JP2024087249A - 加工評価装置 - Google Patents

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久修 小林
淳司 久原
知也 森
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Abstract

Figure 2024087249000001
【課題】工作機械により工作物を加工する際の共振リスクを評価する加工評価装置を提供する。
【解決手段】加工評価装置3bは、回転体を備え工具で工作物を除去加工する工作機械の加工結果を評価するものである。そして、加工評価装置3bは、加工点動特性取得部150により取得された接触動剛性データ、工作物支持動剛性データ、工具支持動剛性データ、工作物及び工具の質量に基づいた加工点動特性に基づいて共振周波数帯算出部151により共振周波数帯を算出する。そして、共振リスク評価部153により、回転周波数取得部152によって取得された工作機械の回転体の回転周波数と共振周波数帯とに基づいて、共振の発生又は共振の発生に起因する加工品質不良の発生に関するリスクを評価する。
【選択図】図3

Description

本発明は、加工評価装置に関する。
工作物を加工する工作機械において、加工結果を高精度に推定するには、推定過程において工作物と工具との相対位置の補正を行う必要がある。特許文献1に開示の構成では、工作物を砥石車により研削加工する場合に、研削抵抗に加えて、工作物の支持剛性および砥石車の支持剛性とともに、工作物と砥石車との間における接触静剛性を加味し、工作物と砥石車との相対位置の補正を高精度に行って、工作物の加工結果を推定する。ここで用いられる接触静剛性は、砥石車を静止しているときに測定した値ではなく、研削時における理論接触静剛性を用いて算出している。接触静剛性は、工作物と砥石車との間のばね定数Kにより表される。そして、解析上の工作物質量は、非加工時の動特性から算出した値を固定値として用いている。
特開2015-208812号公報
本願発明者らはこれまでに、特許文献1に開示の構成において、ばね定数Kにより表される接触静剛性に替えて、ばね定数Kと減衰係数Cにより表される接触動剛性を用いることでより高精度に加工結果の推定を行うことを提案している。そして、本願発明者らは、工作機械に備えられた工具主軸を回転駆動させる駆動装置などには所定の回転周波数で回転する回転体が備えられており、当該回転周波数が工作物の加工時の動特性から算出される共振周波数帯に一致すると、当該工作物の加工時に工作物と当該駆動装置等とが共振して加工びびりが発生し、加工精度の低下を招くという新たな課題を見出した。
本発明は、工作機械により工作物を加工する際の共振リスクを評価する加工評価装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、回転体を備え工具で工作物を除去加工する工作機械の加工結果を評価する加工評価装置であって、
上記工作機械に備えられた回転体の回転周波数を取得する回転周波数取得部と、
上記工具による上記工作物の加工の状態に応じて変化する加工状態指数を取得する加工状態指数取得部と、
上記工作機械の加工条件を取得する加工条件取得部と、
上記加工状態指数に基づいて決定された上記工作物と上記工具との間の動剛性である接触動剛性データと、上記加工条件に基づいて決定された上記工作機械において上記工作物を支持する際に発揮する工作物支持動剛性データと、上記加工条件に基づいて決定された上記工作機械において上記工具を支持する際に発揮する工具支持動剛性データと、上記工作物及び上記工具の質量とに基づいて、上記工作物の加工時の加工点動特性を取得する加工点動特性取得部と、
上記加工点動特性に基づいて共振周波数帯を算出する共振周波数帯算出部と、
上記共振周波数帯と、上記回転体の周波数とに基づいて、共振の発生又は共振の発生に起因する加工品質不良の発生に関するリスクを評価する共振リスク評価部と、
を備える、加工評価装置にある。
上記態様によれば、接触動剛性データ、工作物支持動剛性データ及び工具支持動剛性データを含む加工点動特性に基づいて共振周波数帯を算出し、当該共振周波数帯と工作機械に備えられた回転体の回転周波数とに基づいて共振リスクを評価する。これにより、共振リスクを評価することで、共振の発生や共振の発生に起因する加工品質不良を未然に防止するための対策を講じることが容易となる。
以上のごとく、上記態様によれば、工作機械により工作物を加工する際の共振リスクを評価する加工評価装置を提供することができる。
実施形態1における、加工評価装置を含む加工システムを示す図。 実施形態1における、研削加工時の工作物と砥石車とレスト装置の干渉状態を示す模式図。 実施形態1における、加工評価装置の機能ブロック図。 研削加工時における、工作物と砥石車との干渉状態を示す模式図。 研削加工シミュレーションにおける工作物の形状を径方向の線分群にて表した図であり、研削加工時において径方向の線分で表した工作物が砥石車の外周線に干渉する状態を示す図。 研削加工における接触動剛性、工作物支持動剛性、工具支持動剛性を示す模式図である。 実施形態1における、加工状態指数と接触動剛性データとの対応関係の(a)第1の例を示す図、(b)第2の例を示す図。 実施形態1における、加工状態指数と接触動剛性データとの対応関係の(a)第3の例を示す図、(b)第4の例を示す図。 接触動剛性対応関係作成のための接触動剛性データの取得処理を示すフローチャート。 接触動剛性対応関係作成のための接触動剛性を取得する際における研削盤の平面図。 接触動剛性対応関係作成のための接触動剛性取得処理の一部工程における研削盤の状態を示す図。 実施形態1における、加工状態指数と解析上の工作物質量との対応関係の例を示す図。 実施形態1における、加工点動特性と周波数との関係の例を示す図。 実施形態1における、質量対応関係作成のための解析上の工作物質量の取得処理を示すフローチャート。 実施形態1における、共振リスク評価及び加工結果予測の処理を示すフローチャート。 変形形態1における、加工評価装置を含む加工システムを示す図。 変形形態1における、加工評価装置を含む加工システムを示す図。
(実施形態1)
1.加工システム1の構成
本実施形態1における、加工評価装置3b及び加工システム1について図1を参照して説明する。本実施形態では、加工システム1は、工作機械としての研削盤2と、処理部3とを備える。なお、工作機械は、研削盤2に限らず、旋盤やマシニングセンタであってもよく、旋盤をベースとするとともにバイトに替えて回転工具を備える複合加工機であってもよい。当該複合加工機の場合は、回転工具として穴あけ用ドリルやエンドミルなどを用いることができる。
研削盤2は、工作物Wを回転させ、回転体である工具としての砥石車Tを回転させ、かつ、砥石車Tを工作物Wに対して工作物Wの軸線に交差する方向に相対的に接近させることにより、工作物Wの外周面または内周面を研削する。研削盤2は、テーブルトラバース型の研削盤、砥石台トラバース型の研削盤などを適用可能である。また、研削盤2は、円筒研削盤、カム研削盤等を適用可能である。
本実施形態においては、図1に示すように、工作物Wは、非加工部としての軸部Waと、外周面が研削対象となる複数の加工部Wbとを備える場合を例にあげる。加工部Wbは、例えば、軸部Waと同軸の円筒外周面を有する。ただし、図1に示す工作物Wは、一例であって、研削盤2は種々の形状を有する工作物を研削加工の対象とすることができる。
処理部3は、研削盤2を制御する制御装置3a、および、加工結果を推定する加工評価装置3bを備える。制御装置3aは、研削盤2を制御することにより、研削加工を制御することができる。加工評価装置3bは、研削加工に用いる情報を入力してシミュレーションを行うことにより、工作物Wにおける加工結果を推定する処理を行う。
加工評価装置3bは、研削盤2とは独立したシミュレーション装置として機能させることもできるし、研削盤2と連動して動作するシミュレーション装置として機能させることもできる。前者の場合には、例えば、実際の工作物Wの研削加工を行うことなく、最適な研削加工条件を決定することができる。後者の場合には、加工評価装置3bは、研削盤2による工作物Wの研削加工と並行して処理することにより、例えば、研削加工条件を補正したり、各種制御に影響を及ぼすように動作したりすることができる。また、加工評価装置3bは、研削盤2および制御装置3aの組込みシステムとすることもできる。
2.研削盤2および制御装置3aの構成
研削盤2および制御装置3aの構成の一例について、図1を参照して詳細に説明する。研削盤2は、テーブルトラバース型の円筒研削盤を例にあげる。つまり、当該研削盤2は、工作物Wを工作物Wの軸線方向に移動させ、かつ、砥石車Tを工作物Wの軸線に交差する方向に移動させる構成である。また、本実施形態においては、研削盤2は、砥石車Tにより工作物Wの円筒外周面を研削する場合を例にあげる。
研削盤2は、ベッド10、テーブル20、主軸装置30、心押装置40、砥石台50、定寸装置60、レスト装置70、制御装置3aを備える。ベッド10は、設置面上に設置されている。ベッド10は、X軸方向の正面側(図1の下側)の幅(Z軸方向長さ)が長く形成されており、X軸方向の背面側(図1の上側)の幅が短く形成されている。
ベッド10は、X軸方向の正面側の上面に、Z軸方向に延在するZ軸案内面11を備える。さらに、ベッド10には、Z軸案内面11に沿って駆動するZ軸駆動機構12を備える。本実施形態では、Z軸駆動機構12は、ボールねじ機構12aとZ軸用モータ12bとを備える場合を例にあげる。ボールねじ機構12aが、Z軸案内面11に平行に延在し、Z軸用モータ12bが、ボールねじ機構12aを駆動する。
Z軸駆動機構12を駆動するために、図示しないZ軸用駆動回路およびZ軸用検出器12cが設けられる。Z軸用駆動回路は、アンプ回路を含み、Z軸用モータ12bを駆動する。Z軸用検出器12cは、本実施形態においては、例えば、エンコーダなどの角度検出器であって、Z軸用モータ12bの回転軸の角度を検出する。なお、Z軸駆動機構12は、上記のボールねじ機構12aを備える構成に代えて、リニアモータなどを適用することもできる。
また、ベッド10は、X軸方向の背面側の上面に、Z軸方向に交差する方向に延在する案内面13を備える。本実施形態においては、案内面13は、Z軸に直交するX軸方向に延在するX軸案内面である。さらに、ベッド10には、X軸案内面13に沿って駆動するX軸駆動機構14を備える。本実施形態では、X軸駆動機構14は、ボールねじ機構14aとX軸用モータ14bとを備える場合を例にあげる。ボールねじ機構14aが、X軸案内面13に平行に延在し、X軸用モータ14bが、ボールねじ機構14aを駆動する。
X軸駆動機構14を駆動するために、図示しないX軸用駆動回路およびX軸用検出器14cが設けられる。X軸用駆動回路は、アンプ回路を含み、X軸用モータ14bを駆動する。X軸用検出器14cは、本実施形態においては、例えば、エンコーダなどの角度検出器であって、X軸用モータ14bの回転軸の角度を検出する。なお、X軸駆動機構14は、上記のボールねじ機構14aを備える構成に代えて、リニアモータなどを適用することもできる。
テーブル20は、長尺状に形成されており、ベッド10のZ軸案内面11にZ軸方向(水平左右方向)に移動可能に支持されている。また、テーブル20は、Z軸ボールねじ機構12aのボールねじナットに固定されており、Z軸用モータ12bの回転駆動によってZ軸方向に移動する。
主軸装置30は、工作物支持装置を構成する。主軸装置30は、工作物Wを支持し、工作物Wを回転駆動する。主軸装置30は、テーブル20上のZ軸方向の一端側に配置されている。主軸装置30は、主軸ハウジング31と、工作物主軸32、工作物主軸用モータ33と、主軸センタ34と、主軸用検出器35と、図示しない主軸用駆動回路とを備える。
主軸ハウジング31は、テーブル20上に固定されている。工作物主軸32は、主軸ハウジング31に軸受を介して回転可能に支持される。工作物主軸用モータ33は、工作物主軸32を回転駆動する駆動装置を構成する。主軸センタ34は、工作物Wの軸方向一端の端面を支持する。主軸センタ34は、工作物主軸32に固定されて、主軸ハウジング31に対して回転可能に設けられる。ただし、主軸装置30が、図示しないケレなどの回し部材を備える場合には、主軸センタ34は、主軸ハウジング31に固定されて、主軸ハウジング31に対して回転不能となるように設けられるようにしても良い。また、主軸装置30は、主軸センタ34に代えて、工作物Wを把持するチャックを備えるようにしても良い。なお、チャックは、工作物主軸32に連結されることで回転駆動される。
主軸用検出器35および主軸用駆動回路は、工作物主軸用モータ33を駆動するために設けられている。主軸用検出器35は、本実施形態においては、例えば、エンコーダなどの角度検出器であって、工作物主軸用モータ33の回転軸の角度を検出する。主軸用駆動回路は、アンプ回路を含み、工作物主軸用モータ33を駆動する。
心押装置40は、主軸装置30と共に、工作物支持装置を構成する。心押装置40は、テーブル20上のZ軸方向の他端側に配置されている。心押装置40は、テーブル20上に固定されており、心押センタ41及びラム42を備える。心押センタ41は、Z軸方向に移動可能なラム42を介して工作物Wの軸方向他端の端面に向けて軸方向に押圧されて、工作物Wを支持する。ラム42による押圧力は調整可能に構成されるようにしても良く、スプリング力を調整する手段、流体圧を調整する手段などにより制御可能とすることができる。心押センタ41及びラム42は、回転不能に設けられるようにしても良いし、回転可能に設けられるようにしても良い。また、心押装置40はラム42を有さず、心押センタ41が工作物Wに対して固定された位置に位置決めされるようにしても良い。なお、研削盤2が、工作物Wの内周面を研削加工する場合には、心押装置40は不要である。
砥石台50は、回転工具としての砥石車Tを備え、砥石車Tを回転駆動する。砥石台50は、砥石車Tの他に、砥石台本体51、砥石軸52、砥石車用モータ53、図示しない砥石車用駆動回路を備える。
砥石車Tは、円盤状に形成されている。砥石車Tは、工作物Wの外周面または内周面を研削するために用いられる。砥石車Tは、複数の砥粒を結合剤により固定されて構成されている。砥粒には、アルミナや炭化ケイ素などのセラミックス質の材料などにより形成される一般砥粒、ダイヤモンドやCBNなどの超砥粒などが適用される。
結合剤には、ビトリファイド(V)、レジノイド(B)、ラバー(R)、シリケート(S)、シェラック(E)、メタル(M)、電着(P)、マグネシアセメント(Mg)などが存在する。さらに、砥石車Tは、気孔を有する構成と、気孔を有しない構成とがある。砥石車Tは、結合剤の種類や気孔の有無によって、弾性変形可能な構成である場合と、ほぼ弾性変形しない構成である場合とが存在する。弾性変形可能な砥石車Tにおいて、結合剤の種類、気孔の有無、気孔率などによって、弾性率が異なる。
砥石台本体51は、例えば平面視にて矩形状に形成されており、ベッド10のX軸案内面13にX軸方向(水平前後方向)に移動可能に支持されている。また、砥石台本体51は、X軸ボールねじ機構14aのボールねじナットに固定されており、X軸用モータ14bの回転駆動によってX軸方向に移動する。砥石台本体51は、砥石車Tを支持する工具支持装置を構成する。
砥石軸52は、砥石台本体51に軸受を介して回転可能に支持される。砥石軸52の先端に砥石車Tが固定されており、砥石軸52の回転によって砥石車Tが回転する。すなわち、砥石軸52は工具主軸を構成する。砥石車用モータ53は、砥石軸52を回転駆動する駆動装置を構成する。軸受には、静圧軸受や転がり軸受などが用いられる。
砥石車用モータ53は、例えば、ベルトを介して砥石軸52に回転駆動力を伝達する。ただし、砥石車用モータ53は、砥石軸52と同軸に配置しても良い。一般に、砥石車用モータ53の駆動による砥石車Tの回転速度は、工作物主軸用モータ33の駆動による工作物Wの回転速度に比べて高速である。砥石車用駆動回路は、砥石車用モータ53を駆動するために設けられている。砥石車用駆動回路は、アンプ回路を含み、砥石車用モータ53を駆動する。
上述した通り、工作機械としての研削盤2は、回転体として、砥石軸(工具主軸)52、砥石車用モータ(駆動装置)53、工作物主軸32、工作物主軸用モータ33を備える。なお、図示しないが、回転体は、クーラント供給用ポンプのモータ、潤滑油供給用の油圧ポンプ用のモータ、クーラントや潤滑油の流路に設けられる弁の開閉用のモータなどを含んでいてもよい。
定寸装置60は、ベッド10の上面に設けられ、工作物Wの外径寸法を計測する。定寸装置60は、例えば、工作物Wの外周面に接触可能な一対の接触子を備えており、工作物Wへの接触部位における外径寸法を計測する。
レスト装置70は、図2に示すように、第1アーム71と第2アーム72を備えており、第1アーム71により工作物Wの下部W1を支持しつつ、第2アーム72により、工作物Wにおける工具Tと反対側部W2を工具T側に押圧して滑り支持するように構成されている。また、レスト装置70は、工作物Wへの押圧位置を変更可能なように、図示しない移動機構を介して、Z方向の位置が調整可能となっている。レスト装置70は工作物Wを工具T側に押圧することで、工作物Wが加工の際に工具Tから離れるように変形することを防止する。なお、図2では定寸装置60の図示を省略している。
レスト装置70により工作物Wが支持されることで、被加工部Wbにおける加工点の動特性が変化するため、解析上の工作物質量(M’w(Z’))が変化することとなる。動特性決定部107はこれを考慮して動特性を決定することができる。この場合も本実施形態1の場合と同様の作用効果を奏することができる。なお、レスト装置70を有する場合には、工作物Wの支持は片持ち支持、両持ち支持のいずれでもよい。
制御装置3aは、加工制御を実行するCNC(Computer Numerical
Control)装置およびPLC(Programmable Logic Controller)装置である。つまり、制御装置3aは、研削加工プログラムおよび定寸装置60による計測結果に基づいて、移動装置としてのZ軸駆動機構12およびX軸駆動機構14を駆動して、テーブル20および砥石台50の位置制御を行う。つまり、制御装置3aは、テーブル20および砥石台50などの位置制御を行うことで、工作物Wと砥石車Tとを相対的に接近および離間させる。さらに、制御装置3aは、主軸装置30および砥石台50の制御を行う。また、レスト装置70の制御も行う。つまり、制御装置3aは、工作物主軸32の回転制御および砥石車Tの回転制御を行うとともに、レスト装置70の押し込み量の制御を行う。
3.加工評価装置3bの構成
加工評価装置3bの構成について図3を参照して説明する。加工評価装置3bは、指令値取得部101、推定部102、接触動剛性テーブル記憶部103a、工作物質量テーブル記憶部103b、主工作物支持動剛性テーブル記憶部103c、補助工作物支持動剛性テーブル記憶部103d、工具支持動剛性テーブル記憶部103e、加工条件取得部106、動特性決定部107、補正量算出部108、出力部109を備える。さらに、加工評価装置3bは、加工点動特性取得部150、共振周波数帯算出部151、回転周波数取得部152、共振リスク評価部153、調整部154、表示部155、加工結果予測部156、調整結果可否判定部157を備える。
指令値取得部101は、研削加工において研削盤2を制御するための指令値を取得する。加工評価装置3bが、研削盤2とは独立したシミュレーション装置である場合には、指令値取得部101は、研削加工プログラムおよび研削盤2の構成情報を入力することにより、研削盤2の各部を制御するための指令値を演算により生成する。また、加工評価装置3bが、研削盤2による研削加工と連動して動作するシミュレーション装置として機能する場合には、指令値取得部101は、研削盤2の制御装置3aから直接指令値を取得することができる。
推定部102は、指令値取得部101が取得した指令値を用いて、研削加工シミュレーションを実行することにより、研削加工時における工作物Wまたは砥石車Tの状態、工作物Wの形状、砥石車Tの形状、および、研削盤2の機械状態の少なくとも1つを推定する。
工作物Wの状態は、例えば、工作物Wの振動状態や温度状態などを含む。砥石車Tの状態は、例えば、砥石車Tの振動状態や温度状態、砥石車Tの外周面の部位毎に生じた研削抵抗、砥石車Tの切れ味、砥石車Tを構成する砥粒の状態などを含む。砥粒の状態は、例えば、砥粒の平均突き出し量や砥粒分布などを含む。工作物Wの形状は、研削加工の途中段階の形状、研削加工の終了段階の形状を含む。砥石車Tの形状は、研削加工の途中段階の形状、研削加工の終了段階の形状を含む。研削盤2の機械状態は、研削盤2を構成する部位の振動状態や温度状態などを含む。
本実施形態においては、推定部102は、研削加工シミュレーションにより、工作物Wの形状が逐次変化する処理を行うことで、工作物Wの形状、工作物Wの状態、研削盤2の機械状態を推定対象とする場合を例にあげる。本実施形態においては、砥石車Tは変形しないものとして、研削加工シミュレーションを行う。なお、推定部102は、上記推定対象に加えて、砥石車Tの外周面の部位毎に生じた研削抵抗を推定することもできる。
推定部102は、干渉量算出部111、研削能率算出部112、研削特性決定部113、研削抵抗算出部114を備える。
干渉量算出部111は、指令値取得部101が取得した指令値を用いて得られた工作物Wと砥石車Tとの相対位置、工作物Wの外周面形状、および、砥石車Tの外周面形状に基づいて、工作物Wと砥石車Tとの干渉量を算出する。干渉量は、工作物Wの周方向の各部位における工作物Wの径方向の研削量に相当する。換言すると、干渉量は、砥石車Tにより研削される工作物Wの除去量、詳細には、工作物Wの周方向の各部位における工作物Wの径方向の除去量である。干渉量は、図4に示すように、工作物Wと砥石車Tとが干渉する部分(図4の斜線部分:干渉領域)の体積である。
干渉量算出部111は、当該干渉量を演算処理によって幾何学的に算出する。ここで、干渉量算出部111は、工作物Wの外周面形状、および、砥石車Tの外周面形状を記憶している。図5の右側部分に示すように、工作物Wの外周面形状は、工作物Wの回転中心Owを原点とした極座標上において、複数の径方向の線分群で表現されている。つまり、干渉量算出部111は、工作物Wを等角(α)に分割した外周面上の分割点(図4の白色点)と工作物Wの回転中心Ow(原点)とを結ぶ複数の線分群を、工作物Wの外周面形状として記憶している。図5における白色点にて示す分割点が、砥石車Tによる除去される前の工作物Wの外周面形状として記憶される。
干渉量算出部111は、工作物Wと砥石車Tとの相対位置(軸間距離)および砥石車Tの外周面形状から、工作物Wの各線分と砥石車Tの外周面形状を表す線との交点(図5の黒色点)を決定する。干渉量算出部111は、決定された交点(図5の黒色点)を、砥石車Tにより工作物Wの除去された後の工作物Wの外周面形状として記憶する。つまり、干渉量算出部111は、記憶している工作物Wの外周面形状を変更する。
そして、干渉量算出部111は、除去前の工作物Wの外周面形状を定義する点のうち隣り合う点a1、a2と原点Owとからなる三角形△Ow-a1-a2の面積から、除去後の点b1、b2(砥石車Tとの交点)と原点Owとからなる三角形△Ow-b1-b2の面積を減算する。減算後の面積を、工作物Wの外周面形状を定義する全ての隣り合う点について算出する。
そして、干渉量算出部111は、各減算後の面積を積算し、積算した総和面積に工作物Wの厚みを掛けて干渉量(除去量)を算出する。なお、上記においては、2種類の三角形の面積を算出して、その面積の差分を算出することにより、除去される部分の面積を算出した。この他に、四角形a1-a2-b1-b2を直接算出することにより、除去される部分の面積を算出してもよい。
図3に示すように、研削能率算出部112は、干渉量算出部111により算出された干渉量に基づいて、研削能率(加工能率)Z’を算出する。研削能率Z’は、単位時間当たりの干渉量、すなわち、単位時間において砥石車Tにより研削される工作物Wの体積を算出する。
研削特性決定部113は、工作物Wの材質、砥石車Tの砥粒や結合剤の種類、および、砥石車Tの外周面の状態などに基づいて、研削特性kcを決定する。砥石車Tの外周面の状態は、例えば、砥石車Tの砥粒の摩耗状態や切れ味を表す指標を用いて表現される。ここで、研削特性決定部113は、予め実験や解析などにより各状態における研削特性を記憶しておく。
研削抵抗算出部114は、研削能率Z’および研削特性kcに基づいて、工作物Wの外周面の法線方向(X軸方向)における研削抵抗Fnを算出する。研削抵抗Fnは、研削能率Z’に研削特性kcを乗算することにより得られる(Fn=kc×Z’)。
なお、研削特性kcは、研削能率Z’が大きくなるほど法線方向(X軸線方向)の研削抵抗Fnが大きくなるようなほぼ線形の関係を有する。そして、研削特性kcは、例えば、砥石車Tが摩耗した場合には、当該関係が変化する。例えば、砥石車Tが摩耗した場合には、研削能率Z’に対して、法線方向の研削抵抗Fnが大きくなるように変化する。
接触動剛性テーブル記憶部103aは、工作物Wと砥石車Tとの間の接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を記憶する。特に接触動剛性テーブル記憶部103aは、後述する加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との対応関係を記憶する接触動剛性テーブル記憶部103aを構成する。
主工作物支持動剛性テーブル記憶部103cは、工作物支持装置としての主軸装置30および心押装置40における主工作物支持動剛性データを記憶する。特に、主工作物支持動剛性テーブル記憶部103cは、加工条件と主工作物支持動剛性データとの対応関係を記憶する。補助工作物支持動剛性テーブル記憶部103dは、レスト装置70における補助工作物支持動剛性データを記憶する。特に、補助工作物支持動剛性テーブル記憶部103dは、加工条件と補助工作物支持動剛性データとの対応関係を記憶する。なお、主工作物支持動剛性データと補助工作物支持動剛性データとを統合して、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)が生成される。
工具支持動剛性テーブル記憶部103eは、砥石車支持装置としての砥石台本体51における工具支持動剛性データ(Ct、Kt)を記憶する。特に、工具支持動剛性テーブル記憶部103eは、加工条件と工具支持動剛性データ(Ct、Kt)との対応関係を記憶する。
4.加工条件の取得
図2に示すように、加工条件取得部106は、研削盤2にて研削加工を行う際の加工条件を取得する。詳細には、加工条件取得部106は、推定部102による推定時(処理対象時)の加工条件を取得する。加工条件取得部106が取得する加工条件は、動特性決定部107が各動剛性を算出するために用いる情報である。取得する加工条件は、例えば、工作物Wの種類、工作物支持部材の種類、砥石車Tの種類、主軸センタ34及び心押センタ41による押圧力などであり、レスト装置70を有する場合はレスト装置70の押し込み量及び押圧位置も含む。
加工評価装置3bが、研削盤2とは独立したシミュレーション装置である場合には、加工条件取得部106は、研削盤2の機械構成および研削加工プログラムを入力することにより、動剛性を決定するための条件を取得する。また、加工評価装置3bが、研削盤2による研削加工と連動して動作するシミュレーション装置として機能する場合には、加工条件取得部106は、制御装置3aから研削盤2の機械構成および研削加工プログラムを入力することにより動剛性を決定するための条件を取得しても良いし、研削盤2の制御装置3aから直接条件に関する情報を取得しても良い。
5.動特性決定部107の構成
動特性決定部107は、研削加工に影響を及ぼす動剛性データ及び解析上の工作物質量(M’w(Z’))を決定する。動特性決定部107は、図6に示す、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)および工具支持動剛性データ(Ct、Kt)と解析上の工作物質量(M’w(Z’))を、それぞれ別々に決定する。つまり、動特性決定部107は、接触動剛性決定部121、工作物質量決定部122、工作物支持動剛性決定部123、および、工具支持動剛性決定部124を備える。
接触動剛性(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性(Cw、Kw)、工具支持動剛性(Ct、Kt)および工作物質量(Mw)について、図6を参照して説明する。接触動剛性(Ci(Z’)、Ki(Z’))は、工作物Wと砥石車Tとの間の動剛性である。工作物支持動剛性(Cw、Kw)は、工作物Wを含み、テーブル20、主軸装置30及び装置40に関する工作物W側の動剛性(主工作物支持動剛性)とレスト装置70に関する工作物W側の動剛性(補助工作物支持動剛性)とを統合したものである。また、工具支持動剛性(Ct、Kt)は、砥石車Tを含み、砥石台50に関する動剛性である。工作物質量(Mw)は、工作物Wの質量である。以下、それぞれについて詳述する。
5-1.接触動剛性、加工状態指数
接触動剛性は、工作物Wと砥石車Tとの間の動剛性であって、研削加工する際に工作物Wと砥石車Tとの接触により発揮する動剛性である。接触動剛性は、減衰係数Ciおよびばね定数Kiにより定義される。なお、接触動剛性と区別される接触静剛性は、ばね定数Kのみにより表され、減衰係数Cを含まない。接触動剛性における減衰係数Ciは、工作物Wと砥石車Tとの相対速度と、工作物Wまたは砥石車Tが受ける外力との関係を表す値である。ばね定数Kiは、工作物Wと砥石車Tとの相対位置と、工作物Wまたは砥石車Tが受ける外力との関係を表す値である。
そして、接触動剛性は、研削盤2において、研削加工する際に工具(砥石車T)による工作物Wの加工の状態に応じて変化する加工状態指数に対応する。加工状態指数は、例えば、加工能率(研削能率Z’)、接触弧長さL、g/a(砥粒切り込み深さ/砥粒切れ刃間隔)などを例示できる。加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との対応関係である接触動剛性対応関係は、実測を行うことにより取得することができる。なお、接触弧長さLは、図4に示すように、砥石車Tの軸直交方向断面において、研削加工の際に砥石車Tの外周面のうち工作物Wに接触している円弧長さである。接触弧長さLは、砥石車TのX軸方向の送り速度、砥石車Tの外径、工作物Wの外径などにより変化する。
加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との対応関係である接触動剛性対応関係の例を図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)に示す。図7(a)、(b)に示す例では、加工状態指数としての研削能率Z’を採用しており、研削能率Z’に対して、接触動剛性における減衰係数Ci及びばね定数Kiはいずれも、線形の関係(比例の関係)ではなく非線形の関係を有している。より詳細には、加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との接触動剛性対応関係は、加工状態指数に対する接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))の変化度合いが変動する関係となっており、例えば、横軸を加工状態指数とし、縦軸を接触動剛性データ(CiまたはKi)とした二次平面において、傾きが連続的に変化する曲線を表す関数を近似式として規定することができる。当該近似式は、高次関数とすることができ、例えば、図7(a)、(b)に示した曲線は3次関数で規定される曲線である。
図8(a)及び(b)に示す例では、加工状態指数として接触弧長さLを採用している。この場合は、加工状態指数を研削能率Z’とした場合と概ね同様の傾向を示すが、加工状態指数を研削能率Z’とした場合に比べて3次関数で表す曲線に適合しにくい傾向がある。一方、図7(a)、(b)に示すように加工状態指数を研削能率とした場合には、3次関数で表す曲線に適合しやすく、近似式の作成が容易となるため、加工状態指数として研削能率Z’を使用することが好ましい。なお、加工状態指数をg/aとした場合においても、加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との対応関係は図7(a)、(b)に示す研削能率Z’の場合と概ね同様の傾向を示す。なお、接触動剛性対応関係は、上記曲線に替えて、上記二次平面において複数の直線をつなぎ合わせたものであってもよい。また、上記接触動剛性対応関係は近似式などの関数として規定されることに替えて、複数のデータの対応関係からなるデータテーブルの形式であってもよい。
加工状態指数は加工状態指数取得部125により取得され、加工状態指数と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))との対応関係である接触動剛性対応関係は接触動剛性テーブル記憶部103aに記憶されている。そして、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))は、加工状態指数取得部125により取得された加工状態指数に基づいて、接触動剛性決定部121により決定される。すなわち、加工状態指数取得部125、接触動剛性テーブル記憶部103a及び接触動剛性決定部121により、接触動剛性決定装置が構成される。
5-2.接触動剛性対応関係作成のための接触動剛性取得処理
上述の接触動剛性対応関係を作成するための接触動剛性の取得処理について、図9~図11を参照して説明する。図9に示すように、接触動剛性取得処理は、まず、測定治具4を研削盤2および工作物Wに取り付ける(S1)。測定治具4は、非接触加振器であって、工作物Wに加振力を付与する装置である。図10に示すように、測定治具4は、テーブル20の上面に設けられる。測定治具4は、テーブル20の上面においてZ軸方向の固定位置を調整可能である。
測定治具4は、工作物Wを挿通させた状態で工作物Wを保持する。詳細には、測定治具4には、工作物Wの非加工部としての軸部Waの一部が挿通されており、研削対象となる複数の加工部Wbが測定治具4の外部に位置する。測定治具4に挿入されて保持された工作物Wは、通常の研削加工時と同様に、主軸装置30および心押装置40により支持される。
ここで、測定治具4の構成について、図11(a)~図11(c)を参照して説明する。測定治具4は、ハウジング131、電磁石132、ロータ133、ロックナット134、変位センサ135、制御装置136を備える。ハウジング131は、研削盤2のテーブル20の上面に固定される。さらに、ハウジング131は、Z軸方向に貫通する孔131aが形成されている。
電磁石132は、ハウジング131に埋設されている。ロータ133は、工作物Wの外周面に装着され、工作物Wに一体的に設けられる。ロータ133は、磁性体により形成されており、電磁石132により発生される磁力によって移動する。ロータ133は、円筒状に形成されており、ロータ133の外周面は、ハウジング131の内周面に対して所定の隙間を有して配置される。この隙間が、ロータ133がハウジング131に対して移動可能な距離となる。ロータ133の内周面は、工作物Wの外周面形状に応じて形成されている。ロックナット134は、ロータ133を工作物Wに固定するための部材である。ロータ133の固定方法は、ロックナット134を用いた手段に限らず、種々の手段を採用できる。
変位センサ135は、ハウジング131の内周面寄りの位置に設けられており、ロータ133の外周面との距離を測定する。つまり、変位センサ135は、電磁石132によりロータ133が加振された場合に、ロータ133がハウジング131の内周面に対して接近離間する方向のロータ133の変位(以下、径方向変位と称する)を測定する。
制御装置136は、図11(c)に示すように、電磁石132が加振力を付与するために電磁石132に対して駆動電流を供給する。また、制御装置136は、変位センサ135により測定された変位、すなわちロータ133の径方向変位を取得する。
そこで、図9のS1において、図11(a)に示すように、測定治具4のロータ133に、工作物Wの非加工部としての軸部Waを挿通する。そして、図11(b)に示すように、ロックナット134により工作物Wにロータ133を固定する。
そして、測定治具4のハウジング131をテーブル20に取り付ける。さらに、ロータ133が取り付けられた工作物Wを、主軸装置30および心押装置40により支持した状態とする。このとき、図11(b)に示すように、ロータ133の外周面が、測定治具4のハウジング131の内周面に対向する位置となるように、ハウジング131の位置を調整する。
続いて、研削加工を開始する(S2)。つまり、工作物Wおよび砥石車Tを回転させた状態で、砥石車TをX軸方向に移動して、工作物Wの加工部Wbの外周面を研削加工する。
続いて、測定治具4により加振力を付与する(S3)。測定治具4による加振力の付与は、砥石車Tにより工作物Wを研削加工しながら行われる。付与される加振力は、インパルス加振としても良いし、加振周波数を連続的に変化させるスイープ加振としても良い。加振力の付与は、測定治具4の制御装置136が電磁石132に電流を供給することにより行われる。そして、加振力は、制御装置136により電磁石132に供給される電流により制御される。
続いて、研削加工をしながら加振力を付与した際に、測定治具4の変位センサ135により、ロータ133の径方向変位を測定する(S4)。ここで、ロータ133の変位は、工作物Wにおいてロータ133に固定された部位の径方向変位に一致する。従って、測定治具4の変位センサ135は、工作物Wに加振力を付与した際に、工作物Wに生じる径方向変位を測定している。
続いて、変位センサ135による測定が終了した場合には、研削加工を終了する(S5)。
続いて、研削加工時における総合動剛性データ(Ccom、Kcom)を算出する(S6)。総合動剛性データ(Ccom、Kcom)とは、上述した接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、および、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)により表された総合的な(複合的な)動剛性データである。総合動剛性データ(Ccom、Kcom)は、上述した接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、および、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)の加算値として表される。
上述したように、測定治具4の変位センサ135により測定された径方向の変位は、研削加工しながら工作物Wに加振力を付与した際に測定される。従って、測定される変位は、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)の影響を受けた状態である。そこで、総合動剛性データ(Ccom、Kcom)の算出は、研削加工しながら工作物Wに加振力を付与した際に、加振力と工作物Wの径方向変位との関係より生成されるデータとなる。
続いて、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、および、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)を取得する(S7)。工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)および工具支持動剛性データ(Ct、Kt)は、予めハンマリング試験などにより取得されている。
続いて、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を算出する(S8)。接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))は、総合動剛性データ(Ccom、Kcom)から、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)および工具支持動剛性データ(Ct、Kt)を減算することにより求められる。
続いて、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))の補間処理を行う(S9)。補間処理は、実測により得られた接触動剛性データ(Ci、Ki)を用いて、実測とは異なる研削条件における接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を求める処理である。例えば、接触弧長さL、減衰係数Ciおよびばね定数Kiとの関係を定義した実験式を用いることができる。また、補間処理は、実験式、機械学習、理論計算などを適用することができる。このようにして、取得された接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を用いて、図7(a)、(b)に示す加工状態指数(研削能率)との接触動剛性対応関係を作成することができる。
5-3.工作物支持動剛性
工作物支持動剛性は、上述のように、主工作物支持動剛性と、補助工作物支持動剛性とを統合してなる。主工作物支持動剛性は、図1に示す主軸装置30および心押装置40における支持に関する動剛性であって、研削盤2を構成する工作物支持装置としての主軸装置30および心押装置40により工作物Wを支持する際に発揮する動剛性である。主工作物支持動剛性は、図6に示すように、減衰係数Cwおよびばね定数Kwにより定義される。また、減衰係数Cwは、主軸装置30および心押装置40の基準位置に対する工作物Wの相対速度と、工作物Wが受ける外力との関係を表す値である。ばね定数Kwは、主軸装置30および心押装置40の基準位置に対する工作物Wの相対位置と、工作物Wが受ける外力との関係を表す値である。
また、上述したように、主工作物支持動剛性データは、主工作物支持動剛性テーブル記憶部103cにおいて、上述の加工条件に対応するように記憶されている。例えば、心押センタ41が工作物Wに対して工作物Wの軸方向への押圧力を制御可能な場合において、主工作物支持動剛性データは、心押センタ41による押圧力の変化により心押センタ41と工作物Wとの接触状態が変化することに伴って変化するデータである。主工作物支持動剛性データは、例えば、主軸センタ34および心押センタ41により工作物Wを支持した状態において、心押センタ41による押圧力を変化させてハンマリング試験を行うことにより取得できる。
一方、補助工作物支持動剛性は、図1に示すレスト装置70における支持に関する動剛性であって、上述の主工作物支持動剛性と統合されて、研削盤2において工作物Wを支持する際に発揮する動剛性となる。補助工作物支持動剛性も、図示しない減衰係数およびばね定数により定義される。
また、上述したように、補助工作物支持動剛性データは、補助工作物支持動剛性テーブル記憶部103dにおいて、上述の加工条件に対応するように記憶されている。例えば、補助工作物支持動剛性データは、レスト装置70により工作物Wを支持した状態で、図11(a)、図11(b)に示す測定治具4によって非加工時において加振したときの動剛性と、レスト装置70による工作物Wの支持をしない状態で、非加工時において測定治具4によって加振したときの動剛性との比較結果から算出して取得することができる。
そして、工作物支持動剛性決定部123により、主工作物支持動剛性テーブル記憶部103cに記憶された主工作物支持動剛性データ、補助工作物支持動剛性テーブル記憶部103dに記憶された補助工作物支持動剛性データとから、加工条件取得部106にて取得した加工条件に対応する工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)を決定する。
5-4.工作物質量
解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、解析上の工作物Wの質量であって、加工状態指数と相関する値である。そして、解析上の工作物質量(M’w(Z’))と加工状態指数との対応関係である質量対応関係が、工作物質量テーブル記憶部103bに記憶されている。質量対応関係における加工状態指数は、上述接触動剛性対応関係の場合と同様とすることができる。
加工状態指数と解析上の工作物質量(M’w(Z’))との対応関係である質量対応関係の例を図12に示す。図12に示すように、加工状態指数としての研削能率Z’に対して、解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、線形の関係(比例の関係)ではなく非線形の関係を有している。より詳細には、加工状態指数と解析上の工作物質量(M’w(Z’))との対応関係である質量対応関係は、加工状態指数に対する解析上の工作物質量(M’w(Z’))の変化度合いが変動する関係となっており、例えば、横軸を加工状態指数とし、縦軸を解析上の工作物質量(M’w(Z’))とした二次平面において、傾きが連続的に変化する曲線を表す関数を近似式として規定することができる。当該近似式は、高次関数とすることができ、例えば、図12に示した曲線は3次関数で規定される曲線である。なお、上記質量対応関係は、上記曲線に替えて、上記二次平面において複数の直線をつなぎ合わせたものであってもよい。また、上記質量対応関係は近似式などの関数として規定されることに替えて、複数のデータの対応関係からなるデータテーブルの形式であってもよい。
図12には加工状態指数を研削能率Z’とした場合を示したが、加工状態指数を接触弧長さL又はg/aとした場合においても、加工状態指数と解析上の工作物質量(M’w(Z’))との質量対応関係は図11に示す研削能率Z’の場合と概ね同様の傾向を示すが、接触動剛性対応関係の場合と同様に、加工状態指数を研削能率Z’とすることが好ましい。
加工状態指数は、加工状態指数取得部125により取得され、加工状態指数と解析上の工作物質量(M’w(Z’))との対応関係である質量対応関係は、工作物質量テーブル記憶部103bに記憶されている。そして、解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、加工状態指数取得部125により取得された加工状態指数に基づいて、工作物質量決定部122により決定される。すなわち、加工状態指数取得部125、工作物質量テーブル記憶部103b及び工作物質量決定部122により、工作物質量決定装置が構成される。
5-5.質量対応関係作成のための解析上の工作物質量取得処理
質量対応関係における解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、非加工時の工作物動特性(Mw、Cw、Kw)と接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))とに基づいて、作成される。当該質量対応関係を作成するための工作物質量取得処理について、図12に示すフロー図に従って、以下に説明する。
まず、図14に示すステップS11において、図9に示す工程により、研削能率Z’を変化させた複数の態様のそれぞれにおいて、測定治具4を用いて変位センサ135の検出位置Weでの加工中の動特性を実測する。なお、このとき、研削能率Z’を変化させているため、研削抵抗は研削能率Z’に相関して変化するので、研削抵抗はFn(Z’)と表すことができる。
次いで、ステップS12において、変位センサ135の検出位置Weでの非加工中の動特性(Mw、Cw、Kw)を解析する。当該動特性は、例えば、非加工中のハンマリング試験での実測値を用いて、初期動特性(初期質量Mw、Cw、Kw)とする。
その後、ステップS13において、変位センサ135の検出位置Weでの非加工中の動特性(初期質量Mw、Cw、Kw)が、変位センサ135の検出位置Weでの複数の研削能率Z’のそれぞれの加工中の動特性に合うように、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を同定する。具体的には、ステップS13では、初期質量Mw、Cw、Kwは固定パラメータとし、Ci(Z’)、Ki(Z’)を可変パラメータとして、非加工中の動特性(初期質量Mw、Cw、Kw)に接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を追加した解析モデルとして、解析モデルの動特性(初期質量Mw、Cw、Kw、Ci(Z’)、Ki(Z’))が複数の研削能率Z’のそれぞれの加工中の動特性に合うように、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))を同定する。
ここで、解析モデルの動特性(Mw、Cw、Kw、Ci(Z’)、Ki(Z’))を用いた加振力周波数-コンプライアンス特性が、実測値である複数の研削能率Z’のそれぞれの加工中の加振力周波数-コンプライアンス特性に完全には一致しないことが判明した。そこで、解析モデルの動特性のうち、工作物質量Mwを可変パラメータである修正工作物質量M’w(Z’)として、解析モデルの動特性が複数の研削能率Z’のそれぞれの加工中の動特性に合うように、被加工部Wbの加工点位置での解析上の修正工作物質量(M’w(Z’))の同定処理を行った。
つまり、ステップS14において、解析モデルの動特性を(M’w(Z’)、Cw、Kw、Ci(Z’)、Ki(Z’))で定義して、Cw、Kw、Ci(Z’)及びKi(Z’)を固定パラメータとし、M’w(Z’)を可変パラメータとする。そして、解析モデルの動特性が複数の研削能率Z’のそれぞれの加工中の動特性に合うように、加工点位置での解析上の修正工作物質量(M’w(Z’))を求める。
そして、解析上の修正工作物質量(M’w(Z’))は、運動方程式に基づいて、下記の式(1)で表される。
Figure 2024087249000002
式(1)の通り、解析上の工作物質量(M’w(Z’))は加工能率(研削能率)Z’に相関し、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))もまた加工能率(研削能率)Z’に相関する。
なお、本実施形態では、変位センサ135の検出位置Weと被加工部Wbの加工点位置とが異なる位置としたが、両者の位置が一致していてもよい。
5-6.工具支持動剛性
工具支持動剛性は、図1に示す砥石台本体51における支持に関する動剛性であって、研削盤2を構成する砥石車支持装置としての砥石台本体51により砥石車Tを支持する際に発揮する動剛性である。工具支持動剛性は、図6に示すように、減衰係数Ctおよびばね定数Ktにより定義される。減衰係数Ctは、砥石台本体51における基準位置に対する砥石車Tの相対速度と、砥石車Tが受ける外力との関係を表す値である。ばね定数Ktは、砥石台本体51における基準位置に対する砥石車Tの相対位置と、砥石車Tが受ける外力との関係を表す値である。
上述したように、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)は、工具支持動剛性テーブル記憶部103eにおいて、上述の加工条件に対応するように記憶されている。工具支持動剛性テーブル記憶部103eは、例えば、砥石車Tの種類毎に、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)を記憶する。また、砥石車Tが静圧軸受により支持される構成において、静圧軸受の圧力を制御可能な場合において、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)が、加工条件に応じて変化する場合は、工具支持動剛性テーブル記憶部103eは、加工条件と、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)との対応関係を記憶するようにしても良い。
そして、工具支持動剛性決定部124により、工具支持動剛性テーブル記憶部103eに記憶された工具支持動剛性テーブルから、加工条件取得部106にて取得した加工条件に対応する工具支持動剛性データ(Cw、Kw)を決定する。なお、工具Tにおける工具質量Msは運動方程式に基づいて、下記の式(2)で表される。
Figure 2024087249000003
6.補正量算出部108
補正量算出部108は、研削抵抗に起因して砥石車Tおよび工作物WがX軸線方向に相対変位する補正量を、動特性決定部107にて決定された各動剛性データ及び解析上の工作物質量(M’w(Z’))に基づいて算出する。変位に関する補正量は、各動剛性データ及び解析上の工作物質量(M’w(Z’))と研削抵抗から求めることができる。つまり、変位に関する補正量は、研削抵抗、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)及び解析上の工作物質量(M’w(Z’))から算出することができる。
補正量算出部108は、算出した補正量を、推定部102へ出力する。推定部102は、上述したように、指令値取得部101が取得した工作物Wと砥石車Tとの相対位置、工作物Wの外周面形状、および、砥石車Tの外周面形状に基づいて、推定対象を推定する。ただし、研削抵抗により、工作物Wと砥石車Tとの相対位置は、指令値による相対位置とは異なる位置となる。
そこで、推定部102、推定対象の推定の際に、工作物Wと砥石車Tとの相対位置として、指令値取得部101が取得した相対位置に加えて、補正量算出部108により算出された補正量を加えた相対位置を用いる。つまり、推定部102は、指令値による相対位置と、各動剛性データを用いて算出された補正量とに基づいて、推定対象を推定する。
特に、本実施形態1においては、補正量算出部108は、算出した補正量を、推定部102の干渉量算出部111へ出力する。干渉量算出部111は、上述したように、指令値取得部101が取得した工作物Wと砥石車Tとの相対位置、工作物Wの外周面形状、および、砥石車Tの外周面形状に基づいて、工作物Wと砥石車Tとの干渉量を算出する。ただし、研削抵抗により、工作物Wと砥石車Tとの相対位置は、指令値による相対位置とは異なる位置となる。
そこで、干渉量算出部111は、干渉量の算出に用いる工作物Wと砥石車Tとの相対位置として、指令値取得部101が取得した相対位置に加えて、補正量算出部108により算出された補正量を加えた相対位置を用いる。つまり、干渉量算出部111は、指令値による相対位置と、各動剛性データを用いて算出された補正量とに基づいて、干渉量を算出する。
干渉量算出部111が、補正量を考慮した干渉量を算出するため、研削能率算出部112、研削特性決定部113、研削抵抗算出部114は、補正量を考慮した干渉量に基づき得られた研削能率Z’、研削特性kc、研削抵抗Fnを得る。
出力部109は、推定部102により推定された推定対象を出力する。つまり、出力部109は、研削加工時における工作物Wまたは砥石車Tの状態、工作物Wの形状、砥石車Tの形状、および、加工システム1の機械状態(研削盤2の機械状態に相当)の少なくとも1つを推定する。出力部109は、例えば、図示しない教示装置に推定結果を教示するようにしても良い。
7.共振リスク評価のための構成
図3に示す加工点動特性取得部150は、動特性決定部107から加工時の加工点動特性を取得する。すなわち、図6に示す加工時における接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))、工作物支持動剛性データ(Cw、Kw)、工具支持動剛性データ(Ct、Kt)、工作物Wの質量(Mw)及び工具Tの質量(Ms)に基づいて加工点動特性を取得する。
共振周波数帯算出部151は、加工点動特性取得部150により取得された加工点動特性に基づいて、工作物Wにおける加工時の共振周波数帯を算出する。すなわち、共振周波数帯は、接触動剛性データ、工作物支持動剛性データ、工具支持動剛性データ及び解析上の工作物質量に対応して、加工状態指数、加工条件に応じて変化するものとなっている。例えば、加工点動特性と周波数の関係は図13に示すように表され、共振周波数帯は、1次共振に対応するコンプライアンスのピークP1を呈する周波数の範囲A1、2次共振に対応するコンプライアンスのピークP2を呈する周波数の範囲A2、3次共振に対応するコンプライアンスのピークP3を呈する周波数の範囲A3などとして示すことができ、共振周波数帯はさらに高次の共振に対応する周波数の範囲を含んでいてもよいし、これらに限定されず特定次数の共振に対応する周波数の範囲であってもよい。なお、共振周波数帯は、共振が発生しうる周波数範囲を表すものである。
回転周波数取得部152は、上述のように工作機械としての研削盤2に備えられる回転体の回転周波数を取得する。この回転周波数は1倍から5倍程度の整数倍成分を含むことができる。当該回転体の回転周波数は、例えば、工具(砥石車T)が接続された工具主軸52における回転周波数、工具主軸52に接続されて工具主軸52を回転駆動する駆動装置としての砥石車用モータ53における回転周波数、工作物Wが接続された工作物主軸32における回転周波数、工作物主軸32に接続されて工作物主軸32を回転駆動する駆動装置としての工作物主軸用モータ33における回転周波数、工作機械としての研削盤2に搭載された装置を回転駆動する駆動装置における周波数の少なくとも一つを含む。本実施形態では、工具主軸52における回転周波数を取得する。
共振リスク評価部153は、共振周波数帯算出部151により算出された共振周波数帯と、回転周波数取得部152により取得された回転周波数とに基づいて、共振の発生又は共振の発生に起因する加工品質不良の発生に関するリスクを評価する。本実施形態では、回転周波数取得部152により取得された回転周波数が、共振周波数帯算出部151により算出された共振周波数帯に含まれていると判断された場合、共振の発生リスクありと評価する。一方、回転周波数取得部152により取得された回転周波数が、共振周波数帯算出部151により算出された共振周波数帯に含まれていないと判断された場合、共振の発生リスクなしと評価する。
共振リスク評価部153は、共振の発生リスクありとの評価に替えて加工品質不良の発生リスクありとの評価をし、共振の発生リスクなしとの評価に替えて加工品質不良の発生リスクなしとの評価をすることとしてもよい。なお、図示しないが、共振リスク評価部153による評価結果は表示部155に表示することができる。
調整部154は、共振リスク評価部153の評価結果に基づいて、工作機械としての研削盤2における調整可能な要素を調整する。調整可能な要素は限定されないが、例えば、工作機械における加工条件としたり、レスト装置における押し込み量又は押圧位置としたりすることができる。調整部154による調整内容は、表示部155により表示することができる。調整部154では、表示部155に表示された共振リスク評価部153による評価結果を確認した使用者が上記調整可能な要素の調整を行うこととしてもよい。なお、調整部154により、調整可能な要素が調整された後は、共振リスク評価部153により共振リスクの評価を行うことが好ましい。
加工結果予測部156は、出力部109による推定部102により推定された推定対象に応じて工作物Wの加工結果を予測する。加工結果予測部156による予測結果は、例えば、工作物Wの被加工部Wbの周面の断面形状が円形である場合には当該断面における周面の真円度としたり、工作物Wの被加工部Wbの形状が円筒状である場合には被加工部Wbの円筒度としたりすることができる。
調整結果可否判定部157は、加工結果予測部156の予測結果に応じて、調整部154による調整結果の採用の可否を判定する。例えば、工作物Wの被加工部Wbの周面の断面形状が円形である場合に、調整結果可否判定部157は当該断面における周面の真円度と予め設定された基準値との差分が所定範囲内である場合には調整部154による調整結果を採用可と判定し、上記差分が所定範囲内でない場合には調整部154による調整結果を採用不可と判定することができる。
調整結果可否判定部157により、採用可と判定された調整を加工条件に適用することで、加工条件の最適化を図ることができる。そして、制御装置3aは、最適化された加工条件を用いて、研削加工を行うことができる。この他に、制御装置3aは、推定結果によらず、動特性決定部107により決定された各種の動剛性データ及び解析上の工作物質量(M’w(Z’))を用いて、加工の制御を行うこともできる。
8.共振リスク評価、加工結果予測の処理態様
次に、本実施形態の加工評価装置3bによる共振リスク評価及び加工結果予測の処理態様のフローについて、図15を参照しながら説明する。なお、当該フローでは、レスト装置70の押し込み量及び押圧位置の調整を行う場合を例に説明する。まず、ステップS21において、レスト装置70における押し込み量及び押圧位置を初期化する。その後、ステップS22において、加工点動特性取得部150により、加工時の接触動剛性データ、工作物支持動剛性データ及び工作物支持動剛性データ、工作物W及び工具Tの質量に基づいて加工点動特性を取得する。
その後、ステップS23において、共振周波数帯算出部151により共振周波数帯を算出する。そして、ステップS24において、回転周波数取得部152により回転周波数として、工具主軸52の回転周波数を取得する。次いで、ステップS25において、共振リスク評価部153により、共振リスクの有無の評価を行う。本実施形態1では、工具主軸52の回転周波数が共振周波数帯算出部151により算出された共振周波数帯に含まれるか否かの評価を行う。
次に、ステップS26において、共振リスクありと評価された場合はステップS26のYesに進む。そして、ステップS27において、調整部154によりレスト装置70の押し込み量及び押圧位置を調整する。そして、再度ステップS22~ステップS25を行って、共振リスクの再評価を行う。
一方、ステップS26において、共振リスクなしと評価された場合はステップS26のNoに進む。そして、ステップS28において、今回のフローにおいて調整部154による調整を行っているか否かを判定する。調整を行っていないと判定された場合は、ステップS28のNoに進み、当該フローを終了する。一方、ステップS28において、今回のフローにおいて調整部154による調整を行っていると判定された場合、すなわち、調整後に共振リスクの再評価を行った後に共振リスクなしと評価された場合には、ステップS28のYesに進む。
次いで、ステップS29において、加工結果予測部156により加工結果の予測を行う。本実施形態では、加工結果の予測として、工作物Wの被加工部位Wbの断面形状の真円度を算出する。その後、ステップS30において、調整結果可否判定部157により、加工結果の予測に基づいて調整結果の採用の可否を判定する。本実施形態では、加工予測結果として算出された被加工部位Wbの断面形状の真円度が所定値内であるか否かを判定する。
そして、ステップS30において被加工部位Wbの断面形状の真円度が所定値内であると判定された場合は、ステップS30のYseに進み、ステップS31において、調整結果を採用して当該フローを終了する。一方、ステップS30において被加工部位Wbの断面形状の真円度が所定値内でないと判定された場合は、ステップS30のNoに進み、再度ステップS22以降を実施し、ステップS30において被加工部位Wbの断面形状の真円度が所定値内であると判定されるように調整を行う。なお、ステップS30において、工作物Wの軸方向において工作物Wの解析上の仕上径を評価して、工作物Wの円筒度が所定値となるように調整が行われるようにしてもよい。
9.作用効果
本実施形態1の加工評価装置3bによれば、接触動剛性データ、工作物支持動剛性データ及び工具支持動剛性データを含む加工点動特性に基づいて共振周波数帯を算出し、当該共振周波数帯と工作機械に備えられた回転体の回転周波数とに基づいて共振リスクを評価する。これにより、共振リスクを評価することで、共振の発生や共振の発生に起因する加工品質不良を未然に防止するための対策を講じることが容易となる。
そして、本実施形態1では、解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、記憶された加工状態指数と解析上の工作物質量(M’w(Z’))との対応関係である質量対応関係と、取得された加工状態指数とに基づいて決定される。これにより、加工状態指数との対応関係に基づいて解析上の工作物質量(M’w(Z’))を高精度に決定することができる。そして、このようにして高精度に決定された解析上の工作物質量(M’w(Z’))は、加工する際に工作物Wと工具Tとの接触により発揮する工作物Wと工具Tとの間の接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))とともに工作物Wの加工結果を推定することに用いれば、加工結果の推定の高精度化が期待できる。
また、回転体の周波数は、工具としての砥石車Tが接続された工具主軸における回転周波数、工具主軸52に接続されて工具主軸52を回転駆動する駆動装置53における回転周波数、工作物Wが接続された工作物主軸32における回転周波数、工作物主軸32に接続されて工作物主軸32を回転駆動する駆動装置33における回転周波数、工作機械としての研削盤2に搭載された装置を回転駆動する駆動装置における周波数の少なくとも一つを含む。これにより、工作機械についての共振リスクの評価精度の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、共振リスク評価部153の評価結果に基づいて、工作機械としての研削盤2における調整可能な要素を調整する調整部154を備える。そして、共振リスク評価部153は、調整部154による調整後に再度共振リスクの評価を行う。これにより、調整部154によって最適な調整を行うことができる。
また、本実施形態では、共振リスク評価部153による評価結果又は調整部154により調整された調整内容を表示する表示部155を備える。これにより、当該工作機械の使用者が共振リスク評価部153による評価結果又は調整部154による調整内容を容易に確認することができる。
また、本実施形態では、工作機械としての研削盤2には、工作物Wを押圧するレスト装置70と、支持装置における主工作物支持動剛性とレスト装置70における補助工作物支持動剛性とに基づいて工作物支持動剛性データを決定する工作物支持動剛性決定部123とを備える。そして、調整部154は調整可能な要素としてレスト装置70における押し込み量又は押圧位置を調整する。これにより、共振が生じないように工作物支持動剛性データの調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、調整部154は、調整可能な要素として工作機械における加工条件を調整する。これにより、工作機械の加工条件を共振が生じないものとすることができ、工作物Wの品質向上を図ることができる。
また、本実施形態では、調整部154の調整結果に基づいて加工された加工結果を予測する加工結果予測部156と、加工結果予測部156の加工結果に基づいて調整結果の可否を判定する調整結果可否判定部157とを備える。これにより、共振が生じないように工作機械の加工条件の最適化を図ることができる。
また、本実施形態では、工作物Wの被加工部Wbの周面の断面形状は円形であって、加工結果予測部156は予測結果として、工作物Wの加工後における被加工部Wbにおける断面の真円度を算出する。そして、加工結果予測部156の予測結果として算出された真円度と予め設定された閾値とを比較した比較結果に基づいて、調整部154の調整結果の可否を判定する調整結果可否判定部157を備える。これにより、被加工部Wbにおける断面の真円度が基準値を満たすように調整部154による調整を行うことができ、工作物Wの品質向上を図ることができる。
また、本実施形態1では、接触動剛性対応関係における接触動剛性データは、工具としての砥石車Tにより工作物Wを加工しながら工作物Wに加振力を付与した際に、当該加振力と工作物Wの変位との関係により生成されるデータである。これにより、接触動剛性データ(Ci(Z’)、Ki(Z’))は、工作物Wと砥石車Tとの間の動剛性を正確に表すものとなるため、より高精度に加工結果を推定できる。
10.変形形態1及び変形形態2
上述の本実施形態では、図1に示すように、レスト装置70は工作物Wを支持するようにしたが、これに替えて、図16に示す変形形態1のように、レスト装置70は心押装置40の一部であるラム42を支持することとしてもよい。また、図17に示す変形形態2のように、レスト装置70は主軸装置30に設けられた工作物Wを保持するためのチャック36を支持することとしてもよい。
変形形態1及び変形形態2においても本実施形態1と同等の作用効果を奏する。さらに、変形形態1及び変形形態2では、レスト装置70が工作物Wに直接接触しないため、工作物Wの表面にレスト装置70に接触跡が残ることがないため、工作物Wの品質向上を図ることができる。
以上のごとく、本実施形態1及び変形形態1、2によれば、工作機械により工作物Wを加工する際の共振リスクを評価する加工評価装置3bを提供することができる。
上記実施形態においては、工作機械として研削盤2を用いた研削加工を用いた切削加工について例をあげて説明したが、これらの他に、旋盤やマシニングセンタを用いた切削加工についても同様に適用可能である。切削加工の場合には、加工状態指数として切削能率、切込み深さ等を採用することができ、回転周波数として工作物Wの回転周波数を取得することができる。
1 加工システム
2 研削盤(工作機械)
3a 制御装置
3b 加工評価装置
32 工作物主軸
33 工作物主軸用モータ(駆動装置)
52 砥石軸(工具主軸)
53 砥石車用モータ(駆動装置)
70 レスト装置
106 加工条件取得部
121 接触動剛性決定部
122 工作物質量決定部
123 工作物支持動剛性決定部
124 工具支持動剛性決定部
125 加工状態指数取得部
150 加工点動特性取得部
151 共振周波数帯算出部
152 回転周波数取得部
153 共振リスク評価部
154 調整部
155 調整内容表示部
156 加工結果予測部
157 調整結果可否判定部

Claims (9)

  1. 回転体を備え工具で工作物を除去加工する工作機械の加工結果を評価する加工評価装置であって、
    上記工作機械に備えられた回転体の回転周波数を取得する回転周波数取得部と、
    上記工具による上記工作物の加工の状態に応じて変化する加工状態指数を取得する加工状態指数取得部と、
    上記工作機械の加工条件を取得する加工条件取得部と、
    上記加工状態指数に基づいて決定された上記工作物と上記工具との間の動剛性である接触動剛性データと、上記加工条件に基づいて決定された上記工作機械において上記工作物を支持する際に発揮する工作物支持動剛性データと、上記加工条件に基づいて決定された上記工作機械において上記工具を支持する際に発揮する工具支持動剛性データと、上記工作物及び上記工具の質量とに基づいて、上記工作物の加工時の加工点動特性を取得する加工点動特性取得部と、
    上記加工点動特性に基づいて共振周波数帯を算出する共振周波数帯算出部と、
    上記共振周波数帯と、上記回転体の周波数とに基づいて、共振の発生又は共振の発生に起因する加工品質不良の発生に関するリスクを評価する共振リスク評価部と、
    を備える、加工評価装置。
  2. 上記回転体の周波数は、上記工具が接続された工具主軸における回転周波数、該工具主軸に接続されて該工具主軸を回転駆動する駆動装置における回転周波数、上記工作物が接続された工作物主軸における回転周波数、該工作物主軸に接続されて該工作物主軸を回転駆動する駆動装置における回転周波数、上記工作機械に搭載された装置を回転駆動する駆動装置における周波数の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の加工評価装置。
  3. 上記共振リスク評価部の評価結果に基づいて、上記工作機械における調整可能な要素を調整する調整部を備え、
    上記共振リスク評価部は、上記調整部による調整後に再度上記リスクの評価を行う、請求項1又は2に記載の加工評価装置。
  4. 上記共振リスク評価部の評価結果又は上記調整部により調整された調整内容を表示する表示部を備える、請求項3に記載の加工評価装置。
  5. 上記工作機械には、上記工作物又は上記工作機械に設けられた上記工作物の支持装置を押圧するレスト装置が備えられており、
    上記支持装置における主工作物支持動剛性と上記レスト装置における補助工作物支持動剛性とに基づいて上記工作物支持動剛性データを決定する工作物支持動剛性決定部と、
    上記調整部は、上記調整可能な要素として上記レスト装置における押し込み量又は押圧位置を調整する、請求項3又は4に記載の加工評価装置。
  6. 上記調整部は、上記調整可能な要素として上記工作機械における加工条件を調整する、請求項3又は4に記載の加工評価装置。
  7. 上記調整部の調整結果に基づいて加工された加工結果を予測する加工結果予測部と、
    上記加工結果予測部の加工結果に基づいて上記調整結果の可否を判定する調整結果可否判定部と、を備える、請求項3又は4に記載の加工評価装置。
  8. 上記工作物の被加工部の周面の断面形状は円形であって、
    上記加工結果予測部は予測結果として、上記工作物の加工後における上記被加工部における断面の真円度を算出し、
    上記加工結果予測部の予測結果として算出された上記真円度と予め設定された閾値とを比較した比較結果に基づいて、上記調整部の調整結果の採用可否を判定する調整結果可否判定部を備える、請求項7に記載の加工評価装置。
  9. 上記接触動剛性データは、上記工具により上記工作物を加工しながら上記工作物に加振力を付与した際に、上記加振力と上記工作物の変位との関係により生成されるデータである、請求項1又は2に記載の加工評価装置。
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