JP2024085458A - 土留パネル及び土留構造物 - Google Patents

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崇大 若山
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Abstract

Figure 2024085458000001
【課題】補強構造を有する土留パネルにおいて、裏込注入材の充填不良を抑制できる、土留パネル及び該土留パネルを用いた土留構造物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る土留パネルは、地山を掘削して形成された壁面に沿って設置された土留構造物を構築するために用いられる土留パネルであって、断面形状が波形の波付鋼板と、波形の山部及び谷部が並列する第1方向において波付鋼板の一方の端部に接合された補強部材と、を備え、補強部材は、断面形状がL形に形成され、波付鋼板の一方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、波付鋼板は、第2部分よりも壁面側に位置する。
【選択図】図4

Description

本発明は、土留パネル及び土留パネルを用いた土留構造物に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されているように、地面を掘削して形成された掘削孔に波付鋼板からなる土留パネルを組み立てて構築された土留構造物が知られている。土留構造物は、掘削孔の壁面に沿って複数の波付鋼板を環状に配置して形成された構造体を、孔軸方向に積み重ねて構築される。
土留構造物は、掘削孔の深度が深くなるにつれて地山側からの土圧が大きくなり、波付鋼板だけでは剛性が足りない場合がある。また、深度の深さにかかわらず、土質の条件等により、土圧が大きい場合もある。更に、孔軸方向の深度が深くなるにつれて、上方に配置された構造体の自重が下方に配置された構造体に作用する。このため、土留構造物では、剛性が足りない箇所において、上下に隣り合う波付鋼板の間に補強リングと呼ばれるH形鋼を挟み込み剛性を高めている。
補強リングは、複数のH形鋼を、そのフランジ部が地山側と掘削側(掘削孔の内側)に向くように、掘削孔の周方向に沿って配置され、隣り合うH形鋼のフランジ部が継手板を介して接合されて構築される。継手板は、H形鋼における地山側のフランジ部と掘削側のフランジ部とにそれぞれ当てがわれて、隣り合うH形鋼のフランジ部にそれぞれボルト接合される。
特開2020-066845号公報
H形鋼を補強リングとして使用した場合、H形鋼が土留パネルの孔軸方向の端部に連結され、H形鋼のフランジ部が土留パネルの孔軸方向の端部の地山側を覆う様に配置される。このとき、H形鋼のフランジ部と土留パネルとの間に空間が形成される。その空間は、孔軸を含む断面において、H形鋼のウェブ部、フランジ部及び土留パネルの端部に囲まれた袋状となっている。土留構造と地山との間には、裏込注入材として、例えばコンクリート又はモルタルが充填されるが、袋状の空間には十分に裏込注入材が行き渡らない場合がある。特に、裏込注入材は重力方向において下側から充填されていくため、重力方向において上側にある土留パネルの端部に設置されたH形鋼により形成される袋状の空間には、空気が滞留するなどにより充填不良が生ずる場合がある、という課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、補強構造を有する土留パネルにおいて、裏込注入材の充填不良を抑制できる、土留パネル及び土留構造物を提供することを目的とする。
本発明に係る土留パネルは、地山を掘削して形成された壁面に沿って設置された土留構造物を構築するために用いられる土留パネルであって、断面形状が波形の波付鋼板と、前記波形の山部及び谷部が並列する第1方向において前記波付鋼板の一方の端部に接合された補強部材と、を備え、前記補強部材は、断面形状がL形に形成され、前記波付鋼板の前記一方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、前記第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、前記波付鋼板は、前記第2部分よりも前記壁面側に位置するものである。
本発明に係る土留構造物は、複数の土留パネルを前記第1方向に連結して構築された土留構造物であって、前記複数の土留パネルは、上記の土留パネルを含み、前記土留パネルは、前記一方の端部に固定された前記補強部材が重力方向において上側に配置されたものである。
本発明では、補強部材により波付鋼板の壁面側が覆われていないため、波付鋼板と壁面との間の裏込注入材の充填不良の発生を抑制しつつ強度の高い土留構造を構築できる。
実施の形態1に係る土留構造物200の一例を模式的に示した斜視図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の一例を示した斜視図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の一例を示した縦断面図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した斜視図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した縦断面図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した斜視図である。 実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した縦断面図である。 比較例に係る土留構造物1200の斜視図である。 実施の形態1に係る土留構造物200の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。 比較例に係る土留構造物1200の断面構造の説明図である。 実施の形態1に係る土留パネル101の変形例の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。また、本実施の形態では、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、左、右、縦、横等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る土留構造物200の一例を模式的に示した斜視図である。土留構造物200は、例えば構造物の基礎や下水道等を構築するための立坑又は地中に構築される集水井等の土木構造物を構築する際に構築されるものである。土留構造物200は、地面を掘削して形成された鉛直の掘削孔に、図1に示すような環状の構造体201を掘削孔の孔軸方向に沿って複数段に積み重ねて構築される。実施の形態1において、土留構造物200は、平面視において矩形の管状に形成されているが、これに限定するものではない。土留構造物200は、例えば、平面視において、円形、長円形、楕円形、矩形、又は馬蹄形に形成することができ、管状に限定されるものでもない。
(土留パネル101の基本形状)
図2は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の一例を示した斜視図である。図3は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の一例を示した縦断面図である。土留構造物200を構成する各々の構造体201は、同じ断面形状を有する波付鋼板1を用いて構成された複数の土留パネル101を環状に配置して形成された構成とされている。土留パネル101Aは、波形の山部1a及び谷部1bが長手方向Xに沿って延びるように形成された1枚の波付鋼板1と、波付鋼板1の長手方向Xとなる両端部に設けられた縦フランジ部2と、を備えている。
波付鋼板1は、波形断面が角波状となるように、圧延鋼板を角波状に屈曲成形した構成である。実施の形態1における角波状とは、一例として、角が丸められた台形波状である。波付鋼板1は、一例として、3つの山部1aと2つの谷部1bとで構成されており、山部1aと谷部1bとはY方向に並列されている。但し、山部1aと谷部1bの個数は、図示した個数に限定されない。なお、図3におけるY方向を第1方向と称する場合がある。
Z方向に沿った視点において、山部1aと谷部1bは、略平行となるように形成されている。図3に示す様に、波付鋼板1は、谷部1bの谷底が狭くなるように、山部1aと谷部1bとを繋ぐウェブ1cを水平方向に対し若干傾斜させて形成されている。ウェブ1cを若干傾斜させることで、波付けのための塑性加工を行う際に、離型しやすくなり、製造が容易となる。また、波付鋼板1は、山部1aと谷部1bとを繋ぐウェブ1cの傾斜角度を小さくすることで、山部1a及び谷部1bのY方向の幅が広くなり、面方向に曲げモーメントが負荷されたときの剛性が高くなる。波付鋼板1がZ方向に曲げられたときの断面係数は、山部1aと谷部1bの幅が広いほど大きくなるからである。波付鋼板1のウェブ1cの水平方向に対する傾斜角度は、0°以上、20°以下に設定され、更に望ましくは、0°以上3°以下に設定される。
波付鋼板1は、例えば厚さが2.7mm~7mm程度である。山部1aと谷部1bの板厚は、ウェブ1cと同じ板厚で形成されているが、ウェブ1cよりも厚くしても良い。このように構成されることにより、中立軸から遠い山部1aと谷部1bの断面積が大きくなり、波付鋼板1の断面係数をさらに高くすることができる。
図2及び図3に示すように、波付鋼板1は、幅方向Yの両端部に、波形の両端縁を曲げて形成された横フランジ部10を有している。横フランジ部10は、断面形状において、Z方向の山部1aから谷部1bに向かって延びるように形成されており、土留構造物200においては、掘削孔301の壁面303に対し反対方向を向いている。横フランジ部10は、波形の山部1a及び谷部1bの並列方向に対してほぼ垂直に形成された平板状の部分である。横フランジ部10には、掘削孔の孔軸方向に積み重ねた上下に隣り合う波付鋼板同士を連結するための連結孔10aが長手方向Xに沿って複数形成されている。上下に隣り合う波付鋼板1は、横フランジ部10を突き合わせ、連結孔10aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、上下に隣り合う波付鋼板1の横フランジ部10を連結する手段は、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。また、図示した連結孔10aの個数は、一例であって、これに限定されるものではない。
縦フランジ部2は、波付鋼板1の長手方向Xの両端縁にプレートを溶接して設けられた構成である。縦フランジ部2は、土留構造物200に必要な強度及び剛性に応じて厚さが決定される。縦フランジ部2には、掘削孔の周方向に配置した左右に隣り合う土留パネル101同士を連結するための連結孔2aが上下方向(Y方向)に沿って複数形成されている。左右に隣り合う土留パネル101同士は、縦フランジ部2を突き合わせ、連結孔2aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、左右に隣り合う土留パネル101の縦フランジ部2を連結する手段は、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。また、図示した連結孔2aの個数は、一例であって、これに限定されるものではない。なお、図1に示すように、構造体201の矩形の角部には、角部材4を介してL字形に加工されたコーナー部用の土留パネル102が配置されている。土留パネル102を構成する波付鋼板1及び縦フランジ部2は、上記構成と同じである。
なお、図3に示されている土留パネル101の断面形状は、一例であり、例えばサインカーブ状に形成された構成でもよいし、他の形状であっても良い。
(補強部材3を有する土留パネル101Bについて)
図4は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した斜視図である。図5は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した縦断面図である。図4及び図5に示す土留パネル101Bは、図2及び図3に示した土留パネル101AのY方向の一方の端部にある横フランジ部10に補強部材3を接合し、補強したものである。
補強部材3は、断面形状がL形に形成されており、波形の山部1a及び谷部1bが並列するY方向において波付鋼板1の一方の端部に接合されている。補強部材3は、波付鋼板1のY方向の端部に形成された横フランジ部10の面に平行な一対の板面を有する第1部分3aと、第1部分3aの板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分3bと、を備える。実施の形態1においては、第2部分3bは、第1部分3aの板面に対し垂直方向に延びている。
補強部材3は、山形鋼であり、屈曲された内側の面を波付鋼板1の端部の横フランジ部10の面に対向させて配置されている。つまり、補強部材3の第1部分3aの一対の平面のうち第2部分3bが延びる方向を向いた平面を、横フランジ部10に向けて配置されている。また、補強部材3の第2部分3bは、第1部分3aのZ方向の端からY方向に延び、第1部分3aから波付鋼板1が配置されている側に向かって延びている。ここで、波付鋼板1は、Z方向において第2部分3bよりも壁面303側に配置されている。つまり、第2部分3bは、波付鋼板1に対し横フランジ部10の先端側に配置されており、波付鋼板1の端部の山部1aの内側の空間sを覆う様に配置されている。
土留パネル101Bは、波付鋼板1の一方の端部の山部1aの内側の空間sが補強部材3により覆われている。そのため、Y方向に隣り合う土留パネル101と連結する際にボルト及びナットを使用する場合には、後から補強部材3の内側にナットを配置することができないため、予め横フランジ部10の裏側にナット8が固定されている。ナット8は、連結孔10aに対応した位置に溶接などの手段を用いて固定されている。なお、土留パネル101Bは、ナット8が固定されていなくとも、例えば補強部材3の貫通孔3cに雌ねじが設けられることによりボルトを螺合できる様に構成されていても良い。または、貫通孔3c及び連結孔10aに挿通され、裏側に係合できる様な屈曲した略L字形のボルトを使用して係合することもできる。
(補強部材3を有する土留パネル101Cについて)
図6は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した斜視図である。図7は、実施の形態1に係る土留構造物200を構成する土留パネル101の別の一例を示した縦断面図である。図6及び図7に示す土留パネル101Cは、図4及び図5に示した土留パネル101AのY方向の他方の端部にある横フランジ部10にも補強部材3Bを接合し、補強したものである。なお、図7においてY方向上側の端部に設けられた補強部材3は、補強部材3Aと称する。
土留パネル101Cは、図7においてY方向の下側の端部の横フランジ部10に補強部材3Bが設置されている。補強部材3Bは、もう一方の補強部材3Aに対し、図7に示す断面の中心について点対称な配置になっている。つまり、補強部材3Bは、板面がZ方向に沿って配置された第1部分3aからY方向に向かって延びる第2部分3bを備え、その第2部分3bが波付鋼板1の山部1aの頂部にある平面に沿って、波付鋼板1よりも壁面303側に配置されている。
(土留構造物の比較例)
図8は、比較例に係る土留構造物1200の斜視図である。土留構造物200及び1200は、掘削孔301(図9参照)の深度が深くなるにつれて地山側からの土圧が大きくなり、剛性及び強度が足りない場合がある。また、深度の深さにかかわらず、土質の条件等により、土圧や水圧が作用し、掛かる外力が大きい場合もある。更に、孔軸方向の深度が深くなるにつれて、上方に配置された構造体201の自重が下方に配置された構造体201に作用する。このため、従来の土留構造物1200では、深度が深い箇所において、上下に隣り合う構造体201の間に補強リング1100と呼ばれる構造を挟み込み剛性を高めている。補強リング1100は、複数のH形鋼1003を、そのフランジが地山側と掘削側に向くように、掘削孔の周方向に沿って配置され、隣り合うH形鋼のフランジが継手板1004を介して接合されて構築される。継手板1004は、H形鋼における地山側のフランジと掘削側のフランジとにそれぞれ当てがわれて、隣り合うH形鋼のフランジにそれぞれボルト接合される。
継手板1004を介して隣り合うH形鋼1003のフランジを接合する際に、地山側に配置された継手板1004をボルト9で接合する場合では、作業者は屈んだ状態で、構築途中の土留構造物1200の下端部から地山側に回り込みボルト締めをする必要がある。また、掘削孔301の周方向(X方向)に沿って複数のH形鋼1003を配置し、左右に隣り合うH形鋼1003を継手板1004で接続する場合に、作業者が掘削孔301の内側(図8においてZ方向奥側)からでは、目が届かない接続箇所が存在する。
(土留パネル101B及び101Cの作用)
一方、実施の形態1に係る土留パネル101B及び101Cでは、施工現場における補強部材3同士の周方向のボルト接合作業を省略できる構成としたことを特徴としている。図4及び図5に示す土留パネル101Bは、Y方向の一方の端部に補強部材3Aが接合されており、図6及び図7に示す土留パネル101Cは、Y方向の一方の端部に補強部材3Aが接合され、他方の端部に補強部材3Bがされている。補強部材3A及び3Bは、それぞれ、X方向の端部に設けられている縦フランジ部2に直接接合されているため、X方向に隣り合って連結されている補強部材3A及び3Bと、縦フランジ部2を介して連結されている。よって、これらの土留パネル101B及び101Cを使用した場合、比較例の補強リング1100と同様に土留構造物200を補強することが可能となる。ただし、土留パネル101B及び101Cは、補強部材3が縦フランジ部2に直接接合されているものに限定されるものではなく、例えば波付鋼板1に直接接合されているものであっても良い。
土留パネル101B及び101Cの波付鋼板1及び縦フランジ部2は、上記した土留パネル101Aと同じ構成である。縦フランジ部2は、土留構造物200に必要な強度及び剛性に応じて厚さが決定される。補強部材3は、縦フランジ部2に接合されており、必ずしも波付鋼板1に接合されている必要はないが、波付鋼板1に例えば溶接等で接合されていても良い。例えば、補強部材3は、長手方向Xの長さが長い場合など、形状保持のため、波付鋼板1に断続溶接してもよい。
次に、上記土留構造物200の構築工法の一例を、図9を参照して説明する。図9は、実施の形態1に係る土留構造物200の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。先ず、図9(A)に示すように、地面300に土留構造物200を構築するための掘削孔301を形成する。掘削孔301は、土留構造物200の外径よりも例えば20cm程度の大きい外径で形成される。掘削孔301の深さは、一例として0.5m~1.5m程度である。そして、掘削孔301の壁面303に沿って土留パネル101を環状に配置して構造体201を組み立てる。土留パネル101は、山部1aが地山側に向き、谷部1bが掘削側に向くように配置される。なお、地山側とは土留パネル101の外面側であり、掘削側とは土留パネル101の内面側である。
構造体201は、掘削孔301の壁面303の周方向に沿って土留パネル101を順に配置し、左右に隣り合う土留パネル101をボルト及びナットで連結して組み立てられる。上段の構造体201の土留パネル101と下段の構造体201の土留パネル101とは、例えばボルト及びナットで連結される。なお、上段の土留パネル101と下段の土留パネル101とは、千鳥配置となるように、周方向の位置をずらして配置される。これにより、土留構造物200は、周方向の各位置において強度及び剛性のばらつきを抑えることができる。但し、土留パネル101は、縦フランジ部2に十分な厚さを持たせれば、千鳥配置とすることなく孔軸方向に連続して設置してもよい。このように、構造体201を孔軸方向に沿って複数段積み重ねて(図示例の場合は3段)土留構造物200の一部が構築される。
次に、図9(B)に示すように、最上段に位置する構造体201を地面300に設置した井桁400で固定した後、構造体201の外側の掘削孔301を掘削土で埋め戻す。なお、最上段に位置する構造体201を地面300に固定する手段は、井桁400に限定されず、例えばコンクリートを用いてもよい。
そして、図9(C)に示すように、地盤を掘削しつつ、構造体201を組み立て、所定の深度まで掘り進める。なお、最上段に位置する構造体201を井桁400で固定した後は、上段の構造体201の下端に、掘削孔301の壁面303の周方向に沿って土留パネル101を配置し、上段の土留パネル101にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う土留パネル101をボルト及びナットで連結して、下段の構造体201を構築していく。なお、土留パネル101と掘削孔301との間には、裏込注入材として、コンクリート又はモルタルが充填される。掘削孔301の壁面303との空間に裏込注入材を充填することにより、掘削途中における土砂崩落の防止等を図り、構築中の立坑の中間部はもとより掘削作業を進めている部分も安全に保護した上で作業ができる。
このように、土留構造物200は、地面300を掘削して形成された鉛直の掘削孔301に、図1に示すような環状の構造体201を掘削孔301の孔軸方向に沿って複数段に積み重ねて構築され、掘削孔301の壁面303と土留構造物200との間に裏込注入材を充填しながら、下方向に延伸されるものである。
図10は、比較例に係る土留構造物1200の断面構造の説明図である。比較例に係る土留構造物1200は、図8に示した土留構造物1200と掘削孔301との間に裏込注入材を充填する前の状態を示している。土留構造物1200と掘削孔301との間に裏込注入材を充填する場合、例えば一部の土留パネル101に注入口(図示なし)が設けられており、そこから裏込注入材としてコンクリート又はモルタルが注入される。裏込注入材は、重力により掘削孔301の底面302側から溜まっていき、徐々に上方に向かって充填される。
土留構造物1200は、断面形状がH形の補強リング1100を備えており、下側が開放されている袋状空間t及び上側が開放されている袋状空間uを有する。裏込注入材が領域r1に充填され、線Lまで充填されると、袋状空間tには裏込注入材が流入しにくく、上方の領域r2の方に裏込注入材が溜まっていく。通常、裏込注入材は上方から注入されるため、特に袋状空間tは、空気が溜まったりするなどの影響で裏込注入材が流入しにくい。一方、上方に開放された袋状空間uは、重力により自然に裏込注入材が流入する。このように、従来の補強リング1100を備えた土留構造物1200は、部分的に裏込注入材が充填されていない部分が生じる場合があった。
一方、実施の形態1に係る土留構造物200によれば、土留パネル101B又は101Cを用いて構築されているため、図10に示す下方に開放された袋状空間tのような部分が形成されず、掘削孔301の壁面303と土留構造物200との間の空間に空隙が生じるのを抑制できる。図4~図7に示す土留パネル101B又は101Cは、補強部材3Aが重力方向において上側に来るように配置され、他の土留パネル101に連結されることにより、土留構造物200の強度を補強部材3Aにより向上させつつ、補強部材3Aの第2部分3bが土留構造物200の内側に位置しているため、裏込注入材の充填に影響を与えない。
なお、土留パネル101B又は101Cの補強部材3Aは、必要な強度に応じて第1部分3aのZ方向の寸法、第2部分3bのY方向の寸法を適宜変更しても良い。また、図4~図7に示す様に、補強部材3A及び3Bは、土留パネル101の両側の縦フランジ部2に対し、Y方向視点及びZ方向視点において重なる様に配置されているが、この形態に限定されるものではなく、補強部材3A及び3Bは、縦フランジ部2のX方向を向いた面に接合されても良い。
土留パネル101Cの補強部材3Bは、断面形状がL形の部材に限定されるものではなく、例えば断面形状がコ字形の溝形鋼、断面形状がH形に構成されたH形鋼又は平板を用いても良い。なお、山形鋼、溝形鋼、H形鋼及び平板は、圧延ロールにより成形されたロール成形又は複数の鋼板から溶接により成形されたビルド成形により構成される。土留パネル101Cの補強部材3Bは、土留構造物200において重力方向の下側を向けて配置されるため、裏込注入材の充填に影響は与えにくいが、下側に連結される土留パネル101との連結を考慮して、連結孔10aに対する作業が行える様に補強部材3Bの形状を決定する。なお、補強部材3Bは、補強部材3Aと区別するために第2補強部材と称する場合がある。
図11は、実施の形態1に係る土留パネル101の変形例の断面図である。変形例に係る土留パネル101Dは、土留パネル3CのY方向の下側の端部の補強部材3Bの形状を変更したものである。土留パネル101Dの補強部材3Dは、溝形鋼でありウェブ30とウェブ30のZ方向の両端にフランジ31を備え、波付鋼板1の地山側と内側との両方にフランジ31が位置している。内側のフランジ31は、波付鋼板1の山部1aの内側の空間を部分的に覆っているが、開口Sを確保することにより、貫通孔30aに対し作業が可能になっている。また、波付鋼板1は、Y方向の端部に横フランジ部10を有する形態に限定されず、土留パネル101DのY方向下側の端部のように、Y方向の端部に横フランジ部10が形成されていなくとも良い。
以上に、土留パネル101B、101C及び101D及び土留構造物200を実施の形態に基づいて説明したが、上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、上述した土留パネル101B、101C及び101Dの構成は、一例であって他の構成要素を含んでもよい。つまり、土留構造物200は、必要な強度に応じて土留パネル101A、101B、101C及び101Dを組み合わせて使用することもできるし、各土留パネル101は、矩形波形状の波付鋼板だけでなく、例えばライナープレートなどのサインカーブ形状の断面形状を有する波付鋼板を使用しても良い。また、図9に基づいて説明した土留構造物200の構築工法は、一例であって、上記実施の形態に限定されない。要するに、土留パネル101B、101C及び101D及び土留構造物200は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
上記に説明した土留パネル101B、101C及び101D及び土留構造物200は、以下の付記1~8に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。
[付記1]
地山を掘削して形成された壁面に沿って設置された土留構造物を構築するために用いられる土留パネルであって、
断面形状が波形の波付鋼板と、
前記波形の山部及び谷部が並列する第1方向において前記波付鋼板の一方の端部に接合された補強部材と、を備え、
前記補強部材は、
断面形状がL形に形成され、前記波付鋼板の前記一方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、前記第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、
前記波付鋼板は、
前記第2部分よりも前記壁面側に位置する、土留パネル。
[付記2]
前記波付鋼板の他方の端部に接合された第2補強部材を更に備え、
前記第2補強部材は、
前記波付鋼板の前記他方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、
前記第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、
前記第2補強部材の前記第2部分は、
前記波付鋼板よりも前記壁面側に位置する、付記1に記載の土留パネル。
[付記3]
前記第2補強部材は、
山形鋼、溝形鋼、H形鋼、又は平板である、付記2に記載の土留パネル。
[付記4]
前記補強部材は、
貫通孔を有し、
前記第1部分の前記波付鋼板側にナットが接合されており、
前記ナットは、
前記貫通孔に対応して配置されている、付記1又は2に記載の土留パネル。
[付記5]
前記補強部材は、
貫通孔を有し、
前記貫通孔は、
雌ねじが形成されている、付記1又は2に記載の土留パネル。
[付記6]
前記波付鋼板は、
前記第1方向の両端部に前記第1方向に垂直な面を有するフランジ部を備え、
前記フランジ部は、
先端が前記壁面とは反対方向を向いて配置されている、付記1又は2に記載の土留パネル。
[付記7]
前記フランジ部は、
貫通孔を有し、
前記フランジ部の前記補強部材が接合されている面とは反対側の面に前記貫通孔に対応する位置にナットが接合されている、付記6に記載の土留パネル。
[付記8]
複数の土留パネルを前記第1方向に連結して構築された土留構造であって、
前記複数の土留パネルは、
付記1~7の何れか1つに記載の土留パネルを含み、
前記土留パネルは、
前記一方の端部に固定された前記補強部材が重力方向において上側に配置された、土留構造物。
1 波付鋼板、1a 山部、1b 谷部、1c ウェブ、2 縦フランジ部、2a 連結孔、3 補強部材、3A 補強部材、3B 補強部材、3C 土留パネル、3D 補強部材、3a 第1部分、3b 第2部分、3c 貫通孔、4 角部材、8 ナット、9 ボルト、10 横フランジ部、10a 連結孔、30 ウェブ、30a 貫通孔、31 フランジ、101 土留パネル、101A 土留パネル、101B 土留パネル、101C 土留パネル、101D 土留パネル、102 土留パネル、200 土留構造物、201 構造体、300 地面、301 掘削孔、302 底面、303 壁面、400 井桁、1003 H形鋼、1004 継手板、1100 補強リング、1200 土留構造物、S 開口、X 長手方向、Y 幅方向、r1 領域、r2 領域、s 空間、t 袋状空間、u 袋状空間。

Claims (8)

  1. 地山を掘削して形成された壁面に沿って設置された土留構造物を構築するために用いられる土留パネルであって、
    断面形状が波形の波付鋼板と、
    前記波形の山部及び谷部が並列する第1方向において前記波付鋼板の一方の端部に接合された補強部材と、を備え、
    前記補強部材は、
    断面形状がL形に形成され、前記波付鋼板の前記一方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、前記第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、
    前記波付鋼板は、
    前記第2部分よりも前記壁面側に位置する、土留パネル。
  2. 前記波付鋼板の他方の端部に接合された第2補強部材を更に備え、
    前記第2補強部材は、
    前記波付鋼板の前記他方の端部に平行な一対の板面を有する第1部分と、
    前記第1部分の板面に対し交差する方向に延びる一対の板面を有する第2部分と、を備え、
    前記第2補強部材の前記第2部分は、
    前記波付鋼板よりも前記壁面側に位置する、請求項1に記載の土留パネル。
  3. 前記第2補強部材は、
    山形鋼、溝形鋼、H形鋼、又は平板である、請求項2に記載の土留パネル。
  4. 前記補強部材は、
    貫通孔を有し、
    前記第1部分の前記波付鋼板側にナットが接合されており、
    前記ナットは、
    前記貫通孔に対応して配置されている、請求項1又は2に記載の土留パネル。
  5. 前記補強部材は、
    貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、
    雌ねじが形成されている、請求項1又は2に記載の土留パネル。
  6. 前記波付鋼板は、
    前記第1方向の両端部に前記第1方向に垂直な面を有するフランジ部を備え、
    前記フランジ部は、
    先端が前記壁面とは反対方向を向いて配置されている、請求項1又は2に記載の土留パネル。
  7. 前記フランジ部は、
    貫通孔を有し、
    前記フランジ部の前記補強部材が接合されている面とは反対側の面に前記貫通孔に対応する位置にナットが接合されている、請求項6に記載の土留パネル。
  8. 複数の土留パネルを前記第1方向に連結して構築された土留構造物であって、
    前記複数の土留パネルは、
    請求項1~3の何れか1項に記載の土留パネルを含み、
    前記土留パネルは、
    前記一方の端部に固定された前記補強部材が重力方向において上側に配置された、土留構造物。
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