的にはT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球及び血小板を含む。いくつかの態様において、アフェレーシスにより採取した細胞は、血漿画分を除去するために洗浄し、任意選択で細胞を続くプロセシング過程のために緩衝液又は媒体に懸濁させることができる。いくつかの実施形態において、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄する。代替的な実施形態において、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、又は全てではないにしても多くの二価カチオンを欠き得る。
製造方法
本明細書に記載のレンチウイルスベクター(例えば、本明細書に記載の方法を用いて作製したもの)は、例えば、CAR-T細胞のインビトロ製造に使用することができる。
本明細書に開示されるCARTは、当技術分野で公知の任意の方法によりエクスビボで製造することができる。例えば、国際公開第2012/079000号パンフレット又は国際公開第2020/047452号パンフレット(いずれも参照により本明細書に援用される)に記載の方法を用い得る。本明細書に開示のCARTは、当技術分野で公知の任意の方法によりインビボで製造することもできる。例えば、国際公開第2020/176397号パンフレットに記載の方法(参照により本明細書に援用される)である。免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、1つのCAR又は2つ以上のCARを発現し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、24時間未満で1つ又は複数のCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞を製造することができる。理論に縛られること望まないが、本明細書に提供される方法は、製造プロセス中、ナイーブT細胞などのT細胞の未分化表現型を保存する。未分化表現型を有するこれらのCAR発現細胞は、注入後、インビボでより長く持続し、且つ/又はより良好に増殖し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される製造方法により生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定した場合、従来の製造プロセスにより生産されるCART細胞と比較して、高いパーセンテージの幹細胞メモリーT細胞を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される製造方法により生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定した場合、従来の製造プロセスにより生産されたCART細胞と比較して、高いパーセンテージのエフェクターT細胞を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される製造方法により生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定した場合、従来の製造プロセスにより生産されるCART細胞と比較して、T細胞の幹細胞性を良好に保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される製造方法により生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定した場合、従来の製造プロセスにより生産されるCART細胞と比較して、低レベルの低酸素状態を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される製造方法により生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定した場合、従来の製造プロセスにより生産されるCART細胞と比較して、低レベルのオートファジーを示す。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示される1つ又は複数のCARをコードする核酸分子を含むように操作される。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、Dynabeads(登録商標)(例えば、CD3/CD28 Dynabeads(登録商標))などのビーズの使用を含まないため、脱ビーズステップを含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって製造されたCART細胞は、最小限のエクスビボ増殖、例えば1日未満、12時間未満、8時間未満、6時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満又はエクスビボ増殖なしで対象に投与され得る。従って、本明細書に記載の方法は、対象における疾患の治療に使用するための改良されたCAR発現細胞産物を製造する高速製造プロセスを提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞(例えば、T細胞)の集団を作製する方法を提供し、この方法は、以下のステップを含む:(i)細胞(例えば、T細胞、例えば凍結又は新鮮な白血球アフェレーシス産物から単離されたT細胞)の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップと、(ii)細胞(例えば、T細胞)の集団を、CARをコードする核酸分子(例えば、DNA又はRNA分子)と接触させ、それにより核酸分子を含む細胞(例えば、T細胞)の集団を提供するステップと、(iii)保存(例えば、凍結保存培地中での細胞集団の再構築)又は投与のために、細胞(例えば、T細胞)の集団を採取するステップとを含み、(a)ステップ(ii)は、ステップ(i)と一緒に又はステップ(i)の開始後20時間以内、例えばステップ(i)の開始後12、13、14、15、16、17若しくは18時間以内、例えばステップ(i)の開始後18時間以内に実施され、またステップ(iii)は、ステップ(i)の開始後26時間以内、例えばステップ(i)の開始後22、23若しくは24時間以内、例えばステップ(i)の開始後24時間以内に実施され;(b)ステップ(ii)は、ステップ(i)と一緒に又はステップ(i)の開始後20時間以内、例えばステップ(i)の開始後12、13、14、15、16、17若しくは18時間以内、例えばステップ(i)の開始後18時間以内に実施され、またステップ(iii)は、ステップ(ii)の開始後30時間以内、例えばステップ(ii)の開始後22、23、24、25、26、27、28、29又は30時間以内に実施されるか、或いは(c)ステップ(iii)からの細胞の集団は、増殖してないか、又は例えば生存細胞の数により評価した場合、ステップ(i)の開始時の細胞の集団と比較して5、10、15、20、25、30、35若しくは40%以下、例えば10%程度のみ増殖している。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、DNA分子である。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)の核酸分子は、RNA分子である。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)の核酸分子は、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はレトロウイルスベクターから選択されるウイルスベクター上に存在する。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)の核酸分子は、非ウイルスベクター上にある。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)の核酸分子は、プラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)の核酸分子は、どのベクター上にも存在しない。いくつかの実施形態では、ステップ(ii)は、細胞(例えば、T細胞)の集団を、CARをコードする核酸分子を含むウイルスベクターで形質導入することを含む。
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、T細胞)の集団は、対象からのアフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)から収集される。
いくつかの実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)は、対象から収集され、凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送される。その後、凍結アフェレーシスサンプルは解凍され、例えば細胞選別機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)が選択される。次に、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載の活性化プロセスを用いたCART製造のために播種する。いくつかの実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために播種する前に、1回又は複数のラウンドの凍結融解に供する。
いくつかの実施形態において、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)は、対象から収集され、新鮮な製品(例えば、凍結されていない製品)として細胞製造施設に輸送される。例えば、細胞選別機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)が選択される。次に、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載の活性化プロセスを用いたCART製造のために播種する。いくつかの実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために播種する前に、1回又は複数のラウンドの凍結融解に供する。
いくつかの実施形態において、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)は、対象から収集される。例えば、細胞選別機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)が選択される。次に、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送される。その後、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を解凍し、本明細書に記載の活性化プロセスを用いたCART製造のために播種する。
いくつかの実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を、抗CD3及び抗CD28抗体と例えば12時間にわたって接触させた後、CARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)(例えば、1つ又は複数のベクター)を用いた形質導入(例えば、1つ又は複数のCAR)を行う。培養開始から24時間後、細胞を洗浄し、保存又は投与のために製剤化する。
理論に縛られることを望まないが、短時間のCD3及びCD28刺激は、自己複製T細胞の効率的な形質導入を促進し得る。従来のCART製造アプローチと比較して、本明細書で提供される活性化プロセスは、長期にわたるエクスビボ増殖を含まない。サイトカインプロセスと同様に、本明細書で提供される活性化プロセスもCART製造中に未分化T細胞を保存する。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触する。
いくつかの実施形態において、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、CD3を刺激する薬剤である。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、CD28、ICOS、CD27、HVEM、LIGHT、CD40、4-1BB、0X40、DR3、GITR、CD30、TIM1、CD2、CD226又はそれらの任意の組合せを刺激する薬剤である。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、CD28を刺激する薬剤である。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、抗体(例えば、単一ドメイン抗体(例えば、重鎖可変ドメイン抗体)、ペプチボディ、Fabフラグメント若しくはscFv)、小分子又はリガンド(例えば、天然のリガンド、組換えリガンド若しくはキメラリガンド)から選択される。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は抗体である。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、抗CD3抗体である。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗体(例えば、単一ドメイン抗体(例えば、重鎖可変ドメイン抗体)、ペプチボディ、Fabフラグメント若しくはscFv)、小分子又はリガンド(例えば、天然のリガンド、組換えリガンド若しくはキメラリガンド)から選択される。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗体である。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗CD28抗体である。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤又は共刺激分子を刺激する薬剤は、ビーズを含まない。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、コロイドポリマーナノマトリックスに共有結合した抗CD3抗体を含む。いくつかの実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、コロイドポリマーナノマトリックスに共有結合した抗CD28抗体を含む。いくつかの実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び共刺激分子を刺激する薬剤は、T Cell TransAct(商標)を含む。
いくつかの実施形態において、マトリックスは、例えば、生分解性若しくは生体適合性の不活性材料であるポリマーを含むか、又はそれらから構成され、例えば、これらの材料は、細胞に対して非毒性である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、親水性ポリマー鎖から構成され、これは、鎖の水和によって水溶液中で最大の移動度を取得する。いくつかの実施形態では、移動性マトリックスは、コラーゲン、精製タンパク質、精製ペプチド、多糖類、グリコサミノグリカン又は細胞外マトリックス組成物からなるものであり得る。多糖類としては、例えば、セルロースエーテル、デンプン、アラビアゴム、アガロース、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、ペクチン、キサンタン、グアーガム又はアルギン酸塩を挙げることができる。他のポリマーとしては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリクオタニウムポリマー、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ブロック共重合体又はポリウレタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、移動性マトリックスは、デキストランのポリマーである。
いくつかの実施形態において、細胞の集団を、CAR(例えば、1つ又は複数のCAR)をコードする核酸分子(例えば、1つ又は複数の核酸分子)と接触させる。いくつかの実施形態では、細胞の集団を、CAR(例えば、1つ又は複数のCAR)をコードするDNA分子(例えば、1つ又は複数のDNA分子)で形質導入する。
いくつかの実施形態において、各々が本明細書に開示のCARをコードする2つの核酸分子(例えば、レンチウイルスベクター)の共形質導入の場合、CARをコードする核酸分子を含むベクターの各々を、異なる感染多重度(MOI)で反応混合物(例えば、細胞集団を含む)に添加することができる。
理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態において、異なるCAR分子をコードする核酸分子を含むベクターに対して異なるMOIを使用すると、細胞集団の最終的な組成に影響を及ぼし得ると考えられる。例えば、1つのCARをコードするレンチウイルスベクターと、異なる標的をターゲティングする別のCARをコードするレンチウイルスベクターの共形質導入の場合、異なるMOIを使用して、好ましいモノCART細胞及びデュアルCART細胞のパーセントを最大化することができると同時に、望ましくないモノCART細胞及び非形質導入細胞を減少させることができる。
各ベクターに使用される正確なMOIは、限定されないが、ウイルスベクターのバッチの特性、形質導入される細胞の特性及び形質導入効率をはじめとする多くの要因に基づいて調節又は決定することができる。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団と接触させるステップは、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団を接触させるステップと同時に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触開始後30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0.5時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞集団との接触開始後20時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後19時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後18時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後17時間以内に実施する。
いくつかの実施形態において、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後16時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後15時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後14時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後14時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後13時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後12時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後11時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後10時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後9時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後8時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後7時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後6時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後5時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後4時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後3時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後2時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後1時間以内に実施する。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸分子と細胞の集団との接触は、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後30分以内に実施する。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、保存又は投与のために採取される。
いくつかの実施形態において、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後72、60、48、36、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19又は18時間以内に保存又は投与のために細胞の集団を採取する。いくつかの実施形態では、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後26時間以内に、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。いくつかの実施形態では、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後25時間以内に、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。いくつかの実施形態では、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後24時間以内に、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。いくつかの実施形態では、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後23時間以内に、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。いくつかの実施形態では、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と細胞の集団との接触の開始後22時間以内に、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、エクスビボで増殖されない。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、45、50、55又は60%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して5%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して10%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して15%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して20%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して25%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して30%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して35%以下のみ増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述したCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比較して40%以下のみ増殖される。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、例えば、生存細胞の数により評価した場合、既述した1つ又は複数のサイトカインと接触させる前の細胞集団と比較して1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、36又は48時間以下のみ増殖される。
いくつかの実施形態において、活性化プロセスは、無血清細胞培地中で行われる。いくつかの実施形態では、活性化プロセスは、IL-2、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))又はIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)から選択される1つ若しくは複数のサイトカインを含む細胞培地中で実施される。いくつかの実施形態では、hetIL-15は、
のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、hetIL-15は、配列番号309に対して少なくとも約70、75、80、85、90、95又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、活性化プロセスは、LSD1阻害剤を含む細胞培地中で行われる。
いくつかの実施形態において、活性化プロセスは、MALT1阻害剤を含む細胞培地中で行われる。いくつかの実施形態では、無血清細胞培地は、血清代替物を含む。いくつかの実施形態では、血清代替物は、CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement(ICSR)である。いくつかの実施形態では、ICSRのレベルは、例えば、最大5%、例えば約1%、2%、3%、4%又は5%であり得る。理論に縛られることを望まないが、ICSR、例えば2%のICSRを含む細胞培地、例えば表21又は表25に示すラピッドメディアを使用すると、本明細書に記載の製造プロセス中の細胞生存率を向上させ得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞(例えば、T細胞)の集団を作製する方法を提供し、これは、(a)対象から採取されたアフェレーシスサンプル(例えば、新鮮な又は凍結保存された白血球アフェレーシスサンプル)を提供するステップ、(b)アフェレーシスサンプルからT細胞を選択する(例えば、負の選択、正の選択若しくはビーズなしの選択を使用して)、(c)単離したT細胞を例えば、1×10~1×10細胞/mLで播種するステップ、(d)T細胞を刺激する薬剤、例えばCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞表面上の共刺激分子を刺激する薬剤とT細胞を接触させる(例えば、T細胞を抗CD3及び/又は抗CD28抗体と接触させる、例えばT細胞をTransActと接触させる)ステップ、(e)CARをコードする核酸分子(例えば、DNA又はRNA分子)とT細胞を例えば、6~48時間、例えば20~28時間にわたって接触させる(例えば、CARをコードする核酸分子を含むウイルスとT細胞を接触させる)ステップ、(f)保存(例えば、凍結保存培地中でのT細胞の再構築)又は投与のためにT細胞を洗浄及び採取するステップを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(f)は、ステップ(d)又は(e)の開始後30時間以内、例えばステップ(d)又は(e)の開始後22、23、24、25、26、27、28、29又は30時間以内に実施される。
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の製造プロセスのいずれかによって作製された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞)の集団である。
いくつかの実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージは、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージと比較して、(1)同じであるか、(2)例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%以下のみ異なるか、又は(3)例えば少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25%増加する。いくつかの実施形態では、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、例えば、26時間超持続する(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日超持続する)か、又は細胞の集団をインビトロで例えば、3日以上増殖させる(例えば、細胞の集団をインビトロで3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日間増殖させる)ことを含む以外には同様の方法によって作製された細胞と比較して高い(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50%だけ高い)パーセンテージのナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞を示す。
いくつかの実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージは、20、25、30、35、40、45、50、55又は60%以上である。
いくつかの実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージと比較して、(1)同じであるか、(2)例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%以下のみ異なるか、又は(3)例えば少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25%減少する。いくつかの実施形態では、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、例えば、26時間以上持続する(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日以上持続する)か、又は細胞の集団をインビトロで例えば3日以上増殖させる(例えば、細胞の集団をインビトロで3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日間増殖させる)ことを含み、他には同様の方法により作製された細胞と比較して低い(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50%低い)パーセンテージのセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞を示す。
いくつかの実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、40、45、50、55、60、65、70、75又は80%以下である。
いくつかの実施形態において、インビボで投与された後、製造プロセスの終了時(例えば、サイトカインプロセス又は本明細書に記載の活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、例えば、26時間超(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日超持続する)か、又は例えば3日超にわたって増殖させる(例えば、細胞集団をインビトロで3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日間増殖させる)ことを含み、他には同様の方法により作製された細胞と比較して長く持続するか又は高い(例えば、少なくとも、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85若しくは90%だけ高い)レベルで増殖する。
いくつかの実施形態において、細胞の集団は、製造プロセスの開始前(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始前)に、IL6R発現細胞(例えば、IL6Ra及び/又はIL6Kbに対して陽性である細胞)について濃縮されている。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、例えば、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)に、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75若しくは80%以上のIL6R発現細胞(例えば、IL6Ra及び/又はIL6Kbに対して陽性である細胞)を含む。
インビトロ CAR-T製造
本明細書に記載のレンチウイルスベクター(例えば、本明細書に記載の方法を用いて作製されたもの)は、例えば、CAR-T細胞のインビトロ製造に使用することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のウイルスベクターで形質導入された細胞は、例えば、本明細書に記載の方法によって増殖される。いくつかの実施形態において、細胞を数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)~約14日(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日又は14日)の期間の培養により増殖する。いくつかの実施形態において、細胞は、4~9日の期間増殖される。いくつかの実施形態において、細胞は、8日以下、例えば7日、6日又は5日の期間増殖される。いくつかの実施形態において、細胞は、培養物中で5日間増殖させ、得られた細胞は、同じ培養条件下で9日間培養して増殖させた同じ細胞より強力である。効力は、例えば、多様なT細胞機能、例えば増殖、標的細胞死滅、サイトカイン産生、活性化、遊走又はそれらの組み合わせにより規定され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、5日間増殖させ、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、抗原刺激による細胞倍加の少なくとも1倍、2倍、3倍又は4倍増加を示す。いくつかの実施形態において、細胞は、培養物中で5日間増殖させ、得られた細胞は、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、高い炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルを示す。いくつかの実施形態において、5日間増殖させた細胞は、同じ培養条件下において培養物中で9日間増殖させた同じ細胞と比較して、炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルのpg/mlでの少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれを超える増加を示す。
カルシウム非存在下の初期活性化過程は、活性化の増強に至り得る。当業者に容易に認識されるように、洗浄ステップは、製造業者の指示に従う半自動化「フロースルー」遠心分離(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter CytoMate又はHaemonetics Cell Saver 5)により達成され得る。洗浄後、細胞を、例えば無Ca、無MgPBS、PlasmaLyte A又は他の緩衝剤を含む又は含まない食塩水溶液など、多様な生体適合性緩衝液に再懸濁し得る。代わりに、アフェレーシスサンプルの望ましくない要素を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁し得る。
本出願のインビトロ方法は、5%以下、例えば2%の、ヒトAB血清を含む培養培地条件を利用でき、既知培養培地条件及び組成物、例えばSmith et al.,“Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS Immune Cell Serum Replacement”Clinical&Translational Immunology(2015)4,e31;doi:10.1038/cti.2014.31に記載のものを用い得ることが認識される。
いくつかの態様において、T細胞は、赤血球を溶解し、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離又は向流遠心溶出法により単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離する。単離されたT細胞は、本明細書に記載の方法でさらに使用され得る。
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の例えば陰性選択技術を使用する、例えばT制御性細胞枯渇集団、CD25+枯渇細胞である、免疫エフェクター細胞の特異的亜集団、例えばT細胞の選択を含み得る。好ましくは、T制御性枯渇細胞集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞を含む。
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、抗CD25抗体又はそのフラグメント又はCD25結合リガンド、IL-2を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、抗CD25抗体又はそのフラグメント又はCD25結合リガンドを基質、例えばビーズにコンジュゲートするか又は他に基質、例えばビーズ上に被覆させる。いくつかの実施形態において、抗CD25抗体又はそのフラグメントを本明細書に記載の基質にコンジュゲートさせる。
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、Miltenyi(商標)からのCD25枯渇剤を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、細胞対CD25枯渇剤の比は、1×10細胞対20μL、又は1×10細胞対15μL、又は1×10細胞対10μL、又は1×10細胞対5μL、又は1×10細胞対2.5μL、又は1×10細胞対1.25μLである。いくつかの実施形態において、例えばT制御性細胞、例えばCD25+枯渇のために5億細胞/mlを使用する。さらなる態様において、6億、7億、8億又は9億細胞/mlの細胞濃度を使用する。
いくつかの実施形態において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約6×10CD25+T細胞を含む。他の態様において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約1×10~1×1010(及びその間の任意の整数値)CD25+T細胞を含む。いくつかの実施形態において、得られたT制御性枯渇細胞集団は、2×10T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はそれ未満(例えば、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10又はそれ未満のCD25+細胞)を含む。
いくつかの実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞を、例えばチュービング162-01など、枯渇チュービングセットと共にCliniMAC系を使用して集団から除去する。いくつかの実施形態において、CliniMAC系を例えばDEPLETION2.1などの枯渇設定において動かす。
特定の理論に拘束されることを望まないが、アフェレーシス前又はCAR発現細胞産物の製造中の対象における免疫細胞の負のレギュレーターのレベルの減少(例えば、望まない免疫細胞、例えばTREG細胞の数の減少)は、対象の再発リスクを減らし得る。例えば、TREG細胞を枯渇する方法は、当技術分野で知られている。例えば、TREG細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体(抗GITR本明細書に記載の抗体)、CD25枯渇及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、製造法は、CAR発現細胞製造前のTREG細胞の数の減少(例えば、枯渇)を含む。例えば、製造法は、例えば、サンプル、例えばアフェレーシスサンプルを抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(又はそのフラグメント又はCD25結合リガンド)と接触させ、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物の製造前にTREG細胞を枯渇させることを含む。
いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞採取前にTREG細胞を減らす1つ以上の治療で前処置されており、それにより対象がCAR発現細胞処置を再び必要とするリスクを軽減する。いくつかの実施形態において、TREG細胞を低減する方法は、対象へのシクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の投与を含むが、これらに限定されない。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の投与は、CAR発現細胞産物注入前、注入中又は注入後に行われ得る。
いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前にシクロホスファミドで前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。いくつかの実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前に抗GITR抗体で前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。
いくつかの実施形態において、除去すべき細胞集団は、制御性T細胞又は腫瘍細胞ではなく、CAR T細胞の増殖及び/又は機能に他に負に影響する細胞、例えばCD14、CD11b、CD33、CD15又は潜在的免疫抑制性細胞により発現される他のマーカーを発現する細胞である。いくつかの実施形態において、このような細胞は、制御性T細胞及び/又は腫瘍細胞と同時に、又は前記枯渇後又は別の順番で除去することが意図される。
本明細書に記載の方法は、2つ以上の選択ステップ、例えば2つ以上の枯渇ステップを含み得る。陰性選択によるT細胞集団の富化は、例えば、陰性に選択される細胞に独特な表面マーカーを指向する抗体の組み合わせにより達成できる。1つの方法は、陰性に選択される細胞に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁気免疫粘着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、陰性選択によりCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR及びCD8に対する抗体を含み得る。
本明細書に記載の方法は、腫瘍抗原、例えばCD25を含まない腫瘍抗原、例えばCD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14又はCD11bを発現する細胞集団からの除去をさらに含み、それによりCAR、例えば本明細書に記載のCARの発現に適するT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇及び腫瘍抗原枯渇細胞集団を提供する。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍抗原抗体又はそのフラグメントを同じ基質、例えばビーズに結合でき、これを細胞の除去に使用できるか、又は抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍抗原抗体又はそのフラグメントを別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及び腫瘍抗原発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれの順番でも生じ得る。
チェックポイント阻害剤、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害剤を発現する細胞、例えばPD1+細胞、LAG3+細胞及びTIM3+細胞の1つ以上の集団からの除去を含み、それによりT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇細胞及びチェックポイント阻害剤枯渇細胞、例えばPD1+、LAG3+及び/又はTIM3+枯渇細胞集団を提供する方法も提供される。例示的なチェックポイント阻害剤は、B7-H1、B7-1、CD160、P1H、2B4、PD1、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、TIGIT、CTLA-4、BTLA及びLAIR1を含む。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はそのフラグメントを同じビーズに結合でき、それを細胞の除去に使用できるか、又は抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はそのフラグメントを別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及びチェックポイント阻害剤発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれ順序でも生じ得る。
本明細書に記載の方法は、陽性選択ステップを含み得る。例えば、T細胞を所望のT細胞の陽性選択に十分な時間にわたり、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3×28)コンジュゲートビーズとインキュベーションすることにより単離することができる。いくつかの実施形態において、時間は、約30分である。さらなる実施形態において、時間は、30分~36時間又はそれより長い範囲及びその間の任意の整数値である。さらなる実施形態において、時間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。さらに別の実施形態において、時間は、10~24時間、例えば24時間である。腫瘍組織又は免疫不全状態個体から腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を単離するような、他の細胞型と比較してT細胞が少ないあらゆる状況において、T細胞を単離するために長いインキュベーション時間が使用され得る。さらに、長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕獲効率を高め得る。従って、単にT細胞をCD3/CD28ビーズと結合させる時間を短くする又は長くし、且つ/又はビーズ対T細胞比を増加又は減少させる(さらに本明細書に記載のとおり)ことにより、T細胞の亜集団が培養開始時又はプロセス中の他の時点で優先的に選択される。さらに、ビーズ又は他の表面上の抗CD3及び/又は抗CD28抗体比を増加又は減少させることにより、T細胞の亜集団が培養開始時又は他の所望の時点で優先的に選択される。いくつかの実施形態において、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムB及びパーフォリン又は他の適切な分子、例えば他のサイトカインの1つ以上を発現するT細胞集団を選択できる。細胞発現についてスクリーニングする方法は、例えば、国際公開第2013/126712号パンフレットに記載する方法により決定できる。
陽性又は陰性選択により所望の細胞集団を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度は、変わり得る。いくつかの態様において、細胞とビーズとの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞とを一緒に混合する体積を有意に低下させる(例えば、細胞濃度を増加させる)ことが望まれ得る。例えば、いくつかの態様において、100億細胞/ml、90億細胞/ml、80億細胞/ml、70億細胞/ml、60億細胞/ml又は50億細胞/mlの濃度を使用する。いくつかの態様において、10億細胞/mlの濃度を使用する。さらなるいくつかの態様において、細胞の7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの濃度を使用する。さらなる態様において、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。
高濃度を使用して細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加できる。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞の又は多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(例えば、白血病性血液、腫瘍組織など)からのより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療的価値を有し得、取得することが望ましい。例えば、高濃度細胞の使用は、通常CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
いくつかの実施形態において、低濃度の細胞を使用することが望ましいことがある。T細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)との混合物を有意に希釈することにより、粒子と細胞との相互作用が最小化される。これは、粒子に結合する所望の抗原を高量で発現する細胞で選択する。例えば、CD4+T細胞は、高レベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+T細胞より効率的に捕獲される。いくつかの態様において、使用する細胞の濃度は5×10/mlである。他の態様において、使用する濃度は約1×10/ml~1×10/ml及びその間の任意の整数値であり得る。
他の態様において、細胞を、種々の長さの時間、種々の速度で2~10℃又は室温においてローテータでインキュベートし得る。
刺激のためのT細胞は、洗浄ステップ後にも凍結され得る。理論に拘束されることを望まないが、凍結及び続く解凍ステップは、細胞集団から顆粒球及びある程度単球を除去することにより、より均一な産物を提供する。血漿及び血小板を除去する洗浄ステップ後、細胞を凍結溶液に懸濁し得る。多くの凍結溶液及びパラメータが当技術分野で知られ、これに関連して有用であるが、ある方法は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミンを含むPBS又は10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSO又は31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSOを含む培養培地又は例えばHespan及びPlasmaLyte Aを含む他の適当な細胞凍結媒体を使用し、次いで細胞を1°/分の速度で-80℃に凍結し、気相の液体窒素貯蔵タンクに保存する。制御凍結の他の方法並びに直接-20℃又は液体窒素の非制御凍結も使用できる。
いくつかの態様において、凍結保存細胞を本明細書に記載のように解凍し、洗浄し、本発明の方法を使用する活性化前に室温で1時間休息させる。
本発明に関連して、本明細書に記載の増殖細胞が必要となり得る時点前の期間における対象からの血液サンプル又はアフェレーシス産物の収集も企図されている。従って、増殖する細胞の供給源を必要な任意の時点で採取でき、T細胞などの所望の細胞を、本明細書に記載のものなどの免疫エフェクター細胞療法からの利益があるであろう任意の数の疾患及び状態について、免疫エフェクター細胞療法におけるその後の使用のために単離及び凍結できる。いくつかの態様において、血液サンプル又はアフェレーシスを一般に健常対象から採取する。いくつかの態様において、血液サンプル又はアフェレーシスを、一般に、疾患を発症するリスクにあるが、依然として疾患を発症していない健常対象から採取し、目的の細胞をその後の使用のために単離及び凍結する。いくつかの態様において、T細胞をその後の時点で増殖、凍結及び使用し得る。いくつかの態様において、サンプルを、本明細書に記載の特定の疾患の診断の直後に、しかし、何らかの処置前に患者から採取する。さらなる態様において、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート及びFK506などの免疫抑制剤、CAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228及び照射などの抗体又は他の免疫除去剤による処置を含むが、これらに限定されない、任意の数の関連する処置モダリティ前に対象からの血液サンプル又はアフェレーシスから細胞を単離する。
本発明のさらなる態様において、T細胞を、対象に機能的T細胞を残す処置後、患者から直接得る。ある癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、処置の直後、患者が、通常、その処置から回復するまでの間、得られるT細胞の品質がエクスビボで増殖する能力について最適であり得るか又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用するエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着及びインビボ増殖増強について好ましい状態であり得る。そのため、本発明に関連して、T細胞、樹状細胞又は造血細胞系統の他の細胞を含む血液細胞をこの回復期に採取することが企図される。さらに、いくつかの態様において、可動化(例えば、GM-CSFでの可動化)及びコンディショニングレジメンを使用して、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生及び/又は増殖に好都合である条件を、特に治療後の定められた時間枠中に対象に形成できる。細胞型の例は、T細胞、B細胞、樹状細胞及び免疫系の他の細胞を含む。
いくつかの実施形態において、T細胞集団は、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。DGK欠損細胞は、DGK RNA又はタンパク質を発現しないか、又はDGK活性が低下した又は阻害された細胞である。DGK欠損細胞は、DGK発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、DGK欠損細胞は、本明細書に記載のDGK阻害剤での処理により産生できる。
いくつかの実施形態において、T細胞集団は、イカロス欠損である。イカロス欠損細胞は、イカロスRNA又はタンパク質を発現しないか、又はイカロス活性が低下した又は阻害された細胞を含み、イカロス欠損細胞は、イカロス発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、イカロス欠損細胞は、イカロス阻害剤、例えばレナリドマイドでの処理により産生できる。
実施形態において、T細胞集団は、DGK欠損及びイカロス欠損であり、例えばDGK及びイカロスを発現しないか、又はDGK及びイカロス活性が低下又は阻害されている。このようなDGK及びイカロス欠損細胞は、本明細書に記載の方法のいずれかにより産生できる。
いくつかの実施形態において、NK細胞を対象から得る。別の実施形態において、NK細胞は、NK細胞株、例えばNK-92細胞株(Conkwest)である。
特定の例示的態様において、対象を白血球除去に付し、ここで、白血球を採取し、エクスビボで富化又は枯渇して、目的の細胞、例えばT細胞を選択及び/又は単離する。
これらのT細胞単離物は、本明細書に記載の方法によって増殖され得る。処置を必要とする対象を、その後、高用量の化学療法剤と続く末梢血幹細胞移植の標準的処置に付し得る。いくつかの態様において、移植後又は同時に、対象は、本発明の方法により調整された、増殖させたCAR T細胞の注入を受ける。さらなる態様において、増殖細胞を手術前又は後に投与する。
さらに発現される薬剤
CAR活性を増強する薬剤の共発現
本明細書で企図される実施形態において、追加の薬剤は、上記で本明細書に記載されたベクター中にコードされ得ることが理解される。従って、これらの薬剤は、CAR発現細胞に関連して以下に記載される。
別の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現免疫エフェクター細胞は、別の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性を増強する薬剤をさらに発現できる。例えば、いくつかの実施形態において、薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤であり得る。阻害分子の例は、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4並びにTGFRベータ、例えば本明細書に記載のものを含む。いくつかの実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4若しくはTGFRベータ又はこれらのいずれかのフラグメントなどの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載の例えば41BB、CD27又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、薬剤は、PD-1又はそのフラグメントの第1のポリペプチド並びに本明細書に記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載するCD28、CD27、OX40又は4-IBBシグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載するCD3ζシグナル伝達ドメイン)の第2のポリペプチドを含む。
第2のCARの共発現
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、例えば、同じ標的(例えば、CD19)又は異なる標的(例えば、CD19以外の標的、例えば本明細書に記載される標的)に対する、第2のCAR、例えば異なる抗原結合ドメインを含む第2のCARをさらに含み得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞、例えば本明細書に記載の方法を用いて製造されたCAR発現細胞は、(i)BCMAに結合する第1のCARをコードする第1の核酸分子、及び(ii)CD19に結合する第2のCARをコードする第2の核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、第1のCARは、抗BCMA結合ドメイン、第1の膜貫通ドメイン及び第1の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、上記抗BCMA結合ドメインは、重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)及び重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む重鎖可変領域(VH)と、軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)及び軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)を含む軽鎖可変領域(VL)とを含み、上記HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号86、87、88、95、96及び97のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、第2のCARは、抗CD19結合ドメイン、第2の膜貫通ドメイン及び第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、上記CD19結合ドメインは、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含むVHと、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含むVLとを含み、上記HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ配列番号760、687、762、763、764及び765のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、(i)抗BCMA結合ドメインのVH及びVLは、それぞれ配列番号93及び102のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD19結合ドメインのVH及びVLは、それぞれ配列番号250A及び251Aのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、抗BCMA結合ドメインは、配列番号105のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD19結合ドメインは、配列番号758のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、第1のCARは、配列番号107のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、第2のCARは、配列番号225のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞、例えば本明細書に記載の方法を用いて製造されたCAR発現細胞は、(i)CD22に結合する第1のCARをコードする第1の核酸分子と、(ii)CD19に結合する第2のCARをコードする第2の核酸分子とを含む。いくつかの実施形態において、CD22 CARは、CD22抗原結合ドメイン及び第1の膜貫通ドメイン;第1の共刺激シグナル伝達ドメイン;並びに/又は第1の一次シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CD19 CARは、CD19抗原結合ドメイン及び第2の膜貫通ドメイン;第2の共刺激シグナル伝達ドメイン;並びに/又は第2の一次シグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメインは、例えば、表15、16、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインの1つ以上(例えば、3つ全て)の軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)及び軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3);並びに/又は例えば、表15、16、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインの1つ以上(例えば、3つ全て)の重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)及び重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含む。実施形態では、CD22抗原結合ドメインは、例えば、表15、16、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインのLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3;並びに/又は表15、16、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインのHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、例えば、表1、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインの1つ以上(例えば、3つ全て)のLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3;並びに/又は例えば、表1、30、31若しくは32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインの1つ以上(例えば、3つ全て)のHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、例えば、表1、30、31及び32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインのLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3;並びに/又は例えば、表1、30、31及び32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインのHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。
いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、例えば、表30若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインの軽鎖可変(VL)領域;及び/又は表30若しくは32で、本明細書に記載されるCD22結合ドメインの重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメインは、表30又は32に提供されるCD22 VL領域配列の少なくとも1つ、2つ又は3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20又は10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメインは、表30若しくは32に提供されるアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメインは、表30又は32に提供されるCD22 VH領域配列の少なくとも1つ、2つ又は3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20又は10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。いくつかの実施形態において、CD22抗原結合ドメインは、表30若しくは32に提供されるCD22 VH領域配列のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列を含むVH領域を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、例えば、表1、30若しくは32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインのVL領域;及び/又は例えば、表1、30若しくは32で、本明細書に記載されるCD19結合ドメインのVH領域を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30又は32に提供されるCD19 VL領域配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30若しくは32に提供されるCD19 VL領域配列のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列を含むVL領域を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30又は32に提供されるCD19 VH領域配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30若しくは32に提供されるCD19 VH領域配列のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列を含むVH領域を含む。
いくつかの実施形態において、CD22抗原結合は、表30又は32に提供されるCD22 scFv配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むscFvを含む。いくつかの実施形態において、CD22抗原結合は、表30若しくは32に提供されるCD22 scFv配列のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列を含むscFvを含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30又は32に提供されるCD19 scFv配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換)、但し30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含むscFvを含む。いくつかの実施形態において、CD19抗原結合ドメインは、表1、30又は32に提供されるCD19 scFv配列のアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列含むscFvを含む。
いくつかの実施形態において、CD22 CAR分子及び/又はCD19 CAR分子は、表33に提供されるアミノ酸配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する、追加の構成要素、例えばシグナルペプチド、ヒンジ、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達ドメイン及び/又は第1の一次シグナル伝達ドメイン、P2A部位及び/又はリンカーを含むか、又は表33に提供されるヌクレオチド配列又は上記配列のいずれかに対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を有する配列によってコードされる。
CAR分子の例示的なヌクレオチド及びアミノ酸配列、例えば(i)CD22に結合する第1のCAR、及び(ii)本明細書に開示されるCD19に結合する第2のCARを含む二重CAR分子を表30に提供する。
開示のデュアルCAR(例えば、(i)CD22に結合する第1CARと、(ii)CD19に結合する第2CARを含むデュアルCAR)のCD22及びCD19 CDRを表31に記載する。
表32は、本明細書に開示されるデュアルCAR又はタンデムCAR、例えば(i)CD22に結合する第1CARと、(ii)CD19に結合する第2CARを含むデュアルCAR又はタンデムCARのCD19及びCD22結合ドメインのヌクレオチド及びアミノ酸配列を記載する。
表33は、CAR分子、例えば本明細書に記載のデュアルCAR分子(例えば、(i)CD22に結合する第1CARと(ii)CD19に結合する第2CARを含むデュアルCAR)に使用することができる、追加のCAR成分、例えばシグナルペプチド、リンカー及びP2A部位のヌクレオチド及びアミノ酸配列を記載する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現免疫エフェクター細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的(例えば、上記した標的)又は異なる標的に対する例えば第2のCARの異なる抗原結合ドメインをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、第2のCARは、第1のCARの標的と同じ癌細胞型で発現される標的に対する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることを望まないが、第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BB、CD28、CD27又はOX-40及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの第2のCARへの配置は、両方の標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限する。いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、例えば、上記の標的を標的とする抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1のCAR及び第1のCARが標的とする抗原以外の抗原(例えば、第1の標的と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。別の実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、例えば、上記の標的を標的とする抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第1のCARが標的とする抗原以外の抗原(例えば、第1の標的と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。
いくつかの実施形態において、CAR発現免疫エフェクター細胞は、本明細書に記載のCAR、例えば上記の標的に対するCAR及び阻害性CARを含む。いくつかの実施形態において、阻害性CARは、正常細胞、例えばまた標的を発現する正常細胞で見られるが、癌細胞で見られない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFRベータの細胞内ドメインであり得る。
いくつかの実施形態において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、本明細書に記載の腫瘍抗原に結合する抗原結合ドメインを含む第1のCAR及びPD1細胞外ドメイン又はそのフラグメントを含む第2のCARを含む。
いくつかの実施形態において、細胞は、上記の阻害分子をさらに含む。
いくつかの実施形態において、細胞内の第2のCARは、阻害性CARであり、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。阻害分子は、PD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFRベータ、CEACAM-1、CEACAM-3及びCEACAM-5の1つ以上から選択され得る。いくつかの実施形態において、第2のCAR分子は、PD1の細胞外ドメイン又はそのフラグメントを含む。
実施形態において、細胞内の第2のCAR分子は、一次シグナル伝達ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。
他の実施形態において、細胞における細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの機能的ドメインを含む一次シグナル伝達ドメイン及び4-1BBの機能的ドメインを含む共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、第1のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含み、第2のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含まない。例えば、第1のCAR分子の抗原結合ドメインは、scFvを含み、第2のCAR分子の抗原結合ドメインは、ラクダ科動物のVHHドメインを含む。
CARの立体構造
本明細書で企図される実施形態において、1つ以上のCARの立体構造は、本明細書で上記に記載されたベクターによって調節され得ることが理解される。従って、これらの立体構造は、CAR発現細胞に関連して以下に記載されている。
スプリットCAR
いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、国際公開第2014/055442号パンフレット及び国際公開第2014/055657号パンフレットにより詳細に記載されている。簡潔には、スプリットCAR系は、第1の抗原結合ドメイン及び共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、細胞は、第2の抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を有する第2のCARも発現する。細胞が第1の抗原に遭遇したとき、共刺激ドメインが活性化され、細胞が増殖する。細胞が第2の抗原に遭遇したとき、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、細胞死滅活性が開始される。従って、CAR発現細胞は、両方の抗原存在下でのみ完全活性化される。
複数のCAR
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的又は異なる標的(例えば、本明細書に記載の癌関連抗原以外の標的又は本明細書に記載の異なる癌関連抗原)に対する、例えば第2のCARの異なる抗原結合ドメインをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、第2のCARは、癌関連抗原と同じ癌細胞型を発現する標的に対する抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激性シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激性シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることを望まないが、第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BB、CD28、CD27又はOX-40及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの第2のCARへの配置は、両方の標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限し得る。いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1の癌関連抗原CARと、異なる標的抗原をターゲティングし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCAR(例えば、第1の標的抗原と同じ癌細胞型に発現する抗原)とを含む。別の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCARと、第1の標的抗原以外の抗原(例えば、第1の標的抗原と同じ癌細胞型に発現する抗原)をターゲティングし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARとを含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、第1及び第2のCARを提供し、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽鎖ドメイン及び可変重鎖ドメインを含まない。いくつかの実施形態において、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvであり、他方は、scFvではない。いくつかの実施形態において、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科VHHドメインを含む。
本明細書に記載の方法が実施されると、例えば適切なインビトロ及び動物モデルにおける抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でのT細胞増殖の持続及び抗癌活性についての活性を評価するために様々なアッセイが使用され得る。本発明のCARの効果を評価するためのアッセイは、当業者に知られており、以下に一般的に記載される。
初代T細胞におけるCAR発現のウェスタンブロット分析を、単量体及び二量体の存在を検出するために使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。極めて簡潔には、CARを発現するT細胞(CD4及びCD8T細胞の1:1混合物)をインビトロで10日超増殖させ、続いて溶解及び還元条件下のSDS-PAGEを行う。全長TCR-ζ細胞質ドメイン及び内因性TCR-ζ鎖を含むCARを、TCR-ζ鎖に対する抗体を使用するウェスタンブロッティングにより検出する。同じT細胞サブセットを、共有結合性二量体形成の評価を可能とするために非還元条件下のSDS-PAGE分析に使用する。
抗原刺激後のCART細胞のインビトロ増殖をフローサイトメトリーによって測定することができる。
再刺激非存在下の持続するCART細胞増殖も測定できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。簡潔には、平均T細胞体積(fl)を、0日目のαCD3/αCD28被覆磁気ビーズでの刺激及び1日目の記載するCARの形質導入後、培養8日目にCoulter Multisizer III粒子カウンター、Nexcelom Cellometer Vision又はMillipore Scepterを使用して測定する。
動物モデルも、CAR T活性の測定に使用できる。例えば、免疫不全マウスにおける初代ヒトプレB ALLを処置するための、本明細書に記載のヒト癌関連抗原に特異的なCART細胞を使用する異種移植モデルを使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。
用量依存的CAR処置応答を評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。例えば、21日目にCAR T細胞、等しい数の偽形質導入T細胞で処置した又はT細胞処置なしのマウスにおいて白血病が確立した後、35~70日後に末梢血を得る。各群からのマウスを本明細書に記載の末梢血癌関連抗原ALL芽細胞数の決定のために無作為に採血し、35日目及び49日目に屠殺する。残りの動物を57日目及び70日目に評価する。
細胞増殖及びサイトカイン産生の評価は、例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)に以前に記載されている。
細胞毒性は、標準的51Cr放出アッセイにより評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。
造影技術を使用して、腫瘍担持動物モデルにおけるCARの特異的輸送及び増殖を評価できる。このようなアッセイは、例えば、Barrett et al.,Human Gene Therapy 22:1575-1586(2011)に記載されている。
本明細書に記載のもの並びに当技術分野で公知のものを含む他のアッセイも本発明に記載のCARの評価に使用できる。
以下の実施例は、本開示のいくつかの実施形態をさらに説明するために提供されるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく;それらの例示的な性質により、周知の他の手順、方法又は技術が代替的に使用され得ることが当業者に理解されるであろう。
以下の実施例は、当業者に、本明細書に記載の組成物及び方法がどのように使用、製造及び評価され得るかの説明を提供するために提示され、あくまで本開示の例示であることを意図し、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
実施例1:支持LV生産システムとしてのExpi293F細胞
最新のLVベクター作製法は、SV40 T-抗原を含むHEK293T細胞を伴う。現場では、プロデューサー細胞中のSV40 T-抗原の存在は、一般的にベクター生産に有益であると考えられている。加えて、HEK293T細胞は、SV40 T抗原を欠いたHEK293細胞と比較して、細胞増殖及びトランスフェクション効率の向上を示す。この実験では、安全性の懸念を最小限に抑えるための支持LV生産システムとして、SV40 T抗原を欠いた細胞株であるExpi293F細胞を評価する。この実施例に示されるように、ラージT抗原を欠いた細胞は、レンチウイルスベクターの満足のいく収率及び純度を付与することが示されている。本明細書で試験した細胞は、複製可能レンチウイルス(RCL)を生成し得る組換え事象の可能性を低減し、それによりウイルス複製及び望ましくない遺伝子座における宿主DNAへの挿入のリスクを低減するために有益である。市販のExpi293F(商標)細胞(ThermoFisher-カタログ#A14527-ロット#1994635)を入手した。Expi293F 細胞株のレンチウイルス生産性を、HEK293T細胞株のレンチウイルスベクターの生産性と比較した。Expi293F(商標)細胞とHEK293T浮遊細胞の両方を、SF250mLフラスコ内のFreeStyle(商標)培地に0.15E6細胞/mLの濃度で播種し、150rpmで3日間培養した。3日間の細胞増殖及び増幅後、細胞を、ヒト化CD19 CAR(C1)をコードするモデルGOIプラスミドでトランスフェクトした。0.4μgのDNA/E6細胞をPEIpro(登録商標)(0.4μL/1E6細胞)と混合し、トランスフェクション複合体を形成した。トランスフェクション複合体を細胞培養物に直接添加した。トランスフェクションの24時間後、酪酸ナトリウム及びMgCl(最終濃度2mM)を含む25U/mLベンゾナーゼを培地に添加した。細胞は、感染から48時間後に分析のために採取した。TUアッセイ及びELISAを用いて、各細胞株のレンチウイルス生産性を測定及び比較した。
分析方法:機能力価(細胞に取り込むことができるビリオンの総量の測定値)を得るため且つ細胞毒性の低減及び細胞形質導入の効率の向上に関する重要なパラメータであるPP/IP(物理粒子/感染性粒子)の比によって生産の品質を評価するために、2つの異なる方法、即ちTUアッセイ及びp24 ELISAによってサンプルを分析した。この比は、ウイルス粒子全体(物理力価)と比較して、感染性であったウイルス粒子のパーセンテージを示すものであった。
機能力価:TUアッセイ:形質導入単位アッセイは、HEK293-T細胞の形質導入、それに続くゲノムDNAの抽出並びにベクター特異的配列(レンチウイルスWPREエレメント)とハウスキーピング遺伝子(ヒト細胞当たり2コピーに存在することが知られているアルブミン配列)をデュプレックスqPCRで増幅することによる、ウイルスコピーの定量に基づく。播種された細胞数に対する正規化及び相関後、形質導入単位、即ち自身のゲノムを標的細胞に送達した後、宿主細胞ゲノムに組み込むことができる感染性ウイルス粒子の濃度を計算した。
p24 酵素結合免疫吸着アッセイ(Elisa):この分析法は、機能的又は非機能的(即ち、未熟な形態、空の粒子)であるかどうかにかかわらず、全ての物理的粒子及び上清中の遊離p24タンパク質を検出することにより、有効LVV濃度の近似値を付与した。物理力価(レンチウイルス粒子(LP)/mL)は、レンチウイルスカプシドタンパク質p24を測定するp24 Elisaによって定量した。p24コア抗原は、HIV-1 p24 ELISAキットを用いてレンチウイルス上清中で直接検出した。このElisaでは、レンチウイルス粒子の量(LP/mL)に比例するp24(pg/mL)の濃度を測定した。
この実験では、HEK293T/17細胞が約3.9E7TU/mLのLV生産性を示すことが明らかになった。Expi293F細胞は、満足のいくLV生産性(約1.5E7TU/mL)をもたらす(図1A)。より高いPP/IP比(約1882)が観察され、これは、Expi293Fセルのアセンブリー効率の低下を表している可能性がある。各継代で観察された細胞密度は、両方の細胞株間で同等であった(約3×10細胞/mL)(図1B)。2つの細胞株の集団倍加時間はわずかに異なり、HEK293T/17細胞の場合、約19時間、Expi293Fでは約21時間であることが判明した(図1B)。いずれの細胞株も、培養中、>90%の生存率を示した(図1C)。Expi293Fの性能を最適化するためにさらなる開発に着手した。
実施例2:レンチウイルスの生産性向上における各種トランスフェクション試薬の効果評価
Expi293F(商標)細胞を、0.15E6細胞/mLを超える最終密度に達するように、1つのSF 250mLフラスコに播種した。細胞をSF250mLフラスコ中のFreeStyle(商標)培地に0.15E6細胞/mLの濃度で播種し、150rpmで3日間培養した。3日間の細胞増殖及び増幅後、細胞を3つの異なるモデルCAR構築物(ヒト化CD19 CAR(C1)、CD19-CD22 CARデュアルCAR(I1)を含むか、又はヒト化CARとTet2 shRNAを含む(M1))でトランスフェクトした。トランスフェクション試薬としてPEIpro(登録商標)又はFectoVIR-AAV(登録商標)を使用した。各構築物/E6細胞の0.4μgのDNAをPEIpro(登録商標)(0.4μL/1E6細胞)又はFectoVIR(登録商標)-AAV(0.4μL/1E6細胞)のいずれかと混合し、トランスフェクション複合体を形成させた。トランスフェクション複合体を細胞培養物に直接添加した。トランスフェクションから24時間後、MgCl(最終濃度2mM)を含む25U/mLのベンゾナーゼを各培地に添加した。感染から48時間後、分析のために細胞を採取した。各細胞株のレンチウイルス生産性を、TUアッセイ及びElisaを用いて、測定及び比較した。
トランスフェクション試薬FectoVIR(登録商標)-AAVは、PEIpro(登録商標)試薬と比較して、Expi293F細胞のLV生産性を目的遺伝子に応じて1.9倍から2.8倍に有意に高めた(図2A)。生産性の増加は、大規模生産でも維持された(図2B及び表1)。
表1:バルクハーベスト中のレンチウイルス生産性の生データ
さらに、構築物にFectoVIR-AAV(登録商標)をトランスフェクトすると、PP/IP比の低下が観察され、これはトランスフェクション効率の向上を表している。
実施例3:より高度のウイルス生産に好適なDNA量の決定
この実施例では、ウイルス収率を高めるためにトランスフェクションに使用されるDNAの量を決定する方法について説明する。
Expi293F(商標)細胞を解凍し、0.15E6細胞/mLを超える最終密度に達するように、1つのSF250mLフラスコに播種した。細胞をSF250mLフラスコ中のFreeStyle(商標)293発現培地に0.15E6細胞/mLの濃度で播種し、150rpmで3日間培養した。細胞を、50L培養の播種に好適な量に達するように、常用的に培養した。Expi293F細胞をFreeStyle(商標)培地の使い捨ての撹拌タンクバイオリアクター中に接種して、好適な細胞密度(1.50×10細胞/mL~2.50×10細胞/mL)に到達させた。細胞の生存率は≧90%と評価された。トランスフェクションは播種後72時間実施した。Opti-MEM(商標)I還元血清培地(5w/v%)中で、0.3μgのDNA/E6細胞、0.4μgのDNA/E6細胞、0.5μgのDNA/E6又は0.6μgのDNA/E6細胞をFectoVIR-AAV(登録商標)と1:1の比で混合し、トランスフェクション複合体の形成を可能にするために30分間インキュベートした。トランスフェクション複合体を細胞培養物に直接添加した。トランスフェクションから20時間後、MgCl(最終濃度2mM)を含む25U/mLのベンゾナーゼを培地に添加した。レンチウイルスベクター粒子を含む馴化培地をトランスフェクションの48時間後に回収した。
データから、0.4μgのDNA/1E6細胞で最も高いウイルス生産が達成されることがわかった(図3)。さらに、0.4μgのDNA/1E6細胞で得られたウイルス生産は、供給者が推奨する1μgのDNA/1E6細胞で得られたウイルス生産よりも高かった(データは示していない)。
実施例4:レンチウイルス生産性に対するトランスフェクション前の培地pHの修正の決定
この実施例では、培地のpHを7.1から6.7±0.05に下げると、レンチウイルスの生産性が向上することを実証する。
Expi293F(商標)細胞を解凍し、0.15E6細胞/mLを超える最終密度に達するように、1つのSF250mLフラスコに播種した。細胞を標準培養条件下で4日間培養し、2.5L培養の播種のために好適な量に達するように、スケールアップした。培地として、既知組成の、無血清及び無タンパク質培地である、FreeStyle(商標)培地を使用した。
3日間の細胞増殖及び増幅後、開発中に決定されたトランスフェクションでの好適な細胞密度(1.50×10細胞/mL~2.50×10細胞/mL)に到達した。細胞の生存率は≧90%と評価された。トランスフェクションは、播種から72時間後に実施した。3日間の細胞増殖及び増幅後、細胞に3つのモデル構築物(C1、I1及びM1)をトランスフェクトした。トランスフェクション前にpH設定値を7.1から6.7±0.05に修正した。トランスフェクションは、この新しい設定値に達した後に実施した。各構築物/E6細胞の0.4μgのDNAをFectoVIR-AAV(登録商標)試薬(0.4μL/1E6細胞)と混合し、一緒にインキュベートすることにより得られたトランスフェクション複合体で、細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、MgCl(最終濃度2mM)を含む25U/mLのベンゾナーゼを各培地に添加した。感染から48時間後、分析のために細胞を採取した。TUアッセイ及びElisaを用いて、各細胞株のレンチウイルス生産性を測定及び比較した。
このデータから、トランスフェクション前にpHを6.7に変更すると、レンチウイルスの生産性が両構築物で約3倍に増加することがわかった(図4)。対照的に、別の研究では、プロセスのより早期(接種時)にpHを6.7に低下させると、細胞増殖に悪影響を及ぼし、生産プロセスが遅くなることが明らかにされた(データは示していない)。従って、この実験から、慎重に時間を計ってpHを低下させると、高度な細胞増殖とLV生産性の向上の両方をもたらすことがわかる。
実施例5:レンチウイルス生産
全てのベクター作製及び細胞培養は、293F細胞株に由来するExpi293F(商標)ヒト胚性腎臓(HEK)細胞を使用し、HEK293T細胞も使用して実施した。
Expi293F(商標)細胞の1バイアルを解凍し、0.15E6細胞/mL を超える最終密度に達するまで1つのSF250mLフラスコに播種した。細胞をFreeStyle(商標)培地を用いて標準培養条件下で4日間培養し、撹拌タンクバイオリアクター50Lの播種に必要な細胞量に達するまでスケールアップした。
使い捨ての撹拌タンクバイオリアクターにおいて、最終体積47LのFreeStyle(商標)培地中にExpi293F細胞を0.2×10細胞/mL±0.025で接種した。3日間の細胞増殖及び増幅後、開発中に決定されたトランスフェクションでの好適な細胞密度(1.50×10細胞/mL~2.50×10細胞/mL)に到達した。細胞の生存率は≧90%と評価された。トランスフェクションは、播種から72時間後に実施した。トランスフェクション前にpH設定値を7.1から6.7±0.05に修正した。トランスフェクションは、この新しい設定値に達した後に実施した。
Expi293F細胞の一過性トランスフェクションは、3つのヘルパープラスミドと1つのトランスファー(GOI)プラスミドから構成される4つの異なるプラスミドを用いて、達成された:
(i)水疱性口内炎ウイルス(VSV-g)エンベロープの糖タンパク質をコードするプラスミド、
(ii)構造タンパク質及びウイルス酵素をコードするプラスミド、
(iii)転写後調節因子(Rev)をコードするプラスミド、及び
(iv)導入遺伝子と、ウイルスRNA産生、プロセシング及びパッケージングに必要な最小限のシス作用配列とを含むトランスファープラスミド。
FectoVIR(登録商標)-AAV(Ref 120-100、Polyplus)をトランスフェクション試薬として使用した。0.4μgのDNA/E6細胞をOpti-MEM(商標)I還元血清培地(5w/v%)中でFectorVIR-AAV(登録商標)(0.4μL/1E6細胞)と混合し、30分間インキュベートして、トランスフェクション複合体を形成させた。トランスフェクション複合体を細胞培養に直接添加した。トランスフェクションから20時間後、MgCl(最終濃度2mM)を含む25U/mLのベンゾナーゼを培地に添加した。レンチウイルスベクター粒子を含む馴化培地をトランスフェクションの48時間後に回収した。TUアッセイ及びp24 ELISAは、実施例1に記載の通りに実施した。
データから、実施例2~4に記載した条件を適用すると、実施例1に記載の対照条件で得られた約1.5E7 TU/mLと比較して、C1の場合、Expi293F細胞でのレンチウイルス生産性が3E7 TU/mLまで増加したことがわかった。レンチウイルスの生産性は、I1の場合、バルクハーベスト中に1.5E7 TU/mLであることが判明した。図5は、(i)トランスフェクション試薬としてFectoVIR(登録商標)-AAVを使用したExpi293F細胞と、(ii)トランスフェクション試薬としてPEIpro(登録商標)を使用したHEK293T細胞の2つの生産システムでC1及びI1構築物を使用したレンチウイルスの生産性の比較を示す。
実施例6:アルギニンの添加により、様々な実験セットアップにおける濾過プロセス時間が改善される
C1をモデルベクターとして用いて濾過を行い、清澄化した採取物を得た。安定化剤としてのアルギニンの効果を調べるために、レンチウイルスベクターを含む出発物質に1Mアルギニン-HClを添加して、50mMの最終アルギニン濃度を達成した。清澄化した採取物を未処理の対照として使用した。
清澄化採取物サンプルをPIPES製剤化用緩衝液(20mM PIPES、75m MNaCl、73mMスクロース、pH 6.5)を用いて濾過し、レンチウイルスベクター溶液を濃縮し、緩衝剤で再度処理した。濃縮し、緩衝剤で再処理したレンチウイルスベクター溶液を濾過スキッドから回収し、ホールドアップ体積のPIPES濾過バッファーでシステムをフラッシングした。
第1濾液中のHEK-293T細胞の形質導入単位(TU)力価の測定は、実施例1に記載のバイオ分析試験方法に従って行った。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によるp24の測定は、実施例1に記載の通りに実施した。データから、アルギニンの存在下では、サンプルを限外濾過に付した対照ランと比較して、処理時間が244分から145分に短縮されることがわかった(図6)。結論として、アルギニン(最終濃度50mM)を添加すると、プロセス時間が約40%改善された。
実施例7:アルギニンの存在により、濾過中のベクター回収率が向上した
この実験では、アルギニンの添加がその後の濾過ステップのベクター回収率に及ぼす影響について説明する。
清澄化採取物を調製し、50mMのアルギニンを添加した。未処理の清澄化採取物を対照として使用した。いずれのサンプルについても、200mLの清澄化採取物を使用した。アルギニンを含む清澄化採取物中のベクター濃度は、4.8E+06TU/mLであったのに対し、対照清澄化採取物サンプル中の出発濃度は、9.5E+06TU/mLであった。清澄化採取物は、当業者に周知のウイルス精製手順に従って濾過及び濃縮した。
アルギニンを含むサンプルは、22.3mLの最終体積と、3.7E+07TU/mLのベクター濃度を有し、85%のベクター回収率が得られたのに対し、アルギニンを含まない対照サンプルは、最終体積が20.5mL、ベクター濃度が3.7E+07TU/mLで、40%のベクター回収率のみをもたらした(図7)。
実施例8:サンプルを濾過試験に供した後の清澄化採取物のさらなる精製
この実験では、清澄化採取物のさらなる精製手順について説明する。
清澄化採取物に1Mアルギニン-HClを添加し、50mMの最終アルギニン濃度を達成した。このサンプルを実施例6に記載のように使用される濾過に付して、第1の精製中間体を得た。サンプルに対して50U/mLを用いるベンゾナーゼ処理を実施した。カラムの平衡化及び洗浄のためにPIPES交換バッファーを用いて、クロマトグラフィーを実施した。
クロマトグラフィー後に得られた精製中間体(第1の濾液)に、75mMのアルギニンの最終濃度まで1Mアルギニン-HClを添加し、PIPES製剤バッファーを用いる濾過に付した。さらなる分析のために第2の濾液を収集した。
実施例9:アルギニンの存在下において、レンチウイルス下流プロセスのいずれの濾過ステップでも頑健な高ベクター回収率を達成することができる
この実験では、濾過ステップ前にアルギニン添加を実施すると、ベクターの回収率がさらに向上することを説明する。
この下流プロセスは、Expi293F細胞株を用いて生産されたM1構築物及びRCV構築物の精製に使用した。生成物M1の様々なベクター構築物を用い、濾液1及び濾液2の前の75mMのアルギニン添加を、様々なベクター濃度について、また複数の構築物に対して試験した。
濾液1の場合、3168mLの平均出発体積(範囲:3031~3224mL)及び7.5E+06TU/mLの平均TU力価(範囲:4.3E+06~1.2E+07TU/mL)を使用した。濃縮及び濾過後、回収された濾液1濃縮物は、564mLの平均体積(範囲:526~611mL)及び3.6E07TU/mLのTU力価(範囲:1.9E+07~5.7E+07TU/mL)を有した。従って、全体の濃度係数は約5.6であり、形質導入単位換算のベクター回収率は平均85%であった(図8)。
濾液2の場合、559mLの平均出発体積(範囲:522~592mL)及び2.6E+07TU/mLの平均TU力価(範囲:1.5E+07~4.1E+07TU/mL)を使用した。濃縮及び濾過後、回収された濾液2濃縮物は、46.3mLの平均体積(範囲:24.3~74.4mL)及び3.4E+08TU/mLのTU力価(範囲:1.3E+08~1.0E+09TU/mL)を有した。従って、全体の濃度係数は約13.5(範囲:7.5~22.6)であり、形質導入単位換算のベクター回収率は平均87%であった(図8)。
実施例10:アルギニンは、凝集体の存在を濃度依存的に減少させる
この例では、凝集体の存在に対するアルギニンの影響について説明する。
実施例8による精製の終了後に濾液2サンプルを採取し、以下のように処理した:(1)1サンプルを0.825Mアルギニンと混合して、150mMの最終アルギニン濃度を達成した。(2)別のサンプルを等量の2.475mMのアルギニンと混合して、300mMの最終アルギニン濃度を達成した。(3)最終アルギニン濃度を75mM(実施例9で得られた濾液2濾液と同様)に保持すると共に、他の2つのサンプルへのアルギニンの添加による希釈を考慮するために、対照サンプルを等量のPIPES製剤化用緩衝液で処理した。マイクロフローイメージング(MFI)によりサブビジブル粒子についてサンプルを分析した。
アルギニンの存在は、濃度依存的に粒子数及び粒子サイズを低減することがわかった(図9)。アルギニンの添加は、レンチウイルス粒子に凝集に対する耐性を付与すると思われた。結論として、アルギニンは、精製プロセスにおけるレンチウイルスベクターの収率を向上させるためのレンチウイルスベクターの精製に好適な安定化剤であることが判明した。
実施例11:ベンゾナーゼの存在は、DNA不純物を減少させた
この実施例では、DNA不純物に対するベンゾナーゼの影響について説明する。
レンチウイルス生産は、a)ベンゾナーゼ添加時間の変更;及び/又はb)ベンゾナーゼの量の変更を除いて、実施例5に記載の通り、250mLSFで実施した。実施例5では、24HPTでベンゾナーゼを24U/mLの濃度で添加した。表12a)からわかるように、LVV(C1)の第1バッチの場合、実験は、3HPTと24HPTの両方で、5U/mL、15U/mL、25U/mL及び50U/mLと、ベンゾナーゼの添加を変動させることを含んだ。
図10からわかるように、ベンゾナーゼ濃度及び添加時点を変動させた場合、採取物で2.9E+7~4.3E+7TU/mLを示す感染LVVの生産性(TU/mL-TUアッセイ)又は採取物でのPP/IP(物理粒子/感染性粒子)の比に対するベンゾナーゼの影響は一切なかった。しかし、トランスフェクション後にベンゾナーゼを添加した後、総DNA量が有意に減少した(図11)。これらの結果は、6HPTでベンゾナーゼをさらに添加したLVV生産の2回目のバッチ(C1)でさらに確認された(表12b;図12)。
これらのデータは、様々な濃度及び時間でのベンゾナーゼの添加は、感染性LVVの生産性に影響を与えないが、生産に影響を与える可能性のあるDNA不純物の濃度を有意に低下させることを示す。
実施例12:インキュベーション時間及び複合体形成量
この実施例では、インキュベーション時間及び複合体形成量の影響について説明する。
レンチウイルス生産は、a)インキュベーション時間の変更;及び/又はb)複合体形成量の変更を除いて、実施例5に記載の通り、250mLのSFで実施した。実施例5では、FectoVIR(登録商標)-AAV(Ref 120-100、Polyplus)をトランスフェクション試薬として使用した。0.4μgのDNA/E6細胞をOpti-MEM(商標)I還元血清培地(5w/v%)中でFectorVIR-AAV(登録商標)(0.4μL/1E6細胞)と混合し、30分間インキュベートして、トランスフェクション複合体(C1)を形成させた。この例では、15分、30分、45分及び60分のインキュベーションで、複合体形成量を5w/v%、7.5w/v%及び10w/v%から変動させた(表13a)。
図13からわかるように、複合体形成量の増加によるトランスフェクション効率へのプラスの影響は観察されなかった。さらに、15~60分のインキュベーションの場合、5%の複合体形成量で同様のLLV生産性(採取物で約2E+7TU/mL)が観察された。5%の複合体形成量についてのこれらの結果は、10分、15分、20分、30分、45分及び60分でLVV(I1)を含むデュアルCARを使用する2回目のバッチLVV製造でさらに確認された(図14)。
これらのデータは、インキュベーション時間と複合体形成量の変動が、感染性LVVの生産性に影響を与えないことを示し、且つインキュベーション期間にわたるトランスフェクション複合体の安定性を示している。
実施例13:プロセスの頑健性
この実施例は、2つの異なる構築物(C1とI1)を使用した様々なスケールでの生産プロセスの頑健性を実証する。
レンチウイルス生産は、生産規模の変更を除いて、実施例5に記載の通りに実施した。まず、図15は、構築物I1の50Lスケールでの攪拌タンクバイオリアクターでの細胞増殖を示す。様々な構築物での頑健性をさらに調べるために、図16は、4つの異なるスケール(50L、2.6L、2.5Lの振盪フラスコ(SF)及び100mL SF)で2つの異なる構築物(C1及びI1)を使用したプロセスの頑健性を示している。
これらのデータは、例えば、このプロセスが、様々な構築物を用いた複数のスケールで、再現性且つ頑健性を有し、多くの異なるLVVの生産に使用できることを示している。
参照による組込み
本明細書に記載されるあらゆる刊行物、特許及びアクセッション番号は、各々の刊行物又は特許が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されているのと同様に、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
均等物
本明細書に引用されるあらゆる特許、特許出願及び刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様及び変形形態は、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることが明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような態様及び均等な変形形態の全てを含むと解釈されることが意図される。

Claims (104)

  1. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を提供するステップと、
    b)前記複数の哺乳動物細胞を、
    i)FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬、及び
    ii)治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)及びウイルス粒子にパッケージングするための十分なLTR配列をコードする核酸並びに任意選択でレンチウイルスパッケージングタンパク質、レンチウイルスエンベロープタンパク質をコードする核酸
    と、少なくとも前記細胞のサブセットに前記核酸が導入されることを可能にする条件下で接触させるステップと、
    c)前記レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で前記細胞を培養するステップと
    を含む方法。
  2. 前記複数の哺乳動物細胞が50Lの培養物中にある場合、他には同様の100mlの培養物中における培養物1ml当たりの形質導入単位数の50%、60%、70%又は80%以上である、培養物1ml当たりの前記形質導入単位数をもたらす、請求項1に記載の方法。
  3. 実施例5に記載の条件下で使用された場合、少なくとも1×10若しくは3×10又は少なくとも1×10の形質導入単位をもたらす、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 1188:1、953:1及び1800:1以下のPP(物理的粒子):IP(感染性粒子)の比をもたらす、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記哺乳動物細胞は、293細胞、例えばExpi293F細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記FectoVIR(登録商標)-AAVは、0.3~0.6μlのFectoVIR(登録商標)-AAV/百万細胞、例えば約0.4μl/百万細胞の濃度で使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記核酸は、0.3~0.6μgの核酸/百万細胞、例えば約0.4μg/百万細胞の濃度で使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. FectoVIR(登録商標)-AAV:トランスフェクションのためのDNAの比は、1:0.5~1:2、例えば約1:1である(ここで、任意選択で、前記トランスフェクションのためのDNAは、前記治療用エフェクターをコードするDNA、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質をコードするDNA及びレトロウイルスエンベロープタンパク質をコードするDNAを含む)、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬は、前記核酸と複合体化される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ステップb)前に前記FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を前記核酸と混合するステップをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記トランスフェクション試薬と前記核酸との複合体形成量は、約1%~約15%、例えば約1%~約10%(例えば、約5~7.5%又は7.5~10%)である、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記複合体形成量は、3~7%、4~6%又は約5%である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬と前記核酸とは、複合体形成が起こることを可能にするのに十分な時間、例えば約10~90分、例えば15~60、例えば15~30、30~45又は45~60分にわたってインキュベートされる、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を約6.9超又は約6.9~7.3、例えば約7.0~7.1のpHで培養するステップ、
    b)ステップa)に続いて、培養物の前記pHを約6.0~6.8、例えば6.6~6.8、例えば約6.7に調節するステップ、
    c)ステップb)に続いて、前記培養物をトランスフェクション試薬及びDNAと接触させるステップ
    を含む方法。
  15. 前記トランスフェクション試薬は、FectoVIR(登録商標)-AAVトランスフェクション試薬を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記DNAは、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする、請求項14又は15に記載の方法。
  17. a)は、約2~4日間、例えば約3日間にわたって前記細胞を培養するステップを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ステップb)とステップc)との間において、前記細胞を培養する追加のステップをさらに含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. ステップc)後に前記細胞を培養する追加のステップをさらに含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. ステップb)は、前記pHを約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1だけ低下させるステップを含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. ステップa)前に、前記複数の哺乳動物細胞は、0.1×10細胞/mL~0.3×10細胞/mL(例えば、約0.15×10細胞/mL又は約0.2×10細胞/mL)で最終体積の培養培地(例えば、FreeStyle(商標)培地)に接種される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記複数の哺乳動物細胞は、ステップa)の50~80時間(例えば、約55時間、約60時間、約65時間、約70時間、約72時間、約75時間又は約80時間)前に接種される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記複数の哺乳動物細胞は、トランスフェクションでの好適な細胞密度(例えば、約1.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mL(例えば、1.5×10細胞/mL~2.5×10細胞/mL)への細胞増殖及び増幅を可能にするのに好適な条件下で培養される、ステップ21又は22に記載の方法。
  24. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)前記レンチウイルスベクター及び少なくとも1つの不純物を含む組成物を提供するステップ(例えば、ここで、前記組成物は、清澄化された細胞採取物又は濾液を含む)と、
    b)前記組成物をアルギニン又はその塩と接触させるステップと
    を含む方法。
  25. i)前記アルギニンは、約25~50mM(約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMのアルギニン)の濃度であること、又は
    ii)前記アルギニンは、例えば、実施例7によるアッセイにおいて、他には同様の組成物と比較して、前記レンチウイルスベクターの形質導入単位のレベルを約10%~300%、20%~180%、30%~160%、50%~150%、75%~125%又は約100%だけ増加させるのに十分な濃度であること、
    iii)ステップb)後、前記組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり400,000、300,000、200,000又は100,000未満の総粒子濃度を示し、任意選択で、前記粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
    iv)ステップb)後、前記組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約5,000、4,500、4,000、3,500、3,000又は2,500未満の、≧10μmの粒子の濃度を示し、任意選択で、前記粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
    v)ステップb)後、前記組成物は、例えば、実施例10に記載のアッセイにおいて、マイクロフローイメージングによって測定された場合、1ml当たり約500、400、300又は200未満の、≧25μmの粒子の濃度を示し、任意選択で、前記粒子は、凝集されたレンチウイルスを含むこと、
    vi)ステップb)後、前記組成物は、前記アルギニン又はその塩を添加しないこと以外には同様の濾液と比較して、前記レンチウイルスベクターの低減された凝集を示すこと、
    vii)前記レンチウイルスベクターの形質導入単位の回収率は、例えば、実施例7によるアッセイで測定された場合、アルギニンを添加しないこと以外には同様の対照よりも例えば少なくとも約10%、20%、50%、100%又は200%だけ高いこと
    の1つ又は複数である、請求項24に記載の方法。
  26. b)は、前記組成物を、前記アルギニン及び緩衝液を含む溶液と接触させるステップを含み、任意選択で、前記緩衝液は、PIPESであり、任意選択で、前記PIPESは、前記溶液中において約10mM~約50mM、例えば約20mMの濃度である、請求項24又は25に記載の方法。
  27. 前記溶液は、約6.0~約7.0、例えば約6.5のpHを有する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記溶液は、塩をさらに含み、任意選択で、前記塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択され、例えば塩化ナトリウムである、請求項26又は27に記載の方法。
  29. 前記塩は、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mMの濃度で前記溶液中に存在する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記溶液中の前記濃度の前記塩は、約6.5のpHを有する、請求項28又は29に記載の方法。
  31. 前記溶液は、炭水化物、例えば非還元炭水化物、例えばスクロース又はトレハロースをさらに含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記炭水化物は、前記溶液の約1~約10重量/体積%、例えば前記溶液の約2~約5重量/体積%、前記溶液の約2.5重量/体積%の濃度で溶液中に存在する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記炭水化物は、約30~150mM(約73mM)又は150~300(例えば、約220)mMの濃度で前記溶液中に存在する、請求項31又は32に記載の方法。
  34. 前記溶液は、NaCl(例えば、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mM)と、スクロース(例えば、約30~150mM、例えば約73mM若しくは例えば約150~300mM、例えば約220mM又は前記溶液の約2.5重量/体積%)との一方又は両方をさらに含む、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び前記溶液の2.5重量/体積%のスクロースを含み、前記溶液は、約6.5のpHを有する、請求項26に記載の方法。
  36. 前記溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び73mMのスクロースを含み、前記溶液は、約6.5のpHを有する、請求項26に記載の方法。
  37. 前記溶液は、20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び220mMのスクロースを含み、前記溶液は、約6.5のpHを有する、請求項26に記載の方法。
  38. 前記溶液は、20mMのPIPES、75mMのアルギニン、例えばアルギニン-HClをさらに含み、前記溶液は、約6.5のpHを有する、請求項26に記載の方法。
  39. 前記溶液の浸透圧は、約270mOsm/kg~約330mOsm/kg、例えば約275mOsm/kg~約300mOsm/k、例えば約285mOsm/kgである、請求項26~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. c)b)の前記組成物に対して精製ステップ、例えば濾過ステップを実施し、それにより前記レンチウイルスベクターを含む半精製組成物を生成するステップをさらに含む、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. ステップc)後、前記半精製組成物をアルギニン又はその塩と接触させるステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記アルギニンは、前記レンチウイルスベクターを被包する、請求項24~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記アルギニンは、前記レンチウイルスベクターを安定化する、請求項24~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記不純物は、タンパク質(例えば、宿主細胞タンパク質)、核酸(例えば、宿主細胞核酸)、炭水化物(例えば、宿主細胞炭水化物)、脂質、酵素、塩、緩衝液又はそれらの任意の組合せを含む、請求項24~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. トランスフェクションでの前記細胞密度は、約1.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mL(例えば、1.5×10細胞/mL~2.5×10細胞/mL)である、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記細胞の生存率は、トランスフェクション時に少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)であるか又はそのように評価される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記細胞の前記生存率は、トランスフェクション時又はその前後(例えば、トランスフェクション前の30分以内)に測定される、請求項46に記載の方法。
  48. 2つ以上の核酸(例えば、2つ以上のプラスミド、例えば2つのプラスミド、3つのプラスミド、4つのプラスミド又は5つのプラスミド)を用いたプロセスに使用される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. レンチウイルスベクター、アルギニン、1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)緩衝液及び塩を含む水性組成物。
  50. 前記水性組成物中の前記アルギニンは、約25~50mM(約50mM)、50~100mM(例えば、約75mM)、100~200mM(例えば、約150mM)又は200~400(例えば、約300)mMのアルギニン)の濃度であり、任意選択で、前記PIPES水性組成物は、約10mM~約50mM、例えば約、例えば20mMの濃度である、請求項49に記載の水性組成物。
  51. 約6.0~約7.0、例えば約6.5のpHを有する、請求項49又は50に記載の水性組成物。
  52. 塩をさらに含み、任意選択で、前記塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される、請求項49~51のいずれか一項に記載の水性組成物。
  53. 前記塩は、塩化ナトリウム(NaCl)である、請求項49~52のいずれか一項に記載の水性組成物。
  54. 前記水性組成物中の前記塩は、約25mM~約150mM、例えば約50mM~約75mMである、請求項49~53のいずれか一項に記載の水性組成物。
  55. 20mMのPIPES及び75mMの塩化ナトリウムを含み、約6.5のpHを有する、請求項49~54のいずれか一項に記載の水性組成物。
  56. 炭水化物、例えば非還元炭水化物、例えばスクロース又はトレハロースをさらに含む、請求項49~55のいずれか一項に記載の水性組成物。
  57. 前記炭水化物は、前記溶液の約1~約10重量/体積%、例えば前記水性組成物の約2~約5重量/体積%、前記水性組成物の約2.5重量/体積%の濃度で前記水性組成物中に存在する、請求項49~56のいずれか一項に記載の水性組成物。
  58. 前記炭水化物は、約30~150mM(約73mM)又は150~300(例えば、約220)mMの濃度で前記水性組成物中に存在する、請求項49~57のいずれか一項に記載の水性組成物。
  59. NaCl(例えば、約25~150mM、例えば50~100mM、例えば約75mM)と、スクロース(例えば、約30~150mM、例えば約73mM若しくは例えば約150~300mM、例えば約220mM又は前記水性組成物の約2.5重量/体積%)との一方又は両方を含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の水性組成物。
  60. 20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び前記水性組成物の2.5重量/体積%のスクロースを含み、約6.5のpHを有する、請求項49~59のいずれか一項に記載の水性組成物。
  61. 20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び73mMのスクロースを含み、約6.5のpHを有する、請求項49~60のいずれか一項に記載の水性組成物。
  62. 20mMのPIPES、75mMの塩化ナトリウム及び220mMのスクロースを含み、約6.5のpHを有する、請求項49~61のいずれか一項に記載の水性組成物。
  63. 前記水性組成物の浸透圧は、約270mOsm/kg~約330mOsm/kg、例えば約275mOsm/kg~約300mOsm/k、例えば約285mOsm/kgである、請求項49~62のいずれか一項に記載の水性組成物。
  64. 請求項49~63のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクターは、約3×10TU/mL~約5×10TU/mLの濃度で存在する、請求項49~63のいずれか一項に記載の水性組成物。
  65. ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒト血清アルブミン(rHSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)及びリポタンパク質からなる群から選択される1つ又は複数のタンパク質を含まない、請求項49~64のいずれか一項に記載の水性組成物。
  66. レンチウイルスベクターは、導入遺伝子、例えばタンパク質、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を含むタンパク質をコードする導入遺伝子を含む、請求項1~65のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  67. 前記CARは、N末端からC末端の方向に、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び1つ又は複数のシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~66のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  68. 前記シグナル伝達ドメインは、1つ若しくは複数の一次シグナル伝達ドメイン及び/又は1つ若しくは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~67のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  69. 前記1つ又は複数の一次シグナル伝達ドメインの1つは、CD3-ζ刺激ドメインを含む、請求項1~68のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  70. 前記共刺激シグナル伝達ドメインの1つ又は複数は、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される共刺激タンパク質から選択される細胞内ドメイン、例えば4-1BB(CD137)共刺激ドメイン又はCD28共刺激ドメインを含む、請求項1~69のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  71. 前記抗原結合ドメインは、scFvである、請求項1~70のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  72. 前記抗原結合ドメインは、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1;C型レクチン様分子-1、CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvlll);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3;TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((Tn Ag)又は(GalNAca-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD1 17);インターロイキン-13受容体サブユニットα-2;メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21;血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胎児性抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシン-プロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ;前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2変異型(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、βタイプ、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びエーベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質;チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3;トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分;乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレナリン受容体β3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51 E2(OR51 E2);TCRγオルタネートリーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);染色体12pに位置するETS転座変異遺伝子6(ETV6-AML);***タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53変異体;プロステイン;サバイビン;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1、T細胞によって認識される黒色腫抗原1;ラット肉腫(Ras)変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);肉腫転座切断点;黒色腫アポトーシス阻害剤(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニル-トランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄細胞腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X切断点2(SSX2);後期糖化最終産物受容体(RAGE-1);腎臓ユビキタス1(RU1);腎臓ユビキタス2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックプロテイン70-2変異型(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);及び免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)からなる群から選択される抗原、例えばCD19、CD22、メソテリン又はCD123に結合する、請求項1~71のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  73. 前記CARは、抗CD19抗体又はそのフラグメント、4-1BB(CD137)膜貫通ドメイン及びCD3-ζシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~72のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  74. 第2の導入遺伝子、例えば第2のタンパク質、例えば第2のキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のタンパク質をコードする第2の導入遺伝子を含む、請求項1~73のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター。
  75. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップと、
    b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を前記細胞に導入するステップと、
    c)ステップb)の約2~6(例えば、約3)、4~10(例えば、6)、6~40、10~40、10~30(例えば、約24)又は約20時間後の時点で前記細胞をベンゾナーゼと接触させるステップと、
    d)前記レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で前記細胞を培養するステップと
    を含む方法。
  76. ベンゾナーゼは、前記細胞からレンチウイルスベクターを採取する6~10時間、10~20時間、20~30時間、30~40時間又は40~50時間前に添加される、請求項75に記載の方法。
  77. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)ヒト細胞(例えば、293細胞)の集団を提供するステップ、
    b)レトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸を前記細胞に導入するステップ、
    c)(例えば、ステップbの3~24時間後に)前記細胞をベンゾナーゼと接触させるステップ、
    d)前記レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で前記細胞を培養するステップ、
    e)ステップc)の6~10時間、10~20時間、20~30時間、30~40時間又は40~50時間後、細胞から前記レンチウイルスベクターを採取するステップ
    を含む方法。
  78. ベンゾナーゼは、約10~40U/mL、例えば20~30U/mL、例えば約25U/mLの濃度である、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. ベンゾナーゼは、約3~60U/mL、3~10U/mL、3~7U/mL、4~6U/mL又は約5U/mLの濃度である、請求項75~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記ベンゾナーゼは、5~50、5~15、15~25又は25~50U/mLの濃度である、請求項75~79のいずれか一項に記載の方法。
  81. ステップc)前に前記ベンゾナーゼを例えば約1~5mM、1~3mM又は約2mMのMgClと接触させるステップをさらに含む、請求項75~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. レンチウイルスベクターを製造する方法であって、
    a)複数の哺乳動物(例えば、ヒト)細胞を提供するステップであって、前記複数の哺乳動物細胞は、SV40ラージT抗原を含まず(例えば、ここで、前記細胞は、線維芽細胞、例えば胎児性腎線維芽細胞、例えばExpi293F細胞である)、前記複数の哺乳動物細胞は、1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質、レトロウイルスエンベロープタンパク質及び治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードする核酸(例えば、DNA)を含む、ステップ、
    b)前記レンチウイルスベクターの生産に好適な条件下で前記細胞を培養するステップ
    を含む方法。
  83. a)は、前記核酸を前記複数の哺乳動物細胞に導入するステップを含む、請求項82に記載の方法。
  84. 前記複数の哺乳動物細胞から前記レンチウイルスベクターを少なくとも部分的に分離するステップをさらに含む、請求項75~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記1つ又は複数のレトロウイルスパッケージングタンパク質は、レンチウイルスgag、レンチウイルスpol若しくはレンチウイルスrev又はそれらの任意の組合せを含む、請求項83又は84に記載の方法。
  86. 前記レトロウイルスエンベロープタンパク質は、VSV-Gを含む、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
  87. レンチウイルスベクターの調製物であって、
    a)治療用エフェクター、例えば治療用タンパク質(例えば、CAR)をコードするレンチウイルスゲノムと、
    b)前記レンチウイルスゲノムを被包するエンベロープ(ここで、任意選択で、前記エンベロープは、VSV-Gを含む)と
    を含む複数のレンチウイルスベクターを含み、
    少なくとも5×10、1×10、1×10又は1×1010の形質導入単位を含み、
    SV40ラージT抗原をコードする、10μg/ml未満又は1μg/ml未満の核酸(例えば、DNA)を含む調製物。
  88. 前記複数のレンチウイルスベクターは、少なくとも1×10、2×10、5×10又は1×1010、2×1010、5×1010、1×1011、2×1011、5×10又は1×1012の前記細胞を含む、請求項83~87のいずれか一項に記載の方法。
  89. 前記複数の哺乳動物細胞は、少なくとも5、10、20、50、100、200又は500Lの培養液量中にある、請求項83~88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 前記複数の哺乳動物細胞を無血清培地で培養するステップを含む、請求項83~89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記複数の哺乳動物細胞は、懸濁液中で増殖される、請求項83~90のいずれか一項に記載の方法。
  92. 前記CARは、CD19 CAR(例えば、国際公開第2014153270A1号パンフレットに記載されるように、例えばヒト化CD19 CAR)を含む、請求項83~91のいずれか一項に記載の方法。
  93. 前記CARは、デュアルCAR(例えば、国際公開第2016164731A2号パンフレットに記載されるように、例えばヒト化CD19-CD22 CAR)を含む、請求項83~91のいずれか一項に記載の方法。
  94. CARをコードする前記核酸は、例えば、国際公開第2017049166A号パンフレットに記載されるように、shRNAをさらにコードする、請求項83~91のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記レンチウイルスベクターは、血清の非存在下で培養された細胞中で生産される、請求項83~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記レンチウイルスベクターは、動的光散乱(DLS)によって測定された場合、100±25nmの流体力学的半径によって特徴付けられる、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  97. 前記レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内で100±25nmの前記流体力学的半径を維持する、請求項1~96のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  98. 前記レンチウイルスベクターは、10%~25%の多分散性によって特徴付けられる、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  99. 前記レンチウイルスベクターは、25℃~55℃の温度範囲内で10%~25%の前記多分散性を維持する、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  100. 前記レンチウイルスベクターは、3回の凍結/融解サイクル後、前記凍結/融解サイクル前の前記水性組成物中の前記レンチウイルスベクターの濃度と比較して、約70%~約100%の前記濃度を維持し、前記凍結/融解サイクルの各々は、前記水性組成物を凍結し、且つ続いて前記水性組成物を室温で融解させることを含む、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  101. 前記レンチウイルスベクターは、6~10回の前記凍結/融解サイクル後、例えば6~9回の前記凍結/融解サイクル後、約70%~約100%の前記濃度を維持する、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法又は組成物。
  102. レンチウイルスベクターと、リン酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸(MOPS)緩衝液からなる群から選択される緩衝液と、塩とを含む水性組成物。
  103. 前記塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される、請求項102に記載の水性組成物。
  104. スクロース及びトレハロースからなる群から選択される非還元炭水化物をさらに含む、請求項101又は103に記載の水性組成物。
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